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シナリオ詳細

旧き血潮は白を求め

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●古代遺跡の悪夢
 混沌世界には、未開の遺跡が数多く存在する。代表的なものは幻想の「果ての迷宮」、鉄帝国の古代遺跡群などが話題に挙がるが、傭兵の周辺に広がる砂漠もまた、砂に埋れた多くの史跡が眠っているというのは知られた話だ。
 当然、そんな遺跡から発掘されるものを巡って、商人達の策謀が張り巡らされるのもよくある話だが……今回起きた不幸は、そんな人々の欲望の果てに起きたものである。
「おおい、そいつは特に重要そうだから扱いは慎重になあ! 無理だけはするんじゃないぞお!」
 傭兵首都から南にラクダを2日ほど。その遺跡は、そんな辺鄙な砂漠の中から発見された。
 概ね地上に作られた都市が砂に埋れた体であったそこから、地下への入り口が発見され、それが墳墓であると確認されたのが数週間前。発掘家達は大いに沸き、探索は加速。つい先日、その中から棺が発見されたのだ。
 今日はその運び出しと開帳の日ということで、発掘家達も固唾を呑んで見守っていたのである。
「しかし……ここまで立派な棺は初めてだぜ。中身も含めていくらになるんだろうなあ」
「そういうゲスな話はやめないか。我々はこの墳墓の貴重な歴史的……価値……保護費用……なんかを確保するのが目的ナだけだ!」
 発掘家、という表現をしたが、この会話で理解頂けるだろうか。
 訂正しよう、彼らは発掘家という名を傘にきた盗掘集団なのである。
「リーダーだって期待してるんでしょう? 無理はいけませんぜ」
 男の一人が、リーダーを指して問いかけた。無論、その指摘は正しい。リーダーの表情は固くしようとして、しかし十分な形を作れず破顔しているのだから。
「っ痛……! なんだコレ、棘……いや、刃物? にしてはこの形、樋のような……」
 だが、そこでトラブルが起きた。棺の蓋をあけようとし、端にあった仕掛けで手を切ったのだ。例えるなら彫刻刀。溢れた血がそのまま、棺の中につたう仕掛けだ。
「ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ」
「なんだ、誰か何か言ったか?」
「いえ、こちらでは誰も……」
 地の底から響くような音。否、声か。
 その呻きを聞き漏らしたのが、彼らの運の尽きだった。
 棺から出た布に覆われたそれは、発掘家の全員を――。

●ホラーだと思った? トンチキだよ!
「全員を、ふんどし姿にしてしまったのです……!」
「いや、ひゅーどろどろ、みたいなホラー空気出しても完璧変態じゃねえか。なんか血で復活しましたみたいな雰囲気出してるけど絶対褌が汚されて怒ってるだけだろ。馬鹿じゃねえの」
 『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦(p3n000097)がもっともらしい回りくどさで説明を終えた頃、イレギュラーズの全員が理解したような顔をしていた。
 まあこういう話じゃないかなって大体全員が気づいていたので、驚く者は皆無だった。なんだよ褌って。この間ぱんつだったろ。
「説明を戻しましょう」
「どっちの方向に?」
 まあそりゃそうだよな。真面目な方向にです、って三弦がいっても信じてくれないよな。
「遺跡から発掘されたのは、全身を32尺(約9.6m)の褌で覆ったミイラの一種です。ミイラなので本来動く筈がないのですが、どうやら埋葬した人々はそうは信じていなかったらしく。棺を盗掘家が盗んだ際、血を流し彼の供物とする仕掛けを仕込んでいたのです」
 待って。32尺の褌に気を取られてそこから先が全く理解できないんだけど。
「今回は血を浴びた……といっても一滴ですが、それにより復活した模様です。全身に纏った褌が攻防一体の装備となり、本体も古代呪術めいた神秘能力を駆使するのですが、褌がある限り多少の傷は与えられても状態異常能力を受け付けないそうです」
「なるほど、他がアレすぎるが大体わかった。つまり褌を」
「全部剥ぎ取って不浄負けにしてしまえばいいんです」
「おい」
 どうなるミイラ退治!

