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シナリオ詳細

<夏の夢の終わりに>ひとりぼっちのパレード

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●アルベドは『タント様』になりたかった
 片腕を失い、広いお花畑を走る。
 血は出ない。そんなものはないから。
 涙は出ない。そんなものは作られていないから。
 まるで柔らかい石膏像のように、白と灰色でできた『お嬢様めいた物体』は、半端に凍った土に素足を滑らせて転んだ。
「オーッホッホッホッホッ!」
 高笑いが聞こえてくる。
「タータリクス様の命令を遂行できないどころか自分の存在意義まで求めるなんて、笑止千万前代未聞ですわ!」
 振り返れば黄金の輝きがみえた。
 歩くだけで花が枯れ、そのたびに輝きが増し、まるでこの世界で自分だけが特別であるかのようにふわふわと軽やかに歩く。その姿はまさに『御天道・タント』にそっくりだった。
 いや、そっくりに作った上で、ひどく魔改造をし続けたように、それは見えた。
 大きく舞うように跳躍。
 形も、色も、まして人格や絆も足りていない不足だらけの『アルベド・タイプタント』は、うつ伏せのまま顔を上げた。
 トン――と片足のつま先だけで顔の前に着地する。
 世にも荘厳に微笑み、見下ろす――キトリニタス・タイプタント。
 アルベドの完全上位互換にして、賢者の石へ更に近づいた存在である。
「そんなはず……だって、わたくしは」
「『わたくしは一体のみの特別製』? ノンノン。あなたはただの失敗作ですのよ」
 屈み、アルベドの顎をつかみ、無理矢理上向かせるキトリニタス。
「たった一本の毛髪からものの試しにつくられた失敗作。能力も知性も足りないまま、どうせ妖精の回収くらいはできるだろうと投入された捨て駒」
「そんなこと、知――」
「知らなくて当然ですわー!」
 黄金タントはキャハハと歪むように笑った。
「『あなたごとき』に誰が優しく教授してくれますの? 『あなたていど』の存在を誰が大切にしますの? 『あなたふぜい』にその価値があって? 笑止千万厚顔無恥ですわー!」
 黄金タントの言葉に、白タントは反論ができなかった。
 事実だ。自分に友達はいない。自分に家族はいない。自分に恋人はいない。自分に価値を見いだすひとは、だれも。
 ギュルル、と周囲で黄金の光が渦巻いた。
 目を見開く白タント。防御の暇すら与えず、激しい連続爆発によって空高くへと打ち上げられ、凍った花畑へとバウンドした。
「う……」
「どうしましたの? 自慢のお人形ごっこはもうしませんの?」
「う、うううううう……!」
 片腕を地面に叩きつけ、泥を拭って立ち上がる白タント。
「舐めないでくださいまし。わたくしは『タント』を参考に作られながらより高度なパワーを与えられたニュータント! わたくしのほうがずーーーーっと優れていましてよ!」
 ふるえる腕で、指を鳴らす。

 \    !/

 \    !/

\\     !//

「――ごときに、なにができますの?」
 後の句を奪い、黄金タントは再び光の渦を呼び出した。
 白タントが召喚した沢山の戦闘ぬいぐるみが全て爆発し、爆発によって生まれた光が人の形を取ってふわりと浮かぶ。
 『発光人形』たちは光の鎖を放ち、白タントの首や腕や足を拘束した。
「所詮あなたは偽物。駄作。失敗作の半端物ですわ。おとなしくフェアリーシードを返しなさいな。タータリクス様がもっと有効に使ってくださいますわ」
「あなた、だって……」
 首を締め付ける鎖を掴み、声を絞り出す白タント。
「あなただって、偽物ですわ……」
「オッホッホ! それに何の問題がありますの? わたくしはわたくし。誰のどんな細胞からできようと、今この瞬間ここに立っているのがオリジナルなわたくしですのよ。
 参考元と比較してしか自分を語れないあなたと、違って」
 黄金タントがぱちんと指を鳴らすと、発光人形たちが鎖を一斉に引いた。
 うめきと悲鳴が、凍てつく花畑に響く。

