シナリオ詳細
荷台で揺られて馬車の旅
オープニング
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とある日、幻想ローレットにて。
「おはよーう!!」
依頼を受けにやってきたセララ (p3p000273)が元気にローレットの扉を開く。
名声も高い彼女は知られた顔。出入りするイレギュラーズ達と挨拶を交わしながら依頼を受けに行く。
「はい、少しお待ちくださいね」
混沌各地を飛び回って依頼の斡旋を行う『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)が持ち掛けたのはこんな依頼……の数々。
「いくつかお願いしたいことが重なってしまいまして」
アクアベルが現状、依頼したい依頼は3件。
まず、幻想国内の魔物討伐。
狼のような魔物数体が街道に現れており、被害を及ぼす前に討伐したいのだそうだ。
「魔物が現れたのであれば、黙っていられないな」
話を耳にしたベネディクト=レベンディス=マナガルム (p3p008160)もすぐ、依頼の参加を決めていた。
次に、ラサ、深緑の国境付近に現れる魔物討伐。
こちらは、見上げんばかりの体躯を持つ巨大な大サソリが存在感を示している。
放置していても、傭兵が討伐に出る可能性も高いが、たまたま情報屋のアクアベルが話を聞いた為に討伐依頼を受けたらしい。
「でっかいサソリだって? オレの速さでねじ伏せてやるよ!」
話を聞いていた新道 風牙 (p3p005012)も、意気揚々と参戦する構えだ。
最後に、深緑の大樹ファルカウに住居を置く幻想種男性がラサの行商人から荷物を待っている状況にあるらしい。
なんでも、先日ラサであったファッションショーの衣装を娘が欲したらしく、それらをいくつか見繕って購入を希望したのだとか。
衣装作成の為、前払いを行っており、男性はその到着を待っている。ローレットとしては、行商人から荷物を受け取って深緑に運べばOKだ。
「ラサ・コレクションで紹介された衣装……ですか」
リア・クォーツ (p3p004937)がそれに興味を示すと、リゲル=アークライト (p3p000442)、ポテト=アークライト (p3p000294)夫妻がその記事に見知ったイレギュラーズの名前があったことに注目して。
「へえ、ラサでこんなイベントをやっていたんだね」
「私もその衣装を見てみたいな」
依頼人は幻想種の男性で、娘が欲しがったから買ったとのこと。
他国の幻想種でも興味を持つ衣装とあれば、さぞ煌びやかなものなのだろう。
以上、全ての依頼をこなすべく、馬車に乗って幻想から深緑へと向かうことになる。
「皆さんであれば、魔物は問題なく倒せる程度の強さですし、ついでの荷物運搬も苦にはならないと思います」
アクアベルはだいたい2泊3日の旅路となるだろうと、イレギュラーズ達へと説明する。
「馬車に揺られての旅か、たまにはいいものだな」
「なんか楽しそう、あたしも行くよ!」
微笑を浮かべる伏見 行人 (p3p000858)が立ち上がって依頼の手続きを取り始めると、長谷部 朋子 (p3p008321)も乗り気になって参加表明した。
これで8人。アクアベルも安心して依頼を任せることができると喜ぶ。
依頼を受けたイレギュラーズ達の関係は知人、初対面と様々だが、今回はのんびりと交流しながらの旅となりそうだ。
「素敵な旅になることを、祈っていますね」
依頼はしっかりとお願いしたいが、のんびりと馬車に乗って素敵な一時をと、アクアベルは笑顔でイレギュラーズ達を送り出すのである。
- 荷台で揺られて馬車の旅完了
- GM名なちゅい
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年05月30日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費---RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
