シナリオ詳細
地下水道エマージェンシー
オープニング
●消えた死体
「地下水道に放り込んでた死体が消えた。あそこはもう使われてなくて、死体が消えるなんてあるわけないってのに」
そう語るのは、目の下に濃い隈をつくった禿頭の男だ。
男の瞳は充血しており、顔色もひどく悪かった。
怯えるように、時折視線を背後へ向ける。
背後には酒場の壁しかないというのに。
「死体を放り込んでたって……お前が殺した誰かの死体か?」
テーブルを挟んだ目の前に座る友人の問いに、禿頭の男……ジャックは頷きを返す。
ジャックが初めて殺人を犯したのは、今から5年ほど前のことだ。
ジャックの家に忍び込んで来た強盗と揉み合いになり、勢い余って命を奪ってしまったのである。
死体を隠すため、ジャックは自宅の裏手にある古井戸に強盗の死体を投げ込んだ。
その時、ジャックが感じたものはある種の快感であった。
他人の人生を、自らの手で終わらせたことに、強い興奮を覚えたのである。
以来、半年~1年のスパンで、ジャックは他人を殺し続けた。
ある時は、近所に住まう1人暮らしの老婆を。
ある時は、近くに引っ越してきたばかりの女性を。
ある時は、遠方からジャックを訪ねて来た知人を。
はじめて強盗を殺めた時と同じ、刃渡りの長いナイフを用いてその腹部を斬り裂くという方法で。
そうしてジャックは、これまで都合8体の死体を裏の古井戸へと投げ込んだ。
子供のころに古井戸の降りて遊んだことのあるジャックは、井戸から続く地下水道には、水が通っていないことを知っている。
また、迷路のように入り組んでいることも。
「死体の気配が消えた……つったか? お前の勘違いか、妄想なんじゃないか?」
何か変なものでも食ったか? と、友人は言った。
そう言いたくなるほどに、今のジャックの様子はおかしい。
「とにかく、お前が人を殺したっていうのなら自主をしろ。死体が消えたっていうなら、探して弔ってもらうんだな」
それが嫌なら帰って休め、と。
そう言い捨てて、友人は会計を済ませて一足先に帰って行った。
しばらく、席に座ったままじっと黙り込んでいたジャックも、やがて静かに席を立ち……。
その日以降、ジャックの姿を見た者はいない。
●情報屋
「ダークブルーなお話ね。ジャックとやらは無事なのかしら?」
耳にかかった髪をかきあげ、『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)は呟くようにそう言った。
彼女の呼吸に合わせるように、笹穂の耳が小さく揺れた。
「ジャックはおそらく、自分の目で死体の行方を確認しようとしたのでしょうね。どうやら地下水道に降りて行ってしまったみたい」
さらに、プルーの把握している情報では井戸から降りてすぐの場所には、ジャックの言う死体は1つも転がってはいないようだった。
どこかへ消えた死体を探して、ジャックは迷宮のような地下水道を進んで行ってしまったのだろう。
よく目を凝らせば、ジャックの残した痕跡が見つけられるかもしれない。
「消えた死体だけど……ともするとリビングデッド……ゾンビ化しているかもしれないわ」
その場合、予想される状態異常は【毒】や【不吉】だろうか。
おそらく、遠距離での攻撃手段は備えていないと思われる。
「でも、地面の下はとってもブラック。明かりの用意は必要かもね」
今回の任務について、おおまかにまとめると下記のようなものになる。
迷宮のような地下水道を捜索。
ジャックが生存していた場合は、保護して連れ帰る。
ジャックが廃棄した8体の死体を見つけ出す。
「……と、そんなところね。何か質問は?」
集まったイレギュラーズを見回して、プルーは小首を傾げて問うた。
しばしの沈黙の後、彼女は満足そうに小さく頷く。
「とくにないようなら、出発してもらおうかしら。事前の準備を怠らず、努々油断はしないようにね?」
