PandoraPartyProject

シナリオ詳細

全てのみこむ沼の怪

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 幻想は基本的に貴族の国であり、ある程度国内は貴族達が領地としてそのほとんどを管轄化においており、未知の場所は他国に比べれば少ない。
 その為、何か異変が起これば、逐一貴族達の耳に届く状況となっている。
 今回もそうして発覚した事件の解決をと、ローレットに依頼が入ってきた。
「依頼は、幻想三大貴族アーベントロート侯爵家のご令嬢、名代でもあるリーゼロッテ・アーベントロートさんからお預かりしております」
 ローレットへと話を聞きにやってきたイレギュラーズ達を前に、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)は真顔で話を続ける。
「すでに犠牲者も出てはいますが、放置していると被害が大きくなりそうな事案なのだそうです」
 イレギュラーズ達が事件の説明をと促すと、アクアベルは一息ついてから話を続ける。

 現場は、幻想アーベントロート領某所。
 とある場所にある沼地は底なし沼として知られるが、沼に生息する魚や生物もおり、地元民からすればちょっとした釣りスポットとなっていた。
 その沼に、いつからか小さなカエルが住み着き始めた。
 住民達も別段不思議には思わず、カエルだって食用になることもあり、それを捕まえる者もいたようだ。
 別段その地点では、リーゼロッテにも報告は上がらず、近隣住民もそうなんだと認識した程度のものだった。
「ところが、ある日、領民が沼に飲み込まれる事件が起こったのだそうです」
 住民達も場合によっては沼に入り、生物を捕獲していたので、ある程度深い場所は把握していた。
 しかし、領民は沼に引きずり込まれ、結局帰ってこなかったという。
 この事件をきっかけとして、住民達は危険を察してこの沼に近づかなくなったそうだ。
 それがここ2、3ヵ月の話。リーゼロッテに報告が上がってきたのはこの頃だ。
「現場へと騎士団へと視察にやったところ、すでにそこには見上げるほどの大きさをしたカエルが2体いたそうなのです」
 全長は5~6mといったところで、粘液弾を飛ばして相手の動きを鈍らせてから飛び掛かるか、長い舌で捕らえてから飲みこもうとしてくるようだ。
 合わせて、沼からは毒ガスが噴き出していたのも確認され、リーゼロッテはこの沼を一般人立入禁止とした。

「さすがに、この魔物は目に余ると、リーゼロッテさんも判断したようですね」
 リーゼロッテの話によれば、この巨大カエルに騎士団も歯が立たなかった様子。
 だからこそ、ローレットへと直に依頼を持ちかけてきたのだろうが……。
 現状行うべきは、巨大ガエル2体の討伐だけで十分だ。
「沼から毒ガスが噴き出ているという状況もあります。ただ、このカエルには一切毒素がないのが気になる点ですね」
 となれば、もしかしたらまた別の魔物が絡んでいる可能性もあるとのこと。
 そちらは騎士団でも調べられる為、何かあった場合は追って依頼を出すのだそうだ。
「まずはこのカエルの討伐を。検討を祈っています」
 最後にそうイレギュラーズ達へと告げ、アクアベルは丁寧に頭を下げたのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。

●目的
 巨大ガエル2体の撃破

●概要
 幻想某所の沼地に全てを飲みこむ巨大ガエルが生息しておりますので、討伐を願います。

●敵……巨大ガエル×2体
 全長5~6mある体表が緑色のカエルです。
 魔素の影響か、巨大化かつ怪物化し、目についた生物を片っ端から飲みこんでしまうようです。
 粘液弾、飲みこみ、ジャンピンクアタック、舌巻き付きと攻撃方法は多彩です。
 なお、沼地内に巨大ガエルが卵を産んでいるようですが、まだ孵ってはおりません。余裕があれば殲滅してもよいかと思います。

●戦場
 沼地はかなりの広さがあり、深さは場所によって異なり、底なし沼に感じられるような場所もあります。
 また、場所によっては毒ガスが噴き出すことがあり、戦闘とは別にダメージ、毒、猛毒付与の可能性があります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 全てのみこむ沼の怪完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年06月02日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)
旅人自称者
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
優愛の吸血種
王 虎(p3p007117)
雷武
ロロン・ラプス(p3p007992)
見守る
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師
霧ノ杜 涼香(p3p008455)
流体人間