●三人のタント
「分かった。いますぐ行く」
 ライフルをかつぎなおし、ジェック・アーロン(p3p004755)は立ち上がった。
 もちろんひとりで行きはしない。差し出した手を、御天道・タント(p3p006204)が強く握った。
「妖精郷のピンチですものね。これまで出会った妖精のお友達……皆さんの期待にもこたえませんと!」
 妖精郷は『冬に閉ざされる』という未曾有の大災害に見舞われていた。
 花畑は凍り付き、山は吹雪に川は氷に覆われる。常春の楽園の崩壊に、妖精達は不安と恐怖を隠せずにいた。
 これは錬金術師クオンがこの地に封印されていた『冬の王』の力を、そしてブルーベルが封印に用いた力をそれぞれ持ち去ったことによって解き放たれたものである。
 これを止めるには妖精城アヴァル=ケインへ突入し、冬の力の根源を打ち払わねばならない。
 ジェックは妖精達に用意して貰ったハンカチサイズの地図を広げ、ピンで位置を示した。
「アタシたちのチームはこの花園を抜けて城に突入する。
 偵察してくれた妖精さんによれば、『金色のタント』がそのエリアを防衛してるみたいだった」
「金色? 白じゃありませんの? この前逃げた……」
「うん」
 ジェックはタントの抱く当然の疑問に、簡潔に応えた。
「白いタントもどきは処分されるみたいだよ。花園で攻撃されてるのを確認してる」
「…………」
「タント」
 ジェックは、彼女の手を握り返した。
「何を考える?」

 春をとりもどす戦いが始まろうとしている。
 しかしその一方で、また別のなにかが……。

GMコメント

■オーダー
 『凍てつく花園』を防衛している黄金タントを撃破(クリアリング)し、道の安全を確保する。

・黄金タント
 キトリニタス・タイプタント。
 タントの頭髪(片ドリル)からとった遺伝子情報とフェアリーシード、そしてより純度の高いアルベドボディによって完成した非常に強力なホムンクルスです。
 近づくだけで火傷するほどの高熱を発するほか、熱の放射によってフィールド全体に識別ダメージや治癒を与えることが可能です。
 またレンジ2範囲内の味方を強化する性質をもちます。

・発光人形
 黄金タントによって召喚された兵隊です。
 地面からやや浮遊した状態で存在しており、光の鎖や熱光線によって攻撃してきます。
 数は約10体ほど。
 黄金タントの戦闘スタイルも相まって、黄金タントを中心としたレンジ2範囲内をぐるぐるするような陣形をとるでしょう。

・凍てつく花園
 凍り付いた花畑です。(限界はありますが)それなりに広く、戦闘には困りません。

・白タント
 アルベド・タイプタント。
 多少の格闘能力とタフさ、そしてビーム攻撃をもつホムンクルスです。
 今まさに倒されようとしています。
 腕がもげたりしていますが一応回復(復旧)可能です。

※白タントのもつフェアリーシードを回収するのが黄金タントの直近の目的のようです。
 もう一手という状況なので、イレギュラーズがかけつけただけでは特に手を止める理由にならないでしょう。
 また、フェアリーシードをイレギュラーズたちが回収することで、のちほど中に閉じ込められている妖精を解放(救出)することができます。
 なお、キトリニタス(黄金タント)はほぼ完全にフェアリーシードと結合してしまっているので、よほどのことがないど回収は不可能です。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

●Danger!
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

  • <夏の夢の終わりに>ひとりぼっちのパレード完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2020年08月31日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

コラバポス 夏子(p3p000808)
八百屋の息子
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
ジェック・アーロン(p3p004755)
お姉チャン
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
彼女への黙祷を
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
ルチア・アフラニア(p3p006865)
「Concordia」船長
マヤ ハグロ(p3p008008)
キャプテン・マヤ
ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)
恐怖とは?

リプレイ

●空振りのフィンガースナップ
 凍り付いた花を勢いよく踏み、ぱきりと散らす足がある。
 スローモーションで散っていく花を気にとめる余裕すらもたずに、ひとりのお嬢様――『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)は『凍てつく花畑』を誰よりも先んじて走っていた。
「やらせはしませんわ! ――待っていなさい、アルベド!」

