PandoraPartyProject

シナリオ詳細

提灯から広がる炎

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 カムイグラ某所の竹林。
 そこでは数えきれないほどの竹が力強く生育し、天に向かって高々と伸びている。
 竹という植物は非常に成長力が強く、時に他の植物の育成を阻害してしまう為、扱いは細心の注意が必要だ。
 ただ、管理さえできれば、非常に有益な植物である。
 例えば、芽吹いたばかりのタケノコは食用となるし、竹は様々な加工を施すことで日用品としても利用が可能だ。
 その竹林を管理しているのはヤオヨロズの竹造で、雇った鬼人種の職人や作業員に竹製の商品を作らせ、タケノコと共に販売させている。
「また、妖が出ただと……?」
 自室で経理の仕事をしていた竹造は知らせを受け、頭を抱えてしまう。
 つい先日、竹林は2体の妖に襲われたばかりだが、またしても現れた妖の一団が竹林を燃やそうとしているというのだ。

 竹造が鬼人種の案内で現場へと向かうと……。
「燃やせ、もっと燃やせ……!」 
 そこには、顔の付いた巨大な赤提灯が口をパクパクさせながら、竹林へと炎を吐いていた。
 提灯お化けと呼ばれる妖で知名度は高く、竹造も聞き覚えがあったようである。
 そして、その提灯お化けは数体の鬼火を引き連れ、さらに竹林を燃え広げようとしている。
 素早く刀を抜いて斬りかかろうとする竹造。だが、巨大化した提灯お化けに踏み潰され、あっさり返り討ちにあってしまった。
「ううっ……!」
「邪魔すんな、おっさん。そこで見てろ」
 まるで、前回の妖の行いをなぞるように竹林を燃やす妖。
「まさか、これは妖による敵討ちなのではないか……?」
 竹造はそんなことを考えてしまうのだった。


 その事件はすぐ、此岸ノ辺の近場にいた『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)、それに黒影 鬼灯(p3p007949)を始め、ローレットイレギュラーズ達へと伝えられる。
「前回は詳細が分からない部分もありましたが、複製肉腫による事件のようです」
 竹造は前回の妖の敵討ちも疑ったようだが、複製肉腫となった妖が狂暴化して事件を引き起こしているだけであり、敵討ちの線は薄そうである。
 アクアベルが状況を語るところによると、現場は前回と同じく竹造管理の竹林。
 前回の状況が同じということは、燃え広がる竹を食い止めねば、竹林に隣接する民家にも被害が及ぶ可能性が高いということだ。
「全焼を食い止められれば、成長力の高い竹はすぐに育ってくれます」
 前回の事件から1か月余り経つが、燃えた箇所にも竹は何事もなかったかのように高く育っているから何とも逞しい。
 ただ、根元の地下茎まで燃えてしまってはそれすらできなくなるので、その前に妖怪を何とかしてほしい。
「今回は敵の数が多いので、上手く抑えながら戦う必要がありそうです」
 討伐すべきは、妖1体と怨霊6体。
 それらを相手にしながら、すでに燃え広がる竹林で燃える前の竹を切り倒して全焼を食い止めたい。
『また美味しいタケノコを食べる為にも、全焼を防ぐのだわ!』
 鬼灯の手にする人形、章姫が早速意気込みを見せていた。

 妖討伐と竹林の鎮火が終われば、竹細工の商品を見せてもらえる。
 興味があれば、自分からこうした商品が欲しいと願い出れば、竹造の雇った手先の器用な鬼人種の職人が作ってくれることだろう。
「以上ですね。……では、皆様がいい形で事件を解決できることを、祈っています」
 アクアベルはこの場に残り、現地へと向かうイレギュラーズ達を見送るのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 こちらは、拙作「油と炎にご用心!」において黒影 鬼灯(p3p007949)さんがアクターアクションを起こしたことで発生したシナリオです。

●概要
 全ての妖の撃破

●敵
○提灯お化け
 全長1.5mほどあり、空中に浮かび上がる古い赤ちょうちんの妖です。
 前回の妖達もそうですが、この妖もまた複製肉腫となり、悪意を振りまいている状況です。
 炎を吐き出す他、相手を凝視して発火させたり、一時的に巨大化して周囲を潰してきたりくることが分かっています。

