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シナリオ詳細

バーニングしいたけ ~わさび醤油をそえて~

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●七輪の上でひっくりかえしたしいたけをチリチリやいてる風景を想像しつつひとかけのバターと醤油をひだ部分にたらすともう、もうね、ピャー!
「ピャーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
 出亀炉 スイカ(p3n000098)ちゃんが発狂した。
 誰だっておなかすく時間にメシテロされたらこうなる。
「ちっくしょー! 今ってバーニングしいたけの旬じゃん! フツーのしいたけと季節が逆だから忘れてたァァァアッシャーッ!!」
 抱えた頭をその辺の柱にぶつけるスイカちゃん。
 すっげえ今更だけどここは深緑ファルカウ内にあるローレット拠点。木造の優しい香りのするカフェスペースである。
 さっきから寡黙なじーちゃんが小さいコーヒーミルをくるくるやってシャレオツな雰囲気だしてるのにスイカちゃんときたら柱におでこガンガンやって『しいたけー!』て叫んでるのでだいなしである。
「今日ほかの依頼はいってんだよーなんでアタイってやつぁ見たそばから受けちゃうかねー! ピェー! あっでも昼間じゃんこれブッキングぎみだけどギリッギリ両方いけそうじゃね場所も近いしやっべアタイ天才!」
 受けてくるぜー! ていいながらある依頼書をボードからべりっとやって、スイカちゃんは走って行った。

 で、これが何の依頼書なのかって話をしなきゃなんねえべナ?
 ファルカウ内で発行されたローレット宛の依頼で、内容は『バーニングしいたけの討伐と採取』。
 階層都市のなかにひっそり存在する地域ブラタ森。ファルカウ民も近づかないという深い森の中にヤツはいるのだ。
 もう巨大樹のなかに森があるっていうウチュウっぽい有様だけどファルカウにはよくあることだと寡黙なカフェじーちゃんは語る。
 話をもどしてバーニングしいたけはそのブラタ森のなかをぴょっぴょこ歩き回っているので、そこそこソレナリの探索能力があれば見つけることは容易だろう。
 つっても一人で探索しまくるのはよほど腕に自信のある人向けのプランであって、ふつうは2~3人でチームを組んで『驚かせて追いかける係』と『先回りしておいて倒す係』と『バター醤油やめんつゆを用意してしいたけが熱々なうちにいい感じに調理してみんなに喰わす係』に分かれるのだ。
 うんそうだね露骨にその場で喰ってるね。
 名前からして分かるとおりこの時期のバーニングしいたけは求愛行動の一種として自らいきなり炎上して踊り出すという特性があるのだ。
 オスメスとかないよきのこだもん。みんな燃えるよ。
 しかしやっぱきのこなのでしばらく燃えてるとそのままボッて炭になるので、そうなるまえに倒さないと行けない。
 わざわざ『倒さないと行けない』と表現したのは水かけようがフーフーしようが自発的にふいてる炎だから消えないからなのだ。倒して消そう。それが一番。
 討伐というか採取必要数はそんなに多くないから、いいぐあいにとりつつ良い具合に食べるのがベスト。
「よっしゃみんな! 醤油はもったかー! 待ってろしいたけ今行――ぐべら!?」
 スイカちゃんは依頼書片手にカフェの柱におでこから激突。
 そのままウキュウといって目を回して倒れたのだった。

GMコメント

■オーダー
 バーニングしいたけの採取

 あえて何個採取とか書きません。プレの無駄だからな!
 ほどほどとってほどほど喰おう!
 OPで大体説明されてる通りこの依頼は三つのステップで構成される

・しいたけみつける
・しいたけおどろかす
・しいたけたおす
・しいたけくう

 アレッ、四つある!


