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シナリオ詳細

討伐ついでにピクニック

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●追いはぎを倒してのんびりと
 無辜なる混沌(フーリッシュ・ケイオス)。
 この地にいきなり呼び起こされた来訪者達、特異運命座標(イレギュラーズ)。
 彼らはこの混沌の地で生きる為、そして、自分が何をなすべきかと探しながら、日々を過ごす。

 幻想(レガド・イルシオン)のローレット……いわゆる冒険者ギルド。
 特異運命座標達はこの互助組織に所属して冒険者となり、様々な依頼をこなしながら活動する。
「おはようございますなのですよ!」
 朝、依頼を探す冒険者達に声をかけてきたのは、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)だ。
 飛行種の彼女はこのローレットにおける、いわばマスコット。
 ちょっとばかりおっちょこちょいな性格だが、彼女は情報屋として日々、様々な情報を冒険者へと提供している。
「お手隙でしたら、少しお話を聞いて欲しいのですよ」
 ユリーカは、手にするネタ帳を広げた。
 それには、彼女が仕入れてきた情報がぎっしりと書かれている。
 とはいえ、まだそのネタ帳が目新しく見えるのは、彼女がまだまだ新米ゆえか。
「王都から北、ゴブリンは街道を闊歩して追いはぎしているようなのです」
 ゴブリンは、人間よりもよりもやや小柄な小鬼と言うべき種族。
 この混沌においては割と一般的に存在する種族で、人々に悪さする姿がたびたび確認されている。
 ゴブリンの数は6体。
 他個体よりも2周り程度大きな1体はリーダーとして、大斧を所持している。その威力は注意しておくべきだろう。
 残り5体は短剣を持っているが、こちらの刃には全て毒が塗られている。
 一撃の威力は大きくないが、毒に侵されるのは少々面倒なので、できるだけ対処の為の手段を用意しておきたいところだ。
 とはいえ、駆け出しの冒険者であっても、ゴブリンは油断さえなければ問題なく倒す事のできる相手のはずだ。
「これから現地に向かうと思うのですが、皆さん、お昼は考えてますか?」
 そういえばと、メンバー達はどうしようかと考える。
 依頼が終わる頃には、丁度昼食時になるだろう。それなら、王都で軽食の類と飲み物を何か調達してから向かうほうがいいかもしれない。
「皆さんで、ピクニックしながら、色々と話して交流を深めてみると良いのですよ!」
 そこで、ユリーカは「はわわ、ゴブリン討伐はもちろん、忘れたらダメなのですよ!」と、思い出したように付け加え、冒険者達の笑いを誘い、話を締めくくったのだった。

GMコメント

はじめましての方も、どこかでお会いした事のある方もこんにちは。
MSのなちゅいと申します。
無辜なる混沌で、皆様が過ごす一時が楽しいものとなりましたら幸いです。

●目的
ゴブリン6体の討伐。

●敵……ゴブリン×6体

・リーダー……1体。
他個体より2周りほど大きく、大斧を所持。
威力重視の単体攻撃のほか、範囲重視の列薙ぎ払いで攻めてきます。
・手下……5体。
短剣を所持しています。
思った以上にすばしっこい上、
毒を付与してくるので注意が必要です。

●状況
王都から北を歩いていくと、
街道でゴブリンが襲撃してきます。
リーダー含む3体が行く手を阻み、
同時に退路を断つように3体が現れます。
ほぼ純戦依頼ですので、
皆様のお力を存分にゴブリンへと見せ付けてください!

敵を倒した後は、
街道の木陰に腰を下ろし、
のんびりピクニックでもいかがでしょう。
描写は限られますが、
サンドイッチなどを食べながら、
皆様のこと、そして、皆様視点でこの世界のことをお教えいただけると嬉しいです。

皆様のお手並み、拝見させていただきます。
それでは、よろしくお願いいたします。

  • 討伐ついでにピクニック完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年04月25日 21時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ケント(p3p000618)
希望の結晶
トリーネ=セイントバード(p3p000957)
飛んだにわとり
ミア・レイフィールド(p3p001321)
しまっちゃう猫ちゃん
紫・陽花(p3p002749)
Hydrangea
コリーヌ=P=カーペンター(p3p003445)
桜坂 結乃(p3p004256)
ふんわりラプンツェル
Morgux(p3p004514)
暴牛
金野・仗助(p3p004832)
ド根性魂