 アルベド・タイプタント。タントの遺伝子と妖精を閉じ込めたフェアリーシードによって作られた『タントを摸した物体』である。
 そうだと、誰もが思っていた。
「白タント様はタント様の偽物、そう思ってた。
 けど違うんだね、白タント様は白タント様で、何も知らない子供みたいなものなんだ。
 でも妖精さんをそのままにも出来ないし……」
 タントを追う形で走る『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)。
 握りしめた槍に力がこもり、先端を薄い炎が舞った。
 すこしだけ前のこと。妖精街を取り戻す戦いの中で、焔たちはアルベド・タイプタントを退けた。
 自らを『タントより優れた個体』と称して高笑いをする彼女の、あまりにも明らかな不足や欠落を、焔たちは知っていたからだ。そしてそれを、武力と共に突きつけもした。
 結果アルベドは屈辱に歯がみしながら逃走し、今に至ってタータリクスの軍勢からも排斥されようとしているらしい。
 ――「そんなこと、知りませんわ! 誰も教えてなんてくれなかったですもの!」
 欠落を突きつけられた彼女の、悲鳴のごとき叫びを、いまも思い出す。
「自分よりも強い……望むものに近い相手が目の前に居る。
 アルベド・タイプタントさん……それでもあなたは泥を拭って立ち上がった。
 妬ましい程に、美しいのだわ」
 一方で『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)は暗い感情を抱えながらも、アルベドの現状を想った。
(美しい彼女を救う事ができれば……嫉妬の海に沈んだ私は、ほんの少しくらい浮かび上がれる……そんな気がする)

 経緯を知る者たちと、そうでない者。それは一種の乖離ではあったが、同時に必要な客観でもあった。
(何やら複雑な感情事情? 僕としても妖精達助けてあげたいけどソレ意外思う所が無い訳じゃないのもそうだし。
 まだ付き合い浅いから知らなかったけど、思ったより繊細なのかも知んないね)
 槍を肩に担ぎ、やや前屈みの姿勢で花畑を走り抜ける『鬨の声』コラバポス 夏子(p3p000808)。
 空に浮かびぐるぐるとまわる発光人形たちが見えてきた。
 隣を走る『「Concordia」船長』ルチア・アフラニア(p3p006865)と顔を見合わせ、そして走る速度をあげる。
「良い大人してあげられりゃいいんだけど……やれる事をやんなきゃな!」
 速度をあげる仲間達を追って、『キャプテン・マヤ』マヤ ハグロ(p3p008008)と『筋肉最強説』ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)がより勢いを増した。
(同じ顔の別人か……そんなものがいたらどんな気分なんだろうな。
 まぁ私は私の仕事をするだけだ。
 それがどんな結果になろうとも、な……)
 ブレンダは両の腰にさげた剣に手をかけ、全身に強く力を込めて加速。起動した魔法剣が炎と氷の軌跡をひいた。
(厄介な敵が出てきたわね。しかも、失敗作だからと言って、自分の存在意義を求める者を痛めつけようとするのは言語道断!
 非情の心を持つ海賊でもそんな事はしないわ。この私が返り討ちにしてくれる!)
 置いて行かれまいと酒を乱暴に飲み干して、瓶を放り投げるマヤ。高まったボルテージが、マヤに真っ赤なオーラを吹き上げさせた。
 そんな彼女たちの最後尾。
(『彼女』が死を選ぶなら。それを殺すのは、タントではなく……アタシであるべきだと、そう思ったんだ……)
 『お姉チャン』ジェック・アーロン(p3p004755)はサイレンサーアタッチメントのついたライフル『ブラック・ラプター』をしっかりと両手で担ぐように持つと、身体を振って走る速度をひきあげた。
 装着したガスマスクの下で、目を細める。
「同じ顔をした他人というのは、それだけで……苦しいんだ」

