PandoraPartyProject

シナリオ詳細

再現性東京2010:ゲイザー

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「どうしました。入らないんですか?」
 小首を傾げたのは学生服の少女、音呂木・ひよのである。
「他のお客さんのご迷惑になりますから」
「え、えええ、そ……その心の準備が」
「わたしは準備出来てるので」
「意味ちが」
「ずずいっと! えい!」
 有無を言わさず背を押したのはココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)で、押された普久原 ・ほむら(p3n000159)は、二度ほど手をぱたぱたとさせたあと、ついに一歩踏み込んだ。
 かしましい少女達は三名とも、同じ希望ヶ浜学園に通う生徒である。

 ポップな看板の下に並んでいるのは、いくつかのマネキン。着ているものも、陳列されているものも、全て若い女性向けの下着であった。
「あ、これ可愛い!」
「あー……ええ、と」
「これとか! でもほむらちゃんには小さいかも」
「あ、あー……」
 ほむらが目をそらす。
 フリルやレースに飾られた華やかな下着は見目にも美しく、なにより可愛いものが多い。
 ココロは色とりどりの下着を次々と手に取り、両手をぐっと伸ばしてほむらの胸元へ当てる。
 ほむらは頬を真っ赤に染めて一歩退いた。恥ずかしがり屋さんか!
「買うために来たんですから、ちゃんと選ばないと駄目ですよ」
「えら、ぶ」
「いつもは私に買って貰ってますものね」
「そんなことさせてるの!?」
「あ、の……はい」
「ちゃんと計ってもらって、しっかりと身体にあったものを買わないと駄目ですよ」
 ひよのはあくまで淡々と告げる。
「そうですね」
 いつの間にか近くに立っていた店員が、ニコニコと追撃してくる。
「ていうか買うのぱんつだけなんじゃ」
「いつも言っているじゃないですか。私、嘘吐きなんです」
「メジャーを持って参りますね。更衣室はあちらになります」
「このカードにサイズを書き込んでもらうんですよ」
「わー! 可愛いカード」
「ちょ、ちょっと」
 駅前のファッションビル内で待ち合わせた三人の目的は、この下着屋であった。
 その訳は――


 再現性東京とは、練達に作られた一区画である。
 希望ヶ浜は異世界『地球』からこの世界に召喚され、変化を受け入れなかった人々の聖域である。
 科学文明の中に生き、神や魔――怪異を遠ざけて生きてきた人々は、世界に適応出来なかった。
 高層建築物に隠れ、迷路のように入り組んだ路地に守られるようにして、人々は生活している。
 コンクリートに囲まれ、目を閉じ、耳を覆って――
 街は今日も偽りの安寧を享受しているのだった。

 練達はこの街に悪性怪異――つまりモンスターを狩るための専門の教育機関を設けた。
 その名は希望ヶ浜学園。
 イレギュラーズはこの学園に招待され、悪性怪異を倒す手本として活動することになったのである。
 そんなわけで、最近この街を歩いたココロはどうしてもひっかかることがあった。
 どうも希望ヶ浜学園の可愛い制服を着て街で階段などを歩く際に、後ろでスマートフォン(aPhoneとか)を構えられることがある。
 後に怪異退治の依頼に同行した際に、ココロは思い切って尋ねてみたのだが、どうやらスカートの中を撮影する悪漢がいるらしい。
 そんな時に現れた《噂》こそ『スカートの中を撮影する悪性怪異』であった。

 学園側からの提案は、怪異をおびき寄せて倒すというものであった。
 ところがほむらが「下着なんか見せられない」と云いだしたのである。
 ならばとひよのは『見られてもいいやつ』を買いに行くことを提案した。
 そしてなぜか言い出しっぺのココロも呼び出されたという訳である。
 三人は下着を買い、そして作戦が決行される。
 おびきだして戦うことになるのは、イレギュラーズとほむらになるのだ。

 そんな訳で、作戦開始だ。

GMコメント

 pipiです。
 ちょっとゆるめな感じで。アフターアクションだ!
 スカートの中を撮影するすごく悪い人をぶっ飛ばしましょう。
 いいのけ、これ?

