シナリオ詳細
<巫蠱の劫>劍鬼夜行
オープニング
●夜行
刀を持った狐面の女が白い打掛を羽織って夜を往く。
槍を持った武僧は顔面に赤い粧を施した悪漢と化し、矢筒を背負った武家衆は女郎蜘蛛を描いた狩衣姿。
男も女も。老いも若きも。ゼノポルタもヤオヨロズも。
武器携えて丑三つ時を練り歩く。
向かうは荼枳尼を祀りし社。
妖の血肉を捧げて祈るは呪。
「嗚呼愛しや、嗚呼恨めしや、業彬様」
鈴の転がるような女の声が憐憫に震う。
愛しい男の名を口にすると、顔の上半分を覆う兎の面の下で涙の露が零れた。
男にとっては数多の恋の一つでも、女にとってはただ一つの恋。
恋情はやがて身を焦がす炎となり、想う男と情を交わす者全てを殺めんと荼枳尼天に力を欲した。
呪詛により刀に妖の力を込め忌と成さんと。
●潜入
「ようこそ参られた。そなたらの国では板の間には腰を下ろさぬのであろう? 遠慮無く居を崩されよ。私は衞門大夫惟親、兵部省に属する武人だ」
ネオ・フロンティア海洋王国の外洋、『静寂の青』を越えた向こうの国、豊穣なるカムイグラ。
その都に住まう貴族である惟親卿は、己を武人と称するだけあって堂々とした体躯と風格の持ち主だった。
彼は屋敷に招いたイレギュラーズ達に此度の依頼について説明する。
「近頃妙な噂を耳にした。夜な夜な京の外にある鬼人の里で武器に妖の血を吸わせて妖刀、魔槍を生み出しているというのだ。先にも貴族同士の争いで妖刀が用いられた。刀から化け物を生み出され、祓うのに大わらわであったぞ。帝のおわす宮中でなかったのが救いだ」
惟親卿が見たのは、発狂して刀を振るう貴族と、その手にした刀から生み出された真っ赤な目をした白貂の化け物だ。
幸いにして惟親卿がいち早く妖刀を叩き折ったことで化け物は消え、駆けつけた衛士や狙われた貴族に死なすに済んだ。だが刀が折れると化け物は持ち主の貴族を噛み殺して消えたと言う。
「恐らくは呪詛であろう。呪詛は打ち破られると呪詛を掛けた本人へと返るもの、人を呪わば穴二つとはこのことだ。問題はどこで斯様な妖刀を手に入れたかだ。そこでアレックス殿の助力を乞うた次第だ」
『新聞屋』を名乗る情報屋のアレックス=ロイド=ウェーバー(p3n000143)は、惟親卿から話を引き継ぐとギフト『フェイク・ニュース』によって真贋を精査した内容を告げる。
「調べてみると、同様の呪具による殺傷事件が高天京の内外で起きていた。多くは痴情の縺れとか、個人的な怨恨として始末されていたけどね」
呪具は刀や槍、弓など鉄器。いずれも実態のない妖の化け物を召喚出来るが、恐らくは妖を殺して取り憑かせ、使役しているものと思われる。
また鬼人の里では丑三つ時に荼枳尼天の社に武器を持って参拝すれば、荼枳尼天の力を授かるという噂が流れていた。しかも夜になると京からお忍びでやってくる貴族も姿も。
「日に日に参拝者は増えているようだよ。問題は呪具が量産されつつあるってことで、魔糸目なければ大変なことになるんじゃないかな? 」
「アレックス殿の言う通りだ。大量の呪具を持つ者が荼枳尼天の元に集えば、京を脅かす一大勢力にもなりかねん。それが狙いであろうと無かろうと、京の治安を乱す者は許さん。なれば未然に呪具が生まれるのを防ぐまで。これは兵部省の役人としての正式な依頼だ」
武器を手に荼枳尼天詣の列に加わり、儀式を阻止すること。
首謀者を見つけたなら殺さずに連れてくること。
この二つがイレギュラーズへの依頼である。
「私も同行するつもりだが兵部省の衛士は置いていく。秘密裏に事を進めた方が何かにつけてよかろう。後の始末をする上でもな」
「僕も一応行くよ。でも戦闘ではあまり役に立たなそうなんだよなぁ……。君達が頼りだよ」
依頼人に続きアレックスも同行を申し出る。
イレギュラーズ達の奮闘が頼みと、己の不甲斐なさを自嘲するように笑って。
- <巫蠱の劫>劍鬼夜行完了
- GM名八島礼
- 種別EX
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年09月26日 22時05分
- 参加人数10/10人
- 相談9日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
●
丑三つ時には草木も眠ると言う。
命ある者は皆寝静まり、妖と霊とが闇の世界に一人、また一人と集まってくる。
人ならざる者が集い、列を成して歩くことを百鬼夜行と呼び慣わすが、妖に扮した人が手に手に武器を持って歩む様は、劍鬼夜行とでも呼ぶがふさわしい。
闇の中、灯りも持たずに荼枳尼天詣に向かう列は、刻が進み、祠に近づくにつれ膨らんでいく。
恨み、辛み、そして憎しみの念は鬼気迫る討ち入りの様相を呈していた。
●
(……皆様、白狐ばかりやれ神の使いだ神獣だと持て囃して! 黒い獣もまた瑞獣であるというのに……!)
