PandoraPartyProject

シナリオ詳細

凶兆告げる件(くだん)

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 練達某所の街、クレオラ。
 ここには様々な研究者が集い、日々研究に打ち込んでいる。
 練達に住まう者達の最終目的は『強制召喚を打ち破り、元の世界に帰還する事』。その為に様々な切り口でそれぞれの研究に勤しむ。
 そんな技術を機械や魔術といった方面に特化した彼らをもってしてでも、生まれては消えていく都市伝説というものの実体を掴み切れずにいることが多々ある。

 件(くだん)という都市伝説がある。
 某世界にて、19世紀ごろから確認されるようになったその存在は、体が牛で頭が人間であるという。それゆえに件は「にんべん」に「うし」と表記されるのだろう。
 さて、件は作物の豊凶や疫病、天災などの予言をすると言われる。予言は必ず的中するとされており、タイミングは諸説あるが予言を行った件は死亡するという。
 ただ、練達に現れた件は歪んだ形で顕現しているらしく、口にする予言は人に害する者ばかり行い、実現させて人々を不幸のどん底へと陥れていくのだという。
 もはや、突発的に出くわす災厄。
 クレオラの住民達は件に出くわさぬよう怯えながら、日々を過ごすのである。


 幻想ローレット。
 現状、依頼掲示板には、豊穣、カムイグラ関連依頼を多く見かける状況であるが、アラン・アークライト (p3p000365)はそんな中で探していたのは、練達の依頼。
 丁度、そこで目に入ったのは件という都市伝説の調査、討伐依頼だった。
「……ああ、その依頼ですね」
 依頼を出していたのは、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)だ。
 ウォリア (p3p001789)、ウィズィ ニャ ラァム (p3p007371)、仙狸厄狩 汰磨羈 (p3p002831)。その依頼に興味を示した者が続々と集まる。
 アクアベルは練達を訪れた折、依頼者であるクレオラの研究者達から件討伐依頼について託されたという。
 件の報告例は現状、クレオラでもかなりの数上がっており、もはや都市伝説と言うには多すぎてその存在は確かなものだと確信されている。
「件はこの街に3体いると見られています」
 基本、件は個別に行動しているが、自身では手に負えないと判断した相手には3体で襲いかかる事例があったという。
 リュグナー (p3p000614)、メルーナ (p3p008534)話が進むごとに、耳を傾ける者が増えていく。
「その全てを倒さねば、おそらく件は増え続けるものと思われます」
 新たな予言を告げ、さらなる被害者が出てしまう前に、件を止めねばならない。
 先程のアクアベルの話によれば、1体を引きつけられたなら他も寄ってくるはず。
「目撃例はほとんど夜、少人数によるものです。ですので、夜に人気のない街中を歩けば、おそらくは……」
 笹木 花丸 (p3p008689)、メルトリリス (p3p007295)も途中から加わり、話を聞きながら作戦を考える。
 後は、参加メンバーで打ち合わせを行い、細部を詰めていくのみ。
「どうか、この街の研究者達が安心して研究に打ち込めるよう懸念事項を払拭してあげてください」
 最後にそう説明を締めくくり、アクアベルは頭を下げてこの依頼をイレギュラーズ達へと託すのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 今回はリクエストシナリオのご依頼、ありがとうございます!
 練達某所に現れる都市伝説……どうやら人に害なす存在のようですので、討伐を願います。

●概要
 練達に伝わる都市伝説の中に、旅人が流布した「件」なる生物がいます。
 別世界では実在するかすら不確かな存在であり、様々な予言をした後、その予言が間違いなく起こるというものです。
 どうやら、大凶事の前兆という面が大きくクローズアップして伝わり、出会った者に悪い予言を行って現実のものとする力があるそうです。

●敵
◎件(くだん)×3体
 牛の体と人間の顔の怪物です。
 質の悪いことに3体も存在し、練達内で悪い予言を続けて多数の人々を不幸に陥れているようです。
 大凶事の前兆で災厄をまき散らし、悪い予知で相手の運気を下げ、凶兆の招きで相手を呪いと恍惚へと侵し、破滅の時で確実にとどめを刺そうとします。

