PandoraPartyProject

シナリオ詳細

今日のキミは魔法少女☆彡

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●新型装備テスト
 練達の一角に『練達魔導兵装研究所』と呼ばれる場所がある。名称についている通り研究所のひとつだ。ここでは兵装──武防具の研究を進めていることは間違いない、のだが。
「一体何を作ってるんだろ?」
 炎堂 焔 (p3p004727)は歩を進めながらその疑問を口にする。明確な答えなど、ここにいる誰もが持ち合わせていない。
「新型装備のテストよね」
「なんというか、あまり良い予感はしませんけれど……」
 アルテミア・フィルティス (p3p001981)の言葉に雨宮 利香 (p3p001254)は小さく苦笑を浮かべる。「えっ」と声をあげたマギー・クレスト (p3p008373)に燕黒 姫喬 (p3p000406)は肩を竦めた。
「ま、もうここまで来たんだし。覚悟決める──というよりは、肩肘張らないで行くしかないさ」
 そう、もう彼女らが歩くこの地は練達である。依頼も受けてしまった以上、途中で放り出せばハイ・ルールに反するのだ。
 何より、何だかんだ言いながらも練達の発明が気になるから集まったわけで。
「もっと強くなれるかもしれないの!」
 焔宮 鳴 (p3p000246)の言葉に鬼桜 雪之丞 (p3p002312)とすずな (p3p005307)も頷く。ヘンテコ発明が多い練達だが、技術という面では確かなのだ。故に時としてイレギュラーズが対処しなければならないような案件もあるわけだが、利益になる──そして不在証明にも引っかからない──ような発明品であれば、イレギュラーズとしても喜ばしい。
「お姉さんは飲めれば何でも大丈夫よぉ」
 アーリア・スピリッツ (p3p004400)はふわふわよ髪の毛を揺らしながら微笑む。彼女の飲めれば、はもちろん酒である。フルフェイスマスクなどをつけろと言われたら流石に困ってしまいそうだ。
「ま、見てのお楽しみってやつね」
 リア・クォーツ (p3p004937)は目前まで迫った練達魔導兵装研究所の建物を見上げる。入口の職員に声をかければすぐさま案内され──。


 ──約30分後。10名はなんとも言えない面持ちで手元のアクセサリーを見下ろしていた。武防具の新型だと渡されたモノである。服も武器も見当たらないが、確かにこの中へ入っているそうなのだ。
 先程見せてはもらったが、その見た目はローレットへ所属する山田・雪風がテンション上げそうなふわふわひらひらの戦闘服。いわゆる『魔法少女コスチューム』である。
 十人十色に思うことはあるだろうが、依頼は依頼。是が非でもこのアクセサリーを身につけ魔法少女となり、練達のテストへ貢献しなければいけないのである。
 さあ戦え魔法少女たちよ──全ては依頼のために!!

GMコメント

●成功条件
 テストモンスターの撃破(映像撮影協力)
 オプション:魔法少女らしく戦う

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。依頼において不測の事態は起こりません。魔法少女として不測の事態は起こるかもしれません。

●エネミー
・マドゥーシ
 プリンを操るモンスター使いのテストデータです。本人も神秘の心得があります。
 悪役らしい振る舞いと口上をしてくれます。

・ぷるぷるプリン×???
 スライムのテストデータです。沢山います。安定した防御性能ですがそんなに強くありません。

●フィールド
 練達魔導兵装研究所のテストルーム。広いです。視界も良好。

●魔法少女
 1人ひとつアクセサリーを渡されています。形状は指輪、ネックレス、ブローチなど様々ですが、念じることで封じ込められた魔法少女力(魔導兵装)を得ることができます。
 この時入れ替わるようにまた来ていた服と武器は仕舞われますが、魔法少女になっても普段と同じ感覚で戦うことが可能です。
 さらに魔法少女らしく振舞うことで研究員が盛り上がります。オプションでマスコットも付けられますが、更なる力を授けてくれたりはしません。

簡単に言うと以下の通り。
・念じると魔法少女へ変身! 全年齢は守られるよ!
・見た目と技がそれっぽくなるだけでいつも通り戦えるよ!
・変身セリフやポーズ、技名称を決めてそれらしく振舞うと研究員がヒューーー!!! って喜ぶよ!

