シナリオ詳細
邪教へのインヴィテーション
オープニング
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鬱蒼と茂る森の中。
そこに建てられた小さな小屋に複数のローブを纏った男の姿が。
彼らはそこで蝋燭を囲い、外にまで聞こえるほどの声量で言葉を交わし合う。
「先のローレットの襲撃、痛手は小さくなかったな」
「仮とは言え、拠点の一つを奪われてしまったからな」
彼らはFEL教団を名乗る幹部達で、先日まで、彼らの1人が林にあった小さな教会を拠点としていた。
比較的足がつきやすい場所だと彼らも知っており、仮住まいを行いながらも勧誘活動を続け、結果、思った通り、ローレット勢に嗅ぎ付けられ、折角集めた信者を失うこととなる。
自分達に力を与えてくれた魔種フェルマーク。彼らはそれを神と仰いで新たなる教団を立ち上げた。
「だが、思うようにサバトできる場所がな……」
幹部の1人、ラバダが嘆く。
この小屋では下級悪魔を呼び出すのがやっと。
フェルマークの力を増大させる為にはもっと大きな規模の儀式場がほしいところだが……。
「ともあれ、信者を増やさせば話にならん」
「信者獲得は、今いる教団員で工面せねばならんだろう」
彼らは立ち上がり、声高に叫ぶ。
「唱和せよ、我等フェルマークの光を!」
「「我等フェルマークの光を!」」
彼らは叫び合い、その場から散り散りになって去っていったのだった。
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正義と理想を掲げる聖教国ネメシスは現状、国の立て直しの最中にある。
なかなか国力の戻らぬこの地では良からぬ輩が暗躍を始めており、勢力を強めようとしている。
「その一つが魔種らしきフェルマークなる存在を神として信仰するFEL教団ですね」
幻想、ローレットにて、「穏やかな心」アクアベル・カルローネ(p3n000045)が今回の事情について説明を行う。
先日、この教団について尻尾を掴もうとしたローレット勢だったが、計画は失敗に終わってしまっている。
その依頼には、天義の騎士カイト・C・ロストレイン (p3p007200)も参加していたが、教団員を捕えることは叶わなかった。
得られた情報は乏しく、とてもではないがFEL教団についての全容把握には至らぬ状況。
ただ、現在の情報だけでも小型悪魔が確認されており、動物を使って悪魔を召喚するサバトまで行っているのは間違いない集団だ。
規模が拡大すれば大型悪魔を召喚し、一層教団の力を強めることだろう。
「この邪教集団、早いうちに叩いておきたいですね」
天義もFEL教団について存在自体は把握しているが、尻尾を掴むことができない上、そちらに回すだけの余力がないのが現状である。
そんな中、アクアベルは天義国内某所にある小作農の町ハウスンで、怪しげなローブ姿の者達が確認されている。
「私達ローレットには間違いなく警戒しているはずです」
その為、取るべき手段は大きく2つ。
一気に鎮圧にかかって押さえつける方法。この場合、姿をさらしている以外の者を取り逃がす可能性がある。
もう1つは、正体がばれないように立ち回りつつ、個別に取り押さえる方法。戦いになった場合に、小型悪魔などを使われると対処ができない危険が出てくることを留意したい。
「前回は後者の方法でも気づかれてしまいましたが、どうやらこの場に幹部の姿はないと思われます」
その為、上手く立ち回れば、纏めて捕えてFEL教団について詳しい情報を得ておきたいところ。
「…………」
カイトは天義の為にと依頼に強い意欲を見せている。
この場に集まっていたイレギュラーズ達は皆、それに協力しようと集まってくれた者達だ。
この1件だけで……とはいかないだろうが、ロストレインの不正義の返上の為に働くことができればとカイトは考えている。
「今回の1件で、次に繋げることができればいいですね」
こうした一つ一つの行いが、きっと汚名をすすぐことに繋がるはず。
