PandoraPartyProject

シナリオ詳細

A la recherche de paillettes ~キラキラを探しに~

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●Où sont les paillettes?
「お邪魔するっす!」
「おや、お嬢ちゃんいらっしゃい。こんな石屋でよけりゃ見ていってくれ」
 幻想の地方都市、とあるマーケットの一角。『薬の魔女の後継者』ジル・チタニイット(p3p000943)がふと足を止めたのは鉱石や貴石を揃えた露店。
 店主の老爺は若い娘の来客に目を細めつつ、マイペースに冷えたマテ茶を啜る。

 キラキラしたものに目がないジルは、掘り出し物は無いかと露店に並べられた石達を一つ一つ見比べる。
 泥を落としただけの月長石は月の光もへったくれもなく、『蛇紋岩』とラベルが貼られただけの大きな石には蛇の影すらない。もちろん、然るべき研磨をすればこれらもひとかどの装飾品たり得る光を放つだろう。

 その中から一つ、他と違う輝きを帯びた石が目に留まったジル。不思議で、暖かく、鋭く、冷たい。そんな輝きを湛えた「それ」を、ジルはどこかで見たことある気がする。
 そう、それは、あの魔石にも似ていて……

「おじ、店長さんっ! この石、どこで採れたっすか!?」
「それかね? 確かあの向こうの山で採れたって言ってたっけのぉ」
 血相を変えたように喋るジルに比べて、のんびりと喋る店主。廃坑になって久しい山だが、同じ鉱山から出た似たような石を練達の商人だか先生だか分からん人等が買い付けにくるよ、なんかあるんかのう。と、彼は茶を飲みつつ続ける。

「ま、マジっすか!? こういう石、採れる所があるんすね!? ばっ場所とか地図とかは!?」
「えーっと、この辺の地図は……あったあった、これだの」

 店主の老爺が引っ張り出した埃っぽい地図。彼が赤いインクで×を付けた場所は、ここからずっとずっと山脈の奥へと進んだ高山地帯。

●Allez au plus profond des montagnes.
「というわけで、デザイアっぽい石が採れるらしい山に行くっす!」
 ジルが大急ぎで声掛け集めたのは気の合う仲間達。

「山の奥ぅ? 最近は幻想も暑いし、いいかもねぇ~」
 ほよ~んと意欲を見せるのは『la mano di Dio』シルキィ(p3p008115)
 しかし、楽観的な彼女に異を唱えるのが『魔剣鍛冶師』天目 錬(p3p008364)だ。
「この地図通りの場所に廃坑があったとして、だ。本格的に探索や登山の装備を持っていかないとヤバいんじゃないのか?」
 錬の予想としては、高山地帯なら涼しいどころか寒いだろうし、足場すら安定は見込めないだろう。森を通っていくなら毒虫や毒草にも気をつけねばなるまい。

『鮮烈なるオパール』ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)は、鉱山、廃坑という単語にどことなく親しみを覚えるものの、本格的な登山というものがとんと分からない。

「出るよね! 猿とか! 熊とか!! 出てこいやー!」
「出てきたら困るのですよ!」
『蛮族令嬢』長谷部 朋子(p3p008321)は元気に恐ろしい予想を口にし、それに対して『都会怪獣メイゴン』メイ=ルゥ(p3p007582)はケモミミをピコッとして押し留める。

「まあでも、行かないと分からないよね!」
「見つかればいいんだけどねぇ」
『新たな可能性』笹木 花丸(p3p008689)は、それでも前向きポジティブ。『穢翼の死神』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)は黒い翼をパタタと軽く羽搏かせて、見つかればいいなぁと廃坑に思いを馳せていた。

 さて、この8人は無事に廃坑へ辿り着けるだろうか……

●Le temps dans les montagnes est changeant.
「来たっすよー!」
 そしてあくる日。空は青く、雲は白く映える夏空。その下でテンション高く叫ぶジル。
 8人のイレギュラーズが立つのは高山地帯、森の入り口。すぐ真横を見上げれば雄大な山が聳え立つ。
 ピョロロロロと鳴きながら、大きな翼を広げた鳥たちが円舞するように飛ぶのが見えた。彼らの横、灰色の岩肌を見せる中腹には、廃坑の入口と思しきものが見える。なかなか遠そうだ。
 今立っている山岳地帯の中の平地が、避暑のリゾート地になっていなかったらここまで来ることもまず一苦労だったろう。

