PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<バーティング・サインポスト>揚陸作戦・巨大エビとの死闘!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「でっかい島が見つかったんだってさ」
『そこにいる』アラギタ メクレオ(p3n000084)は茶をすすった。
「発動された『海洋王国大号令』の名の下に、ネオフロンティア海洋王国の活動は活発化していた」
 いきなり物語を語るようにメクレオは切り出した。
「近海にて海賊連合を下し、ゼシュテル鉄帝国の干渉をローレットと共に跳ね除けた王国は遂に外海『絶望の青』へと漕ぎ出した」
 ここまでどうにかきりっとした顔を維持したが、すぐにほどけた。
「だぁけぇどぉ。局地嵐(サプライズ)、狂王種(ブルータイラント)、幽霊船に海賊ドレイク、そして魔種。なんか、こう、つらいこと過積載? 後、ほら、霊の病気つうか呪い」」
 折りしも行われた元得意運命座標――魔種オクト・クラケーンとの会談により、ローレットと王国はこの病が絶望の青の支配者・冠位嫉妬アルバニアの権能、即ち廃滅病と呼ばれる呪いであると知る。廃滅病を治癒する方法はアルバニアを倒すのみ。発症危険があるのは絶望の青に踏み込んだすべてのもの。
「魔種になったオクトを信じるなら、ローレットと王国のなすべきは一つしかない。コン・モスカの協力を受けながら廃滅病に対抗し、一刻も早くアルバニアを倒し、絶望の青を超えるしかない――っていう。二次災害必須。やだねー、魔手って考えることが陰湿で。トニック、やるしかないからやるんだけど。まあまあいい情報もあるんだよ。火種の可能性もあるけどさ。火種だけどさ」
 そして、話は冒頭に戻る。
「王国はその島を『アクエリア』と仮称することにしたんだけど……そこには多数の魔種の影があるんだよね。だよねー。環境のいいとこにはもう誰かいるよね。知ってる!」
 メクレオは、でもさ。と言った。
「フロンティアって、堂きれいごととロマンで飾り立てようが結局侵略ってことじゃない?」
 ってことは魔種も蹂躙してなんぼじゃない?


「お高いエビっているじゃない。こう、殻が攻撃的な奴」
 殻割るとき木づちがいるような奴ね。うっかりかみつくと口の中切るやつ。
「島に上がる時、浅瀬で外洋船では上がれないからまあ10人くらいでこぐボートを使うんだけど、そのボートとおんなじくらいのエビがそこに住み着いてて二匹くらいよって来て乗り上げるわけよ。ふつうに転覆するよね。困ってるの」
 倒してきて。と、端的にメクレオは言った。
「このエリアの狂王種は魔種の影響を強く受けており、彼等に従属。自然発生したのではないっぽいので生態系とか考えなくていいです。浅瀬なので深いとこでも胸ぐらい? でも、ふくらはぎ迄の水ってまともに動けないっていうからエビに乗って戦うのが推奨かな。どんどん島の方に誘導できれば有利だろうね。操船にばっか気を取られてたら船ひっくり返されるだろうけど。その辺のバランスは相談して。浅瀬とはいえ、船ひっくり返されると足場なくなって危ないからね。そのへんどうするか考えてね」
 すがすがしいほど丸投げだ。
「後、少なくとも魔手の影響受けてるし、病気持ってないって言えないから、食べようとか考えない方がいいよ。高そうなエビだけど。狂王種だし。高そうなエビだけど」
 二回言った。

GMコメント

 田奈です。でっかいエビにマウントして狩るといいんじゃないかな。

場所:浅瀬
 トロピカルな白い砂浜。サンゴ礁の内輪tt。波もなく天然のプールみたいなところにでっかいエビが二匹。
 水深は深いところで胸くらい。

敵:狂王種エビ×2
エビは四分の一が水につかっている状態です。呼吸に不自由はしないようです。船の下に入りひっくり返すのも、船に乗り上げて鎮めるのも可能です。全長8メートル。体高2メートル。イセエビ型。長い触角と撮れてもあまりダメージを感じない脚と硬い殻を持っています。軽自動車との格闘と思ってください。

