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シナリオ詳細

全てを噛み砕く池の怪

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 先日、幻想アーベントロート領の沼で起こった事件。
 何者かがこの沼へと働きかけたことによって毒ガスが噴き出し、さらに2体の巨大ガエルが現れて周囲のモノを飲み込んでいたという。
 事件はローレットイレギュラーズ達の活躍によって、巨大ガエルが討伐され、沼の浄化と合わせて卵も含めて処分され、一応の解決をみた。
 だが、薬品らしきものの臭いが確認されたこと、別に毒ガスが発生していたことは分かったが、事件の全容解明には至っていない。

 幻想某所のとある池。
 それなりに広く、水浴びくらいならできそうな場所。奥の方はそれなりの水深もあるようで、多数の生物が生息していたようだ。
「…………」
 朝、霧の中に現れた人影。
 それは周囲を見回すようにしてからとある池へと近づき、何やら取り出した薬瓶から池へと液体を流す。
「ったく、廃棄物の処理も大変だっての……」
 ぶつぶつと言いながら、そいつは姿を消していく。
「…………!」
 一方で池の中、流し込まれた薬を浴びたカミツキガメが瞳を輝かせ、すぐに一回り体を膨れ上がらせたのだった。


 幻想ローレット。
 現状、豊穣や練達の依頼が出回る状況であるが、そんな中で目を引いたのは、とある幻想貴族からの依頼。
「以前もありましたね……。リーゼロッテ・アーベントロートさんから頂いた依頼」
 『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)は依然、領地内の沼に現れた巨大ガエルの討伐を任された話を思い返す。
 だが、またも領地内で似た事件が発生することが分かり、すぐさまローレットへと依頼が入ったのだ。
「今度は池、巨大カミツキガメが現れるとの情報がありました」
 前回の状況が酷似していることもあり、被害者が出る前に池周辺を封鎖。
 やはり、池のあちらこちらで毒ガスが噴き出していることが分かっている。
 どうやら、依頼者であるリーゼロッテもある程度この事件については犯人が分かっているようだが……。
「直接、自分が動くまでもない事件だと思っているらしいですよ」
 しかしながら、領地内で起こる事件は気に食わないので、とっととイレギュラーズに片付けてしまってと解決を依頼してきたそうだ。
「確証はないですが、リーゼロッテさんの直轄している組織の関係者なのだと思われます」
 リーゼロッテが表立って動かないのは、身内の不始末だからなのかもしれない。下手にこれが他の貴族達にでも詰問されてしまうのは避けたいのだろう。
 
 さて、状況だが、場所は領地内のとある池。
 普段はボートを楽しむことができるくらいの規模の面積はある。
 前回の沼と同様に池のあちらこちらに毒ガスが発生しており、触れるだけで体力が減少してしまうので注意したい。
 水深は5m程度で、今回現れる巨大噛みつきガメは池の中のどこにいても、甲羅や頭を水面上へと出す形となるので、発見は容易だろう。
「ただ、戦闘能力が高くなっているのが厄介ですね」
 直接噛みついてくるだけでなく、遠近で攻撃を切り替えて攻めてくる相手だ。
 水中は亀にとって自在に動くことができる場所。池の外へとおびき寄せてから戦うと幾分かは楽に戦えるだろう。
 また、この戦いの合間に、池に何か薬液を流し込んでいる人物の確保も合わせて願いたい。
 相手は戦いのどさくさに紛れて現れ、池に何か薬瓶の中身を流し込むとアクアベルは自身の予知能力で視ている。
 これは前回の事件で臭いに注目したメンバーからいたからこそ、分かったことだと彼女は言う。
「毒ガスの発生はおそらく、複数の薬品が合わさった悪影響と思われます」
 特定の薬品の影響でカメが巨大化、そして、複数の薬品が合わさった影響で毒ガスが発生したと見られている。
 懲りずに同じ手段を使い、薬品を流し込んだ理由までは本人に聞かないと分からないが、おそらく処分に困ったのだろう。
「なんとも身勝手な人物です。是非とも捕まえて、リーゼロッテさんに突き出してあげてくださいね」
 巨大ガメの討伐と黒幕の確保を合わせて、アクアベルはイレギュラーズ達へと依頼するのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。

