PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<鎖海に刻むヒストリア>荒れる大海に縛られたモノ達

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ――この青を『攻略』せよ。

 アルバニアを追い詰める激しい追撃はとどまる所を知らなかった。
 後半の海の苛烈さはこれまでの比較にならないが、死兆に侵された仲間達を救う為にはただ海を突き進むしかない。イレギュラーズ達の士気も高まろうというものだ。
 破竹の大活躍を続けるイレギュラーズの進撃を後押しするように海洋王国女王イザベラとソルベは一計を案じる。
 それは即ち、かつての敵国ゼシュテルより大援軍を引き出すという奇計だった。

 全ての準備を整えたイザベラ、ソルベは本号令につき採用していた少数艦隊で安全確認、掃海を行う現在までの作戦を放棄。
 ゼシュテル鉄艦隊と合流を果たした海洋王国・ローレット連合軍は大艦隊を結成し、乾坤一擲の大勝負に出る。
 それは即ちその後を考えない最後の作戦である。

 この一回を持ちて『絶望の青』を攻略する――。
 アルバニアを引きずり出すという鋼の意志の発露であった。

 威風堂々と海を征く大艦隊となった連合軍。
 その行く手を邪魔すべく姿を現したのは、大魔種・冠位嫉妬アルバニアが大群を率い、艦隊をねめつける。
 更に彼方を見れば、訪れた決戦に海賊ドレイクが姿を見せる。
 ネオフロンティアを巡る永き因縁はまさに最終章を迎えようとしている――!


 絶望の青に浮かぶアクエリア島。
 後半の海の中継地点となっていたこの島は、メンバーにとって攻略の為の最新情報を得ることができる場所でもある。
「この海の攻略も、大詰めを迎えているのは間違いないね」
 『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)が集まるイレギュラーズ達に声をかける。
 今回は状況もあり、手練れのメンバーばかりが集まっている。
 航行すら安定しないその海で、狂王種、幽霊船、変異種と討伐を進めて先へと向かうイレギュラーズ達。
 どうやら、海洋は鉄帝の力を借りるという荒業まで使い、絶望の海の攻略を強引に推し進めていたようだ。
「だが、アルバニアの鼻を明かすことはできたようだね」
 さすがに危機を察したのか、敵も大艦隊を組む海洋、鉄帝、イレギュラーズ連合軍の前に現れる。
 間違いなく、最前線は激しい嵐が荒れ狂うことになるだろう。
 
 そんな中、アルバニアの配下らしき影があり、その討伐を願いたいとオリヴィアは言う。
「近海に現れる水妖、そして、絶望の青の手前に位置する魔の海域。全部同じ魔種の計らいだったようだね」
 近海に現れた水妖がアクア・ローレライを名乗っていたが、今回現れるのは本物らしい。
 元海種、人魚の姿をした蒼い髪、上半身はビキニのみ着用した大胆なすがたをさらす美女だが、魔種となり果てた彼女はアルバニアの部下として今回イレギュラーズ達の邪魔をしてくるようである。
「本来、このアクアなる女はかなり自分勝手な女だったようでね。できる限り自分の手を下さなくていい手段を弄していたのさ」
 それが魔の海域にある島。
 島の中心に力ある石像を配置し、海流を起こして船乗りを島に誘い込み、紫色の靄で体力を根こそぎ吸収してしまう。
 合わせて、絶望の青に向かう際の障害にもなる。
 アクアにとって、何もせずとも絶望の青に人を近づけぬ為、一石二鳥の策だったのだろう
「石像は昔あった信仰の為に使われた像だったらしく、まれに海底に転がっているようだよ」
 石像は長い年月を経て、強い力を有していた。
 今回の相手はその石像を操る魔種だ。怠惰な相手だが、侮れば大けがではすまないだろう。

