シナリオ詳細
勇者の正義
完了
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オープニング
黒い翼が空を覆い、魔物が地を這う世界に光明があった。それこそが勇者。勇者だけが魔王を倒すことができると言い伝えられている。
だが、今いるのは勇者候補のみ。正式な勇者として認められるには、賢者から聖剣を受け取る必要があるのだ。
そのたった一人の勇者候補であるルーはなんとしても聖剣を手に入れるのだと力を入れていた。それは彼の幼少期に遡る。
——
————
「お父さん、お母さん、かくれんぼ? うん! やる! お父さんもお母さんも早く見つけてね!」
クローゼットの中に隠れた僕は全く知らなかった。両親が僕を魔物から遠ざける為に、突然かくれんぼなんて言い出したなんて。
逃げてきた両親が僕の目の前で魔物に殺された。魔物はピチャピチャと血を啜り、臓物を引きちぎっては食べた。
吐き気を催すのを必死に堪えながら、僕は震えながら、それを見ているしかなかったのだ。
——なんと非力なんだろう
——なんと無力なんだろう
——なんで僕の両親が死ななきゃいけないんだろう
魔物は僕の両親を食べ終えてノソリノソリと周りを物色したが、僕は幸運なことに見つからなかった。僕は両親の願い通りに生き延びたのだ。
————
——
ルーの胸には魔物を同じように殺してやるという復讐心が灯った。それからは魔物に復讐してやる一心で強くなってきた。人の中では一番強いという自負もある。
だから、ルーは信じてた。聖剣を手に入れられるに違いないと。だが、賢者に僕の正義を語っても、賢者は首を横に振るばかり。
聖剣を誰かが手にできなければ、この世界は滅んでしまう。
神は祈った。世界を誰か救ってください、と。
カストルは特異運命座標に声をかけて回っていた。
「世界が一つ滅びそうなんだ。その世界では魔王と勇者が戦うはずなんだけど、勇者候補はいたんだけど、勇者にはなれなくて……。このままじゃ、魔王が世界征服を果たしてしまう寸前なんだ。だから、どうか、力を貸してほしい」
- 勇者の正義完了
- NM名綴
- 種別ラリー(LN)
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年04月30日 21時54分
- 章数1章
- 総採用数12人
- 参加費50RC
第1章
第1章 第1節
賢者は只問う。「汝の正義を見せよ」、と。
ーーーーー
貴方なりの正義を賢者に語って下さい。
正義が認められれば、貴方に聖剣が与えられるでしょう。
※ 本ラリーシナリオ内でのみ使用可能です。
第1章 第2節
ハロルドは賢者を鋭い眼光で突き刺すように、真っ直ぐに自分の正義を語る。
「正義、か。悪いが俺は自分のことを正義だと思ったことはない。俺が正義かどうか、それは俺の生き様を見た人々がそれぞれ勝手に決めれば良い」
賢者は興味深そうにハロルドを見た。
「さすれば、汝の生き様を語られるがいい」
「俺が語るとすれば、それは己の信念のみ。誰かに正義と言われようが悪と断じられようが知ったことではない。俺は己の信念を貫き通すまでだ」
賢者は、ほうと一息を吐き、顎の髭を撫でながら、問う。
「汝の信念とは如何ようなものぞ」
「俺の信念は、平和な世では生きられない身だとしても、決して己から戦乱を起こさず、平和を乱す『魔』の存在を討つ為に聖剣を振るう。そして、平和を齎した後は静かに去り、次の戦場へ。いつかくたばるその時まで、俺は『魔』を討ち続けることだ」
賢者は真剣な眼で、手に力を込め始める。そうすると、光と闇が混ざった球が生み出された。
「汝の信念しかと受け取った。汝は勇者に値する。聖剣を授けよう」
「いらん。俺には聖剣リーゼロットがある。この世界の魔王をブッ殺す機能を一時的に付与してくれさえすればそれでいい」
「では、其のように」
光と闇とが混ざった球が、聖女の生み出した聖剣リーゼロットに吸い込まれていく。
「此れで魔王が倒せる筈じゃ。どうか、此の世界の魔も倒してくだされ」
「当然だ。それが俺の信念だからな」