○鬼火×6
 直径30~40m程度ある怨霊の類です。
 提灯お化けの指示で周囲を浮かび、炎を発して竹林を燃やそうとしてくるようです。

●NPC
〇竹造……ヤオヨロズ男性、40代
 周辺の竹林の地主であり、竹を扱う商いを営んでおります。
 多数の商人、小作人を雇っている彼は自宅の近場にある竹林が再び襲撃されたことで、今回はローレットに事態の解決を依頼してきます。

●状況
 ヤオヨロズ所有の竹林が戦場です。
 竹林の全焼を防ぎつつ妖怪達の撃破を願います。
 多少の炎上でしたら竹はすぐに育つので大丈夫ですが、それでも炎上が激しすぎればその限りではありませんので、程々の被害に食い止める必要があります。

 事後は、竹細工を見ていってくださいね。何か希望の品があれば、鬼人種の職人が作ってくれます。
 さほど多くは作れませんが、希望がありましたらタケノコ料理も食べることができます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 提灯から広がる炎完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年09月11日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
如月=紅牙=咲耶(p3p006128)
夜砕き
黒影 鬼灯(p3p007949)
やさしき愛妻家
三國・誠司(p3p008563)
一般人
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
バスティス・ナイア(p3p008666)
猫神様の気まぐれ
瑞鬼(p3p008720)
幽世歩き
八重 慧(p3p008813)
歪角ノ夜叉

リプレイ


 豊穣のとある竹林へとやってきたローレットイレギュラーズ達。
「さて、今回の仕事は、竹林に現れた妖怪退治だ」
 古き任侠の男、『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398)は立ち並ぶ竹を見回す。 
 すでに、ここまで何か焦げている臭いが漂ってくる。
「竹造殿……また災難に見舞われたのか」
 前回から引き続きの参加、忍び装束を纏う謎多き男、『章姫と一緒』黒影 鬼灯(p3p007949)が竹林の管理者を不憫に感じ、部下の神社にお祓いでもと後程提案しようと考える。それはそれでトラウマものらしいのはさておき。
「それにしても酷いのだわ! 大切に育てた竹をまた燃やしちゃうなんて! それにタケノコ食べたいのだわ!」
「美味しかったな、タケノコ……」
 抱える人形、章姫の言葉に鬼灯もその味を思い出す。
「ぬぅ、美味しい筍が取れるこの竹林を燃やされるのは誠に惜しい」
「竹って言ってもそりゃあれか、直火でやられりゃ燃えるよね」
 こちらもシノビかつ前回からの参加、釣り目ポニーテールの『暗鬼夜行』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)が残念がると、マイペースな異世界のごく普通な少年、『砲使い』三國・誠司(p3p008563)が竹を触りつつ語る。まだここまでは炎は及んでいない。
「自然破壊よくない。放火もよくない」
 褐色肌の『新たな可能性』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)の呟きに皆頷き、竹が燃えている場所へと急行していく。
 そこにいたのは、巨大な赤提灯の妖と鬼火の怨霊達だった。
「燃やせ、もっと燃やせ……!」
 赤提灯……提灯お化けは鬼火を使役し、竹林に火を放っていた。
「巨大な提灯のモンスターね……。カムイグラでは妖というんだっけ」
 敵の姿を直に確認したマミーであり猫神のなれの果てである『猫神様の気まぐれ』バスティス・ナイア(p3p008666)が豊穣での名称を思い出して口にする。
「竹林で提灯相手に戦うなんぞ考えてもおらんかったな……」
 一方で、白い肌と赤い瞳が印象的な『幽世歩き』瑞鬼(p3p008720)がこの状況での戦いに少し戸惑いを見せる。
「竹の生命力は知っていますが、食料や資材にするでもなく、ただ憎悪で壊されるってのは、気分が良くないっすね」
 歪な巨角と暗い緑髪を垂れ下げた長身の『歪角ノ夜叉』八重 慧(p3p008813)は普段から気怠そうににしているが、露骨に嫌悪感を示す。
「気分悪いのはこっちだ。邪魔すんじゃねえよ」
 耳ざとく聞きつけた提灯お化け。
 複製肉腫となったそいつは狂暴性を増しており、口をパクパクしながら彼を睨みつける。
「カムイグラの妖は面白い外見の子が多いのだけれど、この子は肉腫なんだよね」
「炎も肉腫も放っちゃおけねぇですね。広がっちゃ困る」
 しかし、確認するように呟くバスティスに慧が合わせて毅然と告げれば、苛立つ敵は内なる炎を燃え上がらせて、メンバー達を威嚇してきた。
 この竹林が燃やされるには2度目だとバスティスは聞いており、管理者の竹造の心労を気遣う。
 合わせて慧が言うように肉腫も世界を侵す看過できぬ相手とあり、放置できない。
「再発がないようにしっかり討伐して再発を防がないとね」
 相手は提灯と鬼火。火付け役にはピッタリな奴らだと義弘は感じたが、場所が場所だ。
「実際に火事が起きてはたまらねぇな」
「ええ、どえらい火事になる前にどうにかしませんと」
 誠司はふと、竹は木と違って燃えるのが早いとばっちゃが言っていたことを思い出す。
 竹林には民家が隣接しており、成長力の早い竹を利用して働く人々がいる。
 そんな竹林の恵みによって生きる人々に厄介となり、飯を食っていたヤクザの世界に生きていた義弘はしっかりとケリをつける必要があると感じて。
「今日もヤクザなりに、気合い入れていこうか」
「ここの価値が判らぬ無礼な妖共には今回もお引き取りいただくとしよう」
 義弘、咲耶に合わせ、皆戦闘態勢をとる。
「ああ、鬱陶しい。てめえらから燃やしてやんよ」
 提灯お化けは竹林に火を放たせていた鬼火も動員して、イレギュラーズ達と対する。
「さて、舞台の幕を上げようか」
「さくっと終わらせて筍料理を食うとしよう」
 鬼灯、瑞鬼は仲間と共に、この事態の収拾へと当たり始めるのだった。