なんて、言って。
薄い唇を吊り上げて、彼女はにこりと微笑んだ。
- 地下水道エマージェンシーLv:1以上完了
- GM名病み月
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年06月14日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●不穏道中
ジャックという男は、過去8名の人間を殺し、自宅裏の井戸へと放棄してきた殺人犯だ。
彼は時折、井戸を覗いては死体があるかどうかを確認していた。
そうして彼は、安心感を得ていたのだろう。
死体が消えているということは、誰かが見つけ出したか、或いは実は生存していて何処かへ逃げたということだから。
事実、井戸は地下水道へと続いている。
生存者がいた場合、地下水道を通って何処かへ逃げ出す可能性もある。
そして、ある日。
彼にとって不幸なことに、死体がすべて消え去った。
死体の行方を捜すべく、ジャックは1人、地下水道へと潜り込み……そしてそのまま姿を消した。
陣形を組んで地下水道を進む8名の男女。否、7名と1匹と言うべきか。
「ジャック自身はまあ死んでたらそれはそれでしょうがないなって感じだが……殺されてゾンビ化してしまった人達の話を聞き出して正しく弔うためにも、生きてたら保護をして官憲に突き出してやらないとな」
と、眼鏡を押し上げながら、杠・修也(p3p000378)はそう言った。
暗闇の中、目を凝らし、耳を澄ませて、自分たち以外の足音が聞こえないかに意識を配る。
また、陣形の右側、『兎に角』オカカ(p3p004593)はすんすんと鼻をならして、長い耳をひょこひょこと動かしていた。
「井戸んなか、すっごく臭くてたいへんだよ」
小さな体。額に生えた1本の角。
どこからどうみてもウサギ……ホーンラビットという魔物の類なのだが、彼もまた歴としたイレギュラーズの一員だ。
「仕事はシゴトだ。文句を言うな……」
と、くぐもった声が暗闇に響く。
ガスマスクを付けた少女、『スナイパー』ジェック(p3p004755)は愛用のライフルの男装に銃弾を送り込みながら、まっすぐと通路の先を凝視する。
同じく正面を見据えていた、『月下美人』久住・舞花(p3p005056)は長い黒髪を掻き揚げ、ふぅ、と小さく吐息を零す。
暗視のスキルを持つ彼女の瞳は、暗闇の中でも視野を確保できる。それを持ってして、周囲に敵……ジャックや、ジャックの被害者たちのリビングデッドが存在しないことを確認したのだ。
「……異常性は兎も角として。聞く限りでは犯人にして救助対象でもあるジャック氏は、刃物の扱いに多少慣れている程度の一般人の様子。もしもアンデット化した死体……リビングデッドに襲われていたら、無事では済んでいない可能性が高いですね」
既にそれなりの距離、地下水道を進んでいる。
ここまでジャックの姿はおろか、リビングデッドさえも見かけていない。そのことが舞花の不安を煽る。すでにジャックは、リビングデッドに襲われ死した後ではないのか、と。
「ジャックか……一番危険なのはそのジャックとやらかも知れぬな」
難しい顔で、『金獅子』ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)は言う。
着こんだ鎧の隙間からは、幾重にも巻かれた包帯が覗いていた。以前受けた任務の傷が、まだ癒えきっていないのだろう。
彼女の思考は以下の通りだ。
ジャックは、定期的に死体の有無を確認していた。それはつまり、他人を完全に自分の支配下に置き満足していたという腐った性根の現れではないか、ということだ。
そしてお気に入りのそれが無くなって焦っていたのだとしたら……果たして、ジャックはどういった目的で、死体を探しに向かったのか。
リビングデッドをもう一度殺し、自分の支配下に置くため?