 山とはそれ自体が信仰の対象となる、荒ぶる自然そのもの。
 天義の騎士団が、冬山での訓練をしたら大量の凍死者を出してしまったとか。温暖な気候もあって小型種の熊しか知らぬラサの若者達が幻想へ登山に行き、より寒冷な地帯に住まう大型種の熊をナメてかかったら食べられてしまったとか。
 幾度となく痛ましい事件の舞台となった場所でもある。特にここに住んでいるイルシオンオオヒグマは、標高の低い地域のものよりも大型で知られているが……

 向かうは廃坑。どのような道程になるかも分からない。しかし、ここまで来てしまったからには、進むしかない。

 若者達は、大自然に挑む最初の一歩を踏み出した。

GMコメント

 この度はリクエストありがとうございました!瑠璃星らぴすです。
 今回はジルさんが市場で発見したデザイアっぽい鉱石が採れたという、高山地帯の廃坑へ向かって頂きます!

●場所
 幻想の高山地帯。現実で言うと、上高地(そこ自体が高山地帯の中にあるリゾート地)を拠点に槍ヶ岳を目指すような感じをイメージしてくださるとだいたいあってます。
 7月ですが寒いですし、山の中は当然森なので虫も多いです。草も多いです。足下もゴツゴツと安定しません。装備は念入りにお願いします。

●成功条件
 廃坑から石を持って帰る。
 実際にデザイアなのか、それとも単なる石か、何らかの価値や効果のある素材か、その結果は問いません。廃坑まで到達し、無事に石を持ち帰って下さい。

●敵
 廃坑を塒にしている野生動物の出現が予想されます。戦闘の準備も万全になさって下さい。
 以前、瑠璃星の執筆した別シナリオでも登場したイルシオンオオヒグマですが、標高の低い里山に住むメスの個体で体高3mでした。ご参考になさってください。
 足下が不安定な事も考慮の上準備をお願いします。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

 では皆様、気を抜かずにいってらっしゃいませ!

  • A la recherche de paillettes ~キラキラを探しに~完了
  • GM名瑠璃星らぴす
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年08月10日 22時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)
穢翼の死神
ジル・チタニイット(p3p000943)
薬の魔女の後継者
ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)
鉱龍神
メイ=ルゥ(p3p007582)
シティガール
シルキィ(p3p008115)
繋ぐ者
長谷部 朋子(p3p008321)
蛮族令嬢
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師
笹木 花丸(p3p008689)
堅牢彩華

リプレイ

●Le temps dans les montagnes est changeant.
「山登り! そして廃坑探索っ! わくわくするっすね!」
 ここは高山への入口、高原の温泉リゾート。道端に立つ矢印型の看板には【この先イシノ山。標高3000m級のハードな登山をお楽しみください】などと書かれている。
 元気よく先頭を進むのは、此度の冒険の発起人である『ゲーミング』ジル・チタニイット(p3p000943)
 それと、彼女の後ろをトコトコついてくるメカピブタ。

「レッツ、お宝探しっ!パカダクラ君、よろしくっ!」
「何を隠そうあたしは山の達人、山プロだ!!」
 とっても元気にすぐ後ろを進むのがパカダクラ連れの『新たな可能性』笹木 花丸(p3p008689)と『蛮族令嬢』長谷部 朋子(p3p008321)だ。

「物心ついてから今までおじーちゃんと一緒に山で育ったあたしにかかれば、この程度の任務お茶の子サイ……」
「わーっ!! ダメっす! ここではダメっすよ!!」
 鉄帝に住んでいたという伝説の武術家に引っ掛けたジョークを言おうとした朋子を、大声でかき消すジル。ギルドとかではいいけど、冒険中にその手のジョークだ危ないよ?いいね?

「お宝が見つかった時も勿論嬉しいんだけど、何が見つかるのかなーってワクワクしてる時もサイコーに楽しいんだよねっ!」
 明るく話す花丸に続くように。
「メイはドキドキワクワクなのですよ!」
「こういう探検するってのも楽しいよね」
『天統七翼』ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)と『都会怪獣メイゴン』メイ=ルゥ(p3p007582)も元気印組。それでも、ェクセレリァスはしっかりと山で必要な物を準備済み。詳しくないからこそ、事前にみっちりと調べておいたのだ。手抜かりは無い……ハズ。
 宝物探しみたいでドキワクなメイも、ピカピカな石の予感で足取りは軽い。
「よっこいしょっと」
 ェクセレリァスは小柄な娘の姿から、本来の龍形へと転身する。白雲かかる山に、翡翠色の龍。坊ちゃんが良い子でお昼寝をしそうな光景。

