シナリオ詳細
わんわんわんわんわんわんわんわん
オープニング
●雪の国だぞ冗談だろ?
その日、鉄帝のとある地方は、今までの最高気温を更新した。
●野犬(?)の群れ
「ワォーーーーーーーーーーーーーーーン」
「ワォーーーーーーーーーーーーーーーン」
「クゥン……」
鉄帝帝国のとある地方。
十数匹の野犬の群れ……もともとは捨て犬だったりする、そんな犬たちがいた。
地元の人に愛され、比較的ぬくぬく暮らしている犬たちである。
だが、彼らにも悩みがないわけではないのだ。
「ワォーーーーーーーーーーーーーーーン」
「ワォーーーーーーーーーーーーーーーン」
「クゥン……」
いままでは日陰で丸くなるだけでモフモフモフモフされていたのに、この気温である。
別に冷遇はされていなかったが……撫でられる頻度が明らかに減っていた。
「わー! わんちゃんだ!」
群れを呼び止める救いの声。
尻尾ブースターを押さえながら、ころんと転がってみる一匹。
だが近くには親御さんが居た。
「こら! 触るんじゃないのよ。こんなに暑いのに……!」
「ええー。残念。またね、ばいばい」
「……」
今日は……。
撫でられた回数、ゼロ。
ぱたりと、尻尾が止まった。
「ワォーーーーーーーーーーーーーーーン」
「ワォーーーーーーーーーーーーーーーン」
「クゥン……」
「ウウウウワオーーーーン」
●犬、襲来
「凶暴な野犬の群れが民間人を襲ってるらしいぜ!」
日陰から出ないまま情報屋キータは言った。暑いし。
「とにかく人に”飢えてる”らしくて……えーっと、進路を妨害したり、服を引っ張ったり、とにかくもう凶暴で手がつけられないらしい!」
「いやー、すまんな。俺はこの体でな……!」
依頼人は鉄騎種の男であった。右手に玉子を落とすと、気温でじゅっとやけて目玉焼きになる。目玉焼きは、スタッフが美味しくいただきました。
わくわくふれあいテーマパークを経営しているということだ。犬たちは引き取って、適宜もらい手を探したり、とにかく心配はないようである。
「だが、こんなだから取り押さえられなくてな! まあ、遊んでやれば疲れて捕まえられるだろうし。あとはなんとでもなる! 俺の代わりに撫でてやってくれ! はっはっは!」
- わんわんわんわんわんわんわんわん完了
- GM名布川
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2020年09月07日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●あたり一面の犬
「いぬ、犬、わんこ! すっげー! こんなに見るの、久しぶりかも」
犬たちは『理想のにーちゃん』清水 洸汰(p3p000845)に期待に満ちた目を向けている。
「こんなにキラキラした目ーされちゃ、無視なんかできないな。オレと遊ぼうぜ!」
雪崩れる犬の群れに飲まれる洸汰もまた元気いっぱいである。
「ンーー? ソレ、楽しイ? ナラ、リコも遊ブ!」
「うおお犬! うおおおお!」
『ウォーシャーク』リック・ウィッド(p3p007033)は大犬原へとこぎ出した。
「ともあれ、撫でるのが仕事なら全力だぜ! うお」
体長はわずか50センチ。犬に埋もれて、流されるリック。
ヒレを動かし、犬を泳ぐように撫でながら、波打つ毛皮をかいくぐって飛び出す。
「ウォウゥオゥオゥオ!?」
新鮮な感覚に、犬たちは大興奮だ。
「こーい!」
「凶暴な野犬ですか、なるほど……」
『花盾』橋場・ステラ(p3p008617)はぐっ、と拳を握りしめる。
敵が立ちはだかるならぶっ飛ばす。
犬がくるなら撫で尽くす。
「全力でお相手させて頂きます」
ステラは真正面から犬の群れを浴びる。
あそこにもヒトがいる!
