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シナリオ詳細

<Breaking Blue>青きほろびの海底神殿

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●海底神殿攻略作戦
 さざなみの聞こえる砦の一室。ここはアクエリア中継基地にある作戦室のひとつである。
 『黒猫の』ショウ(p3n000005)が組み立て式のテーブルに広げたのは、ある海域を示すマップだった。
「このエリアに倒しても倒してもモンスターが出現し続けるっていう報告があってね。調査隊の小型船が何隻も沈められてるんだ。
 小出しの戦力じゃ意味がないって言うんで海中戦闘部隊を率いて撃滅したのさ。
 いまさっき、その作戦成功の知らせが来たところなんだけど……これで終わりってワケにもいかなくてね」
 ショウが新たに提示したのは、調査員が瞬間記憶をもとにスケッチしたという『海底神殿』の絵だった。
 ここまで話せば、モンスター出現の原因がこの神殿にあることは察しがつくとは思うが……。
「『青きうつろの海底神殿』を、覚えてるかな? こいつはそれにえらく似てる。
 同じ用途で、同じ存在が、同じ力で作ったと考えるのが妥当……だ」
 となれば、やるべきことはひとつだけ。
 海底神殿に突入し、モンスター発生の『元凶』を撃滅するのだ。

 ネオフロンティア海洋王国が『絶望の青』という外洋への遠征を決定してからしばしの時がたった。
 王国及びローレットは中継地点であるアクエリア島の攻略を済ませ、さらに奥地へと進撃を始めた。
 というのも、海兵およびイレギュラーズに現れ始めたアルバニア・シンドロームという呪いの進行が深刻化し、モスカの加護や儀式をもってしても延命には限界がではじめたのだ。
 このまま悠長に中継地点でぬくぬくしているわけにはいかない。一刻も早く進撃し、こちらが溶けて消えるのをただ待っているアルバニアを引きずり出さねばならないのだ。
 よって本件。軍の侵攻を著しく阻んでいる海底神殿もまた、一刻も早く攻略せねばならない案件となる。

「確認されてるモンスターはあの神殿と同型だけど、戦闘力が少し高い。
 それに、半魚人型の怪物が統率をとって神殿内を巡回しているみたいでね……なかなか厄介そうなんだ」
 知性の低いモンスターが群れているだけなら対処はたやすい。戦闘経験の豊富なイレギュラーズなら『いつものやり方』をただ繰り返すだけで勝率を見込めるだろう。
 だが統率者がいる場合は別だ。こちらの戦法をある程度観察、共有、学習し対策してくるようになるからだ。
 序盤の戦闘はともかく、奥へ進めば進むほどこちらの手の内が読まれ、弱点をつかれやすくなるだろう。
「コツは戦法を3種ほど切り替えられる柔軟さをもつこと……なんだけど、誰もがいつもそうできるワケじゃないからね。
 チームメンバーとの役割分担を交替したり、切り札を最後まで隠しておいたりっていう形で対応するのがイチバンかな」
 もちろん……というべきなのか、神殿の最奥に待ち構えているのはモンスターを生産しているであろう『プラント』と呼ばれる怪物。
 作戦の性質上、これの撃滅が最重要目標ということになる。
 道中はもちろんのこと、最終目標の撃滅はかなり困難な作戦になるだろう。
「けど、間違っても『最後の一人になるまで戦おう』とか『半数が倒れるまでは粘ろう』なんて構え方はしちゃあダメだよ。
 ここはある意味敵の拠点。撤退に失敗すればそれはそのまま死を意味する。もし逃げるなら全力で逃げること。しんがりを務めようとか、足止めのために残ろうなんて考えも捨ててくれ。
 作戦が成功しようがしまいが、かならず生きて帰ってくること……いいね?」

GMコメント

■オーダー
・成功条件:『プラント』の撃滅

■エネミーデータ
●プラント
 開いた花の中央から巨大な女性の上半身がはえたような形状をしている。
 全長は5mをゆうにこえ、肉体は青白く顔らしき凹凸はあるが眼球等の器官はみられない。
 触手を伸ばすことで攻撃を行うとされ、これに絡まれると【魔凶】状態になる。
 『精神無効』『怒り無効』をもつとされる。

 また、毎ターン『ノコギリウオ』『ハガネガイ』『ドククラゲ』を生産し続ける。
 ここで生産されたモンスターはHPが低く密集して移動する性質をもつ。
 また、生産直後は1ターンの待機状態となる。

