PandoraPartyProject

シナリオ詳細

人よ、一夜に

完了

参加者 : 7 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ゆめみごろ
 苹果の夢を知っている?
 甘くて酸っぱい、錆銀色の毒のゆめ。
 アンブロジアの蜜をたっぷりまぶしてシナモンをちょっぴりかけたそれはじわじわと、じわじわと命(こころ)を蝕んでいく。
 
 美味しい錆の苹果があなたの足元に転がってくる。
 ころころ、ころり。
 かぷりと齧れば悪夢(ゆめ)の味。
 
 今宵の夢はあなたの死。
 非業の死があなたを待ち受ける。
 夢半ばで敗れ、悲劇に自ら終止符をうち、愛に飢える誰かに刺され、憎い相手に殺される。
 誰に?
 恋人に、友人に、弟に、妹に、兄に、姉に、母親に、父親に、師匠に、弟子に。――自分自身に。
 あなたの死を苹果は与えてくれる。
 
 さあさ、召しませ、ボナペティ。
 苹果の味は毒の味。
 命の果敢無さ、召し上がれ。
 14と刻まれた苹果の夢へ。

GMコメント

 ひとよひとよにひとみごろはルート2ですが今宵はルート14に行ってもらいます。ひとよひとよにゆめみごろ。
 鉄瓶ぬめぬめです。おひさしぶりです。
 
 自分の死んだときってちょっと妄想しちゃいますよね。
 あなたは足元にころがってきた錆銀の苹果をうっかりかじってしまったところから始まります。かじらないという選択をしてもかまいませんが、ご同行のみなさんは各々の場所で苹果をかじることになりますので近くにはいません。
 足元に転がった苹果をかじるキャラじゃない! という方は転がった以外にも街の売店でおすすめされた。誰かにもらったなど都合のいいシチュエーションで設定してもらっても構いません。
 調べてみても錆銀色のただの苹果。幻想にならそんな変わった苹果もあるんだと思うことでしょう。なんだか怪しげではありますが、それだけしかわかりません。だけど、抗えない程にその苹果は美味しそうに見えます。かじらずに自分の死を思って頂いても結構です。その場合は悪夢レベル(下記参照)は追加されません。
 かじらない場合のみプレイングの「冒頭」にかじらなかった旨をお知らせください。それ以外はかじったと判定いたします。
 食べた後ペナルティは発生しませんのでご安心ください。夢の中だけのお話です。
 
 プレイング内容はどのようなシチュエーションで死に直面したか。
 それに対してあなたはどう抗ってどう死を迎えるかを教えて下さい。
 あなたには死を迎える以外の結果はありません。なぜならば14に逝け、だから。
 そんなシーンを想定したプレイングをお待ちしています。
 
 相談することはないとおもうので、ふわっとこんなかんじだよって参加者さんたちで言い合うとかぶりがなくていいかなと思います。

 ぶっちゃけ拙作ルート14(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/515)と似たような内容となっています。
 
 
 悪夢の果実(アンブロジア)と悪魔の絵本(ピルグリムテイル)の関連作でもあります。悪夢のしっぽをお楽しみください。
 朱金の苹果の夢
 錆銀の苹果の悪夢(ゆめ)
 錆銀トロイメライ
 
 
  ***注意***
この依頼の返却と同時に
『悪夢レベル1』
という称号が配布されます。この称号の意味は今はまだわかりません。
夢で深淵に深く関わることができたPCさんにはこのレベルの数値が上昇する可能性があります。

また今後この称号をお持ちの方はセットした上で一連の依頼に参加していただけますと、悪夢レベルの上昇があります。
菖蒲GMで得た称号でもぬめ称号でもかまわないです。
セットされてなかった場合はレベルは追加されませんのでご注意ください。
レベル2以上を持ってらっしゃる方は最高レベルで活性化おねがいします。


 どうぞ、よろしくお願いします。

  • 人よ、一夜に完了
  • GM名鉄瓶ぬめぬめ
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2020年06月04日 22時10分
  • 参加人数7/7人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 7 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(7人)

