PandoraPartyProject

シナリオ詳細

あなたは美しいが冷淡だ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●赤く染まり青い花へ
「おねえちゃん」
 少女は、動かなくなった姉の肩を揺すりながら語りかける。首から血を流す彼女はがくがくと揺れるばかりで、反応一つ返さない。
 どうしてこんなことになったのだろうかと少女は思い返した。……答えは返ってこなかった。なにもかもが不幸な偶然。少女の姉はたまさか魔物に襲われ殺された。少女はほんのすこし姉よりそこに訪れるのが遅かっただけだ。
 紫陽花は好きだったが、姉ほどは好きでなかった、ただそれだけ。
 それが少女がその場へ向かう足を重くさせたのだ。或いは、彼女がもう少し早くついていたら諸共に命を落としただろうか。機転を利かせてなんとかできただろうか。
 飽く迄仮定の話にすぎない。つまりは、かなわない夢であったということだ。赤い血を浴びた青い紫陽花の花は、その地で彼女たちを見ていた。

●不気味な紫陽花
「神隠し? 人が突然いなくなったということだろうか?」
 ポテト=アークライト (p3p000294)の頓狂な声での問いかけに、義母であるルビア=アークライトは「そうなのよ」と困ったような顔で応じた。
「貴女達にこの国の復興の為に何かと頼んでいるけれど、今回はちょっと……何もなければいいのだけど、その件を調べてほしくて」
「母上、それはつまり……どこかで相次いで起きているのですか?」
 リゲル=アークライト (p3p000442)がルビアに問うと、彼女は頷き、とある場所に咲く紫陽花の周囲で起きていることを教えてくれた。天義の事情に明るい2人なら聞いたことはある、かもしれない。
 青々と咲く、季節知らずの紫陽花。枯れることもなく残り、咲き続けるそれは美しいがどこか不気味であると専らの噂だ。だが、変わらぬものは得てして人々の目印となる。
 故に、待ち合わせの場所にされることもままあるわけだが……そこが失踪事件の起点であるなら話は変わってくる。
「調べるにしても俺達2人だけじゃ心配だな……ちょっと仲間に相談してみます」
 リゲルはそう告げるとポテトを伴って生家を出た。戸が閉まる音を聞いたとき、ルビアはわずかに背筋が凍る思いがした。……気のせいならばいいのだが。

「なるほどね。2人はその紫陽花が怪しいと思ってるワケだ」
 伏見 行人 (p3p000858)は事情を聞くとなるほど、と考え込む。おかしなことを言っているのでは、と目を伏せたリゲルに、彼は「よくある話さ」と、花と怪異にまつわる逸話をいくつか語ってみせた。
「あり得ない話じゃないな。そもそも枯れない花というのが不気味すぎる。紫陽花の花が枯れる様がそもそも不気味だがな」
「でも、そんな話あったんだね……天義のその辺の話は私、詳しくないから……」
 マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス (p3p002007)が思案顔で頷くと、スティア・エイル・ヴァークライト (p3p001034)は驚いたように目をみはった。天義に関わりの深い彼女ではあれど、その噂は極めて俗的な話でもある。知らない位が普通、なのだろう。
「そうねぇ、紫陽花が常に青いのも少し不思議な感じがするわねぇ。土の質で色が変わるなら、何でピンクにならないのかしらぁ?」
「青は酸性、ピンクはアルカリ性だったな。雨に溶けた成分や火山灰が流れ着いたり、木々の茂り具合なんかでも変わるが、そこまで青い花をつける土質だとそれこそ枯れると思うが……」
 アーリア・スピリッツ (p3p004400)の差し挟んだ疑問を、フレイ・イング・ラーセン (p3p007598)が補強する。
 意外と逆で覚えやすいが、酸性が青、アルカリ性がピンクなのである。さておき、植物の生育に酸は欠かせないが、さりとてそこまで強い酸が残り続けてまともな植物が育つとも思えない。
「どっちにしても、放っておくわけにはいかないよね。神隠しの条件が分かってるなら、私達が先回りしてなんとかしなくちゃ」
 メルナ (p3p002292)のどこか急くような声に一同も同意を示す。仮に紫陽花に何か問題があるとして、実際のところ何が起きるかは分からない。
 ともあれ、夜も半ばに問題の場所へと行くことになった一同を待ち受けているのは……。

