PandoraPartyProject

シナリオ詳細

鍋、食いてぇな。

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●めっちゃ寒い

「もうやだー!! 寒い!! さ!! む!! いー!!!」

 突如声を上げた『Blue Rose』シャルル(p3n000032)に皆がぎょっとした視線を向けた。だってあの、喜怒哀楽の薄めな彼女が。昔は笑いもしなかった彼女が。あんな大声をあげて。え、寒い?
「寒い! 寒い寒い寒いっ!! 去年より寒くない!?」
 ありえない、とケープの前をかき合わせるシャルル。それでも寒いものは寒いのでココアのカップを手に握る。少しは温まるようで、ようやく彼女は落ち着きを見せ始めた。
「もうやだ本当ムリ……冬なんて嫌いだ……」
「そこまで着込んでいるのに、まだ寒いのか」
 『焔の因子』フレイムタン(p3n000068)が呆れたように呟く。確かに彼はシャルルより薄手の──それでもセーターとスラックスだが──少しも寒がる様子がない。
「フレイムタンはほら、焔の精霊種だから。ボクは植物の精霊だったの。多分寒さに弱いやつ」
 本当のところは知らないけど、と言うシャルルはいそいそ毛布まで借りて体に巻きつける。混沌へ召還された折に記憶はあやふやとなっているが、ここまで寒さに苦手なのだから宿っていた植物だって苦手だったに決まってる。
「シャルルさん、温かいものを食べるといいですよ。お鍋とか」
 まだいります? と毛布をさらに出してきた『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)。シャルルとフレイムタンはその言葉に顔を見合わせた。
「……鍋か」
「……アリかも」
 しかし鍋を1人、ないし2人でつつくのは少々味気ない。折角ならほら、もっと大勢で賑やかに。それならさらに暖かそうではないか。
「あ、ねえそこのアンタ。鍋しよう」
 シャルルががっしとイレギュラーズの肩を掴み。
「貴殿もどうだ? 食材を持ち寄れば好みの味付けにもなるだろう」
 フレイムタンが普通に誘い。

 こうして、イレギュラーズたちの鍋パーティが開催される運びとなった。


●鍋パ当日!
「きたきた。こっちだよ」
 寒いから早く入ろう、とシャルルがイレギュラーズたちを促す。中に入ると、すでにフレイムタンが準備をして待っていた。
 とは言っても、食材の持ち込みOKな鍋屋であるが。
「皆は食材持ってきた? ここで一般的なものは揃うらしいけれど」
 見ればテーブルには所狭しと食材が置かれている。イレギュラーズの持ってきた食材は隣のテーブルに置いておくこととなりそうだ。
 何から入れる?
 誰が鍋奉行したい?
 締めはどうする?
 そんな話題から始まりつつ、彼らの鍋パは幕を上げた。

GMコメント

●鍋パして。お願い。
 とても寒がりなシャルルにより鍋パが企画されました。頼むから鍋パしてくれ。
 普通の食材(野菜、豆腐)は既に用意済みです。他に入れたいものがあったらプレイングに書いてください。あまり多すぎると描写できないかも。
 闇鍋にするもしないも自由ですが、参加者間で意見は揃えておいてくださいね。

●鍋屋
 鉄帝にあるお鍋屋さんです。ここでは色々なお鍋が食べられます。今回は普通です。
 鍋は皆で囲むもの、を信条にしています。1つの鍋をより多くの人で囲むとそれだけ1人あたりのお値段が(割り勘により)安くなる仕組みです。

●NPC
・シャルル
 元精霊の旅人です。寒さにめっぽう弱いです。
 鍋を食べたくてウズウズしています。
 『しらたき』が面白い食感なのだと聞いて持ってきました。

・フレイムタン
 焔の因子を持つ精霊種の青年。寒さには比較的強いようですが、皆で囲む鍋に興味があります。
 『薄く切られた餅』を持ち込んでいます。しゃぶしゃぶすると美味しいんですよ、これ。

●ご挨拶
 寒がりな愁です。寒いです。手がかじかんでいます。鍋食いてぇ。
 皆でワイワイ楽しくお鍋してください。よろしくお願い致します!!!!

