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シナリオ詳細

IDOME、無差別級可愛いお嫁さん杯

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●時は6月、ジューンブライド
 闘技場は異様な熱気を吹き出している。野次や歓声が飛び交う中、ピンクのマイクを持つのは我らの【ロマンチストな情報屋】サンドリヨン・ブルー(p3n000034)だ!!!!
「皆さん、今年も始まりました! 無差別級可愛いお嫁さん杯! 今回の司会進行は、サンドリヨン・ブルーです! 宜しくお願いしますね」
「うおおおおおおおおぅーーーーー!!! サンドリくん、可愛いねええええええーーー!!!」
 野太い声。観客席からうちわを振る集団。
「ふふ、ありがとうございます」
 サンドリヨンはシンデレラのように手を振った。
「ぐああああああああーーーーー!?」
 ばったばったと倒れていく観客達。その顔はとろけている。
(……? 熱中症でしょうか?)
 サンドリヨンは小首を傾げ、「暑いですからね。皆さん、水分補給は小まめにお願いします」と微笑み、差し入れの唐揚げを頬張りながら叫ぶ。
「では、お待ちかねの! 皆さん、いきますよ! 選手達の入場です」
 じゃーん!!! 同時に流れるウエディングソング。
「うおおおおおっーーーーーーー!!!!!」
 観客達は立ち上がる。各々の推しを応援するためだ。続々とウエディングドレスを身に纏った選手が闘技場に集まっていく。その両手には、ビッグスプーン。
「──!?」
 観客達は目を見開いた。な、なんだ、今年の武器は──
 血肉湧き踊る残虐ファイトを売りにしているはずの無差別級可愛いお嫁さん杯。ウエディングドレスが赤く染まる様を俺達は見に来たはずなのに!!!
「ま、まさか……!?」
 ハッとし、観客達はサンドリヨンを見た。サンドリヨンは視線を受け、「可愛いですよね」とむふーと笑った。
「皆さん、これはファーストバイトのビッグスプーンになります!」
 サンドリヨンが踊ると、中央に巨大なウエディングケーキがそびえ立つ。くそっ、可愛いな。悪態をつく観客。
「そして、パートナー役がこちらです!」
 楽しそうなサンドリヨン。
「????」
(でも、このチンチラ。何を言ってるの?)
 視線の先にパートナー役が一人、ケーキの横に立っている。
「じゃあ、ケーキカットを始めますね」
 サンドリヨンとパートナー役がケーキカットをしている。
「????」
 観客達は大混乱。なんだ、俺達は何を見せられているんだ?
「では、説明をしますね」
 ケーキカットを終えたサンドリヨンがマイクを握り締めた。
「闘技場で使用する武器に制限はありませんしどんな手を使っても構いません。ただ、あそこに立っているパートナー役とのファーストバイトは必ず行ってください! 観客へのアピールポイントとなります。また、バトルの勝敗より、どれだけ会場を盛り上げるかが優勝基準になりますので、可愛いお嫁さんアピールをバトルの合間に行ってくださいね。あ、僕だったらそうですね……カレーを作ります! また、前回、優勝したフラワー・メーさんが参戦していますよ!」
 にっこにこのサンドリヨン。観客はフラワーコールをし始める。
「え? カレー? んー? 闘技場で踊るだけって聞いたんだけど……えー、アタシ、振り付けまで考えてきたのにっ!」
 今更ながら、『Ende-r-Kindheit』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)がびっくりしている。
「えー……でも、やるからには最強目指しちゃうカナ!」
 ミルヴィは目を細め、誰かを想う。
「よーし! 最強のお嫁さんを目指しちゃうぞっ!」
 その横で『戦神』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈 (p3p006862)が燃えている。何が彼女の心を動かしているのか正直、理解できないがやる気満々だ。
「このスプーンで萌えるようなファーストバイトをすれば、ポイントが入るってことだよねっ!」
 キメ顔の秋奈。最近、そーいう感じのお仕事もしたしバッチリなのだ。
「ん~よく判んないけど、ケーキ食べちゃダメ? あ、良いんだ! やったねー! え、戦うのも勿論、頑張っちゃう!」
 『蛮族令嬢』長谷部 朋子(p3p008321)が美味しそうなケーキを見つめながらテンションを上げていく。
「ふむ、お嫁さんとやらには興味はないが、吾は最強を手にせねばならぬ」
 『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子 (p3p001385)が周りを見渡しながら、本命のサンドリヨンを見つめる。百合子の直感が告げているのだ。彼こそが最強のお嫁さんだと。百合子は挙手する。
「え、あ、はい。百合子さん、どうしましたか?」
「サンドリヨン殿を討ってもかまわぬか」
「え、僕をですか? うーん……いいですよー、その方が盛り上がりそうですしね。みなさーん、僕も急遽、参戦します!」
 瞬時に握手をするサンドリヨンと百合子。始まる、友情物語。

