PandoraPartyProject

シナリオ詳細

集落を燃やす火トカゲの群れ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 深緑で新たな事件が報告された。
 現状、魔種、キメラによる妖精達の住む幻想郷への侵攻事件が起きている中だったこともあり、最初はそちらの事件かとも考えたローレットのイレギュラーズ勢。
 しかしながら、話を聞いてみれば、それとは違った別の事件が発生していたようだった。
「集落を燃やした火トカゲ……か」
 話を聞いたフレイ・イング・ラーセン(p3p007598)が顔を顰める。

 フレイはローレットでこの依頼を受け、連絡のついたイレギュラーズの仲間達とで事件の解決の為、深緑へとやってきていた。
 事前情報によれば、大樹ファルカウまでなんとかたどり着いた幻想種の男性は黒焦げになった服や鎧を纏っており、全身火傷を負った状態で保護されたのだという。
 男性は今、ファルカウにある病院へと入院しており、イレギュラーズ達は直接本人から事情を聴くべく病室へと向かう。
「自分達の身を犠牲にして、民を守った自警団……さすがね」
 レイリ―=シュタイン(p3p007270)が感嘆し、彼女の傍にいた天之空・ミーナ (p3p005003)が気になったことを問う。
「集落の人達は?」
 どうやら迷宮森林内へと散っていったようで、全容の把握はできていないと男性は首を横に振る。
「無理もない。自分だけが生き残った状況で、情報収集も何もあったものではない」
「今はゆっくり体を休めて。治療に専念してね」
 ポテト=アークライト (p3p000294)、リゲル=アークライト (p3p000442)の夫妻が彼の身を案じる。
 まだ絶対安静の状態だということでほとんど情報は聞き出せず、イレギュラーズ達は医療関係者に促されて病室を出ることにした。

 次にメンバー達は医療関係者からの情報提供によって、その集落から逃れた親子に接触することができた。
 タリアという名の母親と子供2人で、父親は行方不明なのだという。
 現状、子供達が軽傷を負っていて、手当の為に通院していたのだと母親は語る。
「……そうか、大変だったな」
 ベネディクト=レベンディス=マナガルム (p3p008160)がその一家の状況を慮る。
 ファルカウまで避難してきた彼女が聞いた話では、この事件は事故によるものだとのこと。
 集落にいたとある精霊術士がサラマンダー3体を呼び出し、同じく3体のトカゲに憑依させたらしい。
 全長2m程にまで大型化して実体化した火トカゲ達は力を制御できずに暴走し、集落全体を巻き込む大事故となってしまったのだそうだ。
 精霊術士は暴走に巻き込まれて焼死。
 駆けつけた自警団はなすすべなく火トカゲに燃やされてしまい、集落民も半数以上は犠牲となったのは確実だとタリアは言う。
「まだその火トカゲは集落跡に留まっているのだな?」
 クロバ=ザ=ホロウメア (p3p000145)の問いに、母親はそのようだと頷く。
「新たな動きを見せる前に、討伐せねばなりませんね」
 ティア・マヤ・ラグレン (p3p000593)もそれだけの力を持つ火トカゲ討伐の必要性は高いと再認識する。

 子供達を病院に残し、母親タリアの案内で迷宮森林を進むイレギュラーズ達。
 しばらくして、到着した事件現場……集落はまだ焦げ臭さが漂っていて、タリアが顔を背ける。
 彼女に木陰へと隠れるよう促し、フレイら8名のイレギュラーズは黒焦げになった集落跡に浮かぶ3体の大きな火トカゲ達を直視して。
「思うことはあるが……、新たな被害を出す前に倒させねばならん」
 ふらふらと空中を浮遊する火トカゲは獲物を見つけたと言わんばかりに、全身の炎を勢いよく燃え上がらせるのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。なちゅいです。
 今回はリクエストシナリオのご依頼、ありがとうございます。

