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シナリオ詳細

<月蝕アグノシア>アルベド・サバイバル

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 妖精郷アルヴィオン。
 魔種、魔物の侵攻を受けていたこの地において、魔物……錬金術モンスターの一種として生み出されたアルベド。
 それらは、魔種の指示に応じてあちらこちらへと配備されている状況だが、妖精郷において大都市と言える湖畔の町エウィンの見張りに2体のアルベドが当たっていた。
「……ねぇ」
 呼びかけたのは、大きな蝶の翼を生やした大鎌を持つ少年。
「何でしょうか」
 それに応じたのは、獣の耳と尻尾を持つ女性。
 いずれも、ローレット所属のイレギュラーズとそっくりな容姿をしていた。
「俺って、一体なんなのかな?」
 サイズ(p3p000319)をベースとしたアルベド、通称Aサイズが問う。
 元々の自分と大鎌としての自分。何が本当の自分なのか、分からなくなっており、今の自分の在り方に疑問を抱いていたのだ。
「今の自分なんて関係ありません」
 こちらは、弓削 鶫(p3p002685)をベースとしたアルベド、通称Aツグミ。
 生存本能を強く持つ彼女は、とにかく生きなければと考えている。
 元となった人や妖精など関係ない。今いる自分が生きる事が必要だと、ある意味で鶫の考え方を強く受け継いでいた。
「ともあれ、私達に与えられた指示はこの街の見張り。任務を続行しましょう」
「そう……だね」
 しかしながら、Aサイズは拭い去ることのできない胸のつかえのようなものを覚えていたのである。


 妖精郷アルヴィオンが未曽有の危機に陥っている。
 魔種と配下の魔物達が妖精達の集落や城を占拠してしまったのだ。
 一部は錬金術師タータリクスの作った魔物であり、イレギュラーズの血や髪等を採取する事件も引き起こしている。
 魔種どもがゲートを強引に突破、余波でその機能を全停止してしまっていたが、ローレット勢が妖精郷への正規ルート『大迷宮ヘイムダリオン』を踏破したことで、妖精郷へと至ることができるようになった。
 それによって、アーカンシェルの機能回復を知った妖精達は、アルヴィオンからこちら側に逃げ出しており、ローレットへと救援を求めている。

 ローレットで、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)が連れてきたのは、以前、『おとぎ話の門(アーカンシェル)』絡みの依頼で依頼を共にした妖精の少女、エーヴィだった。
「友達が、実験体にされて……」
 妖精エーヴィは泣きそうになりながら、イレギュラーズ達へと訴えかける。
 話によれば、彼女の知り合いである少年レコと少女カティが魔物達に捕らわれてしまったとのこと。
 どうやら、2人は錬金モンスター、アルベドの核にされたという話をエーヴィは聞くことができたそうで。
「どうやら、エウィンの街外れで見張りに当たっていることが分かったの」
 ただ、すでにアルベドの核……フェアリーシードとして、ベースとなったイレギュラーズのデータと融合する形となっている。
 少年少女の自我はすでになくなり、新たな自我が芽生えている状態のようだ。
「出来れば、私も説得に行きたい。同行しても大丈夫?」
 土地勘のないイレギュラーズとしてはありがたい申し出だ。
 エーヴィの回復術には助けられていることもあるので、足手纏いにはならないだろう。
「しかしながら、そのアルベド2体の相手は楽ではありません」
 アクアベルが説明の続きを、イレギュラーズ達へと行う。
 依然、体の一部を錬金術モンスターに持っていかれたサイズ、弓削 鶫の姿を取っており、身体能力はオリジナルをベースして強化され、特に体力面が尋常ではないレベルで強化されている。
 魔種や錬金術モンスターの勢力を削ぐことはもちろんだが、被検体とされた妖精達を助け出す為にも、アルベドを止めたいところ。
「ただ、下手に倒すと、核となった妖精達まで命を落としてしまいます」
 その為、上手く対処する必要があるが、アルベドは自我が芽生え始めており、激しく抵抗してくることだろう。
 決して状況は楽とは言えない。それでも、事態を打開するためにも何かかしらのアクションを起こさねばならない。
「ともあれ、まずはアルベドを見張りの場から退去させることに注力を願います」
 それができれば、少なからず状況は進展するはずだ。
「皆、よろしくね」
 妖精エーヴィもまた、イレギュラーズ達へと依頼の参加を願うのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいです。
 妖精郷アルヴィオンでの決戦となる全体シナリオです。
 よろしければ、お付き合いくださいませ。

