PandoraPartyProject

シナリオ詳細

村の郵便屋さん

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●一日の始まりは気持ち良く

 ぴいぴい、小鳥が朝日を喜んで歌う。
 わんわん、相棒が早く早くと急かす。
 カーテン越しに朝日を感じて目を明ける。
 ああ、なんてキレイな夜明け空だろう。
 毎朝早起きして、この贅沢な色を見つめるのが日課。
 さあ起きなきゃ、起きなきゃ。
 今日も仕事だ。ボクだけの仕事だ。
 ボクは村で唯一の郵便屋さん。
 お手紙を預かってどこまでも届ける。
 お荷物も預かってどこまでも運ぶ。
 サービスでお話だって聞くよ。
 でもどうしたことだろう、喉が痛い。
 でもどうしたことだろう、体が重い。
 でもどうしたことだろう、熱くて寒い。
 ゲホッ ゲホッ ゲホッ ゲホッ ゲホッ
 どうやら風邪をひいてしまったみたい。
 どうしよう、配達員はボクだけなのに。
 これじゃあ、配達なんて行けない。

●今日だけのお仕事
「みんなに、郵便配達をお願いしたいの」
 図書館に呼ばれたあなた方の前には、長い金髪を揺らす幼女が本を掲げて笑っていることだろう。
 この幼女はラプンツェル、車椅子の境界案内人だ。連れていく本を掲げるクセがある。
「村で唯一の郵便屋さんが風邪で倒れちゃったの。だからみんなに手紙を届けて欲しいんだ」
 今回の本は人口16人の村で起こったたくさんの困り事を解決する物語だ。
 その中のひとつ、村で唯一の郵便屋を営んでいる青年が風邪でダウンしたのだ。
 届く手紙は五通。届ける家と家の感覚はちょっと広い。
 ……ちなみに皆さんご承知の通り、田舎と幼児の言う「ちょっと広い」は「ちょっとではない」ので注意して欲しい。
それを青年が書いてくれた地図を便りに送り届ける、これが今回の仕事である。
「あんまり広い村じゃないみたいだから、大丈夫。でもでこぼこ道だから私は行けないんだ」
 車椅子がないと一人で動けないラプンツェルにとって、でこぼこ道や細い道、あと抜かるんだ道は気を付けても通れない。
「あと、この郵便屋のお姉さんは村人たちのお話を聞いたりして、村の健康に一役買ってたみたいなんだ」
 一言で言うと訪問ボランティアを兼ねていたらしい。良いサービスだ。
「あと注意事項は……あ、相棒のわんこさん。彼は良い子だけれど、おっきいから苦手な人はムリしないで」
 まとめると、依頼人はボクっ娘で相棒はおっきいわんこ、というのがことになる。
「みんな、よろしくね! いってらっしゃい!」
 そんなわけであなた方は、見送られて異世界へ飛び立つのだ。

NMコメント

初心者さんがいっぱい来てくださったということで、初心者用のシナリオをご用意しました。
特にこれといったスキルなどを取らなくても良い感じになります。
オープニングを読み解いてプレイングを書く練習にどうぞ。
もちろん、既にプレイしていたベテランさんも入って。癒されて行って。
ちなみに相棒のわんこさんは、ゴールデンレトリバーです。

●サンプルプレイング
心情
わーい、1日郵便屋さん!
楽しみだなあ!!

行動
みんなと一緒に、それぞれのおうちに届けるよ!
え?お茶?
あ、そっか。お話を聞くのも仕事なんだっけ?
色んなお話を聞けたなあ。
おばあちゃん、またね!!

  • 村の郵便屋さん完了
  • NM名桜蝶 京嵐
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年02月13日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

チック・シュテル(p3p000932)
赤翡翠
ニーニア・リーカー(p3p002058)
辻ポストガール
アルヴィ=ド=ラフス(p3p007360)
航空指揮
糸巻 パティリア(p3p007389)
跳躍する星

リプレイ


 イレギュラーズを出迎えたのは、わんこさんだった。わふん、と機嫌良く鳴いて尻尾を回している。
「ゴールデンレトリバーさん……僕より大型ですが今日は一日よろしくね……!」
 『儚き静寂』アルヴァ=ラドスラフ(p3p007360)がその歓迎を受けてぎゅう、とわんこさんをハグして顔を舐められる。
 その直後に『堕天使ハ舞イ降リタ』ニーニア・リーカー(p3p002058)の相棒、ヴィンターが混ざって二匹と一人でじゃれ合う。
 その後ろに背の高い男性に一瞬見える女性が立つ。緑の瞳に黒髪のショートヘア、依頼人のヘルガだ。
「皆さん、今日はありがとう」
「こちらこそ、よろしくね」
 ラプンツェルを先頭に家へ入る。家の中で詳しい話を聞いた所、症状は熱と咳だけで軽いものの、お客様にうつすといけない。
「だから拙者たちに密書を届けるお仕事を依頼されたのでごさるな! ニンジャ的にはワクワクが止まらないでござる!」
 『跳躍する星』糸巻 パティリア(p3p007389) が楽しそうに言う。
 それに『埋れ翼』チック・シュテル(p3p000932) が頷く。
「手紙を届ける…「手伝い」は、久しぶりかも……でも村の人と…郵便屋さんが、ちゃんと…安心出来るように……頑張るよ……」
 そうして役割が決まって配達することになった。


