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シナリオ詳細

のまれろアルハラの迷宮

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●大変だ! 鉄帝の酒蔵を改良したと曰く付きの凄い古酒とかめっちゃ残ってるとされる遺跡に潜入したイレギュラーズがお酒につられて落とし穴にハマるとかいう古典的な罠で広い地下空間に隔離されてしまったぞ! 戦犯は敢えていわないけど赤い髪のアイツだ!
「私は何も悪くありませんわよ!?」
「いや、アレは絶対言い逃れできねえだろ……」
「ちょっと、私からはなんとも……」
「マジョリティとしては間違いなくギルティですねこれは」
 『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ (p3p001837)の暗室に響いた叫びは、しかし反響するより早く『義に篤く』亘理 義弘 (p3p000398)、リウィルディア=エスカ=ノルン (p3p006761)、『ファンドマネージャ』新田 寛治 (p3p005073)の3人によって否定された。
 ヴァレーリヤが依頼を引っ張り出し、酒に関しては質も量もうるさい面々をメインに呼びかけて挑んだ今回の一件。確かに酒と見れば飛びつきたくなるのは分かるが、後先考えず突っ込んでいくのはいかがなものか。
「まあ、分かるぜ? 温度管理された感じの遺跡に小樽、そこそこいい匂いが漂ってきてたもんな? 長い螺旋のスロープが続いてから色々とトラップに囲まれて結構追い詰められてた感じはあるから、そこに差し出されたら飛びついちまうのも仕方ない。……けどなぁ」
 なんとか擁護の言葉を絞り出そうとした『不沈要塞』グレン・ロジャース (p3p005709)の言葉が尻切れトンボになったのも仕方ないといえば仕方ない。っていうか樽て。熟成されてそうだけど、モノによってはお酢とかになってそう。
「私だって結構我慢してたんだから、こういう時こそ落ち着いたほうが良かったんじゃないかしらぁ……」
 なお、『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ (p3p004400)はなぜか今、素面だ。隣で心配そうにやり取りを見守る『キールで乾杯』ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク (p3p003593)の手前というのもあるが、未開のダンジョンなのだから警戒しても足りないところは……あるのだが。
「落ち着くのであります。落とし穴で落とされたここの状況がよくわからない限り、余りうかつな言動を取ると防衛機構とかそういうものに引っかかる可能性が考えられるであります」
 『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ (p3p006270)がここで口にするように、忘れてはいけないが、ここは遺跡なのである。
 それも、誰もが忘れたレベルの古代遺跡。酒につられた冒険者の骨が転がっていても誰も驚かないはず。
 驚かないはず、なんだけど。
 一同はあれこれ語っているうちに、その暗室に漂う匂いがとても馴染みのあるものであることに気付く。
 そして、そこの温度がひどく安定して、低温に保たれていることも。遠くから聞こえる水の音は、水源がある証拠だろうか……?
 言葉を切って逡巡した一同は、続けざまに流れ出す声に身を固くした。

