シナリオ詳細
春のパン祭り
オープニング
●美味しいパンはお好きですか?
「サンドイッチも良いけど、もっとこう……変わった物ってないかな」
暖かくなってきた日差しの下で、ローストビーフサンドを食べながら青年が呟く。
「変わった物って?」
その隣でフルーツサンドを食べていた女性が首を傾げれば、青年は難しい顔で悩み始めてしまう。
「かーちゃん、これも食っていいの?」
そんな青年をさらりと流して、二人の息子がバスケットの片隅にあった塊に手を伸ばす。
「え、やだ! いつのまにこれ入れたの!?」
「すきま、ぎゅぎゅ!!」
もう一人の息子が無邪気に笑えば、女性は深いため息をついた。
「まぁ、食べれるけど味の保証はしないわよ?」
「はーい!」
少年が手を伸ばしたのは小さなパン。
「そのまま食べるのか?」
「大丈夫! これかーちゃんの目を盗んでちびがチーズ入れたやつだから!」
にかっと笑うと、少年はチーズ入りのパンに齧り付く。
「一口俺にもくれ」
美味しそうに食べる少年を見て、青年が手を伸ばす。
「えー……」
不服そうにしながら一口分千切って渡すと、青年はそれを食べて目を見開いた。
「これだ!」
「え?」
「ん?」
「とちゃ?」
突然叫んだ青年に驚く家族に、青年は目をかがやかせて語る。
「サンドイッチにするんじゃなくて、パンそのものに色んなものを混ぜて焼くんだ!
あぁ、これは帰ったら早速色々試してみよう!」
その言葉通り、ピクニックを早めに切り上げて家に帰ってパン作りを始める青年。
翌日、職場のパン屋に試作品を持っていく青年に、パン屋の主人は味をみて考え始めた。
「発想は良いが組み合わせが単調だ。もっとアッと驚くような物が良いな」
「あっと驚くようなもの……」
そんな会話をたまたま買い物に来ていた二人組が聞いていて、さらに助っ人を連れてくるなどこの時二人は知る由もなかった。
●おすすめの菓子パン、総菜パンを教えて。
「というわけで、菓子パンとか総菜パンの作り方を教えてくれる人はいないかな?」
フルーツサンドをもってにっこり微笑むフォレスの横で、フェリーチェはステーキサンドをもぐもぐ食べている。
「場所はパン屋。材料は向こうにあるから大丈夫。店主がOKを出した物は翌日には店に並ぶかもしれないね」
どんなものが並ぶか、それはイレギュラーズ次第。
「美味しいの出来たら双子たちにもおすそ分けしてあげようね!」
他の境界案内人たちのためにも美味しいパンを作ろう!
- 春のパン祭り完了
- NM名ゆーき
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2020年05月03日 22時10分
- 参加人数4/4人
- 相談4日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
●みんなでパン作り!
「聞けばサンドイッチを広めた奴らのお仲間だっていうじゃねぇか! 今日は良いパン期待してるぜ!」
豪快に笑うパン屋の店主に、『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)が笑顔で頷く。
「皆さんが気に入っていただけるような美味しいパンを頑張ります!」
「おぅ! 期待してるぜ!」
今回は総菜パンと菓子パンを一種類ずつ作るので、各自作るつもりの物を上げていく。
「俺はアップルジンジャーパンと、ウィンナーチーズロールを作ろうかと考えています。ウィンナーチーズロールは生地によもぎを入れたいのですが、大丈夫でしょうか?」
リゲルの言葉に、店主は少し考えこむ。
「ヨモギ入りの生地か……。生地を作る段階で練りこんだ良さそうだな。二回目の生地を今から作るから、わけて作れば問題ないだろう」
その言葉にリゲルがほっとしたところで、次は『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)だ。
