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シナリオ詳細

<巫蠱の劫>呪獣日照河童

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●新天地動乱
 豊穣郷カムイグラは静寂の青(旧絶望の青)を踏破したことで発見された新天地である。
 極めて長い間外界と隔てられていたものの、神使召喚に際して幻想国その他大陸側の人間が召喚されるという通称バグ召喚によってこちらの歴史や風土が彼らにはある程度伝わっていたようだ。
 こと今回に至って世界はつながり諸問題は解決したかに見えたが……しかしこれは新たな動乱の幕開けに過ぎなかった。

 海洋王国と豊穣郷が合同で行った夏祭りは表面上成功を収めたが、その裏で引き起こされた呪詛事件、そして未だ脅威となり続けている肉腫(ガイアキャンサー)事件がさらなる暗雲を告げていた。
 そんな事件をこえ、夏も終わろうとしている今。
 カムイグラ京中では禁忌の呪詛が流行しはじめていた。

「ひとくくりに『呪詛』って呼ばれるコレは、妖怪を用いたかなり攻撃的な呪術みたいだね」
 カムイグラ京中の茶屋にて、『黒猫の』ショウ(p3n000005)は今現在流行している呪いについて語った。
「妖怪を切り裂いて、その一部を媒体として使うんだ。
 そうすると、その妖怪の特徴を引き継いだ『忌』が対象者のもとへ現れて物理的に殺してしまうというものだね。
 コレのたちが悪いところは、迎撃に成功すると術者へその『忌』が戻っていき、結果術者が殺されてしまうって所だ。呪詛による死者が出ても、それが被害者か加害者か判別しづらくなるんだね。
 ましてやこれが流行なんてしてるから、どこの誰が自分を狙ってるか分からない事態に陥ってるってわけ。
 何が目的かは分からないけど、仮に京を混乱させるためだとしたら大成功って言えるのかもね」
 あえて皮肉げに語るが、しかしここは仕事の場。
 ショウはただ皮肉な世間話をしにきたわけではない。
「で……そうやって呪術に使われた妖怪は、どうなったと思う?」

●日照河童、丹波一族の悲劇
 呪詛の媒体となった妖怪は、呪詛に浸食され『呪獣』となる。
「元々妖怪にはいい奴もわるい奴もいたんだろうけど、そんなのお構いなしに呪詛につき動かされて狂乱してる。そこで、今回の依頼ってわけだ」
 ショウが紹介したのは。なんと。
「ど、どうも。河童の海老太郎っていいます」
 河童の子供であった。

 頭に例のお皿をのっけた、人間でいうと10歳程度の小柄な妖怪。河童である。
「オイラのご先祖はこのあたりに暮らしてたです。
 けど京ができて川がうつされて、みんなそっちに移り住んだです。
 それでも残ろうとした人達は『丹波一族』っていって、日照河童っていうわるい妖怪になって人間を今でも襲ってるって聞きます……」
 あなたにカムイグラの知識が少なからずあるなら。この日照河童も聞いたことがあるだろう。町中で時折現れては恨み言をのべながら人に殴りかかるというもので、しかし全身が干からび体力もまるでないことから時に危険視されていない。
 ちょっとした害獣程度の扱いを受けているというが……。
「丹波一族のみんなが、狂暴な妖怪になって暴れているんです。理由はきっと……」

●呪獣
 海老太郎の話にショウの情報を加えると、こうだ。
 丹波一族と呼ばれる日照河童たちは細々と暮らしていたが昨今役人達によって大量に捕獲されたという。
 捕獲した日照河童は主に民部省内で呪詛の媒体として使われ、あちこちで日照河童の腕が発見されたそうだ。
「腕だけ切り落とされた丹波一族は近隣の村に廃棄され、呪獣になった。
 今でも人間を恨みながら、村を襲おうとしているそうだ」
「オイラにとってはずっと昔に分かれた一族だけども、人間に利用された上に怪物になっちゃうなんてひどいです。
 せめてこれ以上わるさを重ねないように、丹波のおじちゃんたちを倒してあげてほしいんです……」
 河童の海老太郎はすんすんと涙をぬぐい、あなたに数枚の小判を差し出した。