  • 鍋、食いてぇな。完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2020年02月19日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
想星紡ぎ
アリス(p3p002021)
オーラムレジーナ
メイメイ・ルー(p3p004460)
祈りと誓いと
紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)
真打
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
虚無堕ち魔法少女
ゼファー(p3p007625)
祝福の風
ノコリット・グラス(p3p007899)
新たな知識を
ヴァリエール・ルノルノ(p3p008038)
邪龍の加護受けし娘

リプレイ

●裏手にて
 鍋屋の裏手、ここなら誰にも見られずに済むと店員も太鼓判を押す──一体何をしていたんだ──場所で。

 こぉっけこっけこっこ──グシャ。

 締められた鶏がぐったりと力をなくす。それをぽいっと屠殺済みの鳥たちを入れた袋へ放り込み、『躾のなってないワガママ娘』メリー・フローラ・アベル(p3p007440)は別の鳥を見た。
 混沌肯定により力を抑えられ、決して特別ではなくなってしまった彼女にとって、それでも鳥1羽殺すことなど造作もない。
 袋を持てるくらいの重さにまでして、メリーは店の裏口へそれを運んでいく。ここはやってきたイレギュラーズたちへ、ひたすら鶏肉を提供するための作業であった。


●鍋屋! 鍋パ!
「お鍋! 冬と言ったらやっぱり、定番よね!」
「寒い冬だからこそ、暖かいものは食べたくなるな」
 『新たな知識を』ノコリット・グラス(p3p007899)がキラキラと瞳を輝かせながら運ばれてきたお鍋を見る。『時空を渡る辻斬り刀』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)は海産物と──鍋の具材とは言わないかもしれないがタレ。そして飲み物の準備も万端だ。
 温かくて美味しいお鍋、皆で囲めばその美味しさも倍になるだろう。
「皆でつつくのって楽しいわよね。早く食べたいわ」
 持ち込んだキノコ類を籠へあけ、テーブルへ置く『邪龍の加護受けし娘』ヴァリエール・ルノルノ(p3p008038)。舞茸、シイタケ、えのきだけと、どれも味が染みて美味しくなること間違いなしの具材である。
「鍋パ……皆でごはんを食べると、とても美味しくて、暖かくなりますよ、ね……」
 食いしん坊さんな『さまようこひつじ』メイメイ・ルー(p3p004460)はどちらから食べようか? と温められる2つの鍋を代わり番こに眺めた。『Blue Rose』シャルル(p3n000032)も興味深げに鍋を見比べていて、2人の動きが妙にシンクロしている姿に『焔の因子』フレイムタン(p3n000068)が目を瞬かせ──。
(……面白いから黙っておくか)
 その考えはアリス(p3p002021)も同じだったようで、小さく笑みを浮かべながらシャルルへ声をかけた。
「今日はお招き有難う。温かいお鍋で体の中からぽかぽかになっちゃいましょうね」
「皆で楽しく美味しく温まっていきましょ。あ、先に白菜の芯入れなきゃ」
 ゼファー(p3p007625)は手巾を使って鍋の蓋を持ち上げ、ぐつぐつとしているそこへ白菜の芯を投入。固い分、先に茹でなければならないのだ。
 ふわりと上がる湯気にノコリットがわぁ、と感嘆の声を上げる。
(お鍋からほこほこ香りが……早く食べたいっ)
 うずうず、うずうず。でも白菜の芯が煮えるまでもう少し待ってね。
「多人数で鍋を囲むなんて、俺初めてかもしれない」
 早く火を通すため再び被せられた蓋を見ながら『希望の聖星』ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)は記憶をたぐる。家族で鍋をした記憶はないし、イレギュラーズとなってからもまた然り。
「楽しい……です、よ。みんなで、お鍋を……囲むの」
 メイメイが小さな声で辿々しく告げた言葉にウィリアムは頷く。実際──柄にもなく、少しワクワクしているから。
「ねぇ、ねぇ、手もちびたいの。早くはじめましょう? ほかほかに暖まりたいの!」
 もういい? もういい? と待ちきれないノコリットの様子にゼファーが蓋を開け、「そろそろ良いんじゃないかしら?」とテーブルの空いている場所へ蓋を置く。アリスがふと視線を巡らせると、ノコリットのぴょんぴょん跳ねる長い髪が見えて。
「ノコリットの髪、お鍋に入っちゃいそう」
 纏めましょうかと問うとノコリットはパッと笑みを浮かべた。
「あら、アリス。結んでくれるの? ありがと!」
 大きな魔女帽子を外すと、後ろに回ったアリスがノコリットの髪に触れる。意地っ張りさんをきゅっきゅと手際よく三つ編みにした最後はリボンで可愛らしく。
「……普段、全然結ばないけど。どう? 似合うのかしら?」
 お子さまみたいじゃないかしら、とノコリットは三つ編みふりふり。似合っているわ──と言いかけたアリスは、しかし別の声に遮られた。
「かわいい」
「それなら良かった! シャルルも結んで貰ったら?」
 思わず口に出してしまったシャルルはその言葉に目を瞬かせ、アリスをちらりと見やる。アリスはその視線を受けると懐からもう1本のリボンを取り出した。
「シャルルもおそろ、する?」
「……する。お願いします」
 こうしてシャルルも三つ編みにされている間、紫電が皆へ飲み物を勧める。

