シナリオ詳細
一日限りの華やかな夜
オープニング
●だれか、たすけてください
私のおねえさまは、とってもきれいで、かしこくて、みんな大好きです。
メイドのミルヒも、にわしのピートも、りょうりにんもおねえさまのことが大好きです。
お父様もお母様もおねえさまのことがじまんで、私もおねえさまが大好きです。
なのに少し前から、おねえさまはふりょーむすめになってしまいました。
よるになってもかえってこなくなってしまったのです。
前は私がねむるまえに絵本をよんでくれたのに、そのじかんになってもかえってきません。
お父様にきいたらだんまりで、お母様も「みぶんてきにはもんだいないし、あのこのすきにさせてあげたらいいのに」ってためいきです。
おにいさまは学校のりょうにいるので、おてがみのへんじがかえってくるのはまださきのことになります。
にわしみならいのアズにおねがいしておねえさまをさがしてもらったら、おねえさまはほすとくらぶというところに毎日行っているようです。
おねえさまとおはなしがしたいので私も行きたいと言うと、子供はいけないといわれてしまいました。
だから、おねがいします。
私のかわりにおねえさまにあってください。
どうして帰ってきてくれないのかしりたいのです。
それに、あと一か月もしたらおねえさまのおたんじょうびです。
おねえさまがなにがほしいかこっそりきいてきてくれませんか?
●小さな令嬢のお願い
挿絵として描かれたたどたどしい字で書かれた手紙を見て、珍しくフォレスが悩んでいた。
「どうかしたの?」
なんて声をかけられて、持っていた本をみせると、フェリーチェはんー? と首を傾げる。
「お姉さんが、ホストクラブに入り浸ったから、なんで入り浸ったか理由を知りたいってこと?」
とてもざっくり言えばそういうことだろう。
「となるとホストクラブに潜入するの? フォレスも?」
フェリーチェのわくわくとした眼差しにフォレスは曖昧に笑うしかない。
確かに客として女性が行っても、客同士と話すことは難しいだろう。
そうなればホストとして潜り込んで聞き出すしかない。
「危険はないと思うけど、ホストクラブに潜入だから女性も女性とわからないように男装してもらうことになるね。
目的はこの子のお姉さんからホストクラブに入り浸る理由を聞くことと、一か月後に控えた誕生日に向けて欲しい物を聞き出すこと。
お願い出来るかな?」
一度そこで口を閉ざしたフォレスだが、隣にいるフェリーチェのわくわくとした期待に満ちた眼差しに負けて
「僕も手伝うよ」
フォレスも潜入することになるのだった。
- 一日限りの華やかな夜完了
- NM名ゆーき
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年06月23日 22時20分
- 参加人数4/4人
- 相談4日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
●新人四人+1
今日だけのヘルプと紹介された五人は、それぞれホストに相応しい装いで挨拶をした。
「本日限りとなりますが、宜しくお願いします」
胸元に青い薔薇を挿した白タキシード姿の『白獅子剛剣』リゲル=アークライト(p3p000442)の挨拶に、事前に理由を聞いていたホストたちは快く返す。どうやら彼らも問題の女性の扱いに困っていたようだ。
「ホストクラブに入り浸る理由か……。
う〜む、あの年齢で入り浸ってるということは、少し特殊な事情がありそうだな」
「えぇ。女の子の手紙を見るに、お姉さんは想い人ができたのかもしれませんね」
『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)の言葉にリゲルが返すと、『ドゥネーヴ領主代行』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)も頷く。
「あぁ、その可能性は高いと思う。うまく理由を聞き出して、解決へのアドバイス等が出来ると良いが……」
身分に問題が無い相手とのことで、ホストに熱を上げているわけではなさそうだと五人の意見は一致していた。
「僕はカウンターにいるから、何かあったら声をかけてね」
フォレスがカウンターに向かうと、残った四人も基本的な流れを先輩ホスト達から教わる。のだが。
「ホストなんて、元の世界ですら縁がなかったんだよな。
とりあえずお嬢さんとやらの機嫌を損ねないように接する事を心がければいいか……」
そう呟く『 虹を心にかけて』秋月 誠吾(p3p007127)の声に力はない。
誠吾は戦えないイレギュラーズだ。勿論ローレットの仕事は戦うだけではない。今回のように、戦うことなく困っている人を助けることも大切なことだ。
(マナガルム卿はそれを知っていてこの仕事に誘ってくれたんだろう。彼に報いるためにも精一杯頑張ろう……!)