『宙狐』庚(p3p007370)に誰かを妬む心があるのなら、それは己と同じ狐でありながら、白い毛並みを持つ者に対してなのだろう。
庚は正確には精霊であり、黒い狐の獣人のように見えるその姿は化生。
本質は《燐火》……つまり鬼火とか狐火とか呼ばれる炎のような光こそが正体であり、尻尾や耳の先、首回りからは萌葱色の燐光が揺らいでいた。
従ってそのまま魑魅魍魎の行軍に加わったとて何ら可笑しなところはないのだが、庚が今宵面を付けるのには訳があった。
一つには妖に扮する人という体を取ることで違和感なく紛れ込むこと。
もう一つには呪具作成のための贄として狩られるのを防ぐ意味だ。
(参拝の前に調べますれば、荼枳尼天とは白狐に乗った女神のことだとか。白狐めを重用するのはいただけませぬが、元は鬼女と聞けばさにあらん。なればカノエは一つ荼枳尼天のつもりで白狐を僕と致しましょう)
和装を脱ぎ捨て黒身に沿うた白き薄衣を身に巻き付ければ、黒い毛並みが艶めかしくも透けて見えた。
だが大陸神話に出てくる神の装束に合わせたるは鬼女の面。
般若の異称は荼枳尼天だ。
「白は神聖に見えるが黒は強そうで私は好きだがな」
庚の横で浅緋の狩衣に黒狐の面を着けた惟親が庚の心を見抜くと笑いを堪えて呟く。
庚もまた般若面の下で密かに笑んだ。
「趣味がようございますね。特別にカノエを愛でる権利を差し上げましょう」
自慢の毛並みに触れても良いと許可を出す。だがそれは事が終わった暁のこと。
庚は成仏出来ずに漂う霊と、息を潜める草花の精霊達を呼び寄せると、この行列に馴染みきれぬ者を教えるよう命じた。
多くは妄執に囚われ呪い殺さんと息を巻く者。
けれど中には呪詛返しを怖れる者、半信半疑な者もあろうと。
(あの者で御座いますね? 確かに不安げに見えますれば、話を聞き出し改心させる余地もありましょう)
何者からか荼枳尼天詣の具体的な話を聞いておらねば実行に移すまでには至らぬはず。
それならばこの自慢の毛並みで男女とも魅了するまで。
それこそこの尊く可愛い黒狐の出番だと庚は胸を張った。
●
狐や狐、狐が参る。
『光の槍』ルルリア・ルルフェルルーク(p3p001317)もまた元より狐。
だが庚と同じくこれまた《無辜なる混沌》の一種族としての獣人ではなく、異世界『イスタール』からやって来た旅人である。
彼女の頭には自前で狐の耳が生えているが、その耳は髪と同じ黄金の麦穂のような鮮やかな金毛。
黒い狐面と外套とを身に着けると、まるで闇落ちした妖狐のようにさえ見えた。
ルルリアは場に溶け込むことで他者に接近することを狙う。
庚が場に溶け込めずにいる者を探し出し、己もまた戸惑うふりで参列者に近づいたのとは真逆に。
「何としても主様の仇が討ちたい……そして名誉を回復したい。それがルルに出来ること……」
黒い外套から覗く片手には闇を集めたかのような黒塗りの短剣。
これで宿敵を貫くのだと胸元で握ってみせた。
狐たるルルリアには人を化かす才がある。
それは周囲に溶け込み気配を消すギフト《Invisible shadow》であり、もう一つはその場に相応しい経歴を思いつく機転。
傍らを歩いていた鬼面の女がルルリアの独り言を聞きつけて振り返る。
恐らくは宮中に仕える女房か貴族の奥方……鬼に身をやつしていてもきめ細かな白糸で織られた衣装は紛うことなく上物。
ルルリアは貴族階級の者ならばこの催しの首謀者が分かるのではないかと考えた。
「この催しの祭司となる方はどなたでしょう? 是非一言力を与えて下さる方に先にご挨拶申し上げたい……。今宵のことを聞き、どれほど感謝したか、どれほど勇気づけられたかお伝えしたいのです」
「誰が元締めなのかはわたくしには分かりませぬ。なれどわたくしに今宵の事を教えて下さった方であれば……」
木花僧正(このはなのそうじょう)と名乗る人品卑しからぬ僧侶。
貴族の屋敷に招かれては、煩悩に苦しむ者達に救済の法として荼枳尼天に縋ることを薦めているのだという。
齢四十に近づこうかという僧の特徴をルルリアは噛みしめる。
(欲にまみれて弱者を虐げる貴族は嫌い。でも貴族だって人間……)
人である限り誰かを憎むこともある。
ルルリアだって憎んでいる人がいるように。
恨みや憎しみを持て余して害そうと思う気持ちは理解出来ないでもない。
だけどそれを利用し,己の野望の手駒にしようという輩を許してはおけない。
「そう言えば、海の向こうから来た神使の噂はご存じですか?」
ルルリアは首謀者の目論見を阻止せんと女にローレットのことを教えた。
●
苦手に思う人はいた。嫌いな相手も。
だけど殺したいとまで思わず、見えるところにいなければそれで良かった。
平穏を脅かす者に立ち向かい、戦って排除するか。
それとも相手を隔離することで、関わりを断つか。
『新たな可能性』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は隔離型であり、彼の目から見て排除型は共感しにくいものだった。あまりにもリスクが高く思えたから。
それでもなお排除を望むのは、隔離では安心出来ぬほど相手を怖れているか。
それとも自分の手で憎き相手を排除することに密の味が得られるからか。
まるで常習性の高い麻薬だ。
(「こっち見んな」じゃ駄目なのか? 殺しても完全に排除にはならないのに)
カムイグラで調達した白い狐の面を被り、白い水干を纏った童子姿のアーマデルは、死者の霊を呼び寄せる。
荼枳尼天の祠までの道中には様々な霊が漂っていたが、その中に参列者に縁のある霊もあった。
(思ったとおり……死ねば終わりじゃないんだよな。こうして殺された者の魂は霊になって付きまとう。何か起きても災いが霊障だと思わないだろうけど)
アーマデルの呼び声に応えた霊は、参列者のために自死に追い込まれた無念の士であるらしい。
嵌められた悔しさから怨念となって纏わり付き、取り憑いた相手を破滅へと追い込む。
ここへ来させたのも霊の仕業。呪具は人を呪ったことの証拠となるもの。
(惟親殿は穏便に収めたいみたいだけど、噂をばらまくのはこちらの勝手だよな。殺そうとしていた相手に伝えるとか、やりようはある)
面に合わせて衣装を調えてくれた情報屋のアレックスに頼めば、何かしら協力してくれるだろう。
霊にそのことを伝えると既に実体を失ったはずの霊がニヤリと笑った気がした。
絡み合う縁の糸は切れない。
アーマデルはそのことを強く実感する。
自分の為だけに自分以外の様々なものを踏み躙っていくあの嫌なヤツも、死んだら余計に付き纏ってきそうだと。
「だから駄目だ、呪ったり殺しては駄目だ」
アーマデルは何も知らぬ呪具の持ち主の背を見つめながら、己に言い聞かせるように呟いた。
●
白い狐には霊が見え、金の狐には妖が見えた。
……と、言ってもカムイグラ産の金塗りの狐面を着けた『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)には、アーマデルのような霊を感じ取る特殊な力がある訳では無い。
だが百合子は目が良かった。
暗闇であろうが壁が遮ろうが、遥か先までを見通せる程に。
その獲物を狙う鷹の如き目は、遠くの木陰からこちらを伺う子どもの拳ほどの黒い毛玉の如き妖さえも見過ごさなかった。
「おい、待て」
荼枳尼天の祠に詣でる列から離れて妖に近づくと、毛玉もどきはボヨンボヨンと弾んで逃げていく。
だが百合子はその名の如く歩く姿も百合の花。
清楚可憐な美少女のオーラを醸したまま、何ら振り乱れることなく速度を上げ、毛玉もどきに追いついた。
「逃げるでない。吾(わ)は貴殿に話がある。荼枳尼天の祠の周りから離れよ。そしてこの人間共の列に近づいてもならぬ。さもなくば妖は悉く贄となり、未来永劫呪いによって下僕とされるであろう。仲間にもそう伝えるのだ」
百合子は摘まみ上げた毛玉もどきに教え諭す。
妖が呪具を作るために殺められ、その魂が呪いによって縛り付けられている。
呪具が砕けるか呪いが解かれなければ、人によって操られるだろうと。
「それは悪縁という鎖であろう。吾は貴殿らがそのように人間によって貶められて良いものだとは思わん。ゆめゆめ悪さする人間を懲らしめようなどと思うな。返り討ちに遭うがオチである」
長い黒髪に生える黄金の狐面の奥から、気高くも慈悲深い視線が伺う。
朽ち葉色に赤を重ねた狩衣の襲式目は百合。
毛玉もどきの目にも今宵の百合子は高貴な存在に見えただろう。
そっと地面に下ろして解放すると、毛玉もどきはボヨンボヨンと去って行く。
「贄となる妖が居なくなれば儀式を阻止した同じである。頼んだぞ、毛玉」
荼枳尼天詣の列に戻りながら、百合子は殺したい程の恨みや妬みとは何かを考える。
かつて百合子も一族を狙う者共に敵将の切断した四肢を塩漬けにして送り返したことがあった。
だがそれは警告であり、敵将にも敵の一族にも憎しみの感情はない。
逆巻く奔流のような、燃え上がる劫火のような感情。
それらを持つ者達が羨ましくもあるのは、知らぬがゆえの好奇、知らぬが花というものだろう。
●
幻夢桜・獅門(p3p009000)は鬼である。
カムイグラで生まれ、カムイグラで育ち、鬼の証として角を持ち、心は戦いを求めながら闘争と殺戮は別と弁える。
鬼を悪だと誰が定めたか。
それはヤオヨロズ達がゼノポルタを格下に見て扱うための差別や偏見にすぎない。
(真の鬼は人の心に棲まうもの……どうだ、この行列に加わる者共は。彼らの方が余程鬼ではないか)
狐の面を被った者、鬼の角を付けた者。
烏の羽根を背負う者に、髑髏を首に提げた者。
いずれも持て余した己の感情を捌ききれず、呪いの力を借り人を殺めようなどという者達だ。
(ま、腕っぷしに自信の無い者が己の腕以外に頼ろうとする気持ちが分からなくもないけどな。別に何でもいいぜ。俺は刀が振るえるならそれで良い。喧嘩売ってくるなら幾らでも買ってやる!)