●永劫に青く
 ざくり、と肉の裂く音が聞こえた。
 少女は倒れ伏し、地面に赤い血をまき散らした。無論、紫陽花の花にも。
 その紫陽花は姉妹以外には目を向けられることもなかったが、ゆえに姉妹の死を知った者は殆どいなかった。
 そして、それからほどなくして、紫陽花が枯れなくなったことについても、しばらくは知る者がいなかったのである。

GMコメント

 リクエストいただきありがとうございます。
 夏だからね、ホラーとか、ね。いい季節ですね。

●達成条件
 常青の紫陽花および誘いの言霊の撃破

●常青の紫陽花
 常に青い花をつけている紫陽花。
 季節や気候を問わず咲き続け、しかも常に青(=酸性)であるため不気味がる声とそれを喜ぶ声とが聞かれている。
 が、最近は神隠し事件が多発しているため近づく者はめっきり減った。事件の発生時間帯は夜が多い(とされている)。
 なお、お察しの通り魔物化しており、地下から根を伸ばしたり花そのものが口腔部になって噛みついてきたりする。基本的に移動はしないが根の射程が長い上に足止のBS付与をしてくるし、花の噛みつきが強力だったり、実は複数個体の群体系モンスターであったりなど兎に角厄介度が高い。ダメージ系というより「面倒くさい」BSが多い。

●誘いの言霊
 紫陽花の近くで命を落とした少女達の思念体……を、常青の紫陽花が模倣したもの。音などもそれが聞いた情報ベースのためひどくゆがんだ音を立てる。
 精神無効。広範囲に響く声は、特殊ルールとして「ダメージ判定後、追加で信心深い(≒天義名声が高い)ほどダメージ加算」にて計算される。
 ここまで厄介になっている理由事態、その声に秘められているというが……?
(少女達そのものではないので、遠慮無くぶっちめて可)

●戦場
 夜の天義首都近郊の花畑。
 紫陽花はひっそりと咲いている。

 どうでもいいですが紫陽花の枯れ方は「しがみつく」と表現されるそうですね。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • あなたは美しいが冷淡だ完了
  • GM名ふみの
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年08月27日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談9日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
伏見 行人(p3p000858)
北辰の道標
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
リインカーネーション
マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)
黒鎖の傭兵
メルナ(p3p002292)
揺らぐ青の月
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
フレイ・イング・ラーセン(p3p007598)
Immortalizer

