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シナリオ詳細

<虹の架け橋>イスレース2000!!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●椅子でレースする!
 妖精たちが行なう奇妙な遊びの伝承がある。
 “キャスター”という車輪を椅子につけ、これで競争するというものだ。
 その発祥はよくわかっていない。
 別世界から、“オフィスチェアー”なる車輪のついた椅子が漂着し、妖精たちがこれで遊んだのがきっかけとされるが、伝承の域を出ない。
 その遊びがだんだん評判になり、妖精以外の者たちまで加わるようになったという。
 お祭りであるが、このお祭りにおのれのすべてを懸けるという酔狂な者たちもいる。
 車輪付き椅子にしても、ドワーフが細工した高級かつ頑丈なものから、ゴールまで到達できずに破損する安物までさまざまだ。前回は、ゲーミングチェアーとかいう椅子が好成績を収めて注目された。
 ちなみに、コースは山から下る峠の道で、距離は2000メートル(それがレース名の由来)。このレースのために、わざわざ道も舗装するという力の入りようだ。
 レースではあるが、競うのはスピードだけではない。椅子の装飾やパフォーマンスなど、観客の妖精たちが採点する芸術点も大きなウェイトを占める。すなわち、華麗に椅子を駆使し、「そんな椅子でレース無理やろ」みたいなチャレンジングな姿勢も評価される。
 お祭りなのでゴールの順位は重視されないが、観客からの拍手の大きさを求めて出場する選手は多い。

「椅子レースは私たちお祭りの余興です。お祭りは、大勢でにぎやかに楽しんだ方がいいです。皆さんも是非是非、参加してくださいね」

 妖精たちは、ローレットの冒険者たちにも参加を持ちかけたのである。

●集まれイスレーサー!
「妖精さんたちのイベント、イスレースに参加してくれる人を募集するのです」

 『新米情報屋』ユーリカ・ユリカ(p3n000003)は告げた。
 イスレース、変わった催しである。
 コースは山道の下り坂を利用しており、スピードも結構出るらしい。
 チーム参加もオッケーらしく、ローレットにもオファーがあった。

「レースで使用する椅子は、自前で調達することになっています。『自慢の椅子で峠と限界を攻めてほしい』と妖精さんたちは言っていたのです」

 椅子は座るものであって、レースに使うものではない。
 だが、それがいい! ……という精神で行なわれる。
 よって、詳細なレギュレーションはない。基本、お祭りである。勝敗はそれほど重視されない。
 しかし、お祭りは真剣に遊ぶから楽しいのだ。

「イスレースでいいパフォーマンスをすると、妖精さんたちから虹の宝珠がプレゼントされるかもしれないのです。皆さん、張り切って爆走してください!」

GMコメント

■このシナリオについて
 皆さんこんちわ、解谷アキラです。
 今回は妖精たちの祭り、イスレースに参加してもらいます。

・イスレースについて
 このイスレースですが、オープニングでも解説していますが、単なる競争ではありません。芸術点が加味されますので、ゴールに最初に到着しても優勝が決定するとは限りません。
 そのうえでスピードを追求するもよし、芸術点狙いでパフォーマンスを追求するもよしです。
 最優秀の成績を収めたイスレース参加選手には、賞品として虹の宝珠がプレゼントされます。

・椅子の調達・レースのルール
 レースに使用する椅子は、自前が原則です。
 特に工夫しなくても、背もたれが小さく、肘掛けがないキャスター付きのオフィスチェアをゲットできます。
 椅子調達にプレイングがあれば、望む希望する椅子を用意できるかもしれません。
 ちなみに、レースに参加する椅子のレギュレーションは特に規定がありませんが、観戦する妖精たちの美意識にそぐわないと気まぐれで芸術点が減点されてしまいます。ですが、逆に美意識に沿うものなら高得点を得られるかもしれません。
 はっきりいうと、ルールはあまり厳密ではないです。
 ゴールしなくても何らかの行為が評価されると優勝ということもありえます。
 もちろん、純粋なスピードで圧倒するのもありです。
 ただし、他者への攻撃、妨害は評価されない傾向があります。