●目的
 サラマンダー3体の討伐。

●敵
○サラマンダー×3体
 全身を燃え上がらせた火トカゲです。
 全長2mほど。空中を飛ぶことができるようです。
 いずれも以下のスキルを使用します。

・火炎ブレス……(P)神中扇・【業炎】
・のしかかり……(P)物近単・【火炎】・【乱れ】
・ファイアボール……(P)神遠単・【火炎】・【弱点】
・感情爆発……(P)神中単・【怒り】・【恍惚】
・炎耐性……(A)火炎無効

●状況
 深緑の幻想種の里を滅ぼしたサラマンダー達の討伐依頼です。

 暴走した精霊が具現化した状態となっており、現状集落に留まっておりますが、いつ外へと飛び出して森を焼いてしまうか分からないことを考えれば危険な相手です。

 OPの通り、幻想種の女性タリアの案内で焼け跡となった集落跡に向かい、サラマンダー3体の討伐に臨みます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 集落を燃やす火トカゲの群れ完了
  • GM名なちゅい
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年05月19日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)
穢翼の死神
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ
フレイ・イング・ラーセン(p3p007598)
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃

リプレイ


 依頼を受けたイレギュラーズ達は幻想種女性タリアに案内され、迷宮森林の中を歩く。
「ハーモニアの里を焼いたサラマンダーか」
 改めて当事者から状況を確認する身を包むような黒翼を背にした飛行種男性、『天戒の楔』フレイ・イング・ラーセン(p3p007598)が顔を顰める。
「集落を燃やす事が出来るだけの魔物が現れるとは……」
 剣と魔法の世界からやってきた『特異運命座標』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)が聞いた話では、幻想種は炎に恐れを抱く者が多いとのこと。
「彼らにとって、その魔物は天敵のようなものか」
 フレイもベネディクトの意見について否定はしないが、今回に関しては不幸な事故との認識だ。
(恨む相手ももういないとなるとやるせないよなぁ)
 フレイはそこで、表情を陰らせる集落の生き残りである幻想種女性タリアへと、こう続ける。
「生きていてくれてありがとう。それと、もっと早く助けられなくてすまなかった」
 そんなフレイの気遣いに、タリアは小さく首を横に振る。
 あまりの炎の勢いに、駆けつけた自警団すら壊滅した状況だったのだ。詮無き事だとタリアは割り切っていた。
 ただ、そのサラマンダーは今なお燃え尽きた集落に留まっているという。
「依頼を引き受けた以上は必ずやり遂げて見せよう」
 だから、安心して子供達の傍についていてほしいとベネディクトは告げたが、タリアは成り行きだけはしっかりと見守りたいと希望を口にしたのである。