リプレイ

●佇む姿は不気味で可憐
「枯れず、色褪せない花なんて……そんな風に、いつまでも若々しい女でありたいところだけれど」
「だの不思議の花って事で済めば良いけど、情報が情報だし……そんな事ないよね」
 『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)が感慨深げに呟くと、『揺らぐ青の月』メルナ(p3p002292)もその意味こそ違えど、同意を返す。
 無邪気にそのあり方を賞賛できたならどれだけよかっただろうか。永劫に美を保ったままでいられるなんて女性の夢の体現が、よもや常道を外れた怪異としての象徴であるとは。
「雨でも強く耐える様から「辛抱強い愛」ってのは聞いたが……こんな時期でも咲くのは「高慢」と言うしかないわな」
 『かくて我、此処に在り』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)は紫陽花の持つ花言葉を思い出しながら、未だその姿を保つそれのあり方を非難した。美しくある時期はとうに過ぎている。これ以上咲き誇るのは、決して美しいことではない。
「常に青色……酸性、か。嫌な予感は当たるのだろうな」
「青褪めた紫陽、となれば『そういうこと』なのだろう」
 『白獅子剛剣』リゲル=アークライト(p3p000442)と『希望ヶ浜学園高等部理科教師』伏見 行人(p3p000858)は何れも明確には言葉にしなかったが、今般の事態の原因がなんであるのか、は薄々感づいている様子だった。というか、ほぼ全員が認識しているのだが、彼等は特に明言することを避けているのだろう。
「人の命を吸って咲き誇っているなら放置するわけにはいかないよね。これ以上の犠牲者を増やさないためにも!」
「あぁ、怪異となる紫陽花はここで刈って、悲劇と怪異を終わらせよう!」
 『リインカーネーション』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)と『ハニーゴールドの温もり』ポテト=アークライト(p3p000294)の二人は、光源を確保しつつ周囲の風景に目をやり、やはり特異ともいえる紫陽花を睨み付ける。紫陽花そのものに悪意があったのか、そこで死んだ某かの悪意がそうさせたのか。真実は不確定ながら、今はっきりしているのは「それが悲劇を起こしている」という事実。
「今はこの脅威を取り除いてやることが、俺にできることだろう。どうしてそうなったのか、聞いたって俺にはわからない」
 『Unbreakable』フレイ・イング・ラーセン(p3p007598)は肩を竦め、相手を敢えて理解しない姿勢を見せた。よしんば理解できたとしても、彼には紫陽花の意志に共感は出来まい。他者の命を得ることで生き存えるのは生命の必然だが、倫理に見合わなければ仕留めるしかないのだから、共感するだけ無駄……ともいえるが。
「ランタンは用意してあるが、リゲルもギフトをお願いできるか?」
「勿論だ。出来ることがあったら何でも言ってくれ。力を貸して貰うのは俺のほうなんだから」
 ポテトを始めとし、イレギュラーズ達はランタンなどの光源で周囲を照らし出す。リゲルもまた、己のギフトで剣に光を灯して光源とする。
「あれが『そう』なんだろうけど、なんて言ったらいいのか……」
 マカライトは紫陽花に視線を向け、凝視した直後にその実態を理解した。……理解してしまった、とも言うだろうか? 根、茎、花に至るまで異質な、そして根の先にあるそれを感じ取り、寒気すら覚えたかもしれない。こんなものでなければ、領地を飾っただろうに。
「そうねぇ、言霊かしら? あの2人の女の子がそうだとしたら、あれは……信心深『かった』姉妹……」
「アーリアさん、あれはただの影だよ。そこにあるだけの偽物。だから……」
 メルナは、アーリアが『信心深かった姉妹』と口にしたとき、得も言えぬ寂寥感を一瞬だけ表情に浮かべたのをみて、思わず手を伸ばそうとした。次に見た時、「大丈夫よぉ」と笑ってみせた彼女のそれには、そんな感情はなかったというのに。
「光をもうちょっと。頑張ってくれないかな」
 行人はカンテラを撫でると、その中の光に向けて語りかけた。その声に応じたかのように仄かに光が増し、彼とその周囲を照らし出す。
「スティア、済まないが――」
「……ポテトさん。それにみんな。出来るだけ早く、あの花を倒そうね!」
 ポテトがスティアに向き直り、何事か頼もうとする。が、スティアはその顔に溌剌とした笑みを湛え、気合いの入った声で皆を激励した。
 スティアが元気なのはいつものことだが、仲間の声を遮るような子ではない。
「そうだな。この地に長く居座らせるわけにもいかない」
「母上から預かった依頼だ。なんとしても、勝つぞ!」
 フレイとリゲルはその意志をくみ取ってか、改めて気合いを入れ直す。足元から伸び上がった根をすんでのところで避けると、リゲルは言霊目掛け駆けていく。フレイは紫陽花『達』を自らに引きつけると、仲間達へとアイコンタクトを向けた。行人は逆方向へ駆け、言霊の前に立ち塞がる。
「大丈夫……お兄ちゃんみたいにやってみせる……!」
 メルナは胸にこみ上げた感情を吐き出し、剣を握った。リゲルとは別の言霊へと向かい、背後の紫陽花ごと貫くべく振り上げ、振り下ろす。
 ……兄がそうしたであろうやり方と、同じように。