●状況
 場所は練達某所の街、クレオラ。研究者が多く集まる場所です。
 件が人々に悪い予言を告げ、絶望のどん底へと落とそうとしています。
 基本個別に立ち回って予言を行っていますが、個で危険と判断した相手には3体で一気に襲い掛かってくるようです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 凶兆告げる件(くだん)完了
  • GM名なちゅい
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月31日 22時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アラン・アークライト(p3p000365)
太陽の勇者
リュグナー(p3p000614)
虚言の境界
ウォリア(p3p001789)
生命に焦がれて
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
メルトリリス(p3p007295)
神殺しの聖女
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
メルーナ(p3p008534)
焔獣
笹木 花丸(p3p008689)
堅牢彩華

リプレイ


 練達の都市の一つ、クレオラ。
 依頼の為、ローレットイレギュラーズ達は、鉄筋の建物が立ち並ぶ混沌においてはかなり異質とも言える街並みを見回す。
「はー……やっぱり練達の雰囲気って、なんというか独特よねぇ……」
 ギフトの影響で見た目は獣種と精霊種を思わせる容姿をした『焔獣』メルーナ(p3p008534)が高層ビルを見上げて大きく口を開いてしまう。
 この地も他の都市よろしく、多数の研究者が日々研究に打ち込んでいるのだが……。
「aPhone君、練達全域で使えるようにならないかなー」
 そうすれば何かと便利なのにと、『新たな可能性』笹木 花丸(p3p008689)は独り言ちる。
「情報の伝達が即座に行えるって言うのはソレだけで凄い便利だし」
 混沌に来て、花丸は常々そう思っていたそうだ。

 閑話休題。
 天義の騎士見習い、長いピンクの髪の『聖少女』メルトリリス(p3p007295)がそこで話を切り替えて。
「海洋の一件が終わったのに、なかなか休ませて貰えないのね」
 深緑から通じる妖精郷、海の向こうの東洋……豊穣の地、そして、この練達。混沌は一難去ってまた一難といった様相だ。
 今回の依頼は黒ずくめの衣服、帽子から切れ長の瞳を覗かせた『勇者の使命』アラン・アークライト(p3p000365)が最初に見定めたものだ。
「久しぶりの練達だってのに……。なんだ? 人面牛って奴かァ?」
 それは、件と呼ばれる都市伝説の類らしい。
「件……何というか、随分カムイグラ的な敵ですね」
 筋骨たくましい金髪女性、『私の航海誌』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)は都市伝説にもいろいろあるんだなと感嘆する。
 件といえば、牛の身体と人の顔を持ち、重大なことに関する予言を行う生き物として知られる。
「この世界にも件がいる事に驚いたが……よもや、ねじ曲がった存在に成り果てているとはな」
 化け猫の類である旅人、『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)にとっても件という生物は知るところであるが、この地に現れた個体は少し様子が違っていた。
 もしかしたら、何か裏があるのではと汰磨羈は考えていた。
「まあ、予言云々の内容は正直どうでもよいのだ」
 竜を模した鎧である狂神、『彷徨う赤の騎士』ウォリア(p3p001789)にとって、気になるのは別の部分。
「凶兆だの破滅だのと、『抗えないもの』と大言を吐くのならば、これに挑まぬは四騎士の名折れ」
 告げる予言が実現する悪いモノばかりとあっては、ウォリアも黙ってはいられない。
「未来を予言する力――」
 情報屋である長髪、スレンダーな体躯の『虚言の境界』リュグナー(p3p000614)としては、今回現れる件の力は不確かな未来を確実なモノとする優れた力……と言いたいところではあるのだが。
「……此度は悪目立ちが過ぎたようだな」
 すでに、このクレオラの民に被害が報告されている点をリュグナーは指摘する。
 件と出会ってしまった者は人間関係、金銭関係、仕事関係等に不幸が起こり、再起すら叶わぬ状況となっている者もいるのだとか……。
 悪意を持って予言を行う件を、野放しにするわけにはいかない。
 メンバー達は皆、認識を同じくして、その討伐へと当たり始めるのだった。


