シナリオ詳細
勇者進水GC:アークの闇とSDF変異体
オープニング
●シルバードールフィッシュ異変
幻想南方海域に生息するシルバードールフィッシュの別名は、海の守護者である。
前進が鋼のように堅いうろこで覆われているため食用に適さないが、生態系を著しく破壊するような外敵生物を阻み魚たちの豊かな生態系を維持することで知られていたからだ。
一方で人類に対して好意的であり餌を与えれば漁に協力するという噂もあるほど、民に親しまれた生物だ。
だがしかし、そんなシルバードールフィッシュに……世界の闇が迫っていた。
「諸君、よく来てくれた。まずはこの写真を見て欲しい」
幻想南方貴族エトワール十二家紋のひとりブレイブ・ペンドラゴン。彼は海沿いの屋敷にイレギュラーズを招くと壁に魔術式風景投射機である写真をうつした。
魔術彩色によって高解像度撮影された写真には、二つのものが写っている。
海面上をまるで飛行するようにすべる巨大魚。
真っ二つに切り裂かれた漁船。
巨大魚の全長は漁船と比較するに10mはあり、全身は無数の刃が露出。触れただけで人体を切り裂くことが想像できた。
写真は更にスライドショー式に進んでいく。
割れた船から身を乗り出した漁師らしき人物は巨大魚に対して必死に呼びかけているように見えるが、巨大魚は大きく転身し、口を開く。
開いた口からは赤黒い闇のような光が生まれ、次の瞬間にはその光が漁船を漁師ごと崩壊させていく……というものである。
「回収されたうろこの破片やその他サンプルからこれがシルバードールフィッシュであると断定されたが……どう見ても本来のシルバードールフィッシュとは異なる」
ブレイブ氏が提示した図鑑には、全長1m程度のつるっとしたボディの魚である。
「グッドクルーザー、説明してくれ」
「はいブレイブさん。
これはおそらく――『アークモンスター』現象でしょう」
横に立っていた全長3mの人型ロボットグッドクルーザーが、あなたの方を向いてそう言った。
アークモンスター。
「我々イレギュラーズは様々な活動を行うことでパンドラを蒐集し、世界の破滅に対抗しています。この力は時として大魔種の力を激減させ討伐させうるほどの奇跡をおこすことは皆さんもご存じのはず。
七罪の大魔種ベアトリーチェをその奇跡と皆さんの力によって打ち倒したのは記憶に新しいですね。しかし――」
グッドクルーザーの目に、不安の光が灯った。
「あの事件の前後からでしょうか。世界各国で生物の異常変化現象が報告されるようになりました。
魔種もまた『滅びのアーク』を蒐集し、世界の破滅をもたらそうとする存在。
この現象と変異生物はアークの力によっておきた滅びの一片であるとして……『アークモンスター』と呼ばれています」
今回報告されたシルバードールフィッシュ変異体――略称『SDF変異体』は、放置すればどのような滅びの力をまき散らすかわかったものではない。
最悪生態系への感染や物理的な破壊行動による文化破壊も考えられる。
「魔種による世界の破滅を防ぐのは我々の使命。
ともに戦いましょう――希望の戦士(イレギュラーズ)!」
- 勇者進水GC:アークの闇とSDF変異体完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年01月24日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●勇者の船出はいつも雨
漕ぎ出す空は暗雲に満ちて、海原は青黒くよどんでいた。
