PandoraPartyProject

シナリオ詳細

泥人形

完了

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オープニング

●反吐が出る羅列
 君想う、故に我絶て。

 それは貴様の決して望まない、永久にも等しい変質だった。男は女へ。女は男へ。老人は若者へ。若者は老人へ。人間は怪物へ。怪物は人間へ。意味も知れずに行われる『物語』の頁は、貴様等の存在を大歓迎するだろうか。応えは真逆で答えだけは正しい。世界曰く、真実が蔓延るなんて勿体ない。住民曰く、最早己が何なのか『忘れて』終った。助けてと叫んでも誰に吐いたのか理解出来ない。殺してやると望んでも誰に告げたのか理解出来ない。まるで巨大な『もの』に練り混まれ、泥人形と成り果てた気分だ――今更どんな奈落を、昇天を望んだって『焦点』を合わせる術はない。出遭った誰かと誰かが混在し、全く新たな貴様が不完全――どうして――伸ばした掌も崩れている。
 愉快も不愉快も無い。総てが意味を融かしていき、挙句の果てには『自分』の最も嫌悪する輪郭だ。反吐が出る――羅列した自己の奥底が涌いて、負の感情が表現される。疲れた民は折れて崩れ……祈るべき自我も死んでいる。

 ねえ――おいで。
 君達の貌も変えてあげる。

 この泥に塗れるもの、一切の自分を唾棄せよ。妙な台詞が蔓延っている。貌の無い誰かさんの隣で踊れば、何れは『そう』陥ると理解出来るのだ。アンタ。オマエ。貴様。二人称が救いと思える前に、嫌悪に沈んだ『われ』と向き合え――深呼吸しても入らない。這い『酔』った――少しは可愛らしく、加工されたかしら。

●変貌
「そうね――私にも嫌いな物や者はあるのよ。皆にも勿論『在る』わよね。今回の物語は【泥人形】。皆の嫌悪感が『貌』と成って現れる、酷く汚らしい世界よ。あえて名称をつけるなら【変貌郷】? まあ。皆に任せるわ」
 境界案内人のコスモが手を叩き、泥を落とすようなフリをする。微笑みの内には意地悪な思いが噴いて、君達は『またか』と息を吐くだろうか。
「取り敢えず。その『嫌悪』に成り果てた感想を教えてちょうだい。まあ。世界の崩壊とか云々はないから安心して。自分を見つめる好い機会になるといいわね。嗚呼――最後に一個だけ。自分のマイナス感情に囚われて、抜け出せないなんて『残念』な終わりにはしないでね。頑張って起き上がるのよ。七転び八起きでしたっけ?」
 ぺらりと、頁が捲れて。
「いってらっしゃい。大丈夫。『好き』が在れば戻ってこれる筈よ」

NMコメント

 にゃあらです。
 この依頼はラリーシナリオです。

 一章だけの掌編予定です。
 採用人数は4人~6人を考えています。
 アナタは【変貌郷】に迷い込んだ者です。
 最も嫌悪する『もの』に変貌してしまいます。
 向き合うのもよし。目を逸らすのもよし。全てはアナタ次第です。

 サンプルプレイング
「ああ。嫌だ。腹が立つ。アイツの事を思うと吐き気がする」
 彼女を殺したアイツ。アイツを殺す事が俺の最終目的だ。
 しかし何だって。アイツに変貌してしまう?
 くそ。そんな泥沼があってたまるか。
「鏡がないのは幸いでも、この形はアイツ……」
 自分を何度も傷付けます。
 この短剣で殺さないと。

  • 泥人形完了
  • NM名にゃあら
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年05月29日 21時39分
  • 章数1章
  • 総採用数6人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯

 神よ、自分を教えて――もう。酔いが醒める程度には、趣味の悪い世界だ。こすもちゃんとアーリアは呟いたが、其処に蔓延る泥人形に抗う術はない。肚の底に溜まった毒素は、誰に救われても酷く綺麗らしい。最悪よぉ――起立する真っ白。それは磨かれた鎧を纏った、天使を想起させる『騎士』そのもの。生じたのだ。自身が生じた『場』は此度も正しいと聴く。訊ねても誰も彼もが神様・神様・神様だ。信仰深く潔白な天義と称される『もの』の国――子供の頃。その信仰は当たり前だった。白こそが唯一の色で、朝から晩まで不覚も赦されない。信じていた神様はどんな輪郭だった。どんな貌だった。怠惰に蹲った気分は如何だった。このアルコールの隷属め――他の色鮮やかな世界。其処に逃げ出すいつかの私。
 盲目性神様中毒者に人間は効かないのだ。真っ赤に染めていった騎士の内側は悦楽か何かを称えていた。無機質なのか。無機物なのか。否。此れは感情を隠す為の、神の寄越した外殻なのだ。嫌だ。嫌だわ。私はこんな硬くて、冷たくて、白くて……ちゃんぽんを嘲笑するレッド・アイ。もっと柔らかくて。いろんな色で。あたたかくて。だから。そんな粘性に塗れた生温い、此れを壊さなきゃ。
 拳を叩き付ける。足をへし折りたい。胴体を引き摺り出して、中身を改めて満たしたい。思いきり額を打ち付けて、醜いめまいで逃れたい。赤色が滲んだ時、漸く私は呼吸が出来る。
 ほっとするのかしらね?