GMコメント

■オーダー
・成功条件:呪獣化した日照河童たちを討伐する

 高天京からやや離れた農村にて、呪獣日照河童が大量に廃棄。凶暴化して人へ危害を加えているという。
 古き同族である河童海老太郎よりの依頼を受け、あなたは事件のあった『上坂村』へと訪れた。

●日照河童の討伐
 元々は『武装した人間より弱い』とすら言われる日照河童たちですが、呪詛の浸食が進行しきったことで強力な妖怪へと変貌してしまいました。
 村の住民は一部が殺され、残りは避難しています。
 日照河童たちは村の食料を食いあさり、それらを終えた段階で隣村へと侵攻するつもりのようです。

 皆さんは村へと攻撃をしかけ、日照河童たちを残らず撃滅しましょう。
 攻撃方法は『自由』です。
 空から急降下爆撃をしかけまくってもいいですし、こっそりと忍び込んでステルスキルから初めてもいいでしょう。
 一番派手でお勧めなのは馬車かなにかに乗って正面から突っ込んで次々現れる敵を蹴散らしてくスタイルです。

 日照河童は呪詛の浸食によって以下のような変化体が現れています

・日照河童『狂爪』
 肘から先が刀や鉄砲になった異形の河童たちです。
 一般的な歩兵と同じような動きをし、個体数も結構な数になります。
 固体戦闘力が低いため、勢いよくいけば大体勝てるといわれています。

・日照河童『恨鴉』
 『狂爪』形態に更に異形の翼をはやした河童たちです。
 個体数は『狂爪』に比べて少ないですが、飛行能力によるアドバンテージは無視できません。

・日照河童『飢狼』
 『狂爪』形態から四足歩行に移行したタイプです。
 機動力や反応に優れたスピードタイプです。
 建物の影などを利用したヒットアンドアウェイ戦法を仕掛けてくることがあるので、直接の対応策があるとグッドです。

・日照河童『巨暴』
 『狂爪』形態から巨大化を遂げた固体です。
 とても数は少ないですが、純粋にスペックが高いため1~2人でしっかり対応して戦う必要があるでしょう。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <巫蠱の劫>呪獣日照河童完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年09月12日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

江野 樹里(p3p000692)
ジュリエット
赤羽・大地(p3p004151)
彼岸と此岸の魔術師
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
ゼファー(p3p007625)
祝福の風
エリス(p3p007830)
呪い師
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
篠崎 升麻(p3p008630)
童心万華
不動 狂歌(p3p008820)
斬竜刀

リプレイ

●呪獣日照河童
 現在豊穣郷高天京で流行している『呪詛』に正しい名は、おそらくない。
 元々呪いというものには名前をつけないものだからだ。名前をつけると、つけたものを縛る。近しいものを縛る。
 異世界で百年邪神の呪いと向き合ってきた『呪い師』エリス(p3p007830)には、それが痛いほどわかった。
 同時に、呪法そのものは世界を越えても似通っていくのだろうな、とも。
「呪詛の媒体となった妖怪は、呪詛に浸食され『呪獣』となる……でしたか」
「日照河童も被害者かもしれないが、呪いに突き動かされて望まないことをしているなら救ってやらなきゃな」
 揺れる馬車の中。
 不動 狂歌(p3p008820)は流れる景色を横目にみながら、手首に布を巻き付けていった。
「救う……そうねぇ。これも、『救い』なのかしらねぇ」
 槍を抱いて背を壁にもたれる『never miss you』ゼファー(p3p007625)。
「身の上はどうあれ、もう人の世を歩けるものではないんでしょう。
 だったら、最後ぐらい華々しく終わらせてやるのが人情ってもんだわ」
 今回の依頼は豊穣郷の平民でも豪族たちでもなく、ある意味虐げれる立場にあった妖怪からのものであった。
「涙 堪エル。涙ニ 応エル。フリック 葬送ノ花 ナレバ」
 『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)は背中からはえた小さな青い花を風にゆらしながら、飛び去っていく青い鳥をちいさく振り返った。
 メモリーによぎるのは河童の泣き顔。種族を越えた願いが、古く袂を分かった同族へと届く。ローレットは往々にして、人々の願いや祈りの橋渡しをすることがあった。それが今だ。
「ちょっとした悪さこそしていたようだけど、彼等に罪はなかった筈だ。
 これが、現地の人間が勝手なことをしたせいでこんな風になってしまうとは……少々やるせない気持ちになるな」
 馬車を操作していた『双色クリムゾン』赤羽・大地(p3p004151)が、開いていた本をパタンと閉じる。
「だガ、これ以上苦しまねぇように看取ってやるのモ、慈悲ってモンだロ」