船:上陸用ボートです。外洋船は揚陸できません。海洋王国船からの援護砲撃はあります。合図をすると1ターン後にエビに着弾しますが【識別】はついていないので早急にエビから離れる必要があります。まごまごしていると巻き込まれます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●重要な備考
<バーティング・サインポスト>ではイレギュラーズが『廃滅病』に罹患する場合があります。
『廃滅病』を発症した場合、キャラクターが『死兆』状態となる場合がありますのでご注意下さい。

  • <バーティング・サインポスト>揚陸作戦・巨大エビとの死闘!完了
  • GM名田奈アガサ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年03月18日 23時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
流麗花月
枢木 華鈴(p3p003336)
ゆるっと狐姫
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
エリス(p3p007830)
呪い師
太井 数子(p3p007907)
不撓の刃
羽住・利一(p3p007934)
特異運命座標
アカツキ・アマギ(p3p008034)
放火犯
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
Black wolf = Acting Baron

リプレイ


 外海と内海の境にできた環礁に入ると、途端に波はなくなる。
 滑るように進む揚陸ボートの側面をひたひたと叩く優しい海。
 泳いでいくのはきついかなー。という距離まで迫る島。
「この果てには前人未到の地が待っておると思うと浪漫があるのう」
『放火犯』アカツキ・アマギ(p3p008034)は、目をキラキラ輝かせている。
「絶望だろうと廃滅だろうと、妾の炎で燃やして進むのじゃ」
 二つ名にたがわぬ物言いだが、燃やす対象は考えて行動してほしい。
 足をついて歩ける深さだが、それゆえ頭を振り建てたがらやってくる巨大なエビが迫ってくるのがよく見える。船の転覆を覚悟しないといけないでかさだ。
「ボート並みの大きさのエビか……」
『特異運命座標』羽住・利一(p3p007934)は、他の仲間達は堂々とした様に感銘を受けていた。
(頼りになるベテランが多くて安心だ。俺もベストを尽くすとしよう)
「コイツに有効な攻撃は、と……この辺とかそうなのかな? 弱点はやっぱり頭かな。潰せる物なら早めに潰したいね』
 コン=モスカの魔導書を紐解く。難解で読み違え続出の逸品だ。
「調理前のエビって見た目が苦手だわ。何が苦手って、足がいっぱいで頭むしったら緑のドゥルッてしたのが出てくる所!! 卵は謎の鮮やかな緑!! ムリ……」
『磨石のミーティア』太井 数子(p3p007907)は、生け作りがトラウマになるタイプではなかろうか。
「普段からエビフライの姿で生きてくれたら良いのに」
 むき身のプリンプリンにパン粉まぶされたのがそのまま泳いでいる図はなかなかシュールだ。
「狂王種、じゃったか。この海に居ると、色んな生物が変な成長をしてしまうみたいじゃのぅ」
『ゆるっと狐姫』枢木 華鈴(p3p003336)は、かわいい――のは、置いておいて、これから粉砕しなくてはならない存在に思いをはせている。
「見るからに高そうなエビじゃし、美味しいそうに思うのじゃが……食べるのは止めた方が良いんじゃったか……」
「…確かにあれだけ大きければなかなか食べ応えのあるエビだったんだろうな。しかし、ああ何度も言われてしまっては食べようとは思わない」
『特異運命座標』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は、情報屋の顔を思い浮かべていた。
 情報提供の場でも焼き菓子を食うのをやめない情報屋が食うなと言っていた。死に至る呪いが蔓延している地域だ。どこにトリガーがあるかわかったものではない。
「…見るからに美味しそうなんじゃがなぁ…エビのグラタンとか、エビの蒸し焼きとか、エビの塩焼きとか、したら美味しそうなんじゃけどなぁ」
「うわーホントに立派なエビですこと……食べられたら良かったのにねえ」
『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)も、ため息交じりだ。
「エビを食べられないとは非常に残念です……」
各地の美味しいものを求めて旅をしている『呪い師』エリス(p3p007830)としては、おいしいそうなエビが食べられない現状はあり得ない事態だ。
 ここで誘惑に負けてなにかあったら、あのうさん臭い情報屋に「だから言ったのにぃぃぃ」と今後何かあるたび語尾を伸ばして言われるのが目に見えている。
 元気なエビが遠近法無視してびっちびちである。声が切ない。食えないエビに価値などあろうか。いや、エビは何も悪くない。素晴らしいエビを食えなくするやつが悪いのだ。
「この悲しみをどこにぶつければいいのでしょう……!」
 エリスが腹から声を絞り出した。
「おのれ。魔種、許すまじ!」
 齢千より後を数えるのをやめた 『五行絶影』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)が明確な結論を出した。
 そうだ。みんな、魔種が悪いんだ!