 絶望の青は激しい雨が降って荒れ模様となっている。大きく波がうねり、メンバー達の乗る船を苛む。
「数mの高さで船は上下する。船酔いしやすい者は注意しな」
 そんな中、相手せねばならないのは、アクアという海種に、石像が2体。
 石像は以前、魔の海域にある島の中心で戦ったのと細部の見た目こそ違うが、同じような能力を持つ。
 違うのは、その石像が海上では自力で動く力があること。地震の代わりに津波を使いこなすことだ。
「海種アクアは水妖の上位版とみていい。何せアクアの力の一旦を受けて誕生した存在が水妖のようだからね」
 ただ、その力は水妖の比ではないだろう。万全の対策をしておかねば、歌に惑わされてしまいかねない。
 どういう形で戦うかは、イレギュラーズ達の自由だ。
 50mほどある大型船を使うこともできるし、25mほどある中型船を2,3隻使って向かうこともできる。
 敢えて波に煽られやすい小型船で攻め込み、至近から攻撃を叩き込むのも一興だろう。
「今回、王国軍はアルバニアの方に手を取られている。悪いが、アンタ達だけでどうにかするんだよ」
 最後にオリヴィアは必ず戻って来いと、荒れ狂う海へと向かうメンバー達に発破をかけ、説明を終えたのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいです。
 絶望の青攻略、決戦となる全体シナリオです。
 当方でも不明となっていた石像について、一部謎が解明されるシナリオです。
 よろしければ、お付き合いくださいませ。

●目的
 魔種「アクア・ローレライ」の討伐。

 当方の一連の水妖、石像シナリオが関連シナリオではありますが、オリヴィアが説明している為、関連リプレイの既読は不要です。

●状況
 激しい雨で荒れた海域で魔種アクア、石像2体の撃破が必須です。
 それぞれ増援を呼ぶことはありますが、その3体さえ倒せばOKです。
 現場海域に向かうに当たっては、イレギュラーズにお任せする形です。相手は基本海上から攻撃を仕掛けて来ます。
 現場に向かう船の種類、数は自由に決められます(ただし、操縦は船ごとに行う必要があります。戦闘時は舵から手を放してもOKです)。
 大型船全長50m、中型船25m、小型船10mほどです。
 大型船は安定しているので、荒れ狂う海でも問題なく航行できるメリットがあります。
 対して小型船はかなり波に煽られますが、敵に直接近づいて至近~近距離攻撃がしやすい利点があります。
 どなたかが大中小どういう編成で向かうかを、纏めていただければ幸いです。

●敵
○魔種アクア・ローレライ
 身長1.5m程度。水色の長い髪を持ち、人魚の姿をした元海種の魔種です。やや怠惰な性格らしく、今回もアルバニアの決起に仕方なく従っての登場です。
 近海で生み出されていた水妖は彼女の魔力の影響で生み出されていたようです。

 近距離で直接相手に触れて体力を奪います。
 遠距離を得てとし、水を操って相手を包み込んだり、泡で相手を吹っ飛ばしたりする他、歌声で惑わせようとしてきます。
 ごくまれに自らの現身ともいえる水妖を生み出します。能力は自身の劣化版。強さは石像より弱い程度です。

○石像×2体
 島の頭頂部、木々がやや枯れて岩肌が露出した場所に立っている人の形をした白い石像です。
 高さは2m、幅は6~70cmくらい。浮力で海上に浮かび、海流を操って移動が可能です。
 同様の像が既に存在していたことから、この海で滅んだ種族が崇拝していた像ではないかと思われます。

 紫の靄を発し、生命力、気力を奪ってきます。
 この靄が固まると、ガスクラウドとして意志持つ個体となり、襲い掛かってきます。
 石像は膨大な魔力を有しており、眼光レーザーを発する他、地上では地震を引き起こしていた分を、津波として使用してきます。
 
●重要な備考
<鎖海に刻むヒストリア>ではイレギュラーズが『廃滅病』に罹患する場合があります。
『廃滅病』を発症した場合、キャラクターが『死兆』状態となる場合がありますのでご注意下さい。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <鎖海に刻むヒストリア>荒れる大海に縛られたモノ達Lv:15以上完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2020年05月23日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

郷田 貴道(p3p000401)
喰鋭の拳
リカ・サキュバス(p3p001254)
ラド・バウA級闘士
エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)
一ノ太刀
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫
リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)
叡智の娘
アリア・テリア(p3p007129)
いにしえと今の紡ぎ手
彼岸会 空観(p3p007169)
エルス・ティーネ(p3p007325)
砂国からの使者