●襲う姿はただただ不快
「美しくありたいとしがみつく姿勢は嫌いじゃないけれど、これはごめんよぉ!」
 アーリアは琥珀色の雷撃を次々と叩き込むと、足元に伸びた根を踏みつけるように蹴り弾いた。フレイが引きつけたものの中に撃ち漏らしがあったか、或いは届きがたい場所にあったか。何れにせよ、アーリアの傷は至極浅い。
「言霊……か。この子達が誰かは知らないが、お前達が後生大事に残しておくんだ。それだけ気に入っていたんだろう」
 リゲルは銀の剣を真一文字に薙ぎ払い、言霊と、紫陽花を切り裂いた。自分で言葉にしておきながら、驚くほどに不快である、と彼は感じた。大事に思うほどの相手ならば、なぜその意志を汲み取ってやれなかったのか。汲み取った結果、そのような姿になったのか。
「バケモノだろうと所詮は植物だ。火は堪えるんじゃないのか?」
 マカライトは剣を振り下ろし、トリガーを引いて炎を撒き散らす。威力的な面は兎も角燃えやすいのは確かだったようで、紫陽花は一拍おいてから一気に燃え上がる。葉や花に声帯はなかったはずだが、鮮烈な悲鳴が耳に届くかのようだ。
「厄介な相手だが、みんなの背中は私たちが守る。だから後ろは気にせず、前だけを見て紫陽花と言霊を倒してくれ!」
「大丈夫、魔力が続く限り私は頑張るよ! 続かなくても……皆の想いが、私を支えてくれる!」
 ポテトとスティアは気を吐き、互いに仲間の強化と治療を引き受ける。卓越した癒やし手が2人居る状況は、イレギュラーズにとっては僥倖だ。2人の能力と魔力が続く限りは、彼等も敵に後れを取るまい。
 それが尋常の敵であるのならば。
 紫陽花は次々に討たれ、切り裂かれ、その命を失っていく。真っ白になり、茶が差し、薄汚く茎にしがみつく様は、それが『紫陽花』としての末路を踏襲していることを否応無しに一同に理解させた。ああ、この紫陽花は最後まで己を忘れず、しかし何もかもを見失ってしまったのだろうと。
「茎や萼(がく)にしがみつくように、咲き続けることで生きることにしがみついたのだろう。人を食ってまで咲く必要は……いや、そうか」
 フレイは、枯れていく姿、その見窄らしさに言葉に出来ぬ感情を覚えた。そうまでして残りたい理由。残したいもの。それは。
『……神様、神様、神様。この子が何をしたというのですか』
『私が何をしたのでしょう。死にたくない。許し――』
 言霊の口から、声が響く、神を切望する声、己の不幸を問いただす声、許してと言いかけて、潰れた肉の音を響かせるそれ。紫陽花に残された『音』だけを踏襲したそれが、まやかしであることは明らかだ。明らかだからこそ。それらがすべて、『本当に人々の口から出た信仰を疑る言葉』だとリゲルは悟った。
「これは、神の試練なのか?」
 リゲルは殊更に深く刻み込まれた信仰への疑念に、胸を押さえ数歩後ずさる。持ち前の闘志と誠意はじりじりと彼を前に出すが、それでも堪えるのは嘘ではない。
「痛い……よ、うん、とっても痛い。でも、伝えたいのはそれだけじゃないはずだよね?!」
「――あぁ、嫌ねぇ、信仰なんて随分昔に忘れたはずなのに」
 スティアは口から吐き出す祝福を止めずに、言霊へと叫ぶ。それが壊れたレコーダーだとしても、記録の底には別の何かがあるはずだと、願っている。想っている。
 アーリアは、距離を取って戦おうとしていたにもかかわらず、言霊へと引き寄せられるように歩を進めた。
 『あの子が』『神を信じていたのに』『何故』。不連続の言葉の断片は、ややもすればリゲルやポテト、スティアらよりも彼女に重く響いたのかもしれぬ。
「私にはかけてあげられる言葉はないけど、多分。貴女達にも哀しいことがあったんだね。信じられないことが。それが、神様のせいじゃないかって、想いたくなるのも分かるよ」
 メルナも少なくはない打撃を受けつつ、声を拾い上げ思いを馳せる。信仰を疑らざるを得ないほどの出来事。その重みは正面から受け止めるには複雑にすぎた。
 だが、それを聞いてやらねばならぬのだろう、とも思えた。
「……そうか、君達も哀しかったんだな」
 行人は同情を強く感じさせる表情で言霊に歩み寄った。背後に生き残っていた紫陽花とあわせて仕掛けてきた攻撃を、しかし彼はこともなげに切っ先で逸らすと、流れるように言霊へと突き立てる。
「だが、それがどうした。お前達が人を食ったのも、俺達が殺すのも、どちらも生きるための身勝手だ。俺のために、死んでくれ」
「この花に誰が何を願ったのかは知らないが。人を襲ったんだ、駆逐されて当然だろう」
 行人の残酷、身勝手ながら道理の通った言葉に、フレイも当然とばかりに続けた。天義での戦いや復興を経て人々とふれあった者達は、きっとそれを信じられない人々、というものとは水が合わないのかもしれぬ。そのための拒否反応か。
「……生憎、私は一人じゃないのよねぇ。ごめんなさいね」
「私が癒やし、私が護り、私が受け止める。私の仲間を傷つける相手の言葉に、情を移してなるものか!」
 アーリアの声に顔を上げたポテトは、見る間に減っていく魔力を強引に周囲からかき集め、一秒でも長くと癒やしを続ける。
 信仰の度合いというより、この国への信望。信仰を捨てたアーリアの身を打ったのは、この国を想う心がゆえの反動であったのか。
「私は癒し手、皆を守るためにここにいるんだ! だから……あなた達の想いも受け止めて、癒やしきる!」
「お兄ちゃんは、こういうとき……迷わないと思うから。私もそうしてみせるよ」
 スティアは癒やす為に、メルナは疾く終わらせる為に。脳裏に響く誘いの声音を振り払い、自らの声でそれを拒否する。
「悪いな嬢さん方、懺悔と後悔はあの世でやってくれ!!」
 マカライトは揺るぎない。信仰と言えるほどのものもなく、そして情念に絆されるほど、花に狂ってもいないのだから。
「どれ程熾烈であろうとも、負けるわけにはいかない……アーリアさん!」
「ええ。人の想いを弄ぶことの罪深さ、きちんと教えてあげましょう?」
 リゲルとアーリアは、自らを苛んだ痛みを振り払って紫陽花に、そして言霊に打ちかかる。アーリアの唇から指先へと流れた魔力は、紫陽花を炎と狂毒で融かしていく。顔を上げた言霊の首筋に当てられたのは、リゲルの剣。引くことなく真一文字に薙いだ刀身は、泣き別れになってなお流れ続ける怨嗟の声を無視し、紫陽花の根が埋まっている場所を貫いた。