 大きな翼が広がって、瞬く間に蒼空へ飛び立つ。チックとニーニアの二人だ。二人は遠地を担当する。
「もうあんなに高い……」
 見送りに出たヘルガとラプンツェルがマスク越しに見上げる。二人は手を振って配達に向かう。
 郵便屋の家から東側、丘にある一軒家。その上空から歌が聞こえる。
 砂糖菓子を思わす甘く美しい歌声の持ち主、チックが一軒家に降り立った。
「……おはよう…郵便屋の代理でチックだよ…………」
 こんこん、と控えめに扉をノックすれば老婆が姿を表す。老婆はキョトンとチックを見上げ、ゆっくり笑った。
「まあ、ありがとう。さあ、おあがり」
 ホットサンドを焼いたのよ、とチックを招き入れた老婆が言ってチックの前にスープと一緒に出す。チックはそれにお礼を言って齧る。
「……美味しかった、ありがとう……いつもヘルガにも作っていたの………?」
 食べ終えたチックが聞けば、老婆が嬉しそう笑って頷く。マグカップにおかわりのスープが注がれる。
「そうなの。あの子ったら、ろくに食べないで配達に来てるみたいなの。仕事の方が好きだって」
 有難いけどずっと心配でねと老婆がため息を吐く。そんな心優しい老婆の背中をチックがゆっくり撫でる。
「…あなたはヘルガが大好きなんだね……。何か伝言や荷物があれば……伝えるけれど……?」
「本当?! ならお願いしたいわ!」
 チックの提案に老婆は顔を輝かせて手を叩きゆっくり立ち上がると、部屋の奥へ進んでいく。
 部屋を横切って開いた戸の外に田畑が広がる。一面の緑の世界。
「キャベツを高地栽培してるの。ヘルガに持っていて」
 先ほどチックが食べさせてもらったホットサンド、あれに入っていたキャベツもこの老婆が育てたものだ。
「……もちろん……! 新鮮で美味しいキャベツ……、確かに届けるよ」


 大空を飛び回る小鳥たちと遊ぶ様に、ニーニアもまたヴィンターと共に飛んでいた。
 やがて西側の森へ降り立つ。
「この奥だね。さあヴィンター、ここからは君の鼻が頼りだよ」
 枯れ葉の道を歩き出す。背が高い木々が多いようだ。
 幾らか歩いた先に大きなログハウスが見えて、手前の小庭で作業をする男性が見えた。
「こんにちは、郵便屋ヘルガの代理で来たニーニアだよ!」
 男性は驚いたようだったが、すぐに手紙を受け取ると縁側へ招いてくれた。暖かい緑茶と蒸し饅頭を振る舞ってくれる。
 ニーニアからヘルガの様子を聞いた男性がまた驚いた声をあげる。
「そうか、ヘルガさんが……。俺の妻は今、妊娠中でな。彼女は色々と助けてくれたんだ」
「そうだったんだね」
 それから男性が小庭を案内してくれる。小庭には大小様々な木材が置かれ、工具が転がっていた。
「俺は森を壊さないように伐っては加工して売ってるんだ」
 森を守る為に植樹や病気の検査もしているらしく、本などで勉強中なのだと笑う。
 ニーニアは感動したのか、ゆっくりと微笑んだ。
「森と仲良しなんだね。ヘルガさんも、毎日こんな素敵な森やお兄さんとお話してて楽しいだろうなあ……」
 ニーニアは立ち上がって深呼吸をして体を伸ばす。空気が美味しく気持ち良い。
 男性が奥からたくさんの小箱が入った段ボールを持ってくる。
「これ、友達とヘルガさんに持っていてくれないかな?」
 それは小鳥を模した色とりどりの木製の笛だった。柄もそれぞれ違って目に楽しい。
「ステキな小鳥さん! お届けします!」