リプレイ

●目的は……ピクニック、ではなく
 幻想の王都メフ・メフィート。
 そこから北の街道を、冒険者達の一団が歩いていく。
 そのほとんどが旅人、『無辜なる混沌』に召喚された異世界人達だ。
「ユリーカからゴブリン達の話を聞いた段階で、とても気になっていたんだ……」
 全身鎧姿の『希望の結晶』ケント(p3p000618)は相手がどれだけ強いのか戦って試したいと考え、ふと思う。
(何故、自分はこの世界でも戦ってばかりいるのか)
 自分自身について皆と色々と話すことで少しでも考えを深められたなら。それが今回の依頼におけるケントの望みだ。
「何も考えずにブン殴る依頼ってのは楽でいいねぇ」
 一方で、赤髪の『暴牛』Morgux(p3p004514)などは深く考えず、ただ戦うだけでOKとあって気楽に参加している。
「ゴブリンが相手じゃそこまで燃えねぇだろうが……。少しは楽しませてもらうか」
 そんなMorguxと偶然同じ依頼に参加できた、『しまっちゃう猫ちゃん』ミア・レイフィールド(p3p001321)。
「もぐもぐおにーちゃんとのピクニック……なの♪」
 今回のチームで唯一ウォーカーでないミアは獣種。また、もぐもぐおにーちゃんことMorguxは彼女にとって会社の従業員に当たる。
「この機会に、おにーちゃんには……ミアのすごい所、いっぱい見せてあげる……の……!」
「ピクニックねー! ふふふっ、皆とおでかけ楽しいわっ」
 仲間の姿を見る『聖なるトリ』トリーネ=セイントバード(p3p000957)は実に楽しそうなのだが。その外見は……まんまるとしたニワトリだ。
「いい天気だねぇ、ピクニック日和だねー」
 アジサイの特徴を顕現させた『Hydrangea』紫・陽花(p3p002749)はのんびりお昼寝などしたいとのこと。なお、その髪の色は黄色、喜びを現している。
 そこで、首を傾げたのは人形のような姿をした桜坂 結乃(p3p004256)。
「えっと。今日のお仕事は、ゴブリンさん達を懲らしめる事……」
 そんな結乃の言葉に、本来の目的……ローレットからの依頼を思い出したメンバーもいたようで。
「……ゴブリン!? え、討伐? …………。忘れてないわ! 忘れてなかったわよ!」
「……ゴブリン討伐? わすれてない、わすれてないよー」
 いくらニワトリでもそこまでトリ頭ではないとトリーネは笑い飛ばす。陽花も改めて、依頼に対して気合を入れて。
「街道を使うヒト達が安心して通れるように、お仕事頑張るよ!」
 そんな仲間達のやり取りに、直径1mの球体『正宗くん2号』に乗っかるコリーヌ=P=カーペンター(p3p003445)は後方を警戒しつつ。
「ゴブリンを倒せたら、御褒美のピクニックーってとこかな」
「ゼンゴニ ギャップ アリスギマセン?」
 片言で正宗くんがツッコミを入れる。
「まーまー、そこは気にしない方向で」
 コリーヌの言うよう、そこはさらっと流してもらいたい。
 結乃も辺りをきょろきょろと見回す。そろそろ、事前に言われていた現場のはずだ。
 王都の外に出る機会がこれまでほとんど無かったらしく、『無辜なる混沌』の自然をあちらこちら眺める。この辺りは草木の生える草原地帯といった印象だ。
「と。あれがゴブリンさんたちなのかな?」
 前方の物陰から、冒険者達を獲物と狙い定めた亜人3体。
 小鬼を思わせる姿をしたゴブリン達は、この街道を通る者から金銭やアイテムを奪い取っているのだと言う。
「身グルミ、置イテケ!」
 片言で喋る敵を前に、結乃は追いはぎをするゴブリンはお腹でも空いているのかなと考えて。
「でも、おあいにくさまなの」
 人様に酷いことをする相手にしっかりお仕置きをと、髪を七色に変えた結乃はマジックガンを抜く。
「ゴブリン三匹がなにかしら! こっちは八人よ! ふふふんっ」
 トリーネはニワトリらしく「こけー」と威嚇するようにも見えたが、ギロリと目を光らせるゴブリンに彼女は恐怖を覚えたようで。
「あ、ごめんなさい睨み付けないでちょっと怖い! わ、私は食べても美味しくないわよ!」
 蛇に睨まれたカエルならぬ、ゴブリンに睨まれたニワトリ。トリーネは仲間に挟まれるようにして布陣する。
 すると、後ろからもゴブリン3体が現われていて。
「アワワワ」
「はい、正宗くんは引っ込んでおいてー」
「ソウシマスー!」
 正宗くんを亜空間へと避難させ、コリーヌはガトリングで武装し、臨戦態勢へと入っていく。
 後方の敵に対するコリーヌ、陽花の前に『ド根性魂』金野・仗助(p3p004832)が立ち塞がって。
「俺にはこんなことしかできねえからな、任せとけ」
 何事も根性で押し通るのが、仗助のギフトでもある。
 そして、前方に現われたリーダーらしく少し大きめの体躯の相手には、Morguxが立ち向かう。
「クク……良い闘争が出来ると良いねぇ。頑張ってくれよ、ゴブリン共」
 強靭な肉体と破壊力に特化したグレートソード『モル・グリシア』を携え、素早く相手に近づいていく。
「ボス突貫とは……なかなかの漢気……にゃ。援護攻撃は任せる……の……!」
 果敢に相手へと対するMorguxへ、ミアもできる限りのフォローをとバリスタを構える。
「イケ、全テウバッテシマエ!」
 ゴブリン達も銘々の武器を手にし、直接襲い掛かってくる。
 その多くは毒の塗られた短剣だったが、2回りほど大きなリーダーは大斧を担いでいた。
(上手く連携出来るといいのだが)
 リーダーに向かう2人との連携を考えつつ、ケントもロングソードを抜いて敵に対していくのである。

