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シナリオ詳細

再現性東京2010:炎天下に濡れる

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●8月
 蝉の鳴く声が響いている。勿論誰しもが聞いたことのあるであろう、あの声である。そうでなければ『再現』ではないのだから当たり前だ。しかしその声が本当に蝉から発されているのか? どこからか音声が流されているだけではないのか? そんな追及をこの再現性東京2010『希望ヶ浜』ではしない。そういうものであると認識する事こそが暗黙の了解である。
 勿論夏も終わりに近づけば蝉の死体が仰向けに転がっており、かと思えば最後の気力を振り絞って発される大音量の鳴き声──セミファイナルと言う者もいる──を聞くことだってある。本当の本当に蝉はいるのかもしれない。しかし繰り返すようだがその真偽は敢えて深掘りしないものとする。

 閑話休題。

 希望ヶ浜学園は幼稚舎から大学までエスカレーター式に上がっていく大きな学園であったが、学校である以上長期休暇が存在する。通常は夏休みと冬休み、そして学期が変わる頃には少ないながらも春休みなるものがあるかもしれない。今は夏も真っ盛りの時期のため当然ながら夏休みであった。学園への出入りは極端に減る──かと思えば、そうでもなく。
 ある者は補習へ。
 ある者は部活へ。
 ある者は委員会へ。
 ある者は秋に控える学園祭や体育祭の準備へ。
 様々な学生が、様々な事情により登校しているのだった。君たちイレギュラーズの中にも赤点を取ってしまった者や部活に入った者はいるだろう。教師として入っているのであれば部活の顧問を任されたりだとか、次の学期に向けた学習資料作成をしているかもしれない。
 だがしかし。イレギュラーズが請け負ったのは、そのような用事ではなかった。なかったのだが──受けないわけにもいくまい。この希望ヶ浜学園(雇われ)校長、無名偲・無意式からの言いつけなのだから。
『8月にはプール開きだ──』
 あの男の言葉はここから始まった。既に察している者もいるかもしれない。そう、こう切り出したからにはプールへのお呼び出しである。
 彼曰く。8月にはプール開きという事で、夏休みとなった学生や生徒が遊びに来ることも珍しくないのだと。暑い夏を思えば、家や寮に閉じこもっているよりも冷たいプールに入りたいということだろう。
 けれどもプールが年中解放されているわけでないのは、現代社会と呼ばれるような時代に生きていた旅人たちなら知っての通りだろう。室内ならまだしも、室外である。解放されない期間は当然掃除もされず、これでもかというくらい汚れ切ったプール……というか、もはや沼のようだ。ドロドロの何かが浮いていたりする。
 プールに辿り着いた君たちの手にはブラシが握られていることだろう。その他にもホースだったり、その他必要な道具はちゃんと用意されている。校長から『濡れても良い恰好で来るように』と先に告げられていたような服装にもなっていることだろう。勿論話を聞かずに制服で着た者はそのまま作業開始である。
 はぁ、と誰かがため息を漏らした。その息はプールへと零れ落ち、さんさんと差す夏の陽がイレギュラーズたちの頭を焼く。

 頼まれたからには仕方ない。始めよう──プール掃除。

GMコメント

●すること
 皆でプールを掃除する

●プール
 よくある25mプールです。希望ヶ浜学園内にあります。水が貼られたままですが、木の葉が浮かんでいたり泥が堆積していたりします。
 服装は校長より『濡れても良いもの』とされていますが、うっかり制服着て来ちゃったよ! もOKです。脱いでも良いけど全年齢でお願いします。
 皆さんの手元にはデッキブラシの他、通常必要そうな道具は用意されています。

 天気は快晴、とても暑いです。プール回りもとても暑くなっています。風も生ぬるいです。

●再現性東京2010街『希望ヶ浜』
 練達には、再現性東京(アデプト・トーキョー)と呼ばれる地区がある。
 主に地球、日本地域出身の旅人や、彼らに興味を抱く者たちが作り上げた、練達内に存在する、日本の都市、『東京』を模した特殊地区。
 ここは『希望ヶ浜』。東京西部の小さな都市を模した地域だ。
 希望ヶ浜の人々は世界の在り方を受け入れていない。目を瞑り耳を塞ぎ、かつての世界を再現したつもりで生きている。
 練達はここに国内を脅かすモンスター(悪性怪異と呼ばれています)を討伐するための人材を育成する機関『希望ヶ浜学園』を設立した。
 そこでローレットのイレギュラーズが、モンスター退治の専門家として招かれたのである。
 それも『学園の生徒や職員』という形で……。