●目的
 巨大カミツキガメの討伐及び、池に毒ガスを発生させた何者かの確保

●概要
 幻想某所の池に現れた巨大カミツキガメの討伐と合わせ、以前の事件と同様に毒が発生している箇所があります。
 池のカメを巨大化させ、毒を発生させた人物の確保も合わせて願います。

 また、今事件は拙作「全てのみこむ沼の怪」の解決編を想定して運営しておりますが、今回の事件の解決に当たってそちらを読む必要はございません。

●敵
○巨大カミツキガメ
 全長5~6mほどあるカミツキガメ。
 最初は池の中におり、水中にいると動きに補正がかかります。
 魔素の影響か、巨大化かつ怪物化し、目についた生物目がけて片っ端から噛みついてきます。
 それだけではなく、威嚇態勢をとって相手の注意を引いたり、地団駄を踏んで周囲の相手の身を竦ませたり、スピンアタックを行ったりと見た目以上に素早い相手です。
 また、水を砲弾として発射する術も持っている為、遠距離でも油断はできません。

○??
 この池に何か薬品を流し込んでいる人物です。
 どうやら、前回の沼にも何かを行っており、生物の巨大化、及び毒素発生の元凶とみられます。
 何らかの抵抗は考えられますので、細心の注意を払って捕獲に当たる必要があるでしょう。

●状況
 池は水深5m前後なので、外目からでも巨大ガメは確認できます。
 水中でも戦えますが、水中のあちらこちらで毒が発生していること、巨大ガメの動きが一掃素早くなることも合わせ、陸に誘導した方が戦いやすいでしょう。
 また、戦闘中のみ、どさくさに紛れて黒幕らしき人物が行動を起こし、池へと何かを行うようです。
 前回の事件を知ってなお同様の行いをしていることもあって、全く懲りていないと思われますので、厳しめに対応して問題ないでしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 全てを噛み砕く池の怪完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年08月18日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)
優しき咆哮
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
コゼット(p3p002755)
ひだまりうさぎ
天之空・ミーナ(p3p005003)
紅矢の守護者
羽住・利一(p3p007934)
特異運命座標
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師
アシェン・ディチェット(p3p008621)
玩具の輪舞

リプレイ


 幻想アーベントロート領。
 再び起きた水辺での生物巨大化事件の解決に、ローレットイレギュラーズが臨む。
「生き物を大きくすることができる薬品……だなんて、それだけでしたら大発明かしら?」
 鉄騎種の孤児である『玩具の輪舞』アシェン・ディチェット(p3p008621)がそんな疑問を口にするが、皆が危険な目に合うなら、褒められないかもと思い直し、少し残念がる。
「何回も毒……というか変異するなにかを撒くのってなんかマッドなサイエンティストな感じが……」
 鷹の飛行種、『猫さんと宝探し』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)がそんな主観を交えて語ると、和装の青年『魔剣鍛冶師』天目 錬(p3p008364)が渋い顔をして。
「廃棄方法が杜撰過ぎる……」
 実験はさておき、未処理でそのまま捨てて、その後の影響も知らんぷりとは、研究者として失格と罵られても仕方ないと毒づく。
 しかも、巨大化と毒性ガスの発生からして、複数の薬剤を一ヵ所に流していたと事前情報では報告されている。
「……お前、雑用かよってレベルだな」
 これはアーベントロート領の、別の意味での恥部だと錬は考える。鍛冶師である彼にとって錬金術は専門外ではあるが……。
「こんな馬鹿な事を続けているのは許せん。とっちめなくてはな」
「巨大カエルの次は巨大カミツキガメとはね」
 長い銀髪と耳を持つ女性、『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)はふわふわ浮かびながら小さく微笑む。
「前回といい。お嬢様の動きからしてやはり何か知っていそうね」
 邪推が邪推じゃなかった。レジーナは自らの考えが正しかったことを裏付ける。
 とはいえ、思惑の読めないリーゼロッテのこと。今回の仔細も語る気はないのだろうが、株を上げておくまたとないチャンスなのは確かだ。
「まーた、どっかのバカが生物の命を弄んでんのか?」
 多少だるそうな印象を抱かせる『天駆ける神算鬼謀』天之空・ミーナ(p3p005003)は露骨に嫌悪感を示す。
「まえにも、似たような事件があったんだ」
 皆の話から状況から同一人物と察する兎の獣種、『ひだまりうさぎ』コゼット(p3p002755)。
「分かってやってなくても、ひどいし、分かってやってるんだったら、そんなのゆるせないね……!」
「自然を汚すだなんて、私が元々いた世界じゃ大罪だよ」
 秘境探検家の元男性、『特異運命座標』羽住・利一(p3p007934)は犯人の目的はさておき、少なからず不快感はあったようで。
「二度とこんなことをさせないよう懲らしめてやろうじゃないか」
「殺してはいけないとは難儀だね」
 荒野の戦闘民族であり死刑執行人である『宝飾眼の処刑人』シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)は依頼内容に少し難色を示す。
 人の命を奪うことを生業とする者にとって、生け捕りは依頼の難易度を跳ね上げるものなのだろう。
「環境にもそこの生き物にも悪いし、こらしめないとね!」
 リーゼロッテがすぐ動かぬ致命的な事態ではないのだろうが、それでもとアクセルが意気込む。
「どういった相手かもわからないし、気をつけて行こうか」
 シキは犯人に注目しているが、もう一つ放置できぬのは巨大ガメの存在。
「亀に恨みはないが……とっとと解決するか」
 確実に生態系を壊す存在と成り果てた異物の討伐に意欲を見せるミーナに、皆大きく同意していたのだった。