「作戦開始よ!! フンッッ! うぬぬぅ…!! おも、い……!!」
 数子とベネディクトが全力でボートを漕ぐ。オールが水中をかく。
(十人乗りを二人でって……めちゃくちゃきついわね……!)
 ギリギリと奥歯をかみしめて腕に力を籠める数子。
(初っ端から心が折れそうだけど……追いつかれないよう、頑張るわ!)
 追いつかれたら、転覆が現実味を帯びてくる。
 

 触っただけでこちらの手を傷つける硬い殻。
 体長ほどもある触角は、たやすくイレギュラーズを串刺しにできそうだ。
 飛竜の精を胃の腑に収め、自らを聖域に閉じ込める術式をまとった汰磨羈は、空中を滑りエビに接近。足止め役の任を果たそうとしていた。
 背中に飛び乗り、手指をかざす。自分の爪を媒介に生命力を消費して本来は備わっていない属性を持った霊体『虎爪』を錬成。ネコ科なので関連性はある。仙狸はタヌキ由来ではない。位階の上がった化け猫である。タヌキではない。
 殻と殻の隙間に強靭な爪をねじ込み、爪の先に引っかかったぷりっぷりの見事殻を引っぺがす。
「訳あり品未満の食えぬイセエビなど、こうしてくれるわ!」
 陽光を照り返す白ピンク。つやっつやな身の表面がまぶしい。爪の先にエビ出汁が染みている。エビの旨味はグルタミン酸とイノシン酸。
 だが、赤い殻の中、ぽっかり空いた白はいい的になる。


 後ろを振り向く余裕もなく漕いでいる数子とベネディクト以外には、赤い殻が水面に落下していくのが見て取れた。
「そう、いえば、アカ、ツキ、この敵、なら、遠慮、なしに、焼けるんじゃ、ないか?」
 ベネディクトは、先日依頼でコンビを組んだアカツキに言った。息が切れて、発音がとびとびになるのはご愛敬だ。
「ああ、遠慮なしじゃ。燃えたら焼きエビじゃな?」
 香ばしいエビの香りが漂う事は必至。食えない。みんな、魔種が悪い。
 エリスは、悲しみをエビにぶつけることにした。現時点、エビにしかぶつけようがない。
 まだ距離があるうちに地水火風の四大精霊を召喚する。水はあふれ、乾いた地面もあり、海風は吹き、炎は太陽に置換するのも可能だが、胸で燃え盛る食べられないエビにした魔種への怒りで十分いけそうな気がする。
 食べられないのだから、毒が入ろうが焦げるまで焼けようが何の問題もない。操舵、いっそ隅になる程焦げればいいのだ。
「次は、あっちです……交互に撃ちますよ」
「心得た。こっちは任せるのじゃ!」
 アカツキが遠距離術式を発動させる。
 目指すは浅瀬だ。足がついて戦闘に支障がなくなる浅瀬まで引っ張っていくのだ。転覆の危険がなくなる浅瀬についてしまえばこちらのものだ。
「満遍なく行くのじゃ」
 華鈴は、終わらせるという概念を特化した儀礼剣に魔力を集中させた。切るのが目的ではない刃を持たぬ飾りの剣から光の柱が形成され、のこのこと前進する無傷のエビに刺さった。
 そのエビにはウィズィがしがみついていた。
 エビの触角の根元をつかんで耐えている。直接的な被害はないが、攻撃の余波で一拍おいてから跳ね上がった海水が怒濤となって降ってくる。衝撃で首根っこがへし折れそうだ。万一落ちても大丈夫なように、ちゃんと水中でも溺れないポーションを飲んできた。
 痛みにのたうつエビへの騎乗は、曲乗りにさも似たり。
 向こうのエビがいい感じに仕上がるまで乗りこなすのがウィズィの役目だ。
 無茶苦茶に振り回される触角はとげのついた鞭だ。かすれば肉が裂け、まともに受ければ衝撃が骨の髄まで染みとおる。
 遠のきかけた意識で殻にすがる。絶対に合流なんかさせない。