●やること1
 下着を装備して短いスカートをはく。
 この役目を負う場合、女性か女性体である必要があります。
 これは最低一名が実施する必要があります。
 ほむらが同行しますので、誰もやりたくない場合はほむらを犠牲にしましょう。
 ひよのは居ません。裏切り者め。

 どんな下着をはいてきたのか、プレイングに記載しておくと良いでしょう。
 この依頼にココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)さんが参加した場合、普久原ほむらの下着を指定(選んであげた)することが出来ます。しなくても大丈夫です。

●やること2
 街中の階段とかを歩く。
 時刻は夕方~夜です。
 暑いので、カフェやなんかで時間を潰したり、その辺のビルの中を通ったりして涼みながら、それっぽい階段を探しましょう。
 あんまりやることないと思いますので、おしゃべりしたり買い食いしたりして都会の夕暮れを散歩したりしましょう。

●やること3
 悪性怪異夜妖が現れます。
 倒しましょう。

●ロケーション
 駅近くです。
 ビルとか建ってて割と都会的。ありそうなものがあります。

●敵
『悪性怪異夜妖:悪意の目(大)』×1
 階段を歩いていると電子音がしますので、犯人を捕まえてぶん殴りましょう。
 沢山の手が生えた、目玉の化物に変身して襲ってきます。
 周りの人はわーっと逃げますが、まああんまり気にしないで戦いましょう。

 神秘を中心に、痺れ、感電、ショック、足止、不吉、封印、怒り、呪殺のBSを保有しています。
 攻撃レンジは単体の他、範囲識別と、扇識別を持ちます。

『悪性怪異夜妖:悪意の目(中)』×4
 取り巻きです。大より弱く、小より強いです。
 スキルはだいたい一緒。

『悪性怪異夜妖:悪意の目(小)』×12
 弱いですが数が多いです。
 スキルはだいたい一緒。

●味方
 普久原 ・ほむら(p3n000159)
 希望ヶ浜学園の生徒で、皆さんの仲間になりました。
 両面中衛バランス型アタッカーです。
 至近~遠距離の攻撃をバランス良く扱います。
 特に命令しなくても、勝手に連携してくれます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●再現性東京2010街『希望ヶ浜』
 練達には、再現性東京(アデプト・トーキョー)と呼ばれる地区がある。
 主に地球、日本地域出身の旅人や、彼らに興味を抱く者たちが作り上げた、練達内に存在する、日本の都市、『東京』を模した特殊地区。
 ここは『希望ヶ浜』。東京西部の小さな都市を模した地域だ。
 希望ヶ浜の人々は世界の在り方を受け入れていない。目を瞑り耳を塞ぎ、かつての世界を再現したつもりで生きている。
 練達はここに国内を脅かすモンスター(悪性怪異と呼ばれています)を討伐するための人材を育成する機関『希望ヶ浜学園』を設立した。
 そこでローレットのイレギュラーズが、モンスター退治の専門家として招かれたのである。
 それも『学園の生徒や職員』という形で……。

●希望ヶ浜学園
 再現性東京2010街『希望ヶ浜』に設立された学校。
 夜妖<ヨル>と呼ばれる存在と戦う学生を育成するマンモス校。
 幼稚舎から大学まで一貫した教育を行っており、希望ヶ浜地区では『由緒正しき学園』という認識をされいる裏側では怪異と戦う者達の育成を行っている。
 ローレットのイレギュラーズの皆さんは入学、編入、講師として参入することができます。
 入学/編入学年や講師としての受け持ち科目はご自分で決定していただくことが出来ます。
 ライトな学園伝奇をお楽しみいただけます。