 冷やしても温めても美味しいレモネード。
 果物100%のミックスジュース。
 さっぱりとした度数の高いレモンサワー。
 美味しいミルクから作られた蒸留酒。
 米から作られた、キレがある辛口の酒『人魚姫』。

 実に様々な種類を取り揃えたが、概ね未成年だったり年齢もよくわからなかったりでノンアルコールのドリンクが減っていく。かく言う紫電も悪酔いすると何をするか分からない自覚があるのでレモネードだ。
「こっちもそろそろ良い具合だ」
 もう1つの鍋蓋を取ったウィリアムが煮え具合を確認。店の厨房を介してメリーの締めた鶏肉が捌かれた状態でやってくる。

 さあ皆で──いただきます!

 ちなみに、今回の鍋において皆の見解は一致していた。それ即ち、闇鍋はやめとこう。
 奇をてらうより安心感。求めるは普通のお鍋。
「こっちは……コラーゲン鍋? お肌にいいの?」
 ヴァリエールはそう、とお鍋を見る。別にコラーゲンをどうしても取らねばならないような歳でも、お肌を気にするような歳でもない。……少なくとも肉体の年齢は。
 それじゃあ代わりにもらいましょ、とノコリットが椀を持ち上げるとヴァリエールがすかさず反応した。すっと手が差し出される。
「私はお姉さんだもの、気遣いができるのよ」
 えへん、と胸を張るヴァリエール。よそってくれると言うことらしい。ノコリットがこれとこれと、と示したものを手際よく椀へ移し、つゆもかける。
「んふふ、もちろんいまのアタシはお肌ぴちぴちだけれど。これを食べたらもっとぴちぴちになるかも!」
 火傷しないようにしっかり息を吹きかけて、口の中へ入れたのは鶏団子。コラーゲン鍋を提案したからには、自分が鶏肉を持ってこないわけにはいかない。
 朝から評判の養鶏場に行き捌いてもらった鶏肉と、メリーが裏手で締めまくっている鶏肉はどれも新鮮だ。
「あっ柔らかくなった鶏肉は食べたいわ!」
 美味しさを表情へ滲ませるノコリットにヴァリエールが立ち上がる。身長的に立ち上がらないと火傷してしまいそうなのだ。
「それいいな、オレも」
 紫電を始めとしてボクもわたしもと手が上がり、一緒によそうヴァリエール。はふはふと湯気を逃しながら咀嚼した彼女は染みた出汁に笑み崩れた。
(ふわ……良いにおい……)
 すぅ、と匂いを嗅いだメイメイはヴァリエールに声をかけられて目を開ける。誰か取ってもらおうか。どうしよう?
「あ……では、そこのタコを……」
「お、オレが持ってきたやつだな。アサリもあるぞ」
 紫電がほらあそこに、と鍋の中を示す。同じ海産物を持ってきたことにほんのり親近感。
「わたしも……海老を、持ってきました」
 小さな声で、けれどわかるようにと一緒に手で示す。紫電は美味そうだとしらたきと共によそった。半透明でつるりとしたそれは、すすると想定以上の勢いで口の中へ飛び込んで。
「げほっ、ごほっ」
「……!? の、飲み物、を……!」
 ワタワタとメイメイが紫電のレモネードをそばへ寄せる。紫電はグラスを傾けるとホッと落ち着いたようだった。
「ウィリアム、……この鍋なに?」
「これはチゲ鍋だ。よそってやろうか」
 いかにもな色をした鍋から湯気が上がり、ほんの少し目に染みる。目をしぱしぱさせたシャルルの前へ具のよそわれた椀が置かれた。
「少し……そこそこ辛いかも知れないけど、美味しいぞ」
 言い直したウィリアムは自分の分もよそう。野菜も肉もバランスよく。
「……好き嫌いとか、ないの?」
「全くないわけじゃないが、好き嫌いは良くないしな。きちんとした食事を取る機会も多くないし……おっと」
 慌てて口をふさぐが時遅し。シャルルがじとりと視線を送る。ウィリアムはこれまた慌てて言葉を撤回することとなった。
「「……辛っ」」
