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シナリオ詳細

<Despair Blue>勇者進水GC:勇気の価値は

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●グッドクルーザー、敗北!
 空を舞う骨だけの大蛇が、次々と闇色の光線を放って海洋軍艦を砲撃している。
 荒ぶる波をはねるようにしながら逃げる軍艦のデッキで、輪型の舵をとるネオフロンティア海兵デリンジャー。
「メーデー、メーデー! 狂王種に攻撃されている! 味方はすでにやられた! 救援をたのむ!」
 先行させた鳩にファミリアーごしのテレパス通信を送るデリンジャーはしかし、死の覚悟をしていた。
 はじめは五隻で挑んだ『絶望の青』橋頭堡確保計画。その道中で遭遇した狂王種ガシャボロスに対し交戦に入ったが、開始から三分という短時間で味方の八割以上が壊滅。
 爆発しへし折れた味方の船はもうずっと後方で煙をあげながら沈んでいる。乗組員たちはすでに骸だ。
 迫るガシャボロス。
 振り返るデリンジャー。
 大きく開けたドクロめいた口から闇色の光が瞬いた――その瞬間。
「希望合体(パンドラフュージョン)!」
 青い光に包まれて、一台のクルーザーが高波をジャンプした。
 古代船クルーザーとその操縦者である秘宝種グッドクルーザーは己の構造を素早く変形。各部を接続すると巨大な人型兵器へと変形合体した。
 背部より青いジェットを噴射し飛行状態を維持した小型船級秘宝勇者『ビッグクルーザー』は、放たれた闇色の交戦をクロスアームで防御。
「デリンジャーさん。この海域より撤退してください。ここは当機(わたし)が……!」
「助かった!」
 加速し、今度こそ撤退をはかるデリンジャー。
 しかし現実は……否、『絶望の青』はそんな救いを許さなかった。
 デリンジャーの船前方に激しい水柱が三つ同時に吹き上がり、新たなガシャボロスが三体同時に出現。
「何!?」
 咄嗟にカーブをかけるデリンジャーだが、一斉発射された闇色光線(ノワールカノン)が直撃。爆発をおこし、デリンジャーは海へと投げ出された。
「デリンジャーさん!! ――ぐわ!?」
 咄嗟のことに振り返ったビッグクルーザーに全方位から浴びせられる闇色光線。
 激しい無数の爆発に包まれて、ビッグクルーザーは破壊された。
 空中へと投げ出されるグッドクルーザー。
「そんな……希望の戦士の……皆さんの勇気の力が……!?」
 敗北。そんな言葉が、彼らの脳裏をよぎる。
 ここで終わってしまうのか。
 魔を倒すという彼の使命は、果たされぬまま潰えてしまうのか。

 ――否!

 まだ、この海にはあなたがいる!

●真・勇者見参
 ネオフロンティア海洋王国海軍デリンジャー艦隊よりの救援要求をうけ、ローレット・イレギュラーズは船を走らせた。
 彼らから……いや、『あなた』から貰った勇気と正義を力に変え、先行したグッドクルーザーはしかし、突如として現れた新たな狂王種ガシャボロスたちの集中攻撃によって撃破されてしまった。
 彼とデリンジャーの命は風前の灯火。
 救えるのは、あなただけだ!

GMコメント

 グッドクルーザーは古代遺失技術によって製造された正義の勇者ロボットである。
 記憶も力も持たずただ魔を討つという使命だけを与えられ、古き眠りから目覚めたのだ。
 彼を導けるのは君の勇気!
 彼を形作るのは君の正義!
 さあ、未来の海へと漕ぎ出そう。
 Departure to the future!
 物語の名は――勇者進水グッドクルーザー!

■■■オーダー■■■
・成功条件:『ガシャボロス×4』の撃破
・オプション:グッドクルーザーに『敗北から立ち上がる勇気』や『どんな時でも人を救える正義』の心を教える

 以降はメタ情報を含みます。
 ややメタ視点をもちつつ、未来の事態に備えましょう。

■■■シナリオパート■■■
 シナリオは前半と後半の2パートに大きく分かれます。

●前半パート:ガシャボロスとの戦闘
 グッドクルーザーが先行した戦場へと駆けつけ、ガシャボロスと戦います。
 この時点で決定している事態は以下の二つです。
☆グッドクルーザーは一度倒され、パンドラ復活状態の微少なHPで残っている。
☆海洋兵士デリンジャーは海に投げ出されている。人間種だが水泳能力があるので簡単には溺れないが非常にピンチ。