 問題の池を前にするメンバー達。
 明らかに甲羅と頭が露出している相手はさておき、情報通りなら近場に怪しい人物もいるはず。
 すでに、レジーナは周囲の霊へと語りかけ、その捜索も行わせているが、合わせて毒ガスの発生する危険な場所の特定に動く。
 ここは2グループに分かれ、それぞれの対応を同時に行うことに。
 アクセル、レジーナ、コゼット、ミーナ、錬の5人は巨大ガメ討伐班。
 まずは亀にとって有利、かつあちらこちらで毒ガスが湧きだしている池の中からつり出す為、陸地から誘導を試みることに。
 コゼットはうさぎの幻影を出現させ、巨大ガメを池から誘き出してみる。
「うまく誘き出せるかな……?」
 動物知識を活かし、それらしく動かしてみると、相手は水弾を飛ばして牽制はするが、まだ陸地へ移動はしない。
 錬も練達上位式を使って囮を作成する。見た目は別班アクセルをチョイス。レジーナもまたギフトで分身を使い、陸地へと誘い出しを行う。
 カメは興味を示してさらに水弾を飛ばしはするが、まだ池の一所から動こうとはしない。
 黒いキューブを発現させ、ミーナは巨大ガメに苦痛を与えんとする。
 効きは程々と言ったところ。1度で目的の状態異常を付与させるのは難しく、耐性がそれなりにあるようだ。
 そのタイミング、相手の注意を囮で引きつつ、錬は巨大ガメの力の封印も合わせて試みる。
「…………!?」
「かかったな」
 2度目で相手の力を一時的に封じた錬は小さく笑う。これでしばらく水弾は飛んでは来ない。
 巨大ガメもやむを得ないと感じて近づいてくる。
「効果、あったね」
 コゼットは石を投げ込む必要はなさそうだと迎撃態勢を整える。
「カメは強敵そうだけれど……」
 その状況を見守っていたアクセルは、利一から預かったファミリアーに視線を向けていた。

 黒幕確保班には、シキ、利一、アシェンの3人が当たる。
 ライフル・グリード・ラプターによって超視力を得たアシェンは、少し離れた場所から池を一望する。
「こんな状況で見物でもなく、池に怪しい動きをしている人がいたら……」
 予知能力の内容から目星をつけられそうだと考え、アシェンは人影が近づいてこないか捜索を続ける。
 利一もまた、超視力で池を遠方から見渡し、不審な物陰を探す。
(私は周辺警戒を頑張らせてもらおうかね)
 シキは毒ガスの噴出が多い地帯や匂いが強い方向を確認すべく、近場から捜索を行う。
 毒ガスを直接浴びぬようにするのはもちろん、他2人が超視力で探していることもあり、シキも十分に警戒を行う。
「あれは……」
 そこで、利一、少し遅れてシキが人影を発見する。
 発見の合図をカメ討伐班に出しつつ、彼女達はその取り押さえに動くのである。