 目的の集落跡が近づくと、まだ木の焦げた臭いが漂ってくる。
「無茶な力の使い方で精霊を暴走させるなんて……!」
 普段はマイペースな樹精、『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)だが、ただならぬ雰囲気を感じ取っていた。
 イレギュラーズ達は近場の木陰へとタリアに隠れるよう指示して、集落跡へと入っていく。
 すでに、家屋はほぼ全壊していたが、天義出身の騎士『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)は、これから始まる戦いの前に保護結界を使わずにはいられない。
「焼け跡ではあるが……、これ以上荒らされるのは忍びない」
 そして、メンバー達は集落跡中心に近付くにつれ、熱さと眩しさを覚えて。
「深緑の森を燃やす不届きな輩、という奴かな」
 赤いマフラー着用の銃剣士、『真実穿つ銀弾』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)は仲間達戦闘準備が整うまで、討伐対象に気付かれぬよう物陰に身を屈める。
「サラマンダー、炎の精霊だっけ?」
『この場では蜥蜴に憑依させた様だな』
 作戦を再確認しながら、背に二対の黒翼を持つ『穢翼の死神』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)が胸部の十字架に宿る神と語る。
「制御出来なくなっちゃったなら、しっかり討伐しないとね」
『油断しない様にな?』
「してないよ。私達に出来る事は全力で叩き潰すだけだから」
 淡泊にも見える神だが、ティアのことを気遣っているのが言葉の端々に感じ取れる。
「集落を燃やした火トカゲか」
 義により参加を決めた機械の四肢を持つ女騎士、『展開式増加装甲』レイリ―=シュタイン(p3p007270)も討伐すべき敵を視認する。
「やれやれ……こういう森の中で火は勘弁願いたいものだがね」
 怠惰な雰囲気を纏う『傍らへ共に』天之空・ミーナ(p3p005003)が悪態づく。
 なんでも、元居た世界で死神だったというミーナは、仕事が増えることを思い出すのだとか。
 この場にいるサラマンダー達がずっと居座るとは限らない。別の集落を襲えば、ミーナの元の職務でいうところの仕事を増やす可能性がある。
「ここで止める。それが民を護る騎士として果たすべき役目だろう」
 皆の準備が整ったことで、クロバは仲間達と共に敵前へ……全身を炎で包む3体の大柄なトカゲの前へと姿をさらす。
「悪いが、そこはお前らの住まいではない」
 集落中央に集まる炎の精霊を憑依させたトカゲ……サラマンダー達が呼びかけを行ったクロバをメインに、イレギュラーズ達へと視線を向けてくる。
 まだ、獲物がいたと言わんばかりの獣の目だ。
「お引き取り願うか――それとも集落の人が戻ってくる為の花火にさせてやる」
 ガンブレードを構えたクロバに、サラマンダー達は全身の炎を勢い良く燃え上がらせ、威嚇してくる。
「さてはて。まずはやってみるか」
 敵の引き付けの為、飛び出すフレイ。
 イレギュラーズ達は事前の作戦通りに布陣を整えていく。
「名誉ある戦死を遂げた自警団に報いる為にも、ここで確実に討伐しよう」
 リゲルは伴侶であるポテトに視線を向けて。
「これ以上犠牲を増やしてはならない。いこう、ポテト!」
「あぁ、精霊たちには悪いが、これ以上被害を拡大させるわけには行かない。ここで止めよう!」
 燃えるトカゲ達と対する夫を、仲間を支える為、ポテトは全力で回復に専念する構えだ。
 シャアアアアア…………ッ!
 牙を剥くトカゲ達は人に仇なすべく、燃え盛る炎を発してきたのだった。