気が付いた犬たちが直角に向きを変えて飛び込んでくる。
「犬! 犬!! 犬!!!!」
goodman(p3p008898)は悠々と構える。
「以前いた世界では初心者時代に狼型モンスターには煮え湯を飲まされたが、なあに今となっては笑い話よ」
goodmanは用意がいい。
正しく犬と遊ぶ備えを怠らない。
こんなこともあろうかと。
大量の犬用おもちゃが、懐から溢れるようにこぼれ落ちる。
「おっと、ただで遊ばせてやるほど俺は甘くないぜ」
すんでの所でおもちゃは引っ込められた。
「……ワン!」
「グルル……ワン!」
興奮した犬たちは、輪になってgoodmanを見上げる。
ここで折れてはいけない。
犬は、相手を見極める性質がある。
(格下と思われたら最後だ、だが俺はgoodman)
この中には、必ずボスがいる。
「さあ、どいつだ?」
犬の群れをかき分けて、goodmanの前に歩み出てくる一匹の犬。
「……」
おや、意外にもこの群れのボスは体が小さい。
(はしゃいでいないが? まあ、どうしてもというなら撫でても構わないが?)
そういう態度だ。
「ほう、goodmanに挑戦するのか?」
ここで下手に出るのはgoodmanではない。
「待て」
犬用おもちゃを前に、じりじりとじれるような時間が過ぎて行く。
「まだだ、まだ」
goodmanとしての豊富な知識と経験は、今。犬のテンションゲージを見極めるために使われていた。
そして、犬メーターが最高潮に達したとき。
goodmanはフリスビーを大きく投げた。
犬が美しく宙を舞う。すたりと飛び上がり、キャッチした。
これぞ……goodman。
世界の一つの理(ことわり)として、美少女はどうぶつに好かれる。
「元気があって大変宜しい!」
『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)は完璧なロングヘアーをなびかせ、犬の前に立っていた。
「吾もよしよしされるの好き好き大好き故、なでなでを求めてさまよう気持ちはよーくわかるのである」
「わんわんっ!」
「しかしながら、なでなでは報酬! 上手に吾と遊べた子に与えるのである!」
「クゥン」
「悲しい声を出してもダメだぞ!」
「!?!? わん、わんわんっ!」
めざとい犬が百合子に向かって吠え立てた。
「ふ。気が付いたか。見る目があるな。これなるほねっこはレオン殿に頂いたる特別な品……」
ほねっこである!
その材料は……オーガニックとだけ言っておこう。
違いの分かる犬はぶんぶんとはち切れんばかりに尻尾を振っていた。
大丈夫なのか?
いや、今日は牛の骨だから大丈夫だよ。
「ふふふふ、いつもは投げてもらう側であるが今回は特別に投げてやろう」
美少女は大きく振りかぶり、完璧なフォームでほねっこを投げた。
作画コストの高い背景が、百合子を彩る。
絵画にでもなりそうなほど、完璧な午後だった。
「ほーれとってこい!!!」
「わわわわわんわんわん!」
「上手に吾の元に持ってこれたわんわんにはわしゃーっと撫でてやろう!」
犬たちはちいさく、ちいさく遠ざかっていく。
……戻ってこない。
「これ全力疾走で逃げて居らぬか!?
もしかしてとってこい遊びではなくおやつと思われたか!?」
次をよこせと言う顔で着席の犬は、手ぶらであった。
「犬」
「? ?」
犬がふんふんと『特異運命座標』シャノ・アラ・シタシディ(p3p008554)の匂いを嗅いでいる。森の匂いがするようである。
『シタシディ』の族長の息子。掟により寡黙であり、無口。
犬がそわそわとしてシャノを見ている。
お遊びに誘って良いものか?
厳しいタイプの人間だろうか?
シャノはすっと目線を合わせ……。
「よーしゃしゃしゃ。かわいいなー、甘えたさんー。なでなでうれしいなー?」
半音高い声であった。
「わわわん!!!」
やはり犬たちの鼻に間違いはなかった!