●夜妖<ヨル>
 都市伝説やモンスターの総称。
 科学文明の中に生きる再現性東京の住民達にとって存在してはいけないファンタジー生物。
 関わりたくないものです。
 完全な人型で無い旅人や種族は再現性東京『希望ヶ浜地区』では恐れられる程度に、この地区では『非日常』は許容されません。(ただし、非日常を認めないため変わったファッションだなと思われる程度に済みます)

  • 再現性東京2010:ゲイザー完了
  • GM名pipi
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年09月26日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
医術士
咲々宮 幻介(p3p001387)
裏咲々宮一刀流 皆伝
リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日の魔法少女
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
リア・クォーツ(p3p004937)
願いの先
如月=紅牙=咲耶(p3p006128)
闇討人
白薊 小夜(p3p006668)
盲御前
バルガル・ミフィスト(p3p007978)

リプレイ


「焔ァ! なぁにが安全な依頼だ!!」
 ビルの谷間に反響した『壊れる器』リア・クォーツ(p3p004937)の声は悲鳴に近かった。
 普久原 ・ほむら(p3n000159)がびくりと肩を震わせる。
「あ、違うのほむら。こっちの方が。つか、なんで寄りによってこんな依頼を!!」
「あ、あー……」
 aPhoneに送られたメッセージを改めて確認したリアが、踵を鳴らして迫る。
 凛と張った視線の先に居るのは、目を泳がせた『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)であった。
「……だって、その」
 リアが焔の両肩を捕まえる。
 吹き抜けたビル風が、二人の髪をさらった。
 赤と黒の美しい流れが幾度かなびいて、焔は赤べこのように揺さぶられ――

「――なんつーかなぁ……しょうもねえ事をする夜妖もいたもんだな」
 狭い空を眺めて『咲々宮一刀流』咲々宮 幻介(p3p001387)がぼやく。
 依頼内容は『スカートの中を盗撮するすごく悪い人をぶっ飛ばせ!』というものであった。
「珍妙な夜妖も居たものでござるな……」
 首を傾げた『暗鬼夜行』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)の言にも頷ける所がある。
 金銭や何かが目的ならともかく、下着など覗いて何が嬉しいのだろうか。

 発端は『静謐の勇医』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)の気付きだ。
 街で希望ヶ浜学園の制服を着て、オシャレのためにスカートを短く整えていると、階段などで後ろからスマートフォン(aPhoneのようなもの)を構えられた。スカートの中を撮影する悪漢がいたのだ。
 大きな問題ではあるが、警察なる自警組織の範疇である。
 あえて一行が呼ばれたのは、悪漢が悪性怪異夜妖――つまりモンスターであるという特殊ケースが確認されたからだ。
 故に短いスカートを身につけ夜妖をおびき出す訳だ。
「えぇと……その、皆さんがいて良かったです」
 不安げな『木漏れ日の魔法少女』リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)も溜息一つ。
 犠牲者――もとい囮役が多いというのは心強い。
「ま、引率はするさ。それも教師の仕事ってやつだろ」
「助かります」
(斯様に振る舞うのが、この街では自然に御座ろうな)
 幻介もまた、現地の気風に合わせて言葉を選んでいる。イレギュラーズも苦労が絶えない。
「盗撮が夜妖になるというのもまた奇怪な話です」
 腕を組んだ『夜に這う』バルガル・ミフィスト(p3p007978)が小さく唸る。
「盗撮魔に怪異……依頼内容まで碌でもないわね」
 あきれ声の『盲御前』白薊 小夜(p3p006668)が言う通り、女の敵はさっさと斬るに限る。

 だから。そう、違うのだ!
 焔は被害が増える前に変態怪異を退治するという素朴な正義感で行動した。
 けれどさすがに恥ずかしいからリアを誘った訳だ。
 公言もしにくい依頼で、詳細をはしょったのも致し方のない事であろう。
 誰だってぱんつなんて見られたくはない。
 ココロとて純粋に許せぬと感じた悪から、被害者を救うために決意した。決して誰かを騙す筈などない!
 リアも『希望ヶ浜で夜妖退治』という所だけ見て、焔に連れて来られた事にしてもらったなんて訳ない!
 決して。そう。断じて。