●ご挨拶
 今日のキミは魔法少女だぞっ☆彡
 察して頂けるかと思いますが、戦闘より皆様の魔法少女力を描写しますので、全力で魔法少女になってくださいね!
 それではプレイングをお待ちしております。

  • 今日のキミは魔法少女☆彡完了
  • GM名
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年09月05日 22時01分
  • 参加人数10/10人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

焔宮 鳴(p3p000246)
救世の炎
燕黒 姫喬(p3p000406)
猫鮫姫
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
鬼桜 雪之丞(p3p002312)
白秘夜叉
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
アベリア・クォーツ・バルツァーレク(p3p004937)
願いの先
すずな(p3p005307)
信ず刄
マギー・クレスト(p3p008373)
マジカルプリンス☆マギー

リプレイ



 私、アーリア・スピリッツ26歳! 新型装備テストで練達に来たの!
 テストなら安全にお金が手に入るし、帰りに希望ヶ浜で一杯――なんて思っていたのに、私が魔法少女に!?
 新番組『魔法少女へべれけ☆あーりあ』見てね!

(──いや、ヤケ酒しないとやってられないわよぉこれ)
 持ち込んだワンカップ酒をぐいっと呷る『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)26歳。あと1ヶ月もしない内に27歳。少女とは一体?
 ちなみに一同、すでにテストルームならぬシェルターへ放り込まれている。出入口はテスト終了までロックされる仕様。つまり──逃げ場は、ない。
 その傍らで唐突に『壊れる器』リア・クォーツ(p3p004937)は座った。その手にあるのはどこからともなく持ち込んだティーカップ。すっきりとしたハーブティが鼻腔をくすぐり、穏やかな気持ちで満たされながらリアは優雅にティーカップをソーサーへ戻して──。

「──焔ァ! 炎堂焔ァ!!!」

 唐突なぶちぎれ口調に『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)がぎくっと肩を強張らせる。ああ、振り向きたくない。殺意が刺さる。怖い。でも振り向かないと確実に殺される。ギギギ、と音の鳴りそうな動きで振り返った焔へリアは容赦なく詰め寄った。
「またか!? またあたしを騙したのか!!? もう絶対てめぇは信じねぇからな!!!!!」
「そうですよまたですか焔さん!!!! そのうち絶対お返ししますからね、振るえて待ってろですよ……!!!」
 リアの勢いに乗って声を上げたのは『三者三刃』すずな(p3p005307)だ。詳細は伏せるが、彼女は今回のみならず焔に巻き込まれているらしい。しかも前回は置いて行かれているらしい。
「ままま待ってよ、今回もボクは詳しい依頼の内容はこっちに来るまで知らなかったんだよ! 本当だよ!」
 本当らしい。ただ変な内容だったとしても2人なら巻き込んで良いかなって思ったことも否定しない。だからさ、と逆ににじり寄る焔にリアははっと身を引く。
「え、おい、やめろ」
「もう依頼は受けちゃってるし」
「やめろ!!」
「やめられないからさ」
「あたしに近寄るな!!」
「諦めて受け入れよ?」
「やめろ……やめて!!」
 怯えるリアに近づいていく焔。なんだか魔法少女じゃなくて一般人Aと悪役に見えてくる。容赦なく捕まったリアはシェルターの出入り口へ手を伸ばした。
「い、いやよ! 絶対こんな仕事やりたくない!! ガ、ガブリエル様!! 助けて……!!」