 向かい来る敵は、妖、提灯お化けとそいつが従える怨霊、鬼火6体。
 現状はこちらへと注意が向いているが、すでに竹林は燃え上がっており、敵の討伐と合わせてこちらも対処せねばならない。
「とりあえず、やるべきは……」
「延焼防止に竹を切り、その対処を行った場所を戦場に設定、だったな?」
 誠司の呟きにアーマデルが応える。
 前回、別の妖に竹林が襲われた際、イレギュラーズは周囲の竹を刈って延焼を防いだと義弘は聞いていて。
「その作戦は今回も使えそうだな」
「ああ、今回も俺に任せてもらおう」
 実際には、前回も当たっていた鬼灯が竹林の炎上阻止に動き、熱砂の精を使役して広範囲に砂嵐を発生させる。
 発生に当たっては仲間を巻き込まぬよう配慮し、鬼灯は竹をなぎ倒していく。
 また、鬼灯に随伴してきた彼の部下、如月もまた今回もその手伝いに当たって鉄球を振り回し、竹を刈り取る。
「人体じゃないが……急所はおんなじだろ。壊すのなら任せておけ、頭領」
「……外から見るとすごい迫力だな、アレ」
 パワフルな彼の姿に鬼灯は唖然としながらも、自らの手に闇の月を輝かせて竹の生命力を削いで倒していくのである。