 重なる言葉にシャルルとアリスは顔を見合わせる。先にくすりと笑ったのはアリスだ。
「ふふ。辛いわねえ」
「本当だよ。もう少し優しい味にならないかな……」
 それなら良いものが、とアリスが出してきたのは味噌に蜂蜜、ヨーグルト、バター。シャルルがそれと鍋と椀を順に見やる。
「……え、それ入れるの?」
「ええ。チゲ鍋にコクが出るのと、マイルドになって辛いのがダメな子でも食べ易いのですって」
 こういうの『味ちぇん』って言うのよ、とアリス。それを反復するシャルルから視線を巡らせ──コラーゲン鍋を食べるゼファーへ行きたく。
「ゼファーはチゲ鍋を食べないの?」
「そりゃあ、その。ね? 実は辛いのあんまり得意じゃ無いって言うかぁ……」
 アリスがいるのと反対へ視線が泳ぐ。得意じゃないものはまあ、避けられるなら避けたくなるものだ。
「なら、ヨーグルトとか、蜂蜜とか、入れてみる?」
「うーん……そうねぇ。辛さを和らげれば存外行けるものかしら」
 やってみましょうとチゲ鍋をよそうゼファー。チーズを入れてもマイルドな味になりそうである。
 では、いざ。
「……辛ッッッ」
 思わず口元を押さえた。やっぱり辛いものは辛い。悶絶するゼファーに店員がすっと水の入ったグラスを差し出し、それを一気飲みする。
 口の中が落ち着き、コラーゲン鍋へ戻ってきたゼファーはクタクタになったレタスをよそった。アリスの持ち込んだ、冬の寒さと厳しさに耐えたものである。
「くたくたになったレタスは美味しいぞって農園の人が言ってたの」
 アリスの言葉を聞きながらレタスを咀嚼する。その甘さにゼファーの目は丸くなった。
 紫電の用意したおろしポン酢にメイメイは興味深げ。鍋はごまダレが好みだけれど、そんな食べ方もあるのかとほんの少しかけてみる。
「……!」
 さっぱりした味が口の中で広がる。その傍らで紫電は幸せそうにごまダレの味付けを楽しんでいた。
「ポン酢の酸味もいいが、ゴマダレの甘い感じも捨てがたい……」
 まろやかな甘さがクセになる。そのままでも十分美味しい鍋は、こうしたアクセントで最後まで飽きずに食べられる料理だった。
「フレイムタンも大分馴染んだよな」
「む……そうか?」
 首を傾げられたウィリアムはそうそう、と頷く。その間にも口の中へ運ばれるのはフレイムタンが持ち込んだ薄い餅。精霊種である彼は誰かしらから教えてもらったのだろう。柔らかい餅に出汁が絡んで良い感じだ。
「あっ、そのもちしゃぶ私にも頂戴な」
 ゼファーもコラーゲン鍋で餅をしゃぶしゃぶして、ぱくり。浮かぶ笑みはとても幸せそうだ。それを眺めながらチゲ鍋の具材を食べるフレイムタンは、ゼファーからの謎に熱心な視線を受ける。
「……どうした」
「フレイムタンって見た目から温かそうな上に辛い物にも強そうね?」
 それは羨望の眼差しであった。
 寒がりかつ辛いものが苦手な──子供舌と言われることも稀にある──ゼファーにとって、彼の体質は色々と羨ましい。
「ヴァリエ、お肉多めでお願いね」
「野菜も食べないといけないのよ?」
 THE・鍋奉行のヴァリエールにアリスはもちろんと頷く。椀を受け取ったら優しいごまダレで『味ちぇん』だ。
「ねえ、それ何?」
 シャルルが鍋の中の具を示す。答えたのは持ち込んだ本人、ゼファー。
「これはクレソンって言うの」
 お肉の添え物とばかり見られがちだが、鍋に入ってもきっちりいぶし銀の仕事をしてくれる野菜である。
「まだまだ育ちざかり(?)ですもの。シャルルも食べなきゃ大きくなれないわ?」
「大きく……」
 ゼファーみたいに大きくはなれないな、と言うようにシャルルの視線は彼女の頭へ行き──降りてきた視線はあるところで止まる。次いで、自分のそれと見比べて。
「……うん、食べる」
 視線の止まったそこは、果たして育つのか。