 わんこさんを先頭に、アルヴァとパティリアは細い畦道を歩いていた。
 やがて分かれ道に差し掛かり、わんこさんがパティリアの手紙を嗅いで南側の道を示す。
「拙者が預かった密書は南のお宅でござるか。相わかったでござる!」
「じゃあ僕とわんこさんは北だね……」
 アルヴァたちに見送られ、パティリアは疾風の勢いで南側へ向かう。
 そこは大きな川が流れ、キラキラと魚が光り青葉の柳が垂れて見守る。
 そんな穏やかな川を眺めている夫婦がいた。
「いつもの郵便屋さんの代理人でござる! 受け取って欲しいでござる!」
 その前に登場し片膝立ち。手紙を恭しく手渡す。呆気に取られていた夫婦だったが、奥さんの方が朗らかに笑う。
「元気ねえ。お座りになって、お茶を入れ直すわ」
「かたじけないでごさる」
 優しい言葉に甘え赤い床几台に腰掛ける。隣の旦那から丸い箱に入ったクッキーを渡される。
「凄いだろ、これ。街でお菓子屋をやっている息子が送ってくれたんだ」
 リーフ状のクッキーの上に砂糖が乗ったものや動物がアイシングされたクッキーが詰め込まれていた。
「これは……迷うでごさるなぁ」
 迷いに迷って赤い雫が乗ったものを手に取ると旦那が中央のテーブルに箱を置き直す。
「さあ、どうぞ。紅茶ですの」
 まもなく紅茶を入れ直しに行っていた奥さんも合流して三人だけのお茶会が開始した。
 二人はもともと日本茶の茶葉を作っていて紅茶は息子に頼まれて始めたものだと語った。
「美味しいでござる!」
 それら二つのフロマージュがパティリアの舌と見目を楽しませて、夫婦も素直な彼女に微笑んで話をしてくれる。
「あなたと話してると娘と暮らしてた頃を思い出すわ。とっても明るくて」
「今は茶葉の研究で大学院にいるんだ」
 旦那が言って奥さんが遠くを見つめる。パティリアは二個目のクッキーを頂戴しながらそれは楽しみでごさるなぁと笑って頷く。
 彼女から届く手紙、それをいつだって届けていたのがヘルガだ。
「それなら郵便屋さんに何かお届けしたいものとか伝言とかあれば拙者が責任もって預かるでござるよ!」
 それならとヘルガに土産を頼まれる。クッキーの詰め合わせと紅茶のセットを抱え、パティリアが深く会釈する。
「ご夫婦の愛情籠った紅茶と息子さんのクッキー、確かに! しかと届ける故に安心なされでござる!」


 パティリアと別れて北側の道を行くアルヴァが二階建ての家の前で止まる。
 広い庭に様々な形のトピアリーが並び、ちょっとした庭園になっていた。
「こんにちは、ヘルガさんの代わりに手紙を届けに来ました……」
 わんこさんと一緒に顔を覗かせれば、花壇の手入れをしていた長髪の住人が振り返る。
 住人はわんこさんを撫で回してからアルヴァに微笑みかける。
「やあ、いらっしゃい。こちらへどうぞ」
 ペコリと会釈して庭に設置されていたウッドテラスへ腰掛ける。
 庭の隅で手を洗ったのち、家の中に入っていった住人はフルーツケーキとジュースを振る舞う。
 住人は庭師だと名乗り、趣味はケーキ作り。そう自己紹介を受けた。
 アルヴァはくすりと微笑んでそうなんだと納得する。
「じゃあ、この立派なお庭もケーキも……あなたが作ったんですか……?」
 うん、と頷いて庭を背中に両手を広げる。村だけじゃなくて街からも依頼が来るんだと胸を張って言う。
「ここはワタシの世界、ワタシの作品展示場。美しいでしょ?」
 花壇があり、ツツジや若木も綺麗に咲いた庭園。自信満々にウィンクして笑う顔は確かに美しかった。
 アルヴァがすごいと拍手すると住人が気取った様子で胸に手を当てて一礼する。
「それでそう、ヘルガね。あんなに丈夫だった子がねえ……分かんないもんね」
 住人が息を吐きながら立ち上がると、家の中に置いていた花束と箱をアルヴァに渡す。
 アルヴァがゆっくり住人を見上げる。住人が照れ笑って人差し指を唇にあてる。 
「お届け、ですね……。おまかせください」


 アルヴァは空を飛ぶチックとニーニア、分かれ道まで戻ってきたパティリアと合流すると最後の手紙を届けに行く。その宛先、ヘルガの元へ。
「ただいま」
四人分のそれを聞いたヘルガと看病のラプンツェルが出迎え、それぞれから贈り物と手紙を受け取る。
「皆さんがボクの為に……?」
 小鳥や花束、キャベツにクッキーを抱えて嬉しくて泣き笑いするヘルガ。
 それを五人で見守って落ち着くまで待つ。
「郵便屋は愛されておるでござるね」
「早く……良くなって……」
 パティリアが頷き、チックが頭を撫でる。こくこくと頷くヘルガの背中をアルヴァとニーニアが撫でる。
「ゆっくり休んでね……」
「無理しちゃったんだね、もう大丈夫だよ」
 ようやくヘルガが泣き止んだ所で玄関前まで出る。お別れの時間だ。
「皆さん、ありがとうございました」
 頭を下げるヘルガにイレギュラーズは笑って手を振る。
 めでたし、めでたし。


成否

成功

状態異常

なし

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