シャノは動物とふれあうときにははしゃぐタイプだったのだ。
好機とばかりに、犬たちがどっと押し寄せる。甘んじて犬の群れを受ける。
「この方が犬、伝わる。恥、不要」
きりっとした表情を浮かべるシャノ。
人獣共存。
『夢為天鳴』ユースティア・ノート・フィアス(p3p007794)はこの楽園にうきうきと胸をときめかせていた。
「おぁぉ……」
犬たちの人間大好きオーラのなんとまぶしいことか。『遺跡調査員』キャナル・リルガール(p3p008601)は圧倒されていた。
「此処に居るのは、人に愛されて、人を愛する子達なのですね」
「わんっ」
「こんなことってある? こんなにたくさんの野犬がこう、群れ作ってるコトなんてまず無いっスよね?」
しっぽはターボのように回転している。
人間大好きオーラがすごい。
「いや、案外あるのかもしんないっスけど。にしたってこう、「俺たち以外は皆敵だァー」みてーな態度とりそうなモンじゃあないっスか。職業柄、遺跡に迷い込んで住み着いた野犬とか見たことあるスけど、やっぱ警戒心が強くて睨んで来たり吠えて来たりっスもん。おお……」
そうしている間にキャナルの足には子犬がまとわりついていた。
靴に身体をこすりつけ、ごろりと転がる。
警戒心0.
「癒やしです……」
「これってほんと……レアケースなのでは?????」
【夢幻の鎚】シシル・ガルムヒルド・オフェリアスはユースティアの師である。
危険はない依頼であるとは聞いていたがそれにしても全力のユースティアである。
『……やれやれ』
こぼれてきた犬がす、とシルルに横付けする。
『よし、わんこども。私が相手をしてやる。ーーついて来れるか?』
「「「わわわわわん!! わわん! わん!」」」
また犬が増えた。
●連打
「幾らでも遊んで良いのですよね」
ユースティアはほうとため息をついた。
「遊んで、ご飯を食べて、寝て、また遊んで。
はい。私も共に往きます。
心行くまで、存分に満喫しましょう」
「そいじゃあ早速! なでぐりタイムといきまっしょう!!!!!!!!!!!!」
待ってましたとばかりに犬が後ろ足で立ち上がる。
どっしりとした犬が、ステラをめがけて飛ぶように駆けてくる。
「わっ……っと」
ステラはしっかり受け止める。小型大型、なんでも来い。
嬉しそうにぱたぱたと尻尾を振る犬。
「そう。身体が大きいからなかなか遠慮して遊べなかったんですね」
「わんっ」
隙間ができると犬が埋める。
ステラの左手のわっかをくぐる犬。
(頑張れば両手で二頭は撫でてあげられるでしょうか……)
毛並みに沿って優しくなでるのであった。
「僕らは日頃の疲れを癒す。犬らは寂しさが紛れる。えぇwin-winっスわこれ……」
「暑くなるのは仕方ないし、それで撫でられる頻度が下がるのも仕方がないけど、さみしいものはさみしいもんな」
リックは期待に満ちた犬たちにダイブする。
「満足するまで撫でて撫でて撫でまくるぜー!」
「オオオオン!」
それはまるでライブか優勝の胴上げのようだ。
「ここかーお腹かーうりゃうりゃ」
シャノの的確な動物知識が、犬たちに必要な位置を撫でていく。
その評判を聞きつけて、散歩中のよその犬まで寄ってくる始末である。
「出来る事なら何頭か連れてかえ……あ、いえ、ナンデモナイデスヨ」
そっと目を逸らすユースティア。
●遊ぶ!!!