まるでこの先に待つ戦いに不穏を示すかのようなあやしい風に、『鳥種勇者』カイト・シャルラハ(p3p000684)は小型船『紅鷹丸・改』の舵をとりながら顔をしかめた。
「グッドクルーザー、どう思う」
カイトが視線を向けると、紅鷹丸に併走するようにしてグッドクルーザーの古代船が並んだ。操作レバーを握り、わずかに顎をあげるグッドクルーザー。
「嫌な予感……というのでしょうか。コアが妙な熱を持っています」
「大事な直感だぜ。覚えておきな」
カイトはビッと指を立て、グッドクルーザーはそれに頷いた。
風読禽という二つ名をカイトがもっているのはただ風が読めるというだけの理由ではないだろう。経験と直感から適切な舵取りができ、それが多くの船乗りを恐怖させたからに他ならない。
そんなカイトの船の上。
木箱に腰掛けて海風を浴びる『性別:美少年』セレマ オード クロウリー(p3p007790)。
はかない美少年スマイルを浮かべると暗雲にむけて長いまつげで瞬きをした。
「ロボと一緒に怪物退治か。これは間違いなく美少年ではなくショタの領分だね。作風的に」
セレマが己の外見もとい『作風』を気にするのは、彼が概念的美少年であるからだろうか。創られた存在であるがゆえ、相異に敏感になるのかもしれない。
「しかしね、ボクは自己愛の権化なんだよ。
保身のため魔性達と結んだ、何重もの契約魔術の陰に身を隠す臆病者。
病的自己保身家で、契約の前にいくらでも正義を曲げる自己中さ。
そんなボクに勇気だとか正義だとか……無茶じゃないかい」
だろう? と肩をすくめて振り返るセルマに、『空気読め太郎』タツミ・ロック・ストレージ(p3p007185)は『あー』と曖昧に返事をしながらあたまをかいた。
「勇気や勇者っつー……そういうメカ、聞いたことはあるけどな。それで厚くなれるような歳でもねえんだよな、俺も」
『もう18だぜ?』と肩をすくめ返すタツミ。
「けどま、仕事だからな。努力ってやつはするぜ?」
「そうだね、それはボクらの約束……だからね」
ちらりと見ると、『自称・勇者』アリューズ・エリスブラッド(p3p007895)が星剣コメットブレイバーを天にかざし、刀を水平に交差させ、二刀のクロスで構えいた。タツミたちにむけて。
「天が呼ぶ地が呼ぶ海が呼ぶッ! 破滅を防げと勇者を求むッ!!
勇者グッドクルーザーか……へへ、同じ勇者として力を貸さない訳にはいかないな!
行くぜ――バーニングソードフュージョン!」
炎を吹き上げると、クロスさせていた剣を融合させひとつの剣へと変化させた。
「聖剣、爆誕ッ!!」
炎を斬るように振り払い、天空に高くつき上げて見せるアリューズ。
セルマとタツミはしばらくその様子(バンクシーン)を眺めた後、顔を見合わせた。
「熱くなる年頃ってのはああいうのだよ」
「作風もぴったりだよね」
一方こちらはグッドクルーザーの古代船シークルーザー。
「グッディおひさ~~~~!!! どっかに強化パーツとかついた?」
うりうりーと言いながら横から肘で小突く『Punch Rapper』伊達 千尋(p3p007569)。
「パーツといえばさ、前の聖力エンジン? あれどうなったの?」
「聖力(ホーリー)エンジンですか……」
ううむ、と唸ってグッドクルーザーは己の腹部分に手を当てた。
「ブレイブさんに組み込んで貰ったのですが、特に変わった様子はありませんね。どのような意味をもつパーツだったのでしょう」
「え、いや、全然わっかんねえけど。なんかあんじゃね? なあ?」
急に話をふられて、『帰ってきた牙』新道 風牙(p3p005012)は『うへ!?』と声を上げた。
「俺もわかんねえけど……ま、今回も一緒に頑張ろうぜグッドクルーザー!