リプレイ


 絶望の海後半にて、荒波を乗り越え進むイレギュラーズ一行。
 今回の作戦に臨むメンバー達は、海に浮かぶ強敵を相手にすべく、3隻の船に分乗していた。
 そのうち2隻が全長10m程度の小型船。直接海上の敵と戦うには効率がいいが、荒波に飲まれるリスクもある船だ。
「HAHAHA、それじゃあさっさと……荒波を越えて行こうか、エブリワン!!」
 しかしながら、『人類最古の兵器』郷田 貴道(p3p000401)にとって、大荒れの海など障害ですらないらしい。
「この島を乗り越えれば奴が待ってるんですよね。待っててくださいよ……!」
 『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)も中間地点のアクエリア島で倒れてられないと奮起する。
 奴……それは、この海に潜む魔種、壊滅病を引き起こすアルバニアだ。
「足元を掬われる訳にもいきませんものねー」
 『氷雪の歌姫』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)は、船が転覆しないようにと直接的な意味でも言う他、アルバニアや魔物に対する意味でも気がけて舵輪を握る。

 次の1隻は、全長25m程度の中型船だ。
「おっとと! 波が凄いねぇ!」
 その船の操舵を担う『希望の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)が刹那バランスを崩しかける。
「こんな所に長居してたら船が沈んじゃう! 早く仕留めて先に進まないとね!」
 3隻の中で一番大きな船だが、乗っていたのはアリアと『暴風騎士』エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)の2人のみだ。
「激しい雨、荒れる海……。はっはっは、こいつぁ中々のコンディションじゃねーか」
 もし、姉を連れてきていたなら、怒涛の勢いで血を吐いていただろうとエレンシアは笑うが、討伐対象を海上に発見すると表情を引き締めて。
「ま、それはさておき。敵は魔種と石像、さくっと終わらせるかねぇ」
 いささかテンション低めにこの場で待機していた人魚の姿をした魔種、アクア・ローレライ。
 海洋近海にも水妖が偽物として現れていたが、その本物であるらしい。
「……アクアの本体が出てくるとはね。仕方ない。偽物と同じように、殺してあげるとしようか」
 『銀蒼討』リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)はじっと討伐対象を見つめるが、そこで乗っていた小型船が大きく揺れる。
 操船を行っていたのは、リウィルディアの知人である『Ultima vampire』Erstine・Winstein(p3p007325)だ。
「船の操縦は初めてだけれど……、ここへ来る前に教えてもらったし、何とかやってみるわ!」
 カナヅチなErstineではあるが、手をかける短剣状のお守りのおかげで、なんとか絶望の青でも対応できていると感じていたようだ。
「此度の戦も佳境。纏わりつく死の香りは大変好いものですが……」
 今チームで唯一廃滅病へと罹患している彼岸会 無量(p3p007169)は、安穏とした地ではこの香りは楽しめないと語る。
「更なる死臭の只中へと身を躍らせる事こそが肝要で御座いましょう」
 そこで、向こうもこちらに気づいたらしく、人魚の姿をした女が腕を伸ばす。
 この海域から先へと進ませぬようアルバニアが配備したと思われる魔種アクア=ローレライ。
 彼女は大儀そうな仕草で石像に指示を出すと、周囲の海上に浮かんでいた不気味な人型の石像2体がゆらりと波に逆らうようにしてこちらへと近づいてきた。
「転覆防止のため、追い波とうねりには気を付けないとね」
 アリアは自船で同じく石像討伐に当たる小型船を目立たないようにしつつ、迎え撃つ。
 なお、小型船転覆時の救助船として役割も請け負う。
 もちろん、中型船でも数mある波では十分危険であり、甲板から海へと投げ出される危険はある。
 十分警戒を行うアリアの傍では、自らの翼で低空飛行を行うエレンシアが。
「長引き過ぎると魔種の抑えに負担がかかりすぎるからな、さっさと終わらせねぇとな」
 すでに、別の小型船1隻は石像を無視し、魔種を目指している。
 出来るだけ手早く石像を片付けようと、エレンシアは大剣を握る。
「陸にあったものを魔力で浮かせてとは、器用な石像があったものだね!」
 リウィルディアはそう言うが、文明跡として海底に転がっていた者をアクアが引き上げた可能性もある。
 いずれにせよ、迷惑な話だが……。
「最後の戦い……最後にしなきゃならない戦い……。全力を尽くさなくちゃね……! ここも、突破していきましょ!」
 Erstineが同船のリウィルディアと無量に呼びかけ、船を進めていく。
 そして、魔種を目指す船はかなり波に揺られながらも、速度を上げて。
「とっつげきー!」
 利香は船の先端で揺れをこらえながらも統制を働かせ、魔種に向けて剣を突き出すことで適切なルートを示す。
「ちょっと荒っぽい操舵になりますが、船の破損は気にしないでくださいませー」
 それを見たユゥリアリアがさらに加速する。
 この小型船、実は彼女が氷の術式によって構築したもの。他2隻に比べれば、乗り心地は決して良くないが、この戦いの間だけなら十分だろう。
 貴道にはそんなことは気にならない。
 彼の眼には、倒すべき敵、打倒すべき困難以外は入っていなかったからだ。
「かったるいわね……」
 魔種となったアクアは溜息をつき、大儀そうに詠唱を始め、早速泡を噴射してきたのである。