私は大したことはできませんがと告げながらも、アクアベルは彼の活躍が報われることを信じ、天義へと送り出すのである。
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天義、ハウスンの町。
街のあちらこちらに回る風車特徴的で、それらが人々の生活を助けている。
住民達は農作業に、小麦粉などの加工品、それらを使ったパンやケーキなどの製造と忙しなく働く。
そんな街へと、ある時ふらりと現れた怪しいローブの人影。
子供らしき者を数人連れた彼らは、こう声をかけてくる。
「私達と新たな扉を開いてみませんか?」
FEL教団員達は自分達へと引き込もうと、住民達を誘う。1人では決して戻れぬ邪教への扉を……。
- 邪教へのインヴィテーション完了
- GM名なちゅい
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年07月29日 22時30分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費---RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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乗合馬車に乗って天義までやってきたローレット、イレギュラーズ。
彼らは到着まで、今回の事態について語り合う。
「カイトがしくじったって連中の一部か」
「…………」
釣り目で傍若無人な態度の勇者、『勇者の使命』アラン・アークライト(p3p000365)の言葉に、天義の騎士である『天空の騎士』カイト・C・ロストレイン(p3p007200)が顔を歪める。
先日、フェルマークなる魔種を神として崇める邪教集団、FEL教団の調査依頼があったのだが、結果を出すことができなかった。
その依頼に、カイトも参加していたのだ。
「魔種を信仰する教団ねえ」
太陽や月を信仰する猫科のブルーブラットの少女『月光』ロゼット=テイ(p3p004150)は、人間が色々なものを信仰するものだと話す。価値観はも様々だが、自身の信仰も傍から見れば奇妙と言えるのかもと感じながら。
「よりによって天義で邪教集団だなんて、一度踏み入ったら行くも戻るも碌なことにならないの、目に見えてるじゃないの」
黒目・黒髪の眼鏡っ子、『二人でひとつ』藤野 蛍(p3p003861)は問題の教団の行いは確実に害になると確信する。
「邪教の徒からすれば、今の天義は正に狙い目か」
猫の耳と尻尾を生やすトランジスタグラマーな女性、『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は下手をすれば、未だ落ち着きを取り戻していない天義の国が再建どころではない騒動になりかねない事態を引き起こす可能性も示唆していた。
「邪教ですか……」
白銀の鎧着用の旅人少女、『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)は、元いた自身の国が比較的幅広く、様々な宗教を認めてはいたのだが。
「信仰対象が魔種だと言うのであれば、やっぱり見過ごせませんよね」
「……珠緒にとってのカミは、もはや触れることのない遠い存在です」
信仰というものは様々で奥深いものと、儚げな印象を抱かせる桜色の髪の『二人でひとつ』桜咲 珠緒(p3p004426)は語る。
「ですが、魔種信仰は、流石に認められてはいけないでしょう」
「新興宗教というのは面倒だ。人心を惑わせることしかできない癖に、偉そうにね」
まず、叩いておくしかできない。幻想の貴族出身である『銀なる者』リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)は今回の相手に対して、考えを口にする。
「成る程、信者が欲しいのは資金面でも儀式面でも妥当なところか」
そこで、是が非でも信者を増やしたい教団の思惑を、カイトは推し量る。