「ふふ、今回、誰が参加しても優勝は私のものだよね」
 『騎兵隊一番槍』レイリ―=シュタイン (p3p007270)が呟く。そう、ある秘策があるのだ。それこそ、誰も思いつかぬほどの秘策が!!!!(強調)
「盛り上がっているけど、一体、何が起きているんだ……?」
 『筋肉最強説』ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル (p3p008017)は困惑する。
(先ほど、少年にサインをねだられて、紙にサインをしたのだが……)
 所謂、騙されて参加用紙にサインをしたのである。
「ふはははは、ゴッドはどんなドレスでさえパーフェクトでビューティーに着こなせるのだ!」
 『例のゴッド』御堂・D・豪斗 (p3p001181)の叫びに悲鳴が上がる。そう、本気の着こなしに観客の心拍数が上がっていく。
「だが、ヒーロー、ゴッドには出せぬオーラをドリフトさせているな!」
「え、ボク?」
 驚きながら『青に堕ちる』レオ・ローズ・ウィルナード (p3p007967)がクールに言い切ると、地が揺れるほどの悲鳴が上がる。可愛い、可愛いのだ。ウエディングドレスが至極、似合っている。
「れーおーきゅうーん、がんばってー!!」
「ええと……」
 歓声に困惑するレオ。
「レオさん、大人気ですね」
 ふふと笑うサンドリヨン。
「──そ、そんなことないよ」
 ぷいとそっぽを向くレオ。その瞬間、大きな音が鳴った。そう、無差別級可愛いお嫁さん杯の始まりである。ただ、ほとんどのものがサンドリヨンの説明をまったく、聞いていないのであった。

GMコメント

 ジューンブライドのリクエストをありがとうございます! 鉄帝で、無差別級可愛いお嫁さん杯が開催されました!!! 存分にお嫁さんアピールをし、無差別級可愛いお嫁さん杯を楽しんでくださいね!!!

●無差別級可愛いお嫁さん杯
 鉄帝で年に一回、開催される。様々な猛者たちが集う闘技場でウエディングドレスに身を包み血肉湧き踊る残虐ファイト(比喩)とお嫁さんアピールによって、最も会場を沸かせた者が鉄帝で一番かわいいお嫁さんだ!(何でもあり)

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●ファーストバイト
 ビッグスプーンを使い、ファーストバイトを行う。中央の巨大なウエディングケーキ(ケーキカット済み)の傍にはパートナー役が一人、立っている。ちなみに、魅力的なファーストバイトを邪魔することも戦略の一つである。パートナー役は役者であり、瞬時に皆さんが意図する行動をとることが出来る。ただし、弱い。

【参加者】
 フラワー・メー
 四十くらいの長髪の男性。190センチある。巨躰ながら俊敏な動きで、己の肉体とブーケを使って戦う。イエローのウエディングドレス、ブーケが美しい。ブーケから花を飛ばし、演出と選手達の視界を奪う。彼のファンは多く、今年も彼が優勝すると多くの観客が思っている。

【ロマンチストな情報屋】サンドリヨン・ブルー(p3n000034)
 突然、参加を決めたチンチラ。戦闘能力はゼロ。むしろ、マイナス。ただ、彼を見ると何故だか守ってあげたくなる。むむ……何だろう、この胸のトキメキ。恋だろうか……?

