PandoraPartyProject

シナリオ詳細

お花摘みましょ、妖精さん。

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「勘と鼻に自信ある?」
『そこにいる』アラギタ メクレオ(p3n000084)は、例によって焼き菓子を食べている。
「アルヴィオンから来た妖精とお花摘みに行ってくんない?」
 隠語じゃない意味で。とわざわざ言う辺り、この情報屋のひん曲がり具合がうかがえる。
「アルヴィオンはわかる? どこかにあるかはわからないけど、年中花咲き乱れ、お城に住まう妖精女王がおわす所。切り株のお家とかキノコの森とかごっこ遊びするもんだよ、子供は。妖精郷の門でつながる不思議な国」
 へー。そうなんだー。と、ウォーカーズが相槌を打った。
「で、大体新緑の迷宮森林――ハーモニアの集落が点在してる――そういうところと門は繋がりやすいっておとぎ話が残ってたりするんだけど。最近、魔物が強くなってるとか、妖精郷の門を壊されるとか、物騒な話を持った妖精が助けを求めてやってくるようになった訳。今回は新緑からのオーダーです」
 今回は、護衛任務。と、メクレオは言う。
「すっげー注意力散漫であっちこっちフラフラし、三歩歩くと何しようとしてたか忘れる妖精のお使いを手伝い、そいつを無事に連れ帰るお仕事」
 なぜ、そういう奴にお使いさせる。一番向いてないだろ。
「そいつにしかかぎ分けられない花が迷宮森林のどっかに生えてんだって。形はわかるけど、匂いだけ違うんだってさ。で、そいつはその花の匂いだけは忘れないんだ」
 なんかかんかのとりえはあるんだ。
「まず、群生地にそいつを連れてく。最近、今まで見たことないモンスターが出るっていうから覚悟しといて」
 何だ。どんな猛獣だ。
「固めのスライム――隻眼じゃなくて、質感が堅い。ゼリーじゃなくてグミ」
 ドロッとしてないのはわかった。
「近寄ってきて、自爆します。体液をぶちまけ、余った皮がくっついて再生します」
 いやな予感がする。
「放出される体液は、繊維製品を程よく溶かし、皆さんの生体部分を程よく露出させます。あ、体や武器は溶けない」
 程よくってどういう意味だ。
「社会生活に支障がない程度?」
 半疑問形が腹立たしい。
「そんなに手間取るような相手ではないんだけど、数が多いから気を付けてね。ただ、ちんたらしてると、妖精が逃げるから。捕まえて、思い出させる。繰り返す。現場到着」
 つまり、なんでヒトと一緒にいるのか忘れて逃げようとする。と。
「籠に入れようとか腰に糸をつけるとかするなよ。敵認定されると面倒だからな、妖精。同意したって3秒で忘れるからな」
 つまり、3秒で忘れるなら空白の3秒を作らないように延々と話しかけたり、気を引いたりしなくちゃならないってことか。
「群生地についたら花を摘む。嗅がせる。当たりをつかむ。ただし、放置するなよ。誰の干渉もなく3秒たつと、なんでそこにいるのか忘れてどっかに行くからな。OK?」

GMコメント

 田奈です。
 初ラリー。よろしくお願いします。
 道すがらモンスターを倒し、フラフラしている妖精を確保し続け、お花を摘むお仕事です。

*このシナリオはラリーシナリオです。
 一つの章で4人~10人程度まで採用予定です。
 二章以降の参加の場合、初めからいたという扱いになります。
 描写の際、何人かまとめてする場合があります。
 決まったグループで行動する場合は、【(統一グループ名)】を文頭にお願いします。
 一人でアクションの場合は、【孤高】を文頭にお願いします。

*妖精「ネームプレート」
 身長30センチ。白からピンクに変わる髪とそれに合わせた装束。
 男の子だ。
 首から名札を下げているが、字が擦り切れていて読めないし、本人も覚えていない。だから「ネームプレート」
 丁寧にしゃべり、はきはきしているが、3秒後にさっきまで話していた内容を忘れる。
 幸い根気よく話し続ければ、しばらくは覚えているし思い出せる。
 多動気味。目を離すとどこかに行く。束縛されるのが嫌い。
 覚えてないので反省できない。
 