 チームは竹が燃え広がらぬよう伐採に当たるメンバーと、敵の引き付け、攻撃に当たるメンバーへとしばし分かれることとなる。
「ほれ、お前の相手はわしじゃ、わし。こっちへ来い」
 提灯お化けの引き付けは瑞鬼が当たり、早速、常世と幽世の境界を操って敵を幽世へと送り出そうとする。
「やらせるかよ……!」
 それに抵抗しながらも、提灯お化けは炎を吹きかけてきた。
 炎に耐える瑞鬼の横から、義弘が仕掛ける。
 彼の獲物は鍛え上げた腕力。両腕を伸ばした義弘は自ら回転して暴風域を生み出し、メインに狙う提灯お化けだけでなく、周囲の竹をも薙ぎ倒して炎上を防ぐ。
「さあ、勝負っすよ!」
 鬼火の引き付けを行う慧は、仲間が纏めて攻撃しやすくする。
 その身から炎を発してくる鬼火どもだが、慧は炎を無効化できる。それもあり、鬼火は体当たりに切り替えて彼を攻め立てていく。
 反撃態勢をとる慧はそれをしっかりと受け止め、自らの角や呪いの血を鬼火へと浴びせていたようだ。
「支援は任せてくれて、皆は好きに暴れて大丈夫だよ」
 この場でそれぞれ自分の役割を全うしようとする仲間を、バスティスが支援する。
 特に、タンクとなる瑞鬼、慧をカバーできるよう両方から少し距離をおいた場所に位置取ったバスティスは体力の減少具合を見て、調和の力で回復に当たる。
 それだけでなく、周囲で戦う仲間の体力もバスティスは見ており、すぐ皆を回復できるようにも構えていた。
 アーマデル、誠司、咲耶は鬼火の排除に注力する。
「竹刈より敵を殴りに行った方が良さそうか」
 単体攻撃を中心にスキルを編成するアーマデルは直接敵を攻撃するべきと判断する。
 集団で襲ってくる相手は頭を叩くのはセオリーだが、相手は肉腫化した妖に怨霊である鬼火。ヒトと同じ傾向の思考を持たぬ相手であり、その動きは読みづらい。
 それもあり、アーマデルは蛇鞭剣で個別に鬼火へと闇の一撃を打ち込んでいく。
「こいつらに範囲ぶち込む時は警告くれ、可能な限りタイミング合わせて離脱する」
「分かった。早速いくから離脱頼むよ」
 注意を促す誠司は鬼火と纏めて御國式大筒【星堕】から鋼の驟雨を降らせ、竹も粉砕しつつ戦うことのできるフィールドの面積を稼ぎつつダメージを与える。
「炎上してる竹は竹稈の空気が破裂するから注意が必要だね」
 そうなれば、破片が飛び散って危険だと誠司は仲間達に注意も促す。
 ある程度戦える範囲が広がれば、咲耶としてもやりやすくなる。
「拙者の役目は早めに敵を討伐すること」
 紅牙忍術を受け継ぐ咲耶は変幻自在無形の型で狙った敵を攻め立てる。
 連続攻撃を浴びた鬼火は早くも、その身の炎の勢いが弱まって。
 すかさず、アーマデルが狂熱的なダンスで敵を翻弄し、その身体を断ち切る。
 体を寸断された鬼火は地面に落ちることなく消えてなくなったのだった。


 引火していた竹の周囲、延焼防止にと鬼灯らが当たり、被害が大きくならぬよう食い止める一方で、誠司は発火寸前の竹がないかと温度視覚で確認する。
 また、彼は慧の引き付けから外れた鬼火を釣り出そうとしていたが、敵は思ったように動かない。
 炎に耐性の無いアーマデルはかなり割りを食う形となって炎を浴びせられてしまい、再生が追い付かずにパンドラの力に縋って踏みとどまり、さらに鬼火の排除を進める。
「くそ、面倒な連中だな……!」
 口汚い提灯お化けもまた肉腫化の影響か、感情を高ぶらせて瑞鬼の抑えから逃れることが多々あった。
 大型化して周囲を踏みつぶすだけでなく、こちらも炎を周囲に吐き掛けてきていたが、炎に耐えられず義弘が一度その身を炎上させ、運命を覆してその炎を振り払っていた。
 だが、その交戦の間にも着実にイレギュラーズ達は敵の数を減らす。
「この程度の鬼火など幾つ群れようが同じ事」
 事も無げに咲耶が暗器として取り出した糸で鬼火の体を裂いて消し去ってしまう。
 そこに、炎上する竹林の対処を終えた鬼灯も駆けつけて。
「ほう、鬼火か。俺の名前にも『鬼火』が入っているんだ。奇遇だな」
「あら、どうして鬼灯君がやけどしないのか不思議かしら?」
「それは俺が紅蓮に守られた忍だからだよ」
 章姫を庇うように炎を受け止める彼もまた炎への備えを十分にしており、竹と同様に闇の月を照らし出して周囲の鬼火へと纏めて浴びせかけていく。
 抑えに当たる慧も攻撃してくる鬼火に反撃を続け、敵を弱らせる。上手く反撃の角で鬼火1体を貫き、トドメも刺していたようだ。
 その癒しに当たるバスティスは天使の歌声を響かせて多くの仲間の体力回復へと当たるが、彼女の恩恵を受けていた1人、義弘は提灯お化けの猛攻に耐えながらも再度暴風を巻き起こす。
 広く浴びせかけられる嵐に巻き込まれ、鬼火1体が消し飛んでしまっていた。
 こちらもバスティスの癒しを受ける1人、アーマデル。
 思った以上に鬼火の攻撃力が高いことを警戒し、体力に余裕をもって自らの傷を不滅の如く修復してから更なる攻撃に出て。
「今度こそ、やられる前にやる勢いでやるぞ」
 幸い、仲間達が支えてくれ、劣勢とまではいかないと判断したアーマデルは激しステップを踏んで鬼火を追い込む。
 残る1体を引き付けていた誠司は挑発を交えた狙撃で引き付けを維持しながらも、仲間と共に攻勢を強めて砲撃を浴びせかけて消し飛ばしてしまった。