活動資金を奪い取り、そして魔種フェルマークへの贄とする。まさに教団にとって信徒を増やすことは一石二鳥の策なのだろう。
誰にとっても不幸な未来を食い止めるためにも、ここは是非、その教団……FEL教団に一矢報いたいところ。
「カイトさん――ロストレインの汚名を雪げるといいわね! 頑張りましょ!」
「しゃーねェ、ダチの尻拭いだ。やってやらァ!」
蛍、アランに声を掛けられ、カイトは思う。これは、結果を出せるまたとないチャンスなのだと。
「以前の失敗は二度と繰り返さない。今度こそ、フェルマークの尻尾を掴んでやる」
「ええ、真相解明に、全力を尽くしましょう!」
強い意気込みを示すカイトに、リディアも応じる。FEL教団の全容を暴く足掛かりにしよう、と。
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改めて、風車小屋がいくつも建てられた天義の町の一つハウスンにて、ローレット勢は信者獲得の為に活動するFEL教団員の拘束をはかる。
「作戦は大きく分けて、邪教徒索敵と捕縛戦闘の2段階に分かれるかしら」
「まず、教団員の正確な数を把握しませんと」
蛍、珠緒はそう主張し、ローレット勢は2人4組に分かれる中でペアを組む。
他のペアの情報集約、情報共有とフォローに回る彼女達だが、情報が集まるまでは自分達も大きく動く。
蛍はこの町の長との面会を取り付け、信仰の危機を伝えた上で相互協力を申し出る。
「ボク達ローレットが力を貸すから安心して」
町長もその存在は把握しており、助けに船と言ったところ。蛍は情報、拠点の提供や町長への擬態工作の援助要請などを行う。
一通り話を終えてその場を去った後は、珠緒が超聴力を使って注意深く人々の会話を聞き取る。
(念の為、信心深い方々の話も聞いてみましょう)
どのように教団員が人々を説き伏せているか分からない。
家畜や虫の影響を受けて騒ぐ音、町民の動きなどにも珠緒は警戒して情報を集めていく。
「ほら、お前も顔が知れてるかもしれないだろう? 勇者殿」
カイトが差し出したローブをアランは纏う。
「そうだな」
名声の高さもあっての処置だが、前回の作戦で教団に目をつけられているかもしれないと考えたカイトもまたフードで顔を隠す。
ただ、それは教団員に対する者。ハウスンの民と接する場合はフードを取り去って。
「落ち着いて、僕らはイレギュラーズとして来ました」
カイトは先に教会に向かい、カリスマを働かせて神父と接触する。
良くない布教を防ぐ為に索敵に動いており、活動するFEL教団員が信心深くない町人を信者に迎えようとしている旨と、敵に悟られぬ程度に教会で町民を匿ってほしいと要望を伝える。
「大丈夫です、必ずお守りします」
さらに、カイトはその場のシスターや町を行く町民にもカリスマ、統率の力を働かせ、ミサを行うなど不自然なく避難してほしいとも話す。
合間にカイトはテレパスも使い、他メンバーと情報交換を行う。
アランはそれを聞きながら、情報を元に動く。
以前は教団幹部の姿も確認できたそうだが、この町にはその姿はない。……それに。
「……厄介な悪魔がいやがる」
ローブを纏ったアランは、1人の信者が全身を布で覆った子供と思しき存在を連れていたのを見て近づいていく。
「なあ、俺もFELに興味があるんだが」
「おお、我等が神もさぞ、お喜びになるでしょう!!」
両手を上げ、FEL教団員が同志とでもいうべく両手を広げるが、アランは物陰を指さして。
「ここじゃ都合が悪い。場所を移してもらえないか?」
信者1人と悪魔が1体。この数ならとアランは人気のない物陰へと誘う。
町民から見えない位置までくれば、まずは目の前の見える教団員達から確実に確保する為にアランが大剣を抜く。
「なにっ……!?」
魔力弾で牽制してくる敵に対し、リミッターを外したアランが一時的に疑似聖剣を2本具現化し、教団員へと斬りかかっていく。
脇では雷撃へと変換した一撃をカイトが叩き込み、布を取り去って黒い炎を飛ばしてきていた下級悪魔を叩き潰す。
「くっ……!」
呻く敵は影を操って2人の動きを封じようとするが、勢いには勝てず。