  • IDOME、無差別級可愛いお嫁さん杯完了
  • GM名青砥文佳
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年07月03日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

御堂・D・豪斗(p3p001181)
例のゴッド
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)
音呂木の蛇巫女
レイリー=シュタイン(p3p007270)
騎兵隊一番槍
レオ・ローズ・ウィルナード(p3p007967)
青に堕ちる
ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)
薄明を見る者
長谷部 朋子(p3p008321)
蛮族令嬢

リプレイ


 花嫁とは何か。その答えが今日、出るのだ。

 ──挑め、無差別級可愛いお嫁さん杯!!

 ──歓声を味方に、観客の心を握り潰せ!!
               
「それでは、改めて選手の入場です!」
 【ロマンチストな情報屋】サンドリヨン・ブルー(p3n000034)がチラ見し合図を送る。
「さぁ! 聞こえてくるのはカントリーミュージッ……いや、違いますね、これは! 勇ましい曲とともにあらわれたのは『蛮族令嬢』長谷部 朋子(p3p008321)選手! 観客に手を振っています!」
「誰もがなりたい素敵なお嫁さん……誰もが憧れる最強の自分……素敵なドレスに身を包んで、お婿さん(セコンド)と共に足を踏み入れる神聖な場所。そう、結婚式場とは……リングに似ている!! とう!!」
「凄い! 朋子選手、回転と奇麗な着地を決めました!!」
「恋する乙女は片手で龍をも屠る……そして夢見る乙女は両手で神をも縊る!!」
 目をかっぴらく朋子。
「純白のウェディング・バトルレオタードに身を包み、ネアンデルタール・レディが堂々参上!! ハセベェエエエエエエエエエエエエエエエ――トモォコォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!――!!!」
 サンドリヨンはそんけーの眼差しで朋子を見た。会場は既に長谷部コール。
「あれ? 今、曲が変わりました! これは学園ぱんぱーぷユーロビートアレンジ! 朋子選手を遮るように『戦神』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)選手の入場です!」
「観客席ちゃんもついでにテンアゲでいってみよう! キマってないとモツ抜いちゃうゾ☆ ふふふ……ついに私も、ついにお嫁さんをやる時が来たのよ! ハイそこ、腹式呼吸で感想答えて! ハイ、サンニイイチ!」
「誰よりもへっちです!!」
 ご指名のモヒカンが太陽に吠えた。
「良いですね~! 青春って感じです!! さぁ、お次は『Ende-r-Kindheit』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)選手~! 僕の情報によれば、サッカーができるくらい子供作ってきれいな広い庭がついた白い屋根のお家で幸せに暮らしたい、そうです! 良いですね、お庭でお肉を焼いて沢山食べたりするんでしょうか」
「んふふ、それも良いネ! アタシ、負けないよ!!」
 純白のウエディングドレス。ミルヴィは両手のブーケをフルフル。
「ブーケ二刀流で決めっ♪」
「素敵です! ミルヴィ選手、一瞬で観客の心を掴みました!! そして……『青に堕ちる』レオ・ローズ・ウィルナード(p3p007967)選手を待っていた方たちは多いと僕は思っております」
 拍手喝采の観客。
「そこまで反応しなくてもいいと思うんだけど」
 レオはクールに呟く。
「ちなみにレオ選手のウエディングドレスは、黒のマーメイドラインにベールで、大人っぽさの中にレースの可愛らしさがありますよね。あ、僕の情報によれば、白を着る勇気が無かったようです」
「ちょっと、恥ずかしいんだけど」
 レオはサンドリヨンの口を押え、観客は悲鳴を上げた。
「ゴッドは素晴らしきエンターテイメントをオーディエンスとともに!!」
 『例のゴッド』御堂・D・豪斗(p3p001181)が声を張り、両手を広げる。目映い光。注目度NO.1の男がやってきた。
「ああ、豪斗さま!!! ゴッドパゥワー、さいこうぅーーー!!」
 豪斗の顔がプリントされたうちわを熱心に振っている。
「諸君! ゴッドは本来ウェディングにブレスを与える立場であるが……キュートブライドを競うと言われてはサイレントでは居れぬ!」
「やっぱり、豪斗殿も大人気ね! わたし達も行きましょ♡」
 『展開式増加装甲』レイリ―=シュタイン(p3p007270)が愛馬ムーンリットナイトに横乗りで登場する。
「レイリーちゃーん! 応援してるよー!」
「ありがとう! このまま、見せつけるよ、私の包容力を!」
 純白のプリンセスラインのフリル沢山の乙女なウェディングドレス。
「ちなみにレイリー選手の包容力は攻撃に対する包容力とのことです!」
 ドヤ顔のサンドリヨン。
「レイリー=シュタイン! 参上! みんなー、一番かわいいお嫁さんは私よね!」
 優雅に馬上からおり、ヴェールを外す。
「異議ある人いるならかかってきなさい!」
 挑発。ウェディング仕様の装甲展開し、レイリーは不動の構えを。
「馬とは驚いた。レイリー殿は素晴らしいアピールであった」
 『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)が地をミシミシさせる。
「どうしたんでしょうか、突然、静かになりました!」
「吾が美少女! 白百合清楚殺戮拳! 可愛いお嫁さん! 咲花百合子である!」
 セーラー服の上からプリンセスラインの純白のウェディングドレス姿で、荒ぶる美少女のポーズ。
「咲花さーん、頑張ってー!! あと、手ではハート作ってー!」
「こうだろうか」
 ファンサの美少女。
「声援が凄まじいです! み、皆さん! フラワー・メー選手が観客席から落ちてきます! あら? ラストは……『筋肉最強説』ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)選手! おや、無言で歩いてきますね」
(あの少年の思惑はわからんが恐らくは私をここに参加させたかったのだろう。ふん、いいだろう。乗ってやる。このハンディキャップマッチにな!)
背中ぱっくり、深めスリットなウェディングドレスで歩く。
「すべてを倒し、最後に貴殿を倒す!」
 ブレンダは巨大なケーキの横に立つ者に得物を向けた。


