PandoraPartyProject

シナリオ詳細

墜落思

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●虚空
 ふ……と。地面を見上げれば、思えば遠くまで落ちたものだ。周囲を確認すれば己以外にも墜ちて往く物者が数多と解せる。たとえば。向こう側の少年は、夢を見ながら幸せに。たとえば。彼方側の少女は、永久に泣きながら停滞を望んでいる。たとえば。上下左右も判らずに、化け物じみた物質が分裂と融合を繰り返している――逃れる術も忘れて淡々と、段々と満ちてくる混沌に『脚』もつかずに堕ちていけ。
 なあ――僕等は何処に到達するのだろうか。何度吐き散らしたか解せない問いを、何日目かの衝突を想って嘲笑う。それは君次第だと数百回数千回、注ぎ込んだじゃないか。神様らしき存在が己の言辞を拭ってうたう。謳うのは人間の在り方だろうに、ああ、神様も墜落を止められないのだ――めまいを覚えても、溺れても、その苦しみさえも絶えている。助けてほしい。救けてほしい。欲しがりだと蔑まれても、諦める事は出来ないのだ。
 されど何時かは訪れる。時も愈々『落下』して、己の輪郭さえもこぼして終った。ならば永劫に縋った方が悦びだろう。幸せだろう。思考そのものをおとして、なくせば好い。誰にだって起きる筈だ。ほら。先程の少女も、表情を殺し委ねている――あとは自分自身の問題だ。そうとも。世界は僕等の塵箱で、投棄された希望の踊り場なのだ。
 ――薄れ生かされ、往く事あれ。

●墜落
「何よ。また随分と寂しそうな物語ね。ええ。仕方のない事。私の開く頁は悉くが『狂っている』のだから。そう思うでしょう? あなた達」
 くるくると宇宙を着こなして、案内人たる『こすも』がわらう。行くべき世界の劇的に、眩んだのか如何かへなりと座って。
「今回の世界は『何もかもが墜ちている』の。勿論、入ったあなた達も例外じゃないわ。地面から虚空へとおちる感覚は、永久に味わうべき煉獄なのよ――それだけ。だから気がふれてしまいそう。まあ。大怪我とかはしないから安心してちょうだい。正気で戻ってくる事を『期待して』いるわ」
 ぺらりと――。

NMコメント

 にゃあらです。

 今回のライブノベルは『ただ虚空に墜ち続ける』だけです。
 永久に等しい墜落を発狂しない程度に楽しんでください。
 ――勿論、錯乱するのも華でしょうが。

 第一章だけの掌編予定です。
 4~6人の採用を考えています。

 プレイング例

「全てが墜ちる物語か。死ぬよりはマシだろう」
 堕ちる。堕ちる。ただ、墜ちる。
 地面から離れ、虚空へと墜落する。
 脳天から上へと往き、しかし終着点は無い。
 ――嫌だ。終わりが無いのは、嫌だ。
 血がのぼる? いいや。血がくだる。
 ――誰か手を伸ばしてくれ。助けてくれ。

  • 墜落思完了
  • NM名にゃあら
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月10日 21時12分
  • 章数1章
  • 総採用数8人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

Luxuria ちゃん(p3p006468)
おっぱいは凶器

 娯楽――々とお互いが結ばれる幻影が、何処かLuxuria ちゃんを包んでいる。愛。眼。遭い――私が落ちている。私だ。取り囲むように私が通り過ぎていく。いかれた世界の暗澹に、淡々と到達出来ない『虚空』を知るのか。無数に見てきた、混沌に辿り着くまでに見た私達だ。綺麗な衣に身を委ねて、支配に座している私。偶像と示されて拍手喝采を浴びている私。色街で身を立て、誰かに導かれている私――あの仔を抱いている母親も私で、嗚呼、私が骸のように積み重なっていく。空虚に思考を捩じり棄てて、心の傍をこれまで貪ってきた……金色の鏡を過ぎっている輪郭。奪取だ。奪い尽くして来た『私』の羅列が墜落していた。許しを請う貌は如何だろうか。情けを求める滅裂は如何だろうか。脳髄までも沈み込んで、混濁する私は私に挑み続けている。色情に狂った私達が、私達をふれながら謡っている。その内容を解く事は出来ない。出来たら苦労はしないのだ。全ての私がただ通り過ぎる――見ないで。観ないで。視ないでよ。ちゃんと殺したじゃない。クスクス。クスクス。五月蠅い。喧しい。ちゃんと死んでてよ。けらけら。くらくら。墜ちる。堕ちる。なんでまだ私の中で。私の頭の天で生きてるのよ――このまま裂けて終いそうだ。私が私を保てない。内部も外部も融けて逝く。閉じて塞いで、心は酩酊だ。逃げる。私自身の世界感――落ち続けるのに任せて往けよ。