・コースについて
 コースは山をぐるっと取り巻くような下り坂で、2000メートルの距離になります。その間、大きなコーナーが4つあります。
 このレースにために舗装されているので、結構なスピードが出ます。
 並みの椅子ならぶっ壊れてしまいますが、リペアできればレースにも復帰できます。

・チーム参加・個人参加
 プレイングでチームでの参加が確認できれば、チームとなります。連携が取れているなら有利に働きますが、連携が乱れているなら、返って振りになるかもしれません。
 レースでは、特にチームとして正式な登録はありませんが、協力を否定していないのでチーム内の誰か1人を最優秀にすると虹の宝珠の獲得が近づきます。プレイングでチーム参加の明確な言及が確認できない場合、個人参加を明言している場合は、個人参加となります。

・他の参加者
 参加を打診されたイレギュラーズ以外にも、多数の参加者がいます。
 純粋にレースを競う者、パフォーマンスにすべてを懸ける者、とりあえず参加した者、他者を妨害してでも勝利を得ようとする者までいろいろいますが、イレギュラーズと関係しないと特に描かれません。
 つまり、プレイングに言及がなければ登場しません。

 レースについては以上となります。
 それでは、皆さんの参加をお待ちしています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • <虹の架け橋>イスレース2000!!完了
  • GM名解谷アキラ
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2020年05月22日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サイズ(p3p000319)
カースド妖精鎌
四矢・らむね(p3p000399)
永遠の17歳
御堂・D・豪斗(p3p001181)
例のゴッド
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
魔風の主
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!
アカツキ・アマギ(p3p008034)
焔雀護
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
鬼怒川・辰巳(p3p008308)
ギャンブル禁止!

リプレイ

●スタート直前!
 イスレース――!! 
 それは、あくなきスピードへの挑戦。
 どんな椅子が速いのか? どんなイスレーサがトップを取るのか?
 山の上から一気に下り、4つのコーナーでの駆け引き、白熱するデッドヒート、そしてイスレーサーたちが競う華麗なパフォーマンスも見どころである。
 また、2000メートルという過酷な戦いの中では、椅子の選択も重要で、その他、耐久性、椅子修理の腕も問われることになる。
 では、注目のイスレーサーを見てみよう。

「諸君! ゴッドである!」

 『例のゴッド』御堂・D・豪斗(p3p001181)はさっそくゴッド――神を名乗った。
 “D”のミドルネームがいかにも峠に強そうである。

「ゴッドがシットするもの。さまざなあるが此度はブッダ・チェアーをチョイスする!」

 ばああああああああああんっ! ……と紹介するのはまるでブッダの掌のような椅子である。
 その仏性が宿ったかのような椅子は、豪斗の影響を受けて謎の文字が浮かび上がり、神々しく輝いている。
 ゴッドにしてブッダ、神仏習合にして偉大な謎の神である。

「デザインも重要だが、耐久性……ロングレースにも耐えられるストロングさを重視してくれたまえ! うむ、キャスターの数は五つだ! これがスタビリティとスピードを両立するベストスタイル!」

 自慢の神マシンを自慢気に紹介する。
 では、次のイスレーサーの紹介に移ろう。

「椅子に乗るレース……変わったお祭りだ。でも、いろいろな椅子と走り方があって何だか面白そうだね!」

 そんな感想を漏らしたのは、『魔風の主』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)である。
 彼が用意したのは、実家にあったロッキングチェアである。
 美しい木目調の質感は、高級アンティークのように思える。
 この特徴をなるべく活かすように目立たないよう、金属の棒で補強をしてある。車輪は、曲線を描く足の部分にローラーブレードのように配置されていた。
 ちゃんとブレーキ機能を用意してあり、これでスピードを調整してコーナーを攻めるのだ。
 ここで、レッドブルスコファーを一気に飲み干して景気付けをする。