●希望ヶ浜学園
 再現性東京2010街『希望ヶ浜』に設立された学校。
 夜妖<ヨル>と呼ばれる存在と戦う学生を育成するマンモス校。
 幼稚舎から大学まで一貫した教育を行っており、希望ヶ浜地区では『由緒正しき学園』という認識をされいる裏側では怪異と戦う者達の育成を行っている。
 ローレットのイレギュラーズの皆さんは入学、編入、講師として参入することができます。
 入学/編入学年や講師としての受け持ち科目はご自分で決定していただくことが出来ます。
 ライトな学園伝奇をお楽しみいただけます。

●ご挨拶
 愁と申します。平和に学園生活しようぜ!
 なおここに至るまでどうしてプール清掃を延期させたのかはわからないものとします。清掃するだけは飽きちゃうので適度に遊びつつ終わらせましょう。600字埋まるくらいには遊んで大丈夫です。
 それではご参加をお待ちしております!

  • 再現性東京2010:炎天下に濡れる完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2020年08月25日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エリザベート・ヴラド・ウングレアーヌ(p3p000711)
永劫の愛
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
メイメイ・ルー(p3p004460)
祈りと誓いと
新道 風牙(p3p005012)
よをつむぐもの
タイム(p3p007854)
女の子は強いから
ランデルブルク・クルーガー(p3p008748)
遍歴の
エスメラルダ・クペード(p3p008856)
十七女 藍(p3p008893)
希望ヶ浜学園の七不思議

リプレイ

●掬って掬って掬いまくれ!
 うわぁ、と誰かが漏らした。そりゃあそう言いたくもなるだろう。
「なんでここまで放っておいちゃったんですか……!」
 残念ながら『フェイスレスデッド』十七女 藍(p3p008893)の叫びに答える者はいない。校長は早々に姿を消している。目の前にあるのはただただヘドロ等が堆積し汚れきったプールだ。せめて水くらい抜いておけよ、と思ったかもしれないが過ぎたこと。悲しいかな、時間は巻き戻らない。
 ちなみにプールへ水を張っておくことでヤゴが育ったりもするのだが、それを意図して水が張られているかは不明である。少なくとも聞いてはいない。
「いやあ……これ……詐欺だろ」
 呆然と呟く『翡翠に輝く』新道 風牙(p3p005012)は『濡れても良い格好』と指示されたことからプールで遊べると思っていた。思っていたのにこの仕打ちである。
「そっかぁ、そうだよねぇ」
 引きつった顔の『揺蕩』タイム(p3p007854)はうんうんと頷く。まあ遊べるぞと言われたわけでもなく、当然掃除をしなければ使えない。情報不足を指摘するのは簡単だが、勘違いしたのはこちらでもあった。
 とはいえ、すごい状態であることに変わりはなく。『さまようこひつじ』メイメイ・ルー(p3p004460)は果たして綺麗になるのだろうかと一抹の不安をよぎらせる。
(いえ。いいえ。綺麗にしなくては、いけない……ですね)
 校長からの頼みと言えど、実質依頼である。引き受けて来た以上綺麗にすることは絶対条件だ。そう頷くメイメイの隣で風牙が自らの両頬をぱしんと叩き、メイメイはビクッと肩を跳ねさせる。一体何かと視線を巡らせた先では気合を入れ直した彼の姿があった。
「ッシャ!! 腹くくった! こうなりゃ徹底的に掃除してピッカピカにしてやんぞ!」
「は、はい……が、がんばりましょう」
 おー、と拳を突き上げる2人。タイムもまた頑張ろー! と元気よく声を上げる。その後ろでパラソルを立てるのは『夜に沈む』エリザベート・ヴラド・ウングレアーヌ(p3p000711)だ。手伝うぜと『特異運命座標』ランデルブルク・クルーガー(p3p008748)もパラソルを持つ。8人での作業だから2、3本立てれば十分だろう。
 教諭として学園に在籍する2人だが、正直こんな直射日光に晒されたくない。そもそもエリザベートは吸血鬼であり、その血は日の光を忌み嫌うものだ。
「屋根付きベンチがあれば尚良かったのですが」
「流石にないな」
 肩を竦めるランデルブルク。あれば彼とてそこで休みたいくらいである。ヒートアイランドだか知らないが溶けそうな暑さだ。ここまで再現しようとしたのであれば、その労力は不要だっただろうと物申したい。
「こちらも、ここまで放置した人に小言のひとつくらいは言いたい所ですね」
 エスメラルダ・クペード(p3p008856)は持って来ていたクーラーボックスをパラソルでできた日陰に置く。地面も熱されているため涼しいとは言い難いが、それでも上からの熱が遮られているだけ断然違う。夏が苦手かつ嫌いなエスメラルダとしてもこのままここにいたい。というか室内に入りたい。
「倒れたら保健室を開けましょうか……」
 別のクーラーボックスに氷水を入れて、たっぷり麦茶やスポドリを保管しておくエリザベート。塩分タブレットも存在するのはさすが練達である。それでも倒れてしまった看護教諭である彼女の出番だろう。きっと。
「オジサンはまだデスクも貰ってないんですけど。雇用一発目だよ」
 ランデルブルクはやれやれと肩を落としながら裏方作業に徹する。飲み物やタオル、塩飴などの消耗品は校長へあとで請求することにしよう。ここで倒れて責任問題になるよりマシである。
(まあ、これも教師の仕事と言えば仕事なのかな……?)
 『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)は首を傾げるが、深く考えることをやめる。これもまたひとつの経験だ。生徒の使うプール掃除くらいはやってみせようとも。