リプレイ


 今回の依頼を受けたローレット、イレギュラーズ達8人は、アーベントロート領某所にあるという沼を目指す。
「今回は巨大カエルの討伐アル!」
 獣人を思わせる姿をした精霊種の女性、『雷武』王 虎(p3p007117)が依頼に強い意欲を見せる。
「食べ応えのありそうな獲物だからね」
 そう考えているのは、丸っこいスライムの姿をした旅人、『ひとかけらの海』ロロン・ラプス(p3p007992)だけかもしれないが。
 居残りでの仕事を想定するロロンは、その分の分け前は弾んでほしいと考えてカエルを捕食したいと望んでいた。
 余談だが、カエルは食用としている地方、人々は存在する。意外にも、上品な味がするのだとか。
「私のような悪魔からすれば沼の淀んだ空気は嫌いじゃないよ。匂いには辟易してしまうけどね」
 後頭部と背に黒い翼、お尻に細長い尻尾を生やす『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)はちょっとしたピクニック気分でこの依頼に取り組んでいる。
 ただ、他のメンバーはこの状況に思うこともあったようで。
「一見は単純な蛙退治なのですが……」
 物腰柔らかいスレンダーな女性、『旅人自称者』ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)は、これから向かう底なし沼について急な巨大化や毒ガスなど、根本の解決には調査が必要なことが多い依頼だと自らの考えを口にしていた。
「カエルの卵も回収できればいいケド……今は目下の任務が優先ネ」
 この場は巨大化したカエル討伐と、虎が最優先事項を再確認する。
「しかし、依頼が民間発ではないのね」
 宙に浮いたまま移動する白髪ツインテールの『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)が考えていたのは、この地の領主であるリーゼロッテ・アーベントロートのこと。
「幻想での初依頼、顔合わせの感じからすると良くも悪くも貴族主義って印象だったが」
 前髪で左目を隠した和装の『魔剣鍛冶師』天目 錬(p3p008364)はまだ混沌に来て日が浅いが、民のことなど顧みぬリーゼロッテの性格は周知の話である。
「だが、こんな依頼が来るならば、貴族が全て捨てたもんじゃないってのも異世界でも共通なんだろうな」
「いや、単に事態が深刻なだけかもしれないわ」
 錬の言葉に、市井に関心を向けて真っ当な領主として行ったリーゼロッテの対応から、レジーナはそう推察する。
 ただ、彼女はすぐ、この事件がアーベントロート家に関係している線もあるのではと思い至って。
(……いえ、それは邪推か。若しくは何か情報を掴んでいるか)
 カエルが出たと思ったら化け物が発生し、変異をもたらす何かが出たとみるべきか、あるいは、どこかの実験動物が逃げ出したか。
「……気になるわ」
 さすがにその考えを口にはしなかったが、背後の因果関係にレジーナはしばし想像を巡らす。
 一方で、長い髪を赤いリボンで縛り、サイドテールにした『慈愛の英雄』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)も別のことを考える。
 この依頼に失敗すれば、リーゼロッテからの信用が落ちてしまう。
 彼女から冷ややかな視線を向けられた状況を想像したユーリエは、背筋が寒くなって。
「ぜ、絶対に失敗できないですね!」
 必ず成功すべく皆のサポートを行い、しっかり沼の調査をとユーリエは意気込んでいた。
「こういう魔物相手ならば気兼ねする理由もなし、早急に片付けよう」
 錬の言葉に同意して現場へと向かうメンバーを、少女の姿に擬態した流体の人造生命である『流体人間』霧ノ杜 涼香(p3p008455)は見回して。
(強そうな方ばかり、足を引っ張らない様に自分の仕事をしっかりしないと……)
 そう自分に言い聞かせつつ、涼香は仲間達を追いかけていくのである。