●モンスター
・ノコギリウオ
 高い攻撃威力とやや高めの反応速度をもつミノカサゴ系モンスター。
 攻撃には【流血】【追撃20】【必殺】効果がつく。

・ハガネガイ
 ドリル状の貝。ジェット推進で移動し、突撃をしかける。
 高い防御力とそれを生かした攻撃を得意とし、【体勢不利】【弱点】効果がつく。

・ドククラゲ
 動きは遅いが強力な毒を持つクラゲモンスター。
 攻撃力が低いながら【猛毒】【ショック】【呪縛】【致命】といった効果をもち、非常に厄介。

・半魚人
 上半身がグロテスクな魚のようになった亜人型モンスター。
 レンジ2以内の味方にバフを与え、引き連れているモンスターに命令することができる。
 調査隊の経験によるとハガネガイを盾にしてドククラゲで敵を弱らせノコギリウオでトドメを刺すといった連携をしかける。
 このモンスター自体は殴る蹴る等の格闘攻撃が可能。すこしだけ強め。

■フィールドデータ
 神殿内は素材不明の白い石のようなものでできていて、通路や広い部屋が連続している。
 探索すべきルートはおおよそ決まっているので、うろうろしたり印をつけて歩いたりする必要は無い。
 プラントの待ち受けるゾーンは地下深くにあり、巨大なドーム状のエリアになっている……と思われるが、実はまだ確かめられていない。

■水中戦闘
 『水中行動(微弱)』の装備が支給されるため、水中行動かそれ相当の装備をもっていない場合でも行動可能。
 仮に泳ぎが下手でもペナルティは課さないものとする。

●重要な備考
<Breaking Blue>ではイレギュラーズが『廃滅病』に罹患する場合があります。
『廃滅病』を発症した場合、キャラクターが『死兆』状態となる場合がありますのでご注意下さい。

●Danger!
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <Breaking Blue>青きほろびの海底神殿完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2020年04月28日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
カタラァナ=コン=モスカ(p3p004390)
海淵の呼び声
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
ゼファー(p3p007625)
祝福の風

リプレイ

●海はほんとは黒いもの
 停泊した船の手すりにのぼり、『濁りの蒼海』十夜 縁(p3p000099)はキセル最後のひとすいを堪能してからケースにしまって後ろへ放り投げた。
「青きほろびの海底神殿、ねぇ。情報じゃあ、『青きうつろ』のアレそっくりじゃあねえか。
 あの手の場所がごろごろ見つかるなんて、考えただけでもゾッとしねぇ話だが。何にせよ、これで終いになってくれりゃぁ有難いね」
 『ただでさえ残り少ねぇ命だってのに』とつぶやいて、海へと飛び込む。
 自力で海底まで潜っていくさまを上から眺め、ゼファー(p3p007625)は槍を一旦斜めがけのベルトに固定。
 着込んだダイバースーツと連動した首輪に指をあてると、きゅっと全身がしまって不思議な呼吸が可能になった。防水性の高いスーツと呼吸魔法を組み合わせた装置であるらしく、いつだか海洋首都近海へ魔種が迫った際に投入された品であるという。
「この手合いも二度目ね。
 大船に乗った気持ちで付いてらっしゃいな……って、言えたら良かったんですけどねぇ」
 『どうも今回は油断ならないみたいですし』と言いながら海へと飛び込むゼファー。
 既に飛び込んでただよっていた『海淵の呼び声』カタラァナ=コン=モスカ(p3p004390)が海水を伝って歌をうたっていた。
「海底神殿。だれがつくったのかな。なにを、祀っているのかな」
 前人未踏の『絶望の青』。
 人に限らず魔種であってさえ廃滅病を逃れることはできない。罹患してなお長く生きていられる存在など、よほど逸脱した存在以外ありえないだろう。
 であるにも関わらず、明らかな人工物が存在している不気味。
「ここを放置すれば他の海域へもモンスターがあふれだしかねない。制覇すれば女王陛下もお喜びになるだろうね」
 海底に向けて潜水を続ける『大号令の体現者』秋宮・史之(p3p002233)。
 神殿から新たに上がってきたノコギリウオを発生させた理力障壁で殴り殺すと、史之はしれっとした顔でバタ足を続ける。
「敵の本拠地だろうと……いやだからこそ、仲間は守ってみせる」
「その通りです」
 『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)は剣を握り、魔法で深呼吸すると目を見開いた。
「廃滅病は皆の命を削りつづけてる。命を繋ぐために、最善を尽くす!」