 言われた通りにむしゃむしゃと食べていたシャルルは、ウィリアムの言葉にぴたりと動きを止めた。
「にしてもシャルルがあんな風に騒ぐなんてな」
 あんな風に。というのは間違いなく叫んだアレである。口の中のものを飲み込んだシャルルは視線を逸らし、小さく「……悪い?」と問うて。そんな様子の彼女にウィリアムはいいや? と小さく笑みを浮かべた。
「別に良いと思うぞ?」
「そうそう。それにシャルルの寒がりも相当ですけど、ゼファーも寒さに弱い生き物なの。お揃いね?」
「……こほん。それとなく私の個人情報を流出するんじゃーありません」
 くすりと笑うアリスにゼファーが咳払い。その手元ではポン酢とごまダレの両方がかかった具が椀に盛られている。どうなるだろうかという好奇心からだが、これが意外にもイケるのだ。
 そしてずっとコラーゲン鍋を堪能していたノコリットはと言えば──チゲ鍋と睨めっこ。
「こ、子供じゃないのだから!」
 辛くても食べられる! と意気込みを見せたものの、折角アリスが持ってきてくれたのだからと手が蜂蜜やバターに伸びる。マイルドであることに越したことはない。マイルドなら食べられるはず──。
「からぁ~いっ!」
 慌てて飲み物で流したノコリット。ヴァリエールも恐る恐ると口をつけたが、こちらは熱さに声を上げる。
「あっつーい! あ、でも味は美味しいかも……。クセになりそうね」
 チゲ鍋2杯目をよそいはじめたヴァリエールは、受ける視線に思わずニンマリ。
「あら、ノコにアリスにゼファーに、辛いのは苦手?ふふ、お子様舌ね」
 その言葉に皆揃いも揃って「悔しい!」という表情。しかし辛いものに関してはぐうの音も出ない。
 そんなこんなでそろそろ締めの準備。アリスが張り切って立ち上がる。
「両方とも良い塩梅に仕上げて見せるわ」
 締めの際に具材をどれだけ残すか。これにはゼファーがすかさず手を挙げた。
「具材は残す派。だって、麺だけ啜るのもなんだか味気ないんですものー」
 他に反対意見もないようなので、どちらの鍋も具は残すことに。
「これは……チゲ鍋向け、でしょうか」
 メイメイはここまで取っておいたチーズをアリスへ。とろとろに溶けたチーズは締めをまた違った味にしてくれることだろう。
「雑炊にする? うどんにする?」
「2つ鍋があるんだ、両方食べてみたいな」
 ウィリアムは鍋の中を覗いたどちらも同じにしたって味は異なるが、折角の機会なんだから欲張ってあれもこれもとやってみたい。
「みんなに任せるわ。だってやったことがないんだもの」
初めてのヴァリエールがそう言ったこともあって、締めはうどんと雑炊の欲張りセット。残った出汁を余すことなく利用でき、体もぽかぽかと温まる。
「ふぅん、スープまで全部飲み切る。これが鍋スタイルなのね」
 また1つ賢くなったと嬉しそうなヴァリエールはうどんを口の中へ。出汁まで飲んだ紫電がほぅと息をつく。
「……いい鍋だったな」
「ええ、とても」
「コラーゲン鍋も美味しかったの!」
「1人でつつくより皆で食べたほうが、心もお腹もいっぱいね」
 心も体も温まって──ごちそうさまでした!


 一方、ひたすら鶏を締めていた彼女はといえば。

「もういらないの?」
 店員から言伝を受けたメリーは手の中の鶏を見下ろす。ジタバタと暴れる鳥は煩いし臭いし──。
(余ったらこうやって捨てればいいわよね)
 それを捻り殺したメリーは、地面へそれを落とすと無残に踏み潰した。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 OPを書いた時は暖かさに飢えていました。
 今は普通に飢えています。飯テロだ……。

 リプレイ、お楽しみ頂ければ幸いです。ご参加ありがとうございました!

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