 現場の沼へと向かう前に、イレギュラーズ達は現場近くに住む住民から情報を集める。
 ヘイゼルはその最中で沼の地図を見せてもらい、底が浅い場所から深い場所まで十分に聞き取り、レジーナがそれを写しつつ情報を記載する。
 地図の作成には涼香も立ち会い、地理情報の把握に努めていたようだ。
 その地図を使い、ヘイゼルは戦場の候補をリストアップし、レジーナはカエルの潜伏ポイントや産卵ポイントを割り出す。
 同じく、住民から虎が確認を取っていたのは、毒の発生場所。
「さすがに地形が変わるほどの異常事態ではなかったネ」
 虎は沼地に踏み入る為に錬は長靴と、深みにはまった場合に備えてロープも準備する。
「備えあれば憂いなし、ってとこだな」
 もちろん、錬も沼の深い場所のチェックは欠かさない。
 涼香も自分が狙われやすくなるようにとカエルの餌になりそうな虫や小動物を購入しており、小さな籠に入れていた。
 また、レジーナは、最近変わったことについて裏取調査を合わせて行っていたようだった。
 ある程度の準備が整ったところで、イレギュラーズ達は現場である沼へと移動する。
 まず、ヘイゼルは実地検分を行い、手伝う形となるマルベートが獲物の槍を地に突き刺し、深みを確認する。
 それによって、ヘイゼルが修正を行う最中、マルベートやユーリエが超嗅覚で沼地から毒ガスが噴き出す方向を感じ取る。
 住民の情報通りの場所の泥がどす黒く変色しており、ヘイゼルは毒ガスの噴出場所と頻度も地図に記載していた。
「うーん、これは何の臭いでしょうね」
 なお、それ以外の異臭もユーリエが感じていて。
「この沼、突然変異を促すような、危険な物質が入っているのでしょうか……?」
 元は小さなカエルしかいなかったと情報を得ており、ユーリエがそんな疑問を抱く。
 だが、一行はカエル討伐を優先すべく別の臭いの調査は後回しにし、念の為毒を感知した2人をヘイゼルが調和の力で回復した後、毒の噴き出す場所を避けて沼地を回り込んでいく。
「もしかしたら、沼地の中でも比較的綺麗な場所を住処にしているかもしれないネ」
 カエルに毒性がないという情報を根拠とし、虎は比較的沼でもきれいな場所にカエルがいるのではと予想する。
 後で卵の破壊をする際、虎の予想は参考になりそうだ。
 毒対策を取っていたことで、先頭に立つヘイゼルに従う形で一行は進む。

「この辺りですね」
 ヘイゼルが地図を元に、マルベートの指摘を考慮して定めた戦場候補地。
 比較的沼が浅く、開けた場所までやってきた一行は、そこで敵の釣りだしに当たる。
 そこで、動いたのはレジーナはお嬢様ことリーゼロッテに良い報告ができるよう、功績を上げられるようにと行動に出る。
「お嬢様の領内の事ですもの、このカードが相応しい。リリース!」
 一時的な手数を増やそうと、レジーナはギフトによって使い魔を呼び出す。
 現れたリーゼロッテそっくりな「闇で悪魔なお嬢サマー」を、レジーナは持ってきた服などで釣りに来た村人に偽装させ、自然な動きで沼に接近させる。
 レジーナはその使い魔に目覚まし時計を持たせ、万一的に飲まれた際の備えとし、後は皆散らばって物陰に待機する。
 ユーリエが得体のしれない何かの存在を示唆しており、皆討伐対象だけでなく、それ以外の魔物の兆候も見逃さないようにと警戒を強める。
 程なくして、沼の中から顔を出したのは2体の巨大ガエル。
 後は、戦場候補地までつり出すだけ。
 お腹が減っていたのか巨大ガエルは勢いよく舌を伸ばそうとするが、使い魔はさらりと避けてみせた。
 なおも近づいてくる2体の巨大ガエル。
 それらの前へと姿をさらすイレギュラーズ達は、近づいてくる相手の迎撃の為に隊列を組む。
「大丈夫、きっと大丈夫……」
 スライムの体をうまく使えば、大きな相手でもどうにかしのげるはずだと涼香は自分に言い聞かせて。
「こっちです!」
 大声で注意を引く涼香に気付き、2体の魔物ガエルは沼の中から高く跳躍し、巨大な体躯を露わにしたのだった。