*第一章 スライムは性別に左右されない。
 すぐ目的を忘れる注意力散漫な妖精「ネームプレート」を花の群生地に連れていくよ。
 場所はわかってるから大丈夫だけど、今まで遭遇報告がないモンスターがウロウロしてます。
 スライム(ちょっと固め)
 ポムンポムンします。ちょっと丈夫。機動早い。自爆する水風船。皮が割れても再生するよ、スライムだもの。体液もたまるよ。再生不能になるまで細切れにすればいいんじゃないかな。
 放出される体液は、防具を程よく溶かし、皆さんの生体部分を程よく露出させます。武器は溶かしません。安心。

 ここからは、予定です。展開によって変わる場合があります。

*第二章 妖精。いいからどこにも行くな。
 妖精「ネームプレート」がどっか行こうとするのを止めてください。迷宮密林の名は伊達じゃない。フラフラ飛んでこうとする妖精を確保して、目的を思い出させよう。

*第三章 お前がかいだのはこの匂いか?
 群生地でお花摘み。「ネームプレート」が覚えてる匂いのお花を摘もう。よく似てるけど違う種類のお花もいっぱい割いてるから、数が勝負だ。がんばろう。

  • お花摘みましょ、妖精さん。完了
  • GM名田奈アガサ
  • 種別ラリー
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年03月20日 21時38分
  • 章数3章
  • 総採用数23人
  • 参加費50RC

第2章

第2章 第1節

 木漏れ日がまぶしい。
 迷宮森林とはよく言ったものだ。ちょっとでも脇道にそれたら全力で遭難できそうだ。
「お歌は楽しいですねえ」
 ネームプレートはお歌が楽しいのは覚えた。今日一日だけでも継続してほしい記憶だ。
 どうやら、自分の感覚と結びついた記憶は飛びにくいらしい。
「ネームプレートはどうしてここで楽しくしてるんでしたっけ?」
「お花を摘みに行くお使いだよ」
「なんでお花を摘みに来たんでしたっけ?」
「匂いがわかるのはネームプレートだけだからだよ」
「お花を摘んでどうするんでしたっけ?」
「――――」
 そういえば、花を摘んでどうするのか。そもそもの目的を聞いてない。まあ、それは聞かないのが華という依頼もないわけではないが。
 ネームプレートは考えこんでは3秒後に考え込んだことを忘れている。今のところ、道からそれていない。
 このまま質問攻めにすれば、群生地まで迷子ってことはないんじゃないか?
 情報屋から聞けなかった話もネームプレートから聞けるかもしれない。
 ネームプレートの感覚に結び付いた記憶なら思い出すかもしれない。

*第二章 妖精。いいからどこにも行くな。
 妖精「ネームプレート」がどっか行こうとするのを止めてください。迷宮密林の名は伊達じゃない。フラフラ飛んでこうとする妖精を確保して、目的を思い出させよう。
 


第2章 第2節

ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド


『妖精郷の門の門番』サイズ(p3p000319)は、妖精の魔鎌だ。
 困ってる妖精を見ると無条件で助けたくなる衝動にかられるのは道具の宿命である。
 サイズが使っているのは製作者の体。文字通り身の丈を要請に合わせてネームプレートに向き合う。
「手掛かりになりそうなのは首につけてる名札……ネームプレートか……」
 この忘れっぽい妖精の通り名の由縁。
 すっかり文字が擦り切れて、何があったのかぱっと見ではわからない。
 素材は木だ。
「俺の鍛冶、修理スキルでどうにかならないかと思ったんだが――」
 表面は使い込まれて飴色になっているし、角はとれてすっかり丸くなっている。
 触ってみると微妙な凹凸があるので、刃物で彫り込まれていたものが摩耗したのだろう。それも妖精サイズの手で確認してようやくわかるレベルだ。かなりの年月が経過している。
 一方、板の裏側の色は明るかった。何度かやすりやかんなを掛けた形跡がある。
「名前がわかれば記憶活性化の鍵になるのでは……?」
「どうでしょう? 一生懸命考えてみたのですが、ネームプレートはここに何が書いてあったか自分一人では思い出せないのです」
 イレギュラーズが額を突き付け合っている中、ネームプレートは小首をかしげた。
 サイズは、ネームプレートが飛んでいかないようにその手を握りしめた。