成否

成功


第1章 第2節

ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)
黄昏夢廸

 曰く、罪を重ねた者は地獄の門すらも潜れない。変化するならば誰なのか、と、ランドウェラは影を見た。視得たのは石の羅列だけで積まれた形跡は一切在らず。ずるずると引き摺られる感覚が未だ『自分』に圧し掛かっている。何が大切だった。自問自答の内に沸き立つのは己そのものだ。記憶にない誰かの輪郭だ――なんてことはないか――刺々しい砂糖菓子がオマエの眼球を模倣している。そして映り込んだのは……笛のように啼いている僕なのか。なんで。焦りなのか悲しみなのか惚けなのか。灰色がじっくりと粘っている。じゃあ紅は何処だ。これは僕に似た人。似すぎている人。ジャムの缶詰に迷い込んだ僕に囚われた僕――いや。いや。嫌悪する筈が無い。ないじゃないか。だって……「元いた世界で一番大好きで一番信頼していた」……父だよ? 疑問符が留まらず濁流していく。切れない鎖と。腐れ縁だと。絆だと勝手に決め付けるな、変貌する世界面め。
 父が居なければ僕は在り得ない。得た存在なんて儚く消えるのだ。大好き。大好き。何度だって嘔吐するから、早く肉から剥がれてくれ。削いで終わないと本当に嫌いになってしまう――静かだ。寂しげに鏡『が』触れてキた。そうかい――ああ。ダメだ。嫌いになってしまうなんて。できないよ。出来ないから。腕を切り取って飾ろう。地面に叩き付けて、踏み潰して、きっと許してくれるはず。慰めてくれるはず……狡くて賢い父の所為だよ、黄昏。

成否

成功


第1章 第3節

赤羽・大地(p3p004151)
彼岸と此岸の魔術師

 ハ――死骸がごちゃごちゃと喧しい。ふと。硝子に眼球を映して観ると、がらがらと朽ち逝く己の肉体。大地が『大地』に変えるなど音色の戯れと想えば至福だが、復する物の巡りだろうか。死。最も拒絶すべき。病的なまでに冒すべき。その輪郭が隣で嘲っていた。違う。違う。違う。散り散りに融ける脳髄が水槽を求めているようで騒がしい。幾分手前の状態だろう。篭り切った魂が『嫌悪』に擦り切れる。俺は死んでなんかいない。腐ってなんかいない。何度でも起き上がるのが、死なない魔術師の……崩れている鼻腔が茶色と赤色の肉の臭いを報せる。指先の色はいつから白だった。ぼろりと落ちた固形物がオマエ自身を融かしている――砂だ。風に盗まれた表皮が何を舐める。嘗めた液体は何処から漏れた泥か。それ以上に。一度斬られた首。滴ったものが足掻くように、温もりのギロチンを称えて――これ。此れだ。これが感じられるなら、俺はまだ生きてる! そう。そう……ダ。
 こんな世界で死を迎えるなど、鼠のように絶えやしない。死ねなイ。終われなイ。意識が存在する今、どんなに醜く生き汚くとモ。神に見放された穢れでモ。俺は俺の死を認めるわけにはいかなイ。変貌が故郷と笑う時、己の意思こそが『シン』と想うべきだ。動けるうちは俺は俺ダ。

