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シナリオ詳細

花を一輪、くださいな

完了

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オープニング

ラリーシナリオ「花を一輪、くださいな」(心音マリNM)挿絵/あやひIL_赤のアネモネ

●灰色の花園
 空は分厚い雲に覆われて薄暗く、地面は灰でも降り積もったみたいにネズミ色で風に合わせて砂が舞う。
 ただ白い柵が立てられていて、歩ける場所とそうでないところを区別している。
 柵には看板がいくらか間をおいて取り付けられていた。内容は全て同じ、ただ一言『花畑』と。
 よく見れば柵の向こうの灰色の地面は歩いているところよりは柔らかそうで、人の手が入っているように見える。
 しかしそこに植えられているであろう存在がどこにもない。雑草一本ですら、見当たらないのだ。
 否、みな、枯れてしまったのだ。

 この場所はかつて世界中の花を集めた彩あふれる場所だった。花々は綺麗に咲き誇り、その色が世界を染め上げていった。
 しかしいつからだろう。空を雲が覆ってから、灰のような風が砂が舞い始めてから、徐々に徐々に花々は枯れ始め、やがては全て枯れ果ててしまった。
 世界を染めていた花々が枯れてしまったら、世界から色が消えてしまった。残ったのは白と灰の世界で、それすらもきっと時間の問題。
 だから……。

●花を携えて
「あなたにとって思い入れのある、もしくは単純に好きな花ってある?」
 『ホライゾンシーカー』ポルックス・ジェミニは首をかしげながらイレギュラーズにそう問うた。
 ある、と頷いた彼らにポルックスは微笑んで続ける。
「よかった。今回はその花を持って行って欲しい場所があるのよ」
 その場所はかつては花の色で全てが彩られていた世界。その中心にある花園。
 しかし今は花は全て枯れ果て、彩を失った世界は緩やかに滅びの危機を迎えている。
 だから世界を救うために花を植えてきてほしいとポルックスは言った。
「ただ植えるだけだときっと枯れちゃうわ。だから、想いで花を守ってほしいの」
 イレギュラーズの好きだという気持ちが、その花にかけた想いが、植えた花をどんな過酷な環境でも育ててくれる、守ってくれるのだという。
 だからできるだけ枯らしたくない大切な、大好きな花がいい。
 どうかお願いねと、ポルックスはイレギュラーズを送りだす。

 そうして着いた灰色の花畑。手にはいつの間にやら思い描いていた花が一輪。
 さて、どこに植えようか。

NMコメント

 心音マリでございます。のんびりふわっと、お花を植えるシナリオなどいかがでしょうか。

・目的
 花を植えること。
 できるだけ大好きであったり思い入れのある花が望ましいです。

・場所
 灰色の花畑。
 白い柵で囲われた内側に植えることができます。
 大変広い土地で好きなところに植えることができます。

・住人
 花畑の管理を生業にしていた人が数名まだ残っています。
 声をかければ会話に応じてくれますし、花のことを話せば植えるのにいい場所を教えてくれるでしょう。

・花について
 この世界に到着した段階ですでに植えたい花は手元にある状態です。
 現実に存在する花でもよいですし、存在しない花でも大丈夫です。
 存在しない花の場合は名前や見た目などの他に香りや花言葉などなど詳しく書いていただければいただけるほど描写しやすいと思います。

・プレイングについて
 一段目に植えたい花の名前(色の指定もあるようでしたら色の名前も)を。
 二段目に現実には存在しない花の場合のみある程度の説明(三段目以降のプレイングの内容でわかるようでしたら不要です)を。
 三段目以降にその花に対する想いや語りたいことなど、お好きにお書きください。
 独り言でもよし、誰かに聞いて欲しければ花畑の住人が聞き役を務めます。
 以下はプレイングの一例です。

 コスモス(黄色)
 桜も好きだけど、どうしても秋に揺れるコスモスが忘れられない。
 何でって言われると難しいけど黄色……というよりオレンジ色っぽいこの色が私は何より好きだったんだと思う。
 普通は白やピンク、赤だよ。なんて言われたこともあるけど私にとってはコスモスはこの色。
 花言葉を調べてみたら黄色のコスモスは『野生的な美しさ』『自然美』とか色々いうみたい。
 きっとそんな自然な美しさに惹かれてこの花が好きなんだなって納得したよ。