 尚、スイカちゃんはウキュウって目ぇまわしてるので依頼には参加していません。
「お土産話とお土産しいたけ、まってるぜ!」

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

  • バーニングしいたけ ~わさび醤油をそえて~完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2020年06月10日 22時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
アルメリア・イーグルトン(p3p006810)
緑雷の魔女
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
エリス(p3p007830)
呪い師
ソニア・ウェスタ(p3p008193)
いつかの歌声
胡桃・ツァンフオ(p3p008299)
ファイアフォックス
ヴィーカ(p3p008496)
癒天使ヴィクトリカ

リプレイ

●ファルカウの中心でスイカを叫んだけもの
「す――スイカちゃーーーーーーーーん!」
 スイカちゃんを抱え、膝をついて天に吠える『繋ぐ命』フラン・ヴィラネル(p3p006816)。
 後ろ手流れ始めるなんかの歌。
「かたきは……敵は、とるからね!」
 力なくスヤスヤ眠るチャンスイを抱きしめ、キッとどっかをにらむフラン。
 そのうしろで『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)がばんざいをした。
「わーい、しいたけしいたけ~」
「しいたけしいたけ~!」
 スイカちゃんから手を離してばんざいするフラン。
「普通のしいたけも秋の味覚! って感じで美味しいけど、バーニングしいたけもこれが中々に美味しいのよね」
「わ~か~る~~~~~~~~」
 マイ醤油持ってきたの~とか言ってウキウキ100%でスキップしていくフランと胡桃。
 頭うって気絶してるスイカちゃんからそっと目をそらし、『欲深き聖女』ヴィーカ(p3p008496)はなんか色っぽく咥えたばこに火をつけた。
「求愛に燃える、ねえ……文字にすりゃ綺麗なモンだけど、そのまんま燃え尽きるって何だこいつら。
 森の植物を巻き添えにしかねねーし、ちょっとした害獣だな、しっかり駆除しとかねえと」
「本当ですね……」
 『勇気は勝利のために』ソニア・ウェスタ(p3p008193)は外した眼鏡を白い布できゅっきゅと拭き掃除しながら、重要なんだかその逆なんだかわかんないテンションで眼鏡をかけ直した。
「求愛行動の一環として、炎上して踊り出す……。
 しかし、長時間燃えていると炭になってしまう……。
 燃えるような恋とは言いますが、本当に恋をしたら燃えてしまう、というのはどこか物悲しくもありますね……」
「いや、そこまでは言ってねえけど」
「ぶははははっ! まあ心配すんな!」
 『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)が用意した料理道具をソニアたちにどかどかと受け渡していった。
 元々大柄でパワフルなゴリョウが持ち歩いていただけあってえげつない重さだが、ヴィーカとソニア二人がかりで運べばなんとならんこともない。そんな分量である。
 最後にエプロンと調味料を借りて準備OK。
 身軽になったゴリョウはくいくいと準備体操をはじめた。
「バーニングしいたけの炎が延焼する類いのモンなら、毎年森は真っ黒焦げだぜ。炎の精霊みてーなもんで、延焼しねえようにできてんだろ。
 毎度ながら色んな生態系があるもんだ。世界は広いねぇ!」
 なるほどそういう考えもあるのね……って納得しかけた『緑雷の魔女』アルメリア・イーグルトン(p3p006810)がそもそもしいたけ自身が焼け死んでいることに気づいて矛盾とカオスに首を振った。
「ファルカウの中に森の中があるのは有名だし驚かないわ。
 けどどういうことなのよこのしいたけ! ただでさえ炎が忌避されがちな深緑のなかでよく絶滅せずにいられたわね!
 あとさっきから白目をむいてるスイカは大丈夫なの!? 毎回ああして頭打ってるけどスイカの頭のスイカは大丈――んふっ」
 思わず自分の発言に笑いそうになって口を塞ぐアルメリア。
 『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)はその様子をあえてスルーすると、腕組みをしてお箸(持参)をカチカチって鳴らした。
「何にせよ。焼き椎茸食い放題とくれば、黙ってはおれぬな!」
「ですね!」
 ナイフとフォークを両手に持ってガッツポーズをする『呪い師』エリス(p3p007830)。
「バーニングしいたけ、どんな味か気になります!
 どんな料理になるんでしょうか? ステーキ? ソテー? 煮物? 楽しみです!」
「天ぷらもあるぞ」
「楽しみです!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 今からしいたけレストランにいくかのごときテンションだが、あえてもう一度述べておこう。
 これはバーニングしいたけ卸し業者がローレットに依頼した収穫代行依頼である。今から彼らは森にすまう発情期のバーニングしいたけを見つけ出し追い回し、なんかこううまいことガッてやって一部つまみ食いするのだ!
 ……つまみ食いするのだ!!!!!