 やがて神殿が見えてくる。
 地上にある神殿と異なり入り口は上部についていた。
 外壁の彫刻や柱の模様だけが一般的(?)な神殿に似ている。
「ふむ……」
 『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)が目測した限りでは、地方の寺院や神殿と変わらない規模の建物だが、おそらくながら地下に巨大な空洞が続いているものと思われる。
 そしてわざわざこうして建物にしているということは、内側である程度組織だった社会活動がなされているという証拠でもある。
「こういう探検はいつでも胸が踊るね。
 惜しむらくは毎回時間を掛けて調査している暇が無いことだが……」
「てか、幽霊船のアンデッドだの情報にあった半魚人のモンスターだのが作ったんだよな? あれ……」
 赤いダイバースーツに身を包み、ドルフィンキックで神殿へと近づく『茜色の恐怖』天之空・ミーナ(p3p005003)。
 入り口から勢いよく飛び出してきたハガネガイを剣で切り払い、返す刀で殻ごと粉砕。
「下手なパンピーどもより知恵ありそうじゃねえか」
「こっちの戦い方も学習して対応してくるって話だもんね……」
 『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は海ブドウをぱくりと食べなおしてから、神殿の入り口にとりついて中を確認した。
「でも、ボク達は早くアルバニアを倒さないといけないんだ!
 死兆にかかっちゃった皆を助けるためにも、こんなところで止まっていられないよ!
 ……いこう、みんな!」
 海洋王国に限らず、皆気持ちは一つだ。
 仲間のため。未来のため。イレギュラーズは海底神殿へと挑む。