 ──悲しいかな。この場において、ヒロインを助けに来る存在はいなかった。

(受けた以上はやりますけど……やりますけど!)
 深いため息と共にすずなは眉間へ皺を寄せる。魔法など使ったこともないと言うのに、魔法少女などどうすれば良いと言うのか。
 そうして連れられた先では──先でも、仲間たちが荒ぶっていた。
「ほ、焔さん! なんで魔法少女なのよ!? もっと他にもあったでしょ!?」
「そればっかりはボクに言われても」
 『翼片の残滓』アルテミア・フィルティス(p3p001981)の勢いにのけぞる焔だが、アルテミアは止まらない。だってアーリアほどではなくとも成人を迎えた齢である。もうとっくに少女など卒業しているのだ。今更魔法少女とか痛すぎてつらい。
「絶対に私は使いませんよ!? 使いませ──ちょっ、は、放しなさい!!」
「はーいもう1名様ご案内ー」
 ずるずると焔に連行されるアルテミア。もう一度言おう。逃げ場は、ない。
 そんな阿鼻叫喚な現場の中、『猫鮫姫』燕黒 姫喬(p3p000406)は楽しそうに笑う。だって魔法少女だ。女の子の憧れである。まあ齢18を思えばちょいと恥ずかしいが──あそこらのお姉さま方ほどではなかろう。
「まぁこんなんでも資料に何なら、いくらでも撮影してきゃいいよ!」
「いいわけあるかーっ!?」
 思わず突っ込んだ『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)は頭を抱える。練達と言う時点である程度予感はしていた──というか良い予感は少なくともしていなかった──が、その斜め上を行かれた。その手元にあるのはいかにもなピンクのハートステッキである。言葉としては聞いたことがあるが、これが『ニチアサ』というやつだろう。

(あそこの鳴ちゃんとかならまだしもどうして私やアーリアちゃんまで……)
 そんなあそこの『救世の炎』焔宮 鳴(p3p000246)(13)も十分に恥ずかしがっているけれども。
「こ、これを装着するの……? これで魔法少女になっちゃうのっ……?」
 ふるふる震える彼女の手には小さな宝石が。どう装着するのかと首を傾げそうだが、肌に近づけるとピタッと吸着してくれるらしい。
「ボクの知識が確かなら、魔法少女には可愛いマスコットキャラが必要と聞いたのですが」
 『小さな決意』マギー・クレスト(p3p008373)はウサギのぬいぐるみを出しながら首を傾げる。他の人はあまり持ってきていなさそうだ。年頃の近い鳴に聞いてみれば「気にしてなかったの」と同じように首を傾げる。
 必要なのだろうか。任意なのだろうか。
「え、と……とりあえず抱えておきますね……?」
 混乱しながらもぬいぐるみを抱きかかえるマギー。次いで2人は『魔法少女には決め台詞とポーズが要る』という内容に顔を見合わせる。
「決めゼリフと……」
「ぽーず……??」
 できるだろうか。というかどうすれば良いのだろか。分からないがやってみるしかないのだ、だって仕事だもの。
(おかしいですね……新型兵装のお手伝いをしたら、新開発の美味しい団子を貰えると聞いてきたはずなのですが……)
 『玲瓏の壁』鬼桜 雪之丞(p3p002312)はどこか遠い目をしながら黙考する。先ほど一瞬見せられたヒラヒラフリフリ。何か裾が短かった気がする。長くしてくれっていったけど、そもそもあれを自身が着るのか。
 いいや、着なくてはならないのだ。女は度胸。
「受けた以上、しっかり仕事は果たしませんと」
「そうよぉ全てはお酒の為!!!」
 雪之丞の言葉に力強く同意したアーリアはカップ酒を飲み干す。みにーせらくんの応援があるのだ、やるしかあるまい!
「ああはいはいやればいいんですよねわかりましたいいですよやってやりますよ!!!!」
 利香がハートステッキをかざすと光る。同時にシェルター内が小さく揺らぎ、町中のような情景がイレギュラーズを取り巻いた。逃げ惑う人々、そして敵となるスライム有象無象たちが現れる。これが例のテストデータらしい。その間に利香を取り巻いていた光が強くきらめき、敵と戦うための兵装を纏わせる。
「マジカルチェーンジ☆ミ キュートでミラクルな魔法少女リカちゃんです♪」

 あ、死にたい。利香は直感した。

(いやいやいやこれどう考えても深夜アニメ枠じゃないの!?)
 ピンクのフリフリが直視できない。正体淫魔な女の子が装備する代物ではない。しかも──このまま、戦うのである。あの魔物たちと。魔法少女らしくファンシーな光を纏って!
 戦慄する利香だが、勇気ある一番乗りに仲間たちが続く。