●飯テロから入る暴挙
 お米の炊き上がったにおい。
 ふつふつと音をたてていたたき火の上の飯ごうがついにふっくらとした白米を作り上げ、ためしに二本指にのる程度の量をはむっと口に入れてみるソニア。
 米。
 特に日本の食卓に並ぶタイプの白米ってやつはなんでこう心を落ち着ける味をしているのだろうか。
 つぶのたったきりっとした、それ単体では若干かための白米はしかし焼いたシイタケと醤油をのせたり、天ぷらシイタケをのせたりするためにあえてそう作られたもの。
 ソニアは皆の喜ぶ顔を見たいが為に、天ぷら用の粉と氷水を並べほくほく顔で支度を進めた。
 まず作るのは天ぷら用のタレである。
 醤油、本みりん、だし汁を等量フライパンの上でかき混ぜながら熱しひとさじずつの塩と砂糖を咥えつつ良い具合にふつふつ泡だったら煽るようにフライパンを傾け火を内側へと誘導し、みりんのアルコールに点火した炎がボッと高く一瞬だけ燃え上がったら完成だ。ご家庭でもできてちょっとスッキリするのでお勧めの天丼ダレである。
「そうだ、紅茶も用意してきたんです。帰ってきたときに淹れたてが飲めるようにポットを温めておかなくちゃ……」
 新妻もかくやといううきうきとみせるソニアの横で、ヴィーカは『これどうすっかな』という顔で鍋やら何やらの調理器具をにらんでいた。
 伊達に聖女と呼ばれた(過去形)わけではない。質素な修道院生活では料理はもとより家事全般は仕込まれたもの。寝ながらでもクッキーを焼ける自身がある。
 だが。
「酒のみてえ……」
 現在それを上回るレベルでヴィーカはどうかしちゃっていた。
「って、いけねえいけねえ。初仕事が酒かっくらって寝過ごしたなんてことになったらシャレにならねえ。ここはマジにやっか!」
 あぐらをかいていた足をパチンと叩くと、とりあえず景気づけに指切り一杯分の酒をかっくらってから立ち上がる。
「しいたけ、しいたけ……しいたけと言えばマヨネーズ。ビールにベストマッチ」
 修道院時代のエピソードどこいった。
「あと炒めてオリーブオイルぶっかけたら大体の酒に合うな。でけえやつはかさんとこに挽肉つめてチーズぶっかけりゃ悪魔の食いもんになるぜ! ハッハー!」
 天才! とかいいながら酒を瓶でいくヴィーカ。
 抑圧とはかくも恐ろしきものか。
「っかー、早く帰ってこねえかなあ……しいたけ!」