●やっぱりだ。お前はお酒のことになるといつだって踏み外す。誰もお前を擁護できない。
『お酒は好きかい、ベイビー?』
「大っ好きですわー!!」
 謎の機械音声にまっさきに、大声で応じたのは誰あろうヴァレーリヤだった。寛治は左手でメガネを外し、右手で目元を覆って天井を仰いだ。
『そりゃあよかった。おめでとう諸君、ここは遺跡の宝物庫(ゴールでありエンド)だ』
「……は?」
「冗談だろ? あれ絶対罠だったじゃねえか」
 義弘とグレンは、続く電子音声の言葉を疑ってかかった。むしろ疑わない道理があるのなら教えてほしい。
「待ってください。あんな罠を仕掛けておいてゴール? 遺跡のコンプライアンス的にそれはどうなんですか」
『「遺跡」って諸君が呼ぶのは当時の俺達の趣味の在り処だ。そんな場所にそんなモノ求めちゃいけないぜ?』
 寛治の咄嗟のツッコミはしかし、正論で叩き落された。古代人の倫理観や道徳観が、今の人々のそれと同じなわけがない。あってたまるか。
「つまり、ここにはお酒が?」
『あるぜぇ、果実酒、醸造酒、蒸留酒、樽のまま保管されてるブツも、なんなら肴もつけてやるよ』
 アーリアが電子音声を聞いて見る間に目を輝かせていくのを、ミディーゼラはちゃんと見ていた。そして付き合いが長いので、そうだろうなとは思っていた。
『だが――持ち出せるとは言っちゃいねえ。出られるとも言っちゃいねえ』
 はい、雲行きが怪しくなってきました。
 ここで重要なのは最初の電子音声の言葉です。『エンド』です。
『残念だなァ、ここに来たからには俺達が俺達の時代に丹精込めて作った酒を全部かっ食らって「最高に旨かったです現物はありません」ってへべれけ顔で報告して依頼主やら自分自身やらに涙声でゴメンナサイするための場所なんだよ! わかったらここにある酒全部飲むまで出られねえと思え! なんせ――』
 肴も水(チェイサー)も割材もなにもかも用意した『天獄』だからな!
 高らかに笑い声を上げる電子音声――おそらく古代人の思考をもとにしたなんやかんやは、電灯に照らされた巨大な宝物庫(酒蔵)に響き渡るのだった。

「どうでもいいけどトイレはあるよね?」
『あるぜ。せいぜいゲボりな』
「言い方」

GMコメント

 リクエストありがとうございます。面白い題材だったので振り切りました。
 ……大丈夫? そこの2人一緒に連れてきてよかったの? って顔してますよ私は。

●達成条件
・遺跡宝物庫内の酒を飲み干す(時間制限なし)
・飲みすぎておかしくなった仲間をノしてでも達成すること

●経緯
 大体章タイトルが全部です。誰とは言わないけどそういうことになりました。

●宝物庫
 古代人の謎センスにより途方も無い量の酒が安置された酒蔵。
 瓶に入ったもの、樽で熟成されてギリ残った絶対うまいやつ、なんか湧き水みたいに流れてる酒とか。飲兵衛ワンダーランドかよ。
 なお超魔法的な保存技法とかそう言う感じで、ナマっぽい肴も完備。塩漬けとかもある。
 そしてトイレまであるがシャワーの類はない。意味はわかるな?

●アルハラとかする人×メンバー内若干名
 誰とはいいませんが酔ってアルハラに走る人とかいます。居るって聞きました。
 ハラって妨害してきたらわからせましょう。

●重要なアレ
 プレイングの【最上段or最下段に自身のお酒の強さ】の記載をお願いします。
 具体的には「なし」、☆(星0.5)~★★★★★(星5)くらいまで。
 なしだと酒気だけで酔います。なお、「酔って不善を為さない度」もお酒の強さに該当します。

 以上、地獄を楽しみましょう。
 なお諸々の事情と特例が重なり相談期間が長めです。地獄を楽しみましょう。

  • のまれろアルハラの迷宮完了
  • GM名ふみの
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年04月29日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談10日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク(p3p003593)
キールで乾杯
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
グレン・ロジャース(p3p005709)
理想の求心者
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)
叡智の娘