 巨大カミツキガメは徐々に池から上がり、その巨体をイレギュラーズ達の前にさらす。
「池から上がってきたなら……」
 アクセルは相手の封印が残っている状況もあり、いち早く接敵して破壊のルーンを空中に描く。
 急激に空中が凍り付いていき、不可視の雹が巨大ガメを襲う。
 レジーナは霊魂に警戒を続けさせながらも、戦力を分散せざるを得ないこの状況でなんとか持たせるべく、毒手を伸ばして巨大ガメを一層苛む。
 また前方ではコゼットがウサギの耳をゆらゆらと揺らし、巨大ガメを煽る。
「池は毒がはっせーしてるし、風で毒が飛んでくるかもだね」
 その考えたコゼットは引き付ける巨大ガメを池から遠ざけ、且つ風上の方へと誘導していく。
「悪いな、お前に恨みはないんだが……、これも仕事なんでな!」
 ミーナはまだ相手が満足に力を使えないと判断し、燃え上がる業火を浴びせかけて巨大ガメを攻め立てる。
 仲間の攻撃が集中する巨大ガメの様子を目にしていた錬は自らの肉体に再生の力を付与した。
 そして、式符より陽光の鏡を創鍛し、鏡面から光線を放っていく。
「オオオオオオオォォォォ!!」
 膨大なエネルギーを浴びて悶える巨大ガメは4本の足をばたつかせ、地面を揺らす。
 それに耐える亀討伐班、近場のメンバーが振動を堪える間に、巨大ガメも能力が使えると確認したのか、水弾を発射すべく水を集め始めるのだった。

 一方で、黒幕を発見したメンバー達。
 遠くからそいつを視認する利一、アシェンが近づいてくる中、シキもこっそり怪しい人影へと近づいていく。
(こういうのはバレないうちになんとかするに限るよねぇ)
 なお、その人影は少し破けた白衣を纏っており、眼鏡を吊り上げながら懐から薬瓶を取り出す。
 一度に蓋を開き、そいつは一気に池へと投げ飛ばすと、化学反応が起こって毒ガスが発生し始める。まさに『混ぜるな、危険』だ。
 頷き合う3人はタイミングを合わせて仕掛けていく。
 まずは、シキが一定距離を保ち、魔眼で人影を見つめる。
「…………」
「ひ、ひいっ!?」
 悲鳴を上げたそいつは慌ててその場から逃げ出す。
「逃げるつもりか? この卑怯者め!」
 すぐさま利一が名乗り口上をあげ、人影の注意を引こうとする。
「くっ……」
 その人影は護身用と思われるナイフや薬品を投げつけて抵抗してくる。
 捕まるわけにはいかないと思いっきり暴れる白衣の人影。
「処刑しちゃえたら楽なんだけど……なんて」
 大儀そうに呟くシキは、魔術を撃ち込んで。
「ま、処刑人は処刑人らしく、淡々と依頼をこなすだけさ」
 そのまま相手を白衣ごと切り裂いていった。
 間髪入れず、利一が『因果を歪める力』の残滓を指弾で撃ち込み、そいつを弱らせていく。
「ひ、ひいいっ!!」
「ん……」
 『アナザーアナライズ』で敵の力を解析していた利一が何かに気付く。
 その戦いを注視していたアシェンも同じことを考えていたようで、思った以上に相手の抵抗が小さいことに気づく。
 どう見ても、相手は戦い慣れした相手とは言いがたい。
 確かに、怪しい薬を所持し、最低限の護衛術レベルは修めているようだが、イレギュラーズからすれば大したことの無いレベル。薬さえ直接浴びなければ、どうにかなりそうだ。
 2人が上手く抑える間、アシェンは素早く迫って思いっきり相手の顔面を蹴り上げる。
「ぶげええええっ!!」
「終わり、だな」
 顔を伏せたシキがそっけなく告げた後、念の為と利一が胸部へと慈悲の一撃を指弾で叩き込み、意識を失わせてしまう。
「絵的にとても酷い物になりそうだけれど……」
 そして、アシェンを中心に、まだこの白衣の男が所持している薬品を回収していく。
 アシェンはなんとも無様な姿になる男に目を背けそうになるが、目覚めたときにそれを使って逃げられてはたまらない。
 そこに、異変を察したアクセルの知人である白豹の獣種、スノウが駆けつけて。
「何やら異変を聞きつけてな」
 この場は彼が見てくれるということで、残ることも考えていたアシェンを含め、3人とも巨大ガメと交戦するメンバーの援護へと向かっていくのである。