GMコメント

 酒の話をして酒の匂いをかいだらこんなものを。理解できない。俺はノリでシナリオを書いている。そして「なんでこんなトンチキを!」って今正気に戻ったトコ。

●勝利条件
・褌ミイラを不浄負けにしてからボコして殺(キ)ル

●褌ミイラ
 32尺(通常の4倍の長さ)の褌を全身に巻きつけてミイラと化したなにか。ミイラに謝れや。
 全身が覆い隠されており、本体へのダメージは不浄負け(後述)まで90%ほどカットされますが、褌へのダメージが本体へわずかに通ります。
 「本体」と「褌」に分かれております。
・褌の呼び声(特レ:自身から2~4レンジ間全周。効果後述。本体)
・不敬への罰(神至単・飛、混乱。本体)
・褌の鞭(物超単・万能、呪縛、致命。褌)
・褌締め上げ(物中範・窒息、呪い。褌)

●褌の呼び声
 特殊ルール。褌ミイラの同名スキルの対象になった場合、褌一丁の姿になる(男性のみ。女性は褌の余りの布地がサラシになるのでもっと恥ずかしい。
 なお当たり前だが抵抗判定。1回につき判定を2度行い、良い方を採用する。
 なお上記の状態になったら普通に戦力低下が予想されるので注意。

●不浄負け(戦闘ルール)
 褌ミイラの褌部を攻撃し全損させ、相手の股間を晒させる行為。相撲における敗北条件。
 なおこうなった場合、褌ミイラは「褌」による攻撃が行えず、防御周りがガッタガタになる。
 切れた褌は小型となってあらゆるところに迷惑を掛けるぞ。気をつけて。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 旧き血潮は白を求め完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年06月22日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
ホリ・マッセ(p3p005174)
小さい体に大きな勇気を
湖宝 卵丸(p3p006737)
蒼蘭海賊団団長
恋屍・愛無(p3p007296)
終焉の獣
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
しにゃこ(p3p008456)
可愛いもの好き

リプレイ

●ただ謎
「ちょっと待ってください。古代の人は何を思ってこんなふざけたもの埋めたんです??」
 『可愛いもの好き』しにゃこ(p3p008456)は混乱していた。していない面子の方が少ないと思うが、彼女のそれは一際激しいものだった。
 ……イレギュラーズ、頭のおかしいものに慣れてるからなあ。
「久々にラサに来たが。すこし見ぬうちに変態が跋扈する魔境になったのか?」
「埋まってたから今更ですけどね。でも甘く見ると返り討ちにあうんですよ。知ってる」
 動揺というより淡々と、『飢獣』恋屍・愛無(p3p007296)は目の前の事実に首を傾げた。なお、『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)は前回別件で色々あって警戒している。まあな。狂気についてきてくれなかったもんな結果が。