リプレイ

●飲めよ
「なぜこんな事になっちまったんだろうなぁ……」
「昔の人間っていうのはこんなものばっかり作ってたのかな……」
 義弘とリウィルディアは眼前の状況に呆然としていた。理解が追いつかないというのが正しいだろうか。兎に角、思考停止に等しい状況だった。義弘はまだいい。元の世界は酒が絡まなければ先に進まないようなトコだったのだから、相応に耐性はある。問題はリウィルディアだ。恐らくメンバー中最も酒に慣れていない肝臓に、この状況を乗り切れるのか。
「しかし、お硬いアンタが居てくれて助かったぜ。酒にメが無い連中ばっかりだし」
「ええ、自分、騎士(メイド)でありますので」
 グレンはエッダの方をチラ見して、安堵の表情で胸をなでおろす。ヴァレーリヤ、アーリア辺りは酒を前にすると色々と混乱を助長する。思ってても言わぬが花と、表情筋と必死の格闘を続ける彼の勇姿は讃えられて然るべきだ。エッダは騎士(メイド)を自称するだけあって表情は平生そのもの。これは期待が持て、ちょっとまってなんで手に弩級に強いであろう超年代物のリキュールを割材なしでジョッキで持ってるの。
「正体を失うほど飲むような真似はしないでゲーーッフ」
「早ェよ!」
 エッダ、ダメでした。
 ガッパガッパと酒を流し込んでる表情は幸福なそれなのだが、絵面がもうだめ。酒豪という域ではない。
「あらぁ、某赤毛さんのせいで楽園に来たと思ったらエッダちゃんがもう始めてるわぁ! ずるーい! 私だって喉がカラカラなんだから飲むわよぉ!」
「聖書の云う理想郷は既に失われたとの事でしたが、此処にまだ残っていたのですね! 依頼主には悪いけれど、目一杯飲んで楽しみましょう! かんぱーい!」
 アーリアとヴァレーリヤもエッダのノリに負けじと盃をなみなみと溢れさせ、乾杯の音頭を取る。この2人とお酒の組み合わせの危険性は、ローレットのイレギュラーズなら周知の事実である[独自研究]。
 ヴァレーリヤは楽園の定義それでいいのか、とか、アーリアのミディーセラに注がれる視線の熱っぽさは恋慕の情とは違う下心が見受けられるとか、そういうアレなんだが。
「依頼人さんへの報告はどうしましょうねぇ……」
「ま、こうなっては仕方ありません。逆に考えましょう。これはタダ酒の機会だと。責任は別途ヴァレーリヤさんに取っていただきましょう」
 そんなミディーセラはあちこち歩き回りながら酒を物色中。彼、意外とこの状況に慣れている。他方、寛治はタダ酒の機会に全く躊躇せず着々と準備を進めている。酒の前に肴を広げるのを忘れないなど、ベテラン酒飲みの嗜みを十全に感じさせた。
(……みでぃーくんがべろべろになる姿も見られるかしら?)
(なんだか、視線を感じるような……?)
 アーリアとミディーセラの、言葉にしないが俄に期待と不安の入り交じる視線の交錯は勘働きの弱い者でも気付くくらいあからさまだ。周囲でちょっとだけ「あらあらうふふ」な空気が流れたのは間違いない。
 間違いないんだが。
「おっともう一杯目がカラでありますな。エンジンかけるために更にもう一杯……んんー? そっちはまだ飲み始めてもいないでありますかぁ?」
 エッダは早々に出来上がってグレンとリウィルディアに絡み始めていた。逃す気ゼロの据わった目を前に、2人は今から戦々恐々とするしかない。
「何ですのグレン、そんな顔をして……大丈夫、ご安心下さいまし。私とて大人、そして聖職者! 我を失う程飲むような真似は致しませんわ!」
 ヴァレーリヤはこんなことを言っているが、「いつも通り」を知っているグレンはもう既に不味いな、と思い始めていた。