 ケーキは宝石よりも価値がある。
「ああ、美しいあなたのもとに辿り着けました」
 自己紹介を放棄し、脱兎の如く、駆けるチンチラ。

 ケーキ。ケーキ。僕の大好きなケーキ。

「異議あり!! 吾はこの結婚に異議を唱えるのである!」
 太陽を背に百合子が立っていた。
「あ、百合子さんも一緒に食べますか?」
 とてとて近づくサンドリヨン。
「──隙あり」
 百合子はスマートにサンドリヨンを横抱きし、サンドリヨンが食べたかったケーキを食べた。
「んひやぁっ!?」
 チンチラらしからぬ鳴き声。同時にくたり。美少女の瞬きの際に射出される睫毛に含まれる神経毒に(ry)ざわめき。美少女は花嫁泥棒。観客は三角関係にごくりと喉を鳴らしたが、それを消し去るように秋奈が手を叩いた。皆の集中力が弾けた。
「チンチラと美少女より見る者があるんじゃないー? そう、この純白のウエディングドレス! かわいい+かわいい=もっとかわいいの極み! どーよどーよ、こいつを引き摺ってローレットの廊下ピッカピカにしてやるもんねー! ぐっあああああー!?」
 突然、敵キャラの様に叫ぶ秋奈。すぐに膝から崩れ落ちる。舞う花びら。
「膝が……私の膝が!」
 悶絶。花嫁なのに悶絶。むしろ、ごろんごろんしちゃう。だって、膝を蹴られだもの。
(凄いね。フラワーさんの蹴り、まったく見えなかった)
 レオがベルを鳴らしながら、観客席に歩み寄った。
「ねぇ、いま、いいかな?」
「ふひっ!? レ、レオきゅん!」
 青ざめる。推しが目の前に。そう、マイスイートドリームレオ。
「はい、ボクが作ったお菓子をあげる、よ」
「え? 作った、の? 君が? それも僕に?」
「うん、せっかくのウェディングだから、少し凝ったお菓子を用意したんだ。はい、貴方にも幸せが訪れますように」
 微笑むレオきゅん。でも、すぐに彼は皆にお菓子を配り始める。