零・K・メルヴィル(p3p000277)
つばさ
サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
銀城 黒羽(p3p000505)
ソフィラ=シェランテーレ(p3p000645)
盲目の花少女
マルク・シリング(p3p001309)
軍師
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
大樹の精霊
ジェック・アーロン(p3p004755)
冠位狙撃者

リプレイ

●シノチョウコウ
 躰からシが臭う。
 『フランスパン・テロリスト』上谷・零(p3p000277)朝起きるたびに強くなる死の香りに今日もため息を付く。
 自分を殺すカウントダウンは毎日、毎日、当たり前のように進んでいく。
「ごほっ、ごほっ……ッ!」
 あの日の事を思いだすと吐き気が込み上がる。ただひとつの希望はあのひとにはその刻印がされなかったこと。
 このまま自分が死んでしまったら、あのひとは――。そんな不安が日毎に強くなる。
 だから零は海に向かう。
 青の絶望は広い。何処に其れが居るかなど見当もつかなかったが、それでも零は海に向かう。そうでもしなければ不安で押しつぶされてしまうから。
 生きながらえるため何をかもも試した。
 しかしなにもかも通用することはなかった。日毎日毎に歩みよる死の兆候。
 その日躰にしびれがあり、そこに感覚がなくなってしまったことに気づいた。
 まあいい、しびれて痛みを感じないのであれば、戦いやすくなるだろう。武器(あいぼう)を握っている感覚も薄いがそれなら武器を縛り付けておけばいい。
 その日、ごっそりと髪が抜けた。
 白い枕に散らばる黒い髪が不安の象徴に見えた。
 ははっ、ハゲになるの早すぎだろ? なんて嘯く。
 個々最近ストレスたまりすぎだよ、なんて思い込んだ。
 その日、散歩中に咳き込んだ。
 灼けるような痛みと共に吐き出した唾は真っ赤に染まっていた。
 ドジだなあ、舌を噛んだか。それとも歯槽膿漏? 髪にしろ老けるの早すぎるだろう!
 そう冗談交じりにごまかした。
 その日、その日、その日――。
 日々調子の悪くなる躰。自分の思う通りに動かなくなっていく。
 そして、今日。
 死兆のカウントダウンは数日前からやめた。どうせもう残り少ない。
 ローレットに転がり込むアルバニアとの決戦の知らせ。
 零はやっとだ、と立ち上がるがふらつき転がる。立ち上がれない。足をみれば膝から下が消滅していた。正確には消滅ではない。赤黒い海の水が混ざりあったものに変貌していた。
 こほりと咳き込む。たすけてくれ、と叫ぼうとした瞬間、聲の変わりに血と海水が混ざりあった汚液が溢れた。
 猶予はまだある……そう思っていた。
 なぜ、どうして、思考が昏い海に侵食されていく。
 ここで自分は死ぬのか? ふざけるな。まってくれ。
 指先から赤と黒い海水に変わっていく。変わっていく。
 まってやだやめろやめてくれいやだいやだしにたくないしにたくない。しにたくない。聲にならない悲鳴。
 どろり、と思考が呑み込まれ海に溶ける。
 その日、零はあっけなく消えた。
 ベッドの赤黒い染みが零だったと気づくものはいない。
 