 そんな記憶はかわかして。

成否

成功


第1章 第2節

木南・憂(p3p008714)
やまぶき

 冷える。凍える。地を足で踏めない状態で、只管に阿鼻叫喚へと落ちていく。思考するだけで肝が苛まれ、轟々と警鐘が笑っている。どこまでだ。何処までも墜ちる絶望が、圧し掛かるように木南を打った。俺は何を目指しているのでしょう。招待された物語の片隅で、星辰を舐るが如く脳髄を傾けた。嗚呼。こんな奈落でも『慣れる』事は容易いだろう。染み込んだ冷気も感ずる術失く、眩む空も現では無聊だ――俺は空を飛んでいるのでしょうか。俺は宙を翔けているのでしょうか。真っ暗な夜が口を開けて、浮遊する『俺』を手招いている。いいえ……星辰は幻覚だったのだ。輝きは一欠片も見当たらない。まわりで躍るのはただの暗黒。恐ろしさに蝕まれる事は『ひと』らしさの在り方か――最下には何が溜まっている。冷えた地面の抱擁でしょうか。それとも大きな湖でしょうか。見た事も無い怪物……例えば。巨大な牙も無く。口も耳も無く。何も無い正体不明――呑み込まれる。想像が頭蓋骨の内側を這い廻り、裏も裡も濡らしていく病的な――でも。一番恐ろしい考えには蓋をして。
 粘つく――思い出すのです。妹を亡くした時のことを。癒えない傷も今は観えず、しかし落ちたのは変わらない。崩れた。壊れた。狂い尽くした歯車が、誰かを潰れた果実と告げている。助かったのは『俺』だけだ。オマエだけだ。オマエだけだ。……ごめんなさい。

 ならばオマエが墜落死するのは赦されない。
 想い呪いだ。

成否

成功


第1章 第3節

R.R.(p3p000021)
破滅を滅ぼす者

 滅びの有り様。その美的とも捉えられる、ある種の絶望もR.R.の視界には等しく破滅か。矛盾する自己を憎悪に染めたのは如何なる灰色か。執着に掬われた人格は『自分』が何者か紐解いている。ならば『今現在』の状況は解せるのか。課せられた物語は墜落の思い――このまま落ちて、堕ちて、地面に撲殺される場合は破滅。墜ちる最中に空気と摩擦熱で燃え尽きるならば、それも破滅だ。されど此れは嫌がらせか。もしくは真上からの誘拐か。融解するように、今は落ち続けているだけ。不安定とも安定とも言い難い『頁数』がふわりとした疑問を注ぎ込む。最早破滅にも到達しない以上、干渉する術も意欲もない。よくよく噛み砕いた誰かが通り過ぎても、停滞だけが虚空に鯨飲されている――未来永劫。その墜落を思わずに『しれる』のも、それはそれで楽な気がしてきた。厳しくもなく甘くもなく、くるくると赤熱する激も失せ。ぶつけるべき憎悪が死に絶えるのか。心が己の感情という軛から『解放』されているようで快い。オマエは自身を獣と称するのか。人と示すにも【ない】がいい。ああ――拘束されずとも捕縛される、そんな罰を受ける心臓ではないのだ。

 生存すれば万々歳と謂うのか。
 ――だが、しかし。
 暇だな――頭と身体を忘れている。
 ――魂は何処に往った?

 闇黒か。極光か。予兆じみた脳髄は破壊されても構わないのか。内包し、朽ちかけ、欠片を集める暇もなく、遂には宙の罅へ。

成否

成功


第1章 第4節

楠・大地(p3p008466)
新たな可能性

 ――うおおおおおーっ!?

