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シナリオ詳細

スノーマンズ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●大移動
「今日はあったかいなぁ」
「そろそろ冬も終わりか」
 畑の世話をする男達がうっすらと掻いた汗を拭う。
 ふと1人が山の方を見て首を傾げた。
「あれ」
「どうした?」
 次いで首を傾げた男に「ほら、あれだよ」と指をさす。
「なんか白くないか?」
「雪が残ってるんだろ」
「でも、さっきまでなかった気がするんだよなぁ」
 首を捻る男にもう1人が呵々と笑った。
「雪が移動するってのか? そんなことあるわけないだろ」
「でもなぁ」
「いいからほら、手ぇ動かしな」

 …………ド……

「ん……?」
「今度はどうした」

 ………ドドド……

「なんか地響きしねぇ?」
「だーかーらーお前は色々気にしすぎだって――」

 ドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!

「うわっ、えっ? なんだぁっ!?」
「言った通りだろ!? に、逃げるぞ!!」

 脱兎の如く逃げ出した2人であった。

●なんでもいいんです
「手段は問いません。これ以上被害が出ないようにしてほしいのです」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3p000003)はイレギュラーズ一同を見渡した。
「スノーマン、と呼ばれる一種の妖精なのです。本来は春の訪れとともに溶けて、また冬になるといつのまにかいるものなのですが……」
 どうやら今年は溶けたくないようで、寒い場所を探して大移動を始めたのだそうだ。
 今のところ、スノーマン達は何があろうともひたすら直進してきている。建物があっても、池があっても。
 スノーマン同士は関与せず、潰されようとも、解けてしまおうとも気にしない。
「皆さんにはスィールという町の前で撃退してもらいます。幸い、そこまでに民家などがもうないのです」
 進行していく先にあった民家や畑は、もう通り越してしまったから。
「このままだと被害が大きくなってしまうのです! ばったばった倒しちゃってほしいのですよ! よろしくお願いします!」

GMコメント

●成功条件
 スノーマン達の撃退

●失敗条件
 町への被害が出る

●スノーマン
 ざっと100体ほど。妖精の一種。
 生きているとか死んでいるとかあまり考えていない。と言うよりはそういった概念がない。
 なので周りのスノーマンが潰れても溶けても気にしないし、誰かを敵視することもない。
 何を考えているのかと言えば「アツイノイヤダ!」「サムイトコロイク!」みたいなことくらい。
 言葉は一応通じるが、話を聞かない。

 行列で山から下りてきて直進、スィールという港町から砂浜へ降りて海へ進もうとしている。
 殴れば崩れる。燃やせば溶ける。弱い。
 攻撃はしてこないが、うっかり踏みつぶされると中々抜け出せない。ダメージ判定有り。

●地形
 スノーマンが向かってくるスィールの町までは、特に目立った障害物もない。木がちらほら生えている程度。
 スィールの町は簡易的な外壁しかない。
 スィールから1kmの範囲には他の町もある。

●ご挨拶
 初めまして、或いはまたお目にかかれまして幸いです。愁です。
 ばったばったなぎ倒してどうぞ。あるべき状態にするだけですので良心が痛むことはないかと思います。(良心が痛むのもそれはそれで良いです)
 ただし気を抜くと踏みつぶされたり突破されて町に被害が出ます。
 ご縁がございましたらよろしくお願い致します。

  • スノーマンズ!完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年03月29日 21時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リュスラス・O・リエルヴァ(p3p000022)
川越エルフ
清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
スリー・トライザード(p3p000987)
LV10:ピシャーチャ
百目鬼 緋呂斗(p3p001347)
オーガニックオーガ
セリカ=O=ブランフォール(p3p001548)
一番の宝物は「日常」
クィニー・ザルファー(p3p001779)
QZ
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
気象衛星 ひまわり 30XX(p3p002661)
お天気システム