 まずはプールに浮かぶゴミを拾い上げていかなければならない。このまま水を抜けば排水口が詰まってしまうだろう。Tシャツに短パン、ビーチサンダルという出で立ちになったメイメイは網を握り、プールサイドからゴミを掬っていく。エリザベートがパラソル下から水を撒いてくれているので、プールサイドのタイルも多少はマシである。
 マシである、のだが。
(あ、暑い……)
 帽子も持って来ればよかったかも、とメイメイは額の汗を拭う。混沌の同じ太陽であるはずなのに、どうしてこうも暑いのか。これが東京という街か。
「大丈夫か? 帽子は?」
 同じようにゴミを掬っていた風牙がメイメイを覗き込む。その頭にある野球帽が今となっては羨ましい。持ってきてないのだと告げると彼は空を見上げた。
「この炎天下だからなあ。なら、こまめに水分補給するんだぞ!」
「ああ、それならあそこに沢山スポーツドリンクが入っているよ」
 水が抜けるまでプールサイドへの水撒きをしていたゼフィラがパラソルの下を指差す。そこには数人が同じ考えで持ち寄ったクーラボックスたち、そしてその中には多くの飲料が揃っているのだ。
 日焼け止めを塗り終わったタイムとエスメラルダもパラソルから炎天下へ出て、網を手にプールサイドへ。網に入るものは実に様々で、吹き込んだのだろう木の葉からビニール袋、果てには誰かが校舎側から投げ入れたのか牛乳の紙パック、そして名状しがたき何か。なるべく水を切り、ゴミ袋へ入れたならそこからはランデルブルクの仕事である。
「よし、この袋は閉めるか」
 臭いに顔をしかめながらランデルブルクは袋を閉じ、プールサイドの隅へ移動させる。もう少しこれができたら、まとめてゴミ捨て場へ持っていく予定だ。
 タイムは網で水流を作るようにぐるぐると掻き混ぜながら、落ちない程度にそっとプールを覗き込む。何があるか分からないほどに汚れたそこは、何某かの生き物が住んでいてもおかしくないだろう。
 ──不意に、泥の中から何かが飛んできた。
「みゃああっ!?」
 タイムの悲鳴に皆がそちらを向く。正体不明の何かへとっさにエリザベートがホースを向けると、びしゃりと命中してその泥を落とした。
「あ、え、カエル? ……カエル??」
 カエルのような、カエルではないような。おおよそ東京では見られないような生物が一瞬ののちに草陰へ飛んで逃げる。唖然としていた一同は、顔を見合わせると小さく笑い出した。
「さあ、もう少しですよ」
 エスメラルダはなるべくゴミへ触らないようにしつつ、網で掬ってはゴミ袋へ入れる。その脇をふよふよと飛んでいくのはバラバラ死体──ではなくて、藍だ。理屈は分からねど何故か飛べるアイテムを装着し、藍は皆が届かない中央のゴミを掻っ攫っていく。
 そうこうしているうちに、少しずつ排水されていたプールは床が見え。やがて完全に水が抜けたのだった。