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幻想、ローレット傍。
「なんだか楽しそうなお仕事に誘われちゃって嬉しいな~!」
『蛮族令嬢』長谷部 朋子(p3p008321)は『精霊の旅人』伏見 行人(p3p000858)に良い装備を貰い、うきうきしながら出立の準備を進める。
「馬車に野営に魔物退治なんて、あっちにいたんじゃ絶対味わえないもんね!」
集まる8人のメンバーは、馬車へと乗り込む。
「こういう、みんなで長旅する形のは初めてかも」
馬車に乗る前に荷物の最終確認をする『翡翠に輝く』新道 風牙(p3p005012)は子供の頃のバス遠足を思い出しながら、食料に毛布、火口箱におやつ、遊戯用のカードと荷物の最終確認中だ。
「いや、仕事は仕事として、油断せずしっかり全力で取り組むけどさ?!」
とはいえ、今回は数こそあるが個々は比較的簡単な仕事ばかりだ。
「今回はよろしく」
馬車の御者を務める男性に挨拶する行人は、御者台で手伝いを行うようだ。
「あ、毛布ケツに敷くか? ちょっとはマシかもだぜ?」
馬車に乗り慣れている風牙が、揺れを気にするメンバーにアドバイスする。
「新道、伏見、今回の旅路もいつも通り宜しく頼む、頼りにしているよ」
そんな普段の生活で関わりの多い2人へと、『特異運命座標』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)が声をかけると、呼ばれた2人は笑顔で返す。
「今回初対面になるのはセララと長谷部だな、改めて宜しく」
また、ベネディクトは初対面のメンバーにも挨拶する。
「めっちゃ騎士っぽくてかっこいい! フルネーム長いからあだ名で呼んでいい? ベ卿とかどうかなー?」
「噂くらいは俺の耳にも届いている名高き聖剣騎士団の団長、好きに呼んでくれて構わないよ」
そんな『魔法騎士』セララ(p3p000273)とベネディクトのやり取りを傍で見ていた朋子は、同行者を見回して。
「にしても……あたし以外みんな強そうっていうか、すっごいベテランの気配がするなぁ」
そんな強者の貫禄を感じるメンバーと、朋子は2泊3日の旅路を共にすることになるのである。
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馬車は王都を西から出て、ラサを目指す。
さて、馬車内では、皆それぞれのメンバー達へと興味津々で。
「なあなあ、みんなどこ出身? あ、オレ地球ってとこ! 練達みたいか感じの世界で……」
風牙が問いかけつつ、自分の世界について語り出す。
「すごいなー、異世界広いなー」
それを聞いていた朋子もまた自分達も地球出身と主張し、セララと意気投合することに。
「朋子ちゃんは同じ地球出身かな? 友達になろー!」
セララは魔法少女として、秋葉原で活動していたことを話す。
「地球には、実は魔法少女がいたのだ!」
「知ってたら、絶対絶対会いにいきたかったのに!」
朋子が残念がっていると、相槌を打っていた一組の男女が口を開いて。
「魔法少女になって戦うのも格好良いですよね!」
「セララのいた世界では、色んな場所に色んな魔法少女がいたのか……」
『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)がその話に相槌を打っていると、『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)が他世界の話に感嘆し、詳しく尋ねていた。
「……えっ、お前もそうなの!? あ、ちょっとオレの地球と違うかも」
風牙も2人のいた世界に共感を覚えるも、似て非なるパラレル世界の出身らしいと気づき、土星の名のついた家庭用ゲーム機の4代目について問う。
「え? 何それすごい!」
目を輝かせるセララが問い返した駅の名がつく4代目ゲーム機については、風牙は全く知りもしなかったようである。