そう思い渡されたスーツに着替えた誠吾は、鏡に映った自分を見て肩を落とした。どう見ても高校生が『頑張って背伸びしてます』にしか見えないのだ。
「みんなは似合っていて良いな」
自前の白いスーツを着たゲオルグは大人の色香が漂い、リゲルとベネディクトも堂々と着こなしている。
ついため息がこぼれてしまうが、誠吾はまだ18歳になったばかり。元居た世界では高校生そのものなのだから、頑張って背伸びをしているように見られても当然のこと。これからスーツが似合う大人になっていけばいいのだ。
●今宵限りの華やかな夢を
「ようこそおいで下さいました。これからの時間が、最上のものとなりますように」
煌びやかな世界の中で誠吾は必死にやって来たお嬢様方に対応する。慣れない様子が初々しくて可愛いと揶揄われ、赤くなりながら飲み物を取りに行く姿が微笑ましい。
そんな彼をフォローするのばベネディクト。
「いらっしゃいませ、本日はご予約の? 解りました、それではあちらの席へどうぞ」
まさに好青年と言わんばかりの爽やかな笑顔を浮かべるベネディクトに、お嬢様方も頬を染めている。
「私はベネディクトと。何分、新人の身ですので何かご不満がありましたらどうぞ仰ってください」
上手く相手の話を聞きつつ、さり気なく「そちらのお召し物は大変よくお似合いですね」等と褒めつつ、会話の発展に繋げていく姿は新人とは思えないが、似合っているのが流石ベネディクト=レベンディス=マナガルム卿。
一方大人の色気溢れるゲオルグだが、折角だからと肩の上に乗せていたふわふわ羊のジークとのギャップにときめく人が多数。
話をしっかり聞いて質問にはしっかり答えてくれる真面目さと、穏やかで紳士的な雰囲気に話し込む客も多い。
勿論本来の目的を忘れてはいないが、ホストの一人として働く以上、店の品格を落とさないように全力で尽くす努力も忘れない。
立ち居振る舞いにも十分気をつけて接客に当たるゲオルグだが、美味しそうにケーキを食べるジークについほっこり癒されるのだった。
「何度もこの店に来てくれているんだね、嬉しいよ」
カウンターで問題の女性と最初に話をしたのはリゲルだった。
「誰……?」
「俺はリゲル。今日は応援で来たんだ」
怪しまれないように事情を説明すれば、女性は気にせずメニュー表を開こうとする。そんな女性の手を止めリゲルがパチンと指を鳴らす。
「今の君を、カクテルに例えるならば……これかな」
それに応じてフォレスが運んできたのはオレンジを飾り付けた「シンデレラ」と呼ばれるノンアルコールカクテル。
「君は俺達にとってのシンデレラ。夢のような魔法の時間を捧げたい」
その言葉に女性は一瞬泣きそうな表情になった。
「……何か悩み事でもあるのかい?」
「別に……」
「そうかい? 笑顔に陰りが見えた気がしたんだけど……」
その言葉に女性が戸惑っていると手の空いた誠吾がやって来た。
「こんばんは。楽しめてるか? ……じゃない。ますか?」
丁寧な言葉で言い直すと、誠吾も女性の隣に座る。
「子ども扱いするわけじゃないが、お嬢さんが来るには少し早い店だと思うが……」
「分かっています。でも、他に行く当てもないのよ」
拗ねたように言う女性にリゲルと誠吾が頷き合う。
「ここに来る理由があるのか? 気になるやつがいる、とか」
軽い口調の誠吾の言葉に思わず言葉に詰まる。
「良かったら君の夢や、君の望む幸せを聞かせて欲しいな。言葉にすることで、言霊が夢を引き寄せてくれるかもしれない」
リゲルも軽い口調で話すように促せば、女性は父親と喧嘩したのだと口にした。
「君ぐらいの年頃だと、お父さんと仲直りは恥ずかしいのかな?」
カクテルの入ったグラスを片手にベネディクトが誠吾の隣に座ると、イケメンに囲まれて狼狽えてしまった女性はつい本音を零してしまう。
「お父様と会ったら、また彼と別れろって言われるわ……!」
「彼?」
きょとんと首を傾げる誠吾に、女性はぎゅっとグラスを握りしめて頷く。
「私、好きな人が出来たの。彼も私のこと好きになってくれて、将来的には結婚したいと考えているの。でも……お父様は、彼との仲を認めてくれないの!」
勢いで事情を説明する女性に三人はつい呆気にとられる。とは言え事情が分かったなら、次は解決するためのアドバイスをして帰るように促さなければいけない。
「それでも、今のままだと何も変わらないだろう? 一度帰ってお父さんと……いや、家族の人と話してみてはどうかな?