●ロウゴク
 そこは灰色の冷たい牢獄。
 頬にあたる石畳。寝床さえないのか。『悪夢レベル1』サンディ・カルタ(p3p000438)は起き上がろうとしてつんのめる。
 両手両足の枷は必要以上に強く締め付けている。
 看守が無言で自分を引きずっていく。痛い。
 看守は処刑の日だと言葉短くサンディに告げた。
 何を自分がしたのか見当もつかなかった。フィッツバルディの金庫を破っても青薔薇の庭を焼いてもこれほどの扱いをされることは無いだろう。
 サンディに告げられた罪状は「千鳥の香炉の強奪」。
 それはガラクタの山から拾ったものだったはずだ。捨てられてるものを拾ってどんな罪になるというのだ。
 サンディを断罪する彼らは視たことのない顔だ。
 鉄帝でも海洋でも、ましてや海洋でもない。
「一族郎党、釜茹でに処す」
 くだされた沙汰は随分とプリミティブにすぎるそれ。銃殺や断頭台とは違う、罪人を苦しめる事を目的とした処刑方法。
 それよりまて、この罪は俺だけのものだ。なぜ一族郎党罪に問われるんだ!!
 その問いに答えはない。
 最初にモルダーが煮えたぎる釜の中に突き落とされた。バチバチとはねる音が聞こえる。釜の中は油なのだろう。
 モルダーの断末魔の悲鳴。
 やめてくれ! そいつらは関係ない!! 止めてくれ!!
 叫んだら顔を思いっきり蹴られた。折れた奥歯が血の軌跡を描いて飛んでいく。
 次はカルディアの番。
 つま先からゆっくりと釜に入れられていく。末端から油揚げにされていく痛みにカルディアが叫ぶ。
 どうして、どうして、おまえのせいだ、おまえのせいで……!!
 憎しみの視線がサンディに刺さる。そもそも一族郎党といわれても彼らは一族ですら無いのに。
 お前らぶっ殺してやる! 拘束されてまるで芋虫のように蠢きながらサンディが魔力を放出しようとするが何らかの力で阻害される。
 抵抗はできない。
 ぶっ殺してやる。
 高みから見下ろす王を睨みつけるが眉一つ動かさない。憎しみがこみ上げてくる。
 殺してやる!
 今度は腹を蹴られてのたうち回った。
 躰が持ち上げられる。
 やめろ! やめろ! やめろ!!!
 躰を焚く油に怨嗟の声が悲鳴に変わる。

●マモルモノ 
  『不屈の』銀城 黒羽(p3p000505)はいつもどおり護衛の仕事につく。
  賊の襲撃は予測されていた。だから準備はしていたはずなのだ。なのに――。
  もろくも守りは突破される。予測されていた人数よりも敵の数が多い。的確に守りの薄い部分を狙ってきたそのやり口に、黒羽は舌打ちし、最も安全と思われる部屋に貴族の親子を押し込む。
  屋敷の一角から火の手が上がっているのがわかる。
  悲鳴が聞こえる。使用人のものだろう。
  仲間も守っていたはずなのになぜ?
  その理由は簡単だ。内通者がいたのだ。
  内通者の手引によりまずは仲間の一人が殺された。
  一人、一人と仲間が殺されていく。
  なのに黒羽は敵を攻撃することはない。
  やがて、部屋の前にまで賊は到達する。
  自分ができることは守ること唯一。
  そのために死ぬことなど大したことではない。
  意地は押し通す。それだけだ。
  部屋の前に仁王立ち。愚直なまでの男の足が弓矢に貫かれる。続いて左右から胴に槍がつきこまれる。的確に肋を避けたその一撃は両肺に達し、吐血する。
  しかし彼は動かない。
  守ることが挟持であるから。
  仲間はこない。すでに自分以外は全滅したのだろう。
  体中に矢が、剣が、槍が突き刺さる。
  それでも彼は動かない。
  意識が揺らぐ。彼は守りに殉じることになるだろう。それでも、気分は悪くなかった。
  命が失われても彼は背に守るもののため倒れない。
  遠くで増援の声が聞こえた。
  しかし――本当に彼が貴族の親子を守りきれたかどうかはわからない。
 