持ち前の角はそのまま、髑髏の面に傾奇羽織を肩に引っかけた洒落者。
その腰の大太刀に銘はない。
誰が打ったのかも分からず、無骨で質素な拵えだが、業物と評判の一振だ。
柄に掌を置き足下を見下ろせば、獅門の巨躯の傍らに野鼠が併走している。
(行け。妖と間違われて殺されないようにな)
ファミリアーで使役する野鼠を草むらに潜ませ、行列の先を行かせる。
目的はただ一つ。この催しの首謀者、並びに幹部連中をいち早く割り出すこと。
仲間達もあの手、この手と策を練っているだろうが、接近せずに探るなら偵察を放つのが最善と獅門は考えた。
(剛の者として俺が危険な者共と相対せぬ訳にはいくまい。その前に首謀者の顔を拝んでおくか)
殺さず捕らえよとの命ならば従わねばなるまい。
だが呪具は死したる妖を繋いだ悪縁の鎖ごと斬り捨てる。
剣士にして獣使いの獅門は、呪いの犠牲となった武具と妖のことを想った。
(先頭の女の歩みには迷いがない。やはり関係者……む?)
野鼠の小さな耳をアンテナにした獅門が拾ったのは、常人ならば聞き逃すであろう独り言。
今宵はやけに妖が少ないと、儀式の遂行を懸念する呟きだ。
関係ない妖達が巻き込まれずに済みそうな事に安堵を覚えながら、いち早く首謀者一味を捕らえるべく獅門は足を速めた。
●
獅門の野鼠が地を行けば、『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)の夜鷹は空を行く。
さながら夜の女王のように、悠然と。
《レジーナ》とは女王を意味する名だと人は言う。
さすればレジーナとは、美称、あるいは冠称と呼ぶべきものなのだろう。
彼女は今宵麗しき容に、一枚の札を貼り付けていた。
梵字と呼ばれる筆で描かれた古文字の一つは、元は鬼女であった荼枳尼天の荒ぶる気を鎮め奉るときの文言が書かれているという。
(人が増えてきたわね。これほどまでに呪具を欲しがる人がいるなんて。何時、何処の世界でも、どうして人は力や象徴を求めずにはいられないものなのでしょう)
レジーナは本来、武器や道具の集合体が意志を持って人の姿を成したもの。
もっと言えばTCGと呼ばれる札を用いた遊戯の中に登場する戦女神である。
彼女を手に入れられるか否かで勝敗が決することもあり、こぞって人は彼女を求め、奪い合った。
ゆえに力を欲する人の心は熟知しており、それを咎めようとは思わない。
今彼女の心にあるのは戦いの定石。
戦いに不慣れな烏合の衆を蹴散らすには、まず将を討つべしということ。
(さあ、天かける鳥よ、宙に浮かぶ御霊よ。我(わたし)の願いに応えて邪なる技を用いる者を見つける手助けをして)
藤模様の刺繍を入れた狩衣姿のレジーナは、鳥と霊とを同時に使役し、敵将を探し始める。
先頭の女は思った通り。列の中程にも警戒を見せる者がいる。
そして夜行が向かうはるか先に鳥を飛ばすと、夜鷹の目に荼枳尼天の祠で待ち受ける女の姿が見えた。
(先に来ている、ということは首謀者かしら? 呪具は持っていないように見えるけど、何が武器になるか分からない……油断は禁物ね)
ただの棒とて急所を突いたり、脳天をかち割れば死に至らしむこともある。
妖が宿っているのならなおのこと見た目で判断は出来ない。
妖には水や炎を操るものもいれば、毒の呼気を放つものもいる。
レジーナは己が武器の塊であるだけに、巫女姿の女を見た目では判断しなかった。
(呪いを操るというのなら、術者と考えるのが打倒……武だけでは倒せないかもしれない)
その可能性に気付くと、レジーナは歩を早めた。
いち早く先手を打ち取り押さえるために。
●
儚いとか、嫋やかとか。
そんな女に見られることをかつては好ましく思わなかった。
けれど今宵ばかりは自分が病弱であったことが良かったと思えた
『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)は生来儚い身だ
片眼、それから両腕両脚は既に義肢となっており、その命さえ齢二十歳を越えることはないと言われてきた。
名家の令嬢として生まれ、何不自由なく育つはずが、この身一つままならずに。
何んに呪われているのではないかと生まれてきたことを恨みたくなる程に。
だがゼフィラは生き残った。
《無辜なる混沌》に召喚されたのは、生まれ変わったと言っていいだろう。
ならば己の過去とて利用して、この身の宿業を跳ね返して見せるだけ。
(殺された妖の霊はいない、ということは未だ呪具に魂を縛り付けられているのだな。だが呪具によって殺された人の方はこの男の周りを彷徨っている……)
茜色の壷装束に参拝者の印である赤い掛け帯。市女笠から垂れたヴェールのような虫の垂衣。
貴族女性の外出着を纏うゼフィラの顔の半分は、黒猫の面で隠されている。
ゼフィラは霊魂が漂うのを見て、声をかけた貴族らしい初老の男こそ呪具の持ち主だと断じた。
「もし、そこのお方……初めての参列に勝手が分からず戸惑っています。少しお話しを伺っても?」
若くか弱い娘に上目遣いに懇願されれば、庇護欲はそそられ警戒は解ける。
加えて男が妻を寝取った男を討ち果たした自慢話を始めるとさりげなく感嘆を寄せ、励ましに勇気づけられたと答えて見せた。
絶妙な、だけどよく馴染んだ深窓の令嬢振りである。
「荼枳尼天様のお力を授けてくれるとお教えくださったのはどなたでしょう? 私は乳母より聞いたのでその恩人のお顔を知りません」
満を持してゼフィラが尋ねると、男は徳が高いと評判の僧の名を挙げた。
「木花僧正……その方も今宵はこちらへおいでなのですか?」
「さて、どうか。僧正殿は神出鬼没ゆえ。だが巫女殿はおろう」
僧と巫女。
どちらが主犯でどちらが協力者か。
ゼフィラはまた一人霊の纏わり付いた者を見つけると、近づいて話し始める。