 一行が話しながら足を踏み入れたのは、若者向けのアパレルショップが沢山入った駅前のビルである。
「では、みなさんでお買い物します!」
 張り切るココロの宣言通り、依頼内容には現地の調査も含まれる。
 この街の女性達が行うように、普通の行動をしながらそれらしい場所を探して、敵をおびき出す訳だ。
 ついでに物資を揃えろというのが、練達からの提案であった。
 つまり下着と短いスカートを買えということだ。
 ならばついでだ。どうせならそれに似合うオシャレだってしてやろう。

「えっ、小夜ちゃん短いスカート持ってないの?」
「ええ、そうね。いつもだいたいこれか着物だから」
 あまり頓着しない小夜は、この日も仕込み杖とセーラー服という出で立ちであった。
「じゃあこの辺りのお店で色々見てみよう!」
 そんな訳で、一行はレディースのフロアへと急ぐ。

 まずは王道ガーリーな雰囲気の店である。
「せっかくだから小夜の服もね」
「別に私はなんだって大丈夫よ」
「まぁまぁ、そう言わずに。選びますから!」
「それは楽しみね」
 リアが小夜を誘う。
 小夜にとってはそもそも見えやしないのだから選びようもない。
 とは言え仲間が選んでくれると言うのであれば、それも嬉しいものだ。

 立ち並ぶブティックにバルガルはいまいち視線を定めることが出来ない。
 何せスーツ姿をしたバチバチのおっさんである。
 荷物持ち兼財布役を買って出たはよいが、警察に職質されかねない。というかされたことがある。
「パパ! カゴ持ってもらってもいい?」
 挙動不審なおっさ――バルガルに呼びかけたのはココロだ。
(なるほど……どうもありがとうございます。ええと)
「――ああ、持とう」
 それらしく振る舞う。
 存在感を極限まで殺しているとはいえ、親子のふりをしてもらえるのはありがたい話である。
「まぁ王道に、セーターにミニのフレアスカートとか」
「似合うのかしら?」
「まぁまぁ、まずは着てみてくださいよ、お小夜様」
「そうね」
 試着室から姿を見せた小夜は、清楚なお嬢様然としている。
「こっちはどう?」
 ココロがすすめたのは白地に赤とピンクの花柄スカートだ。
「似合う似合う」
「そう?」
「さっきのセーターと組み合わせてもいいんじゃない?」
 ひとまず購入。何、どうせ経費だ。

「これは素材がこだわってるんですね」
 リディアが興味をもったのは、オーガニックな植物繊維やシルクを使った店だ。
「そういったお店もありますね。入ってみましょうか」
 ほむらに頷く一行は、自然素材のお店に入る。
 それに木綿や麻、絹など。普段の衣類と同じ系統の素材であれば、肌馴染みも良い。
 ハーモニアらしいこだわりであろう。
「私は服はデザインよりもフィット感とか触り心地を優先に選んでしまうので、あまりおしゃれな服を選べる自信がありません」
「じゃあみんなで選ぼうか」
 焔の提案に女性陣(一応ほむらも含む)が頷く。
 リディアとしては、今回の依頼用の服にデザイン的なこだわりはなかったが、なかなかかわいいものが揃っているようだ。
「これなんてどう?」
 緑系統がトレードマークのリディアだが、あえて薄桃色のスカートを選んでみる。
 白系統のトップスとあわせてやると、髪や瞳の色との対比が、これはこれで良く映える。
 だがあえて、リディアは希望ヶ浜学園の制服で挑むことにする。スカートを折って裾上げの構えだ。
「……画像、撮られてないですよね?」
 いつの間にか見られていたらと思うと、かなり恥ずかしい。
「今んとこ、怪しい様子はねえな」
 不安げなリディアに、辺りを警戒していた幻介が答えた。
 調査報告によれば、敵はどうやら電子音を鳴らすらしい。
 だから幻介は、そうした不審な音を中心に警戒している。
 今のところは、視界にも聴覚にも、特に敵の気配は感じなかった。