 そしてこちら保護者(?)組。元気印組がなんかやらかしてないか、なんか落っことしたりしていないか、彼女らの足跡も見ながら進む。今のところ何もないけれど。

「採掘の為の依頼って結構多そうだよね」
『古くから力のある魔石や高額な宝石になる鉱石も多いだろう』
「そうだね、無事に帰れる様に気をつけて行動しよっか」
 不思議な独り言……にもみえるが、『穢翼の死神』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)と十字架の「神様」の二人のお話。その横で、荷物を満載して機械音を上げる奇怪な……メカ子ロリババア。

 シトロネラやゼラニウムの爽やかな香りは『la mano di Dio』シルキィ(p3p008115)が箒に提げた虫除けポプリの香り。
「山を攻めて石を探す……困難の先に待つ宝ってロマンだよねぇ」
 ふよふよと低空飛行しながら、マイペースに微笑んだ。

 そして最後尾は落ち着いた様子で歩く、黒一点(多分)の『魔剣鍛冶師』天目 錬(p3p008364)
 既に廃坑になって久しい鉱山跡にはどんな危険があるかも分からない。しかし、鍛冶師の一人としての気持ちは別。この世界独特の鉱石への好奇心は抑えられない。
「うむ、一体どんな鉱石があるのか……実に楽しみだ」

 山道を順調に進む若きイレギュラーズ8人。しかし、徐々に山道は険しく、森も鬱蒼となってくる。そして、どちらも頂上へと続くのだが二股に分かれた登山道。
 片方は平坦ながら遠い道。しかも、藪というか山の中を突っ切っていく。
 もう片方はゴツゴツとした岩の多い道で、沢などを越えていくルート。ただ、キツい代わりにショートカットルートとなっている。
「んー、どっちに」
 ふと、ジルが目にしたのはクロスズメバチ。山に住む種類のハチである。然程強毒の種ではないものの、スズメバチはスズメバチだ。避けるに越したことは無い。
 母と妹のため、労働に勤しむその虫が迷わず飛んでいくのは――藪ルート。となれば消去法で選択肢は自ずと決まって。
「こっちっすね!」
 輝く角を持つ娘薬師は、元気よくゴツゴツルートを指差した。

 傾斜も厳しい、岩と沢の道を行く。
「ふんふんふ~ん♪」
 山岳の民生まれのメイは、ホームグラウンドだとばかりに鼻歌交じりに進む。

「っくしゅ!」
「大丈夫?」
 シルキィが、低空飛行する箒の上でくしゃみをする。思わず声をかけるのは、同じく低空飛行組のェクセレリァス。
 体調にこれといった変化はない。山の寒さは、昼間の今は涼風となって顔を撫でる。全く快適な次第。
 ただ、思い当たる点と言えば……蚕蛾のお姉さんは、ずっと箒にぶら下げていたポプリに目を向けた。でも、仕方ない。これまでヤブカとかダニとか居そうなところ通ってきたけど、今のところノーダメで住んでるし。
 彼女は、そっとくしゃみをなかったことにした。

「ありゃぁ~」
「行き止まりだねぇ」
 一行が目にしたのは、ご立派なダケカンバ(種名:イルシオンズクナシダケカンバ)である。
 やる気がない人が倒れたりうなだれているようにも見えるのが特徴の幻想固有種で、それが文字通り這うようにして道を塞いでいるのだ。
 そこでいち早く前に出てきたのはジルと花丸。二人の手にはマチェット。
 低空飛行組が木の向こうを見たところ、道を塞いでいるのはこの木だけの様子。
「せーの!」
「とりゃー!」
 マチェットを持つ二人が、打ち払える枝をリズミカルに伐ってゆく。流石にノコギリは無いが、枝を払いさえすれば跨いで通れる。
 他の皆が小休止と水分補給を済ませるうちに、手早く枝を片付けた二人。
「あ、そうそう。このダケカンバの樹皮、ちょっと貰っていくっすよ」
 枝を払う際に付けた傷を起点に、ベリッと樹皮を剥ぐジル。この樹皮は非常に燃えやすく、着火剤として優秀なのだ。