そして仲間へ伝える方法を考えるのだった。
●
恨みを晴らせば恨みが生まれる。
例え恨んだ相手が死んでも、新たな恨みが生まれ、時には自分が恨まれる側に回る。
怨嗟の連鎖から抜け出すことはないのだと、『双色クリムゾン』赤羽・大地(p3p004151)は思う。
人の恨み辛みには果てなどないことを、彼自身が嫌と言う程見てきた。
(マ、俺もそいつらの怨念を吸い上げてぶつけたりもしたんだガ……。無関係な者を巻き込むのは俺としても許しがたい。恨みってのはそもそも個人のもんダ)
彼の中で呟くのは、赤羽・大地を構成する一人、赤羽の方。
裾に菖蒲を描いた白い水干姿、途中から赤へと変わる長い黒髪を一つに束ねた赤羽は、己を偉大な死霊術士と称するだけに、どんなに霊を仕置きしようが最悪巻き込まれる覚悟は出来ている。
だが個人の恨みに誰かを巻き込むのは、人であろうが霊であろうが祓わねばならぬ人災に変わりない。
だからこそこの災の拡大を未然に防ぐためにここにきた。
例え恨みの根源を絶つことが叶わずとも、無関係な者に被害を及ばさぬこと。
それから死者を安らかにしてやるくらいは出来るだろうから。
赤羽がゼフィラと同じく霊を辿って呪具の持ち主に近づく。
その女の殺意は、仮面で顔を覆ったとて隠しきれるはずもなく、いっそ纏わり付く霊が従者に見えるほど。
(呪具を持ってるってことは、既に恨みを晴らしたはずなのニ……これは惟親の予想通り、呪に取り憑かれた呪具の使い手を増やし、クーデターでも狙ってるのカ?)
赤羽はふと何故呪具を作成する場に既に呪具を持った者が混じっているのかについて考えた。
恨みを果たしたはずがまたここにやって来るという矛盾。
もし何者かが呪具を増やすことではなく、呪われた人を増やそうと画策しているのだとしたら。
ネズミ講式に新たな呪具持ちを増やすなら、それは正しくクーデターの芽だ。
赤羽は言ノ刃を握った。
それは己と大地のように、根元が濡れ羽、羽根先が紅蓮の色をした羽根付きのペン。
このペンを呪具になったとしたら、恨みを晴らそうとするのは自分と大地、どちらだろう。
死人花に幽霊花、漂う霊を仕向ければ、祠では巫女装束の女が一人待ち受けているという。
赤羽は行列の中に仲間を探した。
●
かつて白き梟の使徒、神の剣として粛清してきた。
その多くは森の安寧を脅かす悪しき心を持った者共だったが、彼らに恨みをいだいたことは一度もない。
(そのオレが恨みを持つ者を断じたり、ましてや殺めることなど出来ない。オレは奪われる命を救っても、命を奪う方にはならないと決めたのだから)
『冷たい薔薇』ラクリマ・イース(p3p004247)の手には短剣があるが、それはこの行列に加わるための便宜上のもの。
出来ることならこの短剣の鞘を抜くことなく、負の感情に囚われた人達も傷つけずに済ませたい。
だから彼の象徴たる薔薇の眼帯を今宵は白い彼岸花に変え、純白の狩衣に身を包んだラクリマは最小限の被害で済むよう、行進する人達の実力を推し量る。
アレックスの予想どおりほとんどは武芸の心得なき者だが、ところどころに武人もいる。
振り回すだけで危険な武器も。
(儀式のことは京で噂になってきている……ということは、役人が動き出してもおかしくないと、首謀者一味が考えて手を打ってきているかもしれません)
首謀者の周辺を呪具持ちで固めている可能性もある。
だがそれ以上に、首謀者が企てるとしたら──
(蜥蜴の尻尾切り、でしょうか。オレが首謀者なら強敵をぶつける間に逃走を図るでしょう。それか囮を立てて自分が首謀者であることを隠すか)
短剣を手に思考するラクリマは、何も知らぬ者には思い詰めているようにも見えた。
だがそれは頭がめまぐるしく動いている証。
首謀者ならどう動くか、周りはどう動くか。
自分はどう動けば最良の結果を導き出せるのか。
前衛に立たぬがゆえに他の者と立ち回り方を異にし、他の者が動きやすいよう取りはからう。
ラクリマはそれを己が使命と言い聞かせ、妖にさえ情を見せる。
誰かが妖と心を通わせ、遠くに離れるよう伝えてくれればいい。
ラクリマはふと白い彼岸花の眼帯へと触れた。
失ったこの右目もまた呪いなのではなかろうか。
呪いを封じ込める為の薔薇の眼帯、薔薇の下は秘密の意味があったはずだと。
●
恨み、妬み、そして呪い。
人にそんな想いがあることを否定は出来ない。
人は生も邪も持つ者だから。
ただ善と悪の境目で踏みとどまるだけで。
『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)は、荼枳尼天の祠に向かう人達の群れに混じりながら、境界とは何かを考える。
世界は日本という国のある次元から別の異次元へと召喚され、次に《無辜なる混沌》に召喚された。
本来行き来できないように引かれた境界を越えて。
(恨んで呪う時間があるなら、菓子の一つでも口に放り込むけどなぁ、俺は。呪具に頼る術しかないのは愚かだって思うが……一体誰が越えてはならぬ境界の向こうから手招きしてるんだろうな?)
さながらこの儀式の首謀者は召喚者を行う巫女だ。
一度呪具を持ってしまったなら、元の世界には戻れない。元の社会に、と言うべきか。
世界はいつもの白衣の代わりに白い女物の打掛を羽織り、小面と呼ばれる女面の奥から目を凝らす。
世界は百合子のように五感に優れる訳では無い。
だが直感力と、それを支える捜査力なら誰に勝るとも劣らない。
何度も儀式を行い手慣れた者と、今回が初めての者とでは当然動きに違いがあるだろうと、鋭く観察する。
(やけに警戒している風なのがいるじゃねぇか。あいつが呪具持ちか。殿で誘導係って訳でもなさそうだ。……外部から邪魔が入るのを警戒してるのか? それとあれは根っからの武人か。こっちも要注意だな。後は……女?)