●願いと想い
「……そこに、残っているのかな」
「分かりません。ですが……首を斬ったときに、誘われるように体が動いた、気がして」
 リゲルが剣を引き抜くと、地面からずるりとペンダントが現れた。ペンダントトップは二つの石。ガラス玉に等しい価値しかなさそうなそれの意味に気付かぬ者は、この場にはおるまい。
「犠牲になった人たちの心が少しでも癒されるように、沢山の花を育てよう。此処もいずれ、誰かの為の場所になるように」
 ポテトは精霊達を集め、周囲の土に干渉し、種を植えていく。行人もそれに呼応し、作業を進めた。
 マカライトが紫陽花の残骸を灰に変えて撒く姿は、しかし誰も咎め立てすることはせず。
「もっと、早くイレギュラーズがこの異変に気付いていれば、誰も死なずに済んだのかもしれないな」
「それは過ぎた望みだと思うわぁ。私達が呼び寄せられた今が、彼女たちが助けて欲しいと思った時だったんじゃないかしらぁ」
 フレイの言葉に、アーリアは目を伏せ、諫めるでもなくそう告げた。全ては巡り合わせだ。切れた縁、繋がらぬはずのものが繋いだのは、悲しみだけではないはずだから。
「姉妹の二人も。天国でちゃんと、二人一緒だと良いな……」
 複雑な表情を見せたメルナをちらりと見ると、アーリアはポテトが咲かせた花の中へと歩を進めていく。
 仲間達も、そのいっときの奇跡のまえに、あらゆる懸念を今だけ置き去りにしたのだった。

成否

成功

MVP

フレイ・イング・ラーセン(p3p007598)
Immortalizer

状態異常

スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034) [重傷]
リインカーネーション

あとがき

 お疲れ様でした。
 リクエストシナリオだから……リクエストシナリオだから言うぞ……!
 ちゃんと……確認しような! 大事には至らなかったけど!
 まあそれを差し引いて余りあるくらいには頑張ってたからな、皆!

PAGETOPPAGEBOTTOM