●シアワセナオトメ
  その日、『悪夢レベル1』ソフィラ=シェランテーレ(p3p000645)には予感があった。
  新しい生命の予感。
  それはとても喜ばしいもの。と、同時に彼女にとっては、死を表すものだ。
  露草の乙女は代替わりをする運命にある。
  同時期に露草の乙女が二人以上存在することはない。
  其れは自然の摂理。種が芽生え花が咲き、実を宿し朽ちるというルール。
  死ぬことは生まれることだ。残念ながら記憶を維持したまま生まれ変わるということではないのだけれど。当代の「私」は消えてなくなる。
  でもそれは新しい世代への約束。
  だから露草の乙女は笑顔で朽ちる。
  新しい運命の誕生を寿ぎ、幸せの中で生きることができたから。
 「いや……、嫌、そんなの嫌……」
 ソフィラから笑顔が消える。
 どうして、そんな約束しらない。最後の最後。なのにまだ死にたくないと思ってしまう。私はきっと露草の乙女失格なのだろう。
 新しく生まれるには自然のエネルギーが必要だ。
 私にはまだやりたいことがある。消えたくない、死にたくない。あがかなきゃ。
 森や川たくさんの植物があるところに生まれるはずだ。だったらそれを虱潰しになくしていけば、生まれ変わりはエネルギーをえることができない。
 そうすれば私は生きながらえる。そんな浅ましい考えを思い描いてしまう。
 闇の世界で自然を探す。手探りで、風の音で、草いきれの青い匂いで。
 指先の感覚が失われていく。まだ、まだ見つけれてないのに……!
 焦る。はやく、はやく。早く。
 思考がゆっくりと混濁してくる。もう足はうごかない。
 もう、間に合わない。
  ああ――。
  死にたく、ないわ。
  見えない瞳がらこぼれる一筋の露。
  それは幸せには程遠いものなのに。
    だけれども――。
  草花を踏みにじることができなかった自分にほっとしている。バカね、しんでしまうのに。
  
●夢の収集。苹果の毒。
 雪に閉ざされた寒村。
 家から一歩出ることすら困難な猛吹雪。薪も食料もあと僅か。
 なくなるより先に春がくることはないだろう。
 この光景を知っている。
 このあと、老人、大人、子供の順番に飢えと寒さに苦しんで死んでいくのだ。
 大人がなけなしの肉をスープにしてくれた。変わった味のその肉はとても美味しく躰の芯を温めていく。
 『悪夢レベル3』マルク・シリング(p3p001309) はこの先の未来を思う。生き残るのは自分をふくめ数人の子供たち。
 だけれども。今や残るのは自分ともうひとりの女の子だけ。
 こんなことになるまえに、商家のシリング家がノックと共に現れて助かるはずだった。
 なのにノックは鳴らない。
 マルクは冷静にこれは罰なのだと思った。サバイバーズギルト。それは青年の根幹になってしまった罪(くさび)。
 このまま助からなければ、僕はもう罪に問われることはないのだろうかと思う。
 なんと贅沢なことだろう。自分がこのように死ぬべきであるという状況で死ねるのだ。目をつむって寝たらもう終わる。そうすれば贖罪が果たせるのだ。
 さむいよ、くるしいよ、と隣の女の子がつぶやいて、はっと気づく。
 だめだ。せめて、あのノックがくるまでにこの子だけは守らないと。
 10歳のちいさな悴む手をもみほぐしながらまってて、と薪と食料を探しに行く。微かな灯火はいつ消えるかわからない。
 それでも。
 マルクは厨房に転がり込み食料を探す。そして気づいてしまった。罪深いあのスープの正体を――。
 吐き気がおさまらない。だけど。だけど。だけど。
 あのこだけは。あのこだけはせめて。吐き気を我慢しながら食料を探す。
 ふと、ノックが聞こえたような気がした。
 マルクは希望にみちたその福音を求め急ぎドアを開ける。吹き込んでくる寒気が身を切る。そこにはシリングの使いはおろか誰もいない。朽ちた木片が風にさらされドアを叩いていただけだった。
 絶望に膝が崩れる。でもそれで構わない。こうやって惨めに死ぬことが、僕にできる唯一の贖罪なのだからと思うから。
 