冠位召喚陣で呼び出した木の精霊が警告を発する。
禍々しき気を帯びた女がこの先に待ち受けていると。
女が首謀者なら確実に儀式を阻止して捕らえたいが、皆がそこに殺到すれば呪具持ちが逃がすことにもなるだろう。
体アレックスと、ラクリマが逃亡防止の見張りに立ってくれると言うが、その二人だけでは些か心元ない。
(けど逃がす訳には行かねぇな。呪いなんてものは境界を越えて広がっていいものじゃねぇ)
世界は心の中で独り言ちる。
今宵、この場所で終わるべきだと。
●
荼枳尼天の祠に辿り着いたとき、参列者は100人近くにも膨れあがっていた。
待ち受けているのは巫女装束に黄金の冠を被った妙齢の美女が一人。
面は付けていないが化粧が施され、巫女というよりは神女の出で立ちだ。
だが常ならば悠然と訪れた参拝者を出迎えるであろう巫女は化粧の下に焦りを見せていた。
「今宵に限って何故妖がおらぬ……。かような小物では贄には数も質も足りぬ」
巫女は近づく行列を見て密かに呟いた。
女の足下には事前に狩られた魔猫・妖鼠の類いが三匹いたが、祠の周囲には妖の姿は見えない。
いつもであれば丑三つ時に集い出す妖を既に呪具を得ている者達が狩り、呪具としたい武器でトドメを刺して新たな呪具を作成していた。
呪具の強大な力を見せつけ、先輩から新参者への手解きをすることは、信者獲得にも効果がある。
しかし肝心の妖が足りないのでは集まった者の不満となろう。
巫女が取り繕った笑顔で行列を出迎え、如何にして妖不足を誤魔化すか思考を巡らせる。
同じく異変を察し取っていた先頭の女が巫女に近づいた。
「巫女様、今宵は何かいつもとは違う気が致します。もしや何者かが……」
そう耳打ちしたとき、行列の中から派手な傾奇羽織を肩に引っかけた髑髏面の鬼が飛び出した。獅門である。
彼は鼠の耳を借りて先頭の女が異変に気付いたらしいのを察知すると、いち早くこの女をマークしていた。
「気付いちまったなら仕方ねぇ!」
「何奴!?」
「おっと、今宵互いの正体を探るのは無粋ってもんだろ」
獅門は腰の大太刀を抜刀する。それが線戦の火蓋。
大太刀で斬りかかると女が咄嗟に身を交わし、呪具たる剣を抜いた。
最初の一撃は外れたように見えた。
だがそれは獅門の目論見通り。
「お前らはあっちに行ってな!」
囚われた妖をむんずと掴むと、思い切り木陰に向けて全力で放り投げる。
罪無き妖が贄とされる前にこうすると、最初から心に決めていたこと。
「さすがは獅門殿、見事。これで何ら懸念もなく力を奮えるのである」
「あんたの策を無駄にする訳にはいかないからな」
獅門が偵察に放った鼠は、百合子と毛玉もどきの妖の会話をも聞き取っていた。
百合子は行列に混じる時に胸元で握っていた短刀を懐にしまいこんだ。
短刀はあくまで儀式参加者である証明として持ち込んだ飾り。
例えその身をセーラーから狩衣に着替えようと、花の容を面に隠そうと、百合子の真の武器はその拳。
「白百合清楚殺戮拳、咲花百合子、参る!」
長い黒髪が闇の中に翻るも、呪具の遣い手に向け走る身は乱れることを知らない。
それが道を究めた美少女の嗜み。
清楚可憐な肢体が繰り出す拳は、呪具に封じられた妖を召喚される前に遣い手の屈強な男をも殴り飛ばす。
その光よりも速く繰り出された拳に為す術もない。
「百合子殿にばかり手柄を立てさせる訳にはいかんだろ。こっちも暴れさせて貰おう。相手に不足なし!」
獅門もまた先頭にいた女に再び向かう。
女の動きには無駄がない。恐らくは女武者であろう。
相手の武器もまた剣。一対一で斬り結ぶも『出でよ』との呼び声に大きな猪が姿を現す。
魔猪と呼ぶべき妖は、その姿の如く獰猛で、体当たりされれば骨折は免れないだろう。
味方はもちろんこの場に死ぬと問題となりそうな貴族連中もいる。
如何に魔猪と女を己に惹き付け倒すか。
「剣で勝てねぇからと化け物を呼びやがったな。倒しゃいいんだろ!?」
百合子が一糸乱さぬ戦いぶりでバーストストリームを繰り出せば、獅門は派手な羽織りを翻して敵に吠える。
妖と言えど、呪いに穢されていると言えど、猪は山の神の使いとも言われる獣。
獣使いたる獅門が怖れる訳もない。
惟親の言う事を思い出し、ギリギリまで突進を避けずに向かい撃つ。
獅門の剣に流儀はない。
斬り結んだ相手、山の獣から学びとって編み上げた己の全くの我流である。
「山の神の元へ還れ!」
魔猪の突進を腹で受け止めれば、衝撃が内臓を通り越し背骨まで届く。
血反吐を吐きながらぐっと足で大地を踏みしめ踏みとどまると、その盛り上がった逞しき背に大太刀を串刺した。
魔猪の背から腹まで大太刀が突き刺さる。
妖が消えると獅門は妖の力を失った呪具を手に向かってくる女に組み付くと、その身を締め上げ気を奪った。
「吾は貴殿らのような深い感情のうねりを知らぬ。些か羨ましくあるが、吾は毛玉と約束した」
そして百合子もまた撲たれて延びている二人目の術者から、大きな黒い煤の塊のような妖に視線を移す。
召喚された己を飲み込まんとする闇も、かつてはあの小さな毛玉もどきの妖と同じだったかもしれない。
黒く巨大な煤は膨らみ百合子を包み込んだ。
口や鼻から侵略しようとするそれを吸い込めば、呼気が奪われ激しく咳き込む。
だが百合子はそれすら厭わず、一念を込めて拳を繰り出す。
黒い塊が弾け散り、暗闇の中に混じって消えた。
●
「露払いが済んだならいよいよカノエの出番でございますね? 世界様、二人のことはお任せしましたぞ」
傷付いた二人に攻撃を集中させまいと庚が前に進み出る。
般若の面を外すと同時、眩いばかりの光が暗闇に溢れた。
これぞまさに神の威光。
庚が放った光に、巫女の元へ駆け寄ろうとした武人達が打ちのめされる。
神の姿を見た者が光輝に当てられ直視出来ないように。
庚は放つ聖光は見る者の心を打ちのめす。
悪しき霊ならば忽ち霊力を失い掻き消されるだろう。
とは言えその力は今、傷付いた仲間に狙い定めた者を止めるために発せられたもの。
「カノエは人を恨む気持ちが分かりません。ですが、そうですね、もしカノエが誰かを恨むのなら、誰の力も借りずに直接殴りに行きたいと思います。……と、脱線しましたね」
庚は再び面を身に着け光を隠すと、世界が二人を回復させる間を守るべく見張り立った。
「二人とも全く……無茶しやがって!」
赤い血を零す獅門と黒い煤を咽せながら吐く百合子を、世界のミリアドハーモニクスが癒す。
前衛となる二人には突撃前にイオニアスデイブレイクを施し、防御力や抵抗力を上げてあった。
そうでもしなければ呪われた妖を滅することは叶わず、二人とも命があったかどうかも怪しい。
獅門は内臓破裂に背骨切断、百合子は煤が肺まで達し窒息死していてもおかしくない状況だった。