 巨大ガエル2体は浅いところで身構えるイレギュラーズ達を餌と見定め、飛び掛かろうとしてくる。
 相手は2体が同時に現れたことで、纏めて狙うことも想定するメンバーが攻撃に乗り出す。
 スイーツタイムを使って甘いショートケーキを食し、力を高めたユーリエは前に出るメンバーを見据えて。
「マルベートさん、援護します」
 ユーリエが呼びかけた仲間へと施したのは、生命力を活性化及び精神的な強化。さらに攻撃に対する反射も行う特殊魔術SLA……スペシャル・ライフ・アクティベーションだ。
 そのマルベートは、片方のカエルが伸ばした舌に絡めとられて。
「カエルに食べられるなんて御免よ」
 集中したマルベートはその拘束から逃れながらも、全力で魔法ランダマイザ―を行使して因果律を歪ませる。
 狙いを定めた巨大ガエルを様々な悪意……有害事象が襲い掛かり、巨大ガエルの身体に悪影響を及ぼす。
 もう1体がさらに飛び跳ねてくるのを、レジーナが察して召喚した戦車と軍馬を向かわせ、その巨躯を蹂躙しようとする。
 跳ね飛ばされ、大きく吹っ飛ぶ巨大ガエル。
「毒のダメージが無視できないわね」
 毒ガスが噴き出す場所から距離を取って戦場を設定はしたが、毒黒い泥はこちらにも流れ出しており、完全に防ぐことは難しい。
「短期決戦で攻め立てるのだわ」
 レジーナはさらに攻撃を続けるべく構えを取る。
 なお、一行の回復役はヘイゼルが請け負っていて、調和の力で仲間達の回復に注力する。
 また、ヘイゼルはカエル以外の魔物の出現の可能性も考慮し、時に戦場……沼を見回して新手の出現を警戒していた。

 敵が上手くばらけた状況となったが、すぐに吹っ飛ばされた方が近づいてくるのに気づいた涼香は、手前のカエルにここに来る前に捕まえた虫や小動物を見せつける。
「掛かって来なさい、蛙さん。他の方よりたぶん私の方が一呑みしやすいですよ!」
 涼香が名乗りを上げつつ、相手に餌があることを主張すると、そのカエルが跳び跳ねて近づいてきた。
 敵が大きく頬を膨らませたのを、錬は確認して。
「粘液弾か舌巻き付きの前兆だろう」
 前線メンバーが敵を抑えはしているが、錬は油断なきよう相手を注視する。
 飛んでくる粘液弾を冷静に避け、錬は反撃に通常攻撃として魔力弾を放ち、巨大ガエルを弱らせようとしていく。
「折角だから、綺麗に食べたいね」
 多少の回復力はあるものの、前衛を張れるほどの力はないと考え、ロロンは後方から火力支援を行っていた。
 前線が敵の飛び掛かりを抑え、弾き飛ばしと攻防を続ける中、ロロンは神秘的な力を扱う『本能』を覚醒させて。
「精度がいいとは言えないけれど、ボクの手持ちの術では最大の威力だ」
 これから放つのは、霊的な力。
 巨大ガエルを食べたいロロンとしては、ある程度原型を残して倒したいと考え、物理的な破壊を避けたかったのだ。
 精神力を高めたロロンがそれ……マギ・インスティンクトを一気に前方へと撃ち放つと、間違いなく巨大ガエルへとクリーンヒットした。
 そいつはなおも倒れずに立ってはいたが、刹那呆けてぼーっとしている。
 小型の気功爆弾を掌に籠めた一撃を手前のカエルへと叩き込んでいた虎は、絶好のタイミングと判断して。
「いい位置ネ! 皆、後ろに下がるアル!」
 同時に相手を捉えた虎は、仲間達へと大技を使うよう宣言する。
 メンバー達が後方へと身を引く間、右手に全身の力を集中させていく虎は敵へと接近し、カエル達を纏めて捉えて。
「纏めて焼き払ってやるアル!」
 虎は右手に溜めた力を直接、巨大ガエル2体へと叩きつけていく。
 巻き起こる爆発……バーンアウトライトを受けたカエル達は体のあちこちに炎を燻ぶらせ、大きく仰け反る。
 だが、魔物となっただけにかなりのタフネスがあるようで、両者とも戦意を捨てずに立ち向かってくるのだった。


 その後、イレギュラーズ達は巨大ガエルへと攻撃を繰り返す。
 毒が体を蝕む状況に加え、敵の一撃が非常に痛い。
 前線を預かるマルベート、虎、涼香は片方を引き寄せ、もう片方を吹っ飛ばし、ダメージを防ぎながら戦いを進める。
 また、ヘイゼルは仲間の回復を続けて前衛を支え、ユーリエが仲間の強化を続ける。
 特に、ユーリエの強化は相手へと反撃を与え、効果的にダメージを蓄積させていた。
 その支援を受け、レジーナは自らの能力を高めつつ遅滞戦闘を行い、魔術を織り交ぜて魔剣で切りかかっていく。
 鋭いレジーナの突きで、手前の1体の態勢が崩れたところで、ロロンが力を高めた精神力の一撃を再び撃ち込んでいく。
「今度こそ、綺麗に倒してあげるよ」
 それを浴びたカエルの目からついに光が失われ、沼へと潰れるように倒れて動かなくなった。