 過去の依頼によれば、魔の海流の島にあった石像は、島の生物の精気を奪う程の力を持っていたという。
「かつてあった信仰ならば。眠らせてあげるのが筋かもしれませんわー」
 とは、ユゥリアリアの談。どういう利用法をされていたかはもはや分からないが、人に害なす存在となったのであれば、破壊するしかない。
 そちらの破壊に当たるメンバーが集中できるよう、ユゥリアリアが操船する船3人が全力で魔種アクアの抑えに当たる。
「さっさと終わらせましょう」
「ユーの相手はミー達だ」
 貴道が高笑いして泡放射に吹っ飛ばされるのを耐えながらも、敵が得意とする遠距離攻撃、水妖作成を封じるべく近距離から攻め入る。
 そして、彼は魔槍の如き鋭い拳圧をアクアへと叩きつけ、強く気を引く。
「悪いが、しばらく付き合ってもらうぜ、HAHAHA!」
 表情を険しくするアクアへ、利香も挨拶代わりにと魔剣グラムを連撃で叩きつける。
 一撃の赤、二撃の黒。
 それらに傷を負うアクアはやはり気だるそうな態度のまま。貴道とのテンションの落差はあまりにも大きい。
 ともあれ、海中を自在に泳ぐアクアから離されぬようにとユゥリアリアは船の位置を気にかけながら2人に強化を施し、さらに氷の鎖を伸ばして魔種の体を縛り付けようとする。
 思った以上の力を感じたアクアは溜息をついて。
「まぁ、アルバニア様が警戒するだけの相手ってことね……」
 その強さに彼女は納得しながらも、すっと息を吸って歌い始めるのだった。

 一方、石像を相手する2隻。
 石像は危機を察してか、紫色の靄を噴き出しつつ近づく船目がけて両目からレーザーを放ってくる。
 そいつへと中小2隻の船が近づくが、船上のメンバー達は直線上に並ばぬようレーザーを避け、攻撃に乗り出す。
「短期決戦でいきましょう」
 端的に告げる無量は、鬼渡ノ太刀の切っ先で近い位置にある石像を惑わせようとする。
 僅かでも、石像の動きが止まればこちらのもの。
 無量は石像に切りかかり、斬撃痕を増やしていく。
 アリアは傍の小型船と狙いを合わせて石像の片方に攻撃を集中させようとして。
「石に石化のスキル使うのも、なんかおかしい気がするけど」
 状態異常は効きづらい相手だろうと踏むアリアは、宝珠を手に呪言を唱える。
 それは歪みの力を持ち、空間を越えて相手の防御を貫通してその体をねじ切ろうとしていく。
「ここを超えれば、アルバニア……何としてでも倒さなくちゃ!」
 Erstineが考えるとおり、アルバニアがこの先にいるからこそ、配下とした魔種が立ち塞がっているとみるのが自然だ。
 彼女は上手く自らが作った氷の小型船を魔種へと近づける。
 すると、リウィルディアが船が転覆しないようにとバランスを取りながら、相手を塵とすべくいくつも組み上げた魔術を全力で叩き込んでいく。
 5人がかりで石像の破壊に当たる状況の中、Erstineも船の移動に問題がなければ至近距離から仕掛ける。
「この大鎌に全魔、全力を込めるわ……!」
 魔術と格闘、彼女は軽やかな動きで斬撃を魔術を浴びせかけ、早くも石像に亀裂を入れていく。
 手応えは十分と感じていたErstineだったが、そこにもう1体が襲い来る。
 手前の1体が靄を発して体力を奪ってきたところに放たれてきたレーザー。
 まさかの石像の連携攻撃に、Erstineはパンドラを砕いて。
「全く、油断も隙もあったもんじゃないわね」
 敵の攻撃には十分警戒していた彼女だ。それだけに、対処が間に合わなかったのは歯痒い。
 全力で石像撃破をと考えていたメンバー達だ。多少のダメージはしかるべきだろう。
 靄を噴き出し、体力を奪う石像は非常に厄介な相手には違いない。
 ただ、海上での戦いは石像にとっても、水上というのは完全に慣れた場所とはいかないらしい。
 そうでなければ、2体で攻めてくることはなかっただろう。
 靄に苦しめながらも、イレギュラーズ達は石像を追い詰めて。
「これ以上、時間かけられねぇんでな!」
 エレンシアが憎悪の爪牙をもって亀裂が全体に入った石像を蹂躙していくと、ついに石像が砕け散る。
 噴き出す靄が一気に霧散し、欠片は波にのまれてあっという間に沈んでしまう。
 それでもまだ1体。
 エレンシアはすぐ、もう1体へと大剣の刃を差し向けていくのである。