相手を生け捕る必要のある状況とあり、アランが紅と蒼、十字の斬撃で教団員を追い込むと、カイトが慈悲の一撃で意識を奪っていった。
教団員に関する情報収集と捜索にと、リウィルディアが前に出る形でリディアと行動していた。
町民達から聞き込みを行う2人。特にリウィルディアは信仰蒐集も使い、町で勧誘を行う教団員の居場所に加えて人気の少ない場所も聞きだす。
「いました。そこの角を右に!」
リディアがエネミーサーチで発見したのもまた、教団員1人と悪魔1体。
「そこの人、少しいいだろうか。いやなに、少々気になる話があってだね」
リウィルディアは2人でどうにかできると判断し、手早く避難を行ってから教団員らと物陰へと向かっていく。
こちらもすぐに、交戦状態に入る事となる。
「我等の力、思い知るがいい……!」
蝕みの術で攻め行くリウィルディアが肉弾戦を仕掛けてきた下級悪魔を追い込み、リディアが審判の一撃を与えて撃破した。
教団員も魔力弾を放出して応戦するが、2対1でイレギュラーズが優勢。
幾度かの攻防の後、リディアが拳闘で顎を叩きつけた敵へ、リウィルディアが神聖の光を撃ち込んで教団員を無力化させていた。
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ロゼット・汰磨羈のペアはまず、主にこの町で信心深い者達と接触して。
「今の状況にかこつけて、良からぬ事を企む輩が徘徊しているようでな」
汰磨羈が信仰蒐集を活用して信を得つつ、教団員に関する情報も得ていた。
「私達としても、早急に片を付けたいと行動している所だ。どうか、力を貸して貰えないだろうか」
元々、信心深い町民としては、FEL教団の勧誘は煩わしい存在。 それ故に、町民は異教徒一掃の為に進んで協力してくれ、汰磨羈に情報提供してくれる。
(力をあてにして信仰してる人ってのは、大体裏切られるものだよねえ)
共に行動するロゼットは情報収集に向いた非戦スキルがないとあって、少し高い塀の上で猫に変身し、そんなことを考えつつ丸くなる。 一方、汰磨羈は予めカイトから聞いていた外見の教団員を避け、その出現情報を集めていく。
それによって、汰磨羈は教団員がどの区画から布教を行うか、主な行動時刻はいつかなどして、行動パターンやその範囲を絞っていく
町民と会話する合間、汰磨羈が視線を向けてくれば、ロゼットも動き出して。
「……ああいや、散策ぐらいはするよ。サボンないよ」
この2人は教団員に気付かれぬよう情報収集する役割。さすがに街角の猫まで疑うほど追い詰められてはいないだろうと、ロゼットも判断していて。
(まあ、この者の信仰と優劣など別の話ではあるのだけれど、普通にこっちの方が神様に嫌われているのかもね)
猫の姿で微笑むロゼットはてくてくと歩いて個別行動も行い、勧誘を行う信者をじっと見つめて。
(魔種さまの加護を疑っちゃだめだぞお。油断してどうぞ)
相手の居場所を確認したロゼットはまたてくてくと酒場で客の振りして情報を得ていた汰磨羈の元に戻る。
アテにしていたパートナーにロゼットが視認した情報を告げると、汰磨羈は蛍の鳥ファミリアーへと情報共有をしていた。
その蛍は仲間達の情報を集めつつ、珠緒と行動。普段から一緒にいる2人は連確保携が手馴れていた。
「すでに、交戦しているペアがいるようね」
鳥ファミリアーやハイテレパスを使う蛍の集めた情報によれば、アラン・カイト組、リウィルディア・リディア組がそれぞれ悪魔を1体撃破、教団員を確保していた。
そして、裏手側に集まる3人の教団員に悪魔と思われる相手を6体、確認して。
「これは、皆さんと強調したいところですね」
珠緒の言葉に頷き、蛍は仲間達の招集を試みる。
丁度、情報は揃ったと判断した汰磨羈・ロゼット組がすぐさま走って動き出す。
1体をアランがこんなこともあろうかと縄を取り出して教団員1体の手足を拘束していたアラン・カイト組も人気のない場所にそいつを放置し、救援へと向かう。
同じく、リウィルディア・リディア組も、倒した敵をリディアが持ち込んだ縄を取り出して。