「ほうら、これが好きなんだろう」
goodmanに対して、犬はもうとびかかってくるようなことはない。
あるのは静かな信頼であった。
見事、空を円盤が飛んでいった。
「まだまだあるぞ、みんなで遊び倒そうじゃないか」
こてっと横になる小さな犬。
「どうした白いの、疲れたのか。だったらこうだ、撫で繰り回してやる!」
「わわわわわん」
子分が世話になっているな、というキリッとした表情でそれを見ているボス(小型)。
「おいおいボス。お前が遊ばないと子分たちに示しがつかないぞ、ほら、鈴の付いた棒が気になるか? 気にせず楽しもうじゃないか」
goodmanが棒を揺らす。
「いいか、ボス。「いい男」って言うのは部下の為なら外聞もなんでも投げ捨てられるやつのことを言うんだ」
「……バウ」
すっとボス犬が立ち上がる。ほんとうは遊びたかったのだ。すっごく。
「よし、わかったか。じゃあ遊ぼう! 今まで我慢してきた分、楽しまないと損だぜこんな日は!!」
「アオーーーーン!」
「いっくぞー!」
リックは棒を投げた。無敵の進軍を約束する不滅の指揮棒は今や犬のおもちゃであった。犬たちの興奮は最高潮である。
「よしよし! 次はこっちだ!」
ああ、リフレクター・オーブ!
犬はきらきら光る宝珠が大好きだ。
「よーしよしよしよし」
「わんわわわん」
「……ベルとかどうだ? うるさい?」
「キャンキャンキャン!」
鈴は小さなお嬢さんのお気に召したらしい。
「おっそうかそうか!」
「犬はネー、カラダの大小を問わず皆してクッソ元気スからねー」
キャナルは振りかぶって鈴を投げる。
「そぉーら鈴っスよー」
どどどどど……。
旅の始まりを告げる小さなベルは、犬を一斉につき動かしていた。
「ヨシもってこいっ!」
どうしても小さく遅れる小さな犬。リックはそっと反対方向に優しく鈴を投げてやった。
「! キャン!」
「はーいおっけーぐっぼーぃ♪」
「やったな!」
「ええい、持っていくな! 埋めるな! あとおやつではない! 他の子もこれ追いかけっこではない!」
(わかった! 遊ぼう!)
話が通じていない。
百合子は思いっきり頭を抱える。
「何故吾は動物疎通を持ってこなかったのか! こうなれば奥の手だ」
ドリームシアターが、美少女の影を描く。
美少女が二倍になると、無論、輝きも指数関数的増大を見せる。
「ええい、美少女の脚力を舐めるなよ! このいたずらっ子め!」
ほねっこを確保。
「まぁ、実をいえばほねっこはもぐもぐされてしまっても良い。また夜盗とか襲って作ればよい故……」
おっと不穏な製造工程が……。
「キャウ!(ワンモア)」
「ふふふ、実はとってこい遊びは吾はプロ級の腕前なのである」
(なにしろレオン殿がいない間は自分で投げて自分で取ってこいとかして遊ぶ故に!)
優雅な動作は見た目に反してゆっくりしていない。
具体的には反応値が121くらいな気がする。
美少女は、自ら投げたほねっこを華麗にキャッチした。
「吾はローレットの狗! 種族違えどその辺分かってもらいたい!」
いつしか、犬と百合子は互いに認め合うライバルとなっていた。
「分かったか? しかし、……なかなかやるな。努力はみとめよう。……そのほねっこはもっていけ」
MEGA-Pyon-TAがぴょんぴょん跳ねるのにつられて犬もジャンプする。
「かけっこ? ボール遊び? おやつにするか?
オレはどれでも大歓迎!」
ぜんぶだと犬が言っている。
「リコ、とりあえず今日はいつもの『魔法』は禁止!」
「エー!」
「代わりにー、オレがとっておきの魔法教えるから、そっちを使ってみ?」
「? コレ?」
言われるがまま、リコはボールを放り投げてみる。
どちらかといえばキャッチさせるためというよりは速い球、あらぬ方向にすっとんでいくボールだが、犬たちも元気よく走ってゆく。
「ちゃんとわんこがものを取って帰ってきたら、しっかり撫でてやるんだぞ!」
「コウ?」
慣れないのかぐしゃぐしゃとしてはいたが、犬は大変満足である。
洸汰もリコも、遊ぶのは大好きだ。次第に犬に慣れていく。
「よーしバッチコーイ!」
駆けだしていく洸汰に犬たちが追従する。
「ワッ」
じゃれついた犬が、リコの裾を噛んでしまった。
「! メッ!」
洸汰はすばやく犬を叱った。
「遊び相手をケガさせちゃあダメなんだぞ。そーゆー悪いことする子は撫でてやんねー!」
ぺたりと耳を伏せる犬。
詫びの徴なのだろうか。リコの前におやつをそっと置いた。
「ン……イイヨ! リコ、遊ブの好き!」
「じゃあ、もうこういうことしちゃだめだぞ!」
「頭? 顎の下? 背中? それともお腹かー?
