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シナリオ詳細

忍法パンツ脱がすの術

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●おまえもノーパンにしてやろうか
「パン脱御免――!」
 地を蹴り砂埃を上げる忍び装束。這うがごとく駆け抜けるはカムイグラの小さな町。
 並ぶ家々瓦屋根。和服の男女が行き交う町を、突風もかくやのスピードでその『忍者』は駆け抜けた。
 黒地にピンクの小さなリボン。そしてレースのついた覆面。
 一陣の風となって抜けた忍者に驚いて乙女が振り返れば、忍者の手には一枚の布……否、パンツが握られていた。
「ほう、乙女のパンツで御座るな」
 どれどれといって鼻を近づけると、ふんわりとしたブルーベリーのような甘く優しい香りがした。
 箪笥に香袋を入れているのだろう。清潔さと若さ、そして恥じらいや可愛げのあるそのパンツに、忍者はうっとりと目を細めた。
「よきパンツであった。では御免!」
 ビッと二本指を立てるとその場に煙り玉を叩きつけ、まるで手品のごとく姿を消してしまう。
 乙女のパンツは奪い取られ、代わりに懐にパンツ分の銭が残されていたという。

「パンツ泥棒とは不届き千万でおじゃーる!」
 蛙ソックリの顔をした海種の男が、扇子でぱんぱんと手を叩いてそう叫んだ。
 質の良い和服に身を包み、広い畳部屋の奥に座する彼は通称『カエル代官』。
 土地の管理を任されてるいわゆる市長的立場の地方役人である。
 彼の管理する町で斬新な下着泥棒が現れたということで、検非違使(警察みたいなもん)でも対応しきれない状態にあるという。
「小僧、説明せい」
「へい旦那」
 脇に座していた手生えオタマジャクシ風の海種がサッと巻物を広げ、文面を読み上げた。
「報告を読み上げまする。
 指定下着泥棒通称『忍褌(シノビパンティスト)』は大陸側より召喚された神人神使(ウォーカーのイレギュラーズ)でありまする。
 黒いレースのおパンツを被ったような独特の覆面を装着し、恐ろしいほどの素早さで町ゆく人々のパンツを奪取。そして芸術的なまでの手際で逃げおおせるとのこと。
 しかも、良いパンツであったなら相応の銭をスリ渡していくとのこと」
「ほほう……」
 ぎょろっと小僧の方向を見るカエル代官。
「それはもしやお得なのでは」
「いえいえ。噂を聞いた下賎な者たちがパンツを山ほど抱えて町をうろつきましたが、まるで無視されてしまったようでありまする。酷いときにはパンツを盗むだけ盗まれて一銭も残らなかったとか。
 どうやらこの忍者、パンツを通して欲や性格を見抜くようで」
「なんと」
 パンツを盗むだけで相手のひととなりを判別できるとは、恐るべきパンツスペシャリストいやパンティストであろうか。
 かくして。
 人死にや悲しき財産の喪失が起きていないことから警察機関もなかばさじを投げており、ことの解決を大陸のイレギュラーズたちに任せてみようと相成った次第である。
 扇子をバッと顔のまえで開くカエル代官。
「噂によれば貴君らはパンツのスペシャリスト略してパンティストであると聞く。
 然らばかのシノビパンティストにも対抗できよう。町のパンツは貴君等にかかっておる――頼んだぞ!」

GMコメント

■オーダー
・成功条件:シノビパンティストを捕まえる

 こうざっくり言われてもピンと来ないと思うのでもう少し詰めて解説します。
 このシナリオは主に『準備パート』『戦闘パート』に分かれています。
 順に解説していきましょう。

・シノビパンティスト
 パンツを盗む忍者です。
 カムイグラにもバグ召喚による異文化流入によってパンツ文化がそこそこ浸透しており、普通にパンツはいてる町民もそれなりにいます。ていうかパンツ文化を広めた一因としてこのシノビパンティストがいます。
 彼は『パンツに貴賤なし』を座右の銘としており、それがうら若い乙女であろうとガチムチお兄さんであろうと犬やバイクであろうとパンツを履いているならまず狙おうとします。彼は性的満足ではなくもっと高次元のなんかアレなやつでパンツを盗むのであります。
 そしてカエル代官たちは気づいていませんが、実は『シノビパンティスト』は個人名ではなくグループ名。つまり複数います。