「典型的ではありますが。あと、猿ぐつわも、ですね」
こちらの方が少し拘束がきつくなっていたのはさておき。
仲間が奇襲をかけると知った彼女達は人目に付きづらい場所とあって、そのまま転がした状態で合流を目指すのである。
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FEL教団員も連絡の取れなくなった団員の存在に気付き、状況把握の為にと集まっていたらしい。
蛍、珠緒は2組が取り込み中とあって、汰磨羈、ロゼットが合流した地点で突入をはかる。
「チッ、ローレットか!」
すぐさま気づいた教団員達は、被らせた布を取り去った下級悪魔と迎撃に当たる。
敵はいずれも黒い物体を放出してくる。悪魔どもは黒い炎を、教団員は影を放ち、イレギュラーズ達を苛んでくる構えだ。
それらを前に出た蛍が敵を引き付けるべく、決死の覚悟を抱いて炎熱の桜吹雪を降らす
まずは悪魔の数を減らしたいところ。蛍へと近づく敵へと、珠緒が素早く神聖なる光を浴びせていく。なお、すでに珠緒は蛍が顕現させた英霊の鎧を着用しており、敵の異常攻撃に苛まれる心配はない。
汰磨羈・ロゼット組は火力不足と感じていたようだが、下級悪魔相手であれば十分。
汰磨羈が複数を巻き込むよう霧を噴射した直後、気弾を撃ち込む。 それぞれ水行と木行のマナによって生み出されたそれらは急速なプラズマ化と熱膨張を巻き起こし、悪魔達に衝撃波を与えて消し飛ばしていく。
仲間との共闘とあって後方からロゼットは言霊の如き号令によって蛍や珠緒の傷を癒してしばらく場を持たせていれば、他のペアも駆けつけて。
「オラァ! 少し眠ってろ!!」
アランは蛍のテレパスで迷わず駆けつけ、すかさずフリーになっていた教団員へと二刀の疑似聖剣で邪魔な影もろとも切り払い、カイトが続けてここでも雷撃を叩き込んで下級悪魔を消し炭にしてしまう。
交戦が続き、この場のイレギュラーズ達へと注意を払うFEL教団員達だったが、さらに奇襲してくる人影が。
「手早く片づけさせてもらうよ」
まずは悪魔達の殲滅を。リウィルディアが邪悪を裁く光で悪魔どもを灼き払っていき、リディアが確実に仕留める。
悪魔も教団員も防御はさほど硬くはないと、先程の戦いで判断していたリディアは、蒼煌剣メテオライトで自らの信じる正しき一撃を持って、混沌に現れた悪魔を切り捨てたのだった。
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FEL教団が集まっていたところを奇襲するローレット勢。
ただ、今回は幹部不在と相まって、少しずつ戦力を削がれていたことあって総崩れとなっていた。
戦力として用意していたはずの下級悪魔達もイレギュラーズ相手では壁にすらならず。
「ここで灰になれ! 雑魚が!」
敵の数が残り少ないと判断し、アランは速攻撃破を狙って『殺意』のオーラを纏わせた大剣をぶち込むと、最後の悪魔は動きを完全に止めてしまう。
「これでは、我等すら贄にされてしまう……!」
ポロリと漏らす教団員の言葉を、イレギュラーズ達は聞き逃さない。
より詳細を尋ねる為に、汰磨羈が再度衝撃波をまき散らし、今度は教団員を昏倒させ、戦闘不能へと至らしめる。
「こ、このっ……!」
2人となり、教団員らは退路を探そうと周囲を見回すが、カイトがしっかりとマークして敵を自由にはさせない。
彼は翼を羽ばたかせ、地上からだけでなく空中からも魔剣で斬撃を浴びせかけ、教団員の体力を削いでいく。
敵もなんとか打開策を見いだそうと、それぞれ影を操ってイレギュラーズ達へと絡みつかせ、魔力弾を放ち続ける。
しかし、多少の傷であればロゼットが調和の力で癒しに当たり、前線を支えてくれる。多少のことでこの状況は覆らない。
そして、蛍が桜吹雪の結界へと2人の教団員をしっかりと捕えてしまえば、珠緒が神の光で強く照らし、片方の意識を奪ってしまう。
「くそっ……!」
自分だけになっても抵抗を止めず、影を操り続ける教団員へとリディアが拳を打ち込み、棒立ちになった相手へとリウィルディアが呼びかけて。
