シナリオ詳細
もういちどムーンライトララバイ
オープニング
●妖精の道
ある日の、それはごく普通の出来事であった。
妖精郷アルヴィオンからやってきたという青い衣の妖精は、ティーポットに入れるほど小さな身体をおおきく使ってあなたに仕事を依頼した。
それは彼女たちが大切にしているという『妖精の門(アーカンシェル)』がモンスターに脅かされているので、モンスターを追い払って欲しいというものである。
ローレットは以前より彼女たちと似た妖精ストレリチアの依頼をうけ門を守ったり、門を狙う魔物やそれを使役するものと遭遇していた。極端に言えばローレットにとっても他人事ではなくなっていたのである。
そうした事情はさておいても、門を守るにもモンスターを倒すにも、まずは現場に向かわないことには話にならない。
案内をたのむと青い衣の妖精は『もちろん』といって歌をうたいはじめた。
歌詞が滅茶苦茶な、音程も奇妙な、かつとても短い、それはどうにも再現の難しい歌であったが、妖精はこれでいいよと笑った。
何が良いのか。
わからぬまま、あなたは依頼の説明を受けていたカフェから出ることにした。
「くるみわりになりますのでくけけつけください」
カフェの店員は流ちょうにそう述べてあなたの支払ったコインを受け取った。
あなたは『ねい時まで営業しています』と書かれた張り紙を通り過ぎ、ゴムと笹と山羊のミルクでできた扉に手をかける。
るろろろるろろと扉が開き、薄緑色の風が吹き抜けた。
あなたは店の外に立ち、オレンジ色の夜空に浮かぶ星々を見上げ、そして。
そして。
なぜだか今更になって、気づくに至る。
もうここは、あなたの知っている場所じゃない。
●裏世界。あるいは妖精の小窓。
多世界構造上の例外というべき混沌世界は、異世界とは直接通じていない独立した世界である。
とはいえ異空間裏世界ディメンションポケットのたぐいがないわけではない。
世界中沢山の文献がそれを示しているし、なんなら幻想王国中央にある果ての迷宮とてその内部は常識ないし物理法則から大きく逸脱した特殊空間が連続しているのがわかるだろう。
ゆえにこの現象は、珍しいものではない。
ものではないが。
「さ、ついたわ。この先にアーカンシェルはあるのよ」
『まるで読めない文字』で書かれた商店街の真ん中で、一般的女性と同じ程度のサイズになった青衣の妖精が、あなたに振り返って笑った。
アーケード街だった。
タイルで舗装された道が続き、いくつもの店が軒を連ねている。
店には靴や魚や肉や薬が売られているが、不思議なことにひとの姿は見えなかった。
更に述べるなら、商店街の雰囲気は20世紀後半の日本によく似ていた。
「モンスターはここまで入ってきているの。まだアーカンシェルにはたどり着けないみたいだけど、きっと時間の問題よね」
不安そうに語る妖精。直後に、『見て』とあなたの後ろを指さした。
アーケード街の端から。もとい、外側から複数の人影が見えた。
シルエットこそ一般的な人間種のそれだったが、顔だけが異常にねじれて歪んでいる。目も口もなく、ただ螺旋状に歪んだ顔面のみが際立って、そのうち一人がこちらを指さし判別不能な言語で叫んだ。
彼らは手に手に堅いものやそれらしいものを持ち、あなたへ向けて走ってくる。
それが友好的なものでないことは、見るに明らかだった。
「住民に見つかっちゃったみたい。あいつら次から次へ増えてきりがないの。ここは逃げましょ。アーカンシェルまで行かなくちゃ。そこでモンスターとも戦うんだから、ちゃんと力は温存しておいてねっ」
こうして裏世界での鬼ごっこが、始まった。
- もういちどムーンライトララバイ完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年03月30日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●裏世界おにごっこ
オ゜オ゜オ゜オ゜オ゜という、言語と述べてよいのかわからない声をあげてねじくれた人間たちが走ってくる。
そんな状況にありながらも、『慈愛の紫』リーゼロッテ=ブロスフェルト(p3p003929)はどこか楽しそうにアーケード街を走り出した。
タイル敷きの床。解読不能な文字で書かれた看板やポスター。並ぶ品々。並ぶ店々。
「おー!何ここ!見たことないものがたくさんなのよ!