「朋子さんはセララ団長と同じ地球出身なのか、行ってみたいなあ」 混沌出身のリゲルとしては異世界の話は興味が尽きず、実際に自分で見てみたいという気持ちも強いようだ。
「……にしても、馬車の旅も楽しいものだな!」
「大勢で馬車の旅は初めてだしな」
改めて、こうして仲間で語らっての移動にリゲルが笑顔を浮かべると、ポテトがそばでそんな夫を微笑ましげに見つめる。
「リゲルさんとポテトさんは夫婦なんだってね~、ラブラブだ~!」
朋子はアークライト夫婦を見てにやけ顔である。
「聖剣騎士団の仲間として世界を救うのだー!」
団員であり仲良しなリゲルに近づくセララは、仲良しの2人へと詰め寄って。
「ねーねー、二人の恋愛のお話聞かせてよ。ねーねー」
照れる2人に、丁度ベネディクトが助け舟を出す形となって。
「アークライト夫妻……いや、リゲルとポテトと呼ばせて貰う」
別の場所で会ったことがあるベネディクトは、若くして天義の騎士として名を馳せた剣士と彼に献身する君として、多くを伝え聞いていた。
「また会えて光栄だ」
「夫婦で冒険かー。なんかいいよな、そういうの。いつも一緒って感じで!」
風牙もそんな2人に憧れは示すが、恋愛には興味はからっきしのようで。
「修行のほうが面白いし!」
「ベネディクトさんと風牙さんは達人の空気を感じますね。いつか手合わせしてみたいなあ」
「鍛錬なら何時でも付き合おう」
リゲルが風牙との鍛錬を希望すると、ベネディクトが乗り気な様子を見せる。
「ふーがくん……ふーがちゃん? ……もあたしと同じくらいなのにずっと強い!」
朋子も、同世代の風牙にただならぬ強さを感じていたようだ。
「そういえば、聖剣騎士団の人達とこうやって過ごすの、初めてなのよね」
そこで、『旋律を知る者』リア・クォーツ(p3p004937)が口を開く。
「リアも団の仲間! 綺麗なシスターさんなのだ」
「リゲルと呼んでもらえたら嬉しいよ」
「三日間よろしく頼む」
同じ団の仲間としてセララがリアを紹介すると、リゲルが手を差し伸べて握手を交わし、ポテトも頭を下げる。
「コイバナしてよ。ねーねー」
そんな恋バナに興味津々なセララから、またもベネディクトが助け舟。
「クォーツも一度依頼を共にしてから、元気にしていたかな?」
前回会った時は会話する暇すらなかったらしく、機会に恵まれて嬉しいとベネディクトもまた再会を喜ぶ。
「リアさんとベネディクト……ベネディクト、なんだっけ? ベネディクトさんもすっごく頼もしそう!」
まだ混沌に着て日が浅い朋子に、こちらに来て2か月というベネディクトが彼女にも笑顔で呼びかけて。
「慣れない事も多いだろうが、何かあれば力になろう」
「一緒に頑張ろうね、デルさん!!」
自らの神器へと語りかける朋子も、他のメンバーに負けないようにと張り切っていた。
その間、アークライト夫妻は御者台の行人の方へ。
行人は精霊に魔物が接近した場合の伝達を任せ、のんびり前方を見ていて。
「伏見もワッカもよろしくな」
「ワッカはこの旅の間、水をお願いしても良いかな?」
「ああ、よろしく」
そばにいた水の精霊ワッカも、ポテトが取り出す葡萄酒に気を良くしてお仕事に意欲を見せる。
「行人さんは落ち着いた雰囲気を感じますが、旅の経験は豊富なのですか?」
「ああ、旅はとても楽しいものだよ」
リゲルがポテトと世界を目にしたいから渡り歩いていることを伝えると、行人は遠慮なく聞いてほしいと語る。
「行人は団の仲間! 旅が好きで色んなお話ししてくれるのだ」
そこにもセララが嬉しそうに飛び込んで話が聞きたいとせがむと、ポテトが小さく笑って。
「旅の中心はセララになりそうだな」
あっという間に、この場のメンバーを一つの輪に繋げてしまったとポテトが感心する。
「セララ、凄いわよね。まだちっちゃいのに、旋律が力強く輝いている」
「あたしも、聖剣騎士団の一員として、この旅では程々に頑張らないとね」
「リアさんは、空気というか波長がポテトと合いそうですよね」