男というのは割と頑固だからね、自分から中々謝れないんだ。それに、君もお父さんの事が本当に嫌いな訳じゃないんだろう?」
「そうだね。反対しているのが父親だけなら、母親を味方になってくれるかもしれない」
ベネディクトとリゲルの言葉に、女性は考え込む。
「そうね……。お母様は、彼とのこと喜んでくれたの。お母様なら味方になってくれるかしら……」
「喜んでくれたなら、きっと味方になってくれるよ」
リゲルのその言葉に、女性は小さく頷く。
「まず怒られると思うけど、一度帰ってちゃんと話をしてみるわ」
「少なくとも君のお母さんが怒るのは君を心配しているからだ。そこはしっかり叱られよう」
茶目っ気を含んだベネディクトの言葉に女性も小さく笑いながら頷く。その様子を見て誠吾も小さく微笑んだ。
「帰れる家があるのはいいことだ。気が済んだらお家に帰りな、な?」
「そうします。有難うございます皆さん」
「お役に立てたなら良かった。
ああ、それともし良かったら……俺には君と同い年くらいの妹が居てね。近々誕生日なんだが、プレゼントで悩んでいるんだ。良かったら、今君が欲しいと思って居る様な流行り物などがあれば参考に聞かせて貰えないだろうか?」
「え、そうですね……。私なら、気軽に使えるアクセサリーとか香水でしょうか?」
すっかり気が緩んだ女性の言葉をさりげなくリゲルがメモを取る。
「有難う、参考にさせて貰うよ」
にこやかに微笑むベネディクトに、女性はどういたしましてと微笑むのだった。
「何やら賑やかだな」
「ゲオルグか。丁度誕生日プレゼントの話をしていたんだ」
にこやかなベネディクトの言葉に、ゲオルグはジークと共に自己紹介。
「可愛い……」
女性がジークに夢中になっている間に、こっそりと進捗の進み具合を聞いたゲオルグは殆ど終わっていることに安堵する。
複数の人が入り浸る理由について尋ねても不審に思われそうだし、誕生日プレゼントのこともゲオルグは上手く聞き出す自信がなかったのだ。
それと言うのも、ゲオルグは子供の頃に魔物に襲われて両親とは死別し、その後暗殺者集団に拾わ、あまり誕生日を祝ってもらえなかったからだ。
ここ最近の誕生日で貰って嬉しかったプレゼントについて話ながら聞き出さなければいけないかと思っていたが、色々誤魔化さなくて済んだようだ。
「そろそろ閉店の時間だ。今日は家に帰れるかい?」
ベネディクトの言葉に女性はしっかりと頷く。
「今日は君に会えてよかった。また会いたいと思ってしまうけれど……もう君がここに来る理由はないね」
家族と向き合う覚悟を決めたのだ。ホストクラブに逃げ込む理由はもうない。
「俺も実はホストを引退しようと考えているんだ。小さな妹を放置して、心配させているのが心苦しくてね」
「貴方も妹がいるのね……。私……帰ったらあの子にも謝らなきゃ」
リゲルの言葉を信じた女性は、いつも自分の後をついてくる妹の事を思って目を伏せた。
「君の妹さんならきっといい子だ。謝れば許してくれるさ」
頑張れ。とばかりに女性の肩に乗って頬に身を寄せるジークを見ながらゲオルグもその背を押す。
「……有難うございます。私、頑張ります」
真っすぐに前を向いた女性に、リゲルがポケットに刺していた青薔薇を差し出す。
「君の幸せを願っているよ」
青薔薇を受け取った女性は振り返ることなく帰路につき、後日シンプルだけど品のいい髪飾りを貰って驚くのだった。
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
ホストクラブの名前をどうしようかと悩みました。
そんなわけで、一夜限りですがホストクラブに潜入して、お嬢様が入り浸っている理由と欲しい物を聞き出しちゃいましょう!
●目的
・入り浸る理由を聞き出す
・誕生日プレゼントに欲しい物を聞き出す
●方法
・入り浸る理由のヒントは両親の反応です。
離れたところにいる兄は多分「本人たちが良いなら応援する」ぐらいの反応です。
・うまく誕生日の話題に持って行って、そこから欲しい物を引き出すと良いかもしれません。
●女の子
・近くに住む貴族の令嬢。年の離れた末娘なので甘やかされているが、その分素直になついてくれるので可愛がられている。
まだ小さいのでお出掛けはもちろん、ホストクラブなんてとんでもない! と行かせてもらえなかった。
●お姉さん
・今年15歳になる令嬢。
・一回り離れた妹のことをかわいがっている。
・優しくて皆から好かれているが、父親とあることで口論して家出中。
・実はホストクラブのオーナーが知り合いの母親。
曰く「気持ちはわかるから、しばらく置いてあげる」と匿ってくれている。ただし飲酒は許されていないのでジュースのみ。
●その他
・オーナーもそろそろ帰ったほうが良いと思っているので潜入を受け入れてくれた。服とかも貸してくれる。
・全員が一度に対応するわけでなく、お姉さんの対応時以外は普通のホストと同じく他のお客さんの対応になります。
・フォレスもいますが、特に絡まれなければお酒作ってます。
それでは、皆さんのキラキラしたホスト姿お待ちしております!
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