だとすれば、あぁ。
それはなんと、おぞましい。
「まて……おいでなすったぞ」
手元に灯した火球の火力を上昇させて、『放火犯』アカツキ・アマギ(p3p008034)は仲間たちへ待ったをかけた。
赤い炎が、アカツキの灰色髪に反射する。
彼女の発動していた【エネミーサーチ】が、適正存在の接近を確認したのだ。
アカツキの視線は、10メートルほど先に見える別れ道、その右側を見据えている。右へ角を曲がった先に、何者かが控えているのだろう。
「戦闘開始か。俺が前衛として前へ出よう」
ガチャリ、と金属の音が鳴り響く。
黒いマントを翻し『ドゥネーヴ領主代行』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)が皆より1歩前に出た。
その様はまさに、誇り高き騎士のそれである。
幾度にもわたる激戦の結果か、彼の全身は包帯だらけだ。それでも彼は、誰よりも前に出て、戦うことを選び続ける。
その身に流れる王家の血がそうさせるのか。
正々堂々を心情とするベネディクトは、仲間たちの準備が整ったことを確認し、地面を蹴って駆け出した。
●水道の攻防戦
角を曲がった先にいたのは2体のリビングデッド。
イレギュラーズたちに背を向け、通りの先へと進行中のようだった。
そこにジャックの姿がないことを確認すると、ベネディクトはそのうち1体を背後から槍で刺し貫いた。
駆け込む勢いを乗せた渾身の突きだ。
リビングデッドの腐った身体、その背中から胸元までを貫通する。
そこにいたのは、首元に深い傷跡の残る女性のリビングデッドだ。
リビングデッドは背後からの攻撃を受け、ゆっくりとベネディクトを振り返るが、そこで力尽き崩れ落ちるようにその機能を停止した。
さらにもう1体のリビングデッドは、ベルフラウの短槍により壁に縫い付けられる。
背にした旗が、その威を示すかのように激しくはためいた。
「2体か、容易い……いや、用心に越したことはないか」
がむしゃらにふりまわされたリビングデッドの腕が、ベルフラウの胸部を強打。力任せの一撃に、ベルフラウは噎せ返る。
その足元を駆け抜ける小さな影が1つ。
「よわってるならいまがチャンス! ボクがとどめさしてくよ」
地面蹴って、オカカが跳んだ。
キラリ、とアカツキの灯す炎の光がオカカの角に反射した。
鋭い角が、リビングデッドの頭部を刺し貫く。オカカの角を持ってすれば、腐り、風化しかけた頭蓋を貫くことは容易であった。そうして、リビングデッドはその機能を停止させる。
「だれか角拭いてー、なんかくっさいよー」
腐肉と血で汚れた角を振り回し、悲鳴をあげるオカカの傍にルカがそっとしゃがみ込む。
「ったく、何やってんだよ」
大柄な体躯や鋭い眼光に反して、存外にルカは人が良い。
周囲に敵がいないことを確認し、ベネディクトは遺体の傍にしゃがみ込む。数舜、黙祷を捧げた後、遺体の見聞を開始した。
「ふむ……身元が解る様な物を持っているか? あれば、持って帰ってやりたいが」
と、そう言って遺体の見聞を開始したベネディクトの傍へ1匹のネズミが近寄ってくる。
遺体の肉を喰らうためか、それとも……。
「死体はあっちに行ったんだって! 人を追いかけてたってネズミくんがいってたよ」
近づいて来たネズミよりオカカの聞き出した情報を元に、7人と1匹はさらに地下水道を進んでいく。事実、アカツキのエネミーサーチも進行方向に敵性存在の反応を捉えていた。
「そこにジャックもいるんだろうが……ゾンビのいる中で精神が持ってるかどうかは怪しいところか?」
グローブを嵌め直しながら、修也はそう呟いた。
ジャックが生存していた場合、彼を安全な場所まで運び出すのは修也の役割となる。
「ジャックが殺されても自業自得ってなもんだが……仕事は仕事だ。生きてるなら連れ帰ってやるよ」
本来であれば両手で操るであろう大剣を片手で掲げ、ルカは凶暴な笑みを浮かべた。
地下水道の一角。
瓦礫によって封鎖され、行き止まりとなったその場所で、禿頭の男が両手のナイフをがむしゃらに振るっていた。
見開かれた瞳孔は充血し、滂沱と涙が溢れていた。
「あぁああああああああ! なんで、まだ、動いてるんだよっ!!」