 1体が倒れれば、イレギュラーズ達の攻撃も集中する為、攻勢が強まる。
 相手に強い異常をもたらしたマルベートは、ナイフとフォークを象った両手の魔槍で一気に切り裂く。
 そして、マルベートはまるで食事でもするかのように、飛び散るカエルの血肉を喰らう。
「怒涛の攻め込みを行わせてもらうアル!」
 虎は一気に体力を削り切ろうと、気功爆弾を織り交ぜつつ雷武式格闘攻撃を叩き込み、イレギュラーズを喰らおうとする敵を弱らせていく。
 相手がボディプレスを狙って飛び上がれば、後方から相手を見ていた錬が無数の見えない糸を放ち、相手を切り裂きつつ糸で束縛して地面へと叩き落とす。
 何とか逃げようともがく敵が自らの体が傷付くのをいとわず、糸を引きちぎって沼へと逃げ帰ろうとした。
 それを涼香が阻止すべく、沼の方へと回り込んでから膂力で杖を叩きつける。
 すると、それを待っていたと言わんばかりに、カエルが涼香の体を飲み込んでしまう。
 出来る限り長く、戦線を持たせようと踏ん張っていた涼香だったが、相手の消化力も強くパンドラの力を使って体内で抵抗する。
 ただ、ユーリエの纏わせた棘がカエルの口の中で突き刺さり、敵は苦しみ悶える。
 そこで、仲間の強化を済ませていたユーリエが魔力による疑似弓矢を放つ。
 近場だと遠距離攻撃は不利だが、これだけ大きな相手。
 ユーリエの矢は素早く敵の体を射抜き、霧散していく。
 同時に、残っていたカエルは涼香を吐き出しつつ、沼へと沈んでいったのだった。


 巨大ガエルの討伐を完了したイレギュラーズ一行。
 ヘイゼルは気力を回復しながら仲間達の体力回復へと当たりながら地図に情報の記載を進め、事前の情報提供をしてくれた住民に最新情報の連携をと考えていた。
「この大きさなら丸呑みした犠牲者がまだ生きてるかもしれないが、どうだ?」
 錬は解体して、巨大化の原因を探りたいと話す。
「根絶は可哀そうだけど……仕方ないね。こういうやり口を持つからこそ、人は人としてあるのだから」
 この沼で起きていることの原因解明の為、超視力や超嗅覚で卵を探すマルベートも解体には賛成していた。
「カエルの解体ショーの始まりアルネ!」
 意気揚々と解体を始める虎が言うには、大きな後ろ脚は絶対に美味しいのだとか。
「筋肉の発達が良いと、繊維質がきめ細かい事が多いカラネ」
 試しに口にする彼はその歯応えの良さに大きく頷く。
 内蔵は寄生虫の心配もあるから食べられないが、解体したところ、すでに白骨となった死体が。さすがに時間が経ちすぎていたようだ。
 解体を進める虎は、生態次第では沼地で養殖産業の貴重な資源ともなると絶賛するが、ユーリエが先程感じた異臭が気になるところ。
「もう感じませんね。何があったんでしょうか」
 先程まではあったことを考えれば、何者かがこの沼地に毒を発生させていたともとれるが……。
「そちらはいかがですか?」
 涼香がある意味で、自身に近い存在のロロンに問う。
「しばらく時間があれば、浄化できると思う」
 ロロンは毒ガスが人為的に発生していたと断定し、それを体内に取り込みつつギフトによって自然浄化していく。
 数人が報告の為にこの場を離れるが、調査の為に残るメンバーに解体したカエルの一部を分けてもらいつつ沼へと居残るロロン。
 毒で減った体力はリジェネレートの再生で補うことができるし、沼の中には食料となるモノも豊富と来ている。
 しばらくはこのまま大丈夫と彼……無性ではあるが……は言う。
「卵は確実に処理したいところね」
「そういえば、カエルの卵も片付けておいた方がいいのだったかな」
 レジーナの一言で、卵の件を思い出したロロンは沼の中を這い回る。
 その最中、巨大ガエルが残した卵を発見し、彼は丸ごと食べてしまったのだった。

成否

成功

MVP

ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
優愛の吸血種

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPは別の異臭に気付き、かつ仲間の支援、1体討伐と活躍を見せたあなたへ。
今回はご参加、ありがとうございました!

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