……むぅ、こんな状況でもなかったらじっくり見学するのに。
依頼のためには仕方ないのよ。むぐー」
「わたしも探検したい気持ちはやまやまなのだけれど……そうね、そういうわけにもいかないわね。残念だわ」
『実験台ならまかせて』かんな(p3p007880)は一緒に走りながら、仲間を逃がしてあのねじくれた住民たちを足止めできそうなポイントを目で探していた。
「『わたしたち』の会話ができる以上崩れないバベルは機能しているし、ここも無辜なる混沌の一部ではあるのね」
果ての迷宮で例えるなら、境界世界の感覚に近いのだろうか。こちらのルールが行使できるが、こちらのルールには縛られない。
だがどうにも入り方がいびつにすぎる。
「厄介な世界に迷い込んでしまった、のかしら?」
『儚花姫』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)は『ゆ3べぬ』と書かれた看板を曲がり、『鷲処RカQ』とある店の前を駆け抜ける。
世界そのものと意思を疎通できる彼女にとって、ここはあまりにいびつすぎた。
「迷ったのか、それとも私が変になってしまっているだけなのかしら……」
「どっちでもいい。とにかく気持ちの悪い場所だ」
『彼方の銀狼』天狼 カナタ(p3p007224)は鼻を鳴らして顔をしかめた。
なまじ感覚器官が優れているだけに、中途半端に現実味のない風景や声が気持ち悪いのだろう。絶対音感保持者がハズした鼻歌を気持ち悪がる感覚に近い。
『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)はきょろきょろとしながらも、地面から飛び立って低空飛行を開始した。飛行高度をあげすぎると移動速度まで落ちるためである。
(く、なんだよ、この状況…? 次元を弄る力を持つ妖精…? もしかして依頼妖精の彼女は門の管理人? それとも作った人? それを確認するためにも…この状況を突破する!)
飲食店らしき場所から飛び出してきた『住民』を殴り倒しつつ、『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)はかついでいたハーロヴィット・トゥユーを構え直した。
「うっへえぇー、気持ち悪い世界。日常が歪んでいくみたいなサイコホラー、生理的にダメなんすよね私」
「ここまで長居は無用なんて言葉が似つかわしいとこ、そうそう無いわね?」
同じく背負っていた槍を一旦横向きにして投げつけて曲がり角から飛び出してきた『住民』の集団を押し倒すと、ゼファー(p3p007625)はすぐさま槍を回収して走って行く。
「嗚呼、やだやだ。早いとこ片付けましょ!」
「あら、この世界はお気に召さないかしら」
青い衣の妖精は苦笑して、ゼファーたちと共に走っている。
走行速度はいっしょなのだが、なぜだかふわふわと跳ねるように走っているようにも見える。
そんな姿をよそに、後ろから追いかけてくる『住民』たちの声から耳を塞ぐ『支える者』フィーネ・ヴィユノーク・シュネーブラウ(p3p006734)。
「ここはお伽噺のような……とは少々言い難い場所ですね。
酷く無機質で、奇妙で……それでいて、規則性のある。少しばかり、気分の悪くなるような、頭が痛むような……。
どちらにしても、余り長居したいとは思えません、ね」
●商店街を抜けて
意味の分からない言葉をぶつけられ、顔のわからない人間たちが飛びついてくる。
そんな風景の中を、サイズたちは走り抜けていく。
「うお! ひっついてくるな!」
建物の二階から飛び降りるようにしてしがみつく女性らしき『住民』を振り落とし、サイズは更に加速した。
「『門』はこの先にあるの?」
積み上がった名称不明な商品をなぎ倒して足止めし、リーゼロッテは青衣の妖精に問いかけた。
「ちょっと道がフクザツだけどね。私の言うとおりに進めばちゃんとたどり着くよ」
「そういうことなら急ぐのよ! 何よりこんな変な人達がいる中でゆっくりしてられないのよ! お家帰る!」
……というリーゼロッテの気持ちとは裏腹に、十数人程度の『住民』が行く手を阻んだ。
