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シナリオ詳細

狂気は幻想の内に孕む
狂気は幻想の内に孕む

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●狂気は幻想の内に孕む
 幻想楽団『シルク・ド・マントゥール』の公演は先日幕を閉じた。
 公演は素晴らしいもので、多くの観覧者が満足したそうだ。
 ――まあ、それはいい。
 
 最近、幻想では血生臭い事件が増えている。ただのゴロツキの喧嘩などではない。
 殴り合いの末、相手を刃物で刺してしまった。
 ――いやいや、その程度の話なら珍しくもない。
 
 ローレットに舞い込む依頼なのだから、余程『狂った』ものに違いない。

●耳狩りの男
「今回の依頼は、異常者の討伐なのです」
 確保の必要はなく、あくまで殺害が目的となる。ローレットの『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、繰り返しそう言った。
 ユリーカの話によると、首都メフ・メフィートで無差別に通行人の耳を削ぐ男が現れたらしい。しかも昼夜問わずとのことだ。
 犯人の男は刀という鋭利な刀剣の使い手で、すれ違う者の両耳を瞬く間に刎ねるのだ。
 剣の実力は相当なもので、既に何人かの衛兵も返り討ちにあっているとのことである。
 ローレットとしては出来れば犯罪者を確保したいが、その所業や目撃談から確保は不可能だと判断しての殺害依頼である。
「その指名手配の異常者は、一人も殺害はしていないのです」
 皮肉なことに人殺しとは呼べないそうだ。けれども、既に20人以上の『耳』が犠牲になっている異常事態――なのです。
 ユリーカは珍しく神妙な顔つきで説明を締めた。
 
●狂気は伝播する
「耳が欲しいのだ……」
 無数の耳を針で穿ち紐を通し、首飾りの様にぶら下げる男は小さく呟いた。
 着物に身を包み、太刀を腰に差す。身なりは剣客といったところではある。
 だが、熱病に犯されているかの如く、足取りはふらつき、焦点は定まらずに宙を彷徨う。男が向かう先は大通り。目的は言うまでもない。
 男のことは品行方正な剣術師範として知る者は多い。凶行を聞き及んだものからすれば、なぜ彼が、と誰もが驚きを禁じ得ないだろう。
 幻想で何かが起きているのは間違いない。
 あの日から『何か』の伝播が始まったというのか。

GMコメント

日高ロマンと申します。
宜しくお願い致します。

この度は耳狩り剣士のお話です。
何かに駆られて、おかしくなってしまいました。

●依頼達成条件
 ターゲットの殺害

●情報確度
 B(オープニングと、この補足情報に記されていない事が発生する可能性があります)

●ターゲット概要
 ・剣術の達人
 ・太刀、脇差を所有。徒手空拳で挑むには工夫が必要
 ・防具はなし
 ・何やら嬉しそうな表情

●その他補足
 ・舞台は夕方ですが街灯があるため照明には困りません
 ・ターゲットが出没する大通りの目星はついています
 ・ターゲットは敵対者を認識すると相手を殺すか自分が死ぬまで戦い続けます

  • 狂気は幻想の内に孕む完了
  • GM名日高ロマン(休止中)
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年04月13日 21時00分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
黄昏き蒼の底
ナーガ(p3p000225)
矛盾一体
オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)
木漏れ日妖精
ヴェノム・カーネイジ(p3p000285)
大悪食
ゲンリー(p3p001310)
鋼鉄の谷の
エスラ・イリエ(p3p002722)
牙付きの魔女
紫・陽花(p3p002749)
Hydrangea
フィーゼ・クロイツ(p3p004320)
黒曜魔弓の魔人

リプレイ

●遭遇
「あっちです。ぷんぷんに匂ってくるっす。血と腐った肉の匂いっす」
 『双色の血玉髄』ヴェノム・カーネイジ(p3p000285)は大通りに出るなり、驚異的な嗅覚で血と腐敗臭を即座に感じ取る。
 匂いの元凶は言うまでもない。
 一同はヴェノムに続き人混みを逆走する。
「例の耳狩りがここらをうろついてるのさ。悪い事は言わねぇから、暫く近づかねぇ方がいい」
 ――おっと、その可愛い耳はきちんと隠しとくんだぜ。
 『本心は水の底』十夜 縁(p3p000099)は幾多の町人とすれ違う中、可能な限り人払いを試みる。
「ほらほら、そちらのお客様方。今からここはちょっと危険になってしまいます」
 『木漏れ日妖精』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)も縁と共に避難誘導を試みる。
 言われて即座に退去する者もいれば、興味を持って話しかけてくる者もいる。
 何かあったのか。どうしたのかしら。あなた方は一体。
「どうぞ、ご自宅へお戻りくださいませ。紅茶で一息入れていただいている間に全て終わりますので。よろしくお願いいたします」
 オデットは丁寧に頭を下げると、大抵のものは去っていく。彼女の接客スキルのなせる技である。
「おお、耳が溢れている。これ、そこの……」
 世迷言を呟きながら、ふらりと大通りに姿を現す男がいた。例の耳狩り剣士である。
 
 ――きゃああっ!