■準備パート
 まずはとっておきのパンツを用意していきましょう。
 シノビパンティストはパンツの質や魂、持ち主のひととなりを判別してパンツを狙ってきます。
 その辺で大量に買い込んだりとりあえず高いやつをはいたりといった小手先の技(パンティスキル)では太刀打ちできません。
 パンツに込めた想いやパンツを用意するにあたっての努力をプレイングにいやパンティングに叩きつけてください。

■戦闘パート
 町中を適当にうろつくことでシノビパンティストをおびき寄せ、パンツを盗ませることで遭遇チャンスを得ます。
 前述した通りシノビパンティストは実は複数いるので、町中に散らばってそれぞれでシノビパンティストを捕まえるのがベストになります。

 よって、このパートではチームを3~4組に分けていただきます。
 囮は多ければ多いほどいいので、誰か一人に頼り切りにならないよう、ひとちひとりのパンツを行使していきましょう。オールフォアパンツパンツオアオールです。

 シノビパンティストは個人差こそあるものの全体的にすばしっこく、『逃走』『生存執着』といったスキルを有しています。強引に追い詰めようとすると逃げられてしまうので、時折パンツで気を引きながら戦う戦闘法つまりマーシャルパンツで戦うのをお勧めします。

■シノビパンティストのひみつ
 これだけ町中でパンツを盗みまくっているシノビパンティスト。
 しかも彼らが複数人いるという事実。
 その裏にはちょっとした秘密のストーリーがありますが、普通に捕まえてしょっぴくだけだとそれが分からないまま事件は解決(終了)してしまいます。
 一種のトゥルーエンドルートがあるとだけ思っておいてください。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

  • 忍法パンツ脱がすの術完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年06月30日 22時11分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

錫蘭 ルフナ(p3p004350)
澱の森の仔
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)
叡智の娘
彼岸会 空観(p3p007169)
観音打 至東(p3p008495)
鷹崎 マルガレーテ(p3p008619)
縞パンこそ至高
篠崎 升麻(p3p008630)
童心万華

リプレイ

●我パンツ履くゆえにパンツあり
「~~~~~~!!!!」
 『銀なる者』リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)が声にならない声をあげ、両手で顔を覆って喫茶店前にうずくまっていた。
 じゃあ今から30分まえへ巻き戻してみるね。(キュルキュル)

「依頼のためだし、その……兄さんといるときの、予備……を履いてきてるよ、今」
 喫茶店でお茶とおまんじゅうをいただいてる最中、向かいに座った女性がパンツを申告してきた。
 『猫派』錫蘭 ルフナ(p3p004350)は背景が宇宙になっていくのを感じたが、とりあえず続きを促してみる。
「こう、あれだよ。兄さんの好きで僕はこういう格好してるわけだから、下着も兄さんの好きにされてるし。───これは、兄さんが喜ぶかなとか考えて自分で買っておいたやつなんだけど。際どくはないけど! シンプルだけど! 素材は、うん、いいやつ……」
 自分は何を聞かされているんだ。
 というか何を見せられているんだ。
 そんな感覚がルフナを完全に宇宙ルフナ(スタンプにいかがですか)に変えた。その後ろ手はこまが宇宙こまになっていたしパカ田倉くんカーは宇宙パカ田倉になっていた。
「ルフナさんは?」
 そして自分のパンツ申告を迫られた。
 青少年がうけたら性癖ねじ曲がっちゃうやつである。リウィルディアがお姉さんなのか兄さんなのか若干わからないところがミソだ。
「えっと、僕は……『はいてない』かな」
 ショートパンツの裾に指を引っかけて中をチラ見せしてくるルフナ。
 思春期の女子が見たら性癖ねじ曲がっちゃうやつである。
 なんなのこの二人は性癖デュエルでもしてんの。
「僕は、スパッツ派なんだ」
 からのカミングアウト。
「伸縮性や通気性に優れ、足の曲げ伸ばしに沿って伸びた生地はうっすらと肌色を透けさせる。
 黒タイツにも通じるものがあるけれど、スパッツはインナーであり、アウターだからね。
下には何もはかないし、上に何か着ることもない。今日ショートパンツを履いたのはスパッツをパンツたらしめるための譲歩なんだ」
「じょうほ……」
 宇宙リウィルディアが誕生した。
 じゃあこの少年はいつもパンツむきだしで歩いてるってことになるのでは。
 そう思ったが深く考えるのはやめた。ここから先は本当に宇宙になる。
 『じゃあそういうことで』といって店を出るまぎわ。
 若い店員が顔を赤くしてずっとうつむいていることに、リウィルディアは気づいた。