●ヒーロー
 心臓が怨嗟の矢に貫かれた。
 『悪夢レベル1』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630) は胸を抑えて倒れる。
 しかたないよね。と思った。
 彼女は誰も助けることはできなかった。
 もちろん努力はした。
 けれど、切り捨てたひともいる。手が届かなかったひともいる。当然だ。少女は万能ではない。手のひらだって大きくない。溢れるものはいくらだってある。
 その切り捨てたひとにだって大事な人はいたはずだ。
 私はヒーローをめざしていたのならそのすべてを救うべきだった。なのにできなかった。
 だから恨まれるのは当然のことだ。
 私を弾劾するのは当然の権利だ。
 まずは言葉で、それがだめなら暴力でもって。それでも足りないこともあった。
 助けれなかったことは事実で、それを突かれたら何の弁解もできない。
 だから、この矢に抗うことはできない。
 自らの非を撃ち抜いた正義の矢なのだ。
 こほり、と口から血が溢れる。
 私はこのまま誰からやられたのかわからない呪いの矢によって死んでしまうのだろう。ここでおわり。
 偽りのヒーロー、口先だけの英雄の終わり。
 みんなをまもる。
 そんな約束これっぽっちも守れなかったのだから。
 私は「兄さん」とは違う。兄さんは英雄だった。だけど私はただのひとだったのだ。
 諦めずに頑張った。諦めないことが取り柄だった。だけど。
 だけど。
 だめだった。
 だからしょうがないのだ。これが私の最初で最後の「諦め」
 これで楽になれる。なんて思ってしまった。
 私はいままでずっと「みんなをまもる」ことが重荷でしかなかったのだ。
 ごめんなさい。
 声にならない謝罪のことのは。
『いいのよ、赦してあげる。あなたはそれでいいの』
 すずのなるような声が聞こえた。ころころ、ころころ。
『諦めることで見えるものもあるのよ』
 ころころ。ころころ。
 血に塗れた手には錆びた銀色の苹果。
 だけど、だけど、意識は散漫に散っていく。
 
●───アタシは、ナニを……バカなことを
 タタタタッ!
 銃声の応酬。
 撃たれた肩口が痛むが、構ってなどいられない。彼を守るのが私の役目だ。
 襲撃は突然だった。気を緩めていたつもりはなかった。
 『龍眼潰し』ジェック(p3p004755) はこの光景は知っている。
 あのときの光景だ。
 だから――。
 今度こそは守り切る。そう思った。
 なのに。
 襲撃者は数人。こんなちょっと待てば肺の病気で死ぬような相手に大仰にもすぎるだろう。
 タタッ!
 反撃で敵の足を撃つ。
 まずは一人。追いかけられないようにすればいいだけだから多少は楽だ。
「走れル?」
 まずは移動だ。護衛対象に尋ねれば、気楽そうに彼は頷いた。
 ジェックは男と手をつなぎ走り出す。こンな骨ばっタテじゃなけれバ少しハ、ロマンチッくだったのかもネ。
 そんな感傷的なことを思いジェックは頭をふる。
 夢であったとしても――。
 もう一度出会えたのだから。だから、こんどこそは。夢だとわかっている。
 だから彼がここで生き残ったところで、現実は変わらない。それでも――。それでも。
 路地裏に走り込んだら、突然彼が咳き込む。
 しまっタ、と思ってももう遅い。無理をしていたのだ。
 其れさえ気づかなかったアタシは「■」失格だ。
 守らナイと……!
 庇おうとするその前に。
 凶弾が彼を穿つ。
 ああ。
 アァ、あア。
 倒れた彼の下、赤い血が広がっていく。
 アァ、あ、ア、今度こそ守りたかっタのニ。
 依頼なのに、ゴエイ対象なのに、……大事なヒトなのに。
 大丈夫と彼の口が動いた気がした。大丈夫なわけないのに。
 うなだれていたジェックは顔を上げる。敵はまだいる。
 ユルさない
 絶対、許さナイ
 一人でもオオく、道連れに………殺シテやる。
 ガジャン、と撃鉄をあげる。
 銃撃音が響く。
 あのひとの居ない世界。アタシを本当に「■」にしたいといってくれた唯一のひと。
 襲撃者はジェックの怒りをのせた銃弾にたおれていく。
 真っ赤にそまったその路地に立つのはジェックただ一人。
 デモ……あの人のイない世界で生きるクライなら
 いっそ、アタシもこの場でシんでしまおうか。
 タァン。
 銃声がひとつ。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました。
一歩夢の先に向かうことができたあなたに悪夢レベル+2しております。

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