●目的
 アルベド2体の撃退。

●状況
 湖畔の町エウィンの町外れで、稼働しているアルベドの撃破、もしくは撃退を願います。

 アルベド達は町の入口にて見張りに当たっております。
 イレギュラーズの接近によって迎撃に当たりますが、不利を感じると逃げ出すようです。

●敵……アルベド
 データを奪われたベースのイレギュラーズとそっくりの外見をした錬金術モンスターです。全身が白っぽくなっているのが特徴です。

 アルベドには、仮初の命の核となる部分が、身体のどこかに存在しており、その核を『フェアリーシード』と呼びます。
 フェアリーシードを破壊すれば、アルベドは完全に機能停止しますが、同時に核として組み込まれた妖精も死亡します。

 戦うイレギュラーズの頑張りによって、妖精を助け出すことができる可能性が生まれます。
 その場合も、アルベド自体は再起不能となってしまいます。

○アルベド=サイズ(通称:Aサイズ)
 サイズ(p3p000319)さんのデータと妖精の少年レコをベースに作られたアルベドです。
 元が妖精の少年であったにもかかわらず、大鎌であるという認識のずれに苦しんでいるようです。
 本物同様所持する大鎌を使った攻撃を行います。スキル情報などは不明です。

○アルベド=鶫(通称:Aツグミ)
 弓削 鶫(p3p002685)さんのデータと妖精の少女カティをベースに作られたアルベドです。
 Aサイズより安定した思考を持ちます。芽生えた自我を保つべく、必死に生き抜こうとします。
 本物と同様、弓や火器類による火力支援を得意としているようですが、スキル情報などは不明です。

●NPC
○妖精……エーヴィ
 身長30センチぐらいの精霊種、12,3歳くらいの少女。
 青い服を纏った金髪の彼女で、魔法による簡単な回復支援は可能です。
 彼女はアルベドとされたレコ、カティの救出を願っております。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <月蝕アグノシア>アルベド・サバイバル完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年07月16日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

フェリシア=ベルトゥーロ(p3p000094)
うつろう恵み
ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
弓削 鶫(p3p002685)
Tender Hound
マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
記憶に刻め
シュテルン(p3p006791)
ブルースターは枯れ果てて
恋屍・愛無(p3p007296)
終焉の獣
胡桃・ツァンフオ(p3p008299)
ファイアフォックス
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師

リプレイ


 ローレット所属イレギュラーズ達は一度深緑へと立ち寄り、機能の回復したおとぎ話の門……アーカンシェルへと向かう。
「シュテ、深緑、ここ、初めて、違う」
 記憶の無い天義の少女、『こころの花唄』シュテルン(p3p006791)はこの地に何かを感じていたようで。
「とても、怖い、場所……。頭、ズキズキ、苦しい……」
 彼女は早くこの地を通り過ぎるよう仲間達へと促し、いち早くゲートをくぐっていた。