だが二人とも傷が癒えると再び立ち上がる。
これで終わりではないのだと。
世界は再び二人に術をかけて送り出す。
「俺も黙ってる訳にはいかねぇな」
面を後頭部に回して顔を露わにすると、眼鏡をかけ直してぼさぼさの頭を掻き毟る。
百合子と獅門の機転で新たな呪具が増えることは防がれた。
それにより首謀者の度肝を抜いてこちらに有利な状態で戦闘に持ち込むことも出来た。
だが一度呪具に封じられた化け物化した妖が召喚されてしまえば、やはり手強いと言わざるを得ないだろう。
獅門と百合子が深手を負ったのも、攻撃する時しか実体化しない相手にこうするのが確実だったからだで、世界に同じ真似は出来ない。
だが──
「黒に沈め」
開いた口唇から魔法紋を描いた舌が覗く。
短く唱えたのは己の中の暗黒を術式で相手へと流し込む闇の魔術。
髪を振り乱し見境を無くした女がこちらに迫ろうとして躓く。立ち上がろうとして足首を捻った。
何が起きたのか彼女には分かるまい。
ブラックアウト──それが敵に不調をもたらす負の波動。
「世界様もなかなかやりますね?」
「庚さんのピカー程じゃねぇけどな」
「それでは向こうも片付けるといたしましょう」
片や光、片や闇。
対称的な二人は呪具持ちと参列者が入り乱れる戦場へと視線を向けた。
●
参列者の集う辺りは混乱を極めている。
呪具を持った者は少数だが、大多数の参列者の中に武芸に秀でた者もいる。
呪具を持った者と武芸に秀でた者はイレギュラーズに立ち向かってきたが、その他大勢は逃げ出すか、パニックに陥り無駄に武器を張り回す。
これを殺さず捕らえよとはなかなかに骨が折れることだ。
「アレックスは捕まえた連中に縄かけるカ、逃げたやつがいないか見張ってクレ。惟親は呪具持ってない強そうなのを頼んダ。妖相手じゃないなら任せても平気だよナ?」
赤羽がアレックスと惟親に指示を出す。
アレックスは体が弱く、弓を携えてはいるが戦闘には向かないと言っていた。カムイグラの住人である惟親は呪いの影響を受ける可能性が高い。
赤羽は儀式前の参列者を妖や呪具の持ち主を切り離すべく割って入ると、神気閃光を放った。
光の玉が弾けるように呪具を振り翳す者達に飛んでいく。
目を眩ませ、痺れを誘う間に牡丹一華と名付けられた不殺技が沈める。
意識を失うその瞬間に見たのは牡丹一華……赤羽の髪の毛先のような真っ赤なアネモネの幻。
鮮やかな紅花の夢は、恨みに満ち呪いに犯された心に一輪の希望の花として咲くけれど、幻は無残に散っていく。立ち向かう心ごと奪い取って。
「大地! 呪具は折るな!」
赤羽が続けて呪具を折ろうとしたとき、アーマデルの叫びが聞こえた。
「俺は大地じゃねェ、赤羽ダ」
「そんなのどっちでもいいから」
羽の付いたペンは本の虫である大地のトレードマーク。
手にしているのは参列のための武器が必要だからで、剣とか槍とかは重すぎるし、尖ってるならペンでもいいだろと思っただけ。
ちょっと浮いているとは思ったが、結局これが一番大地の手に馴染む。
(武具が呪いの媒介となり、呪具が折れると持ち主を襲った……と言うことは、呪い具の持ち主を不殺に留めても、武具を破壊すれば妖の標的となるんじゃ? だとしたら……)
アーマデルが思考を巡らすその先を、ゼフィラが答えた。
「なるほどね。妖を消そうとしたら呪具を破壊するのが早い。だが持ち主を生かそうとしたら先に妖を倒すしかない。破壊は手っ取り早く見えても悪手ってことだな」
体が弱かったゼフィラは、動かない体の代わりに常に頭を働かせる。
如何なる苦痛に見舞われ、如何なる状況に陥ろうと、冷静に状況を見極め知恵を巡らせる。
アーマデルが発したその一言が、何を懸念して破壊を止めたのか、それを一瞬にして悟った。
「そう言うこと。攻撃の瞬間に実体化したところを狙う」
アーマデルが今夜の儀式の為に持ち込んだ片手剣を構えたとき──
「おや、愛用の剣は使わないのかい?」
揶揄する声がして振り返ると、アーマデルに向かって大蛇が飛んできた。
……と思ったが、大蛇だと思ったのは目立つからと置いてきたはずの蛇鞭剣ウヌクエルハイア。
「忘れ物したようだから届けにきた。心配しなくてもアレックスと一緒に安全なところに避けているから、存分に戦うがいい」
イシュミル・アズラット。
アーマデルと同じ世界から召喚された死神(ししん)の使徒。
男かも女かも分からぬ目元を黒い布で覆った人物は、アーマデルの主治医にして保護者のようなものだ。
アーマデルは蛇腹によってしなやかに振るう剣と、踊るようなステップで妖を翻弄して妖の射程に飛び込む。
無数の牙を生やした蚯蚓のような妖が顎を上げアーノテルに噛み付き、牙が深く食い込む寸前、一瞬光った。
それはゼフィラの放ったバーストストリーム、その光撃。
「やっぱりな。物理が効かないなら一か八かと思ったけど……トドメは頼んだ!」
光に妖を倒す程の力はなくとも、どこに目があるのかも分からない妖の気を一瞬削ぐ程度には効果があった。確実に。
アーマデルの蛇鞭剣が妖の胴に巻き付き、締め上げると妖は螺旋に切り刻まれ、そして消えた。
一方ラクリマも人への害が及ばぬよう、呪具の遣い手とまみえ、蒼剣のオスティアスを振るう。
剣と言ってもラクリマのそれは、彼の歌声に乗せた魔力が蒼き剣となって現れたものだ。
ゼフィラの読み通りその攻撃は特攻とまではならぬものの威嚇となり、参列者……ただの人間である者に襲い掛からぬよう妨害することには成功していた。
(でも目には見えない敵を仕留めるのはさすがに困難……。こうなったら呪具を破壊した方が……)
鎌鼬という妖は風の属性を持ち、目には見えず人を切り裂くのだと聞いた気がする。
その時だ、アーマデルの叫びが聞こえたのは。
「狙い定めるのが難しいとなると、具現化させましょう。ラクリモーサ、氷よ、涙を凍らせ悲しみを閉じ込めろ」
ラクリマが氷結の魔法を唱えると、細かな霜が鎌鼬の姿を浮かび上がらせる。
鎌鼬めがけて光の追撃が降り注ぐ。
「武器の贄となってしまった妖を救うことは出来ません。何故ならもう死んでいるから……。ですがその魂が穢され、道具として悪用され続けることのないよう、呪いから解放することは俺にも出来ると思うのです」
ラクリマは誰も死なせたくなかった。
人も、それから妖も。
だけどこの妖はもう既に彼の癒しの手が届かない場所にいる。
ならば氷の棺に入れ、死者の向かう先に送ることが、今ラクリマに出来る唯一。
トドメを仲間に任せて呪具を拾う者がないよう掬い上げると、ゼフィラがラクリマの心中を察したか肩に手を置く。
「呪具を先に破壊しないよう他にも注意喚起するか。あと、坊主も探してくる」
「坊主?」
昏倒させた者をアレックスに引き渡した赤羽が尋ねる。
ゼフィラは祠に辿り着く前に集めた情報を教える。