 クレオラの町中に現れるという件は3体確認されている。
 イレギュラーズ達は囮組と待機組とに分かれ、行動を開始する。
「さて、妖怪だっけ? 相手が何であれ、魔砲が効くなら問題ないわ」
 不意打ちを警戒しつつ物陰に潜むメルーナは、徹底的に敵を叩きのめそうと砲塔のチェックに余念がない。
 待機組他メンバーも近場の物陰へと静かに待機し、囮役からの合図を待つ。
 さて、囮となるのは、ウィズィとメルトリリスの2人。
 彼女達が人気のない通りで索敵しつつ件を1体引き付けた後は、待機組が加わって討伐。増援として駆けつけた他2体も囲いつつ殲滅を目指すという作戦だ。
「こんな端の通りでも灯りがついてる……練達って不思議な国ですね」
 街灯をしげしげと眺めるウィズィ。
「暗がりから出てくる……珍妙な獣……これがそうかな」
 目を発光させ、瞳孔の中央に十字を浮かび上がたメルトリリスがギフトによる予知の力に頼りつつ、スキルの力も借りて索敵を行う。
 彼女が見た断片的な光景はすぐに現実のものとなり、物陰から歩いてくる不気味な獣が……。
「あんた、大変な目に遭うぜ……」
 牛の体と人の顔。そいつが男の口調で死相が出ていると告げる。
 それは、大凶事の前兆。件と呼ばれるその怪物は、直接運気を下げて自身の予知した悪事が実現するよう凶兆を招いてしまうのだ。
 すかさず、ウィズィはパーティーグッズである聖夜ボンバーを上空へと放り投げて爆発させる。
 それが合図となり、待機組がこちらへと駆けつける手はずとなっている。
「さあ、Step on it!! 一気に畳み掛けますよ!」
「ウィズィニャラァムちゃんは私が守るっ」
 件へとそのまま接近したウィズィが名乗り口上を上げれば、メルトリリスが彼女の手前へと出て。
「天義騎士見習い、メルトリリス! 修行の一環として、討伐に当たらせていただきますっ!」
 仕掛けてきた件へとメルトリリスも並々ならぬ感情を抱きながら、攻撃を仕掛けていく。
「お前達に破滅が……」
 件はなおも予知を行う。現状は抽象的な形で話していたが、長引けばスキルを連続使用し、追い込もうとしてくるはずだ。
 だが、この場にいるのはウィズィやメルトリリスだけではない。
「ヒューッ、たまやー! 夏って言ったらやっぱりコレだよね、コレっ!」
 頭上へと巻き起こるド派手な合図を視認した花丸が見惚れそうになりながらも仲間達へと促して。
「2人が待ってる。行くよ、皆っ!」
 すると、それに応じた待機組メンバーが先に現れた件へと接敵し、一網打尽にすべく取り囲んでいく。
「うわ、アレが件……? なんていうか、結構キモいわね……」
 その姿にメルーナは少しばかり不快感を示すと、件は睨みつけるように囲むイレギュラーズ達の姿を睨みつけてくる。
 アランも都市伝説とやらをぶちのめそうと、テンション高く睨み返す。
「ははは! マジにいやがったなクソッタレ! いいぜ、今夜の晩飯は牛鍋と洒落込むかァ!?」
 【気配消失】で自身の存在を隠していたリュグナーもその囲いへと加わり、件へと言い放つ。
「偶には己自身の未来も予言してみると良い……尤も、予言できる未来が貴様に残っていればの話だが」
「お前達には、滅びの未来が……。何か魔種が見える……」
 件が視ていたものとは、果たして……。
 だが、イレギュラーズ達もそれを是とはしない。
「終焉を断つ者として、これほど剣の騒ぐ相手もいるまいよ」
 包囲に加わっていたウォリアが大戦斧を握りしめると、アランも脈動する大剣を抜く。
 見た目だけでも嫌悪感を抱かせるのに、不幸をまき散らすとなれば笑えない相手だ。
「ぶっ壊す!!」
 やる事は一つ。アランは率先して人に害なす都市伝説へと攻撃を仕掛けていくのである。