 まだ、集落のあちこちで燃えカスがパチパチと音を立てている。
 この場にいるサラマンダー3体をフレイは改めて見やると、ゆらりと宙にその巨体を浮かべ、イレギュラーズ達へと近づこうとしてくる。
 炎を吐き掛ける1体の背に、素早くクロバが張り付く。
 飛行能力を奪うべく自らの魔力をガンブレードへと集めて、彼は敵の背中を切り裂いていった。
 現状、低空飛行している敵だが、飛び上がることを警戒しつつも、リゲルは最も遠い敵に抜き身で断罪の刃を浴びせかけ、引き付けに当たる。
「なかなかに手強そうだな」
 フレイに言葉に頷くレイリーが前方を向き、名乗りを上げる。
「私の名はレイリー=シュタイン。さぁサラマンダーよ、私を燃やすことが出来るかな!」
 レイリーは大楯「アクロアイトアイギス」を突き出して、不動の構えをとる。
 フレイもまた重ねてサラマンダーの気を引いて。
「来い、この俺、フレイ・イング・ラーセンが相手になろう」
 クロバが押さえつける敵も合わせ、2体の敵がゆらりとフレイとの距離を詰めていく。
 引き付けに当たるメンバーに、サラマンダーはのしかかり、自らへと気を引こうと相手の感情を爆発させて存在感を示す。
 囮、盾となる仲間の回復にはポテトが当たる。
「火トカゲか……炎が厄介だな」
 燃え続ける炎はじりじりと仲間の体力を削いでしまうし、中にはこちらを無防備にしたり、布陣を乱そうとしたりしてくる。
「冷静にいこう。これ以上の犠牲は出させない全員で無事に帰るんだ!!」
 状況を魔性の直感で完璧に理解したポテトが号令を上げ、状況を整えようとする。
 その一方で、ポテトはサラマンダー達にも視線を傾けて。
「お前たちも好きで暴走したわけではないだろう」
 元々精霊である彼女は、トカゲの体へと強引に入れられた炎の精霊達を慮っていた。
 その間に、各個撃破に動くメンバーが討伐を加速させて。
 ティアは仲間に回復を任せ、クロバが狙った1体を確実に落としにかかるべく、薔薇の花びらを舞わせてくるくる回転する。
 そのティアに見とれる敵へとミーナが襲い掛かり、精神を集中させて闇の領域を一時的に作り出す。
 ――さあ、恐れ慄け、そして食われろ。
 ある意味で、闇を抱えてしまったサラマンダー達。
 精霊としての自我がまだ残っているのか、それとも新たな意識が芽生えているのか、はたまたすでに獣となり果てているのか……。
 ミーナの生み出す闇はそんなサラマンダーのうちの1体を飲みこもうとして。
 仲間達の動きを見て動き出すベネディクトは、攻撃の集中しているサラマンダー目がけて攻め入る。
「言葉が通じるとは思わんが、ベネディクト=レベンディス=マナガルム。此れより、お前達を討つ!」
 名乗りはあげるもスキルとしての効果を示すことなく、ベネディクトは狙った敵を中心に、仲間を巻き込まぬよう短槍で斬撃を浴びせかけていく。
 精神力が高いのか、メンバー達の注意をから反れることの多いサラマンダー達。
 そいつらは火球を放ち、火炎ブレスを噴き出してきた。
 イレギュラーズ達は身構え、集落を、集落民や自警団の命を燃やした炎を堪える。
「村の人々はこれ以上の痛みと恐怖に苛まれたのだろう。負けてはいられない!」
 歯を食いしばって炎に耐えたリゲルは目にも留まらぬ速さで断罪の刃を放ち、サラマンダーの身体を切り裂いていくのである。


 炎纏うサラマンダーは立ち塞がるイレギュラーズ達をも燃やそうと炎を発してくる。
 燃やすのは体だけでなく、感情をも爆発させて意識を奪おうとするから面倒な相手だ。
 各サラマンダーを盾役のレイリー、フレイが押さえつけようとするが、注意を引きつけ続けるのが難しい相手なのも厄介なところ。
 ミーナは取り出した式符より毒蛇を生み出してサラマンダーへと襲い掛からせた。
 だが、盾役2人の抑えをすり抜けたサラマンダー達は彼女にのしかかり、反撃の炎を浴びせかけてくる。
 エスプリの効力もあってしっかり反撃を叩き込むミーナだったが、思いもしない攻撃にパンドラを砕いてしまう。
「どうだ、レイリー? まだやれるか!?」
「大丈夫だが、抑えがうまくいかず……。すまない」
 レイリーの謝罪を耳にし、身を起こすミーナは天使の歌を響かせていた。
 思った以上に捉えどころが難しい相手に、盾役メンバー達も苦戦していたようだ。
 しかし、各個撃破を目指すメンバー達が1体のサラマンダーを追い込む。
 逃走せねばという本能はあるらしく、空へと逃れようとした1体をクロバが弾丸に瞬時に魔力を込め、爆炎と共に斬撃を浴びせかけていく。
 いくら炎の体を持つ相手とはいえ、爆発に爆風によるダメージは避けられない。
 さらに、クロバの銃剣でトカゲの実体を切り裂かれ、サラマンダーはその身を燃やし、黒焦げになって地面へと落ちていく。
 ポテトはそれを悲痛な表情で目にしながらも、仲間が焼かれてしまわぬようにと調和の力で癒しをもたらす。
「私たちはお前たちの痛みや苦しみを終わらせてやるしか出来ない」
 そして、彼女は残っているサラマンダー達へと呼び掛ける。
「本当の意味で救ってやることは出来ないけど……もう眠ろう?」
 言葉は聞こえているはずだが、体を燃え上がらせたその獣達は荒ぶる力をイレギュラーズ達へとぶつけてくるのみ。
 ミーナが危機に陥ったこともあって自ら回復に当たり始めており、ポテトも癒しの力で仲間達を支える。
「想像していたよりも、火の勢いが強い」
 ベネディクトもサラマンダーの猛攻に舌を巻きつつも、槍を振り被って。
「だが──耐えられない程じゃない!」
 黒狼のマントで時折飛んでくる炎を受け、ベネディクトは仲間達が狙いを定める1体へと突進を仕掛ける。
(相手は飛行持ち。遥か上空に飛んでしまえば、俺にはどうにかする術は無い)
 ただ、クロバやフレイがサラマンダーを高く飛ばせないよう飛行しての攻撃を繰り返してくれている。
「もっとも、俺が出来なくても仲間達が出来ないとは言っていないが」
 精神的な抑えは難しくとも、物理的になんとか頭上から押さえつけている状況が続く。
 集中攻撃が続く中、高度が落ちてきた敵を狙ってベネディクトが威力に特化した渾身の一撃を突き込み、サラマンダーの体を穿つ。
 全身から炎が消えたそいつは浮力を失い、力なく地面へと落下していったのだった。