・ガシャボロス
 絶望の青で観測された強力なモンスター『狂王種』のひとつです。
 水中と空中をペナルティなしで移動することができ、噛みつきや体当たりのほか闇色光線(ノーワルカノン)で攻撃します。
 攻撃には【飛】や【不吉】がついているため、できるだけ回避を試みたほうがよいでしょう。

●後半パート:ダイガン・ガシャボロスとの戦闘
 ガシャボロスを倒し終えた段階で、そのボスであるダイガン・ガシャボロスが出現します。
 大きさはガシャボロスの三倍。
 強さも圧倒的です。
 ですが、この段階までにグッドクルーザーに勇気と正義を教えていたなら、彼がもつ新たな力によってこちらも強力な合体攻撃を仕掛けることが可能になるでしょう。

・最終希望合体(ファイナルパンドラフュージョン)
 希望の戦士イレギュラーズから勇気と正義を教わり真の勇者へと覚醒したグッドクルーザーにアンロックされた秘められし力。
 古代船クルーザーの他、イレギュラーズたちが持ち寄った小型船たちを変形合体させることでごくわずかな時間だけ巨大ロボット『ファイナルビッグクルーザー』へと変身できます。
 このときの彼は内部に乗り込んだイレギュラーズたちの戦闘スタイルを反映させた合体攻撃が可能となります。
 冠位魔種すら退けた希望の戦士たちが力をひとつにしたならば、ダイガン・ガシャボロスとて必ずや討ち滅ぼすことができるでしょう。

■船について
 1PCにつき1隻まで小型船系アイテムを装備していた場合に限り自分の船を持ち込むことが可能です。
 誰も持っていない場合普通の小型船を三隻ほど借りた扱いになります。
※もし装備しているアイテムが未特殊化アイテムだったとしても、『俺の船はこういうデザインだぜ』とプレイングで主張してかまいません。是非キャラを出していきましょう。

■NPC紹介
グッドクルーザー
魔を倒すという使命だけを与えられた古代の眠りより目覚めたロボット。
イレギュラーズを『希望の戦士』と呼び、勇気や正義を教わっている。
https://rev1.reversion.jp/character/detail/p3n000117

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

  • <Despair Blue>勇者進水GC:勇気の価値は完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年02月20日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)
泳げベーク君
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
新道 風牙(p3p005012)
よをつむぐもの
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!

リプレイ

●価値は人が決めるもの
 砕け散る青き鋼の雨が、ビッグクルーザー内を循環していた『青い海水(ブルーオーシャン)』と共に海へと落ちていく。
 まるでそれをあざ笑うかのように、蛇型巨大飛行狂王種『ガシャボロス』は大きく口を開いた。
「そんな……希望の戦士の……皆さんの勇気の力が……!?」
 勇気とは、価値なきものなのか。
 巨大な壁をまえに振り絞った勇気が、現実という強固さによって打ち砕かれてしまったのか。
 否。
 勇気の価値を決めるのは現実などという形なきものではない。