●花園はいつも晴れ
 うめき声の響く花園で、キトリニタス・タイプタント――通称黄金タントは人差し指を立てた。
 赤くこうこうと燃える熱の塊が指先へと作り出され……。
「さようなら、失敗作」
 発射される――と同時に。
「アルベド!」
 強引に間へ割り込んだタントが、両腕を広げて熱塊を受け止めた。
 途端に燃え上がる身体。衝撃によって白タントごと吹き飛ばされるも、タントと白タントはもつれるように転がった。
「あなた……なにしに来ましたの! なんで!」
「なぜ? それは、アルベド。あなたの今を問うためですわ」
 立ち上がったタントは、腕を振って炎を払った。
 振り返り、黄金タントへと再び向き直る。
 そしてすぐさま、駆け寄った華蓮が白タントの失われたボディをミリアドハーモニクスによって無理矢理に補強していった。
 首をかしげ、頬をトントンと指先で叩く黄金タント。
「ン、ン、ンー? あなた方、わたくしを『倒しに来た』んじゃありませんの? なぜよりによって、ソレを助けますの」
「倒しに来たし、助けにも来たからだよ!」
 焔は槍をぐるぐると回し、黄金タントめがけて炎の爆弾を投射。
 対する黄金タントは飛来した爆弾に手をかざしただけで爆発を払いのけてしまった。大きなダメージをこそ与えられなかったが、黄金タントが白タントへ詰め寄ることは防げたようだ。そしてそれ自体が、焔の狙いである。
 そうして生まれた爆発の煙と光に紛れるように、ブレンダが剣を抜いて斬りかかる。
 美しく舞うように――もしくは大木を切り倒すチェーンソーのように高速回転をかけて斬り付けたブレンダの恐ろしいまでの攻撃を、黄金タントはまたも手のひらをかざすことで防御。
 今度は両手を使うことで強めに防いだが、それでも頬にピッと傷をはしらせる程のダメージにはなったようだ。
 そんな彼女に挑発を仕掛けるブレンダ。
「ぴかぴかと光って目に痛いな、貴様は。タント殿と違って品がない。まぁイミテーションならこんなものか」
 頬をぬぐい、すぐに傷を修復してしまう黄金タント。
「ほっぺが汚れましたわ。せっかくお化粧してきましたのに」
 その口ぶりと振る舞いから、ブレンダは黄金タントに引きつけ効果が有効で無いことを察した。
 追って駆けつけたマヤたちへだけ聞こえるように小声で囁く。
「……周りの人形はともかく、黄金タント(イミテーション)にBSは通用しそうにないぞ」
「よくさっきの一合で分かったわね?」
「いや、実は全然わかってはいないが……」
 ブレンダはちらりとタントを見やった。
「オリジナルの性能を純粋に引き上げるとしたら、そうなっていてもおかしくないだろう」

 一方のタントは、泥を拭って立ち上がった白タントへ肩越しに振り返っていた。
「ここにいる皆様は、あなたを助けると意見を一致させてこの場にやってきました。その意味を心で感じられますか」
「こころ? 心ですって? アルベドのわたくしにそんなもの、あるわけが――」
「誰と戦うべきか、己の心に問いなさい! アルベドッ!」
 反射的に反論しようとした白タントを押さえつけるように、タントはふわりと浮きあがった。
 太陽のような輝きを放ち、両手に生まれたポンポンを装着した。
 ラメラメのポンポンを振りかざし、情熱的に応援ダンスを始めるタント。
 ジェックとマヤ、ルチアと夏子はそれぞれタントの周りに集結すると、それぞれの武器を構えて黄金タントに狙いをつけた。
「我は海賊マヤ・ハグロ! 所詮は作り物の偽者共め、私と戦う勇気があれば、正面切ってかかってくるがいい!」
 マヤはリボルバー拳銃を乱射しながらラム酒爆弾を投擲。
 素早くライフルの狙いをつけたジェックは、爆弾が黄金タントの眼前で爆発するように射撃。
 激しい爆発が黄金タントを包み込む……が。
 爆発のなかから現れたのは三体ほどの発光人形だった。
 それぞれが黄金タントを庇うように集まり、ジェックの弾丸をキャッチしている。
 受け止めた腕は崩壊したが、黄金タントから供給される熱によってすぐに腕が修復。
「これ、突破するの簡単じゃないかも」
 一方では、白タントへルチアや夏子が集まって庇うように立っていた。ルチアのミリアドハーモニクスが白タントの傷を回復させていく。
「深い事情は知らんけど救いたいって仲間が居て、泣いてる子をほっとける程格好悪くも出来ちゃなくてね」
 それを奪い取ろうと迫った黄金人形を、夏子が槍を振り回すことで牽制。はじき返した。
「君は独りじゃない。らしいぜ。だから皆と仲良くしてね 白タンちゃん」
「けど……貴方はもう戦わなくていいわ。後は私達に任せて安全な所まで下がって休みなさい」
 カトラスを水平にかざし、『ここから前へは出るな』というジェスチャーをするマヤ。
「わた、くしは……」
 白タントは自らの手のひらを見下ろし。
 震えていることに、やっと気づいた。
「オーッホッホッホッッッ!」
 過剰なほど強すぎる高笑いと共に、黄金タントがゆっくりと空中に浮かび上がる。
 まるで恒星のように周囲を飛び回り始める発行人形たち。
「そんなお荷物を庇いながらこの私と戦おうだなんて、笑止千万爆笑必至ですわー! それならこのわたくし――」
 パチン、と黄金タントは両目を見開いて壮絶に笑った。