「毎度毎度思うんだが、本当人間って奴は命を弄びすぎなんだよな。
 ……元人間の私が言っても仕方ねぇか。しかし、やるせねぇなぁ」
 並んで進む馬車。身体のがっしりとしたパカダクラがひく御者席に腰掛けて、『昼は学生、夜の魔法少女(偽)』天之空・ミーナ(p3p005003)は遠くを見つめていた。
 目的の村を前にして、手綱をひいてパカダクラをとめる。
 作戦に適した人員配置へ切り替えるためだ。
 馬車から一旦下りた『特異運命座標』篠崎 升麻(p3p008630)は、遠くからずっと見えていた黒い煙に眼を細めた。
 呪獣と化した妖怪が、人里を襲撃し、人を殺し食料を奪い、さしたる目的もなくむさぼっては次の村へゆくらしい。
 それだけを聞けば危険な妖怪による凶行だが、その原因は宮中で流行した呪詛によるものだという。
 一般に流行したものと異なるのは、七扇の天香派役人たちが大量の日照河童を捕獲し呪詛に用いているというものである。
 そのため宮中は河童型の『忌』が頻出するという。
「どこもかしこも、クソな役人はどこまでもクソか!
 ……ああ、人間がやった事は人間が片付ける。任せろ。きっちりと"送って"きてやるからな!」
 怒りに唇をかみしめた『特異運命座標』篠崎 升麻(p3p008630)は、とても他人事とは思えない話にじわりと血をにじませた。
 ミーナの馬車に自分の軍馬を繋いで馬力をあげる『ジュリエット』江野 樹里(p3p000692)。
 そうしてから幌の上へとよじ登ると、杖型長銃をくるりと回した。
「さあ、参りましょう。仕掛ける準備は、出来ていますよ」

●理不尽の壁を抜け
 立ち上る黒煙の向こうに、地を打つ蹄の音が三頭分。小石を蹴って回る車輪の音が重なり、日照河童のひとりが何気なく振り返った――その、途端。
「さぁさぁ、遠からん者は音にも聞け。近くば寄って目にも見よ。失明するくらい目にも見よ」
 走る馬車の上、なびくシスター服の裾をそのままに、両足と片手をつけた樹里は右手一本で振り上げた杖を発光させた。
「受けるのです、受理の電撃!」
 幌から跳躍。バク転をかけて両足から豪快に着地すると、構えた杖銃から魔術弾を発射した。
 日照河童に着弾した魔術弾は受理の喜びとそれをツイートで自慢したい欲によって爆発。さらには完成品を見た喜びとそれを拡散した喜びによって吹き飛んでいく。
「この情報化社会。バズりは技術」
「なに言ってんだかわかんねーが、でかした! 砂駆。派手に乗り込んでやりな!」
 ミーナは愛馬(愛パカダクラ)に呼びかけると、樹里のこじ開けた敵陣のあなめがけて突っ込ませた。
 更に『希望の剣』を振り上げ『ディスペアー・ブルー』の魔術を連続発射。
 弧を描いて飛んでいく魔術球体が炸裂し、冷たい歌が日照河童たちを次々と同士討ちさせはじめる。
「アイサツはこんなもんでいいだろ」
「あちこちから呪いのにおいがします……」
「フリック達 恨ム 構ワナイ。呪ウ 構ワナイ」
 スライドしながら停車した馬車から、エリスが弓を構えながら身を乗り出した。
 自らの中に種のように残った邪悪な呪いを矢に変え、こちらへと迫る日照河童たちへと発射。彼らの頭上で爆発した矢が大量の氷針となって降り注いだ。
 無論日照河童たちとて一方的にやられてばかりにはならないだろう。腕を鉄砲にかえた日照河童たちが馬車めがけて次々に発砲。
 エリスは片手をフリークライへ、もう一方の手を日照河童たちに向けて呪術結界を形勢。
 フリークライは胸の水晶から浄化の力を解放すると、そこに手を当てたエリスの肉体へとエネルギーを猛烈な勢いで供給し始めた。
「デモ 丹波一族 想イ 泣イタ 子ドモ イタ。
 ダカラ ソノ悲シミダケハ 置イテ逝ケ」
 魔術と鉄砲による撃ち合いが始まる中、大きくカーブを描いて大地の馬車が走っていく。あまりの勢いにナナメになった馬車の上であろうことか片足立ちになったゼファーは手にした槍を身体の一部のように振り回してバランスをとると、砲撃に集中する日照河童たちの真ん中へと跳躍によって飛び込んでいく。
 ザクンと突き刺さる槍。
「さて、随分カンカンでいらっしゃる?
 ま、そうして見境失く襲い掛かってくれる方がこっちとしてもやりやすいんですけど!」
 一斉に日照河童たちの銃口がゼファーにむく……が、ゼファーは突き立てた槍を両手で掴んではね、河童たちの顔面を次々に蹴りつけながら一周した。
「さァ、あっちに逝きたいヤツからかかってこいヨ。俺が導いてやるヨ」
 離れた場所で馬車を止め、スライドする車体から飛び降りる大地。スーホに離れているように命令すると、持っていた本を開いて『神気閃光』の魔術を顕現させた。
 飛び上がった無数の花びらが回転しながら日照河童たちへと襲いかかっていく。
 その中に混ざる形で狂歌は突撃。『戦鬼暴風陣』を繰り出して日照河童たちを次々に斬り付けていった。
 そんな彼女を空中からの射撃で牽制してくる『恨鴉』型日照河童。
 そこへ割り込む升麻。乱暴なミシンがけのように地面をうった銃撃の点線を阻み、刀で銃弾を切り落とす。
「おら来い! その憤怒、僕にぶつけて見せろ!」
 返す刀で血色の斬撃を飛ばし、直撃をうけた恨鴉河童は翼を切られて転落。
 別の恨鴉河童が距離をとろうとするも、素早く反転した升麻が呪詛の釘を素早く投擲。次々に突き刺さっていった釘が、恨鴉河童たちの意識を升麻へと強制的に向けさせる。
 一斉に迫ってくる恨鴉河童たちの刀にかわった腕を見て、升麻はあえてにやりと笑った。
「それでいいんだよ。仲良くしようぜ、クズにいじられたモン同士よぉ」