 妖精郷アルヴィオンへと至ったローレット勢。
 改めて、妖精エーヴィから耳にした今回の事態に、皆、少なからず動揺が走る。
「コャー、たいへんたいへん」
 狐の見た目をした精霊種である『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)の調べによるところ、一度は観光に行きたい観光名所第一位のアルヴィオン。
 その場所がこんなことになっているなんてと、胡桃は驚きを隠せない。
「アルベド……錬金術のモンスターか」
 片目を隠した和装の青年、『魔剣鍛冶師』天目 錬(p3p008364)はデータから再現して基礎能力を上げただけのホムンクルスなど、生産者として向上心の欠片もないのかと毒づく。
「冷静な二人を敵に回すのは……はは、つらいな」
 オッドアイの狐の獣種、『こむ☆すめ』リアナル・マギサ・メーヴィン(p3p002906)が視線を向けたのは、その元データとされた2人だ。
「よもや、自身のコピー品と対峙する事になろうとは、製造元にクレームを入れたい所ですね」
 妖精種と人間種のハーフである『Tender Hound』弓削 鶫(p3p002685)は少なからず制作者、タータリクスを始めとする魔種に怒りを覚えていた様子。
 そしてもう1人、ギフトによって妖精サイズに小さくなっていた『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)。
 錬金術モンスターに体の一部を持ち去られた彼は、自身のコピーが作られるのは予測できていた。
「……だが、まさかそのコアに生きた妖精を使うとはな……」
 アルベド……データを奪われたイレギュラーズの細胞に埋め込まれているフェアリーシードは妖精の魂が使われている。
 消耗品の如く妖精の命が使われている事実に、サイズは反吐すら出そうになっていた。
「どうして、こんな酷いこと、を……!」
 記憶の無い海種の少女、『うつろう恵み』フェリシア=ベルトゥーロ(p3p000094)もまたアルベドの製作者に対し、怒りを堪えられずにいて。
「これを作った方、は……一体、命を……意志を、何だと思っているのでしょう、か……」
「よーせー、大変、事件、とっても、困る、してる! シュテ、いっぱい、いっぱい、助ける、する!」
 シュテルンも核となった妖精の救出に意気込みを見せると、エーヴィも素直に喜んでいたようだ。
「鍛冶師としてはこうも堕ちた職人にはなりたくないものだ」
 そんな心意気で依頼への心構えを見せる錬だったが。
(……鍛冶妖精? なにそれ面白そう)
 内心では、アルベドとなるサイズに興味を抱く。
「被造物が命を持ち、己の生に執着する。面白い。とても興味深い」 地球外生命体である『らぶあんどぴーす』恋屍・愛無(p3p007296)もまたアルベドそのものに強い関心を寄せていたようだ。


 作戦に当たるべく、現場となる湖畔の町エウィンを目指す一行。
 交戦対象は見張りを行っているというから、町が近づいた地点でメンバー達は警戒を、特に頭上へと注意を払う。
「私は素材を取られた時、ファミリアーを索敵に用いてました」
 鶫はそれを自身のコピー……アルベドツグミ(Aツグミ)に使われることを考慮し、仲間達へと伝達していたのだ。
 相手の感知されぬよう直接ファミリアーや直接空を飛ぶなどした手段を使わず、目立たぬよう物陰に隠れながら移動する。直線状には並ばずに少し散開し、射線が通りやすい場所を避けるなど注意点も多い。
 そんな中、可能な限り有利な状況にと、動くメンバー達が。
「私のギフトは偵察向きだけど、レーダーにはかからないの」
 ただ、小型の狐型となった胡桃の炎は少しばかり目立つ為、彼女は炎を最小サイズにして頭の上にのせて頭上の警戒に当たらせていた。
 また、シュテルンは近場に精霊を妖精郷内にいる精霊を呼んで。
「何か、知る、事、持つ、だたら……教える、して、ほし……です……」
 幸い、アルベド達も完全に地形を把握しているわけではない。
 イレギュラーズは妖精エーヴィの案内で木々に潜みながらも、街の入口へと近づいていく。
「えっと、街のこちらの入り口に2人はいるはずだから……」
 そんなエーヴィの説明を聞き、錬はレーダー対策として予めエーヴィの姿をした式神を出現させていた。

 エウィンの入り口傍に、街の見張りを行う全身真っ白な人影が2つ。
「俺って、一体なんなのかな?」
 大鎌を携えるサイズベースのアルベド、アルベド=サイズ(Aサイズ)が戸惑いを見せていて。
「私達に与えられた指示はこの街の見張り。任務を続行しましょう」 毅然とした態度で、弓矢を構えるアルベド=鶫(Aツグミ)が遠方をチェックしていた。
「……アルベドの二人は冷静さを失いかけてるようにも見えているが……さて」
「……死なないレベルの出血程度で作られた俺はしっかり思考できたりできるが、アルベドの方は不安定なようだな」
 サイズは自らのアルベドを目にしてそう考える。
 彼の本体は手にする大鎌であり、その製造者は自分の命……血を削って作ったという。
 ならば、アルベドを作った魔種の錬金術師は三流かとサイズは考えていたようだ。
「レコ、カティ……」
 そばを飛ぶ妖精エーヴィが少し泣きそうになりながら、アルベドを注視する。
 2人の胸部には脈動する核らしきものがある。それがフェアリーシードに違いないだろう。
「同胞が電池にされてると聞いたの、どゆるせぬの」
 放っておけば、胡桃も火力発電所にしようとしてくるに違いないと考えていたらしい。
 怒りを燃え上がらせ、胡桃は関係者を拳にはめた武装で叩き潰すと豪語する。
 錬も核と妖精を救う為、難しいと分かってながらも成し遂げる為にできる限りの工夫をこらしてこの戦いに当たる。
 さて、敵に姿をさらす前に、コピー元となった2人。
 サイズは自身のアルベドに、妖精を救う魔鎌のコピーに妖精の命を使う矛盾した状況もあってエラーが出かかっている状況に分析していて。
「俺は妖精の血、呪いが発する妖精を救えという衝動にまま動く!」
 改めて、自分の信念を信じてこの救出劇に臨む。
 そして、鶫。妖精の核を失えば、アルベドの機能は停止すると考えて。
「強引に考えれば、アルベドの命は妖精と同一という事になります」
 果たして、アルベドの意識は本当にアルベド自身のものなのか。
 鶫はそう考えながらも、仲間と示し合わせて自らのアルベドへと攻撃を仕掛けていくのである。