  \縺阪i繧√¢?/

  \縺シ縺上i縺ョ?/

\\\繧ソ繝ウ繝域ァ假シ///

「――が、一人残らず灰にして差し上げますわ!」
 黄金人形たちが一斉に異なるポーズをとり、光の鎖を発射する。

●夕焼けよりも遠い場所
 無数の光線が凍てつく花畑へと降り注ぎ、爆発が花畑を泥へと変えていく。
 砲撃をなんとかかわし、泥の上を転がりながら『緑の雷』を発動。
 起き上がりざまに輝いたエメラルドクリーンの雷が黄金タントへ……もといそれを庇っていた複数の発光人形へと浴びせられた。
「複数にんで庇っているなら、その対象自体をまとめて攻撃すればいいのだわ。もちろん、もちろん、それをいつまでも許す程度ならの話だけど……」
 一定のダメージを受けた発光人形たちは別の発光人形と庇いを交替。離れた発光人形は黄金タントの全体治癒能力によって修復されていった。
「三人で三交代ってずるくない?」
 仲間に聖躰降臨のかけ直しをはかるルチア。
 そうしている間にも、六本まとめての光線が彼女たちを襲った。
「いくら数が多かろうと、雑魚が寄ってたかっても私達を倒すことはできないわ。みんなまとめて天高く舞い上がりなさい! そして消えなさい!」
 爆発の中を駆け抜け、ラム酒爆弾を複数同時に投擲するマヤ。
 連続爆発。
 未だ黄金タントへのダメージを稼げてはいないが、これをかなりの頻度で繰り返せば効率的に黄金タントの防御陣形を崩すことが出来るだろう。

 敵の徹底した防御と集中攻撃。それを払いのけながらダメージを稼いでいくイレギュラーズ。幸いなことに集中攻撃に対するリカバリーはリカバリーはタントのミリアドハーモニクスによって維持され、そのAPが途切れることはない。
 互いが互いのHPを高く保ち続けるというヒール合戦がかなり長時間にわたって続いたが、最初の変化は攻撃チームのスタミナ切れであった。
 黄金タント側が回復に費やすリソースが減ったのを認識すると一気に攻勢へ転換。それまで回復に用いていた熱供給を全体攻撃へ利用し始めた。
 天空に打ち上げられた光の柱が幾本にも禍々しく分裂し、鋭いカーブを幾度もかけながら夏子たちへと降り注ぐ。
 そこへ光線による集中攻撃が加わり、こちらの戦力は一人また一人と減っていくことになった。白タントを庇いながらの戦いとなれば、なおのこと損失は大きい。
「このままだと、マズいよねえ」
 一度は死にかけた夏子は槍を地について、熱い息を……否、煙を吐き出した。
 だが諦めている様子はない。
 仲間達に目で合図をすると、槍の先端にバチリと火花を散らしてみせた。
「オリジナルがどうだとか、超えたとか超えてないとか、参考元と比較して自分語って、誰よりもオリジナルを求めてる。金色さん あなたはだあれ?」
「なんですの、急に?」
 黄金タントが首をかしげた途端、仲間達の執拗なまでの集中砲火が浴びせられる。
 対象は黄金タントを守る人形たち。そこへ、夏子の『闇を劈く爆裂音【炸】』が繰り出された。
 回避能力の鈍った人形立ちをなぎ払うように繰り出された槍とスパーク。絶妙にヒットした彼の攻撃は人形たちを吹き飛ばすことに成功した。
「今ですわ! 活路を開きますわよ!」
 急いで戻ろうとした人形にタックルを浴びせるタント。
 同時に焔が槍を地に突き立て棒高跳びの容量で人形へと急接近。ドロップキックを浴びせることで配置に戻ることを妨害した。
「人形といっても黄金タントが作ったもの。本体を倒せば万事オッケーな筈だよ!」
「――ッ!」
 黄金タントは十指のうち五つをおかしな方向へねじ曲げるように動かすと、連動するように発光人形たちが焔へ集中攻撃。
 それが、『やられたくない』ことの証明となった。
 ニヤリと笑い、絡みついてくる光の鎖を槍でもって絡め取っていく焔。
「ブレンダちゃん!」
「任せろ。私の好きな四字熟語は正面突破だ」
 剣を十字に交差させたブレンダが走り、大地を蹴り、激しく跳躍。
 地上2メートルほどの位置を浮遊していた黄金タントへ距離をつめると、今度こそ強烈な斬撃を繰り出した。
 炎と氷による十字の斬撃がはしり、黄金タントの腕が切り落とされる。
「ぐう……!?」
「一見隙が無いように見えて部下を盾にすることに執着していたようだな。よほど『直撃を食らいたくない』と見える」
 黄金タントを蹴り、宙返りをかけながら再び着地するブレンダ。
「そこの白いのもそんなに俯くんじゃない。
 生まれたばかりの貴様は知らんだろうが人の価値とは何を為したかで決まるのだ。
 貴様はまだ何も為してはいない。だが、私はお前ならきっと正しいことを為せると思っている。ただの勘だがな」
「……」
 ハッとして顔をあげた白タント。
 ジェックはその横に立ってライフルのスコープを覗いた。
 器用にも、覗いていない方の目で白タントをチラ見する。
「ごめんね……アタシは『同じ顔』には惑わされないんだ」
 ジェックにとって、撃つべき対象があって弾が残っていたなら、それは『当たる』ということだ。
 極めて正確に、きわめて厳密に、きわめて妥当に発射された弾が回転をかけ、黄金タントの肩へと命中。
 黄金タントは『ガッ』と声を出し、泥の地面へと墜落した。
 それだけ激しいダメージを受けたということ。そしてそれだけHPが消耗しているということだ。
 治癒……は、しない。それだけのエネルギーが残っていなかったのか、それとも一発逆転の攻撃に温存したかったのか。
 残る発光人形たちがフォローのために黄金タントへ集まろう――と、した。その時。
「「やらせませんわ。この、わたくし――」」
 フィンガースナップが、ふたつ、青空に向けて鳴り響いた。