 池から陸に上がった巨大カミツキガメは水中での機動力こそ削がれているが、強敵であることには変わりない。
 遠距離で水弾を撃つのはすでに視認済みの面々だが、近寄ると地上でもスピンアタックを繰り出してくる。
 ゆらゆらとウサギの耳を揺らして巨大なカメを翻弄していたコゼットは、それを避け損ねてパンドラを使いつつも、敵の前脚を蹴りつけていく。
 さらに錬は水弾を撃とうとする敵の目を狙って、光線を発射して。
「閃光攻撃とくれば目潰し、当然だな?」
 効果的に攻撃を仕掛けて被害も合わせて防ごうと錬は考える。
 だが、その光を堪えた巨大ガメはしっかりと水弾を放ち、距離をとろうとしていたアクセルが不意を突かれた形で受けてしまう。
 なんとかパンドラに縋って倒れることを拒絶したアクセルは自らの回復と合わせて、前線メンバーの回復に回る。
 封印状態の解けた敵に、ミーナは再び簡易封印を施そうとするが、そう簡単に幾度も力を抑えられはしない。
 抵抗した巨大ガメはさらに威嚇態勢をとって仲間の注意を引いてくる。
 それもあり、ミーナは仲間の恐怖を打ち払い、万全な状態で戦えるよう援護していく。
「さぁ、此方へ来なさい。我(わたし)は敵よ、不倶戴天の敵」
 レジーナはと言うと、巨大ガメに対して呪いを放出する。
「ならば食い殺しに来なさい」
 一時的に巨大ガメが吹っ飛ぶものの、そいつは瞳をぎらつかせてゆっくりと近づいてくる。 コゼットもできる限り身のこなしで避け、暗器で敵の巨体を弾いて乗り切り、殺人剣で敵の頭から首を狙って斬りかかっていく。
 そこに駆けつけてきたのは、黒幕を対応していたメンバー達。
 利一は距離を取り、黒幕同様歪業を指で弾いて使い、巨大なカメを攻め立てる。
「こちらは手加減もいらないわね」
 アシェンは麻酔銃の弾薬を改造した特殊弾を撃ち込み、敵の動きを阻害しようとする。
 巨大ガメの討伐が難航していると判断したシキも、素早く接敵して魔術を織り交ぜつつ処刑剣で切りかかっていく。
「パカダクラの出番はなくなったかな」
 黒幕を捕まえるのが思った以上に早かったらしい向こう側の状況を察し、仲間の回復を続けるミーナは駆けつけた母ヒリュウと共に交戦を続ける。
「しっかり働けよ。娘をほうって勝手に死にかけた罪なんだから、これくらいなんてことないよな?」
「任せてミーナ」
 お気楽な様子で前線を預かるヒリュウは蒼の双剣で攻防バランスの取れた攻めを行い、巨大ガメを牽制、傷つけていく。
 そんな母の態度がまたミーナを悪態づかせていたようだ。
「オオオオオォォ……!」
 錬が現した陽光の鏡より幾度目かの光線を放ったことで、巨大ガメは大きく態勢を崩し、地面へとへたり込む。
 そこで、ミーナも攻勢へと移り、聖剣を振りかざして悪夢の炎を浴びせかけていく。
 一気に畳みかけるべく、レジーナもまた巨大ガメへと近づいて。
「剣の鋭きこと魔性の帯びたる刃にて、相合わさり双び撃つ……剣魔双撃!」
 発する刃は魔術で研ぎ澄まされ、硬い甲羅もやすやすと切り裂いて。
「オォ、オオオォォォ……」
 目から光を失った巨獣は完全にへたり込み、その場から動かなくなってしまったのだった。