「ピュアラブ リンカーネーション!!」
 アルテミアの言葉にファンシーなブレスレットが反応し、光が広がってアルテミアの服を変えていく。胸元に宝石を装着した焔もまた魔法少女となり、ぴしりとポーズを決めて見せて。
「愛聖天姫ピュアラブ☆テミア、降臨です☆ミ 私の愛で、あなたのハートを焼き上げます♪」
「魔法少女フラム☆鳴、蔓延る悪を焼いちゃうの!!」

 雪之丞もまた飾り紐を揺らめかせ、和洋折衷なコスチュームを身にまとう。ほらやっぱり裾短いじゃないですか! なんてツッコミは後回しで。
「散らしてみせましょう悪の華! 咲かせてみせましょう正義の大輪!
 まじかる☆サムライ!スノー推参☆彡」
 終わっていいですか。ダメですか。ハイ。
 研究所の関係者にアドバイスをもらったので、そのままやってみたのだが──なんかこう、違う気がする。だからと言ってやり直しを要求はしないけれど!
(アクセサリー……飾り紐まであるんですね)
 感心していたマギーはハートステッキを目にしてそっと伏せる。うん。皆似合うものだよね。うん。そんなマギーはクラウン型のアクセサリーを頭に乗せて、光に導かれるままくるりと回る。手で銃の形を作って撃つポーズと共に!
「マジカルプリンス☆マギー、あなたのハートを撃ち抜きます♪」
 口上に周囲の一般人(データ)が湧く。やんやと囃されるマギーは「あれ」と小さく顔を引きつらせ、しかし首を振って目の前の敵と対峙する。
 これは正気に戻ったら負けである。敵よりも迫りくる正気の方が強敵だ。

 こちらは先ほど仲良く(?)喧嘩していた3人組。焔は炎に包まれその身へ魔法少女服を纏わせる。りん、とチョーカーについた鈴が小さく鳴って。
「魔法少女ラブリー☆ホムラ! 愛の炎でお仕置きだよっ♪」
 実はノリノリな焔、指に炎を灯しハートマークを描くファンサ付き。すずなも懐刀を握りしめて変身する。なるべく地味なものをと願ったが、魔法少女の変身アイテムに地味なものがあるわけもなかった。
「まじかる剣豪、すずなちゃんです☆ミ 悪の心は見逃さない、正義の天誅、決めちゃいます!」
 正気を捨てろ。狙うはただひとつ、悪役の首のみである!
 その最中、エレキギターの音が響く。アンプに繋がらないそれは、しかし魔法の力が音を増幅して響かせて。ここまできたらやってやろうじゃないのと覚悟を決め、リアはピックでギターをかき鳴らす。
「旋律少女リア☆ロック! フリフリドレスでキュートにポップにデスロック☆」