「――それを抱く、ボクたちだよ。グッドクルーザー!」
 『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は加速し続けるサラウンドクルーズ船『マイティクルーザー号』のデッキにて、燃える拳を握りしめた。
 見上げる海にあざ笑う、四体のガシャボロス。
 空を自在に泳ぎ回る彼らがただの海魔(シーモンスター)ではないことは、これまでの外洋遠征で痛いほど経験していた。
「待ってろよ! 生きてろよ! 絶対そこにたどり着く!
 『悠久-UQ-』は仲間を見捨てねえ!!」
 操縦席でレバーを限界まで引き、『Punch Rapper』伊達 千尋(p3p007569)は中央のパネルで音楽生成ボタンをタップした。
 鳴り響くムーディーミュージック。加速のあまり先端がういたクルーザーが、波を荒立てて突き進んでいく。
 たった一隻?
 否、全く同じ速度で突き進む計四隻の船が、いまここに集結していた。
「空を飛ぶ、骨の蛇、か。あれで、アンデッドではないのだな……」
 黒ベースに金の装飾が走った帆船『古き神話の夜明け号(仮)』の操縦台に腕組み姿勢で立ち、伸ばした頭髪によって無数の操縦桿や舵、帆縄をたくみに操作する『金剛童子』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)。
 そして縄を伝って駆け上り、高所より身を乗り出す『帰ってきた牙』新道 風牙(p3p005012)。
「待たせたなクーさん! 希望の戦士イレギュラーズ、ただ今到着だ!」
「皆さん……!」
 水中から顔をだしたグッドクルーザーに、風牙ははにかんで笑った。
「一人で先走るなよ。たとえ相手が四倍に増えたって、こっちは1+8で10倍だからな! 10倍!」
「9倍ですね」
 ジェットスキーのロープにつかまって海面をはしる『泳げベーク君』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)。
「今回もまた厄介そうな狂王種ですねぇ……。
 ……グッドクルーザー、一人で戦ったんですね。それはまたけったいな。
 はぁ、事業が展開されて戦闘に次ぐ戦闘ですが……これも、依頼ですしね」
「ぼやくなぼやくな。船乗り仲間がピンチなら、助けるしかねーだろ!」
 それを引っ張る『鳥種勇者』カイト・シャルラハ(p3p000684)。自慢の小型船『紅鷹丸・改』を操り、順風満帆で加速する。
「そんなわけで早速仕事だベーク! とんでけ!」
「えっなにいっt――」
 ロープが急速に引っ張られたかと思うと突如切り離され、猛烈な勢いでスローされたベークがうわーと言いながらデリンジャー氏のところへ落ちていく。
「よしっ」
「イイのかな、アレ」
 真っ白な屋形船を操作し『無影拳』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)は苦笑した。
「オレたちイレギュラーズは仲間を見捨てない! 行くよッ!」
「応ッ!!」
 船の瓦屋根によじのぼり、『雲水不住』清水 洸汰(p3p000845)は野球バットを背中のどっかからひっこぬいた。
「やべー状況でも、オレ達はとまってらんねーよな。
 さあ、ガシャボロス! この先はオレ達が相手になるぜ!」

●VSガシャボロス
「ぁぁぁぁぁああああああぶ!?」
 放物線を描いて飛来したベークがややあってぷっかりと浮かび上がり、ガシャボロスから逃げるように泳いでいたデリンジャー海兵へ『つかまってください』と尾びれを振った。
「キミは、ベークシードリームか!」
「はい、じゃあつかまっててくださいねー。大丈夫ですよ、僕がここからは守るんで。グッドクルーザーさんの遺志、勿論遂げますとも」
 そしてグッドクルーザーのほうを見ると、クローズドサンクチュアリを自らにはった。
「いやぁ、たった一人で守り切るなんてカッコイイですよねぇ。まぁ、僕にはそこまでできませんが。皆もいるんで安心してください」
「戦士ベーク……」
 何か言いかけたところで、グッドクルーザーはハッと上を見た。
「危ない!」
「えっ」
 ガシャボロスの一体がベークめがけてノワールカノンを発射。
 ベークは堅い鱗でダメージをはじいたが、直撃の勢いをころしきれずにそのまま吹き飛ばされてしまった。
「ベークシードリーム!」
「大丈夫です僕は。それより――」
 吹き飛ばされれば庇うことができない。もう一体のガシャボロスによるノワールカノンがデリンジャーを襲う――かに思われたその時。
「待たせたな! アンタの相手は俺だ!」
 船から飛び立ったカイトがピンポイントでガシャボロスにオーラの羽根を打ち込み、小爆発を起こした。
「へへん、その程度じゃ『鳥種勇者』のカイトに当たらないぜ!」
 自らに注意を引きつけ、ベークやガシャボロスを守るためだ。
 反撃のノワールカノンを、華麗なインメルマンターンで回避していく。
「焔、千尋、グッドクルーザーを頼む!」
「言われなくても! 振り落とされるなよ焔ちゃん! アイアイ! アイアイ!!」
 クルーザーを加速させた千尋。手すりの外側に飛び出し、手を伸ばす焔。
 同じく水面から手を伸ばしたグッドクルーザーと手をつなぎ、クルーザー上へと引っ張り上げる。
 『そいつは俺の獲物だ』とでも言うつもりだろうか。ガシャボロスは空をうねるように走り、息も絶え絶えのグッドクルーザーへノワールカノンを発射。
 しかし、槍を高速回転させて炎の壁を作った焔がそれを弾き飛ばした。
「かかってこい! ボク達が相手だよ!」
 返す槍で火炎弾を連射する焔。
 ガシャボロスの顔面付近で起きた爆発に乗じて、千尋は強引に船をターン。
 突っ込んできたガシャボロスを船ごと回避する。
「無事かグッディ!! 正義をデリバリーしに来たぜ!!」
「縁がありますね、戦士千尋……」
 グッドクルーザーは振り向いて肩の砲台をガシャボロスにあわせると、焔と共に砲撃を開始した。