     \\きらめけ!//

     \\ぼくらの!//

 \\\\\\タント様!//////

 これまでの倍以上の声援が、タントと白タントを包んだ。
「――が、あなたを!」
「――打ち破って見せますわ!」
 白いフラッシュが周囲を照らし、一瞬遅れて黄金タントの周囲が爆発に包み込まれる。
 反撃にと突き出した黄金タントの腕を、がしりと掴むタント。
 乱発した大量の光の爆発を、タントが自らの発光によって相殺した。
「チェックメイト、ですわ」
 直後、黄金タントの胸を貫いていく……ライフルの弾丸。

●命のゆくえ
 焔も、ジェックも、ルチアも、マヤも、手を出すことをやめた。
 泥だらけの花畑で、白タントとタントが向かい合っている。
 華蓮は解決策があるはずだと言おうとして、ブレンダに肩を叩いて止められた。
 今すぐ解決するすべはない。
 時間をかけることができたとして、それを妖精郷の妖精達がよしとするとは思えなかった。
 なぜなら、フェアリーシードを取り戻すことが自分たちの使命であるから……。
「あなたにも、生きて欲しかったのに」
 殺したくはない。
 けれど助け出したい。
 相反する二つの気持ちが、タントの涙となって白タントの肩をずっとぬらしていた。
「すぐに決められないなら、まずは共に歩みましょう。ローレットへ一緒に……」
「お待ちになって、タント」
 タントの両肩を掴み、そっと離す白タント。
「わたくしの胸の中にいる妖精には……きっと家族も、友達も、もしかしたら恋人もいたかもしれませんわ。
 その全ての責を、あなたにかぶせることに――」
「なっても、構いませんわ! だって、だって――」
「タント」
 唇に人差し指を当てて、そしてジェックの顔をちらりとだけ見てから。
「分かりましたわ。一緒に行きましょう。けれど今は、安全な所に隠れていますわね」
 笑顔で、おしまいにした。

成否

成功

MVP

御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの

状態異常

華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864) [重傷]
彼女への黙祷を
ルチア・アフラニア(p3p006865) [重傷]
「Concordia」船長
マヤ ハグロ(p3p008008) [重傷]
キャプテン・マヤ

あとがき

 ――依頼達成。
 ――『凍てつく花畑』の進軍ルートを確保しました。

 ――アルベド・タイプタントの消息が途絶えました。戦いのドサクサで逃亡したものと想われます。

 ――予定されていた隠れ場所にて手紙を発見しました。内容は以下の通りです。

 『ごめんあそばせ(キスマーク)』

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