成否
成功
第1章 第3節
ノリア・ソーリアはポツリポツリと話し始める。
「正義なんてもの、わたしにはさっぱり、わかりませんの。わかるのは、たった、ひとつだけ。……誰だって、おそろしい目に遭いたいだなんて、思わないということですの」
賢者は肯く。
「そうであろう。誰だって傷付きたくなどないものじゃ」
「わたしには、ルーさんの代わりに復讐したり、魔王を倒したり、そんな自信は、ありませんけれど……。困っているかたを助けたり、つるんとしたゼラチン質のしっぽを見せびらかすように隙だらけになって、襲われているかたの、身代わりになるくらいなら、できますの……。もちろん、あらかじめ海の力を自らに与えて、敵に攻撃された分をお返しするのですけれど」
賢者は唸る。
「自らを犠牲にすることこそが汝の正義ということか」
「わたしは、勇者のつもりなんて、ありませんの
でも、聖剣をもらうことで、誰かが、勿論自分も助かるというのなら…勇者にだって、なりますの」
賢者は微笑んで、手に力を込めた。それは海の青。寄せては返す波のように。何もかもを包み込む海の包容力のように。そして、その力は集約して、華やかな透明なドレスを生み出す。
「弱きを守る気持ちは勇者に相応しい。この聖剣は汝の身を守り、魔王に反撃する力をもつであろう」
「剣ではありませんのね!?」
「それぞれの勇者に相応しい聖剣が生まれるものじゃからの」
ーー
聖剣機能:攻撃を半減し、攻撃の二倍で反撃する
成否
成功
第1章 第4節
リゲルはルーを見て、そこに若き父の過ちを視た。父が復讐心で得た力は魔種に堕ちることで得たものだ。きっと、今のルーが復讐心で力を得たとしても、それは悪に染まりやすいものだろう。
だから、リゲルはルーに声をかけた。
「大丈夫だよ。俺達が聖剣と共に、魔王を打ち倒す。だから焦らず、待っていて欲しい。君の心が、憎しみから解放されるよう願っているよ」
「そう思えればいいのにな」
ルーはリゲルに感謝し、葛藤しながらも、復讐心を捨てることが出来なかった。
リゲルは賢者の前で、片膝をつき頭を垂れ、騎士の儀礼に則り正義を誓った。
「私は異世界の騎士、リゲル=アークライトと申します。力持たぬ者の剣となり盾となるべく、今日まで修練を重ねて参りました」
賢者は計るようにリゲルの言葉に耳を傾ける。
「今そこに、理不尽な暴力でもって、打ちのめされている少年がいる。世界が滅びようとしている。私は彼を救い、笑顔を取り戻したいのです。どうか聖なる力をお授け下さい。必ずや、魔王を打ち倒してみせましょう!」
賢者は真剣な目で両手に力を込め始める。すると、空から星が賢者の両手の間に飛びこんでくる。そうやって星が集まって一際強く光ったと思ったら、仄かに光る剣が生まれた。
「民の笑顔を守る汝は勇者に相応しい」
そう言って賢者が渡した聖剣をリゲルは捧げ受け取った。
ーー
聖剣能力:剣の一振りで流星群(物超遠扇、万能、大ダメージ)が敵を襲う
成否
成功
第1章 第5節
メリー・フローラ・アベルは賢者に自信満々で語った。
「わたしにとっての正義は、なにもかも自分のしたいようにすることよ。つまり、したいことをしたいときにしたいようにして、したくないことは何一つしない、それを邪魔する奴は一人残らずブチ殺す事よ。それがわたしの正義」
賢者は険しい顔をした。
「何もかもを自分のしたい時にする自由を欲することは我々が求めるものと同じと言ってもよかろう。しかして、自由と正義は同一のものか……」
「わたしにはそれが正義よ」
「ふむ……。一考の余地があるが……作ってみるかのう」
賢者は両手に力を込めていく。集まってきたのは自由を求める心。その心が集約してできたのはハート型のペンダント。
「汝を勇者に認めよう。聖剣はペンダントとして顕現した」
メリーはペンダントを賢者からひったくる。
「何よ。簡単じゃない。で、これは何をしてくれるの?」
「汝の自由を奪うモノ全てを排除すべく攻撃する聖剣じゃ」
メリーは目を輝かせる。わたしの正義通りのものじゃない。
あれ、なんだか、身体が寒いような……。体を見渡す。服がない!?