 全ての鬼火が消え、提灯お化けはないはずの歯で歯噛みして。
「使えねえ怨霊どもめ……!」
 パクパクさせる口から怒りの炎を燃え上がらせる妖は、纏めてイレギュラーズを潰そうと再び炎を吐き掛けてくる。
(しかし、偶然とは思うのでござるが、実はこの竹林、妖にも何かと惹かれる場所なのでござろうか?)
 咲耶は持ち前の火炎耐性で凌ぎながらも、提灯お化けを含めた肉腫の狙いに気をかけながらも、一気に相手を追い込もうと武器と全身に殺意を具現化したぬばたまの業炎を纏わせて斬りかかっていく。
 同じく、火炎を凌いでいた義弘は己の体力と引き換えに目の前の妖に髑髏の呪いを刻み込まんとしていく。
 粘り強く交戦を仕掛けてくる義弘に加え、瑞鬼もこちらへと迫ってきて。
「この綺麗な青竹を燃やすとは勿体ない。そんなことはさせぬぞ、提灯よ」
 竹はある程度離れた位置まで刈り取っており、すぐに燃える状況にない。後は瑞鬼も敵を引き付けながらも死へと誘うべく両腕に掘られた刺青を淡く輝かせ、鬼の技を妖の身体へと刻み込む。
 鬼火が全て倒れたことで、そちらの対処に当たっていたメンバー達も続々と提灯お化け戦へと加勢してくる
「怪我は大丈夫っすか?」
 慧は仲間達に声を掛けながらも、この場は攻撃優先と判断して呪われた鬼角で敵を傷つけつつ毒を流し込む。
 元は物品であれど、妖となれば毒はその身を腐食させていく。
 体力が削がれていく敵へ、バスティスもまた攻撃に打って出て。
「回復だけだと思ったら、大間違いだよ」
 敵の数が減ったことで、仲間達にも余裕が生まれていたことも大きく、バスティスは激しく瞬く神聖の光によって、邪なる肉腫に侵された赤提灯を灼いていく。
「ぐ、あああああああっ!!」
 異質なる光に身を焦がされて苦しむ提灯お化け。
 そいつへとアーマデルも攻撃に出る。序盤の立ち回りもあって気力の減少も激しかったこともあり、蛇腹剣で直接切り裂きつつ、提灯お化けを追い込んでいく。
「この竹林を燃やそうとした罪は重いでござるよ、赤提灯!」
 ボロボロになってなおこちらを睨みつける提灯お化けへと接敵して。
「貴様は大人しく飲み屋の店先にでもぶら下がっているがよい!」
 逃れようと距離をとる敵へと咲耶は距離を詰め、妖刀「始末斬九郎『封』」で大きく切り裂く。
「くそ、がぁ……っ」
 咲耶に大きく体を切り裂かれた提灯お化けは悔しがりながらも、内なる炎を消して地面へと落ちていったのだった。


 妖を討伐すれば、イレギュラーズ達も手早く事後処理を進めて。
 倒れた木々を咲耶が駆けつけた職人達と片付けつつ、バスティスが肉腫による浸食の気配がないかをチェックしていく。
「竹の被害は少し悲しいっすね」
 慧は植物疎通で、残された竹の気持ちを汲む。
『とはいえ、私達にはただ頭上に伸びることしかできませんから』
 しかしながら、竹は思った以上に前向きに考えており、与えられた生を精一杯謳歌するのみと語って。
「さすが、竹を割ったような性格っすね……」
 慧はその返答に感嘆してしまうのだった。
 一方、瑞鬼は敢えて竹が燃えた部分を捜索し、燃えたタケノコを発見して。
「好き好んで竹林を燃やす奴なんぞおらんから、竹林焼きなんて普通はできぬからのう」
 竹林の関係者にとって災難に違いないが、これだけは感謝と掘り起こしていた。