「休憩にしましょう」
 時間を見計らってエリザベートが声をかける。太陽は天頂、昼時でもあった。一同は手を洗ってくるとパラソルの下へ集合する。ビニールシート、折り畳みベンチを思い思いに広げた一同は、エリザベートの開けた重箱に感嘆の声を上げた。
「作ってきておいて正解でした」
 エリザベートは紙皿などを配りながら呟く。所要時間を聞かなかったため念を入れての用意だったが、これがもし早く終わってもそれはそれで皆に食べさせていたことだろう。これだけの量、大人数いなければ食べきれないだろうから。
(日頃の成果ですね)
 詰められたおにぎりや卵焼き、唐揚げは美味しそうだし形も整っている。全ては手料理を作り帰りを待つことが増えた日々のおかげだろう。ルーティンとなることで人間の料理を覚えることもできている。
「ふーーー……いきかえるーー……」
 スポーツドリンクを一気飲みして息をついた風牙は野球帽を取って扇ぐ。この時間帯ともなると、どうも暑くてかなわない。
「炎天下の労働は堪えるね」
 腰をさするタイムが苦笑するけれど、その甲斐あってだいぶプールはプールらしい箇所を見せ始めている。汗か水か分からないもので濡れていた服も夏の日差しですっかり乾いていた。
「倒れない程度にやりましょう。アイス、食べますか?」
 クーラーボックスから出したアイスを食べていたエスメラルダは視線を巡らせる。次々上がる手に『足らなかっただろうか』と考えるもつかの間、領収書を確保したランデルブルクが追加のアイスを買ってきた。
「ふふ、みなさんの準備が万端なので、助かり、ます」
 メイメイはアイスを受け取ると、溶け落ちてしまう前にとパクリ。口腔を冷たさが満たした。


●水放出!
「あと一息! がんばるぞ!」
 回復した風牙がプールを前に仁王立ち。そこにはカビなのかコケなのかもわからない緑色の何かがこびりついている。
「乾かないように、水をかけないと、いけません、ね」
「ああ! 準備はバッチリだぜ」
 ホースを持った面々は片手にデッキブラシを持ち、水をかけながらデッキブラシでコツコツとこそぎ落としていく。ゼフィラもまたそこに混じっていたが、ふと見渡した時の進捗には思わず目眩がしそうだった。
(練達ならもっと便利グッズとか……いや)
 そう考えかけて頭を振る。練達なら出来ないことはないだろうが、ここは再現性東京。東京という場所に無い物はそもそも人が受け入れない場所だ。練達の発明品もまた然りというやつだろう。
 なればこそ、人力──或いは工夫でなんとかせねばなるまい。
「ふふふ、コイツでドロドロへと引導を渡してやりましょう!」
 藍は思い切りホースの放出口を潰し、水圧をあげて汚れを飛ばしていく。これこそ汚れへ触れずに駆逐する技である──が。
「あっ」
 その力に藍の腕が耐えられず、つるりと。
「うわっ!?」
「ひゃああ!」
 あたりに水が舞い、一同をびしょびしょに濡らす。驚いたメイメイもまた自らの持っていたホースを滑らせ、噴水のように水が真上へ飛び出した。
「わっぷ、」
 思い切りかぶったメイメイはふるふると頭を振り、目を瞬かせる。驚きはしたものの、炎天下のなかではこれが案外気持ち良い。他の皆も同様のようで、だんだんとはしゃぐ声が大きくなる。
(まったく、若いな)
 そんな若さもないサンダルブルクは肩を竦め、日陰で休みつつ裏方仕事をこなしていく。適度にヒールを飛ばすエリザベートとともに、彼らを休憩へ促したり乾いたタオルで拭かせたりすることも忘れない。
「皆、体調は大丈夫かい?」
 ゼフィラの言葉に返ってくるのは元気な声。問題なさそうだとゼフィラはプールへ再び足を向ける。
「焼き払ったり出来ない事がもどかしいですね……」
 エスメラルダはまた太陽の下へ行くのかと若干疲れた顔。一掃できるならそれに越したことはないが、この場所がそれを望まない。なれば出来る限りの方法で頑張るしかないのだ。
「あとちょっとだし、お掃除終わった後が楽しみー!」
「綺麗になっていくと、なんか気持ちいいしな!」
 タイムと風牙は元気にかけていく。その後を藍はデッキブラシ片手に追った。
 最後の最後は水でも落ちない汚れを徹底的に、力を込めて擦り落とす。これが結構力技なもので、ホースで遊んだ後ともなれば心身ともに疲労は濃い。それでもこれが最後である、とイレギュラーズは無心で目の前の汚れを撃退したのだった。