●しいたけさがし
「バーニングしいたけは燃え上がってるんだよな。ってこたあ、熱気が上までのぼってるもんだろ」
 木に登り、目を細め、手のひらを額にかざして日よけにしながらぐるりと見回すゴリョウ。
 彼の思ったとおり、空に向けて熱気がほっそおい柱のようにあがっている様が彼の温度視覚にはうつっていた。
 悩ましいのはその数がえっらい多いということである。
「あの細さからしてそう周囲にゃ熱気をばらまいてねえな……? となると近づいてからは別の方法で探るっきゃなさそうだぜ」
「ねー! なにかみつかったー!?」
 木の下で手を振るフラン。
 おうよといって飛び降りたゴリョウは、さっき見た熱源の量とざっくりとした位置を話して聞かせた。
「そっか。じゃあちょっと精霊さんと森そのものに聞いてみるね」
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァアアア゛ア゛ア゛!!!!』
「精霊さん精霊さ――」
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァアアア゛ア゛ア゛!!!!』
「バーニングしいた――」
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァアアア゛ア゛ア゛!!!!』
「どこにいったら見つ――」
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァアアア゛ア゛ア゛!!!!』
「うるっさ!」
 チャットアプリでブロックするかのように指をシャッて左にスワイプするフラン。
「なんか森の様子もあついとうるさいっていう情報しか伝わってこないし……よっし、ここはエリスさんから預かったファミリアーにも意見を聞いてみよう!」
 胸のポッケにいれていた小動物がにゅっと顔を出す。
 説明しよう。ピグミーマーモセットとは指先にしがみつけるくらいちっちぇえお猿さんである。
「オオオオア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
「エリスさんエリスさん聞こ――」
「オオオオア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
「いまそっちはどんな――」
「オオオオア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
「こっちはしいたけを――」
「オオオオア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
「うるっさ!」
 左スワイプするとシュッてポッケにもっかい収まるマーモ。
「わたしたちの目的はバーニングしいたけで優勝すること」
 胡桃は手のひらからぼうっと燃え上がらせた蒼い炎を器用に変形させ、小さな狐の形へと整えた。
 炎の精霊がつったてるだけで森は焼けないというのは精霊界隈でのジョーシキ。けれど炎をそのまま生命体として使役できるのはそう、胡桃だけ。(古いスマホCM風に)
 手のひらに載せた炎狐と一緒に顎を上げ、くんくんと鼻をならす。
「生のしいたけでは、あの干ししいたけの独特の香りがしないのだけど、実はあれは加熱で水分が飛ぶことによって生成されるの。
 レンチオニンなの。つまり、バーニングしいたけは炎上している時はレンチオニンが生成されていると考えるのが自然なの」
「なんと」
「そうなのか」
 勉強になるーといって頷くフランとゴリョウ。
 胡桃は閉じていた目を開いた。
「知らぬけど」
「知らねえのか!」
「知らぬけども」
 ビッと子狐と一緒に振り返る胡桃。
 そこに現れたのは三匹(?)のバーニングシイタケであった。
 燃え上がる彼らが出会い見つめ合いよっしゃいまからしいたけ増やすぜってタイミングだったのかもしれない。
 が、個々であったが百年目。百年目じゃないけど。
「逃げねぇと食っちまうぞ! 逃げても食っちまうけどな!」
「がおー! たーべちゃーうぞー!」
 オークと森ゴリラが同時に飛びかかり、しいたけは三方向にわかれてビャッと逃げ始めた。
「逃がさねえ! こっちを追うぜ!」
 ゴリョウは鎧から謎のジェット噴射で加速。
 一方のフランも両手をあのがおーって感じの手にして一匹を追いかけ始めた。
「コャー……ハッ!」
 残った一匹と胡桃の目(?)があう。
「生物としての『冷やしたぬき』はそなたよりわたしの方が上なの。おとなしく食べられるのよ~」
 両手からボッて炎を出し、飛びかかるきつねさん。
 慌てて飛び退いたしいたけが逃げ出すが、胡桃は大地を殴る要領でスタートダッシュをかけて追い始めた。
「……冷やしたぬき?」
 そして遅れてやってくる違和感。そう正しくはヒエラルキー。

 森のしげみでしいたけを待ち身を潜める。
 町中で急に叫んだら頭か心のどっちかを疑われるそんなワードを体現している汰磨羈。
「要は追い込み漁。待ち伏せに相応しい場所を探さねば……ここなどどうだ」
 汰磨羈はすげー真剣な顔で木のうろにキュッておさまって体育座りした。
「……何か違うな」
 とは思いつつも、とりあえずそのままなじむのを待ってみる。
「いやしかし。雌雄も無いのに燃え尽きる程の求愛行動を行うとか……どんな生態をしているんだ? 焼く手間が省けるのは良い事だが……むっ」
 ぴこんと動く両耳。
「なんだか香ばしい匂いがしてきたぞ、例えるなら七輪の上ででっかいシイタケを焼いているよう……な!?」
 まさしくそのもの、というかバーニングしいたけをショットガン片手に追い回すオークという光景が目に入ってきた。
 と同時に脳裏にうかぶ『かもねぎ』という単語。
「いやいやいや――仕事だ、斬撃結界――『無限椎茸』!」
 厄狩闘流新派『椎茸圏』がひとつ。椎茸の笠が如き旨味を壺下から放ちその旨味で捕獲した茸を睡蓮状の生地で囲む。直後、釜上の竹籠を蒸籠として練炭を燃焼させ、八方から蒸し焼く料理。是即ち、食卓送りの椎茸也。
 スキルフレーバーをコピペしました。うそです。椎茸シューマイのレシピです。
「茸刈り取ったりーーーーー!!」