「僕はパン作りなど、初めての体験で御座います。あの美味しいパンに夢のような具材をたっぷり載せて、夢のようなパンで皆様に夢を魅せられたら嬉しいのですが……」
初めての体験に期待が上がるが、初めて故にどのようなパンが作れるか分からない。
「とりあえず、どんなパン作るつもりだ?」
「クッキー生地を乗せたパン生地の上に、鉱物のような砂糖菓子を乗せて焼いた鉱石パンと、フランスパンで野菜のテリーヌを挟んだテリーヌサンドでございます」
「砂糖菓子を乗せたパン……? どうなるか想像もつかないが、やってみる価値はあるだろう。テリーヌサンドは今回の趣旨からはちとずれてるが、うまいメニューが増えるのは歓迎だ」
にっと笑う店主に、幻はほっと息を吐く。
「僕が作るのはシンプルで美味しいチョコバナナパンとカレーパンだよ。中に入れるカレーってあるかな? 中身のカレーを作っている時間が無ければこの案は没にするけど。でも美味しいよカレーパン。特に揚げたて。中のカレーはお店のオリジナルに出来る辺りも素敵だと思うんだ」
にっこりと笑う『魔風の主』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)の作りたいものは明確だ。見た目と違って長生きな彼は、パン作りの経験があるのか手順もしっかり覚えている。
逆に経験がない『新米の稲荷様』長月・イナリ(p3p008096)だが、事前に色々調べて勉強してきたから不安は少ない。
「パン作りは初めての経験ね。でも、色々と事前勉強して来たから大丈夫なはず。ちゃんとレシピ通りに作れば簡単なはずよ!」
料理はあまり得意ではないイナリの言葉に若干不安は残るが、レシピ通り作るならきっと大丈夫。
「あ、私はフルーツタルトみたいな生クリームと果物たっぷり乗せたパンと、グラタンパンを作るつもりよ。グラタンパンは厚切りブロック状態のパンの中身にグラタンが詰まっている感じね」
ウィリアムとイナリの言葉に店主は自宅からカレーとグラタンの材料を持ってくる。
「足りない分は買いに行かせるし、基本のパンは好きに使ってくれ」
さくさくと必要なものを用意してもらうと、それぞれ試作品を作り始めた。
●一品目
「まず鉱物パンですが、アガーを水に溶かして砂糖を入れ、食紅で青く染めてバットで固まるまで冷やします。同様に緑や、青と緑が混ざった色のモノも作っておきましょう。
冷やし固まったら細長く切ったり岩に見えるように手でちぎったりして、くっつけて鉱石に見えるように成形します。後は一週間程度乾燥させます」
「いや、一週間も待てないわよ?」
「大丈夫ですイナリさん。これが、こうなりますから」
ふわりと幻が布を掛ければ、まだ艶々していた寒天が、あっという間に擦りガラスのような質感に!
「琥珀糖もどきで御座いますね」
「手品みたい! 凄いわ!」
目の前で起きた変化に目を輝かせるイナリに、幻はにっこりとほほ笑む。
「奇跡を起こすのが奇術師ですから」
優雅に一礼すると、幻はクッキー生地を作り始める。それを見て、イナリも生クリームを泡立てるために奮闘し始めた。
リズミカルに林檎を刻んでいたリゲルは、まだ切り終わっていないカレーの具材を手に取った。
「一緒に切ってしまおうか?」
「良いの?」
「勿論さ!」
片やカレー作りで、片や具材のカット。和やかに話しながらも手が止まることはない。
「揚げたてのカレーパンは楽しみです」
「期待していてね」
短時間で出来るように小さめに切って貰った具材を炒めて行けば、カレーの香りが広がるのはもう目の前。
クッキー生地を食紅で青と緑を混ぜた色に染めて、小さく丸めたパン生地の上に被せていく。その上に琥珀糖もどきを鉱石パンに差し込めば準備は完了。二次発酵を待って焼くばかり。
「理想は鉱石の塊のようになるようになることですが、どうなるか楽しみで御座います」
「私のほうもうまくパンが焼けると良いんだけど……」
イナリは生クリームと果物を乗せることを考慮して、船のような形のパンを作った。
「まぁ、多少形が歪でもパン生地は本職が作ったものだし味は大丈夫!