そこで、リアにリゲルがポテトをよろしくと頼むと、皆から心地よい旋律が聞こえたのか微笑みを湛えて。
「ええ、一緒にいてとても心地いいわ」
「移動中も安心だな。のんびりと旅が出来そうだ」
そんな仲間達にポテトも心強さを覚えていたようだった。
●
その後、狼型の魔物討伐を終えた一行を乗せた馬車は草原地帯へ。
先程はしばし、行人が倒した魔物を街道脇へと移動させ、皮の剥ぎ方、牙の抜き方を、旅に慣れていないメンバーへと実演していた。
馬車内には、それらの荷物が増えている。
肉は乾燥して食用にできそうだし、売れる部位は明日ラサで捌けそうだと、彼は全員に分配していた。
「のどかだなぁ……カイ=レラ。付いてきてくれてありがとう、君も遊んでおいで」
こちらは風の精霊。行人の呼びかけで飛び立っていく。しばし草原を満喫したら戻ってくるだろう。
のんびり旅するのはいいが、変わらぬ風景が続けば少し飽きてしまうもの。
だが、これだけのメンツが集まれば、飽きさせない展開が続く。
「あ、カード持ってきたんだ! みんなでやらね?」
風牙が取り出したのは、プレイングカード。一部ではトランプと呼ばれるものだ。
「暇つぶしにカードゲーム? ふふふ、いいでしょう……たとえ相手が誰であってもあたしは負けないわ」
折角の機会だからと皆乗り気だが、特に只ならぬやる気を見せるリアはもし負けたら、先程セララが聞きたがっていた恋バナをと豪語してみせる。
「まー、あたし負けませんけどね!!」
「トランプなら負けないよ!」
「罰ゲームどんとこいだぜ! まあ勝つけどな!」
風牙や朋子も張り合い、楽しそうな空気を察して皆馬車中央に集まる。御者に馬車を託した行人も参戦していた。
罰ゲームは特定メンバーは恋バナとして、自分語り。
行うゲームはセララ提案のババ抜き。ルールを知らないメンバーには風牙が教え、ゲームスタート。
最初は皆、手探りでゲームとなったが、慣れぬ状況もあってかベネディクトが手元にババを残す。
「そうだな……、この間巨大な怪鳥が村を襲う話があってね」
その時立ち会っていた友人が、なんと竜の背に乗って少々不甲斐無い場面もありながらも戦いを繰り広げたのだという。
徐々に熱くなってくる2戦目。今度はセララが悔しそうに話し出す。
「じゃ、地球で魔法少女してた頃の話ね!」
聖石を巡る魔法少女達のバトルを、セララはかいつまんで説明する。
その話はとても長くなるので、もし興味があればセララへと個別に聞いてみるといいかもしれない。
ゲームは色々と変わり、神経衰弱や7並べ、大富豪(大貧民)などを個人戦で、ペアを組んでとメンバー達は楽しむ。
ポテトは幾度かその最中で負けてしまい、明日の料理当番と合わせ、早口言葉を言うことに。
「ベネディクト=レベナンです=マにゃがりゅ……噛んだ……」
そんな可愛らしい彼女は次のゲームにてペアでリゲルと敗北。
「期待されているようだし、ポテトとの馴れ初めを話そうか」
ついに恋バナと目を輝かせるメンバー達。
街角でバターポテトを焼いていたポテトへ、リゲルはサンドイッチを持ち込んで仲を深めていたとのこと。
「ふふ、その頃のリゲルは……」
ポテトも話に加わり、2人は仲睦まじく恋バナを語る。
彼らの話に耳を傾け、親睦を深めたメンバー達は程なくしてゲームを再開する。
続き、土がついてしまったのは朋子だ。
「……そうだなー、デルさんとの出会いでも話そうかな!」
今の自分があるきっかけと、デルさんこと神器ネアンデルタールとの出会いを語る朋子。
猿との死闘を制した朋子へと語りかける声に従い、手にしたのがその神器なのだとか。
「そうなんだー」
セララがそれを見つめてリアクションを返し、感嘆するメンバー達はさらなる勝負を続ける。
風牙やリアが負け知らずの状況が続いていたが、日が傾きかけてきた頃、ついに、リアが最下位へと転じて。
「えっと、いや、恋バナじゃないけど! その、尊敬しているガブリエル様の事を……」
知名度の高い幻想の『遊楽伯爵』。