賢者は既に目を瞑っていた。
「非常に強い自由を求めるが故に、服すら邪魔と判断したようじゃな」
「エッチ!」
賢者の頬に小さなモミジができたのは言うまでもない。
——
聖剣性能:自身が自由を奪うと思うもの全てを攻撃(神超遠域、万能、中ダメージ)する。制御次第で服が脱げなくなる。
成否
成功
第1章 第6節
「勇者をお探しと聞いてやってきたZE♪ ボクこそはかつて異世界『アースエンド』の勇者、今は『デュラハン』やってるヒナゲシ・リッチモンドだZE!」
ヒナゲシは名乗るなり、愛馬の首無し馬『セキト』を後ろ足で立たせて、片手で首を持ってカッコよくポーズを決めた。
「夜露死苦ゥ!」
賢者は勢いに圧される。
「若い者は元気じゃの」
「アンデットモンスターが勇者でもよくない?」
「勿論いいさ」
ヒナゲシは満足そうに微笑んだ。
「じゃ、早速。なるべくなら相互理解による和平が望ましいけど、そんな事は理想でしかない事は知ってる。だから出来る範囲でいい……。護りたい人々の笑顔の為にこの剣を振るおう。ハッピーエンドの邪魔する奴はぶっとばすよ!」
賢者は両手に力を込める。妖精達が集まってきた。
「護りたい人々の笑顔のために戦う汝は勇者に相応しい」
「ありがと。聖剣の力だけ、この魔剣『アースエンド』にくれない?」
「では、その魔剣にこの力を」
賢者が生成した聖剣の力は魔剣に吸われていった。
それを妬ましそうに見ていたルーにヒナゲシはアドバイスをする。
「ルー君、ボクは君の復讐心を否定はしない。でもね……勇者になる為にはそれ以外の……ポジティブな『正義』が必要さ。……それを見つけられるといいね」
ルーは考え込んで、只「有り難う」と感謝したのだった。
——
聖剣情報:一振りで敵に妖精達が様々な悪戯する(超遠単、万能、全てのBS)
成否
成功
第1章 第7節
「人々が困っているというのなら夢と希望を魅せるのが『虹』の役割。来たぜ!この俺、レインボー・マスクがな!」
この台詞を聞いた皆なら、この人、きっとカッコいいヒーローなんだろうなって思うよね? そこにいるのは、顔に虹色のぱんつ! 蝶仮面! 褌! 細マッチョの裸体!
皆の白い目など気にせず、レインボーは正義を語る。
「正義……か。俺は老若男女全ての人が幸せであれと思ってる。だがそんな事は不可能だろう……。だから俺はこの手で届く範囲でも確実に……夢を! 希望を! 笑顔を守りたい!」
そして、パンツで視界が閉じられているにも関わらず、ふっと回想するように空を見上げる。
「……何より、かつてある娘と交わした約束があるんだ……」
——私みたいな不幸な子がいない……女の子の幸せな笑顔が溢れる世の中にして。
「その約束を守るのが……俺の正義かな?」
賢者が両手に力を込めると、虹色の光が集まってきた。
「汝は勇者に相応しい」
「聖剣はこの虹色のパンツに頼むよ」
「力を持ってゆけ」
虹色の光はパンツに吸い込まれていった。
「ぱんつは世界を救うんだ!」
賢者は遠い目をした。
レインボーは不審な顔のルーに一言。
「少年、憎しみだけじゃ駄目なんだ……。それを昇華させて誰かを守りたい、救いたいと思わないと」
ルーは驚いた顔をして、感謝を伝えた。
——
聖剣機能:敵を巨大な虹色のパンツで包む(物至単、BS全て、大ダメージ)
成否
成功
第1章 第8節
胡乱という言葉はこの男『鵜来巣 冥夜』に相応しい。彼の真面目そうな相貌に騙されてはいけない。
「ご指名いただきました鵜来巣 冥夜と申します。この世のため、そして貴方のために正義の刃を振るう代わり
ーー今宵は私の姫になって戴けませんか?」
賢者は目が点になっている。それはそうだ。姫扱いも疑問だが、ルーに「ハイッハイッ」と掛け声と手拍子をさせる手腕。何処からともなく出したシャンパンをグラスに注ぎ、笑顔で差し出してくる胡散臭さ。そして、場をパーリナイに変える心理操作。
「プリンセス一口どうぞ!」
圧されて飲んだ一口がいけなかった。
「なーんじはー、パリピにふさわしー! 世界はーもうパーリナイ!」
酔っぱらった賢者の両手から出てきたのは、聖剣ではなく、小さなシャンパンタワーだった。冥夜はそれをしれっとポケットに入れた。
ルーが冥夜を手伝ったのには訳がある。勇者になるコツを教えてくれるというからだ。
「復讐を向上心に変える事は、心を折るより何ぼも宜しい! 自信があるのも大いに結構。しかし必死なあまり、欠けている物は御座いませんか? それは敬意。他者への心遣いの無いまま世界を救ったところで、貴方の自己満足になってしまう。『この人に救われたい』と思わせる努力をすべきです」