「ごめんね、僕、本当ならこの場所も君たちも、けっこう興味があるんだけど。今は、ほら、邪魔だから」
 続く海底神殿の一角で、カタラァナは『夢見る呼び声』をうたった。
 決して理解してはならない歌がモンスターたちへと浴びせられ、ハガネガイを破壊していく。
 そうしてガードが開いた半魚人めがけ、ゼファーが猛烈な速度で接近。咄嗟に防御しようとした半魚人の胸を貫くと、通路の端に並ぶ彫刻めがけて叩きつけた。
 砕け散った彫刻が床へゆっくりと落ち、白目を剥いた半魚人が浮いている。
 ゼファーは汗が海水に流れていくのを感じながら、道なりの彫刻をあらためて眺めてみた。
 すべて美しい女性の像だが、腰から上しか作られていない。
「このモデルって、例の『プラント』なのかしらね」
「さあな。つーか、『そうであったほうが』座りがいいよな」
 ミーナは神殿で遭遇した半魚人たちの様子を思い返してみた。
 神殿はダンジョンと呼べないほどシンプルな作りをしていて、正面の通路から蛇行するように通路を進むことでプラントの部屋へと通じているらしい。
 途中途中で脇道にそれはしたが、どれも半魚人が過ごすための部屋であるらしく、突入してみるとハガネガイやノコギリウオを世話しながらのんびりとすごす半魚人の姿を一瞬だが見ることができる。
 彼らはひとつひとつのグループとして神殿内で暮らし、なにかを崇拝するかのように彫刻を作っているのだろう。この場合、崇拝の対象は……。
「っと、考えるのは後だ」
 剣を抜くミーナ。
 こちらを発見した半魚人が笛をふき、ノコギリウオとドククラゲを出撃させてきた。
 半魚人を中心に攻撃しようとしているこちらの狙いが把握されているのか、半魚人は後方から複数のハガネガイで防御しつつノコギリウオたちを強化していた。
「まずいな」
 『スーサイド・ブラック』を打ち込みながら、ミーナはハガネガイを打ち払っていた。
 イレギュラーズの作戦方針はシンプルだ。『半魚人がリーダーらしいので最初に倒そう』である。
 こうした作戦をしばらく続けた所、半魚人たちはイレギュラーズの狙いを把握し防御を固めたり、逆にイレギュラーズのなかで耐久力の弱いメンバーを集中的に狙ったりといった作戦をとるようになってきた。
「わざわざ大勢で出迎えてくれた所悪いがね、お前さん方とのんびり遊んでる時間はねぇのさ。先に進ませてもらうぜ」
 防御を固めるハガネガイにとりつき、十夜は『煉気破戒掌』をたたき込んで内側から粉砕。
 砕け散ったハガネガイを突破するように仲間達の砲撃が半魚人に集中する。
 一方で、あらかじめ集中攻撃を指事されていたらしいノコギリウオたちがガードのゆるいカタラァナたちを優先的に狙い、ダメージを激しく蓄積させていく。
 こちらとて回復量は有限だ。途中で削り尽くされてはプラント戦までもたない。
「さて、これで指揮官を仕留めたいけれど……」
 進むにつれて半魚人の優先撃破が難しくなっていく(対策されていく)中、より攻め手を強めるという形で対応していくゼフィラたち。
 『シムーンケイジ』の魔術を発動させ、なんとか庇おうと密着した新たなハガネガイを破壊。さらなる追撃で半魚人を破壊し始める。
 一方で集中したノコギリウオの攻撃を、史之は『天使の歌』と『サンクチュアリ』を連発することで対応。
「みんな大丈夫? こんなところでバテてちゃだめだよ」
 消費の高さもあって、探索中盤を越えるあたりから残りAPが枯渇し始めている。
 わりかし短期決戦向きのビルドでかためていた史之は、ちょくちょく襲ってくるモンスターに対して充填能力が追いつかなくなっていることに気づいていた。
 特にクェーサーアナライズによるAP回復を毎回行っていた史之の消費は誰より大きい。
 総対比でいうなら、戦っているだけでダメージが蓄積するうえスキルの消費量ひとつひとつが特に大きいゼフィラが最も危なく、中盤にさしかかった段階でAPは尽きてしまった。
「しばらくどこかで休憩できれば、ゆっくり充填しながらクェーサーアナライズで取り返せるんだけどな」
 史之はそんな風にいってぼこぼことため息をついた。
 ここは敵のホーム。それも襲撃者の情報を半魚人たちが共有している状態である。もはや休むヒマはない。
「■■■■■!!」
 こちらを補足した半魚人の集団2グループが接近。
 リゲルと焔はそれぞれ剣と槍を抜くと、頷きあって突撃した。
 飛来するノコギリウオを、同時に繰り出ず斬撃でなぎ払う。
 銀の光と赤い焔が混ざり合い、ノコギリウオたちを引き裂いていく。
 二人はぐるんとスピンすると、さらなる勢いをつけて半魚人たちめがけて連続の斬撃をたたき込んでいった。
 ハガネガイの防御を集中させてしのぎつつ、反撃に出る半魚人たち。
 それでも固体戦闘力の差はあるもので、リゲルの剣が半魚人の腹を、焔の槍が半魚人の胸を突く形でトドメをさした。
「だいぶダメージが蓄積してきちゃったね」
 ノコギリウオを切り払う際におったかすり傷をおさえる焔。
 HP回復スキルを保有しているのは史之とカタラァナ。どちらもハイコストなスキルばかりで、いわゆるライトヒール連打のようなコストを気にせず使え治癒手段をもっていなかった。プラント戦にむけてAPを大幅に温存しなければならない現状、HPが多少減っても我慢して進むほかないのだ。
「大丈夫。いざとなれば俺が盾になります」
 リゲルは剣を掲げて見せると、仲間を先導するようにして神殿の奥へと進んでいった。