リアは躊躇いがちに、彼との思い出を語る。
笑顔を向けられただけで爆ぜ飛びそうになる話など、リアの純粋さを感じ、皆、頬を緩ませていたのだった。
●
2日目。
ラサで荷物を受け取り、深緑を目指す一行は夕方、深緑国境近くで巨大なサソリを討伐する。
「いやー、あの敵けっこう厄介だったなー!」
「いい連携だったね! 今度ボクと一緒に修行しようよ!」
見事に魔物を討伐し、風牙、セララは手応えを感じていたようだ
「今回は固い相手だね」
行人がは昨日同様、サソリの死骸から、殻を剥ぎつつ、尻尾の毒の部位などを手袋して触るなどして一部を切り出す。
深緑まで運べば、売れるはずだと行人は言う。
「そろそろ野営か」
深緑との国境近く。近場に水場があり、かつ岩場で風を凌げることで疲労が軽減できる場所を行人は選ぶ。
地面は砂から草原になっており、休むことができそうだ。
野営の準備ができた頃には日が沈みかけ、メンバーは夕食を作る。
「一緒に頑張ろうな!」
「あぁ、美味しい夕飯頑張ろう」
リゲルとポテトが拳をコツンと突き合わせ、作業開始。
ラサの首都で仕入れた食材とポテトがギフトで育てた野菜を使い、調理を行う。
「できたぞ、渾身の力作だ!」
風牙が石を積み上げ、隙間を小石で埋めて即席のかまどを作る。
「ほら、水だよ」
馬車の馬を労い、行人は水やラサで購入したリンゴを与える。
その水は妖精ワッカに酒を与えて出してもらっていたが、桶へと移した水をセララが受け取って。
「カレーを作るよ! いえーい!」
キャンプはこれだと、甘口派なセララは地球の歌を歌いながら、飯盒でお米を炊き始める。
リゲルはベネディクトと一緒に、野菜を切って下ごしらえ。
それらを使いつつ、朋子が香辛料を使いつつ後で調整可能なように甘めのルーを作る。
リアは最初遊ぶつもりだったが、セララや朋子がノリノリで調理を行う為、手伝いへと回っていたようだ。
一方、先日の罰ゲームの約束もあり、率先して料理を請け負うポテトはカレーをセララ達に任せ、昨日の獣肉を使った料理の用意。
塩コショウをかけて豪快に表面を焼き、アルミホイルで包んでしばらく休ませる。
それとは別に骨を持って嚙り付きたい人ように、BBQソースにつけた肉の用意も。
「サラダも大事だな。ドレッシングはさっぱり目の物にしておこう」
いつの間にか、こちらでもリゲルが肉を炙ったり、サラダ用に余った野菜を差し出したりと手伝いに当たっていた。
「しかし、リゲルとポテトは仲睦まじいな……」
改めて、ベネディクトは夫婦の仲の良さを実感するのである。
しばらくして、あちらこちらからいい匂いが漂い、風牙はお腹を鳴らす。
「腹減ってきたぞー!」
香りだけではない。美味しそうなご飯にとろりと濃厚なカレー。そして、見た目にも迫力満点なマンガ肉。
「すごい~! いただきま~す!」
思いっきり被りついて幸せそうに噛みしめる朋子。リゲルも作り甲斐があるというものだ。
「カレーは良いな」
ベネディクトは混沌にきて初めて食べたそうだが、今回の一品にも舌鼓を打つ。
「みんなで力を合わせて作ったメシって、なんでこんなに美味いんだろうなあ」
「皆と食べるといつもよりご飯が美味しいね」
風牙、セララはカレーだけでなく、肉やサラダにも手を付け、満面の笑みを浮かべていた。
そんな仲間と食卓を囲むリアは、皆の優しい旋律を聞きながらカレーを一口。
それがリアにとってはこの上なく、幸せな一時に感じられたのだった。
●
お腹がいっぱいになれば、旅の疲れもあって皆、就寝モード。
「ちゃんと見張り番もしないと! むん!!」
眠気が襲ってくる中、朋子は頑張って目を開く。
風牙も顔を洗いに向かって不在だが、そこで、リゲルが行人、ベネディクトと見張りを交替で行うと主張する。
「これは男の仕事です。任せて下さい!」
「ほら、女性陣とポテトさんは馬車の中だ」
リゲルは睡眠を疎かにしない程度に夜更かしするつもりでおり、精霊と見張りをする行人も語らいに乗っかろうと考えていた。
「ありがとう。お腹が空いたら食べてくれ」