「始まった、ようだな」
 エクスマリアは船を減速。別のガシャボロスが連携しないように割り込みつつ、船から巨大なゴールデンアームを展開して殴りつけた。
 すれ違う千尋の船。
「待たせた、な。しばし、時を稼ぐ。その間に立て直し、立ち上がれ」
「希望の戦士エクスマリア……!」
「希望の戦士、というのは些か面映い、が。マリア達の勇気、正義を力に変えるというなら、存分に、使え」
 殴りつけたアームから頭髪を伸ばしガシャボロスに絡めつけ、電撃を伝えるエクスマリア。
 風牙はアーム部分を駆け上がると、ガシャボロスめがけて跳躍。
「おい、怪物ども。オレたちの仲間が随分と世話になったな。お礼をさせてもらうぜ!」
 天高く振り上げた剣が真っ赤なオーラを纏い、ガシャボロスの顔面へと打ち付けられる。
 あがる火花に、風牙は歯を見せて獰猛に笑った。

 三体のガシャボロスに対してそれぞれ三つの船が戦闘を挑み、引きつけを行っている。
「ってことは、モウ一体はオレたちの担当かな」
 真っ白な装甲屋形船の操縦レバーを握りしめ、イグナートは『つかまっててね』と洸汰に合図した。
 グッドクルーザーを追おうとしたもう一体のガシャボロスのボディめがけて、船体を直接叩きつけたのである。
「グッドクルーザー、正義のミカタが何で負けないか知ってるかい?
 正義のミカタが戦うときにはその背中に守らなきゃならないタイセツな人たちを守っているからさ!
 そして、守られる人々の声が正義のミカタに勇気を与えてくれる!
オレたちはキミが後ろに居る限り絶対に倒れることはない!キミも、オレたちが居る限り何も恐れることはないんだ!
 一緒に戦おう! 勇者グッドクルーザー!」
「戦士イグナート……!」
 衝突の勢いをのせて、洸汰がガシャボロスへとバットを叩きつける。
 猛烈な打撃によろめいたガシャボロスは、洸汰に執着したかのようににらみつける。
「グッドクルーザー、こいつはこのコータ様に任せとけ!
 焦るなよ、次のお前の打席までオレがしっかり、場ぁ繋いでおくからさ!
 だってそれがチームってもんだろ?」
「戦士洸汰……!」
 イレギュラーズたちの力が合わさり、ガシャボロスの猛攻を押し返していく。
 それはただの力ではなかった。
 外洋という未知の脅威へ立ち向かう勇気であり、人々をかきたてる背中であった。
 勇気に価値があるとするならば。
 それを見て立ち上がる人々の価値、なのかもしれない。

●ファイナルパンドラフュージョン
 カイトの翼が、焔の斬撃が、風牙とエクスマリアの交差剣が、イグナートと洸汰の突撃が、それぞれガシャボロスを破壊した。
「すごい……これがいまのローレットの戦力なのか……」
 ベークによってカイトの船に救助されたデリンジャー海兵は、ぬれた顔を拭って崩れゆくガシャボロスを眺めていた。
「ベークシードリーム。カイト・シャルラハ。君たちのことは一方的に知っていたが……サマーフェスティバルに招いたときとはまるで別人だな。これなら絶望の青まで到達するのも夢ではないかもしれん」
「いやあ、そんな」
 てれてれとしたベーク――が、突如としてゾッと身体をふるわせた。
「あ――あああ!?」
 彼の本能に刻まれた、呪いの臭いを感じ取ったのだ。