●鉄槌だけが解決する
「――立ちはだかる全てを貫き喰い破れ」
 『狂爪』型日照河童たちが繰り出す刀を杖で受け――損なって、よろめきながらも銃口を一体に押し当てる。
「我が祝砲」
 受理の衝撃が狂爪河童を打ち抜き、吹き飛ぶひょうしにその後方に連なっていた河童たちがまとめてくの字に吹き飛んでいった。
「沢山動いたら疲れましたね。河童さんのお肉って、イケるんでしょうか」
「こ、怖いこと言わないでください!」
 エリスは砲撃の反動で仰向けに倒れた樹里を引っ張り起こすと、日照河童たちの間を駆け抜けるようにして現れた『飢狼』型日照河童に反応。
 喉元に食らいつこうとする飢狼河童を障壁で防御すると、ころしきれなかった物理的な衝撃によって樹里ともども押し倒された。
 しかし飢狼河童は追撃せず、素早く飛び退いて距離を取ろうとする。
 H&Aで一方的に攻撃するつもり――なのだろうが。
「逃がしません!」
 取り落としていた弓を素早く拾い、呪いの力を矢に変える。
 仰向けに寝そべったままでも、エリスは飢狼河童を性格に狙う自身があった。
 いや、狙うのではない。
 呪うのだ。
 矢から手を離した瞬間に、真っ黒な矢はあらゆる隙間をすり抜けるようにして海中の岩場を縫う魚のごとき軌道で飢狼河童を追尾。ハッとして振り返った飢狼河童の首から前頭葉にかけてのラインを、矢によって貫いた。
 直後、樹里とエリスは同時に片膝立ち姿勢で立ち上がって前後双方へ魔術砲撃と呪いの矢を乱射。
 取り囲もうとする日照河童たちを牽制――した直後に民家の屋根を駆けた升麻が二人の真横へと飛び降りてきた。
「待たせたな。こっからは僕に任せとけ」
 両腕を広げ、樹里たちを背後に庇う升麻。
 そんな彼めがけて無数の日照河童が刀にかえた腕で升麻の肉体を貫いていった。
 形容に迷うほど大量の刀が腹や胸から背中側へと抜けていき、喉元をも刀が抜けていく。
 しかし升麻はこれでも……いや、こうなったからこそ、獰猛に笑った。
「人の悪行ってのは、身を以て知っている。悪いな……直ぐ楽にしてやるからよ!」
 血を吹き出しながら相手の刀を素手で握り、顔面に掌底をたたき込む。
 まるで肉体が無数に増幅したかのように素早く動き、何体もの日照河童の顔面に掌底をたたき込み、そして離脱。
 背を向けた升麻の後ろで、日照河童たちは一斉に首から上を爆発させた。