 原始真刃 ネアンデルタールを担ぎ、朋子はパートナーを見た。ケーキの周りには誰もいない。いわば、穴場。頷くパートナー。
「いくよ!! 最高の瞬間をばっちり見て!!」
 走り出し、阿吽の呼吸で、X字。
「これが、そう! 一刀――入魂!!!」
 たっぷりのケーキを互いの口に押し込んだ。
「これぞ愛の甘み!!!! そして、KIZUNA!!」
 会場は途端に盛り上がる。
「くっ、何人か逃してしまったな。このドレスのせいだろうか」
 ブレンダの独り言。
「だが、まだ、間に合う! 純白のドレスを紅く染めるがいい! 見知った顔もいるが知ったことか! ここで逢ったが運の尽き!」
 乱撃。いきなり、豪斗のドレスがへっちに。
「やはり、ビーストエンジェルには敵わぬ! ただ、ゴッドはブラッドを流し、シャインを放とう!」
 豪斗は隠すことすらしないし、理解出来ぬ言語を話す。一方、見つめあう花嫁。
「待っていたわ、貴女をね」
 レイリーはブレンダの得物を盾で受け止めている。そう、花嫁は相手の全てを受け入れるものなのだ。その近くで、二つのブーケを操るミルヴィ。
「ミルヴィちゃーん!!! こっちむいてー!!」
 歓声をリズムに、踊り子は踊る。幻想的かつ蠱惑的。穏やかな観客の瞳。
「ラッキー! 今なら誰もいないっ!」
 跳躍し、ぴたりとパートナーの前に。大胆にケーキをすくい、食べさせあう。その様子に観客はほっこりする。観客は目を細めている。神々しい光。それは豪斗だけに許されし、シャイン。
「うむ、ゴッドはそこでスリープしたエンジェルを癒すことにしよう。ヘブンにはまだ、行かせぬ」
 豪斗は秋奈にビッグなアンコールを贈る。
「あれ、さっきまで見ていたハピネスなライフは?」
 意識を取り戻す秋奈。
「いやゴッドにはアンノーン。それよりもアンビリバボーな出来事を直視せよ!」
 指差した先には燃え上がるウェディングケーキ。投げ込まれたのは火炎瓶。
「燃えていてもウェディングケーキはあたしのものだ!!」
 ケーキの前で仁王立ちする朋子。ブーケを振り回し、消火しようとしたフラワーを烈火業炎撃でぶっ飛ばした。
『ソウダ、トモコもっとやれ』
 ネアンデルタールがしゃべり始めた。
「ええと、凄いことになってる、かな」
 レオはキャンプファイヤー・ケーキを見上げている。
「でも、あれでマシュマロを焼いたら美味しいかも。それに楽しいし」
 レオはスタッフから竹串とマシュマロをこっそり貰い、朋子から見えない位置で焼き始め、それを見た豪斗がちゃっかり芋を放り投げていく。
 ぷんと香る焼き芋。
「──? ああ、今度こそだ!」
 ブレンダははぁはぁ言いながら、そこにいるレイリーや百合子、はたまた、無抵抗のサンドリヨンとくんずほぐれつ(組技)乱れるドレス、そして、流れ出る汗と声。無自覚なへっちだ。ちなみにこの四人はケーキが燃えていることに気が付いていない。
「まだまだよ!」
 レイリーもはぁはぁ言いながら、ブレンダと百合子の攻撃を拳で受け止めていた。
「クハッ! 貴殿、良い足腰であろうぞ!」
 百合子は笑う。流石、美少女。息すら乱さぬ。百合子はさりげなく、サンドリヨンを拾い、お手玉を始める。ハッとする観客。一瞬だけ百合の花を背負ったような。
「だが、お嫁さんは吾のものであろう!」
 サンドリヨンでフルスイング。そのまま、豪快に皆を吹き飛ばし、およめさん可愛いポーズを1フレームで披露する。途端にブーイングの嵐。投げられる紙コップ。見えないのだ。
「1フレームのパンチラに命かける癖に吾の可愛いポーズには命を懸けられぬと申すか!」
 百合子は紙コップを手で弾き、激怒する。