貴族らしき者達の幾人かの話の中に、儀式のことを触れ回った人物、影で糸を引いていた可能性のある人物がいたと。
「木花僧正だと?」
「惟親は知っているのか?」
「以前そいつに妖刀を掴まされたことがある」
呪具を持たぬ武芸者と相対していた惟親が、名を聞きつけて驚きを見せる。
ゼフィラは首謀者が逃亡を図るのを警戒していたが、そちらはレジーナとルルリアが対処してくれるだろう。
だがもしこの場にその人物が紛れていたら、完全にノーマークだ。
「惟親はそいつの顔は分かる?」
アーマデルは木花の僧正のことを聞いたとき、嫌な記憶を逆撫でされるような感覚を覚えた。
「探すカ。逃がしちゃ元も子もねぇだロ」
「そうですね。もし本当に黒幕なら許してはおけません」
赤羽とラクリマもまた逃げ出す参列者を追い始めた。
●
呪具を持った者は巫女を守らんとして立ちはだかるも、一人、また一人と獅門と百合子によって倒された。
だが混乱に乗じて逃亡を図るのは参列者ばかりではなく、手下とした呪具の遣い手を囮に一人逃げようとする巫女に弾丸が放たれる。
その弾道はわずかに反れ、女の頬を掠めたに終わった。
だがそれこそが意図したもの。
巫女が振り返るも誰もいない。
木の陰からか、それとも木の上からか、祠の裏からか。巫女は姿を見せぬ襲撃者を探して視線を巡らせ、首に提げた数珠を手に取り直した。
数珠が歪んだように見えると、そこからスルリと分身して蛇が現れる。
(毒蛇? ううん、思い込みは禁物です。妖には獣にない力がありますから。ルルの気配にも気付いているかも)
キフト《Invisible shadow》で建物から木へ、影に隠れて移動したルルリアの手にはライフル銃があった。
天義の義賊が着用したという、友がくれた漆黒のマントの下に隠していたものが。
皆が華麗な仮装に身を包むとき一人外套を纏い、黒塗りの短剣を握って見せていたのは人の目を欺くための芝居。
彼女の真の得物は闇の如き衣の下にあり、彼女の身は今、祠の影に隠され獲物を狙う。
(隠れても駄目なら出るしか……)
人の目は誤魔化せても妖は誤魔化せぬ。
ルルリアが姿を現す覚悟をしたとき。
「我(わたし)の名前はレジーナ。レジーナ・カームバンクル。人を惑わし妖を殺める荼枳尼天の巫女、汝(あなた)に聞かねばならないことがあります」
ルルリアより先に姿を現したのはレジーナだった。
女王の名の如き臆することなく堂々と、儀式を司り多くの妖を殺めてきた者を捕えんと女と向き合う。
彼女もまた使い魔を召喚する者。
だが呪いによって妖をねじ伏せ、従わせているのではない。
彼女の威光に使い魔となる獣達の方が自然と頭を垂らし、協力することを名誉としていた。
巫女の数珠から生まれた蛇は、放たれると三つの頭と赤い目を持つ大蛇へと変わる。
だがその巨体に無闇に仕掛けても攻撃は通り抜けるであろう。
物理は効かぬと聞いている。魔力を叩き込めば多少は怯むやもしれぬが敵の力を削ぐには至るまい。
ならばやるべきことは一つ。
「真の女王の力を見せてあげましょう」
言い放つレジーナの顔に最早美貌を隠す札はない。
強き意志を持った眼差しが巫女を射貫くと、偽・天乖鍵を手に大蛇を迎え討つ。
大蛇の牙がレジーナの身を掠めるも、彼女の身は深手を負うこと無く宙に浮いた。
TCGのキャラクターである彼女の足は大地を踏みしめるものではなく、常よりその身は浮いている。
人のふりをやめたレジーナが不意討ち穿つのは、魔力を帯びた剣魔双撃の神髄。
だがそれすらも。
弾丸は大蛇の頭を一つ撃ち砕く。
残る頭を擡げて仰け反り、攻撃の矛先が向けば銃口は女の手の内にある数珠を狙う。
連ねた玉が弾ける散ると、大蛇は身を翻し主へと向かった。
きっと蛇は神に仕える眷属であったのだろう……自分をこのような姿へと変えた者を呪うように、丸呑みしようと大きな口を開けたとき、ルルリアとレジーナが同時に仕掛ける。
三つの頭、その全てを失った蛇は消えた。
真っ赤な目は血の涙のようにも見えた。
「逃がさないわ。儀式を行い何をしようとしたのか聞かないといけません。陰謀を明るみにすることが巻き込まれた妖達のせめてもの供養でしょう?」
「ルルも聞きたいことがあります。木花僧正というのは何処にいるのですか?」
己から注意を剥がすべく身代わりに前に出たレジーナは傷を負っている。
レジーナの組技で無力化させられた巫女に、ルルリアが外套の下に怒りを隠して問うた。
「お前ら如きに話すことはないわ」
「話して貰うぞ。奴は何処だ?」
巫女はルルリアを、そしてレジーナを罵り、惟親が女の頤を掴み上げると、己の舌をも噛み切る。
自白させられる前に自害を試みたのは、そうせよと命じられていたからか、それとも自発的なものか。
ラクリマが余力を振り絞り癒しを与えると一命は取り留めたけれど。
●
「相手を呪い、殺めてそれで心は本当に晴れますか? 失った者は戻ってこず、残るのは自分のやったことだけ……それは一時の自己満足で、自分が逆の立場になれば空しいだけです」
逃げようとした者達の捕縛は概ね終えている。
昏倒している者もいるが、それでもラクリマは儀式を行おうとしていた者達に向けて語りかけた。
ラクリマの隣にゼフィラが立つ。
そして己の機械の拳を握りしめて後に続く。
「私も元の世界にいる時は夫となった人を恨んだ。でもそれは自分の弱さが招いた感情……キミ達の中にもままならないことを誰かのせいだと思い込もうとしている者がいるのではないか? 私で良ければ愚痴を聞くぞ? 一人で思い悩むよりずっといい」
「そうです。もし誰かに聞いて欲しくて、どうしても恨みを晴らすことを望むのなら、遠慮無くローレットを、私達を頼ってください」
ルルリアは祠に向かって歩く間にも言ったことを、新たに他の者にも向けて言った。
聞いてくれる相手、救うべく手を貸してくれる者はいるのだと。
そんな二人の説得を眺めながら、世界はそれほどまでに強い感情を持つ者を少しばかり羨ましく思う。
彼の中には常に諦めがあった。
それは叶うはずも無いというリアリストの分析ではなく、感情の波に飲まれまいと無気力を装う者の心の防壁のように。
アーマデルはと言うと倒される大蛇の妖を目撃して、自らの崇める死神に仕え、同じ使徒に嫉妬を向けた七翼の蛇を思い浮かべた。
彼らの神話に出てくる蛇の姿を、アーマデルは自らの目で見たことはないけれど、七翼の蛇もまた己ではどうにも出来ない感情や呪いに踊らされていたのかなと。
負傷した参列者を治療する白い髪の人の方はどう思ったか知らないけれど。
「何か終わった気がしねぇな。木花僧正だっけ? 荼枳尼天の巫女の仲間なんじゃなくて、巫女も操られてるだけなんじゃないか? ま、どう繋がってようが俺は斬るだけだがな」