 敵に姿をさらし、ローレットイレギュラーズは一気にアルベド2体へと仕掛ける。
 まず、式を使って準備を進めていた錬が町側へとバリケードを作成し、敵の退路を断つ。
「なんだ!?」
「敵襲……ですね」
 すぐさま動き出すアルベドの立ち回りは本物さながら。
 戦闘前はオフにしていた嗅覚を働かせる愛無は、仲間の位置も確認し、纏めて狙われぬようにする。
 と言うのは、彼が遠距離攻撃を得意とするAツグミの注意を引く役回りに当たるからだ。
「君は僕と踊ってほしいな。二人っきりになるために、準備もしたわけだし」
「光栄だけど、断わらせてもらうわ」
 迫られてはほぼ無力なAツグミだ。その為、できる限り距離を取ろうと愛無から離れ、いたちごっこが始まることとなる。
 それ以外のメンバーは、近接戦を得意とするAサイズを狙うのだが、鶫は自分のアルベドの位置と射程、射線を把握しながら立ち回る。
 街の入り口なら門もあるし、周囲の木々も障害物となる。それらを利用しながら、敵の弓矢から狙われぬ位置に立ってAサイズを狙う。
「俺のコピーなら、妖精の血が吸いたくならないのか?」
「妖精の血……そうだ。でも、なぜ、妖精の血を……?」
 サイズの問いに、彼のアルベドはなおも自問自答する。思考ルーチンこそ本物に近いが、意思は芽生えた自我が強いといったところだろうか。
「そうか。救うから動くな」
 相手の胸部に核を視認したサイズは、捨て身で突撃する。一撃でフェアリーシードを引き抜く為、サイズが編み出したスキルだ。
 だが、Aサイズも危機を察してか体を掴みかかられながらも、無意識に身を反らす。少なからず、自らの今の意識を守りたいという気持ちがあるのだろう。
 そして、妖精の血を使うAサイズは鎖で本物の動きを止めようとする。
「俺は……いや、この力は……」
 そこで相手は自らの血と力に、また疑問を抱いてしまっていた。
 すでに交戦を開始した仲間の多くをエスプリ「英雄作成」の範囲に収めて支援しつつ、フェリシアもまた相手の攻撃範囲を確かめて位置調整。
「皆さんが……力の限り、戦えます、ように」
 英雄を讃える詩を響かせ、フェリシアは仲間達を奮い立たせる。
 リアナルはフェリシアの支援に加えて、自身の戦いの能率と運気を高めつつ立ち回り、シュテルンの支援の準備にと動く。
 やはり、リアナルも立ち回りには気を付ける。相手は仲間の能力に加えて強化されているはず。仲間を巻き込んで攻撃を受けるのだけは避けたい。
「シュテ、の、歌で、皆、癒す、助ける、するー!」
 そのシュテルンはヒーラーとして立ち回る。
 Aツグミは得意な距離を取ろうと動いているし、Aサイズはサイズと大鎌を組み交わして牽制し合っている。
 両者の攻撃で傷つくメンバーの為、シュテルンはそっと囁くように歌を響かせて仲間達に癒しをもたらす。
 胡桃はというと、能力を全盛状態にまで高めて。
「早めに数を減らしたいの」
 ただ、この場で回復に立ち回ってくれる妖精エーヴィを思えば、核は救い出してあげたいところ。胡桃はAサイズの胸部を避けて、身に纏う炎を飛ばす。
「さーて、鍛冶屋とはいえこちとら生体兵器に良い思い出はないんだ。さっさと捕まえさせてもらうぞ」
 一定の距離を保ちながらも、赤き血潮を体内に巡らせた錬も展開した式符より一時的に形作った鏡から光線を発射する。
「救出はお任せしますね」
 鶫は仲間に呼びかけつつ、優先して対処すべきAサイズへと魔力銃を突きつけ、高圧縮空気を内包した弾頭を飛ばして手足の付け根に炸裂させる。
(単に、核にされた妖精の意識が肉体の器に合わせて変容し、表出しただけだとしたら?)
 鶫は戦いながらも、嗜好を止めることなく考え続けて。
(もしそうであるのなら。妖精を救う事はそのまま、アルベドの意識をあるべき所に戻す事にもなるのでは?)
 強引にでもやってみるしかないと、鶫は再び銃を構えるのである。