 荒れ狂う海で、イレギュラーズと魔種アクア=ローレライと配下の石像達との交戦は続く。
 石像側は負担が軽減されたことで体力を奪われながらも順調に破壊を進めているが、魔種を相手にするメンバーが苦境に立たされる。
 アクアは当初、歌を歌い、こちらを惑わせようとしていた。
「そんな音痴で魅了のつもりですか?」
 ただ、利香に精神攻撃は効果がない。貴道もユゥリアリアもそうだ。
 私を誰だと思っていると言わんばかりに煽る利香はギフトの瘴気も使い、相手を煽る。
 合間に、貴道が我流のボクシングスタイルで立ち回り、渾身の力で殴りかかる。
「ああ、面倒くさい……」
 ならばと、歌を止めたアクアは水や泡を主体として攻撃する他、合間に水妖を生み出して手数をカバーする。
「暫くの間は全力でサポートいたしますので、存分にどうぞー」
 その時、ユゥリアリアが力の限り2人を支える構えを見せると、利香が生み出された水妖にウインクして強く気を引き付けていた。
 思うようにいかないアクアは少しずつ、闘志に火をつけていくこととなる。
「思い知りなさい……私の力を……!」
 広範囲に泡を吹き出してくる敵。さらに、水を操って体を包み込み、窒息を狙ってくる。
 貴道、利香はそれぞれアクアの強力な魔力により、体力を大きく削がれ、ユゥリアリアが天使の歌を響かせてなおパンドラを使ってしまうことに。
 ただ、それ以上はさせないと、深手を負いながらも各自、船上で粘り強く交戦を行い、時間を稼ぐ。