・補足
 このシナリオは1章完結シナリオです。
 8月末での完結を予定しております。
 それまでは適時執筆させていただく予定です。

 それでは、皆様の大切な一輪をお預かりできるのを楽しみにしております。

  • 花を一輪、くださいな完了
  • NM名心音マリ
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年08月30日 20時55分
  • 章数1章
  • 総採用数5人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣

 灰色の大地に彩り添える。
 植えるのにふさわしい花とは何か、口にする前にその花は『白獅子剛剣』リゲル=アークライト(p3p000442)の手にあった。
 向日葵である。
 暑い夏の日差しを受け、太陽を追いながら花を咲かせる向日葵。それはエネルギーの象徴のようであり、大きく高く咲くその姿に力強さや元気を見る人々に与えてくれる。
「……そうだな」
 自らの答えである向日葵に彼は優しく笑って植えてやる。

 命とはいつか必ず終わりが来るものである。
 長い短いを除けば必ずやってくるもの。
「だとしても……っと」
 ふいに吹いた風に灰色の砂が舞い上がり、植えたばかりの向日葵を揺らして汚す。
 青藍色のマントがはためいて、黄色の姫君を守り汚した灰を優しい手が払う。
 少しでも長く咲けるように、この世界に留まれるように。
 世界の美しさを花が感じ、自身の美しさで人々が笑顔になれるように。
 リゲルは願ってやまない。

 彼は騎士だ。だから混沌へと戻ればまた戦場を駆け戦う日々を送ることになる。
「俺も頑張るから、君も頑張るんだぞ」
 別れの際、向日葵に告げた言葉。姿を焼きつけようとリゲルが見ていたようにまた、向日葵もリゲルを見るように咲いていた。
 私はあなただけを見つめる、とは向日葵の花言葉。
 そう、例えどの世界に居ようともリゲルの植えた向日葵は彼を見るだろう。
 そして彼という太陽が輝き続ける限り向日葵もまた咲き続けるのだろう。

成否

成功


第1章 第2節

グリーフ・ロス(p3p008615)
紅矢の守護者

 灰色の花園へとやってきた『自分にはない色』グリーフ・ロス(p3p008615)の手には一輪の花が握られていた。
 赤い赤い花、アネモネだ。その花言葉を知っているだろうか?
 はかない恋、恋の苦しみ、薄れゆく希望、見放された……どう聞いてもいい花言葉とは言えないものばかりなのである。
「まるで、目覚めた瞬間のワタシのよう」
 グリーフの口から零れ落ちた言葉を聞くのは植えられたばかりのアネモネだけ。
 彼女は作られた存在だ。亡くなった女性をモデルに代わりとして作られ、愛を与えられ愛することを定められていた。しかし現実はそうはならなかった。彼女は愛されなかったのだ。

 ふわんと弱い風に揺らされる様を花と同じ赤い瞳が映す。
 そう、赤だ。グリーフのモデルになった女性、ニアの瞳は青だったのに。
 ニアは短命だった。その短さ故に誰かに愛を注ぐことが出来なかった。
「けれどワタシの……私の瞳の赤は……」
 花言葉には色によって意味が異なる場合がある。アネモネなら青は『あなたを信じて待つ』であり、赤は『あなたを愛しています』となる。
 一度は愛されることも愛することも失った。でもそれは『ニア』として。だがこれからは『グリーフ』として、誰かを愛することが出来たのなら。
 願うようにアネモネに触れる。
「いつか、風の名を持つこの花が、野原一面に、風に揺れますよう」
 グリーフを応援するように風もないのに大きくアネモネが揺れた。

成否

成功


第1章 第3節

ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド

 『妖精の守り手』サイズ(p3p000319)の手の中には3つの花があった。
 一つは緑の中に赤い小さなラッパのような花を咲かせているオシロイバナ。
 一つは下を向いて花を咲かせているオキナグサ。
 最後は紫の花を咲かせているホテイアオイ、これは一株サイズの元にあった。
「俺はあんまり花には詳しくないが……とりあえず直感に身を任せて選んでみたぞ」
 これを想いを込めて埋めればいいんだろう、と適当に場所を探すサイズだがよければついてくるようにとこの世界の住人らしき人から声をかけられる。
「……いったいどこに?」
 ついていけば小さな池のあるエリアに到着した。どうやらホテイアオイはここに浮かべるといいらしい。
 わかったように頷くと住人は去って行った。