でも耳の下が好きな子もどっかで見たことあるな……」
「わんっ!」
ぜんぶっ!
「分かりますね。力が強い子は、きちんと手加減しなくてはなりませんよ」
一方こちらも、ステラに怒られる犬であった。
あまりに楽しすぎて、別の犬の棒を横取りしてしまった上に力加減を間違って折ってしまった。
「一本一本、ちゃんといきわたるように投げますから。ね?」
ステラが調教、……というよりは説得をしているのは、犬たちの今後を考えてのことだ。
今が楽しければいいというものではない。遊びにだってルールはあるのだ。
「きちんと、言えばわかってくれますね」
「クゥン」
「では、次はフリスビーです」
「! わんっ!」
同じ過ちは二度と繰り返さない犬である。心なしか表情はりりしい。
●水分補給も忘れずに
信じられないほど犬に揉まれ、倒れても倒れても何度も立ち上がるユースティアは、たいへん満ち足りた顔をしている。
『おい』
シルルがあきれた声を出す。やりかねないとは思っていたが。
「はいっ、まだまだ遊べますよ」
『いや、そっちじゃなくて……』
「とはいえ、さすがに暑いですね。水を確保したいところですが。! それは、水鉄砲ですか」
「水、大事。遊びバテる、良。熱くバテる、危」
シャノは頷き空中にぴっぴと水を出した。
遊んでバテるのはいいけど熱さでバテるのは危ないよね、ということだ。
「暑いですし、命に関わりますからね。よろしければご一緒します」
「わんっ(ご一緒します)」
シャノはばっしゃばっしゃと激しめに水を撒きはじめる。
「やれこ~い。こっちゃこ~い」
苦手な、というよりはびびっている犬もいるようだ。そういう犬には、前足にそっとかけてやることにする。
遊び疲れた犬とは適度に日陰に戻って、つかの間の休憩だ。
「こっちこっち~えらいぞえらぞ~」
シャノはそっと地面を蹴り、空中に飛び上がって水を撒く。
「……虹」
一瞬だけ見える虹。
大きな犬と一緒に木漏れ日を見上げる。
●ゲストの犬
「レギュラー……? というのですね。良ければ此方へどうぞ」
かくしてユースティアの招待にあずかり、堂々と紛れ込む犬。
「おれっち達、グリムアザーズが参戦する前の事件でイレギュラーズが助けた犬なのか」
「わんっ」
「そっか、色々あったけど助かってよかったな」
リックはむにーと両方の頬を引っ張ってみる。
もちもち。
他の犬も同じようにほっぺを所望する。次々引っ張ってやるのだった。
「今、カムイグラっていう別の国でも似たような事件が起きてるけど、それもみんなで解決してるんだぜー! すごいだろ?」
「!」
「こ、こらああすいません! すいません!」
慌てた飼い主が駆けてきた。
次はカムイグラに遊びに行ってみようかとレギュラーは決心したのだった。
●なでなでゲージ100%
「そうだ。ブラッシング希望の子は居ますか?」
「キャンキャンッ!」
ユースティアの言葉にはしゃいで小さな犬がやってくる。おや、大きい子は順番を待っている!