 あア。でモ。
 潰れた鼻と切れた唇。一回転した光景。

 こんなに不細工になるのは――解体だ。如何しようもなくバラバラだ。
 ちょっと嫌だな……。

成否

成功


第1章 第4節

冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛

 何度間違えて混ぜるのか。この衣装は。この掌は。この肉付きは。憎々しさは――睦月――とも呼ばない『姉さん』のもの。貌は此処では語れないけれど、美しくて気高いのが僕の姉さん。誰かに訊ねれば気が違っていると思われる筈だが、確かに血を分けた姉さんなのだ。鞭のような表情で僕を支配した姉さん。だって姉さんは宮司だから。言葉を接ぎなさい。告ぎなさい。継ぎなさい。繋げるのは厭だと吐いたのに、この頑固者め――僕を祭具として扱うその人だから。悪寒がする。追い掛けられて隠れた場所は、泥人形の如く不定形で在れば……それでも。想う。思ってしまう。僕が貴女を姉と呼ぶ事を『赦して』くれるのは。紅の味わいを知っているから。貴女が僕を血の分けた存在だと見做してくれている……そうだ。理解はしている。本当の事は最初から脳髄の内側だ。つまり『それ』だけに留まっても『すがりつかせる』為の罠なのだと。かごめかごめ、いついつ出遭う。
 自由以外の全ては保証されたのだ。振り向かなければ地獄は嘲笑しなかった。だけど。だから「ごめんなさい」だ。僕は混沌で※※ちゃんとまた出会ってしまった。たらふく食んだ熱っぽさが、拭えないのは如何しようもない。姉さん、ごめんなさい。自分の首は自分で絞めるよ。鶏の気分だね――花開く如く、両手で包み込む――そのくらいの勇気はあるの。
 ぎゅ……口蓋に付いた舌が痺れ、水槽では味わえない最たる思い。
 わがまま。

成否

成功


第1章 第5節

アエク(p3p008220)
物語喰い人

 我食い、故に報成り――吐き散らした情報を食み直して掻き分けて視れば、我における嫌悪とは何か。万物。有象無象は情報。つまり臓物を有する畜生のような連中で、その塊が『在る』だけで愛おしい。ゼロ。数にという意味を得た円形が跳ねている。それは『厭悪』と告げるに値しない。そもそも値が存在する時点でアエクの餌食なのだ。選別している暇など無く、苦し紛れの絶望など恐れる事『難しい』のだ。惰性で情報を反芻するのは容易いが、忘れ続けて『無』を抱えるのか。ああ。それが簡単な答えなのだ。明白に成された『 』の無意味に死んでいけば良い――一切合切なにもない。Null――困った。嫌悪の答えが【ある】とは可笑しい世界観だ。設定に抜け穴が視得たぞ、宇宙ども。
 ところで。虚無へと至り『成る』時点で我には歓喜なのだ。栄養素を多分に含んだ物語の『情報』に違いない。愛される面が呆けて在れば、無の貌など幾個浮かぶのか笑えて仕方がない。ほんとうに。いったい。何に成るのだろうな――嫌悪を滅ぼす興味が、深く、深く、秘宝に突き刺さる。オマエの図書館に司書など居たのか。ああ、早くそうして。我に落胆をくれて欲しい。早く。早く――落胆? 在るではないか。莫迦げた道案内だな、もう『汚染』は無いと崩れるのか。はやく。
 正しく写せと揺らいで往く。善い言葉ばかりが胃袋に詰まって、贋作塗れの詩が焚かれる。思考せよ、我における厭悪とは。

 それは。

成否

成功


第1章 第6節

マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)
涙を知る泥人形

 この疑り深い奴め。誰かの怒声に叩き起こされたマッダラーはぐねりと腕を『頬』に当てた。中てられた人間の演技でも為して在ったのか、思考実験じみた戯れに脳天から突っ込んでいく。自身の最も嫌悪する存在。そのもの。者と物の狭間で如何なる『身』が踊り続けるのか。噛み合わない頭蓋を粘土細工と思い込めば泥人形。スワンプマンたる貴様は完成だ――俺には『何』が出てくるのか。狂い始めた現実が逆光を理解して遡る。ああ。そうか。やはりというか、つまりそういう『沼』だろう。無個性な肉の塊が、人間のフリして起立していた。硝子の破片が刺さった場合、痛いのか。握り締めた拳で鏡を――割らない。似ても似つかぬタダの姿形に如何なる罪が圧し掛かるのか。ソレは嘗ての自分自身で、魂の奥底から『同』が生じている。狂気的な連中が、マッドと問い詰めれば血色が好くなる。瞳が透き通れば世界は明るく、満ち満ちた生命力に乾杯しよう。雷のようなドリンクは如何だ。
 二度と戻れない過去――汚物を覗き込んだ、昔の人間。それが。俺は泥人形だ。塗りたくられた人以外の何か。何かでもない。そんなことは『わかって』いる。血液の温さも心臓の音も、脳髄の皺だって在るのかわからないものだ。全てを所有しているお前なんぞに、これ以上俺から奪わせてなるものか――少し楽しそうな面だ。少し寂しそうな面だ。幾千もの感情を抱いた、暗を知らないお前。
 崩れぬ塔――軽い、引き金。

成否

成功


第1章 第7節

 おいで――一言、世界が貴様等を誘ったが。
 彼女は何処までも『人間』で在った。
 彼は何処までも『人間』で在った。
 貌を変えても。戻れなくても。
 君達だけは帰らねば成らない。
 ――この世界は墓場なのよ。
 自分を殺して酔っ払った、皆の埋葬は終い。
 ねえ……今度はちゃんと『向き合い』なさい。
 反吐が出る、羅列した頁――君想う、故に我起て。

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