 耳をつんざく悲鳴が一同の背後から聞こえた。振り返ると、太刀を手にした男が道行く女性に斬りかかろうとしていた。
「ほう。すんでのところで間に合ったな。ここは戦場になる。早く帰ぇりな」
 縁は狼狽える女性を素早く剣士から引き離す。
「こんばんは、件の人斬りは貴方かな?といっても、言葉が通じてるかは定かじゃないけどね……」
 『焼滅の魔人』フィーゼ・クロイツ(p3p004320)の言葉が聞こえないのか。耳狩り剣士は恍惚の表情を浮かべ辺りを見回している。
「こっちっすよ! 耳は全部僕のもの!」
 ヴェノムの言葉に耳狩り剣士の足はぴたりと止まり、目線は静かにヴェノムの方に向けられた。
 先ほどの恍惚の表情とは打って変わり、目は怒りの色に染まり敵意を露にしている。
 ――釣れたっす。ヴェノムはニヤリと口角を上げる。
「ならぬ! 拙者の耳は誰にも渡さぬぞ」
 怒りに燃える男はヴェノムに対し、瞬時に一刀一足の間合いまで詰め、そして見事な袈裟斬りを放つ。
 その一刀は三十年の修練の賜物。太刀の通り道にあるもの全てを両断する。
 ヴェノムは自らが囮になる想定であったため、強襲にも反応することができる。
 それでも触腕を犠牲にすることで間一髪難を逃れた。
 そして、ヴェノムはそのまま人払いが済んだ方へ少しずつ剣士を引き付けていく。
「ミミかりケンシさん! こっちこっち!」
 『アイのキューピット』ナーガ(p3p000225)はヴェノムの陽動を待ってましたと言わんばかりに動き出す。
 彼女は超重量のシャベル『慈愛の円匙』を大上段に構える。退路は不要。攻めることだけに意識を集中する。
「それじゃあ――」
 ナーガは素早く間合いを詰め、至近距離から乱打を見舞っていく。
 彼女のアイのこもった一撃は確実に耳狩り剣士の頭部に直撃したが動じる様子はない。
「さて、剣士よ。この儂から耳を奪えるか? やってみるがよいわ!」
 『鋼鉄の谷の』ゲンリー(p3p001310)も戦線に躍り出る。そして戦斧で豪快に薙ぎ払う。
 致命傷になるほどの深い傷にはならなかったが、確実に皮は裂け傷は肉まで達している。それでも剣士は負った傷を見ることもなく、微塵も動じる様子はない。
「耳切りだったかしら……ウォーカーの書物で読んだことがあるけれど」
 『牙付きの魔女』エスラ・イリエ(p3p002722)は魔術書を手に魔力を高め続ける。
「いつもこんな風に隠してる耳だけど、それでもあなたなんかにはあげないわ。もちろん、仲間の耳だって!」
 エスラは右手から魔力を放出しようとしたその時、予想外の展開が起きた。
「お主! なぜ隠すのだ。見せてみよ」
 耳狩り剣士はエスラに太刀を突きつけそう言った。
「えっ、私?」
 エスラは呆気にとられる。
「耳を見せよ!」
 耳狩り剣士は標的をエスラに変え素早く間合いを詰めてくる。
 エスラは中距離を維持していたが、敵の接近に合わせて移動をせざるを得なく、攻撃は一時断念した。
「ねぇ、アナタはサーカスを見に行ったのかな?」
 隊列を乱される中、『Hydrangea』紫・陽花(p3p002749)は不意に剣士に尋ねた。しかし、答えはない。
 ――どうにも気になるんだ。聞いてみたかったんだけど。仕方ない。
 陽花は魔力を弾倉に込め魔弾で足を狙い撃つ。
 陽花の撃った銃弾はふくらはぎと太ももを貫通した。僅かに膝が落ちたが、すぐに何事も無かったかのように走り出す。
「あれは、痛覚がないんだ。ボクと同じだ」
 陽花は髪の色を白に変化させ呟いた。