「リスさんリスさん、椎茸って食べたことある?」
 アルメリアが森でうつ伏せに寝転んでリスさんにどんぐりあげながら戯れていた。両足をこう交互にぱったんぱったんしつつあの親譲りなおむねをクッションにしたこういうピンはどこにいったら買えますか。


「……っと、そろそろ時間ね。椎茸も近づいてる頃だろうし」
 そこまでつぶやいて、ハッと何かに気づいて顔をあげた。同時に振り返るリスとアルメリア。
「森が呼んでる……」
「ふぁいあすと~~~~む」
 両手でファイヤーダンス的な動きをしながら走ってくる胡桃と、頭から火を放ちながら走ってくるしいたけ。
 霊樹原理主義の深緑民がみたら泡吹いて気絶するような光景だがこちとら伊達に深緑の深淵をみてねえぜって具合にアルメリアは腕まくりと共に立ち上がった。頭上でファイティングポーズとるリス。
「左右に動いて狙いがつけづらい……炎の魔法なら一発なのに……けど深緑民として森に火を放つのはチョット抵抗が……ハッ!」
 限界まで緊張したアルメリアの脳裏に突如電流のようにある記憶がよみがえった。
 それはかつて母がくれた言葉。
 『森でもパンを焼きたい? 逆に考えるのよ……焼いちゃってもいいさ』
「マジックIHクッキングヒート!」
 急に思い出した必殺の電撃魔法によりバーニングしいたけをピンポイントにジュッてした。

 そしてこちらはエリス。
「フランさん……ちゃんとこちらの情報は伝わったでしょうか。なんだか使役した小猿さんはずっと絶叫していた気がするけど……」
「オオオオア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
「そうちょうどあんなふう――」
「オオオオア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
 頭上にマーモセットをのっけたフランが絶叫しながらバーニングしいたけを追いかけてくる光景が目に入った。
「え、あ、あ、あ――フォーレ・カース!」
 急なことでびっくりしたエリスはしかし素早く弓を構え素早く矢を発射。
 自らの魔力をこめた矢が風をきって飛びしいたけへと直撃。
 しいたけはばったんと倒れて動かなくなった。
 誰だってよその視界をジャックしてる最中自分に向かって突っ込んでいく光景を見たら驚く。いやそういう経験ないとはおもうけど。
「ふう、ふう……な、なんとかなりましたね」
「オオオオア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
「フランさんもおつかれさ――」
「オオオオア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
「フランさん!?」
「オオ――はっ! あたしは一体!?」
 うっかり野生に目覚めかけていたフランはぷるぷると首を振った。

●しいたけをくえ!
 さて、とれたての椎茸をじゃきじゃきスライスして焼いたり蒸したり揚げたりする時間がやってきたぞ。
 ソニアは充分に準備した鰹だしのお吸い物や天ぷらやなんかを振る舞い、この素朴でちょっとほっこりする味わいにゴリョウは我が米ながらちょっと感動していた。
 素材の産地や調理法までこだわり抜いた料理人が、居酒屋でしれっと出てくる『引き算の料理』にうっかり感動しちゃうアレに似ていた。
「たまには人様の調理を見るのも、作ったメシを食うのも良いもんだ。良い勉強になるしな!」
「プロに言われるとちょっと照れますね……」
「うまい!!!!」
「酒も飲め酒ェ!」
 一方で汰磨羈とヴィーカは完全に居酒屋のテンションになっていた。
 茸野菜炒めとか茸を細くして揚げたあの無限にカリカリ食えるやつとかで宴会をひらいている。
「バーニングしいたけって通常の茸より栄養が濃いし歯ごたえもあるから美味しいのよね……まさかこんな生体だとは知らなかったけど」
「旬の食べ物って、案外どうやってとってるかわかってないとこあるよね」
 アルメリアとフランがおはしで茸蒸しをつまつましながら休日マックJKみたいな会話をしていた。
「コャー、旨、旨……」
「うま、うま……」
 エリスや胡桃もしいたけに夢中。うっかり全部食っちゃいそうになったが残りは納品物。我慢しつつも……。
「これ、もっと取ってきたら食べられるのよね」
「たしかに……」
 ハッと気づき、エリスとマーモセットは思わず立ち上がった。
「……いきますか!」
「いくのよ!」
 俺たちの茸狩りは、まだはじまったばかりだ!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 おなかがすきましたね!

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