半狂乱になりながら、目の前のリビングデッドにナイフを突き刺す。
だが、禿頭の男……ジャックの力では、リビングデッドを倒すに至らない。
狭い通路だ。
目の前のリビングデッドを倒したとしても、その後方にはまだ5体が控えている。
ジャックがこの場を生きて脱出することは、およそ不可能であろうことが予想される。
けれど、しかし……。
「……不浄のモノ。祓いて、今一度眠りを与えん」
一閃。
鞘なりと共に、暗闇に閃く舞花の剣技。
今まさに、ジャックの首をひねりつぶさんと伸ばされていたリビングデッドの腕を、いともたやすく切り裂いた。
長い黒髪がふわりと揺れる。
時間は数秒ほど巻き戻る。
ジャックの姿を発見したイレギュラーズは、即座に行動を開始した。
「行くぜ!」
「えぇ!」
最も速く、アクションを開始したのはルカと舞花の2人であった。
剣の腹を横に向け、ルカはその場で腰を落とした。
剣の腹に舞花が足の裏を乗せる。
瞬間。
ルカは剣を振り抜くと、舞花の身体を弾丸のように打ち出したのだ。
そうして飛ばされた舞花は、5体のアンデットの頭上を通過。
ジャックの眼前に着地したのである。
舞花の助けが入ったとはいえ、ジャックは錯乱状態にある。
ナイフを振り回し続けるジャックへ向け、アカツキが叫んだ。
「お主、まだ生きたいか? 生きて罪を償う気はあるか? 大人しく従うようなら保護してやるのじゃ!」
「あぁ? あぁぁあ!? なんだ? お前らも、お前らも俺を殺す気か?」
「……話にならんの」
アカツキはちらと視線を修也へ向けた。
修也は頷き、その場で低く姿勢を落とす。すぐにでも駈け出せる構えであった。
よし、と一言。
アカツキの手元に、火炎が灯る。
ごう、と周囲の空気を押しのけながらアカツキの炎が、リビングデッドたちを薙ぎ払う。
アカツキの一撃が合図であった。
一斉に駈け出すイレギュラーズ。炎に包まれたリビングデッドが、イレギュラーズたちへと襲い掛かる。
「槍の後へ続け!」
と、そう叫んだのはベネディクトだ。
渾身の力を込めて、彼はリビングデッドたちの中央へと槍を投擲。
その後方を修也が駆ける。
リビングデッドの1体が、槍に頭部を打ち抜かれて倒れ伏す。火炎に包まれた遺体の上を、修也は跳び超え、ジャックの眼前へと至る。
「錯乱されても面倒だ……しばらく寝ていろ。この場から担ぎ出してやる」
囁くようにそう告げて、その拳をジャックの鳩尾に叩き込む。
唾液を吐き散らし、気絶したジャックを担ぎ上げた修也は、くるりと踵を返す。
狭い通路にひしめく、残り5体のリビングデッドと仲間たちが激しく戦闘を繰り広げていた。
ジャックを連れて修也が脱出するためのルートを確保するため、その身を挺して仲間たちが道を切り開く。
長物を武器とする者が多いことが災いしてか、リビングデッド相手に少々押され気味のようである。
舌打ちを零し、修也は駆ける。
けれど……。
「うぁんっ!?」
リビングデッドの腕に弾かれたオカカが、こてんと地面を転がった。
どうやら毒に侵されているようだ。眉間に皺を寄せ、うぅと小さく呻いている。
オカカのブロックを抜けたリビングデッドが、修也の進路を塞いだ。
咄嗟に拳を握りしめるが、肩に担いだジャックを庇いながらではまともに戦闘を行えるようには思えなかった。
舌打ちを零す修也の前に、小柄な人影が跳び出した。
「ぐ……ウゥ」
くぐもった呻き声。
ライフルを盾のように構えたジェックである。
振り抜かれたリビングデッドの腕が、ジェックの頭部を強打した。
その一撃で、ジェックは意識を失ったようだ。
だが、ジェックが注意を引きつけたおかげで修也の進路は開かれる。倒れたジェックの脚を掴んで、修也は戦線を離脱する。
「くらえ、みだれつっつき!」
その背後では、戦線に復帰したオカカが、二度の頭突きでアンデットの討伐を成功させた。
「無辜の民であればいざ知らず相手は殺人鬼。本来ならば保護を必要とする対象ではない……油断するなよ?」
修也へ迫るリビングデッドの攻撃を、愛用の短槍でいなしながら、ベルフラウはそう告げた。
金色の髪は、血と泥に濡れてその色をくすませている。ベルフラウがジャックへ向ける視線には、強い怒りが込められていた。殺人鬼に対し、思うところがあるのだろう。