「プリンセスローズ! ハァートビィートッ!!」
 数分のなかで次々と魔法少女が現れる中、説明書を読みふけっていた姫喬があーだこーだとしながらようやく変身を遂げる。眼窩を光らせたされこうべが手の内で砕け、煌めいた破片は姫喬の胸元で小さなスカルのワンポイントに。残った破片は周囲を取り巻き、服を魔法少女の其れへ変えて武器へと変化を遂げる。まじかる☆長ドスを構えて──。
「──往生せいやぁ!!!」
 威勢の良い声が響く。その視線の先にいたのはうようよと蠢くスライムたちと。
「ハーッハッハッハァ!!! 魔法少女たちよ、今日こそ決着を着けようではないか!」
 いかにもな台詞を吐く魔導士──じゃなかった、マドゥーシ。次の瞬間、しゅぽんと小気味良い音が響く。
「出たわねマドゥーサ、こちらこそ決着つけたい気分よ」
 きゃるん☆と箒を振り、駆け付けたアーリア、いや。
「この私──弾けるお酒の香り! へべれけ☆あーりあが……いい夢見せてあげるわよぉ?」
 とろんとした口調は既に酔っている証。魔法少女の中でもちょっと色っぽいセクシー枠なおねえさんである。
「ふん。まずはお前から悪に堕としてやろう!」
 杖を掲げるマドゥーシに魔法少女たちも動き始める。リア☆ロックはスライムたちへ走り出した。え、エレキ? アンプ?
「叩いて殴ってボコボコにしたら、いい音鳴るよねっ!」
 エレキを握り、振りかぶる旋律少女──いや、戦慄少女リア☆ロック。その目はとっくに死んでいる。
(……いっそ自刃したい……!)
 まじかる剣豪すずなちゃんは予想以上のフリヒラに苦しみながらファンシーな飾りのついた刀を抜く。不思議と装飾の多さが戦闘に影響することは無い。
「天誅、ですよっ!」
 きらりと光の刃がスライムを襲う。いや、想定以上に普通に戦えるのだ。見た目がちょっt……少s……かなりアレなだけで。まじかる剣豪すずなちゃんに続き、ラブリー☆ホムラはぴっと指先をスライムへ。その先に力を込める。
「燃え上がれ、愛の炎! ラブリーバーニング!」
 飛来する火炎弾──ではなく、ハートマークの炎。次いでマギーの銃──こちらもかなりファンシーになった──からお星さまが飛び出していく。
「トゥインクル☆シュート!」
 ぶよんぶよんと跳ねるスライムを狙い撃ちすれば、敵はその場で力を失ってホログラムのように消えていく。
「皆のことは魔法少女フラム☆鳴が護っちゃうの!」
 フラム☆鳴のヒールがへべれけ☆あーりあを覆う。しかし近づくスライムには直接の鉄槌だって辞さない。
「マジカル☆じゃんけんなの!」
 何故じゃんけんかって? それは知らないけど研究所の人に従うまでなのだ。
「じゃん! けん!!」
 しねなの!!! と可愛らしい声と共に容赦ない尻尾ビンタが飛ぶ。魔法少女たるもの、神秘だけに頼っていては駄目なのだ。
「私達の胸には、未来を信じる心がある! それが魔法少女の、私たちの願いよ!!」
 まじかる☆長ドスを振るう──そういえば名乗っていない──謎の魔法少女☆スカル(仮称)こと姫喬は次々とスライムたちを倒していく。その傍ら、まじかる☆サムライ!スノーはひらりとスカートをひらめかせ花の嵐を吹かせた。フラワーシャワーと絶妙なスカートの角度が大事な場所を隠す。それはどうあがいても見ることのできない魔法少女の聖域だ。
「リカちゃんの正義の一撃♪ リーガルぶれーいど♪」
 萌え萌えボイスでステッキの変化したマジカルセイバーを振るう魔法少女リカちゃん。そっちもやりなさいよという視線を受けつつ、愛聖天姫ピュアラブ☆テミアは握った剣に炎──のオーラを纏わせる。
 しかし。
「きゃあっ!?」
 弾かれる愛聖天姫ピュアラブ☆テミア。その前ではマドゥーシが不遜な笑みを浮かべている。
「そ、そんな、私の愛じゃ届かないの……???」
 無力感。愛聖天姫ピュアラブ☆テミアの頬を涙が伝う。抑えていたはずのへべれけ☆あーりあはと見渡せば、ハイライトのなくなった瞳が見えて。
「魔法少女、26歳、キツい……わかってるわよぉ……帰ってヤケ酒したい……」
 我儘ねこちゃんの封印も効かない。酔っぱらい26歳、もう魔法少女の辞め時なのかも──。
「へべれけ☆あーりあさん、負けないで!」
 マジカルプリンス☆マギーが声を上げる。次いでラブリー☆ホムラも戻ってきて! と声をかけた。
「ダメだよ! お願い、戻って来てっ!」
「はっ……皆の声が、聞こえる……」
 徐々にハイライトを取り戻すへべれけ☆あーりあ。そうだ。この仕事(魔法少女)を終えたら希望ヶ浜で酒を飲むんだ!
 周囲には人だかりができ、魔法少女たちを応援する。1人きりとなったマドゥーサは劣勢だ。ここで畳みかける──皆の力をひとつにすれば、いける!
「鳴、不思議な気持ちなの」
 力を合わせながら魔法少女フラム☆鳴が呟く。こんなに仲間がいる事。勝利を信じ、応援してくれる民がいること。こんな気持ち(ヤケクソ)、初めてだ。
「もう、何も怖くないの!」
「そうね……私は、私たちは、1人なんかじゃないっ!」
 愛聖天姫ピュアラブ☆テミアは涙を拭って立ち上がった。仲間がいるからこの場だって乗り越えられると愛の力を溜め始める。
 そうだ、ここに集った10人の魔法少女たちなら!
「合わせ技、いきますよっ!」
「うん! 最後は皆の想いを1つにっ!」
「この世に栄える悪はなし! 成敗です!」
「マジカル☆ドロップキーーーック!!」