 仲間達が駆けつける中、囮組2人は件が不幸を呼び込む前にと臨戦態勢を整えて。
 茨の鎧で自らを覆うウィズィ。
 そして、彼女を守ろうと構えるメルトリリスだが、敵対する件を凝視する彼女の形相は鬼気迫るものを感じさせて。
「……私は許せないの」
 相手が不幸を呼び寄せるなら、その力の簡易封印をメルトリリスは行おうとする。
「…………これは、なんだ……?」
 まさか、自らの力を使えなくなるとは思いもしなかった件が動揺を見せる。
 そいつに対して包囲する陣形をとるメンバー達だが、汰磨羈が敵の背後、斜め後ろに立てるよう調節し、厄狩闘流『破禳』を使って。
「地に足を付けた獣にはこれが効く。定番だな」
 仲間の援護も想定する汰磨羈は相手の足腰を狙う。
 獲物とする双刀『煌輝』を両手に持つ彼女は可視化した水行のマナを大渦の様に纏い、それに件を巻き込みながら攻撃を仕掛けていく。
「あら、気が利くじゃない汰磨羈! その射線、無駄にはしないわよ!」
 自分達を気遣う汰磨羈の立ち回りに喜ぶメルーナ。
 自身の身体に流れる赤き血潮によってテンションを高める彼女は、魔力を弾丸に変えつつ抱える世界征服砲から発射し、仲間に当たらぬよう件だけへと命中させていく。
 アランも紅き『殺意』のオーラを獲物である悪魔の名を持つ大剣に纏わせ、迫る。
「真紅に染まれ、そして此処から消えろ……!」
 激しく叩きつけるオーラが件の体を包み込むと、花丸が拳に力を込めて。
「さぁ、覚悟しなよっ! いち、にの、どっせーいっ!」
 人に不幸を押し付けようとする件を、花丸は思いっきり殴り飛ばす。
 現状、この場には件1体、それ故にイレギュラーズの攻撃はそいつへと集中する。
「どうした、お得意の未来予言をするが良い。尤も、そんな余裕があればの話だがな」
 不敵な笑みを浮かべたリュグナーは相手にそう語りかけながらも、黒いキューブ内へと捕らえた件に苦痛を与え、さらに自らの影から無数の赤黒い蛇を放って相手へと食らいつかせていく。
 そこに飛び込んできた新手の件。
 リュグナーはそいつの姿を認め、悠然と語る。
「せっかく集まってくれたのだ……盛大に歓迎しようではないか」
「見える、見えるぞ、お前達の滅びが……」
 少しその口調が異なる新手の件もやはり、イレギュラーズ達へと厄災を招こうとしてくる。
「生まれる時を間違えた……否、存在する事こそが悪なのか」
 『トシデンセツ』とやらを生命にカテゴライズすることに些か抵抗もあるウォリアであるが。
「ともあれ、存在する上は死すべきだろう」
 今は1体ずつ確実に潰すのが最優先。
 ウォリアは傷む件を追い込むべく、強烈な怒りと闘争心を呼び覚ましてから大戦斧「暴君暴風」をありったけの力で叩きつける。
 脚を中心として深く傷ついてきていた件へとなおもイレギュラーズ達が攻撃を加えていくと、もう1体の件も現れて。
「お前達の行く手に深い闇が……」
 またも、不吉な言葉を告げる件。
「っしゃあ! 私が相手してやりますよ!!」
 ウィズィは敵が揃ったことをつけ、逃さぬようにと新手にも名乗り口上を使って引き付ける。
 後は、追いこんできていた敵から倒していくのみだ。
 ところで、交戦を続けるメルトリリスは常に戦いに恐怖を覚えていたようだが、今回は身近に強く存在を感じる相手と共闘しており、まるで恐怖を感じない。
「愛と呼べる強さが、きっと私を守ってくれる。ね、そうでしょう? アラン……ッ」
 呼びかけた当の本人には、それが聞こえていたのかは分からぬが、アランは件の殲滅へと出し惜しみせずに。
「お前ら生きて帰れると思うなよ?」
 こちらから相手を害するべく、アランは紅き『殺意』のオーラを纏わせ、再度強烈な一撃を浴びせかけ、件を瀕死へと追い込んでいくのである。