手に木でできたモップや煉瓦や、とにかく武器と言えそうにないものを構えてこちらを威嚇している。
「まともに戦ってるヒマなんてないのよ」
「なら、やることは決まりね」
かんなは顕現武具ナンバーレスを手に取ると、『住民』たちめがけてまっすぐに突っ込んだ。
槍が中年男性らしき『住民』の腹を貫き、同時に武具が段階的に自壊。
切り離しロケット方式で突き進むと、その先で構えていた女性や若い男性風の『住民』が悲鳴らしき声をあげて打ち抜かれていく。
緑色の血を流し、ぐったりと倒れる『住民』。それを見て悲鳴を上げる『住民』。怒り狂ったようにかんなへと襲いかかる『住民』。
「かんな?」
「一度言ってみたかったのよ」
武具を再顕現しながら、かんなは行くべき方向を指さした。
「『ここは任せてさきに行って』」
「……無理はするなよ」
カナタは『すまん』と手で示し、かんなの横を駆け抜けていく。
仲間達が皆行った……かと思ったら。
かんなの今世にて有限化したエネルギーが、強制的に満たされていくのを感じる。
と同時に、精神を強制的に接続されたような感覚がはしった。
バッテリーの接続給与のようなものだろうか。
ふと見ると、フィーネがかんなの背に触れ、リソースを共有し始めていた。
「行かなくていいの?」
「……お手伝いします。直接戦うのは、苦手ですが」
フィーネの特技は治療と補給。そして継続的な強化である。
超短期決戦型のかんなが長期的に戦うにおいて、これほど心強い味方もないだろう。
かんなは唇の端だけを上げた。
「頼りにしてるわよ」
しばらく進むと空の色が暗くなってきた。
あたりはネオンサインが光るようになり、安っぽいスーツ姿の男性めいた『住民』が飛び出してはつかみかかってくる。
「私の役目はアーカンシエルまで皆を送り届ける事……」
捕まれたリーゼロッテをかばうように、男性の腕を剣で切り落とすヴァイス。
悲鳴をあげる『住民』の顔面を白い靴で蹴り飛ばすと、ふたふりの剣を翼のように広げて構えた。
こちらを追いかけ、かなりの数に増えた『住民』たちをにらみつける。
「ヴァイスさん、残るんですか」
とがめるでもなく肯定するでもないトーンで、ウィズィニャラァムがいう。
頷くヴァイスの横に、ウィズィニャラァムはハーロヴィット・トゥユーを両手でしっかりと握りつつ並んだ。
「へへへー、オトモしますぜおじょうさん」
仲間達はウィズィニャラァムに一度振り返るが、『はやく先へ』のジェスチャーにこたえて走って行く。
一方で、それを逃すまいと大勢の『住民』がこちらへと突っ込んできた。
彼らの狙いはおそらく、ウィズィニャラァムやヴァイスを少数で押さえつけ、のこる大勢でカナタたちを追いかけること。
いくら彼らが全速力で走ったとはいえ、永遠に疲れないわけでもないだろう。50メートル走を何往復もできる陸上選手はそういない。やがて人の波に喰われてしまう。
ゆえに。
「「さぁ――」」
「Step on it!! 私達が通りますよ!」
「遊んであげるわ……!!」
二人はここで、全員を引きつける必要があった。
ハンマー投げの要領で武器を投擲するウィズィニャラァム。
直撃し血を吹き出す子供らしき『住民』。そのうしろについていた女性らしき『住民』がまとめてはじけ飛び、ヴァイスはあえてその中央へと飛び込んでいく。
「『風よ、聞いて』」
強制的に意識を同調させた風を暴れさせ、空圧による砲撃に変えて発射するヴァイス。
駆け寄ろうとしていた男性風の『住民』の上半身が吹き飛び、その後ろにいた数人もまとめて吹き飛んでいく。
すぐさまヴァイスは身を転じ、左右からつかみかかろうとする『住民』にそれぞれ剣を突き刺し、剣を通して高速発芽させた茨を成長させ相手の肉体を破壊させていく。
その圧倒的な破壊に対して、『住民』の一部は恐怖し、また一部は激怒した。
「もしかして……」
ウィズィニャラァムは、彼らがよその兵隊たちに比べて煽りが通じやすい……ないしは、同調を起こしやすいのではないかと考えた。
……ので、とにかく大声で呼びかけてみることにした。
「月まで吹っ飛べッッ! これが私のムーンライトララバイだコラァ!!
どっち見てんだいっ、私が相手だ!