 何となくの合わせ技にキックが入るのも、それにより爆発四散する敵もよく分からないだろう。けれどもそれが混沌であり練達である。よく分からないけれどそうなったのだ。
 かくして──空まで打ちあがったもくもくファンシーな煙をバックに、魔法少女たちはポーズを決めたのであった。




『テスト終了。テスト終了。安全確認後、シェルターのロックが解除されます。暫くお待ちください──』

 何処からそんなアナウンスが流れ、倒れたモンスターたちが消える。そこに残ったのは──つやっつやに満足した顔の1人と、げっそり疲れ果てた9人。
「やっと終わったのっ……?」
 戻ってきた現実感にどこか虚ろ目な鳴が視線を巡らせる。その先に燃え尽きて真っ白な仲間を見るとぴゃっと尻尾を跳ねさせた。
「あ、アルテミアさんっ? アルテミアさんが真っ白なのー!?」
 その声に一同が彼女へ視線を向け、さもありなんと言わんばかりの色を浮かべる。ちなみに当人は意識がどこかへ飛んでいるようで全く気付いていない。傍らにいたリアも同様である。心に重傷を負ってしまった2名はそっとしておこう……と一同は視線を逸らしたのだった。
(いやあ、本当に……死にたい)
 げっそり顔で利香は早くシェルターが開かないかと待ち構える。ああそういや今の戦い、録画されているんだったっけ。さっきのピンクでフリフリ衣装の姿が撮られていると思うとやっぱり死にたい。その記録、消去させてもらうわけにはいかないだろうか。いかないか。
「皆さん、この後お団子を食べに行きませんか?」
「あ、いいですね! こうなったら甘味のやけ食いして忘れましょう!」
 雪之丞の言葉にマギーが元気よく挙手する。終わり良ければ全て良しではないが、途中が良くないのならせめて終わりは良くしたい。
「じゃああたしも!」
 姫喬がにかっと元気良く笑って手を上げる。唯一この戦闘後において元気いっぱいすっきり笑顔な人物だ。
「甘味処でキツめのお酒飲んで良いかしら……」
「アーリアさん、甘味処はお酒出ないと思うの……」
 ハハ、と乾いた笑みを浮かべるアーリアに鳴が小首を傾げる。そういえばそれもそうか。じゃあ持ち込むしかないか。

 その後、練達にある甘味処では大量の団子が注文され、死んだ目でやけ食いするイレギュラーズたちの姿が見られた。マギーは団子の合間に仕事ノートへ『練達、ダメ、絶対っ」と書き残し、すずなが隣へ座った焔へ抗議のようにぺしぺしと叩く姿もあったそうな。
 そんなイレギュラーズたちの思いはひとつ。

 ──依頼内容はまず自分で目を通そう。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

アルテミア・フィルティス(p3p001981)[重傷]
銀青の戦乙女
アベリア・クォーツ・バルツァーレク(p3p004937)[重傷]
願いの先

あとがき

 相談があまりにも宇宙顔で面白かったです。プレイングも阿鼻叫喚ですね。ハイ。
 心の傷は称号として永遠に残る事でしょう。

 それではまたのご縁をお待ちしております。ご発注ありがとうございました。

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