●追いはぎゴブリンを蹴散らせ!
 前後から3体ずつ襲い来るゴブリンを、冒険者達は2つに分かれる形で対処することになる。
 リーダー側に向かうケントは手にする剣に憎悪を集めて力を高め、そのまま飛ぶ斬撃を持って襲い掛かっていく。
 隣にいたMorguxもまた、己の肉体の力を大きく引き出して筋力を強化しつつリーダーへと全力で詰め寄って。
「よう。俺と遊ぼうぜ、リーダーさんよ」
 相手は大きな斧を振り上げ、冒険者達を纏めて薙ぎ倒そうとしてくる。
 そんな一撃をものともせず、Morguxはグレートソードで受けようとした。
 さすがにその衝撃を全て殺しきることはできなかったが、彼は強靭な肉体で耐え切ってみせる。
「あ……、ミアが危なくなったら守って……にゃ。社長命令……なの!」
 Morguxへとミアは胸を張りつつ言い放つと、彼女も応戦の為にと集中して神経を研ぎ澄まし、戦う力を自らの体力と引き換えに引き出してからゴブリン達の掃討に向かう。
 ただ、サイドのゴブリンどもの刃に塗られた毒が前線に出るメンバーの体を侵す。
「こけー」
 しかし、すぐにトリーネが両翼を広げ、自身の聖気を優しく纏わせることで毒に侵された仲間の不浄を振り払ってしまう。
「ゴブリンの毒がニワトリの癒しに勝てる道理もないわねっ」
 ドヤ顔で語るトリーネを手下1体が睨み、近づこうとする。
「あ、待ってこっち来ようとしないで! 誰か止めて止めて!」
「きっちり味方を守ってやらないとな」
 一度攻撃したケントは、手下のゴブリンに対して足止めへと当たる構えだ。
 逆側では、仗助が防御重視の構えを取る。彼は根性で敵の攻撃を耐え切るつもりだ。
 その間、コリーヌ、陽花が仕掛ける。
「はいはい、爆弾で吹っ飛ばすよ。気を付けてね!」
 敵が纏まっているうちにと、コリーヌは自律自走式の爆弾『SADボマー』で相手を吹っ飛ばす。
 さすがにそれだけで倒すとまではいかないが、それでも相手の出鼻をくじくには十分。
 その間に、コリーヌは最大限にスキルを生かすことができるよう、集中力を高めるようだ。
「ゴブリンもお腹が空いてたりするのかな? だからって、追いはぎはダメだよ」
 陽花は3体のうちの1体のマークに当たり、その身体にマジックガンの銃口を押し付け、再生能力を逆転させながら相手の体を破壊する。
 これには、ゴブリンも苦悶の叫びを上げて。
「グワアアアッ!!」
 毒のついた短剣を滅茶苦茶に振り回し、身構える仗助を傷つけていく。
「ボクのおしごとは、皆のケガを治す事! がんばるよ!」
 結乃はその仗助をメインに回復に当たるが、魔力を高めた彼女はそれを破壊力に転化する形で相手に放つ。
 まだこの世界の冒険者としては経験の浅いメンバー達ではあったが、すでに戦い慣れしつつある冒険者一行は順調にゴブリンを攻め立てていくのである。