 歴戦のイレギュラーズである2人を元にしたアルベド達は、高い身体能力を活かして交戦を続ける。
 とにかく、近寄らせまいと距離を取るAツグミ。愛無の狙いを察したこともあるが、構える弓の攻撃は一定以上の距離が必要だったのだ。
 逃げ回るAツグミは的確にメンバー達を狙う。
 弓矢で飛ばす矢も当たれば痛いが、それ以上に召喚兵装による一撃が厄介極まりない。
 イレギュラーズ達が一列に並ばぬよう立ち回っていたのが幸いし、纏めて狙われることは少なかったが、放たれる霊子砲はリアナル、錬と浴びせかけられる。
 リアナル、錬はそれぞれ、風を切って放たれる高エネルギーに、運命の力を頼って堪えていた。
 状態を立て直すべく、シュテルンは調和の力で倒れかけた仲間達へと癒しを振り撒いていた。高い充填力でシュテルンは回復に徹し続けるが、さすがにアルベド達の攻撃の威力は高く、一瞬でも気を抜けぬ状況が続く。
 Aサイズは人数でカバーして上手く負担を分担できているが、Aツグミを止めねば被害は拡大するばかりだ。
「私は……倒されるわけにはいきません」
 自我が芽生えたAツグミの生存本能は、元となった鶫の影響が大きいのだろう。
 戦闘開始から、Aツグミはメンバーから離れるように立ち回り、イレギュラーズに距離を詰めさせない。
 Aサイズは戸惑いなど不安定な部分もあって、本来の力を発揮できていない部分もあったが、Aツグミをうまく抑えられないのは、イレギュラーズの想定を超えていたのは間違いない。
 抑える愛無はしばらく距離を詰められずにいたが、うまく歩を進めてAツグミに近づいて。
「今度こそ、僕と踊ってもらおう」
 傭兵の僕に「次」があるか解らないと考えていた愛無だったが、この場では、次なる機会を得ることができたようだ。
「うっ……、貴方ばかり相手にしているわけには……」
 ようやくAツグミの気を引けた愛無。これで、しばらくは強力な遠距離攻撃を封じることができる。
 弓さえ番えられないアルベドは、愛無へと近づいて満足な攻撃すらできない。
 そんな相手へと愛無は語りかける。
 生きるという事は、奪うという事で。殺すという事。命は尊い物かもしれないが、平等ではない、と。
「ゆえに君は君の権利を行使すればいい」
「……私に、生きる権利は与えられないのかしら?」
 中の妖精の意識と鶫の思考が合わさり、芽生えた意識は強く今の生に執着していた。
 その間に、他メンバー達のAサイズを追い込んでいて。
 リアナルはAサイズに接敵してから、全力で青色の扇子を手に舞い踊り、煌めく光を相手へと浴びせかける。
 そうして、至近から高い火力を叩き込もうとするAサイズの気力を、リアナルは浪費させしまう。
 途中、放たれてきた量子エネルギーは計算外だったが、それでも、リアナルは全力でAサイズの無力化へと当たる。
 フェリシアもAサイズへと『神』の呪いを与え、徐々にその体力を削いでいく。
 そして、フェリシアは物悲しげに旋律を口ずさむ。
 セイレーンの歌声は子守歌となり、Aサイズを苛んで。
「う、ううっ……」
 大鎌を振るっていた彼は膝をつく。
 胸部を避けてイレギュラーズ達が攻撃を続けていたこともあり、Aサイズの四肢は限界が近づいていたのだ。
 逃走することもかなわず、動きを止めてしまうAサイズはもはや抵抗できぬまま、妖精サイズとなった本物を見つめる。
「もう一度言う。救うから動くな」
「俺は……俺は……」
 サイズは自らの姿をしたその苦悩を、完全に解き放ったのだった。