 そしてその不安は現実となるのだが、もう皆気付いてたよね。

●らいくあうぉーたー(題字:エッダ)
「普段は競ロリババアで大当たりしないと飲めないような高級品! こっちのおつまみも凄くて凄いわぁ!」
「巫山戯た作りの迷宮ですが、成程どうして、酒は一級品揃いですね」
 アーリアが樽の底から酒をすくい上げ、その濃密な琥珀色にうっとりとした視線を向ける。樽に頭を突っ込んだ時点で香るそれは、酒気に慣れぬ者ならブッ倒れてもおかしくはない。そして、手にしたチョコレートは年代を感じさせない瑞々しさと苦味で酒との相性をアピール。凄まじいマリアージュだ。
 寛治も並べた酒を吟味しつつ、先に固形物を腹に入れておくことを忘れない。
 悪酔いを避けなければ、彼のような猛者であってもこの状況をやり過ごせないのである。
「気分良く酒を飲む連中が揃って女性陣なのは幸運なのか不幸なのか、悩ましいよなぁ」
「……ちょっと、あの、僕もうなんだか周りのお酒オーラが見えそうで色々怖いんだけど。もう様子がおかしい人がいるし。あれがモンスターってやつ?」
 グレンとリウィルディアはちびちびといろんな酒を飲みながら、混乱しつつある場からじりじりと後退していた。主にエッダ辺りから。グレンはまだそこそこ酒に強いからいい。問題はリウィルディアで、グレンが守らないと容赦なくアルハラされる可能性まであるのだ。頑張れグレン。負けるなグレン。戦場で見せる勇ましさをここで発揮するんだ。
「ワインとかラムは飲んだことあるけど、何が美味しいんだろう……」
「滝があると思ったら、これ全部お酒ですのね! リウィルディア、貴方も一緒に飲みませんこと?」
「えっ」
 だがハラってなくても赤毛の呑酒モンスターはノリの弱い者を見逃さない。リウィルディアの手を取ると、全自動人工滝の体を為すポイントへと引きずっていく。
「アーリア、飲ませすぎんなよ! 相手が相手だからな!?」
「大丈夫ですわグレン! 私だって誰彼構わず粗相するほど無体ではありませんのよ!」
 ぜってー嘘だ。
 グレンはそう思ったが言わなかった。言う前に、彼女は既に滝に頭突っ込んでブイブイ言わせていたので。
「……ここは直飲みよねぇ、うふふー」
「ヴァレーリヤさんがいれば解決しそうですわね」
 そんな彼女の様子を見ていたアーリアは、納得したように頷く。腕に抱えた樽酒を死守した余裕からか、ミディーセラと共にそれを味わっている。ちびりちびりとやりたい気持ちもあるが、量が量だ。ある程度飲んでからは、勢いに任せて盃を空けていく。ミディーセラも表情を変えずについてくる。へらりと笑ったアーリアは、この遺跡にいる時間で一番輝いて見えた。気がする。
「遺跡つっても出口はあるんだろ? 一発だけ試させてくれよ……」
 義弘は持ち前の聴覚を以て、風の流れから類推した位置、その壁にひたりと手を添える。丁寧に偽装されているが、確かに扉だ。
 ひと呼吸して気を落ち着けると、彼は自慢の腕力で、命を賭した一発を叩き込む。地面を割らんばかりの踏み込みと、丁寧な力の連動を感じさせる動作からの一撃。並の扉なら間違いなく粉砕できただろう。だが結果は、彼の背後に「ドスン」と不吉な音をもたらした。
「嘘だろ……?」
 そこに現れたのは『樽』だ。なみなみ残されてそうな、酒気を放つ酒。
 まさか、と彼は悟った。求められる基準を満たさないで脱出を強行したら酒が増えるのではないか。つまりこの扉を攻撃すると無限に――。
「んン~~~~? なんでありますかぁその酒はぁ、もしかして隠し持ってたでありますかぁ?」
 ヤベえ。一番真実に近づけちゃいけない鉄騎種が後ろに。
「いや、これはなんだ、俺が」
「もしかしてシラフでありますかぁ? 勿体ない。あんなお酒こんなお酒いっぱいあるでありますよ。いつもは我慢してちょびっとしか飲まない高いやつもこんなに!! ある!! 無料!!」
 義弘が弁明する暇も与えず樽の蓋をかっぱいでぐいぐいと押し付け始めたエッダの目は既に螺旋を描いていた。多分胃の中もそんな感じだろうけど。
 バレルでいけバレルで! と血走った目で主張するエッダを無理に止めたら大惨事もあり得る。義弘は観念したように(どこから取り出したのか)柄杓で樽から酒をすくうと、グイッと嚥下するのだった。
(そろそろあっちもこっちも出来上がりつつありますね。これは覚悟完了が必要ですか……)
 寛治は酒が回りつつも冷静だった。女性陣がほぼ満遍なくハラスメント予備軍のケがある今回、彼がサラリーマンとして培ってきた対人能力が遺憾なく発揮される場面なのだ。
 そう、これは混沌肯定ですら制限できない――勤め人の意地である!