 ゴブリン達はかなり素早い動きではあるが、その攻撃は手にする刃を振り回すだけの単調なもの。
「ヤレ、ヤッテシマエ!」
 リーダーの指示もかなり雑だ。布陣と戦術をある程度高めた冒険者が負ける要素はほとんどない。
 ミアはほぼ横並びに攻めてくるリーダー、手下の真横へと回りこむ。
 Morgux、ケントが牽制してくれていることもあり、ミアは敵を一直線に捉えることができた。
「ここ……なの……!」
 彼女のバリスタから放たれる魔弾。それは、ゴブリンどもの体を貫通していく。
 しかも、相手の体を凍らせる。Morguxは動きをやや鈍らせたリーダー目掛けて、至近距離から衝撃波を帯びた拳で殴打する。
 だが、かなりタフなリーダーはなおも大斧で宙を切ってMorguxらの体を傷つけ、鮮血を飛ばした。
 手下の短剣の毒など大したことなどないと踏む彼は、危険なリーダーの抑えを行いつつ撃破を目指す。
 逆側では、手下ばかりと言うこともあり、冒険者達は毒に耐えつつ一気に攻勢に出ていた。
 零距離射撃を繰り返す陽花。
 トリーネがこちらの癒しにも当たってくれていることで、結乃は仲間の体力を見ながら魔力を発して相手を攻め立てていく。
「グワアアァッ!!」
 ゴブリンの短剣は仗助の体に深々と突き刺さり、その身体を抉るが、彼は根性で耐え切ってみせる。
「根性があれば、毒なんて関係ねえよなァ!!」
 毒に侵されるのは嫌だと感じていた陽花にとって、盾となってくれる彼の存在は実にありがたい。
 時にこちらへと飛ぶ刃を銃身やマントで弾こうと試みながら、陽花は全力で魔弾を発射する。
 ついに、その弾丸に撃ち抜かれたゴブリンが泡を吹いて崩れ落ちていく。
「はいはい、確実に潰していくよー」
 傍ではコリーヌも距離を取りつつ、仗助に向かう敵に死角からガトリングによる精密射撃を浴びせかけていく。
 コリーヌが発した弾丸の嵐を浴び、手下1体が白目を向いて崩れ落ちる。
 ほぼ同じタイミングで、結乃の魔力弾によって1体の手下が破壊の力に屈して伏してしまっていた。
 リーダー側もまた、冒険者達の勢いが止まらない。
 ちくちくその身を蝕む毒はトリーネが「こけー」と鳴きつつ浄化する。
 さらに彼女は手乗りサイズのヒヨコを召喚し、応援によって仲間に元気を与えていく。
 そうして、活力を得たケントは相手の短剣をソードブレイカーで受けつつ、攻撃のチャンスを窺う。
「これぞ、二刀流の真髄だ」
 返す刃で、ケントは相手の胸を切り払う。敵は血を撒き散らし、崩れ落ちていった。
 ミアも相手の足止めをしつつ、手下を攻める。
 リーダーが一度後ろに下がって布陣を崩した為、彼女はできる限り距離を取りつつ魔弾を放つ。
「ミアの猫の目からは……逃げられない……にゃ!」
 幾度目かの射撃がゴブリンの頭を穿つ。そいつはもう起き上がってはこなかった。
 やはり、最後まで残ったのはリーダーだ。
 ショットガンブロウで攻め行くMorguxは、相手の大斧での薙ぎ払いに血を流しながらもにやりと笑う。
「ハハハッ、結構楽しめたぜ!」
 すでに、手下は全滅。仲間達もこの場に加勢してきており、彼は優勢を疑わない。
「だがまぁ、幾ら囲んだからと言って、8人相手に6人で挑むのは……些か無謀だったな?」
 グレートソード「モル・グリシア」を大きく振りかぶったMorguxは、渾身の一撃を相手の脳天に叩きこむ。
「数も質も足りてねぇよ」
「ガ……アァ……」
 リーダーは土埃を上げ、地面へと突っ伏していった。
「流石、ミアの社員……なの♪」
 そんな従業員の働きを、ミアが絶賛する。
 そこで、倒したと思った手下数体が起き上がり、「オボエテロヨ!」と捨て台詞を吐く。
 そうして、そいつはら倒れたままの仲間を引きずり、この場からいなくなっていったのだった。