 男は呪われたように。祝福されたが如く『頁』に這入り混んでいた。掻き乱された現実と幻想が怪奇に塗れており、地面から墜ちる感覚は『可能性』を感じさせるのに充分で在った。男――楠は叫ぶ。墜ちている。堕ちている。落ちているのだ。絶叫する事に何の意味がなくとも、底に一粒の『すくい』が有るならば証明せねば成らない。よくわからない虚空だが諦める事は絶対に在り得ない――意識を保つのだ。決して。何事に遭遇しても気を失うな。思考を止めた時が『俺』の死だと噛み砕けば好い。第一に。延々と。永遠と落ち続けるなど『常識ではありえない』つまりこの世界・現象には『何か原因がある』筈だ――うるさい吃驚の羅列に虚空が息を吐き、大柄のものを導いていく。嗚呼。しかし【物語】ならば結末が在るだろう。脱出も不可能ではない。【筈】と記すのはやめるべきだ。こんな所で留まり、湿気ったように囚われる事は赦されない。俺も、誰も彼も。

 ――傷付いてはいけないのだッ!

 助けて。救けて。何者かの発狂が耳朶を擽っている。そう願う『人』が居るならば。そう思う『者』が居るならば。自らを必要とする『もの』が集うならば――俺は諦めん。何が何でも諦めんぞーっ!!! 伸ばす。延ばす。なにもない黒に、気合を垂らす。猪を倣えば獣と称されるのか。猛進する貌は妄信に似て、畏怖と恐怖の両極端にしがみ付いている。揮うべき正しさは霞まない。

成否

成功


第1章 第5節

ペッカート・D・パッツィーア(p3p005201)
極夜

 嗤う。笑う。長く、永く墜落している何者どもが『ペッカート』の映る限りに謳っている。何処か壁のない臓物じみた現実が、幻想を纏って舞踏するような、妙に怠惰な感覚だ。そう過ごせるのも良いかと思ったけど――退屈が骨身に染み付いて、離れる事を忘れていた。寝飽きた。見る夢も見ない夢も高層からの構想で、早々に『新しい』は生じない。堕ち飽きた。感じる風も浮かぶ中も、遂には覚える術が消え失せた。これなら。殺さ続ける方がマシだろうか。終わりに向かって痛みを抱き、只管に血反吐を眺め尽くす――一方的に殺され続けるのは嫌に決まっている。何言ってんだ俺は。もれた言葉を虚空が吸い込んで、俺よりも先に永劫を味わっている。それにしても。俺にも未だ墜ちる余地が。堕ちる余地が有ったとは。在るべき場所には『下には下』……虚空への逆さまは『上』なのか?
 君は今ドン底に。最下にて泡立っている。そんな程度ならば後は這い上がるのみ――云々と抜かしていたやつは間違いに眩んでいた。今度、俺よりも下に堕としてやろう。酩酊した存在は貌を真っ蒼に無間を啜れば――はぁ……冴える。思考がひどく冴えやがる。愈々まわりは錯乱し、狂いの暗黒に呑まれたと渦描くのに。俺は『まだ』なんて、なぁ? 話し相手は大きな口だ。定まりを知らぬ無の貌が、茫々と嘲っている。数人くらい、いてほしかったぜ。

 ――混沌の足音は聞こえない。
 発狂しないなんて証拠もないがな。

成否

成功


第1章 第6節

アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯

 宙毒を忘れた事は一度も無かった。独々しい虚空へと墜ちる感覚が、アルコールの如く臓物を乱していく。あらまぁ。ほうけたように漏らした息は、哀れなほどに正気で在るのだ。アーリアと世界に融かされた髪質が、闇黒の『口』に啜られる。高所から飛び降りた経験は何が所以だ。ぶらりと傘を広げて触れて、その風は今現在『あたれや』しない。それよりも――高い。まるで赤ん坊に戻った気分で、泥濘に近い深淵を知る。高いのではない。高いなんて『ない』のだ。決して他界までの一直線ではない――何処までも続いているのだろう。ふと『思って』しまえば終着点は眩々だ。もう戻れないのかしら。脳天から這入り込んだ寒気が、背骨までもつたっていく。
 せめて。如何かせめて。その蜂蜜色を含んで眠りたい。その琥珀色を信じて縋りたい。ああ。嘘でしょう。瓶はもう空! からからと嗤う向こう側が、出入口のない物語を称えている。耐えられない。お酒に堕ちるのは好きだけれど。絶えた空瓶と心中だなんてぞっとする――ならば良かったのだ。震える腕は錯覚に違いない。投げ棄てた瓶が下……上へ。きっと。いつまで経っても。