 この場へと揃った3体の件。
 それらは口々に不幸や闇、滅びといった言葉を繰り返し、交戦するイレギュラーズ達に災厄を呼び込み、さらにそれを現実のものとしようと協調を招こうとする。
「行く手に……待ち受けるは、不幸のみ……。それは、決して……変わらぬ……」
 だが、最初からいる1体はすでに虫の息。
「高らかに滅びを謳っている所に詮無き事だが」
 そいつへとウォリアが猛然と襲い掛かって。
「滅びの星が墜ちるは今宵であると心得よ」
 大戦斧を振り下ろしたウォリアはその頭を叩き割ってしまう。
 不吉な言葉を繰り返していた件は頭を失い、前のめりに崩れ落ちてしばらく前脚をひくつかせていた。

 残り2体もイレギュラーズ達は変わらず攻め立て、戦場から逃さないように引き込もうと意識して攻撃を続ける。
 花丸は忠実に個別撃破を目指し、クレオラの民を守る為と傷つけ、壊す拳で災厄の元を破壊すべく、件を殴りつけていく。
「他人の不幸は予言できても、己が『こうなる』という不幸は予見できぬとは……難儀なものだな」
 この状況は件にとっての不幸だとリュグナーは告げ、地獄の大総裁オセの狂気を借りてこの場の件達を睨みつける。
「滅び、それは確実に汝らを蝕む」
 攻撃されながらも、件は背筋に寒気が走りそうな言葉をリュグナーへと羅列する。
 それによって、特に抑えに当たるメンバーにはミスが目に付き始める。不運も重なれば、件が言うように滅びをもたらしかねない。
 リュグナーはこれ以上自由にさせぬようにと、再度赤黒い蛇の群れをけしかけて件の自由を奪っていく。
 だが、相手の能力は内側からイレギュラーズ達の自由を奪おうとするから恐ろしい。
「運命からは、逃れられぬ……」
 予知した相手の未来を確定させようと、呪いをかけていく。
 自らの運気が無くなったことを気づいた相手は茫然とし、破滅に陥るのだ。
 前線で抑えるウィズィが危険と判断すれば、メルトリリスは彼女を苛む呪いを振り払う為に叫んで。
「ぶれいく……ひゃー!!!」
 運気の低下と合わせ、仲間の恐怖を振り払っていくメルトリリス。
 そうした行いは仲間達の自信にも繋がって。
「火力に関しては、ちょっとだけ自信があんのよね」
 メルーナはここぞと世界征服砲を構える。3体纏めて狙えなかったのは残念だが、2体でも十分。
 仲間を巻き込むことは無い為、メルーナは全力で無敵の一撃を叩き込むことができる。
 全身の全ての力を、魔力変換して……。
「――その隙は見逃さないわ、吹き飛びなさい!」
 メルーナが砲口から放つは破滅的威力を持つエネルギーの奔流。
 それを浴びた2体のうち、片方の件が大きくよろけて。
「滅びは我等のものにあらず……」
 そんな件の存在は、汰磨羈にとって耐えがたきものだったらしい。
「件は本来、厄除招福の護符に描かれる存在だ。紛い物如きに、それを捻じ曲げられるのは我慢ならん」
 汰磨羈が使う技は、厄狩闘流新派『花劉圏』が一つ。
「生憎だが、運気対策はばっちりだ。ノンストップで行かせて貰うぞ!」
 足元から水面の波紋を思わせる霊気を放つ汰磨羈は、睡蓮状の結界で件を囲み、それらの花びらを触媒として敵の身体へととめどなく跳躍させた斬撃を浴びせかけていく。
「厄狩として、貴様等を調伏する。逃げられると思うなよ!」
 汰磨羈が双刀で連続攻撃を叩き込むと、2体目の件も横から倒れたのだった。