●のんびりピクニック
 ゴブリンを討伐した冒険者達は一息ついて。
「あァー……疲れたぜ……」
 盾を地に置いた仗助は木陰に腰掛け、上半身裸になって風に当たる。相当暑かったらしく、彼は用意していた水を体にかけていた。
「あ、もし怪我してる人がいたら、グイッとどうぞー」
 陽花は仲間に、SPD……スペシャル・ポーション・ディフェンスを勧める。
 ミアがギフト、自身の宝物からレジャーシートを取り出し、皆腰を下ろしたことから、この場でお昼を取ることになりそうだ。
 食事の準備をする仲間を、ファミリアでヒヨコを召喚したトリーネは一緒に走り回りながら見つめていた。
「皆、どんなモノを持ってきたのかな?」
 ピヨピヨコケコケと鳴き声が聞こえる中、陽花が持ってきたのは水の入った愛用の水筒。
「これに、ぽかぽかお日さまがあれば、元気満タン」
 固形物を食べることは可能ではあるが、植物と融合した人間である陽花はこれで幸せになれるとのこと。
 コリーヌは王都で作ったホットドッグや飲み物を取り出し、再召喚した正宗くんに過熱を頼む。
「こういう時の正宗くんって、ほんと便利だよねー」
「オテツダイロボット デスカラー」
 出先でも、簡単レンジでチン。実に有能である。
「あのね。お弁当作ってきたの。サンドイッチとか、たまごやきとか、からあげとか……」
 たくさん持ってきたからと、お茶を差し出す結乃。
 差し出がましくないかなとも考えてどきどきとしていた彼女だったが、体の熱を冷ました仗助が近づいてそのサンドイッチを手に取る。
「お弁当を頂きましょう……あ、ぴよちゃんはこっちね」
 トリーネもまたお弁当に近づき、ヒヨコに柔らかい物を勧めて。
「お弁当美味しいわー! 天才的ねっ」
 はむはむとおいしそうに、彼女は仲間のお弁当を文字通りつつく。
 そして、ミアは宝物からこぉらや果実水、さらにお手製のチキンサンドイッチを取り出す。
「にゃふふ……頑張った社員に、社長からのご褒美……なの♪」
 それは、従業員であるMorguxへとミアは差し出す。戦いに疲れていた彼は、早速、それに手をつけ始める。
「あ、ミアのもふもふな毛並を、堪能してもいいにゃ……よ?」
 そんなミアの誘いに対しては、Morguxも比較的淡白な対応をしていたようだ。
 そして、メンバー達は食事をとりながら、この世界のことについて語り始める。
「どこにいっても戦闘戦闘戦闘、楽っちゃ楽だが、中々こたえるもんがあるぜ。そう思わねえか?」
 結乃のサンドイッチを豪快に食べる仗助が仲間達へと問いかける。
「自分は旅人だが、この世界のことは嫌いではない」
 とはいえ、それが気軽に何かと戦う事ができるからなのか、単純にこの世界の住人を見てのことなのか……。
 まだ、ケントも自分自身についてよく分かっておらず、その感情の理由についても答えを出すことができない。
「だが、この気持ち自体は本物なのだから、大切にしたい」
 ここでもなお戦うのは使命でも衝動などではなく、ケント自身の意思には間違いない。
 そんな話を聞くメンバーの反応に、ケントもしばし戸惑ってしまって。
「……少し小難しい話をしてしまったか?」
 とはいえ、自らの主観で見るこの世界というのは、皆違ったようにも見えるらしい。
「身ぶり羽ぶりに頼らずにお話できるし、人間の美味しいものを食べられるし、こっちは本当に素晴らしいわねっ」
 ニワトリのトリーネにとってはこの世界そのものが異質で、心地よさを覚えている。
「この世界の事はまだよく分かんないや」
 水を飲む陽花は、ようやくローレットの仕事に慣れつつあるが、サーカスが来たことで街中が物騒になったと感じていた。
「けど、お日さまはボクが居た世界と変わらないんだよね」
 爽やかな日差しは、それだけで陽花に活力を与えてくれる。桃色になったその髪がそれを現していた。
「色々と不便な事は多いが、仕事が結構来るのは良い事だと思うぜ」
 Morguxは他の国にも関心を抱いていたようだったが、そちらに向かうのは先の話になりそうだと考える。
 そんな仲間達の話を聞きつつ、ケントは開いた容器を片付けていく。また、こういった仲間達の話を聞いてみたいと感じながら。
「戦っておしまいじゃなく、こうしてのんびりする時間っていいよね」
 仲間達とまったりできるこの時間に、結乃は癒しと楽しさを感じながら自身の作ったたまごやきを食べていたのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

冒険者の皆様、依頼お疲れ様でした。
素敵な一時の思い出となりましたなら、嬉しいです。
今回は本当にありがとうございました!!

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