 その一方。狂歌と大地は横転した馬車を盾にしながら顔を見合わせていた。
 頷きあい、そして同時に左右へと飛び退く。
 『巨暴』型日照河童が馬車のフレームを破壊し蹴り飛ばしながら二人の間を抜けていった。
 狂歌は回避行動からすぐさま復帰し『ブロッキングバッシュ』をたたき込む。
 直撃――はしたが、巨暴河童は突き刺さった剣を握り狂歌を強引に殴り飛ばしてしまった。
 エアジェットによって素早く走行したフリークライが飛んできた狂歌を両腕でキャッチ。そして両腕に備わった水晶を美しく輝かせ、彼女の治療を開始した。
 ギュン、と両目を強く光らせ巨暴河童へと構えるフリークライ。
 かなり大柄な彼よりも更に巨大な巨暴河童が、ずんずんと距離を詰め、しまいには走って突撃を仕掛けよう――とした瞬間に大地の『ダーティピンポイント』が炸裂した。
 突き刺さった花が咲き乱れ、巨暴河童を溺れるほどに包み込んでいく。
 力尽きた日照河童に近づき、復活しないことを確認すると大地はフリークライへと振り返った。
「霊体すらない。呪詛ってのは、全く……」
 頭をかいて、大地が下がるように言った。
 日照河童の死体がまるで自らを消し去るかのように燃え、素早く灰となって散っていく。
 風に乗って飛んでいく灰を見上げ、フリークライはまばたきでもするように眼の光を点滅させた。
「フリック タダ一人ノ為ノ 墓守 ナレド。ソレデモ 墓守 変ワリナシ……」

「……許せねぇよな。自分勝手に命を弄んで、捨てるなんてよ」
 吠える巨暴河童の突撃を、ミーナは剣で払うことによって受け流した。
 巨大な剣が火花をちらし、民家の壁を崩壊させていく。
 ミーナは肉体を急加速させると、命を刈り取る魔術によって巨暴河童に剣を突き立てていった。
 完全に吸い上げる……よりも早く、巨暴河童はミーナの身体をがしりと掴んで民家めがけてスロー。
 壁を壊して屋内へと転がり込んだミーナにさらなる追撃を浴びせようと乗り込んできた巨暴河童の喉元に、ゼファーの槍が突き刺さった。
「貴方達の為に泣いてくれる子河童だっているのに、ねぇ。
 真っ当な言葉の一つも交わせないのは残念なもんだわ?
 まぁ。その方が幸せなのかしらね」
 突きの衝撃でそのまま相手を転倒させると、ゼファーは槍をたぐるようにして相手の首元へとよじ登り、首の後ろに膝蹴りを打ち込むことでぼきりと何かをへし折った。
 崩れ落ちる巨暴河童。
 目をゆっくりと閉じる。その顔に手を当てて、ゼファーはため息をついた。
「獣に身を堕としてから他人の優しさに触れたって。いつも、遅すぎるんだもの」
 それは人間とはあまりにも異なる『死』であったが、ミーナの目には平等な死に見えた。
「何時の世も、何処の世界でも。支配者気取りの奴なんてやることは一緒だ。
 だったら私も『神』として、やることは同じ。
 いつかその報いを受けてもらおう。その命をもって」

 こうして、村を襲っていた呪獣日照河童たちは殲滅され、人々に少なからず日常が返された。
 だがすべてが終わったわけではない。
 こうしている間にも、呪詛を広めた『何者か』が次なる手を打とうとしているはずだ。
 イレギュラーズたちはそれぞれの想いを胸に、今日という日を通り過ぎていく。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――依頼達成。
 ――丹波一族は河童に伝わる方法でもって弔われました。

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