遊び、(ほんのり)苦い経験もした犬たちは、ずいぶんと成長したようである。
誇らしげにgoodmanを見上げるボス。goodmanは頷く。
「えらい~えらいね~お水だよ~」
水桶を持ってきたシャノに犬たちが飛びつく。
「折角美犬揃いなのです。身嗜みもしっかりと決めませんと」
毛並みに沿って優しくとかす。
「よーしよしよし。しゃー! えらい! えらいぞ!」
リックもまたブラシを動かしていく。これできっと、撫でられやすくなるはずだ。お返しにと毛づくろい(?)されるリックであった。
「レオン殿……むにゃむにゃ……とってこーい、ふふふ……」
満足した犬は、美少女とともに安らかに眠っている。
「……ふぅー、ようやっと皆寝たっスか」
キャナルはのんびりと背伸びをし、草地に転がった。
「んー暑い陽気に犬も暑くて、いやぁホント汗だっくだくスよ
それに疲れた! すっげく疲れた!」
寝ている犬がそれにあわせて寝返りを打つ。手のひらを返して撫でてやる。
「けどイイ疲れっスよ。なんだかんだ楽しかったし充実したっス」
幸せそうに尻尾が揺れる。夢の中でもきっとたっぷり撫でられているのだろう。
「…………今度この近辺寄ることがあったらまた様子見に来てみるっスかね、うん」
「ワン!」
「おっまだいけるか?」
「ワン!」
とはいえうとうとしているが、離れようとしないレトリバー。
「んー、何だったらオレのとこに来るかー?」
「!」
「うちにはパカダクラもトビンガルーもぴざねこも子ロリババアも居るから、一匹増えたってなんでもないぞ。むしろ、家族が増えるって思うとワクワクする!」
「わわわわわんっ」
「こら、だめですよ。せっかく覚えたでしょう? いい子にできますよね?」
「ウォウ……ウォウ……クーン」
行かないで欲しいと、ステラに犬が訴えかけてくる。
(お話ししてみましょうか……)
ユースティアの手を離れ、仲間のもとに向かう一匹。
さみしくもありつつも、これから幸せがありますようにと祈る。
ボスとあいさつを交わした犬が戻ってきた。
「え? お別れをすませてきたんですか!?」
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
犬、犬、犬……。
犬は良いものですね……。
犬たちもまた大変満足しているようです。もうそりゃあお散歩中に顔を見かければ寄ってくるくらいになつかれたことでしょう。
犬は一年中イレギュラーズが大好き!!!
GMコメント
布川です!
人に飢えた犬たちをなんとかしてあげてください。
●目標
犬を撫で尽くす。
●犬
俺はやるぜ俺はやるぜ。
雑多な犬っころたち。大きいのからちいさいのまで。
十数匹いて、人に飢えている群れ。
構われたがりで撫でられるのが好き。クールなのもいるが尻尾はすごく揺れているのでみんな撫でられたいんだろう。
油断していると飛びついてくる。油断していなくても飛びついてくる。
捨て犬や野良犬であって名前はない。
大型犬は引っ張る力がすごく強い。
あんまりいやな思いもしてこなかったらしく、そこそこ人に慣れているようだ。
・進路を妨害する
・吠える
・インベントリをかき回す(アイテム持ってって戻ってくる)
・おやつをねだる
・邪魔
などの悪さをしたりするようです。
言えば聞くはず。とってこいもできる。
ぼうきれが大好き!
遊び尽くすと体力を使い果たしてすやすやと寝る。
●場所
鉄帝のとある地方。坂道の多い町。
大きな公園が近くにある。
●お天気
ピクニック日和。けれどちょっと暑いかもしれない。
犬たちも暑いが、テンションが上がると実質ゼロ計算になる。
あとでバテるかもしれない。
※その他……おまけ
「レギュラー」という首輪をしたデカい犬がちらっとお散歩しています。
(撫でられに満ち足りた立派ないぬだが???)とどや顔しているようです。とは撫でられはいくらあっても困るものではあるまい。やぶさかでなし。
首輪をしている割に紐がありません。隙を見て脱走したようです。飼い主の男がぺこぺこしながら紐を持っておいかけてきます。
すっっっっっごくまえのシナリオで助かった普通の犬です。言及しないと多分通りかかった犬で、……あれ?幻想の方のイヌでは?
※「<悪性ゲノム>ローレットの方から来ました」より。名前の由来はイレギュラーズから。
とくに言及がなければなにもありません。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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