ルーは助言に感謝したのだった。
——
パリピ装備:自在に大きさを変え、パーリナイしている間、敵の武器をシャンパングラスに変える
成否
成功
第1章 第9節
コゼットは黒い耳をピクピクさせて、周りを見渡した。そこには、賢者がいるのみ。今から話すことは、あまり他人には聞かれたくなかった。
「正義っていいことなんだよね……? あたし、悪いこともいっぱいしてきたけど、大丈夫かな……? 生きる為に、ううん……死なない為に、いろいろしてきたよ。いまは、いろいろあって、住む場所もあるし、ごはんもお腹いっぱい食べられるし。信じられる仲間も、だいじな友達もいるし、しあわせなんだ」
コゼットの幼少期は悲惨であった。家庭内暴力、仕舞いには奴隷として売られそうになり、逃げだしたものの、大人に頼れば、騙され傷つけられた。他人が信用できなくなり、罪に手をつけたことだってある。
賢者は只肯く。
「だからね、つらい思いをしてる人を助けたい、守りたい。生きていれば、諦めなければ、きっといいことがあるって。つらい思いをしてる人が、生きたいって思えるような世界にできればいいなって。そう思ってるよ」
コゼットの正義を聞き、賢者は両手に力を込める。集まるのは、優しい心。できたのはパステルカラーの帽子。
「自身の罪を認めながらも他人を助けたいという気持ちをもつ汝は勇者に相応しい。この帽子で多くの人を救ってくだされ」
「うん、わかった」
コゼットはコクリと頷き、その帽子を被るとふんわりと暖かった。
——
聖剣機能:物理攻撃、神秘攻撃、全てのBSを防ぐ透明で巨大な防壁を作り出せる
成否
成功
第1章 第10節
元気で無垢そうな少年、黒鴉 拓哉は眉を顰める。
「正義ってなんなのか、俺も一回分かんなくなったんすよ。誰かを護ったって、代わりに誰かが傷つく、護る為に振るった拳が誰かを傷つけるんすから……。でも、やっと分かったんすよ」
賢者は問う。
「何をじゃ?」
「本当の、絶対的な正義なんてモノがあるなら、それはきっと人の想いとは関係ない、冷たいモノなんすよ。だから正義ってあやふやで、不安定な物……そんな気がするんすよ」
賢者は髭を撫でる。
「ほう、面白い考えじゃの。確かにそうかもしれぬな」
「もし、もしも魔王さんを倒す為に、その絶対的な正義が必要なら、全部が、人の心や時間すら凍らせちゃうような冷たいモノだとしても俺、頑張るっす」
「その必要はなかろう」
賢者はそう言い、両手に力を込める。何もないようにしかみえない。それを拓哉に向かって放ったようにみえた。
拓哉は感じる。オーラのようなものが自分を覆っていることに。それは冷たくも暖かくもあった。
「じいさん! これ何ッス?」
「聖剣じゃ。正義の芯を捉えし汝は勇者に相応しい」
「ありがとッス!」
拓哉はルーに語りかける。
「ルーさん。ルーさんの抱える大切な想いから出来る……ルーさんだけの聖剣。きっとそれは、そんなのとは真逆のあったかい正義の形。そんな気がするんすよー」
ルーは只々感謝した。
——
聖剣機能:オーラの形状、硬さ、温度を自在に操ることができる
成否
成功
第1章 第11節
突然現れたように見えた女に賢者は驚きを隠せなかった。その女の名はクシュリオーネ・メーベルナッハ。女は語る。
「『正義』。……ふふふ、素晴らしい言葉ですね。そう言って人間は敵を作り、滅ぼしてきたものです。魔王。此度の『敵』はその方なのですね。ええ、ええ、良いですとも。それを殺すことは、私の『正義』にも沿うことですから。何処までも、己の欲望へ正直に。それが私の『正義』。思うさま魔物を殺して回るその行為…なんて楽しそうなのでしょうか♪」
賢者は唸る。
「正義と悪は対立していて、逆から見れば同じか。確かに汝の正義は正しい。汝の欲望に忠実に在れる方につくということじゃな」
「ふふふ……勇者は一人でも多い方がいいんじゃなくて?」
「欲望に真っ直ぐなことも正義の一つであろう。聖剣を与えよう」
賢者が両手に力を込める。白と黒の力が集まってくる。
「さて、聖剣を頂けるのであれば…この手指に、その力を宿して頂けますでしょうか。大丈夫です、私の指は下手な剣よりよく斬れますので♪」
「よかろう」
賢者が指に力を放つと、モノトーンのネイルと変化した。
クシュリオーネはルーに甘言をかける。
「ルーさん、と言いましたっけ。その復讐……その過程を、もっと楽しまれては如何でしょうか。貴方には、そう、愉悦が足りないと。私は、そう思うのです」