「はぁーっ! こんなのもう犯罪じゃん! アルティメットかわいすぎ罪だぜ? やっべー。私、このままじゃ捕まっちゃうじゃんよー」
 芋を食べる秋奈。ふと、ミルヴィとパートナーに出会った。
「これあげる!」
 秋奈はミルヴィに魅了され、食べかけの芋を手渡した。
「え? うん、ありがとう♪」
 実際、よく分からないけど。
「お芋も貰えたし一緒に頑張ろ? 素敵な旦那様♪」
 幻惑のステップを踏み、ミルヴィはパートナーと踊る。聞こえる歓声。向けられる視線。
「一気に盛り上がろうねっ!」
 ──アタシの花嫁姿……一番見せてあげたかった人はもういないケド……
 ──だから、だから……
「届け! この想いっ!」
 華麗に踊るミルヴィ。
「花嫁とは忍耐と愛の象徴よね♡」
 レイリーは傷だらけのウェディング仕様の装甲をぱんぱんと叩き、すーっと息を吐き、動いた。
「がっ!?」
 呻き、強かな攻撃に転がるブレンダ。優雅な微笑みを浮かべるレイリー。指笛。愛馬がブレンダを飛び越えた。愛馬に乗るレイリー。
「いいでしょ、白馬に乗るお姫様も」
(実際は鹿毛だけど)
「ねぇ、観客どう! あれ?」
 楽しそうに手を振っていたがすぐに困惑顔。あるはずのケーキがない。むしろ、炭っぽいのが落ちている。
「もう、此処にはウエディングケーキはない!!!」
 近寄ってきた朋子の手には何本もの芋。
『ソウダ、帰れ』
 同意するネアンデルタール。
「帰れ? まさか、その黒いのがケーキね?」
 実際、よく分からないけど。
「うん。でも、この芋は美味しい!!」
 渡される芋。
「ええと……あ」
 レイリーは安堵する。そびえ立つ、新しいケーキ。