 残るは1体。
「此処で押し切るぞ、覚悟しやがれ!」
 逃走を懸念するウィズィが十分に気を引く間にアランが叫び、メンバー達は力の限りを尽くして件へと攻撃を続ける。
 少しでも逃亡と判断した動きを見せれば、花丸がしっかりとブロックしてみせる。
「所詮は、大言でしかなかったようだな」
「否、必ず、滅びは訪れる」
 ウォリアの煽りにも、件は変わることがなく予知を続ける。
 しかしながら、いくら未来を目にできる件とはいえ、運命を味方につけるイレギュラーズでは分が悪い。
 ウォリアの大戦斧を浴び、身体深くにまで届く傷を負ったその件に、勝ち目など見受けられない。
「……許せないの」
 そんな相手にメルトリリスは一切の情を見せない。
 形は違えど、件も彼女も未来視、予見を行うことができる。
 ただ、件は予知によって不幸に陥れる。そんな相手に、メルトリリスは怒りを、憤りを感じていた。
 なぜそんなことをするのか理解ができず、件の行いが悲しくて哀しくて、彼女の心を掻き立てる。
「あなた達が人を不幸にしてきた罰を、今、ここで!!」
 名乗り上げ、メルトリリスも強く敵の意識をこの場に繋ぎ留めれば、ウィズィが拳で殴りつけてノックアウト寸前にまで追いやる。
「滅び、滅び……」
「こんな面白いパーティ、途中で帰るなんてつまんねェよな?」
 うわごとの様に繰り返す相手をアランが引き止めて。
「来たれ、聖剣よ。その輝きを此処に示さん」
 擬似聖剣を一時的に顕現させてから、アランは紅と蒼の斬撃で件の身体に十字を刻む。
 どうとその身体が地面へと崩れ落ちれば、アランも武器を収めて。
「なんとか片付けられたな」
 息つく彼に合わせ、皆戦闘態勢を解いていく。
 そんな中、メルーナは改めて件という存在について、仲間達から伝え聞く。
「へぇ……あいつら、本物は厄除招福の象徴なんだ……」
 メルーナはキモいと言ったことに、少しだけ悪かったかしらと申し訳なさを感じていたのだった。


 3体の件を全て討伐して。
「あ、ボンバーのアンコールっ! 下がった運気を吹っ飛ばすような景気のイイのが見てみたい、見たくない?」
 花丸の要望に応え、ウィズィが再び星夜ボンバーを空高く投げ飛ばした。
 激しく巻き起こる爆発。それらがクレオラの町を照らす。
「……夜なのに、まだまだ街は明るいですね」
 折角だからと、ウィズィは少しハマっている再現性東京へと立ち寄り、買い物をして帰りたいとのことだ。
 メンバー達がそれぞれこの後の予定について語り合う中、アランは戦闘中のメルトリリスの言葉を思い返して。
「しかし……、メルトリリス。お前愛がどうとか言ってなかったか?」
 それに当の本人が急に顔を真っ赤にし、湯気らしきものすら出始めて。
「ブハッ! はゎゎ、なななんでもないよアラン、え、えへへへ」
 動揺するメルトリリスははにかみ、顔を上気させながらアランへと笑いかけていたのだった。

成否

成功

MVP

アラン・アークライト(p3p000365)
太陽の勇者

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開中です。
MVPは件を1体討伐し、活躍を見せたあなたへ。
今回はリクエスト、ご参加、ありがとうございました!

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