「ジル、花丸、大丈夫か?」
 皆が休んでいた時に働いていた二人を気遣う錬。二人もきっちり休んだのを確かめて、行軍再開。

 ふと、一行が横を見ればピンクの花を付けた可憐なレガドコマクサと、元気な黄色の花を咲かせたゲンソウキンバイ。
 高山の花に笑みを零しつついつの間にやら辿り着いたのは、ハイマツがまばらに生えるだけの岩山地帯。
 少し上を見上げれば、露店の老爺が見せてくれた古地図の絵そっくりの廃坑跡。出発地点からも見えた、あの場所だ。
 
 気を抜かず歩き進んで、やっと着いた廃坑跡。でも、確かこの辺は『アレ』の生息地域でもあって……
 廃坑の奥で光るもの二つ。一瞬、鉱石かとざわついたのも束の間、光る二粒はこちらに近づいてくる。
 鉱石は、自分で動かないはずだ。だとしたら。

 呟いたのは誰だったか。いや、誰ともなく呟いたその名は。
「い、イルシオンオオヒグマ……」
 そう、8人の前に姿を現したのは、ゆうに体高4mを越えるイルシオンオオヒグマ(高山亜種型)だ!!

●Sire, puis-je entrer?
「は、はろー……」
 ジルが声をかけるも、巨体からの返事はない。道中、皆が気を付けていたおかげで猛獣との遭遇は避けられた――しかし、目的地に、いた。
 周囲に転がる小動物やイノシシの骨が、生態系の頂点に君臨する種だということを雄弁に物語る。

 幻想の山岳地帯の絶対王者、イルシオンオオヒグマ。その恐ろしさと体格の暴力に纏わる逸話はことかかない。国内では毎年、負傷者や死者が出ているのだ。
 有名なものであると、小型種の熊しか知らぬラサの若者達が幻想へ登山に行き、イルシオンオオヒグマをナメてかかったら食べられてしまったというのが50年前。
 幻想の北方地域の開拓村を、同種が襲った事件が105年前。これは被害のあまりの大きさに、幻想の歴史書にすら載っている。

 しかし、緊張感溢れるこの状況を、花丸の一言が打ち破る。
「ヒグマって食べられるんだっけ?」
 じゅるりと、食べ盛りの少女のヨダレの音がいやに反響して聞こえる。
「どっちが食べられる側か! しっかり教えてあげようっ!」
「く、熊鍋! あっ、あと胆嚢も欲しいっす!」
 火蓋を切って落としたのは食い気に釣られた花丸。そして、熊から薬の材料が採れるのを思い出したジル。
 己を食そうとする肉食系女子の花丸にまず襲い掛からんと爪を振りかざすものの、守りを固めた彼女へは思うように爪が喰い込まない。
 そして、すかさずジルの羽奪晶がヒグマへ一直線に襲い掛かる!

 タフな巨体はそれでも倒れない。だがそこへ、ティアのファントムレイザーと朋子の鏖のネアンデルタールインパクトが矢継ぎ早に放たれる!
「私達の魔弾から」
『逃しはしない』
「とったどぉー!!」
 不可視の刃がヒグマの頸動脈を切り裂き、激烈な衝撃が脳天を直撃する!
 そして、血を吐きながらの咆哮を最後に、山の絶対王者はどっしりとその場に倒れ込んだ。

「あ、あっけなかったな」
「食べられる……ん、だよね?」
 圧倒的過ぎる会心の一撃続きでアッという間に事が終わってしまった。
 戦闘態勢を解除した面々は、ヒグマを廃坑から運び出す。
 しめやかに解体され、血抜きとか、搬出に備え色々加工されるイルシオンオオヒグマ。
 岩山の安定したところで、何故か既に鍋パの準備が始まっている。メインは旨味が強い熊鍋。今はあまり脂も乗っていない時期だろうが、夏ということを考えれば却って食べやすいだろう。
 ある程度食べたところでシルキィの持ってきた塩むすびを投下すれば熊雑炊に。

 一通り腹も膨れ、登山と熊狩りの疲れも取れたところで、一行は今回の登山の最大の目的へと取り掛かる。
「どんな石があるっすかね?わくわくっす!」

「ほう、廃坑と聞いてはいたが、ほう……」
 鍛冶師として興味を持ってやってきた錬。図鑑片手に、無機疎通でデザイアらしき石が無いか探しているが……
『オレ、ムカシ、イキテタ』
 なんとなくのうっすらとした片言が、廃坑の壁から聞こえてくる。その部分を丁寧に掘って出てきたのは、恐らくはサメの歯。
 現生のサメの歯は、厄除けのお守りとして磨いて根付にもされる代物だ。太古のものであらばより縁起が良いに違いない。