リプレイ

●はじまり!
「スノーマン?」
「ああ」
 町にスノーマンが襲来する。
 怪訝そうな表情を浮かべた男に、『オーガニックオーガ』百目鬼 緋呂斗(p3p001347)は頷いた。
「スノーマンってあれだろ? 妖精の、この時期には溶けてるっていう」
「そうです。寒い場所を求め大移動しているようで、この町の前で食い止めるようにと、依頼されました」
 『LV5:グール』スリー・トライザード(p3p000987)の言葉に男は目を瞬かせ、暫し考える素振りを見せる。
「……そりゃ、町まで来られたら困るわな。それで? あんたらは俺達に何を望む?」
「作戦として火を使う。煙なんかも見えると思うけど慌てないでほしいんだ」
 緋呂斗の言葉に男が小さく眉を顰める。
「火を使う分には構わねぇが……燃え移ったりしないだろうな?」
「勿論、延焼しないよう注意する。後片付けもして後に問題が起こらないように気をつけるよ」
「作戦地周辺の草を、刈らせて頂き。延焼を、防ごうかと」
 スリーの緋呂斗の後に言葉を続ける。
 男は2人の顔を順番に見ると、小さく口角を上げた。
「気にしてくれてんなら問題ねぇ。町の奴らには俺らから話を広めておこう」
「……ありがとう」
 ほっと息をつきながら緋呂斗が礼を言う。男はひらひらと手を振った。
「あんたらもこの町に被害が出ねぇように頑張ってくれんだろ? それくらいならやってやるさ」
「これ以上被害が出ないように、皆で頑張るよ」
 緋呂斗は力強く頷いた。
 すでにスノーマンの通った場所は草原や道だけではない。ここで食い止めねば、また新しい被害が出てしまうのだ。
 スリーが淡々と口を開く。
「……更に、もし可能であれば、ですが。資材を、提供して頂くことは、可能でしょうか」
「資材? 大したものは用意できねぇが、何がいるんだい」
 男の視線にスリーは小さく視線を伏せ、必要なものを考える。
「そう、ですね。木材……それに、油や、布。柵を作り、燃えやすいものを、かけるのです」
「柵と燃えやすいものだな。柵を作るってんなら麻紐なんかもあったら使えそうか。わかった、用意しよう」
 あまり出回ってないものだったらどうしようかと思ったぜ、と男は2人に笑いかけた。

 緋呂斗とスリーが町の外へ向かうと、そこにはすでに他のイレギュラーズ達が集まっていた。
「町民の協力は得られたか?」
「無事に。資材も、提供して頂けました」
 『川越エルフ』リュスラス・O・リエルヴァ(p3p000022)の言葉にスリーが頷く。その反応に一同が少なからず安堵したのは事実だ。
 材木を1から集めるのは相当な苦労があるだろう。その間にスノーマンが襲来してしまっては元も子もない。
「それは何より。じゃあ、始めようか」
「穴掘りなら超手伝うぜ!」
 真っ先に『QZ』クィニー・ザルファー(p3p001779)の言葉に反応したのは『楽花光雲』清水 洸太(p3p000845)だ。町で購入してきていたスコップを持ち、ニカッと笑う。
「じゃあ僕は柵を作るね!」
「では、私は貴殿に倣って柵の制作をしよう」
 『夢見る狐子』ヒィロ=エヒト(p3p002503)がとリュスラスが緋呂斗とスリーの引いてきた台車から使用する木材を選び出す。
「僕は延焼を防ぐために草を刈るね。力仕事があったら手伝うから任せて!」
 人懐こい笑みを浮かべる緋呂斗は農作業を得意としている。適材適所と言えるだろう。
 スリーも彼と共に周辺の草刈りへ赴き、他の者も各々の作業を始める。
 対スノーマントラップ、制作開始である。