男性陣に夜食として残り物で作ったおにぎりを渡したポテトは、すでにおねむモードなセララを連れて馬車の中へ。
「悪いな、皆。付き合わせた」
ベネディクトは特にリアに配慮し、男だけでの野営を提案したようだ。
「夜は……はぁ、嫌いなのよね」
静かな時間帯は、ギフト・クオリアによる旋律がはっきり聞こえ、眠れないのだという。
馬車に入ったリアは、恥を忍んでポテトに呼びかける。
「……今日、一緒に寝ていいですか?」
リアが言うには、ポテトの旋律はとても優しく、安心するから、音色を感じて寝られたらとのこと。
年下の女の子や、まして男性陣には、リアも頼みづらいらしく。
「だからその、この旅の間だけ……お願いします……」
頷いたポテトはリアが良く眠れるようにとポプリを渡し、子守唄を歌う。
「また明日頑張ろう」
すでに眠りについていた女性陣を見守りながら、ポテトも眠りについていくのだった。
●
翌朝、最終日。
差し込んでくる朝日を受け、真っ先に目を覚ましたセララが大きく背伸びする。
今日で旅は終わるけれど、彼女のギフトでこの思い出は漫画化してずっと残り続ける。
目的地に到着するまでは、セララは最後まで仲間達とこの度を満喫しようと考えるのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPはこの度の中心となっていたあなたへ。
今回はリクエスト、並びにご参加、ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様こんにちは。なちゅいです。
今回はリクエストシナリオのご依頼、ありがとうございます!
●目的、概要
馬車の旅を満喫!
馬車の中で、楽しくカードゲームや楽しい語らい。
夜は焚火を囲んで料理、キャンプ。
楽しい交流の場となりましたら嬉しいです。
のんびりまったりした旅を描写できればと思います。
何日目のこのタイミングの描写が欲しいと思った部分のみ、2,3か所ピックアップしていただければと思います。
描写希望箇所を皆様で合わせ、楽しく交流していただければ幸いです。
例)初日、草原を歩く馬車シーン。
2日目、ラサの魔物討伐後の夕食シーン。
2日目、テント内の会話。
3日目のプレイングはなく、そのまま目的地へ。
●敵
初日は狼っぽい獣系の魔物数体、
2日目は砂地のサソリを思わせる大型の甲殻類1体を討伐しますが、
敵ってなんだっけ、美味しいの……ってくらいあっさり倒します。
戦闘自体の描写は行わない予定ですので、そちらのプレイングは不要です。
馬車や夕食時の話のタネにでもしていただければ幸いです。
●状況
幻想から深緑までのんびりと馬車で2泊3日かけて旅をします。
どのタイミングで、どういう交流を行ったかがあると描写がしやすく、かつ盛り上がるかと思います。
初日。
幻想からラサ国境手前まで向かいます。
一応、昼間に魔物討伐を挟み、
草原地帯をのんびりと歩いていく形です。
春の陽気を感じながら旅をすることができます。
2日目。
ラサ国内を通過します。
馬車の旅の為、馬を傷めぬ為に足場がある荒地を通過します。
昼間に行商人から荷物を預かり、深緑へと運びます。
荷物はアラビアン、中東系をベースとしたラサの民族衣装数点です。
興味があれば、出来合いの衣装の試着は可能です。
魔物討伐後に丁度、夕食となる形です。
昼間は日差しが強く暑い場所ですが、
夜は少し冷えますので防寒具があると安心です。
3日目。
深緑内へと突入。
木々の間を通り、木漏れ日を浴びながら目的地大樹ファルカウへ。
目的地にいる幻想種男性に荷物を引き渡し、
依頼の引継ぎを行っていただければ、今回の旅は終了です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
それでは、よろしくお願いいたします。
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