「聞かれてた~~~~~~~~~~~~~!!」
 パンツカミングアウト略したパンティングアウトを余人に聞かれる恥じらいよ。
 あのうら若い店員はこのさきずっと中性的な年上にパンツを申告される性癖に囚われることだろう。あとその後ろでカタカタしてた女性店員はスパッツ党に即日入会したはずである。
「こうなったら、意地でも依頼を成功させるしかないな、もう!」
「そうだね。うん。そう、だね……?」
 この町の業と意図せずちょっと深めてしまった二人は、失ったものを取り戻すべく忍びパンティスト狩りへと繰り出したのだった。

●酒と女とはじめてのパンツ
「うぅ~ん……」
 居酒屋の前でベンチに腰掛けた『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)が、背もたれにでろーんとなっていた。
「いくわよぉむりょーちゃん!」
「二件目にですか?」
 上司に付き合って居酒屋をはしごする人みたいな顔をして、竹水筒を持ってくる彼岸会 無量(p3p007169)。
「二件目は……依頼が終わってからいくわよぉ」
「結局行くのですね」
「その前にぃ」
 アーリアはもたれて反り返っていた身体を前に倒し、片肘を膝に、頬杖をついて首をかしげた。
「むりょーちゃんのパンツを買いに行くわよぉ」
「ぱ…………下着ですか」
 記憶を前の世界に置き去りにし、混沌世界へやってきた無量。戦乱に自ら飛び込み続け、かつてないほど絶望的な海をくぐり抜け至った先で、人生初のパンツをはかされるという。
 『鬼は人へと還り全てを取り戻した』ってワードがもうなんか別の意味に聞こえちゃう事実であった。

 かくして連れてこられたランジェリーショップ。
 カムイグラになにランショ作ってんだよって話だが、この辺りがカムイグラのカムイグラらしさであった。大陸側から召喚された人々の影響で非物理的に異文化流入がおきたカムイグラは、『カムイグラに故郷の要素を』と奮闘する人々によってあのこの説明長いから途中でやめてもいい?
 パンツを試着させられるむりょーちゃん映すからそれで全てチャラってことでいい?
「むりょーちゃんかわい~」
 両手に大量のランジェリーをさげ、試着室のなかへと潜り込んでくるアーリア。
 着物のしたに洋風のパンツという組み合わせが、昨今この街では流行りだしたらしく、こうしたショップもまあまあある。店員も和服にパンツのスタイルだそうだ。
「常在戦場、不惜身命の白かと思いましたが……」
「だぁめ、むりょーちゃんは黒! 黒の褌!」
 柔らかい生地でできた黒い褌をむりょーちゃんの胸元に身体ごと押し当てるアーリア。
「紐はねぇ、ゴム跡もつかないし、何よりその……解かれる時どきどきするし……」
「……」
「あ、なし、いまのなし!」
 なにがおきてるの。エロ漫画だったらもうここからスパートかけるコマやぞ。
「私はねぇ、淡いピンクに、リボンとレース……結んだ紐をこうして見せるのよぉ」
 深くスリットの入ったオトナドレスの腰部分から、リボン結びにしたピンク色の物体がさがっている。
 背景で架空のおじさんたちが『イーラスト! イーラッスト!』てデモを始めた。