「穴って、このくらいのデカさでいいのかー?」
 洸太が自らの掘った落とし穴を見下ろす。
「そうだね。その先にもいくつか作ろうか」
 落とし穴を覗きこんで頷いたクィニーは視線を滑らせ、『お天気システム』気象衛星 ひまわり 30XX(p3p002661)の方へ。
 ひまわりはせっせと防柵の設置を進めていた。そのやや後ろにはスィールという町の外壁がある。
 一区切りついたのか、ひまわりは工具を一旦置いて腰に手を当てた。
「ふいー、雪だるまですよ雪だるま。困りますよね、シーズンって感じじゃないのに出てこられると」
「スノーマン達も次の冬がもう待ちきれねーんだよ。だから寒い場所に向けて全力疾走してんじゃねぇ?」
「季節はもう春なのです!」
 《ひまわり予報》では雪の予報なんて見られない。なのに雪が在るなんて予報外れと言われかねない。
(話が違う、ってこの世界ではひまわりが怒られるのです)
 それは元の世界と異なり、他に怒られる者がいない故。
 だからこそひまわりは決めている。
「怒られる前に、ひまわりがこの場で全部なかったことにしてやるのです」
 つまり、証拠隠滅であった。
「あ、この柵の左右にも落とし穴を作ってほしいのです!」
「よっしここだな! 任せろー!」
 洸太がスコップを持ってひまわりの方へ元気よく向かっていく。
 台車の傍らでせっせと作業をしていた『白衣の錬金魔導士』セリカ=O=ブランフォール(p3p001548)は自らの成果物に笑みを漏らした。
(火炎瓶はこれくらい作っておけば大丈夫かな。皆を手伝いに行こう!)
 うっかり壊されないよう、火炎瓶を台車の中にまとめる。資材はいい具合に使われてほとんど残っていない為、ぶつかって割れる事もない。ここなら安心だろう。
「わぁ、だいぶできてるね! 手伝う事ってあるかな?」
「えへへっ、良い感じだよね! 燃えやすいように草を集めてほしいな!」
「うむ、油をかけるのも良いであろうな」
 柵設置の主導をしていたヒィロは得意げに尻尾を揺らし、手伝っていたリュスラスがせっせと布を柵にかける。
「草ならこっちに刈り終わったものがあるよ!」
 緋呂斗が少し離れた所から声と共に手を振った。その傍にはスリーと共に刈った草がこんもりと山を作っている。
「落とし穴にも草を入れるから、ちゃんと残しておいてよ!」
「はーいっ! スノーマンが来るまでに終わらせないとね」
 クィニーの言葉にセリカが返事をし、スノーマンが来ると思しき方向を見る。
 未だ白い影は見えず。設営は順調であった。

●かいし!
 それはとても分かりやすかった。

 …………ド……

「おや?」
「何か、音が……しますね」

 ………ドド……ド……

「近づいてきた?」
「そのようなのです。覚悟するです季節外れども!」

 ドドドドドドドド!!!!!

 山から白いものがぽつりと現れ、瞬く間に多くなっていく。地響きのような音もそれにつれて大きくなっているようだ。
(要するに、雪解けの時期に雪崩が起きるみたいなもんかねぇ)
 飛行するクィニーは空から見えるスノーマン達に目を細める。
 相手は喋る妖精のようだが、自然現象と割りきって迎撃してしまおう。そうでなければ被害に遭うのは自分達の後ろにある町だ。
(これは最早、現象か、災害か……)
 スリーも地上からスノーマンを視認する。白が一面に広がっていく様は、波がこちらへ向かってくるようだ。
「これが……妖精の一種では、あると……なるほど、大変興味深く」
 知識に貪欲なスリーにとって、この現象とスノーマン自体すらも興味の対象となるようだ。
 本当は捕獲して調べてみたい所だが、この状況だとそうはいかないだろう。
 それでも色彩や声質、構造など。戦っている最中に学べる事もある、とスノーマンの接近をスリーはひそかに楽しみにしていた。
「ふむ、罠が進路より若干逸れているようだね。洸太君」
「おう、任せとけ!」
 クィニーに声をかけられた洸太は罠の直線状に立ちはだかった。
 進路が逸れていると言ってもほんの少し。僅かに軌道を修正できれば罠まで一直線だ。
 洸太はすぅ、と息を吸い込み。

「ちょおっと待ったあ! これからは花と団子の季節、団子はめちゃくちゃ呼ぶけど雪だるまはもうお呼びじゃねぇ! この先は、このシミズコータ様の目の黒いうちは一歩たりとも通さねえぜ!」

 段々と近づいてくるスノーマンに向けた、堂々たる名乗り口上。ビシ、とエクスカリバットを突きつける。
 スノーマンの視線だろうか。注意を向けられる感覚を洸太は感じた。
 さあこっちに来い。俺の方に進路を向けるんだ。
 だが。