 多少の被害こそあったが、巨大カミツキガメの討伐と黒幕である領主直轄の施設元研究員を確保したイレギュラーズ一行。
「池は……もとにもどるのかな、これ」
 コゼットがそんな疑問を抱くが、前回、沼の浄化を行ったイレギュラーズも居た為、状況を見て誰かが依頼を持ちかけてくれる可能性は高い。
「これは下手に捨ててよい物でもないものね」
 アシェンは研究員の持っていた薬品を回収する。一応、持ち帰って提出も考えていたようだ。
 その間に、ロープで縛り付けた研究者が目覚めたのに気づいた錬が呆れながら声をかける。
「全く、薬品を開発するならその処理方法もちゃんと学んでおくんだな」
 そこで、疑問を抱くアシェンは完成品にも毒がないかと考え、きちんとお話して下さったら罪も軽くなると交渉しつつ尋ねる。
「薬は失敗作として、完成品もあるのかしら」
 ただ、研究員は頭を振って。
「か、完成には至っていないはずだ」
 その為、人に対する投薬には至っていないとのことで、アシェンも安堵する。
「じゃあ、なぜ、普段通り廃棄できなかったんだ? 亀が巨大化していたのも知っていただろう」
「それは……」
 歯切れが悪い研究者。知っていて強引にやっていたといったところか。
「本当ならば、私が直接裁きたいところなんだがね」
 歩み寄るミーナはじーっと相手を見つめ、ぼやく。
「リーゼロッテが処分するっつーてるんだから、任せるさ。きっと死んだ方がマシって罰があるだろうしな」
「そうだね、リーゼロッテさんに突き出しちゃおうね。おしおきしてもらおうね」
「ひいっ!」
 ミーナやコゼットがその名を口にするだけで、叫び声を上げる科学者。
 考えてみれば、『暗殺令嬢』なんて二つ名を持つリーゼロッテだ。
 その気になれば、事件報告を聞いて直接この科学者の首を跳ねるくらいわけはなかったはず。
「お嬢様の領土で好き勝手というか。変な事件を起こすなんて良い度胸なのだわ」
 だが、我慢できそうにない者がここに1人、リーゼロッテに特別な想いを抱くレジーナだ。
「これがお嬢様の顔に泥を塗りたくる事になるのであれば、この場で『無かった事』にしても良いのだけれどもね」
「ひっ、ひいいいっ!!」
 殺意すら抱くレジーナに、研究者は腰が引けて。
「何故こんなことをしたのかしら?」
 レジーナは前回の事件や情報屋のウリちゃんこと阿玲星 ツメウリから集めた情報も踏まえ、こんな推論を展開する。
 アーベントロート領関連にて、リーゼロッテが推進、許可した研究。
 合わせ、ここ2件は生物の巨大化する事件が続いたが、それらから至ったレジーナの推理とは。
「……まさか、巨乳の研究とか」
「…………」
 全身をガタガタ震わせる研究員は何も語らない。これはリーゼロッテから喋らぬよう釘を刺されているとみていいだろう。
「どちらかと言うと不法投棄するような。そんな不届き者がいるかどうか」
「わ、私は逃げたかっただけなんだ! だが、こんな薬、国外に持ってけるはずないからな……」
 研究所から物資を持ってきながら、国外逃亡を図ろうとしていたこの研究者。ただ、間違って件の薬の数々まで持ってきてしまったのが運のツキ。
 やむなく領地内で身を隠しつつ、強引にでもその処理を行いつつ急いで国境を渡ろうとしたのだが……。
 生物巨大化に毒ガス。これを合わせることで、なんとか原因をごまかしつつ薬を廃棄、国外へと逃げ出そうと目論んでいたらしい。
 なんとも間の抜けたことである。いや、それだけ精神的に追い詰められていたのか……。
 ――どこからか、笑い声が聞こえた気がする。
 こうしたイレギュラーズの行動もまた、『彼女』にとっては享楽の種。
 実はどこからか今回の討伐及び捕り物劇を見ていたのかもしれない。『忙しい』と依頼をローレットに投げたにも関わらず、だ。

 ちなみに、リーゼロッテに突き出されたその科学者は何を思ったのか、数日後、研究所へと戻って研究を再開し始めた。
 じーっとしばらくリーゼロットに見つめられただけで、彼は逃亡する気すら失くしたとも言われるが、本人がそれを語ることは無い。
 なお、行う研究は背を伸ばす薬だとか、胸を大きくする薬だとか言われているが、結局真実は闇、いや、混沌の中である……。

成否

成功

MVP

善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPはリーゼロッテへの強い敬愛を感じさせた貴方へ。
 今回はご参加、ありがとうございました!

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