ぶはははッ! トンチキ過ぎて逆にすげぇな褌ミイラとか! 何を思って褌を巻こうと思ったのか、まるで意味が分からねぇぜ!」
「ショウジキな感想としてはちょっと関わり合いにはなりたくないタイプだよね」
 『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)と『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)はご覧の通り、一周回ってゆっくり後退するタイプのヒき方をしていた。慣れてる方だけど。褌を全身に巻くという発想がどこから出てきたのか、それが一番の問題かもしれない。
 コレ絶対「布地が足りないから褌で代用しよう」とかだと思うよ。
「まず、今回、なんか妙なものを付けたミイラが変なことをしでかすって、嫌だぜ。こんなもんが、自分らの拠点の近くにあると思うと、ゾッとするぜ」
「古代遺跡の宝は海賊にとってもロマン……でも、蘇ったこれは流石に台無しなんだからなっ!!」
 崩れないバベルがあろうと、『小さい体に大きな勇気を』ホリ・マッセ(p3p005174)の人生経験に関係なければそれは「妙なもの」である。そして、古代の浪漫だろうがなんだろうが『蒼蘭海賊団団長』湖宝 卵丸(p3p006737)の生理的忌避感を刺激するそれは、大体見なかったことにしたい。そう考えて当たり前だ。イレギュラーズにだって選ぶ自由くらいある。依頼とか敵とか。
 でも、来た以上は逃げられないのである。
「褌にサラシの姿になる? おうやってみろよ。こちとら常にノーパンノーブラだぞ、今更そんなもん恥ずかしくもねぇよ」
 『天駆ける神算鬼謀』天之空・ミーナ(p3p005003)(1023)の腹の坐り方は、他のイレギュラーズの覚悟を三段飛ばしくらいですっ飛ばしていた。
 裸やそれを超えてアレな格好に恥じらう時期などとうに過ぎた。ババア(実年齢)だから大丈夫、とアピールしているが、裸でなくとも慕情向けてる相手いるしビジュアル的に若々しい彼女がそういうことを言うと……その……興奮する人がいましてね……。
「嫌な予感しかしねぇし、準備に越したことはねぇぜ」
 ホリは、遺跡の周囲に次から次へとそこそこ深い穴を掘っていく。既に遺跡から解放されたミイラ、そこから分かたれた褌の破片が何をするのか分からない以上は対処しておいて損はない。
「しかし、どういった仕組みなのかは、興味がなくもない」
「しにゃは褌になるなんて真っ平御免ですからね!? 美少女キャラなんでそんなギャグみたいなのは他の人に絶対任せますから!! ゴリョウさんとかどうです!?熱いSUMOUが見れますよ!!」
「ぶはははッ! SUMOUスタイルなら望むところだぜ!」
 愛無の姿は、いわば擬態だ。それが強制的に着替えさせられるという状況は確かに理解が及ばない。だからって実験しなくてもいいが。
 ゴリョウは乗り気だが、しにゃこはすでに限界が近い様子だった。人、それを前フリという。
「行くぜ恋屍! あの褌野郎を立ち『往生』させてやろうぜ!」
「依頼ならば駆逐するのみ。合わせようじゃないか」
 ゴリョウと愛無は慎重に歩を進め、遠巻きに姿を見せた褌ミイラを視界に収めた。同時に、あちらもイレギュラーズを察知したらしく、獰猛な叫びを上げて向かってくる。
「卵丸、何で褌なのか、どうも理解できないんだぞ……」
 残念だが諦めてほしい。このテの依頼で「相互理解」は「狂気伝播」となんら変わりない意味であるということを知らねばならないのだ。