●耳
「あれは。もしかして義耳なんじゃないかな?」
 交戦の最中、陽花は剣士の耳に違和感を覚えた。
「え……確かにそうかも」
 オデットもそれを認識する。
 ――剣士は何らかの理由で耳を失い、それがコンプレックスとなり、形の良い耳の持ち主を探して襲っていたのではないか。
 イレギュラーズの誰かが言った。
 しかし、集めた耳でなぜ首飾りを作る必要がある? それは何を意味するのか。
 なにより、品行方正な人間が、なぜこのような凶行に走るに至ったのか。
 説明がつかないことが多すぎる。
「お主! 今、耳を隠したな……その所業、許すまじ!」
「ううっ……なんか睨まれてる……」
 オデットは熱烈な視線を受け思わずたじろいだ。
「貴様! そこを通せ!」
 耳狩り剣士は、オデットを守るように立ちはだかるヴェノムに対して声を荒らげる。
「お主、先ほど切り捨てた部位が生えているのか。面妖な」
 剣士は訝し気にヴェノムの触腕を見つめる。
「まだまだ生えてくるっすよ。だから、まだまだ続けられるっすよ」
 ――その技をもっともっと見せてほしい。ヴェノムは引き続き陣形の軸となり、剣士の攻撃を引き付ける。
「弱っちい私は矢面に立って戦うことは出来ないけれど……攻撃は任せたよっていってもらえたのは嬉しかったわ」
 ヴェノムが引き付けている間、エスラは再び精神を統一し魔力を高める。
 そう、ここから先は魔女になることを選んだ私だからこそ出来ることなの。期待には相応の成果を……。
「それが冒険者よね!」
 エスラはその日、最も強大な魔力を放出した。剣士の体が光芒に飲み込まれる。
 それで勝敗は決した。誰もがそう思ったが――。
 剣士はすう、と起き上がり再び太刀を正眼の位置で構えなおした。
「不死身なの……だとしても」
 エスラは再び精神を集中して魔力を高める。だったら、起き上がれなくなるまで放つだけ。成果には必ず繋げて見せる。
 次に動いたのは耳狩り剣士であった。ヴェノムが引き付けていたが、隙を見てナーガに標的を切り替える。
「お主、中々の面構えだ。体躯も見事である。よければ、耳を見せてはくれんか」
 耳狩り剣士の視線はナーガにくぎ付けになる。
 そして、瞬時に間合いを詰め、ナーガの胸を一文字に切り裂いた。
「ナーちゃんのこと、ほめてくれてありがとう! お礼にアイしてあげるよ。えへ、おめでとう――」
 もうすぐシねるんだよ。うらやましい――ナーガは斬られた傷を庇うことなく、慈愛の円匙を大上段に構えたまま、再び肉薄して乱打を見舞う。
 耳狩り剣士は素早く脇差を抜き、二刀でナーガの苛烈な攻めを耐え忍ぶ。
 続くフィーゼは疾風の如く間合いを詰め追い打ちをかけるも、剣士は驚異的な反射神経で深手は回避した。皮一枚といったところ。
「すぐに癒すわ!」
「ボクも支援するよ」
 オデットと陽花は素早くナーガの傷を癒す。二人の献身でナーガは難を逃れたが、常人であれば立っていられないほどの深手であった。
「お主、中々の腕じゃの。狂気に侵された状況でさえなければ、手合わせ願いたいところではあったがの――」
 ――儂の信念とお主の狂気。どちらが誠か、試してみるかの。ゲンリーは剣士の懐に深く踏み込み強烈な袈裟斬りを放つ。
 命中したものの、深手には至らず間合いを取られる。
 だが、先ほどから剣士の体には斬撃を刻み続けている。出血量は相当なものだ。着物はまるで朱色の染料で染めたようだ。
「まだ続けるっすか。別にいいっすよ」
 ――君は思う様、僕を殺せ。僕は思う様、君を殺す。ヴェノムは再生した触腕を不敵に揺らし恍惚と憤怒の表情を代わる代わる浮かべる異常者と対峙する。
「……」
 縁は、剣士が時々首飾りを気にかけていることに気が付いていた。
 ――何かの願掛けか、それともエスラが言っていた耳塚……だったか。やってみる価値はあるかもしれんな。