「そうね、我も戦うだけ。女を弄ぶようなのは許しておけないから」
獅門は銘無き刀の柄に手を掛ける。
この刀が呪いに犯されずに済んだことを良しとして、釈然としないものを飲み込む。
レジーナもまた思うところがあれど今はしまいこみ、妖と語らう仲間へと視線を向けた。
「無事だったか、毛玉」
百合子は近寄ってくる黒い塊を見下ろした。
危険だから逃げろと伝えたはずだが居残り、隠れて見ていたらしい。
百合子を労るつもりか、それとも甘えているのか、足に擦り寄ってくるのを摘まみ上げる。
「百合子様も黒がお好きなのですね! さすが美少女でいらっしゃいます。百合子様にもカノエを愛でる権利を差し上げてもようございますよ?」
庚はそんな百合子と妖の触れあいを見て、己の事も愛でろと撫でて欲しそうに黒い毛並みを差し出す。
それを見た惟親が笑った。アレックスも微笑んだ。そして赤羽を見るとこう言った。
「君もペンを持って来ているんだろう? 今日のこと、記録したらどうだい?」
『新聞屋』を名乗るアレックスは小さなメモと筆記具とを取り出す。
赤羽は……と言うより大地が呪具にならずに済んだ愛用のペンを手に記し始めると、夜の闇は朝の光に薄らいでいく。
恨み辛みの類いは簡単に気が晴れるものじゃない。
むしろこれからも悶々と続いていくのだろう。
だけどそれでも朝は来るし、晴れない闇はないのだと信じたかったし、そのために自分達イレギュラーズはいるのだと思いたかった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
ご参加頂きありがとうございます。
皆様のご活躍により、無事呪具の量産を防ぐことが出来ました。
謎を残してもいますが、それは機会があればまた。
●描写について
戦闘シーンにおいて描写出来たのはあくまで戦いの一部、特に前衛として呪われた妖に対応した方は深手を負ったりダメージを蓄積したりもしましたが、癒し手が多かったこともあり、重篤な状態に至らずに終えています。
また参列者、妖双方の被害も軽微なものです。
恨みに凝り固まった者達を改心させられるかどうかは兎も角、それでも希望の見える終わり方となったと思います。
なお惟親が言っている妖刀の話は拙作『紫陽花の下には凶器が埋まっている』のことなのですが、興味がございましたらお読みくださいということでお知らせしておきます。
●MVPについて
好プレが多くて迷いましたが、真っ先に補給線を叩いて目論見を挫いた方を選出させていただきました。これがなかったら戦闘途中で新たな呪具が増え、難易度が上がっていました。
これにてこの物語は閉幕ですが、皆様に楽しんでいただけましたら幸いです。
GMコメント
このシナリオは豊穣の連動シナリオ<巫蠱の劫>の一つとなります。
以下、依頼のおさらいと補足になります。
●目的
1・武器を手に荼枳尼天詣の列に加わり、儀式を阻止すること。
2・首謀者を見つけたら殺さずに連れてくること。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●敵
a・これからの人
一般的な武器を手にしたヤオヨロズやゼノポルタ。人数は100人ほど。
武芸に心得の無い者達がほとんどだが、中には武芸の心得のある者もいる。
いずれも荼枳尼天の力を欲するほど思い詰めていて何をするか分からない。
b・既に呪具を持った人
既に呪具となった刀、槍、弓、鍛刀、手裏剣を持っている者が参加している可能性もある。
身体能力や戦闘力は元の個々の能力によるが、リミッターが振り切れていて死を怖れない。
邪魔する者は殺しにかかる。
呪具はパッと見、そうとはわからない。
c・召喚される妖
呪具作成のための贄となった妖で、より大きく、より強く凶暴に変化した姿で召喚される。
鳥や動物などの下等の妖の強化版で、嘴や牙、爪などの物理攻撃の他、変化、金縛り、毒などの能力を持つものもいる。
実体はなく物理攻撃が効かないが、妖の側から攻撃する時は実体化し、こちらの物理攻撃も有効となる。
d・罪無き妖
悪戯心や縄張り意識はあっても殺意を持たず、傷つけない限りは無害です。
自分や同族が傷つけられると見境無く人を襲い、敵に回ることがある。
●注意事項
・目的二つを両方達成出来ないとゲームとして「成功」になりません。
・荼枳尼天詣に集まった人の中には種族を問わず身分のある者もいて、殺してしまうと後で惟親卿が始末に苦労します。
・首謀者を見つける前に儀式を阻止しようとしたり、潜入がバレると首謀者逃亡か首謀者不明になります。
●NPC
助っ人が入り用とか、絡んでみたいとかあればご指名ください。
・衞門大夫惟親
愛用する太刀を持ち、黒狐の面を付けた浅緋の狩衣姿で参加します。
特殊な力はありませんが武人としてかなり強いです。
・アレックス
和弓を携え、額に一本角を付けて参加します。銀鼠色の着物にとんびコート。明治の人っぽい出で立ちです。
弓の腕はそこそこだが兎に角体力はない。
●プレイングについて
リプレイは「行列シーン」と「戦闘シーン」の二本立てです。
行列シーンの結果によっては戦闘らしい戦闘が行われず終わることも、逆に人と妖とイレギュラーズの三つ巴戦となることもあります。
戦闘シーンではあるどう転ぶか分からないことを踏まえて程度柔軟に対応出来るようにした方がいいかもしれません。
プレイングを書く際には、以下の点も盛り込んでくださいね。
指定無き場合、お任せ希望の場合はGM判断で描きます。
・荼枳尼天詣の衣装
(仮面を付けるなど仮装が必須です。衣装を指定するか、指定なき場合は私の好みで衣装を誂えます)
・荼枳尼天詣の武器
(刀、槍、薙刀、短剣、矢、手裏剣など、金属製で刃を持つか尖って刺さるもの。お持ちのアイテムを指定するかアイテムがない人は種類だけ指定してください)
・心情
(恨みに思う相手はいますか? いっそ殺してしまいたいと願う相手はいますか? 呪おうとする人達に何を思いますか? こういう事が書かれてあるとリプレイに盛り込みます)
皆様の仮装や心情もたくさん描写したいのでEXです。
円満に終わらせようとすれば戦闘・捕縛だけではなく、説得や治療・武器回収などやることは色々あります。非戦系スキルお持ちの方も活躍出来るように設計してありますので、思いついたことをやってみてくださいね。
綿密な連携を要しないので相談は必須では無く、自分のやりたいことを各自プレイングに書いて下さって構いません。
それでは皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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