●楽園追放(題字:寛治)
「ほらほらー、飲み比べしましょう飲み比べ! この樽のお酒を一気飲みして生き残った方が勝ちで如何でして?」
 ヴァレーリヤは滝の酒をいい感じに干してしまうと、すっかり出来上がった表情で樽を担ぎ、男性陣へとにじり寄る。彼女にも一分の道徳心が残っていたのだろうか、リウィルディアはちょっと酔いが回ってふらついてるが無事だ。
「樽!? おいおいヴァレーリヤ、それは流石に」
「飲み比べ? いいですとも!」
 放っておいたら危険だ、と判断したグレンが止めに入ろうとするが、そこは寛治のインターラプトめいたレスポンスでサラっと飲み比べが始まってしまう。
 既に正体をなくしている一方と、酔っているのかいないのか、ネクタイを頭に巻いた一方。わずかに飲み干したのは寛治が早い。
「やりまふわね……それじゃー次はー」
「はぁい男子一発芸やってぇー」
「いいれふわねぇ一発芸! 誰から先にひてもらいまひょうかー♪」
 負けても一切気にしたふうでなく、次のハラスメントを決めるヴァレーリヤ、そして助言するアーリア。彼女らの言葉はこの状況において絶対なのである。
「んんー、そう言うアーリア様もコップが乾いているでありますよ。ミディー様も一緒に呑むでありますよ。ホラ1+1は2ではなく200であります。10倍だぞ10倍」
「お酒はたのしく飲むものですから、限度を超えてしまうとちょっと……」
「うえへへへ、いいじゃなぁい、みでぃーくん。一緒に楽しく飲みましょぉ?」
 アルハラは加害者側でもカップルでも容赦がない。エッダはミディーセラのコップになみなみと酒を次ぐと飲んでコールで囃し立てる。困ったようにアーリアを見たミディーセラは、しかし彼女もハラスメント側なので頼れないことを肌で理解した。仕方なく、彼は注がれた酒を勢いよく一気飲みする。すかさず注がれる酒。これも一気。……それからペースは落ちつつも飲み、そしてエッダに返杯をする余裕さえ見せた。10倍(返し)だぞ10倍(返し)。
「一発芸? 無茶ぶり定番だがネタなんざ用意してねぇぞ?!」
 他方、グレンは無謀すぎるフリに対して素直に応じるべくアップを始めていた。抗議はするが、素直に従う。こういうところが彼の善人たる一側面である。が、ストックがなければそれも無意味だ。少し考えた後、彼はおもむろに自分のジョッキにビールを注ぐと、一気にそれを飲み干し。
「……ヒゲ」
「面白くないれすわよー! もう全員脱ぎなさい! この場で!」
「もういっぱい、もういっぱい! ごちそうさまがーきこえないー! 残したらファンドでありますよファンド!」
 グレンに容赦のない野次が飛ぶ。喧嘩友達みたいなヴァレーリヤとエッダがここで意気投合してグレンを追い詰めにかかるのが本当に酷い。
「それじゃあ次はわたしが」
「みでぃーくんは可愛いから合格よぉ合格! はいここ座って」
 かと思えば、ミディーセラは立っただけでアーリアから合格判定。理不尽がすぎる。
 そして呼びかけに従ってアーリアの膝の間に腰を落ち着けたミディーセラは、アーリアから容赦のないスキンシップの嵐を受ける。
 この一連の流れは間違いなくハラスメントだ。それも、リア充してない相手に対しての。
「カーッ、ペッ! これだからカップルは! 酒しか信じられないでありますよ! ヴィーシャ、盃が乾いているでありますよ。もうすり切り一杯でありますかぁ? これはもう負けた方が脱ぐしかないのれは??」
「ふふん、杯など子供が使うもの。大人なら瓶で一気に呑みらはい!」
 ハラスメントが直撃した加害者側2人は、そのまま互いをつぶしあいにかかる。
 最大の敵は常に味方の内にいるものである。
「一発芸か。月並みだが……フンッ!」
 義弘は、掛け声に合わせバッと上半身をはだけ、己の肉体美を披露する。そのままポージングをいくつかキメると、強烈な眼力で周囲にアピール。
 さしものアルハラモンスターズも、この気迫には文句のつけようがない。
「はい新田さん次このアヒージョで一芸どうぞぉ。たまには混沌で薄い本を書く女子達に向けていい感じに脱いでファンドされなさいよぉー!」
「はい! 新田寛治! アヒージョをストローで飲みます!」
 この場に裏ファンドがいなかったことは、彼らにとって天恵であったのだろうか。否、いようがいまいがいずれファンドされる運命だろう。そしてその煽りを堂々受けて立つ寛治も寛治だ。
「熱ッチィィィィィ!」
 悲鳴、そして割れる眼鏡。すかさずエッダがそれを回収して「割材がたりねーなその眼鏡割っていれようぜ」ってゲヘゲヘ笑いながらヴァレーリヤの盃にポチャン。
「いやーもうよく見れば綺麗どころも沢山ですし、役得的な事があっても良いんじゃないですかね」
「新田さんの眼鏡が……イレギュラーズだしいいか、うん」
 トイレでRe:version(隠語)して戻ってきたリウィルディアは、寛治のあんまりといえばあんまりな惨状に目を逸しかけ、しかし生きているのでセーフとばかりに納得する。
「ちくしょう、俺ばっかり一発芸の判定が厳しい! くっ、いっそ殺せ!」
 グレンはアルハラの防波堤から一転、ヤケ酒の暴露役に変貌してしまった。不幸な事故に見舞われた彼に罪はない。無いが……。
「野球拳ですか! いいぞいいぞ! やれやれー!」
「エッ、くっ殺でありますか? もっとやるであります!」
 寛治とエッダがそれぞれの立場からそんなユメを見た時、彼、そして彼女の運命は決定した……!