成否

成功


第2章 第3節

錫蘭 ルフナ(p3p004350)
澱の森の仔


「迷宮森林は誰しも一度は迷子になってベソかいた思い出のある場所だ。深緑出身のハーモニアとして、この樹海の怖さは、よーく知ってるよ」
『猫派』錫蘭 ルフナ(p3p004350)が呟いた。
 (いっそ僕に首輪つけてネームプレートにその紐を持っててもらおうか)そんな考えが浮かんだ。(それはそれで絵面が退廃的だけど)
 一部の好事家が捕獲に飛んできそうなので全力で止めてほしい。
「……移動中になんで首輪付けてるか忘れて混乱させそうだからナシだね」
 周りのイレギュラーズ達もがくがく頷いている。まず首輪を出した時点で全力で逃げられる。迷宮森林では全員二次遭難と同義だ。
「ネームプレート」
 ルフナが人差し指を差し出すと、ネームプレートはその指を両手でつかんだ。
「迷宮森林で迷子になった時は――」
 クイズです。クイズです。
「ヒナンの葉の陰に隠れるのでありますよ。魔物が嫌いう匂いがするのです」
 ふんふん。と、ルフナは頷いた。記憶がつながらないだけで、知識はあるようだ。ルフナが言う迷宮森林あるあるに局地的すぎて伝わらない問題以外はスラスラ答えた。
 つまり、ネームプレートは妖精郷の門からよく迷宮森林に来ていた妖精ということになる。
「ネームプレートは、前にも僕らの森に来たことあるのかな」
 ネームプレートはゆっくり瞬きをし手頷いた。。
「そうですね。ネームプレートはここにきておりましたのを今思い出しましたよ」

成否

成功


第2章 第4節

コゼット(p3p002755)
ひだまりうさぎ
Tricky・Stars(p3p004734)
二人一役


 『二人一役』Tricky・Stars(p3p004734)の見た目が変わっている。
『俺の名前は虚だよー。君の名前はなんじゃろなー』
 即興の曲で歌いだしたのは、以前妖精は歌と踊りが大好きだと教えてもらったからだ。
 楽器を持ち合わせていなかったので、クラップアワハンドだ。体だって楽器だ。何ならド派手にヒューマンリズムボックスでもいいけど、それじゃ質問できない。
 「嬉しい」や「楽しい」から記憶がよみがえることを期待しつつ、ネームプレートに手拍子を促す。
「こんにちは、あたしコゼットだよ、よろしくね。君の名前は……?」
 『ひだまりうさぎ』コゼット(p3p002755)は、同じ旋律をすぐに覚えてネームプレートに三秒に一回を目標に歌いかけた。
(お歌は楽しいよね、ネームプレートくん)
 妖精は、コゼットが差し出したクッキーのかけらを両手でもって食べている。
「これ、とてもおいしいですね」
「うんうん、そうだね。おいしいね」
 ネームプレートは嬉しそうに笑って、コゼットもとても楽しいけれど、嬉しいや悲しいの波が通り過ぎてしまうと、ネームプレートの中に残らない。引っかかっているのは小さな木の札だけだ。
(……でも、やっぱりわすれられちゃうのは、悲しいな)
 特異運命座標になる前のコゼットは誰からも忘れられていた。
 なんで生きているのかなんて、今生きているからとしか答えようもなかった。だから、覚えていてもらえないのは悲しい。
 虚だって、体がない。今の体は楽器の音色が嫌いだと言って引っ込んでいる稔のもので、今の虚はとりついた霊体が稔の体の見栄えをいじくっている状態の借り物だ。
 誰かの中から消えたくないのは二人共通の願いだった。
「名はネームプレートでございます。親がつけてくれた名前は忘れてしまいました」
 ニコニコしながらネームプレートは歌って答えた。
「誰か思い出せる人は?」
 虚は声が震えないように歌った。
「昔、昔。ここに大事な友達がつけてくれた名前がありましたがすっかり擦り切れてしまいました」
 身長30センチの妖精の名札はとても小さい。
「何と呼ばれていたのでしょう」
「どこかの世界の素敵な言葉。妖精にはわからない音。その方がいなくなってから誰もそう呼んでくれなくて、あんまり長いことたったものですから」
 ウォーカー同士の会話は常に翻訳機を通しているのと同じ状態だ。相手が発生している生の音がそのまま聞こえている訳ではない。
「ネームプレートに書かれた名前も音もみんな忘れてしまいました」
 ネームプレートは手拍子をうった。
「ありがとう、優しい方々。ネームプレートはネームプレートのことをまた少し思い出しました」
 そしてまたすぐに言う。
「おや、なにをしていましたっけ?」