「ワッショーーーーーーーーーーーーーイ!!!!」

 お祭りにふさわしい雄叫びが上がった。
 乗りつけてきた椅子は、高級マッサージチェアである。これに車輪をついていた。
 
「俺は、『悠久ーUQー』の伊達千尋! またの名をお祭りハッピーガイ! どんなモンであれレースと聞いちゃ黙ってられねぇな。しかも祭りと聞いちゃなおさらだ」

 『Punch Rapper』伊達 千尋(p3p007569)は、“お祭りハッピーガイ”と名乗った通り“法被”をまとってテンション爆上がりであった。

「『悠久ーUQー』……ふーん、知らねえ名前。んで、誰が誰の前でテッペン獲るって?」

 そんあ千尋に対抗するかのように並び、無骨極まりない椅子に座るのは鬼怒川・辰巳(p3p008308)である。

「あーん? やんのかコラ?」
「おう。やってやんよ。他の奴らも全員ぶっちぎってテッペンにバラ高の看板掲げてやるよ」

 早くも火花が散っている。しかし、今回はレース。レースで勝負するつもりだが、辰巳の手には鉄パイプが握られている。
 その椅子は、どう見ても座り心地が悪そうだ。長時間座っていたら腰痛持ちであれば悪化するだろう。
 それでも、耐久性に特化してある。若さがあれば、座り心地など気にする必要はナッシング、である。
 そもそも、これはレースである。決してオフィスにはおけないが、過酷なイスレースなら最高のイスだ。

「うーん、椅子のレースなんて初経験だわ」

 続いてのイスレーサーは、『狐です』長月・イナリ(p3p008096)だ。
 狐耳ともふもふ狐尻尾に小麦色の髪の狐っ娘である。用意したのは、実用性が高そうなナースチェアである。
 非常にシンプルだが、日本事務いすレース協会という異世界の組織の資料を丹念に読み解いてイナリが出した答えがこの椅子なのである。
 足は五本、キャスターも消耗が激しいプラスチックから全金属製のものに交換してある。
 さらに、抵抗をなめらかにするためのグリスも差した。
 前日からレース会場に入り、事前にコースも下見しているという熱の入りようである。

「ま、まあイレギュラーズが優勝すればいいだけの話か……」

 メタリックな椅子を駆ってスタート地点に着くのは、『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)である。
 いろいろ思うところはある。
 こんな状況で祭りをする妖精たち。それはまだいい。
 賞品が虹の宝珠というのには呆れている。
 妖精郷に侵入されたらどうするというのだろうか?
 その辺の疑問を振り払って、イスレースに挑む。要は、イレギュラーズが勝てばいいのだ。
 このために用意したメタリックな椅子は、鉄のインゴットを得意の鍛冶で仕上げた妖精用の特製品である。
 耐久性とスピードが重視された仕様だ。

 そして、チーム参加のふたり組もスターティンググリッドに入ってくる。
 椅子を連結したふたり乗りカスタムである。

「はい、エントリーです。スパークリングインフェルノ、ニケツフォルムです!!」
「ここにおわすはスーパーアイドルらむねちゃん! そのアイドルが身体を張って見せる素敵なアピールが見れるのはこのレースだけ! 高い芸術点間違いなしじゃぞ!!」

 『永遠の17歳』四矢・らむね(p3p000399)と『放火犯』アカツキ・アマギ(p3p008034)はチーム参加である。
 らむねが芸術点担当で、アマギが加速担当である。
 ラムネの足元を見ると、アイドルにあるまじきと言えるほどの厚底の靴が履かれていた。アマギが加速を担当するので、足ブレーキ用である。
 加速担当のアマギのトルクを考えるとこのくらいは必要だということなのだろう。
 そしてこのスパークリングインフェルノ・ニケツフォルムは、握手権を見返りにアマギが投資を募って用意したものである。
 アマギは加速以外にも、プロデュースも担当している。アマギはできる放火魔なのだ。
 さて、その他にもさまざまなイスレーサーが配置についている。
 車椅子もあれば、座椅子もある。ソファーを列車のようにつなげたイスレーサーも見受けられる。
 スタートが切られるのを今や遅しと待っていた。
 そして、いよいよ最速のイスレーサーを決める戦いが始まる――。