攻撃をいなされたリビングデッドの頭部が激しく揺れる。
「お前さんらは被害者なんだろうけどよ。悪ぃが勘弁してくれや」
リビングデッドから離れた位置では、大剣を振り下ろした姿勢で停止するルカの姿。
遠方の敵を空間ごと殴り飛ばす彼のスキル【逃がしゃしねぇ!】によるものだ。
ベルフラウとルカの作った隙を突き、舞花はその名に違わぬ舞踏のような動作でもって、刀を一閃。
リビングデッドの首から胸部にかけてを深く切り裂いた。
「これで残るは3体……」
重たい音を立て地面に倒れるリビングデッドを横目で見やり、舞花は小さく息をつく。
●
裂帛の気合と共に突き出された刺突が、リビングデッドの腹部を貫いた。
槍を放ったのはベネディクトだ。
「無念だろうが、放置する訳にもいくまい……すまんな」
ベネディクトの槍に貫かれてなお、リビングデッドは動き続ける。だが、リビングデッドがいくら手を伸ばしても、ベネディクトには届かない。
「犠牲者達の無念を想像すると、やりきれん話じゃな」
ベネディクトの言葉に呼応するのはアカツキだ。
渦巻く魔力が、灰色の髪を激しくなびかせ、熱波を散らす。
パチン、と指を鳴らすと共に槍に貫かれたリビングデッドが業火の柱に飲み込まれ、その活動を終わらせた。
ルカの伸ばした太い腕が、リビングデッドの首をきつく掴んだ。
「哀れなもんだな。犠牲になったやつも、持って生まれた性に翻弄されたジャックもよ」
ギリ、と奥歯を噛みしめてルカはリビングデッドの身体を持ち上げる。
そのまま、リビングデッドを力任せに投げ飛ばし……。
「ボクうごくの遅いから、こうしてくれると助かるよ!」
落下地点で待ち構えていたオカカは、自慢の健脚を持って高く跳躍。
角を使った渾身の突きを、リビングデッドの胸部へ突き刺した。
リビングデッドの身体を支えきれず、もつれるようにしてオカカは落下。きゃん、と短い悲鳴をあげるが、見事リビングデッドを撃破した。
ベルフラウの振るった槍が、リビングデッドを仰け反らせる。
彼女の動きを追うように、赤い御旗が軌跡を描く。
「これで最後……斬ります!」
よろけたリビングデッドの背後に迫る舞花が、居合の要領で刀を一閃。
リビングデッドの上半身と下半身が、ばっさりと切り分けられて地面に落ちた。
飛び散った血が舞花の頬を黒く汚す。それを乱暴に手の甲で拭い、舞花は視線を周囲へ巡らせる。
転がるのは、都合6体分の死体……。
そして……。
「後はこいつを官憲に突き出してやるだけだな……さぁ、起きろ」
乱暴にジャックの身体を地面に放り、冷たい声で修也は告げる。
修也は目を覚ましたジャックの胸倉を掴むと、力任せに立ち上がらせる。
ジャックの喉元へ、ベルフラウの槍が突きつけられた。
「この者達を見て今、何を想う。ジャックとやら」
聞かせろ、貴様の心を、と。
怒りの籠った強い視線を向けられて、ジャックは何も答えられない。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
お疲れ様でした。
此度の冒険、お愉しみいただけましたでしょうか?
お愉しみいただけたようなら、幸いです。
皆さんの活躍により、ジャックは無事生きたまま救出されました。
依頼は成功です。
またのご参加、お待ちしております。
GMコメント
●ターゲット
ジャック×1
都合8人の人間を殺めた殺人鬼。
死体は自宅裏の井戸に廃棄していた。
定期的に死体の有無を確認していたようだが、ある日それが消えていることを知る。
友人に相談したがまともに取り合ってもらえなかったこともあり、自身で死体を探すことにしたようだ。
生死不明。
井戸から続く地下水道のどこかにいるだろう。
死体×8
井戸の中に破棄された死体。
突然、どこかへ消え去った。
もしもリビングデッドと化していた場合は、地下水道を彷徨い歩いていることが予想される。
・デッドバイト:物近単に小~中ダメージ、毒、不吉
アンデット化していた場合、生者を見つけるとかみついてくる習性を持つ。
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