「あっ、次この辺のとかどうかな!」
「あ、いいですね」
 好反応をしたのはほむらであった。
「ほむらちゃんもそう思う?」
「ええ。ダブルほむらのオススメですね」
 上が和服のようになっており、下は短いスカートだ。和ゴスというやつだろうか。
「フリフリがついてて袖口のところもふわっと広がってて凄く可愛いと思うんだ!」
「ずいぶん裾が短いのね。別に構わないけれど」
「ほら、一回試着してみよう! 色はいつも着てるセーラー服みたいに黒系がいい?」
「何色でも構わないのだけれど。似合いそうなら、そうしてもらおうかしら」
 これもやはり、かなり似合う。
「よもやこの歳で短いスカートを履く事になろうとは……」
 ぼやく咲耶もまた、短いスカートに、上はパーカーを羽織る。
 普段と違う装いになるというのは、中々に勇気が必要な行為だ。
 脚のあたりがずいぶん心許ないが、案外再現性東京とやらの服も着心地が良いものだ。


「いったん休憩!」
 あらかたの服を選び終えた一行は、ココロの号令に頷いた。
 慣れぬエレベーターの僅かな振動も、小さな駆動音も、耳障りなものだった。
 妙に元気いっぱいなココロであるが、実のところ相当気を張っている。
 だがこの後は下着も買わねばならず、男性陣はさすがに居づらいであろう。
 みんなで休むなら、このタイミングしかない。
「あ、あそこのパフェとかいいんじゃない?」
 リアの視線の先は食べ物屋が並んでおり、手前にはおあつらえ向きに椅子やテーブルが用意されていた。
「ねぇ焔、別々の奴を一緒に頼んでシェアしようよ」
「うん、そうするよ!」
「パンのお店もありますね。あ、これ気になります」
 リディアが見つけたのはクレープだった。
「甘くておいしいですよ」
「買ってみます!」
「再現性東京、色々甘い物が多くて良き哉良き哉……流石練達と言った所でござる」
 和菓子もよいが、ここには色々あり咲耶としても嬉しい限りだ。
「ほれ、ほむら殿も一つ如何でござるか?」
「あー……えっと、いただきます」
 近づいた咲耶に頬を染めたほむらがおずおずと頷いた。恥ずかしがり屋さんか!
「あとこれ、皆さんよろしければ。からあげとたこ焼き。あ、海外の方ってタコって大丈夫ですかね……」
「お、いいですね。たこ焼きに唐揚げ。買いましょう」
「あー、いえお気遣いなく」
「いえいえここは」
 財布を持とうとしたバルガルとほむらが譲り合う。おっさんか!
 そんなこんなで、各々飲み物やらスイーツやらポテトやらを広げて着席だ。
「え、と。あの……せっかくなので。ちょっとaPhone貸していただければ撮りますよ」
「……え」
 リディアの肩が震える。何を撮るというのか。
「あ、いえ。その……えっと……スイーツとか。あとおろしたての服着てるとことか」
「撮ろう撮ろう!」
 おずおずと切り出したほむらの提案に焔が頷いた。
「こうすると二人で入るかな?」
「あ、あー……」
 肩を寄せて自撮りする焔の構えに、ほむらの腰が引ける。絶対恥ずかしがり屋さんだ。
 焔もリディアと同じく制服の裾を折ったパターンだが、みんなで写真を撮りあうのも悪くないだろう。
「焔、食べる前にパフェ撮ろうよ、パフェ。ふふ、お小夜さーん、こっちむいて」
 リアがaPhoneを構える。
「好きにしてちょうだい」
 小夜もまた皆に選んで貰った服が見られないのは残念だが。
 帰ったらきっとあの娘が褒めてくれるだろう。