●パンツって何回言うねん
 ぱんつ乙女の朝は早い。
 朝ぼらけの光差し込む秘境の泉にて、ぱんつを洗う乙女の姿があった。
 ――念入りに洗うんですね。
「己の最もセンシティブなプレイスを包むがゆえ、手を抜いては乙女がすたり申す」
 記者の質問に答えながらも、目はぱんつから離れない。
 真剣な、まなざし。
 宵越しの穢れをすっかり落としたならば、陽の光を避け、暗所にて陰干しをするのが日課だという。
「一枚のぱんつが光に触れていられる寿命は、ことに短い……ゆえに、勝負その時まで、秘する」
 ぱんつにかける情熱が、そこにはあった。
 勝負下着。それは彼女たちにとって重要な武器なのだ。

「なんでプロフェッショナルごっこしてるの」
 『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は木の間にはった紐にパンツを干す風景をバックに流れ始めた謎の音をカチッと止めた。
「それはもちろんシノビパンティストに対抗するためでござるよ」
 干したパンツをぱんぱんって広げながら振り返る至東。
「『本気』が試されているでござる」
「本気……」
 ごくりと息を呑み、焔は後ろを振り返った。
 『パルス・パンツ』と書かれたでけー段ボール箱がそこにはった。
「本気……本気のパンツなら、もう、これしかないよね!」
 箱を開き、中に手を突っ込む。
 ウオーと叫んで握りしめ天に掲げたウォンバットのマスコットがついたパンツには『ぱるす』と書いてあった。
「変態さんを捕まえるために力を貸して! パルスちゃん!」
 (※これはイメージ映像です)
 宙へ舞い上がり突如全裸になった焔。光のあれであれが隠れた焔の腰回りに虹色のキラキラが走りキュパーンというリリカルな効果音と共にパルスパンツが装着された。
「これは……このかんじ……『一体感』……!?」
 (※ここまでイメージ映像です)
「――はっ、ボクは一体!?」
 なんかもじもじしながらおしりのあたりをなでる焔。
「うぅっ、パルスちゃんが穿いてたパンツをボクが、なんだかむずむずドキドキして変な感じがするよ……」
「言い方」
 様子を一通り観察していた『特異運命座標』篠崎 升麻(p3p008630)が腕組みを解いた。
「初上陸した国での初仕事だっつーから気合い入れてきたのに、やべえなローレット。噂にたわぬヤバさだわ」
 女性フォームになっておいた升麻はなんか複雑な工夫を施したパンツをはき、ミニスカスタイルのカソックでひらひらと身体を左右にひねった。
「言っておくが、今日の俺(パンツ)はひと味違うぜ」
 ハンサムに笑う升麻だが、背景がもう完全にパンツだった。
「初仕事がこれで本当によかったのでござるぅ?」
「というかこんな滑り出し見せる鳳圏勢はじめてみたよ」
「フッ、甘いですわ!」
 しましま金髪ドリルを両サイドにたらした『縞パンこそ至高』鷹崎 マルガレーテ(p3p008619)が、『んぱまし』って書かれた縞模様の扇子をバッて広げた。
「パンツ力(ぢから)が問われるこんにち、各々がもてる最大のパンツを装備するのが必定……ある者はエロく、ある者は可愛く、ある者はストーカー一歩手前のヤバさを見せなければ生き残れない大パンツ時代ですわ!」
「これは……!」
「パンティング御嬢様!」
「っていうかストーカー一歩手前って誰のこと!? ボクのこと!? ちがうよね!?」
 どこからともなく現れた黒子が背景を運んできてなんか豪華なクッションに載ったしまぱんをそっと差し出した。
 丁寧な手つきでしまぱんを取り上げるマルガレーテ。
「今日このときまで磨き上げついに完成した究極の縞パン――ver0.73!」
「あっ完成してないこれ」
「理想が高すぎて永遠にコンマを越えられないやつだな」
「授業中教科書の端にしゃこしゃこ書き続けた設計図がこの世界にきてついに形になった最新版にして最高峰ですわ。ンあぁ~このパンツもってイタリアファッション戦争に乗り込みたかったですわ~」
 この時点でみんな気づいてるかもしれないけど、今日イチバンにぶっ飛んでるのはこのマルガレーテ御嬢様だよ。
「最高の縞パンを装備すれば最高のコンディションを維持できる。つまり戦闘の最強力を発揮できると言って差し支えないですわね」
「差し支える気がするけど本当にそうなれちゃうのが混沌の怖いとこだよね」
 魔力筋力パンツ力。どれも平等に最強になれる。そう混沌世界ならね。