 海を割り、空を穿つようにつき上がるあまりにも巨大な怪物。
 船をかみ砕き飲み込むかのような、それはガシャボロスの『親玉』であった。
 ダイガン・ガシャボロス。それまでとは比べものにならないほどの怪物である。
「カイトさん、船をだして!」
 船を先行させ、自分は海に飛び込んで攻撃を引き受けるベーク。
 放たれたノワールカノンはそれまでの比ではなく、ベークの防御を突き抜けて鱗や骨を破壊した。
「ベーク!!」
「そんな、こんなの大きすぎる……」
「今度のやつはちょっと大変そうだな……」
 焔と風牙は空からこちらを見下ろすダイガン・ガシャボロスに本能的な震えをおこす……が。
「でも! 守るものがあるのなら、どんな相手にだって立ち向かってみせる!
 諦めない限り、希望の光は! 正義の炎は! 消えたりなんかしないっ!!
 そうでしょう、グッドクルーザー!」
「クーさん、まだやれるか?
 たとえ指一本しか動かせないとしても、いや、指一本でも動くのなら、力を貸して欲しい。
 オレたちの背後にある、大切なものを護るために!」
 二人に振り向かれ、グッドクルーザーは思わず胸のコアに手を当てた。
 彼の本体であるコアと、体内に組み込まれた聖力エンジン。それが熱く脈打つ心臓のように明滅を始めた。
 それは、彼だけの光ではなかった。
 千尋の船に、エクスマリアの船に、イグナートの船に、そしてカイトの船にも同じ明滅がおこる。
「その力を振るうのは、お前の勇気、お前の正義、だ。
 それを握りしめるだけの時間程度は、いくらでも、保たせよう」
「逆転サヨナラで負けるなんて勘弁だかんな!」
「行くぜグッディ!」
 千尋は次にかけるべきミュージックをセレクトすると、ビッを親指を立てて見せた。
 言うべきことは知っている。
 生まれる前からきまっていた。
「勇者進水! 正義抜錨!」

「「最終希望合体(ファイナルパンドラフュージョン)!!!」」

 ダイガン・ガシャボロスがさらなるノワールカノンを放つなか、聖なる光が爆発する。
 無数の船は変形し、海の底から舞い戻り同じく変形した古代船と共にグッドクルーザーと合体していく。
 晴れた光が見せたのは――。
 真っ白な剣を備えた右腕だ!
 真っ赤な盾を備えた左腕だ!
 赤黒く燃える翼だ!
 黄金に吠える胸だ!
 ジェット噴射で飛行すると、『ファイナルビッグクルーザー』はガシャボロスのノワールカノンを盾によってうちはじいた。
 重なるカイトとベークの魂。
「回避ってのは盾で受け流すのもあるんだぜ!」
「さぁ、これより先は僕たちが食い止めます!」
 盾は燃えさかるカイトの炎とベークそのものの形となり、さらなるノワールカノンの連射をことごどくはじいていく。
 千尋の魂が三色カラーの砲撃を放つ大砲となり、肩から砲撃を連射する。
「そうだグッディ! 俺達とお前が組めば後に退けねぇ無限の旅路にも立ち向かえる!!
 これが!俺達の!『MUGEN ROAD』だァー!!!」
 そして猛烈な速度で接近。
 焔と風牙の魂が風圧をはねのけ、至近距離まで迫る。
「腕は振るえば全てを切り裂くヤイバとなり、突けば全てを粉砕する鉄槌となる!」
「強い球を投げるのも、敵の技を止めるのも、肩が大事だ! 強肩コータ様に任せとけー!」
 イグナートと洸汰の魂が右腕の手刀を巨大なエネルギーソードへ変えると、ガシャボロスの頬を切り裂いていく。
 空中をくるくると回転し、反転ブレーキ。
「皆の勇気を束ね、力とする必殺砲撃。今のグットクルーザーの力を持って放てば、必ずや仕留められる。
 天を驚愕させ地を鳴動させるこの一撃ならば、海をも激震させ、敵を穿つ、ぞ」
 最後にエクスマリアの魂が胸の金獅子の口を開かせ、強力なエネルギーを集中させた。
「これは……希望の戦士たちが奇跡の中で習得したという、あの――!」
「そうだ。叫べ」

「「驚天動地! パンドラフィニッシュ!」」

 解き放たれた奇跡のビームが、全力のノワールカノンと衝突する。
 が、叫ぶイレギュラーズたちの魂の力が、それを大きく上回った。
 ガシャボロスの全ての守りを貫き、粉砕していく。
 それはまさに、希望の一撃であった。

●そして朝はくる
 ほんのわずかな時間の合体は解け、それぞれの船が海に浮かんでいる。
「当機にこんなシステムが秘められていたとは……これを引き出せたのも、皆さんのおかげです。希望の戦士!」
 そしてこの力の使い道は、もう分かっている。
 人々を守る正義のため。
 立ち上がる勇気のため。
 それを、人々に示すため。
 いざ、青き海へ……。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――ビッグクルーザーシステムに『ファイナルパンドラフュージョン』がアンロックされました

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