●イス、スタート!!
 スタートラインに椅子が勢揃いする。
 選手たちはその椅子に駆け寄って乗り込むスタンディングスタート方式である。
 スタートシグナルに光が灯り、いよいとカウントダウンが始まる。
 5! 4! 3! 2! 1! ……0!!
 各イスレーサー、自慢の椅子に向かって猛然とダッシュ。勢いをつけて飛び乗ったほうが有利だ。
 まず、反応の早かったウィリアムがロッキングチェアに飛び乗った。僅差でマッサージチェアの千尋、そしてメタリック椅子のサイズが続く。イナリもナースチェアに飛び乗って、これを追う。
 ゴッドでブッダなチェアに豪斗も飛び乗る。さっそくのブッダポーズで重心を前傾にする。ストレートでの加速が生きるはずだ。
 辰巳の耐久ガン振り、らむねとアマギの二人乗りのスパークリングインフェルノは出遅れた感がある。二人乗りという使用上、アマギのセッティングに時間を取られるのは仕様である。
 椅子レーサーたちを迎えるのは、鮮やかな桜並木である。
 今回は、花吹雪の中で競い合うという風情あるイスレースととなった。イナリが前日に用意した趣向で、妖精たちにもウケがいい。

「ワッショーーーーーーイ!!」

 千尋は飛び乗ると同時に、マッサージチェアの背もたれを全開に倒してのボブスレースタイル。この姿勢がもっとも空気抵抗を受けない。

「行くぞらむねちゃん、爆熱ダッシュじゃああああ燃えてきたぞヒャッホー!」

 アマギが一気に爆熱ダッシュで加速する。
 後方に向かって火を噴いてスパークリングインフェルノがスタートの遅れを挽回する。
 しかし、加速するアマギには前が見えない。椅子の操縦はラムネの役である。

「い、いいですか、アカツキちゃん! 絶対に延焼させないでくださいよ!? 滅茶苦茶怒られますからね!」

 そして、らむねにも後方のアマギの噴かし具合は見えない。
 大きな欠陥とも思えるが、これも承知の上だ。
 すべてが万能な椅子などありえない。というかそもそも椅子はレースに用いるためのものではない。
 自分の走りに合わせて、どのような椅子を用意するかである。イスレースの常識だ。

「オラオラ、待ちやがれ!」

 辰巳もキックがよかったのか因縁のあった千尋を追う。椅子のタフさがあるのでキックの勢いも乗っている。
 しかし、乗り心地は最悪だ。

「くっそ、ケツが痛え!」

 しかし、そうであろうとも最初の下りストレートにかける。
 痛みはリジェネレートでカバーだ。

 そして第一コーナーが見えてきた。ここからはコーナリングテクニックが物を言う。

●コーナリング勝負!!
 コーナーにはまったく減速しない千尋のマッサージチェアが飛び込んでくる。
 続いて僅差でサイズ、ウィリアムだ。
 後方には、イグニッションスタートでごぼう抜きしたらむね&アマギ、さらにブッダチェアの豪斗、イナリ、辰巳が続く。
 コーナーに差し掛かっても、千尋は減速しないで突っ込んでいく。

「ワッショーーーーーーイ!!」

 なんということだろうか? 曲がる意思を少しも見せずに突っ切って森の中に消えていった。
 これにはギャラリーも騒然とする。
 トップに躍り出たのはウィリアム、ロッキングチェアを揺らしながらバランスを整え、ブレーキを効かせての鋭いコーナリングである。
 サイズのトップスピード重視のメタリック椅子は、コーナーは得意ではない。しかし、翅を広げて浮き気味になりながら鎌を突き立ててクイックなカーブを行なう。
 難易度の高い技術と車体への負荷が大きい技だ。