『魔を倒す』って使命のためにな!」
「はい! 希望の戦士風牙!」
世界は違えど理想は同じ。
この世を滅ぼす魔を払い、人々の平和を取り戻す。
それが風牙の使命である。
だがその一方、グッドクルーザーは目覚めたときに『魔を倒す』という使命だけを与えられ、その理由は手段を知らずに生まれてきた。そういった意味では、風牙は先輩であった。
「同志がいるって感じがして心強いぜ!」
「おっと。魔種と戦う使命はオイラたちだって一緒だよ!」
忘れないでよね、と『魔動機仕掛けの好奇心』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)がにっこりと笑って肩を叩いた。
「そんなわけで、今回も一緒に戦おうね、グッディ!」
「グッディ……」
後ろでドーナツをもふもふかじっていた『跳兎』リコシェット(p3p007871)がうらやましそうにそのやりとりを見ていた。
コホンと咳払いを一つ。
「グッ……グッディ、よろしくな! 私はリコシェットだ。友達になろう!」
差し出したリコシェットの手を、グッドクルーザーは大きなロボットハンドで握り返した。
「もちろんです、戦士リコシェット」
「ダチはいいぞ。一人じゃ不安でも、みんながいれば不安も消し飛ぶ」
「ふむ……『ダチ』、ですか。回路の暖まる言葉です」
リコシェットは歯を見せてにっこり笑ったが、しかしこの先に待つ戦いを思うと笑ってばかりもいられないようにも思えた。
(大罪とか破滅とか……遠い話に思ってたけど、形になってくると怖いもんな)
魔種との戦いはローレットにとってもはや常識とすらいえるものになりつつある。
世界的にもローレットは『魔種の専門家』扱いされるほど交戦経験が多く、冠位の魔種までも倒した経歴は高く評価されている。
それは特異運命座標(イレギュラーズ)であるという以上に、重要な『実績』であった。
そしてそれは、彼らの日常へと変わっていく。
アークモンスター。
世界のゆがみがもたらした魔物。
●SDF変異体
海を割ってジャンプする銀色の巨体。
シルバードールフィッシュ。もといSDF変異体である。
全身には無数の刃が露出し、こちらの接近を確認してかすぐさま攻撃姿勢にはいった。
水面でターンをかけると飛行状態を維持し、破壊光線を拡散発射してくるSDF変異体。
「ここは任せて! グッディ、船を前に!」
「はい!」
チャロロは機械盾を突き出すように構えると、巨大な炎の壁を展開させた。
拡散した光線を阻む炎。突き抜けてきた何発かの光線がチャロロの身体を焼いたが、歯を食いしばってこらえる。
「風上をとった。二人とも、頼むぜ」
船を猛スピードで突っ込ませ、側面からドリフトしながら死角に回り込むカイト。
舵を盛大に回転させながらも翼を広げ、SDF変異体めがけて炎の竜巻をぶつけていく。
そうして近づいていく船の先頭にはタツミが手すりに足をかけるようにして構えていた。
「いつでも行けるぜ」
全身沸騰――ドラゴンキャノン。
引き絞った拳を突き出すと、オーラがドラゴンの姿をとってSDF変異体へと食らいついていく。
空中でぶつかり合うSDF変異体とタツミのドラゴン。
「今だ! 聖剣爆斬!」
助走をつけてジャンプしたアリューズが剣を振りかざし、SDF変異体へと斬撃を繰り出していく。
激しい縦回転によって切り裂かれた刃から赤黒い血が噴き出し、SDF変異体が悲鳴をあげる。
「おっとあぶない」
反対側を通り過ぎた古代船の上で、チャロロが飛び込んできたアリューズをキャッチ。
すると合流したカイトとグッドクルーザーの船めがけ、SDF変異体が猛烈な加速をかけて突撃を開始。
リコシェットは両手でしっかりと拳銃を握ると、SDF変異体の額めがけて銃撃を連射。
「恐怖に打ち克つ。これも、勇気ってやつか? ビビったら、上手く狙えないからな!」
ばちばちと火花を散らすSDF変異体。
リコシェットは撃ち尽くした銃のリボルバー弾倉をひらくと空薬莢を乱暴に足下へ捨て、バックから取り出したスピードローダーで素早くリロード。再び狙いをつけ、猛烈な射撃を浴びせていく。
「対したことなさそうだな」
「へっ、返り討ちにしてやるぜ。見せるぜ、俺の勇気!」
千尋が助走をつけてジャンプ。アリューズと同じように縦回転をかけてSDF変異体の口の中へとぱっくりと入っていった。
「やべ狙いミスっあ゛ああああああああああ!!!!」
「千尋オオオオオオオオ!?」