「貴殿よ、命は大事にであるぞ!」
 およめさん可愛いポーズを披露しながら、百合子は美少女マナーで焼きマシュマロを捕食。
「くっ、なんて重い拳だ……」
 喘ぎ、地べたに這いつくばるブレンダ。ドレスはもう、へっちで観客はご満悦だ。ただ、レオも負けてはいない。
「じゃあ、行くよ」
 後ろを向き、ブーケトスの姿勢を保つレオ。
「これぞぉ、私のお嫁さんアピール! 花嫁の、花嫁による、花嫁の為のブーケトス! 参加しないわけにはいかないよね!」
 ちゃっかり混じる秋奈。
「!!」
 高く投げられた青い花は、乱闘の末、とある少女の胸に落ちた。
「おめでとう、次の花嫁は貴方です」
「えへへ、ありがとう」
 少女はひどく、はにかんだ。すり抜ける旋風。
「ミルヴィよ、その速度只者ではないな!」
 気が付けば戦っているフラワーとミルヴィ。何度も振るわれる拳。
「フラワーさんもネ!」
 ミルヴィは飛び退き、艷やかな視線をフラワーに。驚き、転倒するフラワー。その屍(?)を超え、ミルヴィは囚われのサンドリヨンの元へ。
「ようやく……ぐわしっ!?」
 ブレンダが自らの目を押え、唸った。豪斗の光が眩しい。豪斗の目的もきっと、ケーキだろう。負けられない。ケーキは眼前。渡されたスプーン。ピンとくる。
「ケーキ、食べずにはいられないッ! さぁ、喰らえ! いっぱい食べて大きくなれよ!」
 おりゃあとすくうケーキ。ブレンダはパイ投げの要領でパートナーの口に叩きつけ、満足する。
「勝ったな……む、口元にクリームがついているぞ?」
 ついてるどころではないクリームを指で抄って舐めとるブレンダ。豪斗は笑う。
「キュートでエクセレントなアクト! これぞ、ペアでウォーキング! 素晴らしきフューチャーをドリームさせるファーストバイト! ゴッドはスタンディングオベーションでエンジェルを迎え、ビッグスプーンを振るおう」
 掴むスプーン。濁流のような悲鳴。
「降臨せよ、ゴッドオーラ! これはオース(誓い)であるとともにブレス(祝福)! プレイ(祈り)と共にファーストバイト! これすなわち、ゴッドラックである! ゴッドウィズユー!」
 ゴッドポーズを決め、豪斗はファーストバイトを安全に行ったつもりだったが、現れた朋子に何度もかっ飛ばされる。それを見たレイリー。パートナー役の少女を攫うように愛馬に乗せ、芋を食べながらいちゃつく。そして、ビックスプーンでケーキをすくい、見つめ合う。降り注ぐ視線の束は、ブーケプルズのよう。
「どう? 誰よりもロマンチックでしょ……」
 耳元で呟いた瞬間、飛んでくるサンドリヨン。目を丸くしつつ、反射的に庇うレイリー。そこに立っていたのは美少女と白目のサンドリヨン&乱入者。
「サンドリヨンさんは返してもらうよっ! アタシが血なまぐさいファイトから脱却させる!!!」
 ミルヴィだ。
「なら、ファイナルバトル、始めましょ♡」
「最後に立つのは吾であろう!」
 三つ巴の闘い。ぶつかり合う、互いの主張。ちなみにフラワーは豪斗とレオと一緒に創作ダンスを楽しみ、ブレンダはフラワー達を奇襲し、くんずほぐれつを繰り返す。
「い、今のうちにだよ……」 
 汗だくのレオ。フラワーがブレンダを羽交い締めし、豪斗はゴッドダンスを披露している。レオのファーストバイト。恥ずかしそうにスプーンを向けた途端、観客のドミノ倒しが始まった。
「……あーん、美味しい?」
 微笑み、「ボクにもちょうだい?」と小首を傾げる。
「うん、美味しいね。あ、頬に付いてる、かな?」
 目を伏せるレオ、震える観客。
「輝け私のウエディング♪ 轟け私のジェノサイディング♪ 戦神が一騎、茶屋ヶ坂アキナ! この世はいとエモしっ、私らのエモさを見せるのだ! 今だ! 萌えよスプーン!!!」
 秋奈は歌いながら、スプーンを掴み取った。喉を鳴らす観客。
「……で、ファーストバイトって何?」
 きょとんとする。途端にほとんどの観客がひっくり返り、決定的瞬間を見逃してしまった。
 そう、美少女に討たれる前にミルヴィに奪われたチンチラが美少女によって成田離婚を切り出された瞬間を(長い)
「今がチャンスね!」
 馬駆けるレイリー、甘いファーストバイトを素早く決め、少女の頬に付いた生クリームをペロリ。

 死屍累々。やがて、流れるBGM。十時間の闘いの末、無差別級可愛いお嫁さん杯は強制終了しブレンダが勝利を掴んだ。ぽかんとするブレンダに花嫁達は5mの胴上げを決め、祝辞を述べた。これぞ、友情パゥワーである。

成否

成功

MVP

ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)
薄明を見る者

状態異常

ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)[重傷]
薄明を見る者

あとがき

 かくして、MVPはハチャメチャに場を盛り上げた者に贈られ、無差別級可愛いお嫁さん杯はどうにか幕を閉じたのだ。

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