成否

成功


第2章 第5節

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
築柴 雨月(p3p008143)
夜の涙


「おーい、花はそっちじゃないぞ」
『真実穿つ銀弾』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)が言った。。
「そうでした。お花の匂いをかぐんでした。それで少しと少しを足して思い出したんでした」
 思い出した内容は記憶に定着したようだ。歌うたいの努力は無駄じゃない。
「放っておくとこの世の果てまで迷ってそう――って言った側から!」
 キャッチアンドしたくないが妖精のストレスを考慮して断腸の思いでリリース。
 ほっと胸をなでおろした間隙をついてふよふよ移動するのをどうにかしてほしい。
 クロバの常人をはるかに超えた聴覚はネームプレートの動く音を察知して行動をある程度読めるのだ。
 怪我してしまった人の治療に専念していた『夜の涙』築柴 雨月(p3p008143)が歌に誘われてやってきた。
「3秒もすれば忘れてしまうのは中々に厄介だけど――」
 自分の治療に責任を持つ意味で医師志望の白衣だって十分意味がある。というか、医師は白衣なのも免許制なのも雨月がいた世界の固定概念だ。崩れないバベルがいい感じにニュアンスを伝えてくれるだろう。
「まぁ何とかなるよね」
 どんどん質問していくのは効果ありと見た。
「さあ、歌が上手な人に歌ってもらおう。俺が聞きたいのは――」
 ごにょごにょと雨月が耳打ちした内容を歌うたいが歌いだした。
「君達はこれからどこへ行くんだい?」
「君たちとは誰でしょう? ネームプレートと誰かさん?」
「誰かさんはコゼット達よ」
 歌うたいの一人が歌った。
「おやまあ、ネームプレートはずっとネームプレートばっかりでございましたよ。私とあなた方で君達ですか」
 そうそう。と、その場に居合わせたイレギュラーズがみんな言う。質問した雨月だって立派に「君達」の一員なのだ。
「花がたくさん咲いている場所じゃないのかな?」
「ああ、そうでした。ネームプレートはお花の匂いをかぎに行くのでしたよ。お花が咲いているのはお花がいっぱい咲いている所だから、お花がいっぱい咲いている所に行くのでしたね」
 イレギュラーズ全員に達成感の嵐が吹き荒れた。長かった。ここまで長かった。
「じゃあ寄り道せずに真っ直ぐ行こう!」
 クラップハンドから大拍手だ。クロバがふらふら飛んでいきそうなネームプレートを群生地の方に誘導する。歌うたいが興味を引き続ける。
「やっぱり、自分のことはわからないか?」
 いろいろ思い出したと言っていたが、だいぶ抜け落ちているネームプレート。
「名前もなんか見たまんまだけど自分なりに変えてみるチャンス……」
 ネームプレートは首にかかった板を握って笑っている。
「いや、これは別にいいか」
 ネームプレートはネームプレートでありたいのだ。そこは決して忘れないのだ。
「ほーら、俺が魔物なら喰っちまうぞー」
クロバは、だからフラフラしないで――と言おうとしたのだ。
「そうですね。ネームプレートは知っているのですよ」

成否

成功

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