……いやホントどっち見てんだよその顔!」
大声をあげるウィズィニャラァムにびくりとしつつ、全く同じような黒い……例えるなら学ラン風の服装をした『住民』たちがバットや鞄を手にじわじわとこちらを包囲しはじめる。
こちらを恐怖しているようにも見え、憎しみや敵意もまた見えた。
すごおく大雑把でいいかげんなたとえ方をすると、部屋に突如現れた気持ちの悪い虫を丸めた新聞紙でたたき殺したくなる感覚に近い……ように思えた。
奇声をあげて殴りかかってくる『住民』。
ウィズィニャラァムは歯を食いしばり、『住民』の頭を横薙ぎに切り落とした。
そして気づく。
(ああ、私が抱いてる感情も、にたようなものか……)
●スライムガールのなれはて
「ほらみて、あの先がゲートよ」
妖精が指さすさき。商店街のゲートらしきものと、白く光る空間が見えた。
仲間が足止めしてくれているおかげで『住民』は追ってきていない。が、こちらに気づいて増えるのも時間の問題だろう。
カナタたちは速度を落とすことなく、ゲートの先へと駆け抜けた。
広い遺跡の一室であるように見えた。
天井や窓からはいくつかの穴があき、陽光が差し込んでうっすらとだが部屋を照らしている。
中央には、立てた棺のような物体がひとつきり。妖精は『あれがゲートよ』と言った。
だがよりよく見るべきは、棺にべたべたと張り付いて表面を溶解させようとしているスライム状の物体である。
「敵だな」
カナタは直感と同時に走り出し、咆哮をあげて殴りかかった。
すぐさま形をかえたスライムはカナタの爪撃を正面から受け、硬化させた爪をカナタの腹へと突き立てる。
「――っ!」
すぐさま離れたカナタと、同じように飛び退くスライム。
「こいつも俺と同じ戦闘スタイルか」
と思いきや、サイズめがけて無数の鎖が飛んでいく。
ぴょんぴょんと飛び退き、鎌で払い落とすサイズ。
「そんな攻撃でつかまるかよ……っと」
サイズは同じように鎖を生み出し、襲いかかるスライムへと叩きつけた。
同じく飛び退き、鎌で払い落とすスライム。
「こいつは俺と同じスタイルなんだな。なんなんだ?」
ややあって、スライムたちは人型へと変形。飛びかかってくる。
一方、フィーネとかんな。
次々に増えては群がる『住民』の処理に、かんなは苦労していた。
『儚嵐』の貫通攻撃は強力だが、効果範囲が狭く団子状に群がる『住民』たちをなぎ払うのに苦労する。
更に言えば、フィーネの『魂の献身』によって補充を受けられるが攻撃役がかんなしかいないため、フィーネが囲まれて押さえつけられると厄介だった。
群がり、押し倒して地面に頭を押しつけようとする『住民』を拒絶障壁で弾き飛ばすフィーネ。
「…そういえば。青衣の少女と不思議な世界とは、なにやら似たような記述をローレットの報告書で見かけたような…? 確か、奇妙な夢の…?」
「このままじゃキリがないわ。移動するわよ」
かんなは槍で『住民』を払うと、フィーネの手を引いて商店街の奥へと走って行く。
「ヒーラー発見、なのよ!」
リーゼロッテはスライム同士で治癒能力を行使していることを察知すると、ヒーラーらしき対象めがけて意識を集中。
空に向けて羽ペンで魔方陣を描いた。
「天空よりその一片を顕現せよ──『炎帝の魔腕』!」
離れた場所に炎のサークルが生まれ、飛び出た巨大な腕によってスライムが殴り潰される。
「……それにしても戦い方が似てるのが何だか不気味ね。偶然はないだろうし」
「ああ、確かに気になる。が、考えるのは後だ」
妖精を庇うように手をひろげ、カナタがスライムたちへと飛びかかる。
群がり、爪の攻撃を集中させるスライムたちに……リーゼロッテはさらなる魔方陣を描き出した。
「リライト!」
小さな炎の腕が大量に生まれ、スライムたちを殴り壊していく。
「やりにくいったらありゃしないけど、こういう時こそ基本に忠実にってね?」
ゼファーは突撃と同時に相手の足や腕、武器を槍ではじき『間合いの結界』を形成。
息もつかせぬ連続攻撃で相手の動作を削り、そして押しつぶすという槍主体の戦法である。
そんな彼女の背後に回り間合いをつめてきたら、今度は蹴りと肘による打撃で応戦。距離をあけてさらなる結界ですりつぶす。
この方式でスライムを着々と倒していくが……残る一体が自らの一部を槍に変え、同じく間合いの結界を形成しはじめた。
ゼファーの槍とスライムの槍が幾度となく衝突する、逆回転しあう鋼のコマのごとくバチバチと火花をちらした。
「妖精絡みならもっと綺麗なのが見れそうなもんだと思ってたけど……。
此処まで帰りたいなんて切に思わされるのは久々の激レアって感じだわ、ええ」
「長引きそう?」
「防御と回避が堅すぎるのよね。相性が悪いわ」
といいながら、ゼファーは鋭く『Dual Streaks』の一撃を打ち込んだ。