 地下深くに広がる空間。
 そこに待ち受けていたのは無数のモンスターと巨大な花のつぼみだった。
「■■■■■■――■■■!」
 大きく開く花。その中央から身体をのばしたのは『プラント』。女性の身体にも似た巨大なモンスターである。
 触手をカタラァナやゼファーたちに伸ばすと、ドククラゲやノコギリウオの群れを放ってくる。
「しせる うみに いくるものは
 おわりの うみを すべるもの
 はての みやこに すまいしあるじは
 ゆめみる ままに まちいたり♪」
 カタラァナは笑顔で『夢見る呼び声』を放ち始める。
 この攻撃が万全に使えるのは味方が敵に密着していない時だけだ。一部魅了されたハガネガイが別のハガネガイに襲いかかるようになるが、残る固体はゼフィラの繰り出す至近距離からのパンチからプラントを護るために集まり、ガード。
 一方のゼフィラはプラントを攻撃するために密集した仲間達を強化するべく、ギリギリ残しておいたAPで『オールハンデッド』の号令を放った。
「半魚人と同じだ。ハガネガイを防御に使ってる。まずはこれを引き剥がさないと話にならないぞ」
 十夜はゼフィラのアドバイスを受けて密着、『乱流翠渦』によって気を四方八方に放つと、ハガネガイたちを破壊し始めた。
 直後、伸びた触手が彼を巻き取り、強引にぶんなげる。
 ドーム状フロアの天井部分にぶつかるが、すぐに体勢を立て直してみせた。
「言っただろ、おっさんはこれでもしぶといタイプなんでな。油断してると痛い目見るぜ?」
「■■■■■!」
 プラントが何かを叫んだ。
 すると、ドーム状フロアの天井部分へ大量についていた花のつぼみめいた物体が次々に開いていく。
「モンスターを生産するつもりだよ、みんな壁から離れて!」
 焔はモンスターの排除をすべく反転――して、目を見開いた。
 開かれた花の内側にあったのは、透明な球体に包まれた人間だった。
 格好からして海兵や海賊。今回の外洋遠征に協力している海洋王国の兵達に見える。彼らがこの海域で襲撃を受けたという話は聞いていたが……。
 彼らの衣服や武器はみるみるとかされ、肌や肉もとかされ、骨もまたとかされ、なんとも形容しがたい赤黒い液体に成り果てた後、数匹のハガネガイ・ノコギリウオ・ドククラゲへと変化して球体から放出された。
 躊躇……しているヒマはない。こちらも体力やAPが底をつきかけているのだ。
 焔は歯を食いしばり、火炎弾の連射によってモンスターを破壊。
「もう何発も撃てないよ。そっちはお願い!」
「チッ、胸くそわりいことしやがって……さあ来いよ雑魚共! 私の領域に入り込めば、相手してやらぁ!!」
 一方でミーナは『死神の領域』を発動。新たに生産されたモンスターたちを破壊していく。
 攻撃をギリギリ免れたハガネガイがプラントのそばへと集まり、まるで大きな盾のように防御を広げていく。
 リゲルは温存していた『銀閃』を発動させると、流星剣によってハガネガイたちを切り裂いていく。
 彼の長期戦を意識したバトルスタイルはこの神殿を攻略する際にも有効に働いた。
 APをギリギリまで温存し、この大一番で連発するというスタイルをとれたのだ。
「このままじゃラチがあかない。史之、ゼファー!」
 リゲルに呼びかけられ、史之は拳を覆うように理力障壁を展開。
「このスタイルも久しぶりだけど……『女王陛下のために』!」
 リゲルのこじ開けた防御の隙を抜け、史之はプラントの顔面めがけて障壁パンチをたたき込んだ。
 反撃にと繰り出された触手が史之に巻き付き、身体をべきべきと圧迫していく。
 歯を食いしばって痛みにこらえる史之。彼を救出……している場合ではない。ゼファーは一目散にプラントへ接近すると、心臓部(?)へと槍を突き立てた。
 一度ムーンサルトジャンプで反転し、足で弓を引くような姿勢をとって更に槍を蹴り入れる。
 ずぶりと深く刺さった槍に、プラントは激しくもがきはじめた。
 チャンスはいましかない。
 あちこちからモンスターが生産されている中、仲間に駆除を任せつつ、ゼファーや十夜たちが一心不乱の集中砲火を実行した。
 そして、そして……。


 船のとまった海面。
「ぷはあ!」
 顔を出し、久しぶりに生の空気を吸い込むリゲル。
 彼の抱えたゼフィラは機能を一時停止した義肢をだらんとさせ、やれやれと目を瞑っていた。
 同じく十夜やミーナやゼファーたちが海面へあがり、船で待機していたスタッフに引き上げてもらう。
 戦闘不能者は出たものの、なんとかプラントの撃破に成功。
 神殿内に残っていたわずかな半魚人や後追いで生産されたモンスターを追い払いながら神殿を脱出した。その際にも何人か戦闘不能者を出したが、必要なダメージだったと言えるだろう。
 彼らが神殿を出てしばらく上昇した頃、海底では神殿がゴゴゴと音を立てて崩れていくのが見えた。
 プラントの死亡によって神殿を維持していた『何か』が失われたのだろう。
 生まれたばかりのモンスターたちも事実上の生き埋めとなり、これ以上モンスターが生産されることもない。
 この海域の安全を、イレギュラーズたちは勝ち取ったのである。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

黎明院・ゼフィラ(p3p002101)[重傷]
夜明け前の風
カタラァナ=コン=モスカ(p3p004390)[重傷]
海淵の呼び声

あとがき

 ――海域を突破しました。
 ――さらなる海域への進撃が可能になりました。

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