 ――割れる音など往きたえた。

 嫌だわぁ――水槽に浮かぶのも虚空に墜ちるのもたくさんだ。未だ『早い』と怒られた方が『ひと』らしい。こすもちゃんの誘う世界はいつだって――悪趣味。嗜好迷路に詰め込まれた、ただの肝臓が何を笑っている。足を運んでしまうの!

成否

成功


第1章 第7節

ヴィクトール=エルステッド=アラステア(p3p007791)
懐中時計は動き出す
散々・未散(p3p008200)
魔女の騎士

 説に縋るならば身を焦がせば好い。筆舌し難い『墜落』に、貴様等は只管に揮っている。素晴らしい速力で天空を翔けるように。或いは、人生全体に対する。過去総てに対する『冒涜』のように。ずれ込んだ肉と魂の戯れが、脳髄からも離別していく。開かれた天と地の盲目性が、愈々虚空へと魅せ付けた――在り続ける。有り続ける。青色の羽を毟るように、無邪気な少女の演技は如何だ。あなたさまの腰に触れ、ふれたかの如く『思い』溺れる。此れは肉体からの解放でしょうか。其れとも――何が解ると謂うのか。何が変わると謂うのか。ああ……嗚呼。始まりも終わりもいきている。今の命と『変わり』ない――永劫と見紛う檻の中でしょうか。真実、柵はやってきた。光輝と称される『それ』が深々と人間を抱擁している。不思議な事に恐ろしくはない。悲しさまでも空に喰われたのか。
 こんな教えを知っていますか――痴れた大口に投げ掛けるように。ふれた男に語り掛けるように。我々は前世において犯した其々の罪の故に――もしや『忘我』した結果だろうか。無聊の内側で『ただ』贖罪し、屍の上にも立てやしない――罰を受ける為に此の世に生まれてきたのである。嗚呼、ならば。だからこそ『毟られた』のだ。散りばめられた青色が、真っ暗な油に浸っていく。
 退屈。そうですね。そうかもしれない。長い。永い。眠りの中で『罪と罰すらもおとした』のか。外套を広げても終わりのない墜落には意味がない。内臓を吐き散らしても残りはしない。滓と成り得るのは『うつろうそら』だけで――賭けませんか。欠片に相応しい場所を想い、満ちるカップは何色だ。何時もの喫茶店の日替わりの紅茶。今日は何なのか――よく舞い落ちるあかいろ。
 この空はいつの間にか『変わって』いた。貴様等の雰囲気を感じ取ったのか。貪り尽くしたのか。バタフライピーでしょう。一滴垂らせば『黄昏色』で、ちょうどいい――誰も彼もが永劫に狂っているのだが、妙なまでに正気な貴様等は【なに】なのか。飽きたら寝てしまえばいい。
 滅裂に含まれた、儀式めいた枕元が『嘲笑』を浮かべて貴様等を観る。成り損ないとたえ損ないが貌を合わせればひどくお似合いに違いない――全部を投げ出して終え。何もかもを放棄して終え。しんでしまえば、いいのだから――改められた世界は旅をするのに値したのか。集って、群がって、造り変えた『もの』どもは最早『みずから』を失くしている。

 ――鏡像か。人形か。もしくはテキトウな星屑か。

 未散の色彩――その眼球に渦が映る。
 ヴィクトールの三白――に混が潜む。

 とかすべき砂糖は何処に隠したのだ。のけるべき渋みは奥底に溜まっている。全く『どうしようもない』ほどに無碍には扱えないのだ。存在しない嘘吐きと、サイハテも無い虚空――積もりに積もった埃を拭い、その誓いだけを掬って魅せる。成る程――傑作ですね。

 視えたのは一瞬、貴様等も物語に絡――。

成否

成功


第1章 第8節

 ああ――世界が、何者が落ちたと記すのだ。
 アア――人々が、異物が墜ちたと語るのだ。

 嗚呼――視たものは虚空に、堕ちるのみ。
 思えば近くに在った底無しだ。

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