「アカツキちゃん、右! それと減速、減速!」
「減速よりこうじゃろ!」

 アマギは噴射の向きを変えてコーナーに挑む。
 しかし、前は見えない。らむねの指示を頼りに曲がるしかない。
 おもに負担はらむねが被ることになる。
 曲がりきれなかったら、千尋の二の舞だ。

「あああああ~! きゃああああああっ!!」

 らむね、必死の足ブレーキ!
 靴底がみるみる減って煙も上がっている。
 後方の辰巳も、鉄パイプでバチバチ火花を散らして追い上げる。

「刮目して見な! 俺のスーサイド走法をよォ!」

 その鉄パイプを地面にぶっ刺し、強引に曲がる。
 これぞ、必殺のスーサイド走法である。
 重さがまともに腕にかかるが、これを曲がり切ると鉄パイプを引き抜いてガードレールをぶっ叩いて車体の向きを転換した。
 豪斗は、カーブに差し掛かると椅子の上に横寝の姿勢に変わる。

「これぞ、ニルヴァーナ・スタイル!」

 今に伝わる釈迦入滅の涅槃の境地。
 無我の境地となって一切の煩悩を捨てると何故か曲がる。それを表わすかのように後光が差した。
 イナリのナースチェアがカーブすると、美しく桜が散った。

●ジャンプ!
 第一コーナー、第二コーナーとカーブをふたつ抜けて、順位は入れ替わった。
 先頭はらむね&アマギ。続いてウィリアムが椅子を揺らしながら走る。わずかにサイズが遅れた。
 その後続は、デッドヒートで目まぐるしく順位が入れ替わり、千尋のマッサージチェアはコースアウトしたまま姿が見えない。
 そしてふたたびの下りストレートである。

「ちょっ!? 石踏んじゃった!」

 ガコン! スピードが乗ったスパークリングインフェルノは、わずかな小石を踏んだだけでも車体……いや、椅子体が跳ね上がる。

「ブーストアップじゃ!」

 なんと、ここでアマギの鬼加速!
 一種無謀と思えた噴射によって跳ね上がり、らむねはここぞとばかりにアクロバットジャンプでアクションを決める。
 らむねはスパークリング星からやってきたアイドル。アイドルといったら、跳びだ。
 しかし、着地が決まったものの、椅子へのダメージは大きい。
 その間、着実にロスを防いできたイナリが後続から頭ひとつ抜け出す。金属キャスターへの交換とグリップ性能強化、前日の下見を活かしたコース取りが着実な効果を上げている。
 型が目立つ椅子が出始めているが、耐久性ガン振りの辰巳の椅子はまだだま平気そうだ。
 とっぽいイスレーサーとのぶつかり合いまで演じている。

「いい度胸だ、バラ高の辰巳が相手してやんよ!」

 背もたれで防ぎながら、バチバチにやりあった。
 各イスレーサー、第三コーナーを次々と抜けていく。
 らむね&アマギは芸術点を稼いだものの、ロスによって順位をふたつ落とした。
 ウィリアム、サイズが先頭集団。イナリが追い上げを見せ、辰巳が順位を上げていく。
 千尋は、コースアウトしたまま姿を見せない。
 そして、いよいよ第四コーナーへと差し掛かった。

●最後のストレート!!
 ギャラリーの妖精が見守る最後のストレート。
 第四コーナーを最初に抜けてきたのはウィリアムだった。
 カーブで受けた横Gを、魔光閃熱波を放った反動で体制を立て直す。続いてサイズ、頑丈さで巻き返した辰巳がこれに続く。

「ワッショーーーーーーーイ!!」

 突如、突如のことであった。千尋が、コース外からいきなり復帰した。
 直線こそ最短距離、その理屈によってはじき出したコース取りである。第一コーナーのコースアウトから、木々をなぎ倒して最短のショートカットを選んだのだ。
 思いついても普通はやらない、そこをやってみせるのが千尋の凄みだ。