「オヨビジャナクテモー!」
「アツイノヤダー!」
「ヤダー!」
「「ヤダー!!」」

「……ってあ、ちょっと! 待ってー!!」
 目論見が上手くいかず焦る洸太を余所に、スノーマン達は洸太の隣を抜けていく。
 このままだと片方の柵に直撃だ。
(ふむ……引き付けられない、と見てよさそうかな)
 洸太の横を抜けていくスノーマンたちを見てクィニーはそう判断し、下を見下ろした。
 クィニーとヒィロが主導して作ったトラップは、上から見たときに柵が漏斗のようにすぼまっている。そして狭まった通路の先には落とし穴と、町への直進を遮る柵。そして左右に再び落とし穴。
 誘導したい先にまっすぐ進んではくれなさそうだが、スノーマンたちの進む先は進行をすぼめる柵。ここからさらに進路を逸らさなければ、うまくトラップに引っかかってくれるだろう。
「ヒィロさん、そろそろ付けちゃって! リュスラスさんも!」
 空からクィニーが呼びかけると、下でヒィロが分かったというように手を振る。
「よし、ファイヤーするぞ!」
 リュスラスの言葉と共に、ヒィロは設置した柵──ではなく、その先の草地にたいまつをかざした。
 火は地面を舐めるように広がり、柵と一直線上に伸びていく。それらはあるところまで伸びるとそれ以上進むことをぴたりと止めた。
 緋呂斗とスリーは何も考えずに草を刈っていたわけではない。上手く柵と繋がるよう、その部分だけ草を残して刈っていたのである。
「柵も付けちゃうよー!」
 セリカが火炎瓶を柵へ向かって投げつける。パリンと割れた瓶から液体が飛散し、柵を燃え上がらせた。
「こちらもファイヤーだ!」
 リュスラスのマジックフラワーが火花を散らす。セリカが火をつけた柵と反対側も、火がゆらりと立ち上った。
 火による誘導トラップがスノーマン達を招き入れる。
 先頭のスノーマンが火のついた草地に接近。じゅわ、と水蒸気の昇る音が鳴った。

「アツー!」
「アツイノヤダー!」
「ヤダー!!」

 前のスノーマンが溶けたことで『これは熱いモノ』と気づいたらしい。火から逃れようとスノーマン達は進路変更。
 こんどは反対側の柵へ向かって進む。
 じゅわ。

「コッチモアツー!」
「アツイノヤダー!」
「アツイノイッパイヤダー!!」

 足元から、或いは顔面から。燃える柵にスノーマンの体が崩れ落ちていく。
「はっはっはー! 観念して溶けたり崩れたりするんだなー!」
 仲間を越え、火のつく草地を渡ってきたスノーマンに洸太のエクスカリバットが直撃する。くしゃ、と軽い音を立ててそれはただの雪と化した。
 すぐ後ろから続いていたスノーマンが洸太を押しつぶさんと接近する。
 それをとかしたのはリュスラスのマジックフラワーだ。
「並み居る敵をちぎっては投げちぎっては投げも嫌いではない。川越エルフはファイヤーが大好きなのだ!」
 相手は火を近づければ溶け、殴れば崩れる相手である。ある意味、ひたすら攻撃するにはやり易い相手であった。
 しかし。
「さ、柵が壊れそうだよ!」
 ミシ、と柵が微かに歪む。近くでその音を拾ったセリカが焦った声を上げた。
 火により徐々に狭まった通路へ誘導されつつあるが、柵にぶつかるスノーマンも多い。
 先頭のスノーマンが溶け、次にぶつかったスノーマンが溶けきる前に後ろのスノーマンが柵へぶつかってゆく。雪と言うものは存外重いものだ。
 スノーマンが溶けたことで水となり、火の勢いも弱まっているように見える。
「ふむ……妖精とはいうものの、実体は雪だるま、そのもの……ということでしょうか」
 水と化したスノーマンを見てそう言葉を零すスリー。その瞳には静かながらも好奇心をくすぐられた、と言わんばかりの光を持っている。
「僕が火を足すよ!」
 消火されかけた柵の傍で緋呂斗が牽制攻撃をスノーマンへ放ち、持っていたたいまつを柵に近づける。しかし木材や草が水を吸ってしまったのか、消えてしまっている部分は中々火が付かない。
「やっべ、柵が壊れる……! 皆! このままじゃ抜けられるかも知んない!」
 洸太の言葉と共に、大きく柵が傾き。
 完全に消火されてしまった柵を乗り越え、スノーマン達が進撃した。
「わぁっ!?」
「百目鬼さん!」
 火をつけようとしていた緋呂斗はスノーマンの行列に埋もれる。セリカの声にクィニーがリボルバーを構え、スノーマンへ向かって放った。
 銃弾で崩れた雪により、僅かだがスノーマンの列が途切れた。その隙にセリカが壊れた柵へ意識を集中させる。
 浮かぶのはつい先ほど、リュスラスとヒィロが作っていたという『思い出』。
 ギフト《「思い出」は道具と共に》の効果を受け、柵は──元の姿を取り戻した。
「よかった、直った……!」
「いてて……ありがとう。柵を直せるなんてすごいね」
 スノーマンに体の上を通過され、ゆっくりと起き上がった緋呂斗。駆け寄ってSPDで回復を施すセリカは照れくさそうに笑う。
「1度しか直せないし、必ず成功するわけじゃないけどね……あっ、スノーマン!」
 セリカははっとスノーマンが通過していった先を振り向く。町の外壁へ接近するスノーマンの、更にその先にいたのはクィニーだ。
「さあ、二刀流の腕の見せ所だ!」
 片手にリボルバー。片手にロングスピア。赤のマフラーが軌跡のように、スノーマンへ駆けていくクィニーの首元でなびく。
「町に向かわせないようにしないとね!」
 ヒィロも柵からはみ出したスノーマンへ向かって駆ける。拳の間で煌めくジャマダハルはスノーマンの体を抉るように崩した。
 また、狭まった通路の先で待ち構えていたのはスリーとひまわり。直進を遮る柵の後ろにひまわりが足場を作り、そこで待機していたのである。
「声は……どこから、出ているのでしょうか」
 興味深げな言葉と共に放たれた遠術がスノーマンに襲い掛かる。ひまわりのライフルが放った銃弾がそれに追随した。
 それらを潜り抜けたスノーマンを待ち受けるのは、洸太達が掘った落とし穴。