 残るAサイズは、愛無が強く気を引いて距離を取らせない。
 まして、対処すべき相手が1人だけとなれば、イレギュラーズ達に囲まれることとなる。
 活路を見出そうとする自らのコピーへと、鶫が足腰を狙い撃ってから一言。
「貴方が本当に私のコピーであるのなら、私の考えが分かる筈です」
「…………」
 冷静さを取り戻したAサイズはまた距離を取ろうとするのだが。
「……悪い子、敵、シュテ、逃がす、しない!」
 アルベドが満足に動くことができない暇に、シュテルンは仲間達の体力を万全に回復していたのだが、Aサイズが退路を探すように見えたようで。
「だから! シュテも、こーげき、出来る、だよ!」
 契約を交わした妖精を呼び出したシュテルンは、勇敢なる牙となってアルベドへと食らいつく。
「残念だが、ここで逃すわけには行かないので」
 まだ、十分に立ち回る体力があると判断し、リアナルは相手の退路を塞ぐように回り込み、星々の瞬きを浴びせかける。
 その間、フェリシアは再び歌を響かせ、自らの生命力を使ってこの場の仲間達に力を与えていく。
 続き、フェリシアは相手の胸部で脈動する核を見つめる。
 また、錬もバリケードで妨害を行う。最悪、強引に囲いを突破し追うとするなら、錬は式に体を張らせてでも時間を稼がせようとしていたが、その必要はなかったようだ。
「君は君だ。他の『何』を踏みにじろうと、生きたまえ。戦いたまえ。そして僕を満たしてくれ」
 弓を振るってでも愛無を振り払おうとするが、Aツグミにはそれができずにいた。
 だが、弓矢を握る手は一切緩まない。生きる為に、彼女も必死なのだ。
「……そなた達を助けたいの」
 胡桃が心から呼びかける。同胞を助ける為に。妖精エーヴィも固唾を呑んで戦況を見守る。
「石の中では大迷宮の味も分からないのよ」
 浄めの力を持った蒼炎を浴びせかける胡桃。Aツグミは苦しみながらも、諦めることなく抵抗を示す。
「『傭兵は、任務達成の為に冷徹且つ冷酷となるべし』。――今から、貴方を限界まで追い込みます」
 鶫もまた高圧縮空気を内包した弾頭を腹部へと撃ち込み、胸部に核があることを再確認して。
「貴方の命は、その核の妖精と共にある」
「…………」
 なんとか生きようとしていたAツグミが弓から手を放す。抵抗しても無駄だと悟ったのだろう。
 不殺ができぬと、フェリシアも手を降ろす。他メンバー達も次々に臨戦態勢を解いていく。1人を除いて。
「どうしても生きたいのならば、その妖精に全てを託しなさい。さもなくば、双方に未来はありません」
「私の生に……、意味はあったのでしょうか」
 鶫が小さく頷いて妖精の救出を託すと、サイズは彼女の胸部のフェアリーシードを一気に引き抜いたのだった。


 2つのフェアリーシードを確保したイレギュラーズ達。
 核となった妖精達の安否を、皆が見守る。シュテルンも泣きそうになりながらも、じっと回復に当たるエーヴィを見つめて。
「死ぬ、ダメ……レコ、カティ……元気なる、してっ。エーヴィ、も、シュテ、も、泣いちゃう、しちゃう、だからっ!」
 その中から、かすかに吐息が漏れ出す。
 意識こそまだ取り戻してなかったが、核となった妖精が生きていると分かるとエーヴィが涙を零しながらも思いっきり飛びついた。
「よかった、よかったよぉ……」
 そんな光景に、皆が改めて錬金術師に怒りを覚えて。
「よーせー、だって、いのちは、いのち……。りよー、する、許す、出来ない……!!」
 改めて、この事態を引き起こした魔種の討伐にシュテルンは意欲を見せたのだった。

成否

成功

MVP

ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPは今回の為にフェアリーシードを……妖精を助ける為のスキルを用意して依頼に臨んだあなたへ。
今回はご参加、ありがとうございました!

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