 残りが1体となれば2人がかりで抑えることができ、かなり楽に戦いを進められるようになる。
 レイリーもこれ以上はと盾を構えて炎の直撃を防ぐ。
「お前の気合はこの程度か! 私は全然効かぬ!」
 絶対に『不倒』と踏ん張るレイリーは全身を炎に焦がされながらも、仲間を守る。
 体の大きさもあり、攻撃は通る相手とティアは判断していた。
 問題は、思わぬ火力と精神耐性を持つ相手だということ。
 機動性を活かしつつ、ティアは相手の視覚へと回り込む。
 クロバの猛攻で相手が隙を見せれば、ティアは格闘と魔術を合わせた連撃を叩き込み、追い込んでいく。
 危機を察すれば、サラマンダーも高度を上げようとするが、フレイがそれを許さずのしかかりを盾で受け止めながら、細い剣状になった焔で魔を喰らう一閃を撃ち込んでいく。
 落ちてきた敵を捉え、リゲルが仕掛ける。
「準備は整った。思いっきり火力を叩きつけてやるぞ!」
 銀閃を煌めかせた彼は、敵の心臓を貫く。
 精霊が宿っていようが、その実体が生命活動を行っているならばそれまでだ。
 最後のサラマンダーもまた燃え尽きてしまい、焦げた草むらへと倒れ込んでしまったのだった。


 全てのサラマンダーを討伐して。
 集落跡の状況をティアが見回しながらも、仲間の傷の手当ても行っていた。
「生存者がまだ残されていたりするでしょうか?」
 ティアが言うように集落跡だけでなく、この周囲の木々や草むらの陰に身を隠したままの集落民が隠れていないかと気にかける。
「全く、派手にやってくれたもんだぜ……。無事な人は逃げたっつー話だが……」
 ミーナはそう呟いていたものの、同行していたレイリーが集落周辺を捜索し、逃げ出したにもかかわらず息絶えてしまった集落民を発見し、回収していた。