 こうしてチームごとに分かれシノビパンティストをおびき寄せる作戦を始めたイレギュラーズたち。
 既に尺(リプレイ)の七割に達した彼女たちの結末やいかに。

●かかってこいシノビパンティスト
「認めるんだね? ぱんつの上に履く人の多いこれもまた、ぱんつたりうるのだと!」
 めっちゃすかすかするショートパンツを押さえ、ルフナはシノビパンティストに指を突きつけた。
 シノビパンティストはスパッツを強く握りしめると、慈しみの目で振り返った。
「パンツはパンツとして履いたときパンツとなる。それが木の葉であろうとも。そう、このスパッツは今日このとき、パンツとなったのだ。少女が乙女にかわるその日のように!」
「なんだって……!?」
 ルフナの背後にはしる電撃。はじける花火。宇宙こま。
「じゃあ、僕はいままでノーパンだった?」
「むしろそうじゃなかったと思ってたの?」
 ルフナを盾にしていたリウィルディアがちらりと顔をのぞき込んだ。
 その瞬間。
「そしてこれもまたパンツ。乙女の……乙女の!?」
 もう片方の手に握りしめたパンツを二度見したシノビパンティスト。
 それは紛れもなく奴さ。じゃなくてリウィルディアのパンツさ。
「い、今!? さっきまで履いて……」
 お尻のあたりに手を当て、かあっと顔を赤らめるリウィルディア。
「殺す。いや殺さない。だけど死よりも深い傷を刻んでやる……!」
 突如として鬼リウィルディアと化し、キシャーとさけんで飛びかかった。
 対してシノビパンティストは――。
「パンツを奪われて恥じらう乙女……よき」
 慈しむ目のままぎったぎたにされた。

 チャリーンというコインの音。
 自分の小銭が落ちたのではという不安からか、それとも何かしらの下心からか、人々は音の方向をつい見てしまうものである。
 それが鬼スリットからリボン結びにした紐ォ見せつけた美女がかがむ光景だったらもうなんか、なんかあれだよ。磁石。
 あらゆる男達が(どころか女達も)凝視する中、それは光のように現れた。
「御免!」
 シュピーンとはしった光の後、シノビパンティストの手には紐のぱんつが握られいた。どういう理屈なのか紐は結んだままである。
「なんていう早業……しかも紐を解かずに!?」
「拙者、パンツは脱がせたいが崩したくは無い忍者でござる。理想は片方だけ膝のあたりにひっかかってるさまでござる」
「出会い頭になんていうカミングアウト……ただ者じゃ無いわ。気をつけてむりょーちゃん!」
「気をつけてと言われましても」
 無量は刀をちゃきっと半分まで抜くと、第三の目を開いた。
 振り返り、目をキラリと光らせる忍者。
 なんかすごくてすごい刀のぶつかり合いがめっちゃおこって後。
 忍者の横をすり抜けた無量が、剣を大きく振り抜いていた。
 スパンと覆面のパンツが切り裂かれ、落ちていく。
 だが忍者の手には、黒い褌が握られていた。
「間一髪でござるな」
 にやりと笑って振り返る忍者の額から吹き出る血。
「致命傷ォ!?」
「ククク慌てるな。拙者はシノビパンティスト。おパンツがこの手にある限り死なぬでござ――グハア!?」
 どれどれと顔に近づけた途端、シノビパンティストが喀血し膝から崩れ落ちた。
「これは……これは『はじめてのパンツ』!」
 シノビパンティストは血文字で『てぇてぇ』と路上に書いて、がくりと倒れたのだった。