「「ワァー!?」」

 悲鳴を上げてそこへ落ちていくスノーマン達。運よく逃れたとしても、スリーとひまわりによって多くが崩れ落ちていく。
「これで最後! 着火なのです!」
 ひまわりの言葉と共に、スリーとリュスラスから同時にマジックフラワーが放たれる。
 それらの火花を受け、柵とスノーマンは火の餌食となったのだった。

●おしまい!
「あっつぅ……」
 既に煙を上げるのみとなっているが、今まで思いきり燃やしていたのである。麗らかな春の陽気も伴って、イレギュラーズ一同は汗だくであった。
「町の人に報告してくるよ」
 そう言って初めに動いたのは緋呂斗であった。
「……なるほど、ただの雪解け水、ですね。来年は、捕獲できたら……よいのですが」
 初めからスノーマンに興味津々だったスリー。溶けた水を軽く調べ、変哲もない雪解け水であることを知ると小さく視線を伏せる。
 ヒィロは辺りを見回した。
(シロップかけたら美味しくいただけないかと思ってたけど……)
 自主的に立ち止まったスノーマンはいない。皆燃える柵や罠にかかって水と化してしまった。
「ううん……じゃあ町でかき氷食べて、疲れを癒すのはありかな」
 いや、少し季節としては早いかもしれない。けれどかき氷じゃなくても、アイスクリームだとか、冷たいものはなにかしらあるはずだ。
 片づけをいち早く始めていたクィニーがその言葉に顔を上げる。
「それは良い案だね。けど、その前に罠の撤去や片付けもしなきゃいけないべ?」
「燃やした柵とか罠とかの後始末しないとね……うう」
 クィニーの言葉に小さく肩を落とすヒィロ。穴を埋めようとスコップを持っていたセリカが、苦笑しながら余っていたスコップを手渡す。
「灰は集めておくぞ」
「何かに使えるのか?」
 リュスラスの言葉に興味津々な洸太。
「畑仕事に使えるのだ」
「へぇー。肥料的な?」
「冬と雪、雪解け水となり、春には作物の糧となる。巡り巡るのだ」
 頷くリュスラス。手伝うぜ! と洸太は気合を入れるように腕まくりをする。
 その傍ら、ひまわりは満足げな表情で空を仰いだ。
 ああ、春の日差しはよいものだ。
「雪なんてなかったのです! 今日は快晴、ばっちり晴れ! おしまい!」
 その声は麗らかな春の空へ吸い込まれていった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした。よく燃えました。

 みかんの季節が終わりましたね。リプレイでは無事春を迎えられたので苺を食べたいです。
 またご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

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