 改めて、集落跡。
「この里の再建の準備を手伝おうと思ってな」
 そう主張するフレイを中心に、リゲル、ポテトが集落内の片づけなど作業を始めるのだが、瓦礫の撤去、燻ぶる火の消火とやることは山積みだ。
 また、犠牲者の墓を一人ずつ丁寧に建てていく。
 サラマンダーの襲撃によって命を落とした集落民、自警団。
「……救えなくて、本当に済まないな」
 フレイやベネディクトがその埋葬を行う中、回収した遺体を運んできたミーナがその手伝いに当たる。
「死神の力が使えない私にできるのは、こんなことくらいだから」
 手厚く葬った人々に対し、皆で手を合わせて鎮魂を祈る。
「あとで、入院中の自警団男性に見舞いの果物の一つでも持っていこうか」
 事態が収拾したことを伝えるだけでも、幾分か男性を安心させることができるだろうとベネディクトは考え、後でファルカウに向かうことにする。
 丁度、タリアは病院に預けたままの子供を引き取る必要があると同行を申し出ると、クロバが合わせて要望を口にする。
「ファルカウまで逃げた者も少なくないだろう。魔物が倒されたと伝えたいところだな」
 この近辺はともかく、迷宮森林を自由に行き来するのは少し難しい。
「死神クロバ=ザ=ホロウメア、っていえば、ちょっとは深緑で響きが良いんじゃないかな?」
 最悪、クロバが自分の名前を出せばいいと告げると、タリアは快く了承してくれた。
 なお、サラマンダーの亡骸を利用して集落の安全を知らせることもクロバは提案していたが、周辺を綺麗に掃除していたポテトがそれは勘弁してほしいと願う。
「サラマンダーだって被害者だ。だから、せめて遺体は弔ってあげたい」
 そこに集まってきていたのは、レイリーやミーナが保護したタリア含め5,6人の集落民達。
 戦いの間に、タリアが近場に逃げていた集落民と合流していたようだ。
 彼らとしては複雑だが、再び集落に戻れるようにしてくれたローレット勢の願いとあって集落外にならと了承してくれた。
 焼け跡の残る集落跡が視界に入れば、彼らが複雑な想いを抱くのも無理はない。
「森の生命力は凄まじいもので、きっかけさえあればすぐに萌え広がるだろう。焼け跡もすぐに緑へと還るだろう」
 フレイのその主張も森に住む彼らもわかってはいるのだが、この後の復興を考えれば気が重くなるのも無理はない。
 その時、リゲルがそっとポテトに歩み寄って手を握り、甲にキスをして。
「頼んだよ、ポテト」
「あぁ、任せてくれリゲル」
 その手を握り返したポテトが焼け跡へと進み出る。
 燃えてしまった物が戻ることはもうない。
 ただ、時が経てば再び自然は戻る。新しいものを育むことができる。
 ポテトは作業の間に、周囲の植物から様々な種や苗木をもらっており、それらを集落のあちらこちらへと植えていく。
「サラマンダーはもう居ない。緑を、希望を取り戻せるんだ」
 リゲルの声に応じるかのように、ポテトがギフトを使い、植えた種や苗木を育てていく。
 ――どうか、犠牲になった人達が安らかに眠れますように。
 ――生き残った人達が笑いあって過ごせますように。
 樹精であるポテトの願いに応え、みるみるうちに木々が育っていく。
 その光景に、生き残った集落民の目にも光が差していく。
「皆でもう一度やり直しましょう! 人々が再び暮らせるよう整えよう」
 同じ深緑の民を守る為に命を散らした自警団らもきっと、それを望むはずだとリゲルは叫ぶ。
 彼が透視で見た木々の先にはもう2人、身を顰めていた集落の幻想種の人々の姿が。
「生き残った俺達が遺志を継ぎ、未来へと紡いでいこう」
 それに賛同した集落民達は集まって手を取り合う。
 彼らは芽吹いて成長する木々を見つめ、前を向いて、踏み出す決意をしたのだった。

成否

成功

MVP

フレイ・イング・ラーセン(p3p007598)

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは抑え、事後の集落民へとケアなど、
 幅広い活躍を見せたあなたへ。
 今回はリクエスト、ご参加、ありがとうございました!

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