「吐いてもらわなければ困るからね。君たちには、ここで大人しく潰えてもらおうか!」
「あ、うぅ……」
リウィルディアもまた眩い光を撃ち込めば、教団員も精根尽き果てて地面に倒れ込んだのだった。
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天義の町、ハウスンにて布教を行っていた5人のFEL教団員を捕えたイレギュラーズ達。
珠緒が改めて、簡単に逃げられないように手を後ろに回してから親指同士を縛り付けていた。
「後は尋問ですね」
リディアの言葉を受け、メンバー達は教団員達へと様々なことを訪ねようとする。
そこで、教団員の1人が抵抗しようとするが、汰磨羈がしっかりと押さえつけて。
「諦めろ。この状態で逃す私達では無いぞ?」
さらにきつく縛り上げてから猿ぐつわをかませる。
教団員達はすぐには語ろうとはしないが、徐々に口を開き始める。
組織の中では信者の次に末端の組織員ではあるが、知っていることは信者よりもかなり多い。
まだ然程規模の大きくないこの教団はあちらこちらに目立たぬ規模の支部を持っているらしく、その場所が少しずつ明らかになっていく。
「これで、悪魔の尻尾の先くらいは掴めたかしら……?」
蛍の考え通り、教団の全容把握を目指す上での糸口となりそうだ。
「ああ、確かにつかんだよ。フェルマークの尻尾を……!」
いや、それは彼にとっては、名誉をつかみ取る為の小さき一歩かもしれない。
確かな手応えを感じながら、カイトは仲間と共にこの1件を依頼主である国……天義へと報告すべく聖都フォン・ルーベルグへと向かうことにしたのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPは名誉回復の為に奮起し、今回の依頼の立役者ともなった貴方へ。
今回はリクエスト、並びにご参加、ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
今回はリクエストシナリオのご依頼、ありがとうございます!
天義にて、怪しげな邪教教団が暗躍しておりますが、現状糸口がつかめずにいる状況です。
教団員が直接信者の獲得に乗り出しているようですので、まずは彼らの確保を願います。
●概要
フェルマークという名の存在を神として信仰する新興宗教FELが天義内で活動しているようです。
まずは勧誘を行う教団員を抑えつつ、教団の実体について情報を仕入れたいところです。
また、当シナリオは拙作「信仰に捧げられしサクリファイス」の続編にも当たります。
一度は失敗した依頼を次につなげる成果が出させたなら、その活躍は皆の知れるところになるかと思います。
●敵
事前に視認できている数のみこちらでは記しますが、実際はもっといる可能性があります。ただ、イレギュラーズ達の数を大きく上回ることは無いでしょう。
◎FEL教団員×2体~
直接確認できるのは2人ですが、もっといるかもしれません。
魔力弾や影を使って相手を束縛する術に長けた相手です。
〇下級悪魔×3体~
子供のような体躯で全身を布で覆い被らされておりますが、悪魔に違いないようです。
全身黒い肌の10歳前後くらいの身長の悪魔で、背に翼を生やしております。
武器は持たずに肉弾戦で攻撃する他、黒い炎を使って遠近問わず攻めてくるようです。
○フェルマーク
FELで神として崇められている存在とのことです。
魔種だということは分かっていますが、それ以外の情報は不明です。
○状況
場所は天義の町の一つ、ハウスン。小作農が集まる町で、小麦を育てているところが多いようです。
天義らしく信心深い者も多い場所ですが、そうでないものをターゲットにしてFEL教団員は勧誘を行おうとしているようです。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
それでは、よろしくお願いいたします。
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