 すっかり綺麗になったプールへ水を張る。もちろん校長の了承済みだ。炎天下の真夏にプール清掃をしたのだから、一番乗りの栄誉をもらってもバチは当たるまい。メイメイがわくわくしながら見守る中、徐々に綺麗な水が溜まっていく。その間に準備運動を済ませた風牙はウェットスーツ姿になると、プールへドボン! と飛び込んだ。
「つめてー!」
 ぞわっと背筋が粟立ったものの、慣れてしまえばただただ気持ち良い。Tシャツ短パンを脱いでスクール水着になったメイメイも、ゆっくりと足先からつけて水に慣らしていく。
「ふむ。せっかくだ、力試しでもしてみようか」
 ゼフィラも準備運動を終え、スタート地点に立つ。自分がどれだけ泳げるのか挑戦だ。それより2レール隣では他の面々のんびりゆっくり浸かり、冷たさに表情を緩ませている。
(水に浮くくらいなら出来るかもしれません)
 そう思ってプールへ入ったエスメラルダだが、元よりそこまで深さはない。底に爪先も届く。しかし浮力をより感じるため、エスメラルダは用意されていたビート板を抱えるのだった。
 その隣ではタイムが自前の浮き輪でぷかぷか浮いている。その表情は気持ち良さそうであるが、滲む疲れは隠しようもない。
(水が張り終わるまではやる気だったのに……)
 全部終わったんだ、と思ったらつい気が抜けてしまって、腕のひとつだって動かしたくなくなってしまった。それでもプールに入らない選択肢はなかったが故にこの状態である。水に触れている箇所こそ冷たくて涼しいが、上からはさんさんと太陽が照りつけ、どこからか聞こえてくる蝉の大合唱は鳴り止まない。
(でも、こういうのも良いかも)
 小さく笑ったタイムは、視線をあげてランデルブルクを見る。プールサイドで休んでいる彼も疲れ果てて、すっかり溶けてしまいそうだ。しかし水の中に入る気はないらしく、「水かけるなよ」と念押しをしていたのもつい先ほどの話。けれど、ほんの少しばかりの悪戯心が掌へ水を掬わせる。
「つめたっ!?」
 かけるなと言われればかけたくなるのが人というやつで。同時にやれば報いを受けるのは道理である。
「全く……溶けてるオジサンに水をかける悪い生徒は──こうだ!」
 用意していたDX水鉄砲でやり返すランデルブルク。しかし元よりプールに入っているタイムからしてみれば『気持ち良い』『楽しい』といった具合だ。最早濡れているのだから、これ以上濡れても問題ないのである。
 やれやれと肩を竦めるランデルブルクに、そわそわした雰囲気の藍がこれまた手に水を掬っているのだが──まあ、お分かりだろう。
「はい、一旦水から上がって水分補給してください」
 パラソルの下、エリザベートが時間を見ながら皆へ声をかける。プールとて脱水症状にはなるのだ、油断できない。看護教諭として体調管理に気を使うのは当然のこと。
 こうして、一同はプール一番乗りを思い思いに過ごしたのであった。

成否

成功

MVP

十七女 藍(p3p008893)
希望ヶ浜学園の七不思議

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした、イレギュラーズ!
 プール行きたいですね。涼しくなりたいですね。少しでも涼を感じて頂ければ幸いです。

 それでは、またのご縁をお待ちしております。

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