「わかるかい。ああいうのを蛮勇っていうんだよ。勇気じゃない」
セレマは冷静に美少年力を投げつけたり美少年力で千尋を治癒したりを繰り返しながらグッドクルーザーに呼びかけた。
「なに冷静に対応してるんだ!?」
慌てるアリューズに対して、セレマは美少年みを振りまきながら風牙を指さした。
「大丈夫。勝負はつくよ」
「そういうことだぜ!」
風牙は剣にオーラを纏わせると、俊敏にジャンプをかけて縦回転。
SDF変異体を真っ二つに切り裂くと、グッドクルーザーの投げたロープにつかまって船へと戻ってきた。ぐっしょりした千尋を小脇にかかえてデッキへ着地する。
「ふう、一件落着だな」
「ありがとね俺もうちょいで魚に分解されて海にまかれたのちプランクトンにも分解されて海の一要素とか雲とか風になるところだったアレもしかして浪漫じゃねこれ」
「だいぶやられたね……」
頭をくらくらさせた千尋の額に手をかざし、セルマが美少年ヒールをかけていく。
「ところで皆……気づいているかい? 今この場所に向けて、無数の巨大な物体が近づいてるってこと」
「――!?」
セルマの言っていることを敏感に察したカイトは、すぐさま船の舵に手をかざして魔動エンジンを操作。スクリューを回転させてその場を急速離脱した。
直後に海面から飛び上がるSDF変異体。
更にはあちこちからSDF変異体が飛び出し、空中をぐるぐると旋回飛行しながらこちらをにらみつけてきた。
「うげ、群れる魚だったのかよコイツ!」
「感染するって事がありうるなら、今回も一匹だけとは限らねえ……フッ、やはりな」
ぐっしょりしたまま千尋がさわやか(?)に前髪をなであげた。
「一体だけじゃなかったってのか……?」
「ウソだよね……」
「さっきの奴は偵察か何かだったのか」
絶望的な数の敵を見上げ、ぶるりと震えるチャロロと風牙。リコシェットもどの敵を撃てばよいか分からず、銃を斜め下に下げて歯がみしていた。
そこへあらゆる方向から一斉に打ち込まれる破壊光線。
着弾と同時に爆発がおき、古代船が光に包まれていく。
「ぐあああああ!?」
「グッドクルーザー! 皆!」
アリューズは復帰したカイトの船の上から振り返って名を呼ぶが、船の姿はもうなかった。
集中砲火によって沈められてしまったのだろうか。
「…………」
拳を強く握りしめるタツミ。
セレマは額にトンと指を当て、長い睫を伏せて微笑んだ。
「さて困った。まさに想定外だ。
……ねぇ、キミ。ボクと契約しよう。
なんのことはないさ。ボクが喜ぶ言葉をひとつ投げかけてくれればいい。
その代わりにボクはほんのちょっぴり勇気を振り絞るのさ。
幸いにも約束事を守る程度の善性は残っててね。
ひとつボクを助けると思って、手伝ってはくれないかい?」
微笑みかけた相手はアリューズであった。
アリューズは急に語り出したセルマの雰囲気にのまれかけたが、ドンと胸を叩いてかえした。
「ああ、ああ、そうだな! ますます燃えてきたぜ! いこうぜカイト! セルマ、タツミ!」
「応……」
覚悟をきめた仲間たち。
カイトは小さく頷き、そしてSDF変異体の一部に向けて舵をきった。
「突っ込むぞ。『つかまるな』よ!」
レバーを引いて魔術認証を行うと、紅鷹丸はぱたぱたと帆を畳んでスクリューの回転を全力まであげた。
猛スピードで走り出し鷹のごとく風を切り裂いて突き進む。風を読み絶妙なタイミングで走り出したカイトならではの操船技術である。
船の先頭にたつのは、まさかのセレマ。
「今でこそボクは『美少年』だけど……これでも『男の子』だったこともあるんだよ」
ガラじゃないけど。と言いながら空中に魔術式を高速筆記。光の文字が力となり、セルマの頭上に巨大な槍を生み出した。
「約束(けいやく)の名の下に――奔れ」
指をつきつけるセルマ。同時に発射された槍が、突っ込んでくるSDF変異体と激突。
激しい爆発を引き起こす。
一方。
海の中では破壊された古代船とグッドクルーザー。そして仲間たちがいた。
水中へと追いかけてきたSDF変異体が破壊光線を乱射するなか、チャロロが盾を広げて防御を続けている。
「やらせない。みんなを、守ってみせる……!」
チャロロの勇気が熱をもち、熱が正義の力となり、正義がグッドクルーザーのコアをまばゆいイエローカラーに光らせた。
「これは……!」
咄嗟に古代船のコンソールパネルに手を突っ込む。
すると。
「パンドラフュージョン! ――ビッグクルーザー!」