「し、静まれ、花丸ちゃんの物欲センサー!」
 懐中電灯で周囲を照らしつつ進む花丸。きらりと足元で光るそれを拾い上げる。
 明るいところで見るまで彼女にも分からなかったそれは、石英の欠片。珍しくはない――いわばアンコモンだが、磨けば乳白色にピカピカするだろう。

「キラキラ綺麗なのですよ~」
 入口に近い方で、キラリとして見える石をたっくさん集めているメイ。
 純粋な瞳をきらめかせながら、廃坑探検を楽しんでいる。

「これと……あとはこれもキラキラするわね」
『この壁は大丈夫そうよ。少し掘ってもいいんじゃない?』
 ティアと「神様」は、注意深く、石を傷つけることなく緻密に採集を進めている。

「良い物見つからないかなー。具体的には臆病者より優秀な機動力上昇デザイアとか……そんな都合のいい話は無いよねー」
 思わず心の声が口を突いて出るェクセレリァス。少女の姿の彼女は、注意深く天井が崩落しないか観察しながら足を進める。
 なんでもかんでも持ち帰ったところで鑑別や処分に困るだけだと、ピッケルで掘り出したり鏨で割った石は光って見えるもの等に絞っている。魔力を帯びた石や、怪しいものは今のところ無いようだが……
 採集基準は光る石や魔力を帯びてそうな石、如何にも怪しい石を重視。

「くんくん……これはちょっと変わった匂いだねぇ。こっちはポイ」
 懐中電灯を手に、超人的な嗅覚で石を嗅ぎながら確かめるシルキィ。変わった匂いだと本人的に感じたものをザックやアシストバッグへと詰め込んでいく。

 しかしこちらは逆。どの石も同じに見える朋子は、持って行けるだけ持って行く作戦に出た!
「でざいあ」っぽい石は見つからない……キラキラと、ほんの少しだけ透明感のある石はある。
 そして、何より朋子が探していた、水切り向きのスベスベの石も見当たらない。ここの石は水に磨かれていないのだ。
 もしかしたら、帰路の沢にはあるかもしれないが、そこで拾う余裕は果たしてあるだろうか。

 廃坑の入口、山盛りに集まった石を目の前にしたジルは満面の笑みだ。キラキラとした石を光に透かしたり、反射を確かめている。
「これって!もしかして!!」
 彼女が見つけたのは、光を透かす緑の石。山の中からは二つしか見つからなかったが、もしもこれがデザイアだったら……ジルは、ゴクリと唾を飲む。

 キラキラする石、磁石がくっつく鉄鉱石。その他、探した本人が怪しいと睨んだ石。それらを満載して、一行はこれまで来た道を引き返していくのだった。

●Voici un souvenir.
「お爺さん、お土産っす!!」
「嬢ちゃん、あの山まで登りに行ったんか!?」
 ジルから渡された鉱石と熊肉を受け取ってビックリ仰天する露店の老爺。あやうくマテ茶を零しそうになった。
 確かに地図は見せたが、まさか本当に行ってしまうとは思いもよらなかっただろう。

 ちなみに今回の採集物の戦果であるが……一番高値が付いたのがヒグマの毛皮、次いで胆嚢と掌が同着2位、だったとか。大物なだけに、良い値が付いたこともあるが……
 大量の石の中には目当てのデザイアらしき石は無かったものの、調べた専門の業者によると石英に次いで魚や貝の化石が非常に多く混じっていた。このため、話を聞いた練達筋の海洋学者が件の山に興味を示しているとか。
 ジルが見つけた、デザイアっぽい緑の石は……蛇紋岩の一種、アンチゴライトだったそうな。

成否

成功

MVP

ジル・チタニイット(p3p000943)
薬の魔女の後継者

状態異常

なし

あとがき

ご参加とご指名ありがとうございます!
瑠璃星の初のリクエストシナリオ、如何だったでしょうか。
残念ながらデザイア発見とはいきませんでしたが、化石の発掘フラグが立ちました。
MVPは発案者のジルさんへ。
ここから世紀の大発見があるかもしれませんよ?

暑い日が続きます。皆様、ご体調にお気を付けて元気にお過ごし下さいませ。

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