「もう脱ぐ物が無いですパンツだけは勘弁してください。飲めません」
 土下座状態から頭を引っ張り上げられて酒を煽られる寛治!
「ふへへ、何らか私、気持ちよくなって参りまひたわ……」
 グレンと義弘の必死の抵抗から酒をしこたまのまされ、司祭というにはあるまじき格好まではだけているヴァレーリヤ!
「何よぉもっと飲むのぉー! 飲む……あっ……」
 そして熱々「だった」アヒージョを頭からひっ被り、冷えた油特有のベトベト感に見舞われつつシャワーがない為どうにもならないアーリア!
 その横で平然とジョッキを干すミディーゼラ!
 そして、床の隅で這いつくばりながらトイレへと向かうリウィルディア……!
 遠く遠く聞こえる笑い声は電子音声。嗚呼、まさしくここは地の獄である。
 もうこれ、野球拳の末路関係なくほぼ全員ファンド対象では? 依頼人は訝しんだ。

「あー、豚汁が胃に染みる……」
「頭痛え……でも皆を帰す準備が……うっぷ」
 遺跡から脱出した一同は、そよ風を受けながら草原に横たわっていた。寛治は手持ちの豚汁でマインドリセットをこなし、グレンはなんとか立ち上がろうとする。
「……なんかスカートの中がすーすーするでありまう゛ぇっ」
 エッダは外見こそあられもない姿になっていないが、それどころじゃない露出状況である……のかもしれなかった。
 彼女の真相は、誰も知らない。

 なおミディーセラは徹頭徹尾酔う様子もなかった。こいつ肝臓が(酒に)お詳しいぜ!

成否

成功

MVP

新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ

状態異常

ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)[重傷]
願いの星
エッダ・フロールリジ(p3p006270)[重傷]
フロイライン・ファウスト

あとがき

 こんなに酷いリプレイ書いたことないですよ(数週間ぶりn度目)。
 ともあれ、このリプレイのお陰で執筆意欲が加速したのは事実です。有難うございます。
 MVPは……うん、そうだね、盛り上げ役だね。
 重傷は社会的ダメージなのでパンドラは減ってないと思います。はい。

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