「オラオラ道を開けな! お祭りハッピーガイのお通りだァ!!」
「てめー、ざけんなよ。いかせねーよ!」

 一躍トップに躍り出ようとする千尋の直線コースに、辰巳が激しい体当たりを仕掛ける。
 この熾烈な争いに、妖精たちは興奮した声を上げた。

 ああ、この瞬間のためにすべてを懸けてきたんだなぁ――。

 千尋は、ゴールしていないにも関わらず、何かを成し遂げた顔のまま、ゴールを目指して飛び込んでいく。

「――つーか、今更なんだけどさ。何で俺たち椅子でレースしてんだろうな」

 ふと冷静になる辰巳であある。
 何故だろう? そこに椅子があったからだろうか? ともかくレースは続く。

「ルックアットゴッドだ、諸君! リミットを超えたエキサイティングなチアリングを聞かせてくれたまえ、エンジェルたちよ!」

 最終コーナを抜けてきた豪斗は、まばゆい後光を放ってギャラリーのオーディエンスを求めた。ブッダチェアは百年もの木材を使用したため、ありがたいオーラも引き出されていた。
 そんな豪斗はカメラ写りなんかも気にしている。芸術点は重要なのだ。
 そしてまた、彼自身も強敵たちを記録に残そうとカメラを構える。

「いけ、アカツキアマギィ!! 私の事は気にするな!」
「炎と共にかっ飛べぇーーー! 妾たちのスパーリングインフェルノーーー!!」

 同時に、桜並木もぶわああっと咲いていく。
 その言葉とともに、スパークリングインフェルノ・ニケツフォルムの連結が解かれた。そして激しい炎と光を放つ。
 ここまで、らむね&アマギを乗せてきたイスは、限界であった。
 勝利を手にするには、切り捨てなければならないものがある。その答えが、らむねであった。

「これぞ秘技、アイドル切り離し二段ロケットじゃ! らむねちゃんの犠牲は忘れんぞー!」

 制御を失ったらむねは、どっかに飛んでいく。
 そして勢いが増すアマギ。サイズ、ウィリアムを一気に抜き去り、トップに躍り出た。
 だが、同時に椅子の崩壊も始まっている。
 ウィリアムのロッキングチェアも軋みを上げている。
 サイズの椅子は高速修理によって補強されながら駆け下りてきたのだ。この点は有利に働く。また抜き返す。
 アマギのスパークリングインフェルノ、ゴール寸前で崩壊! わずかに届かない!

「燃え尽きた……のじゃ」

 千尋のマッサージチェアがゴールに飛び込む! 続いてサイズが2位、そしてウィリアムが3位。
 豪斗のブッダチェア、辰巳の耐久ガン振り椅子、すーっと下ってきたイナリのナースチェアの順にゴールした。
 らむね&アマギ組は危険かと思われたその時――。

「いこう、アカツキちゃん!」
「らむねちゃん!」

 切り離されたらむねが戻り、スーパーアンコールである。
 ふたりで椅子の部品(底面)を抱えてゴールを目出す。
 そして手を取り合ってゴール! 最後にゴールした者にも惜しみない拍手が贈られた。

「えー、千尋選手の走行ですが、協議の結果“面白かったけどほぼコースアウトだしなぁ”ということ参考記録とさせていただきます」

 大会側からのアナウンスだ。
 参考記録は記録には残らない。しかし、皆の記憶に残ったのは確かである。
 そういうわけでサイズが最速のイスレーサーの栄冠に輝いた。2位のウィリアム、辰巳は3位に食い込んだが、桜を咲かせる粋な演出をしたイナリが繰り上がった。
 4位辰巳、後光が輝いた豪斗は5位であったが順位を超越して信者を獲得したようである。
 また、らむね&アマギには特別敢闘賞が送られた。
 こうして、優勝者したサイズに虹の宝珠つきトロフィーが贈呈されたのである。

成否

成功

MVP

サイズ(p3p000319)
カースド妖精鎌

状態異常

なし

あとがき

 イスレース2000、閉幕です。優勝はサイズさんとなりました。
 さまざまなドラマが生まれたイスレース、以上のような結果となりました。
 妖精たちの心にも何かが生まれたでしょう。
 楽しんでいただければ幸いです。
 それではまたお会いしましょう。

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