●でも敵
「フンドシを千切ればいいんだね? コカンを狙うよ!」
「EEEEERRRRRYYYYY!?」
 イグナートはいきなり全力で酷かった。唐突に股間に狙いを定め、正義の拳を叩き込んだのだ。勝利の一撃だの必殺だの、股間に必殺って。
 そして更に恐ろしいのは、これが彼の独断ではなく全員一致(に近い)の基本戦術なことである。
「褌を斬り裂け虹の橋……必殺、蒼・海・斬!」
 卵丸は轟天を振りかざし、次々と斬撃を振り下ろす。回転の伴ったそれは全身を覆う褌の挙動を乱し、僅かながらに相手の隙を作ることに成功した。
「俺が相手になってやる! そこから一歩も動けると思うなよ!」
「ちゃっちゃと倒しますよ、こんなふざけた敵!」
 ゴリョウは褌ミイラの正面に立ちはだかり、相手の動きを止めんと足を踏みしめる。ウィズィは彼の背後に回り込み、全神経を集中させて相手の動きを視界に捉え、離さない。相手は馬鹿げている。だが手抜かりがあれば勝利は保証されないのがこの世界である。
「こいつとは、長時間はやりたくねぇー!」
 ホリの心の叫びが遺跡に木霊する。彼のそれはイレギュラーズの総意だ。こんな相手に苦戦しましただの長期戦やらされましただの、正直口にしたくはなかろう。……書く方もそうです。
「しっかしかてぇ褌だな! どういう素材なんだよコレ!」
 ミーナは連続して雷撃を振り下ろし、あらん限りの勢いで褌を傷つけていく。あまり布と化した褌が彼女を打ち据えようとするが、身を屈めた頭上で空を切るばかり。
 焦りを含んだ声が響くが、しかし彼女を始めとし、イレギュラーズの攻撃は確実に『褌には』通ってはいるのだ。褌の動きは素早く、僅かずつ千切れたそれらを見るに、三十二尺のうちの二尺ばかりであろうが、それでも確実に前進しているのだ。
「RRRRYRYYYYRRR!!」
 褌ミイラは流石に業を煮やしたのか、自らを取り囲む者達へと念動力による罰を叩き込みにいく。至近距離に踏み込んでいた面々は次々と弾き飛ばされるものの、ゴリョウは背後に控えたウィズィが受け止め、腹筋と背筋それと根性により投げ返す。
「喰らえ、私の――恋心!」
「その股ぐらにキツいの一撃鎌してやりますよ!!」
 ウィズィは全身の魔力を総動員して自らを強化し、渾身の一撃を叩き込む。しにゃこもタイミングを合わせ、狙いすました一撃を褌ミイラへと浴びせにいく。双方、ともに股間に。褌を刻むだけならば全身それ弱点だろうに何故股間ばかり狙いに行くのか。虐めか。
「これは、本当に……馬鹿げている割に面倒だ。動かないように押さえつけねば不利を被る、距離を取れば褌を強要してくる。おまけに褌それ自体も攻撃してくる、と」
 愛無は再び間合いを詰めつつ、切り取られた褌をうんざりとした顔で弾き飛ばす。褌本体から分離したとて、それは自我を持っているかのようにイレギュラーズの動きを妨害にかかってくる。そもそも吹けば飛ぶような連中だが、攻撃が小刻みであったり長期戦となればどんどん、それが増えるということ。目を覆う、口を縛る、そういった事態も。
「……このフンドシ、こっちに向かってコウゲキしてきたってコトは……」
 イグナートは伸び上がった褌に腕を締め上げられそうになるが、手首を返し、逆に己の手にそれを巻きつけた。本体との力比べの様相を呈すが、力で上回るイグナートの側が徐々に褌を引き絞る格好だ。
「フンドシを千切れる長さが増やせないかな? ……このタイミングで!」
「さすがに、褌にそれほどの防御力はねぇだろ?」
 イグナートはさらに力を込め、そのタイミングに合わせホリが一撃を叩き込む。褌の頑丈さはミーナが証明した通り。決して甘く見ていいものではない。
 無いが、ホリを始めとし、イレギュラーズ達の実力は何れも高い次元にある。伸び切った脆い状態の褌を裂くなど、何ほどのこともない。
「轟天GO! フル回転だっ」
 隙を見つけた卵丸は、轟天を叩きつけ一気に巻き取れないか試みる。全身に密にまきついた褌はみしりと音を立てて回転に抗うが、全くの無傷とは行こう筈もなく。
 褌は各所を傷つけられ、確実に目減りしつつある。前進と後退はゴリョウと愛無が抑え、弾き飛ばそうにもウィズィが控えている。
 盤石極まりない構えは、切り崩す場が無いと思われた。
「こんなギャグに飲まれちゃダメです……私は美少女! 私は美少女!! ヨゴレなんて御免です!!」
 しにゃこが、突如として悶絶し始めるまでは全員なんとかなると、思っていたのだ。
 ――果たして。
 彼女は長距離からの戦いに特化していたがゆえに(彼女自身に一切の落ち度がなくとも)最初の犠牲者と相成ったのである。