後は典型的な失敗として、他の作業に取り掛かっている間にパンを黒焦げにしてしまう、なんて事が考えられるけど、私は【超反射神経】を持っているわ。不意打ち的なトラブルは無効になるはずよ、たぶん!」
パンを焼くのは店主だから大丈夫だよ。
女性陣が頷きあっている頃、リゲルは角切りにした林檎をバターで炒め、シナモンを振ったものをパン生地に練りこんでいた。隠し味の刻み生姜が味を引き締めてくれる。
均等に混ざったら食べやすい大きさドーム状に形を作って二次発酵。
「良し。後は焼く前に強力粉を薄く篩えば完成だ」
「こっちも後は二次発酵だよ」
ウィリアムは生地を麺棒で20センチ角くらいに伸ばし、その上に刻んだバナナを重ならないよう気を付けながら並べてチョコチップを均等にかけた。
この時バナナが熱でとろけちゃうので厚めにするのがポイントだ。
その後は生地を端からふんわり巻いて行き、巻き終わったら生地を縦にしてまた巻く。
終わったら巻き終わりを下にして油を塗った食パンの型に入れて準備は完成。
食パン型に合うくらいまで発酵で膨らんだらオーブンで焼けば、生地はもちもち、中のチョコバナナはとろとろのチョコバナナパンの完成だ。
●二品目
二次発酵を終えた一品目を焼きながら、二品目の準備。
リゲルはウィンナーチーズロールだ。
とはいえよもぎはすでにパン生地に練りこんでもらっているので、ナチュラルチーズと棒を刺したウインナーを用意したら一次発酵が終わるのを待つばかり。
「よし、何か手伝うことはあるかい?」
「宜しいのですか? ではこちらの野菜をくり抜いて貰えますか?」
そう言って幻が出したのはギフトで出した星や花型の型抜き。
「面白そうね。私もやっていい?」
「勿論でございます」
後は焼く直前にくり抜いた角パンにグラタンを注いでチーズをのせるだけだったイナリは手空きだった。
「じゃぁ、リゲルはこっち手伝ってくれる?」
楽しそうに野菜をくり抜き始めたイナリに幻の手伝いを任し、リゲルはウィリアムを手伝うのだった。
野菜の準備を終えた幻は、コンソメでアスパラガス、人参の細切り、海老を煮て、冷ましたものを四角いパッドに彩りよく積み重ねた。そこにコンソメの汁にゼラチンを混ぜたものを注ぎ、冷蔵庫で冷やし固める。
切り込みを入れたフランスパンを焼き、切り込みを入れてレタスを差し込み、テリーヌを挟めばテリーヌサンドの完成だ。
一次発酵が終わったので、リゲルとウィリアムも仕上げに入る。
リゲルはチーズとウインナーをパン生地で巻いて行く。
「よもぎ入りだから、いつもと違うもっちりとした生地の味わいが病みつきになるかもしれない」
こちらは二次発酵の後に卵の黄身をはけで塗り、ツヤも出しせは準備完了。
ウィリアムはカレーパンの成型を。
「こっちは簡単だよ。カレーを包んだ楕円形の生地にパン粉をつけてきつね色になるまでカラっと揚げるだけ!」
揚げ物用の鍋と油も用意して、二次発酵が終わるのを待つばかり。
ここで一品目が焼きあがったが、悲劇が待っていた。
「そ、そんな……!」
ふんわりと焼きあがったパンたちの中、幻の鉱物パンの琥珀糖もどきが溶けて焦げていたのだ。
アガーの融点よりも、オーブンの温度が高かった故の悲劇……。
「次作るときは、焼きあがってから刺せばいいんじゃねぇか?」
その言葉に、幻は大急ぎでリベンジするのだった。
二次発酵が終わる前にグラタンパンも仕込み、二品目も無事オーブンの中へ。
ウィリアムが揚げている間に片付けと試食タイムの準備だ。
●美味しい試食タイム!
パンが焼けたら試食タイム!
リゲルが美味しく紅茶を用意したら、イナリもオレンジジュースを用意する。
それぞれ思い思いの飲み物を手に気になった物に手を伸ばす。
「いただきます!」
まだ熱々のパンに齧りつけば、ふわっと湯気が立つ。
「熱々だけど美味しいわ!」
とろりととろけるグラタンパンにイナリが舌鼓を打てば、幻がテリーヌサンドを頬張る。
「やっぱり焼き立てのパンは最高だなぁ。チーズもトロトロだ!」
リゲルはもっちりジューシーなウィンナーチーズロールにご満悦だし、ウィリアムもとろとろのチョコバナナパンに幸せそうだ。
「どうなるかと思いましたが、成功してよかったです」
心配だった鉱物パンも二回目で無事成功。
「どれも美味しいね」
見た目に似合わず良く食べるウィリアムは全種類制覇しそうだ。
「カレーパンは食感が良いね」
「アップルジンジャーも美味しいよー」
ちゃっかりと試食に参加しているフェリーチェとフォレスも大満足だ。
「どれも美味いな。これは上手く作れるようになった奴から店に並べねぇとな」
明日から沢山のパンが店頭に並びそうだ。
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
菓子パンも総菜パンも美味しいは幸せゆーきです。
美味しいパンを作ってみんなで幸せになりましょう!
●目的
・美味しい菓子パン、総菜パンを作る。
基本の材料はあるけど、和の材料はないから気を付けてね! 一から作ると間に合わないよ!!
・パンの試食
作ったパンの試食は大事だよね。
飲み物は紅茶とコーヒー、ジュースから選べるよ!
●場所
・パン屋さん。
店が休みなので、いるのは店主と総菜パンもどきを思いついた青年の二人。
作り方をメモしながら見てます。
いえば手伝ってくれるけど、言わなければメモを取っています。
一次発酵まで済ませたパン生地を用意してくれています。
●その他
・個別に作っても良し、一緒に作っても良し!
・美味しいパンを作って食べて、楽しい時間をお過ごしください!
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