 さて。休憩のあとは最後の仕上げ――下着屋である。
「うう……」
 歩く途中も、たまにそれらしい電子音がするたびに、リディアはスカートを押えてそわそわしてしまう。
 今度の音は女子高生達だ。やはり敵ではない。
「っと。引率はここまで」
 幻介もさすがに下着を買う所まではついていけない。
 多少離れていても、幻介の耳とaPhoneがあれば待ち合わせは容易いだろう。
「ええ、そうですね」
「サクッと買い物を済ませてこいよー」
「自分達は探索と行きましょう」
 面倒ではあるが、仕方在るまい。
 バルガルと幻介は女性陣にいったん別れを告げて、それらしい候補地を探しはじめた。
 通過する人の数が多く、他に紛れ込みやすい場所。
「やれやれ、先生っつーのも大変だぜ……」
 やはり駅や近くの広い階段が怪しいだろうか。

 二人がビルの外で探索を始めた頃、女性陣は下着を選んでいた。
「私、外にいてもいいですかね?」
「どうして? 大丈夫、この前も一緒に入ったし!」
 後ずさりするほむらの手をココロがひっぱる。
「戦いは準備で八割決まる!」
「そ、それはそうなんでしょうけど、てかこの前のちゃんと着てるので」
「あれは練習で、今日こそ実戦! 完璧な下着を選ぶの!」
「あー、はい……」
「私はあらかじめ穿いてきたわ。これで行くつもりよ」
 小夜は一緒に暮らす娘――自身を姉と慕う大切な者が綺麗だと言ってくれた一着で挑む。
「じゃあ小夜はそのままね」
「これかわいい。ボクはこれにしようかな!」
 焔はさっそく決めたようだ。
「ふぅー……」
 大きく深呼吸したリディアもまた一着を選ぶ。今度こそ覚悟を決めた目だ。
「慣れたものがあって良かったでござるよ……」
 咲耶もまた一枚を手にとり。
「ほむらちゃんはこれ!」
 自分のものを選び終えたココロが下着のセットを手渡す。
 ココロはこの間の買い物で、ほむらのサイズをしっかり覚えている。
 とはいえ試着はしたほうがよい。
「あら? ほむらはなんで恥ずかしがってるのかしら?」
 手渡された一着をもてあましているほむらに、リアが声をかけた。
「あ、いえ……」
「ふふふ、試着室一緒に入りましょうか?」
 職業柄(?)、着替えさせるのは慣れている。
 試着室にほむらを詰め込んだリアは、自身も入ると素早くカーテンを閉めた。
「あ、いえその、私……身体は女でも魂はおっさんなので」
 こいつは何を言っているのか。
「はい、手あげて」
「あー……」
「あーもう、はやく!」
「……はい」
 顔を真っ赤にしたほむらを、ちゃちゃっとひんむいて装着。サイズ感もばっちりだ。


 そうこうしているうちに、日も暮れてきた。
 着替えを済ませてもう一度合流だ。
「お待たせ」
「あらかた調べ終えたぜ」
「ありがとう」
 一行は幻介とバルガルが調べ上げた方へと向かう。

「ちょっとスカート短すぎではないでしょうか?
 なんか歩くだけで下着が見えてしまいそうで落ち着かないですよ」
 リディアが頬を染めている。
 女性陣はいずれも、かなり膝上に切り詰めた出で立ちだ。
(……しかし、覗かれるって分かってて我慢するのとか、どんな羞恥プレイだ!)