 その後、メンバー達は燃えてまだ使える竹を集めて竹細工の工房へと運び、職人達に竹細工を造ってもらうことに。
「カムイグラでは竹はよく見かけるけれど、加工すると色々な物が出来るんだね」
 しなやかで頑丈な竹は長持ちし、素朴な良さがある竹細工をバスティスは気に入ったようで。
「そうだ、ねえ、職人さん、バスケットみたいな籠を一つ作ってくれないかな?」
 昔使っていた物に大分ガタが来てしまい、いい機会だからお願いしたいとバスティスが頼むと、早速職人の1人がお安い御用と制作を始める。
 傍では咲耶が安堵していた竹造を通し、暗器を入れる為の小物入れがほしいと主張したことで別の職人がその寸法を測り始めていた。
「竹細工、小さめの籠の欲しいんすけど」
 慧もまた希望の品を告げると、さらに別の職人が具体的な大きさなど要望を聞いて制作を始める。
(思ったよりすぐ元気になって何よりっすね)
 前向きなのは竹だけでなく、竹と共に生きる人々もだったようである。
 誠司はというと、自分でも作れそうな小道具を教えてほしいと要望し、職人とマンツーマンで制作を行う。
 バッグでも数日要するとのことで、妹分のお土産ならイヤリングや髪飾りにブローチといったアクセサリーなどはと職人に提案させ、誠司はそちらを作ることに。
「それにしても流石職人だけあって器用だなぁ」
 誠司は非常に細やかな作業を行う職人芸に思わず見とれてしまっていた。
 それを見て、鬼灯は章姫にぴったりの髪飾りや耐え切のバスケット……鞄を作ってほしいと要望する。
「章殿はいつも洋装なのだが、和装も似合うからな」
 人形の大きさでも問題ないと、職人は快く引き受けてくれていた。
「ほう、竹細工か……あー、食器とか作れるか?」
 なお、鬼灯に同行していた部下である如月がそこで要望を出したのだが、なんでも、母親が気に入っていた食器をうっかり壊してしまったらしい。
「え……おま、嘘やん……」
「あらまあ!」
 それに鬼灯がドン引きし、章姫が驚きの声を上げていた。
「……青い匂いが水瓜にちょっと似てる、気がするな」
 アーマデルは新鮮な竹の香りを感じながら作られるものを見つめ、さらに工房に飾られたサンプルに目を通す。
 ザル、籠、食器、茶道具……アーマデルはそれらを興味津々に見つめていた。
 なお、職人達によって制作される竹細工の完成には数日を要するとのことで、後程ローレットに届けるとのことだ。

 ところで、竹細工の他にも、竹造が雇った鬼人種達にタケノコ料理も作らせており、義弘や瑞鬼が先にそちらを食していた。
「ああ、たまらねぇな」
「かっかっか、労働のあとはやっぱりこれじゃな」
 タケノコをつまみに酒を口にし、義弘が喉を通る地酒の味を堪能する。瑞鬼も先程の竹林焼きを肴にして一杯口にしていたが、それを頂いた竹造が唸っていたようだ。
 また、竹細工工房からメンバーがこちらへとやってきて。
 誠司は振舞われるタケノコ料理をしっかりと味わい、堪能していた。
「毎度頂くのも申し訳ないでござるな……」
 咲耶は美味しいタケノコを頂くのが2度目とあり、また落ち着いた頃に個人的に買いに伺おうと考える。
「……しかし、この竹林がまた妖に襲われぬか少し心配でござるな」
 また何かあれば対応できるように領地から人員を送ろうとも、咲耶は合わせて手を打つことにしたのだった。

成否

成功

MVP

如月=紅牙=咲耶(p3p006128)
夜砕き

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは鬼火、提灯お化けと討伐したあなたへ。
 今回はご参加、ありがとうございました!

PAGETOPPAGEBOTTOM