●染料は朱色
「なんで倒れないのよ!」
 オデットは必死に仲間の治療にあたる。彼女と陽花のケアのお陰でここまでに倒れたものは誰もいない。
 耳狩り剣士は幾度となく斬られ、打たれても倒れることはない。初撃と変わらない太刀筋で黙々と切り込んでくるばかりだ。
「ちっ。奴さん、獲物の射程と反応速度は中々だな」
 縁は引き続き隙をうかがっていた。『あれ』を奪えば異常な耐性を解除し素面に戻せるかもしれないのだ。
 ――今だ。
 縁は、フィーゼと耳狩り剣士の鍔迫り合いの後の一瞬の隙を突き肉薄した。
 ――善も悪も、嘘も真も。全て深く沈めちまえば、同じ事だ。
 体術で攻める素振りはフェイントである。至近距離から隠し刀で剣士が蒐集した努力の結晶を華麗に掠め取る。
「おおおおっっ! 何をするのだ……!」
 耳狩り剣士が初めて見せたその表情。子供の様に感情をさらけ出し、今にも泣きだしそうであった。剣士ははじめて正眼の構えを解いた。
「貴方がどういう理由で耳を集めてるかは知らないけど――」
 私が再び力を取り戻す為にその糧となってもらうよ。フィーゼは手にした大剣で狼狽える剣士の右腕を深々と切り裂いた。
 筋は断った。もはや物理的に剣は振えない。
「これで決めるわ!」
 エスラは畳みかけるように、後方から特大の魔力を撃ち出した。耳狩り剣士は再び光芒に飲み込まれる。
 剣士は片膝を突き、苦悶の表情を浮かべていた。流石に満身創痍であった。
 ――仕舞じゃの。
「この一撃を振う時は、こう叫ぶらしいの……チェストォォォォッ!」
 ゲンリーは最後の一撃で狂気にかられた男の命脈を断つ。
 耳狩り剣士は、動く方の手で咄嗟に脇差を構えて身を守るも、獲物ごと首を刎ね飛ばされた。
 あの傷では助かるまい。程なくして死に至るであろう。ならばせめて介錯を。
 ゲンリーはかつて侍だった者の尊厳だけは守ろうとしたのかもしれない。
「おめでとう。いってらっしゃい」
 ナーガは転がる首に向けて静かに呟いた。それは純粋に、彼女にとっての祝福の言葉である。
 戦いの幕は下りた。
「しかし、こいつは。呪いの一種なのかねぇ」
 縁は紫煙をくゆらせながら、耳の首飾りを訝しげに眺めた。内心、あまり触りたくはなかった代物ではある。
「ううっ……見たくない……」
 オデットは目を背ける。
「集めた耳の数は自分の強さを表すって説を、書物で読んだことがあるわ」
 エスラは首飾りをまじまじと見つめ、軽く指で突いて見せた。流石は魔道の探究者である。この手のものには物怖じしない。
「ケッキョク、じぶんのミミがカンケイしていたのかな」
 もー、シュッパツしちゃったから、ワからないけど。ナーガは最後にそう付け加えた。
「何にせよ、耳とはいえ供養しておくか」
 縁の言葉通り、一同で火にくべた。

●幻想の向かう先は
 狂気にかられたの男の躯は収容され、大通りには少しずつ人が戻り始めていた。
「しかし、相手はたった一人の割に手こずったっすね。触腕は無限じゃないので少し焦ったっす」
 ヴェノムは胸を撫でおろし、大きく息を吐いた。
 ――ああ、脇差が。彼女は折れた脇差を見つめて落胆する。
 よさげなものなら記念にもらって帰りたかったが。血まみれの上に刀身は折れて長さが半分になっていた。
 フィーゼは一人、自分の右手を見つめ、軽く拳を握る。
 ――感触はあった。確実に力は戻ってきている。この調子だ。
 戦って、戦って、勝ち続けるのみ。彼女は本来の力を取り戻すために次の戦場に思い馳せる。
「ねぇ、皆はサーカス……見に行った?」
 浮かない顔の陽花は、恐る恐る話を切り出した。髪の色は薄い紫色だ。
 サーカスを見た者。見ていない者。様々ではあった。
 幻想で何が起きているんだろう。もし『伝播』する何かがあるのならば。
 もしかして、『呼び声』なるものが関与しているのか。
 それは、恐怖心やコンプレックスといった自分の向き合いたくない内面に対して何らかの作用をするのか。
 それが、結果として異常な収集癖を呼び起こしたのか。
 分からない、情報が少なすぎる。
 陽花はそれは口にせず、胸の奥に仕舞い込み、灰色の空を見上げた。

 不穏な空気は不祥の芽を生み、不吉の先触れとなる。
 そして不幸が訪れた後には、絶望だけが残る。

 ――幻想で大変なことが起きそうだって?
 大丈夫。そこまで悲観的になる必要はない。
 なぜなら、幻想の誇るギルド・ローレットがなんとかしてくれる――はずだが。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様です。負傷者ゼロで成功となりました。

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