リーゼロッテが『炎帝の魔腕』を再び描き出したのを見たからである。
ゼファーと同じ超防御回避型であるなら、リーゼロッテの『炎帝の魔腕』は綺麗に刺さるはず。
案の定、飛び出した巨大な炎の腕にスライムは叩き潰された。
一方で、こちらはウィズィニャラァムとヴァイス。
襲いかかる『住民』をとにかく引きつけては斬り殺し、あたりを緑色の血で海のごとく変えたさなかのこと。
「ふう、ふう……まだやれます?」
「いくらでも。まあ、でも暴風を動かすのは無理そうね」
剣をくるくると回し、汗を拭うヴァイス。
「それにしても、本当にここはなんなのかしらね。風も空も意思疎通はできているのに、何をいっているのか分からない……私の方がおかしくなったような気分だわ」
「けど、それも終わりみたいですよ」
ウィズィニャラァムが手を広げると、空間がぐにゃりと歪む感覚がした。
その一秒半後、彼女たちは深緑の森の中にいた。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
この後、彼女たちは無事に合流し、依頼の完了を確認しました
GMコメント
■オーダー
・アーカンシェルまでたどり着き、目的のモンスターを倒すこと
■『裏世界』
ちゃんとした名前があるはずですし、なんならむこうの住民は自分たちの居る場所こそ表世界だとでも思っていそうではありますが、便宜上このように呼称しておきます。
裏世界にある文字や言語を、皆さんは正しく認識することができません。
『崩れないバベル』は正しく作用しているはずなので、おそらく皆さんの認識自体が歪んだか、この世界自体を正しく認識しづらくなっている可能性があります。
皆さんからはこの世界はアーケード街に見えます。
都内にあるような屋根付きの商店街の連なりを想像してください。
このアーケード街がどういうわけか無数に分岐して広がっており、異常なほどの長さと広さがあるようです。実際どこまであるのか見当もつきません。
一応安全のためにお勧めしておくと、屋根を破って空にあがったり物質透過でどこかへショートカットするのは『極めて危険』ですので避けるようにしてください。その後の保証をいたしかねます。
■シナリオ前半部
裏世界を通り抜けアーカンシェルを目指します。
妖精から『どのように進めばアーカンシェルにたどり着くか』を教えられているため、最悪一人になったとしてもアーカンシェルを目指すことが可能です。
なぜこんな言い方をしたかというと、前半部における最も率直な解決法は『ここはまかせて先に行け』であるためです。
もちろんこれ以外の方法もありますが、全員一丸となって進んでいくと向こうもとんでもない数に膨れ上がっていくためどこかで手詰まりが起きる危険があります。
最低でも、チームを2~4つに分散して進む必要があるでしょう。
・住民
顔だけがねじれて見える人間達です。
20世紀終盤の一般的日本人とにた背格好や服装をしており、特段危険な武器(刀や銃や魔法道具のたぐい)を持っていないようですが、傘や拳やなにかしらそれらしいものを武器にして襲いかかってくるでしょう。
数がとにかく際限なく増えると妖精はいうので、倒して回るのは現実的ではありません。
あなたは彼らに対して個体戦闘力においてとても有利ですが、侮ってかかるととても危険です。
■シナリオ後半部
アーカンシェルにたどり着くと、門を破壊しようとするモンスターに追いつくことができます。
妖精は『時間の問題』と述べていましたが、どうやら皆さんよりもずっと先に侵入していたモンスターは門へ先に到着できていた模様です。
(このことからも分かるとおり、前半部にあまりに時間をかけすぎると門が破壊されてしまい依頼が失敗扱いとなります。一応、建物内に立てこもったりキャンプをはじめたりデモしない限りは大丈夫なはずです)
・モンスター
形状不明の8体の怪物です。
戦闘力も不明ですが、どことなく皆さんと似たような戦い方をすることが(戦ってみれば)わかるでしょう。
自分の得意分野をそのまま押しつけても構いませんし、メタ撃ちをしかけても構いませんが、PC自身は『そうであること』を最初から知っているわけではないので行動に多少ゆがみが出ることがあります。
■■■アドリブ度(注意)■■■
シナリオの構造上キャラクターのアドリブ描写や設定に深く関わる描写が現われることがあるかもしれませんし、ないかもしれません。
ですが仮に、プレイヤーのあなたがそういった部分に触れることを嫌がる場合は『アドリブNG』と書いて頂ければ関係する描写をカットしたりどうともとれるような工夫をとることができます。
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