「ねえ。まだ? まだ足つかない!? 進んでる気がしないんだけど!」
 自分の前後する手元だけ見て漕いでいた数子が叫んだ。
「――ああ。もう船底がついてる。ここが浅瀬だ」
 利一が水深を確かめた。この深さなら海に入って戦闘してもエビに後れを取ることはないだろう。腕につけた腕我が動きを補正してくれる。
 汰磨羈がけん制していたエビを追い立ててきた。こちらから先に倒すのだ。
 汰磨羈の手足はズタズタだ。硬いからと鞭のように振るわれる触角が汰磨羈を打ち据え、むき出しの手足に痛ましい赤い線が刻まれている。バタバタと血が流れているが汰磨羈の士気はおちていない。
「高級海鮮物を目の前にして、お預けを喰らったこの怒りを――」
 汰磨羈は、浅瀬まで誘導する間ずっとレアな感じに熱が加わったエビの匂いを感じ続けていたのだ。
 今まで必死に維持していた安全装置をなかったことにして――エビの殻は砕けていた。時間を置き去りにした攻撃は結果だけを差し出してくる。
「――思い知れッ!!」
 声が後から来た。目と目の間にクリーンヒット。数子が気にしていた緑のワタが飛び散った瞬間、数子がエビに背を向けていたのが不幸中の幸いだ。
 それまで光線銃を撃っていた利一は量産型勇者の剣を抜くと一気にエビとの距離を詰めた。
 存在を捻じ曲げられた体に残る因果律を歪める力をエビにぶち込む。そもそも魔種にゆがめられた存在をさらにゆがめるのだ。同調させた回路から若干の反動はいかんともし難い。
 香ばしい匂い。
『エビフライの姿で生きててくれたらいいのに』
 ふとした少女の罪のない戯言が不安定な歪みの指向性を決定づけた。
 こんがりと素揚げされた頭で生きている。嗅覚の暴力。嗅覚と味覚は密接に関係している。とある次元ではこのように称される。飯テロ。こいつらは早急に葬らなければならない。心の平穏のために。
 イレギュラーズの心は一つになった。
「遠慮なく燃やしてもよい相手というのは最高じゃなあ」
 アカツキの見えないけれど明快な悪意がエビを追い詰める。マジ殺す弱点にねじ込む。ウェルダン、ウェルダン、食べる気など起きなくなるほど炭にしてしまえ。
 じゅうじゅうと泡を吹きながらも炎をまとったエビが急に黒に飲まれた。エリスによって考えられる限りの苦痛を詰め込んだ黒い箱にエビを閉じ込めたのだ。
「――苦痛が効きにくいようなら、特別弱いところを探してあげましょうね」
 エリスの頭の中には次はどうしてこうするという計画がいっぱいだ。アンシリーコート
を怒らせてはいけない。


 巨大なテーブルナイフはまさしく、このエビを解体するにはジャストフィットの逸品だ。
「『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)です。このナイフで切り刻んだ後、残念ながら食べられないので廃棄処分にしてさしあげますね……ほんとうにたべられたらよかったのにねぇ」
 背から飛び降り陸地に駆け出し、くるりと旋回。血の滴るスカートの端をちょっと持ち上げてなされた口上に、浅瀬まで誘導されたエビは地面をかきむしるようにしてウィズィに突進した。
 触角が鞭なら、肢は槍衾だ。当たったら体の表面を細切れにされる。
 しかし、ビトンビトンと体をくねらせるしか移動手段がないエビにウィズィの地形アドバンテージは揺るがない。
「両手で持てるのは8回くらいでしょうか。さぁ、Step on it!! いきますよ!!」
 遠慮なしの全力攻撃の一回目がエビに向かって叩き込まれた。