 言われた通りそっとホテイアオイを池に浮かべる。薄紫色がとてもきれいだと思う。
 ──揺れる心・恋の悲しみ。
 オシロイバナを植える。赤っぽくて少しばかり血に見えなくもなくて、余計に綺麗だと思う。
 ──臆病・内気・恋を疑う。
 最後にオキナグサを植えた。鐘みたいな形状が好きだと思った。
 ──告げられぬ恋・裏切りの恋。

 枯れないように想いを込める。変な力が宿りそうだけど、逆にこの環境に耐性を得そうだと思うことにする。
 ところで、サイズの選んだ花は全て悲恋の花言葉を持つ花だ。
 無意識とはいえ自身の存在に近いものを選んでいる以上、その加護が花々を守ってくれるだろう。

成否

成功


第1章 第4節

赤羽・大地(p3p004151)
彼岸と此岸の魔術師

 赤い赤い、血のようでそして死者が帰ってくるとされる時期にちょうど咲く花。それが『双色クリムゾン』赤羽・大地(p3p004151)が植えたい花だ。
 真っ赤な彼岸花。彼の瞳と首から下から変わる髪色と同じ赤。
「彼岸花、別名は曼珠沙華、地獄花、死人花、幽霊花、等々」
 あげられる別名はお世辞にも良い感じのする名ではない。むしろ恐れられるような名前だろう。
 それでもこの花の持つ本質は何も変わらないと大地は思う。
 例え毒があっても、不吉だと言われていても、別名すら気味悪くても。
「俺はこいつを、死者に寄り添い、その旅先を見送ってくれる……そんな花だと思ってる」
 植えながら語り掛けるように大地は言った。
「丁度俺達ガ、『赤羽』と『大地』、2つの名前を持っているガ、一人の人間としてやっているようにナ」
 少し違うかもしれないガ。と続けて赤羽が言う。
 彼岸花の持つ花言葉は『情熱』『独立』といったものの他に『再会』という言葉もある。
 死の世界から一時戻ってくることか、はたまた転生して出会うことか、もっと別のことかそれはわからないが。
 この世界も生と死は巡る。生まれ育ち死んでいく。
 そんな時、旅立つ者の導き手になってほしいと、そうなると、赤羽は思う。
「死霊術師の端くれとしテ、その手伝いでもさせてくれヨ」
 植えられた彼岸花はいっそう赤みを増して、凛と強く咲き誇る。二人の言葉を受け取ったと主張しているようだった。

成否

成功


第1章 第5節

歩峰 透夜(p3p008147)
うたたね

 白い灰色の土が掘り返されて、小さな若木が植えられる。細い、でもしっかりした枝の先には小さな白い蕾がついている。
 蕾を優しく撫でで『うたたね』歩峰 透夜(p3p008147)はこの花が愛されるようにとそっと願う。

 花の名前は薔薇。それも白い薔薇だ。
 薔薇という花は不思議なもので、色や本数、花の状態でも花言葉が変わる。
 例えば今、透夜が植えた白い薔薇の蕾。その花言葉は『恋をするには若すぎる』という。
 透夜はこの花言葉が好きだった。理由を言葉にできるわけではない、ただどうしてか好きだった。
「ボクはどうだろう? 恋をするに足る成長をできているかな」
 声をかけても薔薇は答えてはくれない。当たり前だ。
 そして白い薔薇は枯れると別の花言葉となる。
「生涯を誓う、か」
 とても素敵な言葉だと思う。将来的にそう言える人……もしかしたら透夜の場合は忠誠を誓う人かもしれないが……とめぐり合うことが出来たとするなら、ロマンティックだ。
「でも、枯れたときのことを考えるのは気が早いよね」
 しかし、透夜は大切なことを忘れている。
 綺麗な花を咲かせた白薔薇の花言葉。それは『私はあなたにふさわしい』であり『心からの尊敬』である。
 素敵な恋に出会えるのか、尊敬するべき忠誠を誓う相手かはまだわからない。けれどきっとこの白薔薇が咲き誇る時、透夜にも新たな出会いや成長が待っているのだろう。
 想いで二人は繋がっているのだから。

成否

成功

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