 怪物相手の囮作戦とはいえ、道行く人達から好奇の視線はある。
 述べたリアも一行も皆、とんでもない美人美少女揃いなのだ。
(しかも、よりにもよってこんな下着付けてるときに……って!)
 邪で嫌な旋律の中で、リアははたと気付いた。
 ――さっき買えば良かったじゃねーか!
 電子音がするまでは、我慢。我慢。そう心に念じて。

 一行は雑踏を突き進んで行く。
「皆でだからね、ほむらちゃんも一緒だよ、ボクとダブルほむらで頑張ろう!」
「あー……」
 焔がほむらの腕に抱きついた。
「女の子同士なんだから恥ずかしがることないのに」
 いや焔もぱんつを見られるのは恥ずかしいが、そうではなく。
「ちょ、私、異世界転生前の魂がマジでおっさんなので」
 頬をみるみる染めるほむら。こいつは何を言っているのか。
「ちゃんと女の子なのは、あたしがさっき確認したじゃない」
「あ”ー!!」
「あの階段を、あがる!」
 ココロが先陣を切った。
 自分で見せるなんていやらしい子みたいで嫌だ。
 でも『見られる』のほうだし、世界を救う為だと決意する。
 なによりおなかを見られるのが恥ずかしいのだ。キュっとくびれておらず、子供のように丸くて。
 胸だってまな板だし、そんな自分の下着など見て楽しいのか……。
 羞恥に染めた頬を隠すように、努めて明るく談笑しながら、共に階段を登り――

 ――電子音だ。

「おらああああああ! しねええええええええ!!」
 リアが跳んだ。
 問答無用のドロップキックだ。
 ちょっとだけ横紐で、ちょっとだけローライズで、おとな~な一枚が僅か一瞬だけ顔を覗かせる。
 違うのだ、この後伯爵とお会いする予定なのだ。
 なぜ伯爵と会うのにそんなん着てんのかは問わないでやって!

 吹っ飛んだおっさんの輪郭が崩れ、無数の手が生えた目玉の怪物達に変貌した。
 手が次々と撮影を開始し、周囲の人々が叫び声をあげて逃げ始める。
「と、コイツが件の夜妖か……なんつーか、見た目がキモいな?
 しかし……俺の可愛い生徒達を盗撮たぁ、太え野郎だな?
 ちょっと、オニーサンとOHANASIしようぜ……な!?」
 幻介の抜刀。

 焔が振り返りスカートも翻る。瑞々しい太ももが夕焼けに染まった。
 裾に隠れて、健康的な肢体を守るのは少女らしい一枚――しまぱんである。
「――斬りましょう、一匹も残さぬよう」
 小夜が仕込み杖を抜刀した。
 スカートの中は黒のハイレッグである。花柄レースに紫のアクセントがエレガントな一枚。太ももの付け根のラインも美しいが――有象無象に見せつける気は更々ない。
「不快な視線諸共全て残らず消えるが良い!」
 咲耶はいつものように褌をしっかりとしめている。小豆色の麻の葉柄に飾られたお尻のラインが覗く。日常と非日常の合わせ技であろう。


「お仕置きです!」
 リディアも振り返る。清楚な少女に隠れているのは、レースの刺繍が入った赤い下着だ。どきりとするようなオトナっぽさが演出されている。
 ほむらのためにココロが選んだのは黒。学生らしく、かつアピール性を持たせる。ウェスト丈をやや深めにとり、ヒップの裾側にレースをあつらい、バックレースから肌色が見える勝負の一枚である。
 そしてココロ――ちょっとローウェストに、ブルーと白の横ストライプ。いわゆるしまぱん。少し脱げていそうな心許なさと共に、スポーツブラも柄をあわせて挑んでいる。需要? 高いに決まってる。

 ぽこちゃか。
 判定はしたからいいよな!

 交戦開始から二分ほどが経過した。
 死に際の怪物は小夜にカメラを向け――しかしそこには何も写されていなかった。

成否

大成功

MVP

リア・クォーツ(p3p004937)
願いの先

状態異常

リア・クォーツ(p3p004937) [重傷]
願いの先

あとがき

このような結果となってしまいました。
大変な依頼を、お疲れ様でした。
言い訳はありません。

それではまた皆さんとのご縁を願って。pipiでした。

PAGETOPPAGEBOTTOM