 蛇の道は蛇。忍者の道は忍者が知る。
「これがいいのでござろう」
 至東は晴れた日の道をミニスカ(?)でスキップしながらくるりと回った。
 見えるようで見えない。水たまりや鏡に反射するけどぎりぎりでなぜか見えない。
 このチラリズム寸前の魅力こそ忍法『見えそで見えないの術』である。いや忍法じゃねえ。
「そこに、いるのでござろう!?」
「ハッ、しまった!」
 地面に這いつくばってなんとかスカートの下を見ようとしていたシノビパンティストが頭を上げた。
「あまりの魅力につい隠密を解いてしまった。貴様さてはシノビパンティスペシャリスト略してシノビパンティストでござるな!?」
「現れたねシノビパンティスト! みんなのパンツをぬすむ変態さんはここでやっつけるよ!」
 物陰から飛び出し、てやーといって槍を振りかざす焔。
 ――が、そんな焔の後ろを吹き抜ける一陣の風。
 スカートがぴらっとなって思わずお尻を押さえたその瞬間。
「はっ、もしかして!?」
「貴様の探しているものは、これでござろう?」
 さっきの忍者の色違いが焔のパンツっていうかパルスパンツを掲げていた。
「兄者!」
「『見えそで見えないの術』にかかるとは未熟よのう弟者。だが目的は達した。ここは逃走あるのみ」
 煙玉を地面に叩きつけようと取り出す忍者に、焔は焦った。というか脳内で叫んだ。
『このままじゃパルスちゃんのパンツが奪われちゃう!』
『逆に考えるんだよ。パンツが盗まれちゃってもいいさと』
『その声は……脳内パルスちゃん!』
『パンツは性欲のメタファー』
『脳内フロイト博士!』
『我々はパンツの中身が見たいわけではないのです。パンツがあるという欲求にコミットしたい』
『脳内ファンドマン!』
 なにがどうなったかは省略するが、焔はポケットから十枚くらいのパルスパンツを引っ張り出した。全部の指にパンツ引っかけてる焔ちゃん想像してみて。
「いいの? 貴方達の狙いはボク達のパンツなんでしょ? まだボクはパンツを穿けるよ!」
「それだけじゃあ、ないぜ」
 腰のひもに手を当てる升麻。
「これぞマーシャルパンツ奥義――クイックパンツリロード!」
 太腿に撒いておいたシルクの布を剥ぎ、新たなるパンツ露出!
 そして、結んでおいた方の紐を掴んで一気にPants Up!
 急に何言ってんだとおもうだろうけどこれそのまま書いてあるんだよ!
「何ィ!?」
 うっかり振り返っちゃった兄者と弟者。
「縞パン八十八奥義」
 キランとしましまの星がまたたき、忍者達の間を駆け抜けた。
 扇子を開いて見栄をきるマルガレーテ。黒子たちが幕を広げてテロップをいれた。
「『中学時代初めて見た二次元のパンツが白と緑の縞パンだったせいでそれ以外パンツにみえなくなる青春のこじれ』!」
「「グハアッ!?」」
 吐血しスローモーションで吹き飛んでいく忍者達。
 勝負はついたし、尺も尽きた!





 かくして解決したシノビパンティスト事件。
 しかし彼らの背後にあった真なるシノビパンティストの存在があらわとなるのは、まだ先の話である。
 戦えローレットイレギュラーズ。その手にパンツがある限り!

成否

成功

MVP

鷹崎 マルガレーテ(p3p008619)
縞パンこそ至高

状態異常

なし

あとがき

 ――依頼完了!
 ――隠しルート『パンティスト大戦』が解放されました

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