●そして滅る
「ひゃあ……! 以外にも豊満なしにゃのお胸がサラシの下でわがままにも主張を! コレ以外と可愛いかも……いえいえ!」
 しにゃこ、突然の褌サラシ姿に困惑しつつも普通に対応しかけた自らの思考をリセットする。危険だ、これはすごく。
「しにゃこ、体勢が整うまで隠れててもいいんだぞ!? ここは俺達が抑え――」
 ゴリョウが言い切るより早く、ミイラ本体が全身から気を放出し、一同を吹き飛ばす。褌の締め上げによる牽制を交えつつ、すかさず本体は――呼び声を放つ!
「うわっ、ダセェし、嫌だこれー!!」
「そんな攻撃、パンツじゃないからはずか……って、なんでさらしまで……卵丸男、男なんだからなっ!!」
 ホリと卵丸、当然のように褌姿へと変わってしまう。装備がそばに転がっているのだけは幸運だ。おそらくは念動力による装備の入れ替え的サムシングなのだろうか。
 そんなことを考えている間に卵丸はサラシまで巻かれている。男性なのだが、胸元センシティブ判定を受けたようだ。本人の希望とも言おうか。言わねえか。
「効かぬものだな。どういう原理か知りたかったのだが、力の流れ程度ならそうなるのか」
 愛無、まさかの……というか安定の不発。高い水準の抵抗力を持つその姿は、不定形であるがゆえに不変であったということか。もしくは、褌ミイラがその姿を想定できなかったか……となると、ゴリョウはなおのこと問題なさそうに思える。
「八卦良い!」
 なさそうに見えたが、何かの間違いが起きたのか。はたまた彼の気合いが褌として顕れたのか。腰を据えてSUMOUスタイルをとった彼は、ミイラの腰元の布地を絞り上げ、がっぷり四つに構えてその前進を阻止する。
「で、これがどうかしたのかよ?」
「絶対に褌姿になんてなるも――ごめん、もうなってた」
 ミーナとウィズィは、褌サラシ姿になっても態度がさほど変わらなかった。ミーナの姿は明らかに扇情的だと思うのだが、本人のノリが一切のボケのないアレなので色気がプラマイゼロになっている。……ヒラヒラした服だったら恥じらいもあろうとは本人の言。
 ウィズィに至っては、褌とサラシを除いた部位からチラ見えする筋肉のラインが古代彫刻よろしく、彫りが深く健康的な色合いをしていた。高身長小胸巨尻の筋肉娘ですよ。
 何にも感じてないような無機質な動きでハーロヴィットを掴んだ姿、その背には鬼が浮かぶ、ように見えた。
「らっ卵丸、何にも見てない、見てないんだぞっ」
「見られて恥ずかしい鍛え方はしてねえよ……」
 卵丸は他人のふんどし姿より先に自分のそれなのだが、恥じらい隠しに突き出した轟天がここにきてクリティカルを叩き出す! 唸れ!
「RRRRAAAAGGGHHH!?」
 褌ミイラはその褌の9割を剥ぎ取られた! そこに迫るのは筋肉美を見せつけるように踏み込んだイグナートの姿!
「ゼシュテル的にはアイテの弱点であってもヨウシャなく攻撃をする……分かるよね?」
 蹴った! 容赦のない金的が残り僅かななけなしの布地を集めた股間に叩き込まれる! 爆砕する布!
「正直触りたくもないが……この機を逃すのも得策ではない」
 愛無、爆砕した股間目掛け呪いを叩き込む。いつの間にか得も言われぬ姿に擬態したそれから放たれた呪いは、過たずミイラの体液を搾り取るかのように噴出させる。
「悪いが逃さねえぜ……!」
 ゴリョウは掴みどころを失ったミイラに体ごとぶつかると、己の眼光を叩きつけるように相手のそれと突き合わせる。不快感を覚えたミイラは反撃を相手を弾き飛ばすが、既に何度も試されたその手法は最早通じぬ!
「よくもダセェ姿にしてくれたな!」
「恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい……しにゃを見られた相手を倒してしまえば恥ずかしくない……!」
 ホリはごくごく正当な流れからミイラを徹底的に殴りに行く。しにゃこは着替えを羽織り、鬼気迫る形相で銃を手に取ると次々と弾丸を叩き込む。主に股間に……股間に!
 ミイラの悲鳴など聞こえぬ。見た相手は居なかったことにすればいい。名案である。……それが敵に限られるならば。
「オラッこの巫山戯た騒ぎは例の奴の同類かこの、エエッ!?」
 ウィズィはといえば、ハーロヴィットを投げて投げて投げて手に取り再び投げ、徹底的に相手を叩き潰すのに必死だった。トラウマとかそういうものがあるのだろう。
 クソでかい感情(憎悪)が叩き込まれたそれは、間違いなく今回最大級の威力を誇っていた。
 そしてイレギュラーズの過剰ともいえる猛攻は、ミイラを腐った汁だけのひき肉に変えるに十分だった。……布は、決着がつくより早く焼き尽くされていた。

「こんなものが残って闇市に流通してもことだ。徹底的に消さねば」
 ……だってさ。どうします?

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした。
 いやあ確実に褌の呼び声がくる射程からずっと攻撃し続けるなんて勇気があるなあ(棒読み
 きらいじゃないよ。

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