 後方からの着弾の隙に、前衛がエビに肉薄する。
「……ところで、やっぱり狂王種にもわらわのギフトは効くんじゃろか?」
 華鈴はかわいい。世界の理でそうなっている。
「効いたところで、意思疎通が出来ぬ以上意味は無いんじゃが……背中に乗る時、乗りやすいようにしてくれたりせんかのぅ」
 が、かわいいから殺されてやるという知能はエビにはないようだ。認識とそれから生じる便宜は別問題だ。残念。でもかわいいよ。
「殺されるわけにいかんのはわらわもじゃから、精一杯抵抗させてもらうぞ」
 クロスイージスは一歩も引かないから無敵。その心意気が攻撃力を爆上げする。精一杯の抵抗は、持てる力をかき集めてお前を攻撃するという意味だ。
 エビの触角が切り飛ばされ、海の中に落ちた。
 エビが身をよじって暴れる。
 間合い深く入り込んだ数子に叩きつけられたエビの肢がへし折れた。
「ぜんっぜん痛くないわ! その程度じゃ、私は折れない! 負けないし、最後に笑うのは私よ!」
 しゅうしゅうと音を立てて、割れた筋肉は繋がり、皮膚はふさがり、エビの攻撃を跳ね返す。
 金色のふわふわの髪を躍らせながら、数子はお返しとばかりに残った足の付け根を引きちぎってほおり出す。
「とりあえず、お腹から――掻っ捌く!!」
 お料理はできるが、頭はもう揚がっているし、緑のエビ味噌飛んでるし、真ん中から上下左右に割ってしまえば、多分死ぬ。
 大剣を上段から振りかぶって殻ごと縦に割いた。
 ベネディクトは、攻撃タイミングにあわせるために集中していた。
 今のベネディクトにできるのは自殺まがいの特攻だ。それだって当たらなければエビの触手で買えるうち。死に損だ。
(……俺はまだ皆ほど戦えるだけの実力はないが、何時かはあの場所へ必ず!)
 先達を前にして、腐らず先を見据えられるのは才能だ。
(殻が硬いなら殻の隙間でも狙えれば良いが、俺にそれは難しい――なら、俺の最大限の全力を目の前のエビにぶつけるのみ!)
 汰磨羈が引き流したから。むき出しになった身。小窓くらいの大きさのそこに当てることが出来たら、もはや死に体のエビの息の根は止まるだろう。
 汰磨羈は、信号弾を打ち出すタイミングを見ている。
 ベネディクトは、息をはいた。
(全身を使い、渾身の一撃を以てその強固な守り、破らせて貰おう!)
 今、できること。集中し、全力で、基本の一撃を渾身で繰り出すこと。
 最大効率で発揮できるから、それは基本の技なのだ。
「待たせた、ウィズィ! 離れてよいぞ!」
 事前に打ち合わせをしていた外洋船から放たれた砲弾は、エビのすぐ側に着弾する。
「助かりました。残り回数が心もとなくなってたところで――これで終わりですよ!」
 ギリギリまで攻撃したウィズィは、エビを挑発しながらハーロヴィット・ウィジューをひらめかせた。
 その輝きを追って頭を巡らせたエビは、着弾の衝撃で押し寄せる環礁の中ではありえない大波に横倒しになった。
 イレギュラーズは歓声を上げた。
 このエビは、簡単に料理できそうだ。食べられないけど。
「さぁ、食える海老に転生してこい!!」
 イレギュラーズの心はおおむね一つだった。


 浜辺にはこんがり揚げ焼きにされて後ぐちゃぐちゃにされたエビと、切り刻まれた後にこんがり焼かれたエビが残った。
 外洋船に帰投までが戦闘です。
 癒し手がいないので、本格的な治療は外洋船に帰るまで望めない。
「――帰りは、皆でボート漕いで行きましょうね」
 数子がぽそっと言った。
 リジェネレイターの傷が治りきっていない。至近距離での戦闘は過酷だった証拠だ。
 別に泣いてはいないけれど、強がっているのは見え見えだ。前衛職は、あっちこっち焼けていたり、光線だの呪いだのが飛んでくる中、自分の体一つで戦っている。
 場数が戦士を強くする。
 互いの健闘をたたえつつ、それぞれオールをとって外洋船に向けて漕ぎ始める。
 あらかた怪我人で船の進みがちょっとよたよたするのはご愛敬だ。
 ほとんど一人でエビの相手をしたウィズィはちょっと口がきけない状態だ。
「おのれ絶望の青、おのれアルバニア。絶対に殴りにいってやるからな!」
 とりあえずの止血と布を巻かれた汰磨羈は心に決めた。アルバニアは殴られるのだ。少なくとも一撃は食えなかったエビとそれに関連する恨みで。
 外洋船についたら厄落とししよう。かりっかりのエビフライでも食べて。

成否

成功

MVP

ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌

状態異常

ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371) [重傷]
私の航海誌

あとがき

お疲れさまでした。食べられないエビは海に還っておいしいエビの礎になることでしょう。
ゆっくり休んで、次のお仕事頑張ってくださいね。

PAGETOPPAGEBOTTOM