 石像を相手にする面々も楽ではなかったが、その後は順調に攻め立てる。
 靄が固まり、ガスクラウドが具現化すれば、無量が素早く切り裂いて対処する。
 Erstineが苦しむ魔種側メンバーも気がけ、すぐに駆け付けられるよう舵輪を握るが、あと一息。
 同じく操舵担当アリアは、歪みの力を持つ呪言で攻め立てる。
「スキルを撃つ余力を残しておかないとね」
 本命、アクアと戦う際、ガス欠では困ると、アリアは自らの魔力を気にかけていたようだ。
「奇妙な石像だけど、ここまでだよ」
 畳みかけられる攻撃に生命力吸収が追い付かない石像へ、リウィルディアがErstineへの回復を挟んでから、絡みつく2頭の悪性を食らいつかせて。
 次の瞬間、紫色の靄を噴き出し、石像は崩れてしまう。
「いよいよ本丸!」
 すると、アリアはすぐさま舵輪を握り、魔種を相手するメンバーの方へと船を寄せていく。
「お待たせ! さて、ここからが本番だね!」
 石像が砕かれたことで、魔種アクアの表情も陰る。
 さすがに面倒とも言ってはいられぬほど、相手も余力がないらしい。
「余力を考える必要が無いというのは良い事です」
 仲間の操船もあり、迫ってきた無量が告げる。
「要は貴女が死ぬか、私が死ぬか、それだけなのですから」
 無量は防御を考えず、まるで縫い付ける刃の如き邪剣を放ち、人魚の姿をした魔種を苛む。
「逢魔が時。果たして魔は此方か、其方か」
 今こそ、決着をとErstineも至近に迫り、変幻邪剣で逆に人魚を惑わさんとする。
 歌で惑わせられればと、魔種は歯噛みする。
「面倒ならわざわざ出て来なけりゃよかったのにな、まあそう言ってもられねぇってか?」
 そこで、低空飛行するエレンシアが迫る。
「どっちにしろ、こうして対峙した以上は始末させてもらうがな」
 石像と同じく、エレンシアは赤と黒の連撃を叩き込み、魔種の体力を大きく削いでいく。
 内側に毒を、外側に炎でその身を侵される人魚だが、その目はまだ何かを狙っている。
「一度倒しているとはいえ、あれは偽物の水妖だ。今度は油断できない」
 距離を取るリウィルディアは気を抜かず、2頭の悪性を絡みつかせ、気力魔力を奪い取っていく。
 石像が倒れたことで仲間達が集まってきたこともあり、ユゥリアリアは一気に船をぶつける勢いで接近させ、速攻撃破を願うべく旋律を口ずさんで相手を虚脱させようとする。
 そこへ、貴道が腕を鳴らして近づく。
「……そろそろいいだろ。KOタイムだ。鬱憤晴らさせてもらうぜ、ファッキンローレライ?」
 気を引く相手へ、なおも貴道はファイティングポーズを取り続けて渾身の力で敵を打ち付ける。
 ただ、その時、アクアが強烈な勢いで呼び起こした泡を噴射する。
「ああっ!!」
 直撃を受けそうになった貴道を庇った利香が海へと投げ出されてしまい、彼女を助けるべくユゥリアリアが海に飛び込んでいく。
 次の手を講じようとするアクアを、船上にいるイレギュラーズ達が一気に攻め立てる。
 なおもエレンシアが斬撃を浴びせかけ、アリアが多数の小妖精を一時具現化して。
「仲間の為にも、この先に進まないといけないの。だから……邪魔しないで!」
 廃滅病にかかってしまった仲間の為に。
 なおもアリアが空間を越えてねじ切る歪みの呪言で相手を苛むと、リウィルディアが今度こそはと魔術を行使して。
「出てこなければよかったんだ。だけど君は、アルバニアに従い出てきてしまった」
 相手を塵に帰さんとするリウィルディアの圧倒的な魔術攻撃。
 それがアクアの体を打ち付け、破壊していく。
「……残念だけど、さよならだよ」
「う、ああっ……!」
 失われた体力を補填しようと、アクアはErstineへと触れる。
 しかし、海からユゥリアリアが歌を歌って回復に当たり、無我夢中になって泳ぐ利香が桃色の剣閃を飛ばす。
 思わぬ方向から傷つけられたアクアは狙いを利香へと変えようとしたが、Erstineが黙ってはいない。
「私だって……この航海を果たさなくちゃいけないから……!」
 これがトドメだと言わんばかりに、氷の旋風で敵の体を切り裂く。
「HAHAHA!」
 続けざまに、貴道が左右同時にストレートパンチを繰り出す。
 旋風と殴打を浴びたアクアはノックアウト寸前になりながらも、再び体力吸収にと無量を狙う。
 そこでもし、アクアが歌を歌っていたなら、何人か歌声で惑わせられたかもしれない。
 もっとも、無量は鼓膜を破ってでも、アクアを倒す気概でいたが。
「聴こえぬ歌に、如何酔い痴れられましょうや」
 彼女は視界に入った斬るべき線に沿って、ただ太刀を振り下ろす。
「あ……」
 もはや、魔種は抵抗する力も残っておらず。
 うなだれるようにして荒波の中へと沈んでいったのだった。


 討伐後、海に投げ出された利香がやや涙を浮かべながらも、ユゥリアリアへと保護されて船へと戻っていく。
「ひぃん! バカー!」
 カナヅチな彼女は無我夢中で術を使い、事なきを得たようである。
「魔種は悲劇的な存在も多く見てきたけれど、罪に溺れた存在もいるって感じかしら、ね……アクアは」
 なお、Erstineは自らの傷の深さもあり、手当てしてもらいながらも、魔種になり果てた海種女性にそんな感傷も抱いていたようだ。
「さぁ、アルバニアまではすぐそこまで来てるはず。このまま突き進みましょ!」
 そんな彼女の言葉に頷く面々は、手当をしながらもさらに先の海域へと進むことにしたのだった。

成否

成功

MVP

彼岸会 空観(p3p007169)

状態異常

郷田 貴道(p3p000401)[重傷]
喰鋭の拳
リカ・サキュバス(p3p001254)[重傷]
ラド・バウA級闘士
エルス・ティーネ(p3p007325)[重傷]
砂国からの使者

あとがき

リプレイ公開中です。
MVPは1体1体確実にダメージを与え、魔種にとどめを刺したあなたへ。
各メンバーの船の配置も感謝です。
今回はご参加、ありがとうございました!

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