ルーは困惑したような顔をしていた。
——
聖剣機能:物/神超遠扇、万能、大ダメージ
成否
成功
第1章 第12節
もう何人もの勇者が生まれた。ルーだけは聖剣を手に入れることができていない。これまでのアドバイスを踏まえて、再チャレンジしてみようか。だが、強い復讐心をどうにもこうにも抑えることが出来なかった……。
悩み苦しむルーをサイズは一喝した。
「なってないね。今のあんたは勇者じゃない。守りを軽視する狂戦士だ……」
「うっ……確かにそうかもしれない」
「なぜかわかるか? 守るべきものが無いせいで相討ち覚悟で魔王に挑もうとしてるだろ? 故にお前は勇者じゃなくて狂戦士判定を食らってるんだよ」
「……だって僕にはそれしかないから」
ルーは自虐的な目をした。
「それに精神的にも物理的にも防御おろそかにしてるだろ。聖剣ばかりに拘ってないで防具も求めろ。まずはそれが前提条件だ」
「でも、防具なんて持ってない……」
「安心しろ。俺は鍛冶屋だ。ほれ、これを着こなせ」
ルーは防具を着てみる。沸き立つような復讐心が薄まったように感じた。
「この防具は一体?」
「精神の暴走をコントロールしやすくなる防具だよ。俺が精魂込めて打ったんだから大事に使えよ」
「あ、ありがとうございます」
ルーは涙でボロボロになりながら、サイズへと感謝した。サイズは心の中で苦笑する。
(俺はぶっちゃけ無理して作ろうと思えば破魔の聖剣とか自作できるけど……多分この世界の魔王には効果ないだろうな……)
——この世界の魔王には賢者の聖剣が必要なのだから
成否
成功
第1章 第13節
ヨハン=レームは賢者相手に管を巻く。
「ははあ、聖剣やら勇者やら賢者やら。大変ですねぇ。聖剣なんて結局ただの道具ですし、勇者というのも誰かに認められないといけないものなんですかね?」
「真実じゃな。儂はただ魔王に与する可能性を排除しているだけじゃ。聖剣も魔王を倒す為の力でしかない」
「僕が正義とかそういうのを語れるかわかりませんけど、僕はただお手伝いするだけです。結局、この世界を真に救って自立させるには他人が解決しちゃあいけないんですよ。お仕事はしっかりやりますけど。ま、こんな所でしょうか。勇者としての適性あるんでしょうか僕」
「異世界から来たモノだけでは駄目か。耳が痛いのう。真実を見つめる汝は勇者に相応しい」
賢者は両手に力を込めたが、何も集まってるように見えない。ヨハンは拍子抜けした。
「聖剣が必ずもらえる訳じゃないんですね。それはそれで頑張るとしましょうか。この辺の棒切れでも聖剣と名付けておきましょうか、賢者サマ。名付けて聖剣ソードレス。剣に固執している彼には信じられない皮肉ですね」
ルーが乱入してくる。
「俺には聖剣しか道がないんだ!」
「じゃあ、このソードレスを切ったらどうです?」
「そんなの余裕だ!」
ルーは腰に佩いた剣を素早く構え、一気呵成にソードレスを一刀両断したかと思った。だが、その木の枝は無傷なまま。
賢者は笑う。
「ヨハン殿、汝の聖剣の力は、汝が選んだものを聖剣にする力じゃ」
成否
成功
NMコメント
はじめましての方もそうでない方もどうぞご贔屓に。綴です。
●世界観
魔王と勇者が戦う世界のはずが、賢者に勇者と認めてもらえる者が今のところ一人としておりません。勇者がいないぞ、ピンチ! という状況です。
1章:賢者に正義をみせ、自分だけの聖剣を手に入れよう
聖剣は勇者の正義心を増幅し力を発揮し、魔王を倒す為には必須のものです。これを手に入れることで勇者と正式に認められます。
賢者に貴方の正義を認めてもらい、オリジナル聖剣を作ってもらいましょう。オリジナル聖剣にはオリジナル機能がつくので是非使ってください。尚、聖剣と銘打っておりますが、形は自由となっております。希望があれば、プレイング内で指定してください。
2章:魔王戦
魔王との戦いになります。手に入れた聖剣を使って魔王を倒して下さい。魔王は負の感情を吸うことで、更に強力になります。
3章:秘密
NPC
勇者候補:ルー
ルーは目の前で魔物に両親を殺されました。今までは復讐心だけで、魔物を倒し、勇者候補として認められました。ですが、正義を賢者に認めてもらうことができず、聖剣を手にできずにおります。
是非、勇者になって思いっきり活躍しましょう!
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