ドン。
と巨大な水柱を割って飛び出す船。それは古代船ではあったが、ブルーとイエローの光を纏った力の塊であることがありありとわかった。
「皆さん、無事ですか!」
「グッドクルーザー……君なのか」
船そのものを見上げ、小さく笑うセルマ。
「このままいくぞグッディ!」
船首近くに立っていた風牙が剣を鋭く構える。
「負けて……たまるかあ!」
船は大きな翼を広げて低空飛行状態となり、猛烈な風を纏ってSDF変異体を粉砕し、貫いていく。
更にターンするチャロロに交替。
船中央から露出した巨大な大砲に両腕を接続。
その隣では千尋がコンソールパネルに指輪をかざして魂を接続。
「バーニングバッシュキャノンだっ!」
「俺たちの力、『traffic light』だ!」
三色の炎が螺旋状に混じり合い、激しいビームとなってSDF変異体たちを一気に貫いていく。
「合体攻撃か、面白い!」
カイトは飛翔して合体した古代船へと着地。すると彼を迎え入れるように船の一部がひらき、座席が現れた。
「コックピットってわけか」
滑り込んでレバーを握る。すると、カイトの姿を素早く読み取ったシステムが光りとなって全体にはしり、船ががちゃがちゃと変形していく。
低空飛行能力をもったまま、人型へと変形する。
コックピットには『ビッグクルーザー』を意味する文字が表示された。
『リコシェットさん!』
「ああ……やろうぜ!」
ダチと一緒なら怖くない。
そんな勇気を教えてくれたリコシェットが、ビッグクルーザーの左腕部分に乗り込んだ。
腕をそのまま大砲に変え、こちらへ破壊光線を発射しようとするSDF変異体たちへ次々に砲撃。
追って乗り込んできたタツミが右腕部分に乗り込むと、にやりと笑ってレバーを握った。
「勇気、か。たまにゃこういうのもいいよな……グッドクルーザー!」
『はい! 力を合わせましょう、戦士タツミ!』
タツミがそうしたように拳を引き絞る巨大な人型ロボット。
「ドラゴンクルーザーキャノン!」
気分がのって、叫びながらレバーを押し込むタツミ。それに応えるようにビッグクルーザーは右腕に巨大なドラゴンのオーラを纏い、突っ込んでくるSDF変異体を殴りつけて粉砕した。
そしてすぐさま振り返り、カイトがそうしたように炎の渦を発射。
逃げ去ろうとするSDF変異体を巻き込んで引き裂いていく。
そして高速で水面を飛行し回り込むと、ターンをかけながら両腕を組み合わせる。
そこには……セルマ、チャロロ、風牙、アリューズがそれぞれ剣を構える姿勢で乗り込んでいた。
魔法の剣を突きつけるセルマ。
「いくよみんな。合体技だ」
時空を引き裂いて巨大な剣の柄が出現。ビッグクルーザーはそれを掴んで引っこ抜くと、仲間たち全ての力が合わさった剣でSDF変異体たちを一息に切り裂いていった。
こうして、SDF変異体を巡る事件は解決し、イレギュラーズたちは帰路へとついた。
「ホーリーエンジンは、きっと正義の心で皆の力をつなぐためのパーツだったのでしょう。
皆さんが教えてくれた勇気と正義……これさえあれば、きっと私たちは負けません!」
沈む暁に向けて、船は走って行く。
次なる戦いへの予感を、胸に秘めて。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――グッドクルーザーに変形合体機能『ビッグクルーザー』が追加されました。
GMコメント
グッドクルーザーは古代遺失技術によって製造された正義の勇者ロボットである。
記憶も力も持たずただ魔を討つという使命だけを与えられ、古き眠りから目覚めたのだ。
彼を導けるのは君の勇気!
彼を形作るのは君の正義!
さあ、未来の海へと漕ぎ出そう。
Departure to the future!
物語の名は――勇者進水グッドクルーザー!
■■■オーダー■■■
・成功条件:SDF変異体の討伐
・オプション:勇気と正義をグッドクルーザーに示す
以降はメタ情報になります。
メタ視点込みで相談しつつ、未来の事態に備えましょう。
■■■シナリオパート■■■
シナリオは前半と後半の2パートに大きく分かれます。
●前半パート:SDF変異体討伐
グッドクルーザーの出す古代船で目的の海域へ到着し、『SDF変異体×1体』と戦闘。殲滅するまでのパートです。
もし小型船系アイテムを装備しているなら、出しておく船を追加してもかまいません。
・SDF変異体
みんなで力を合わせれば決して苦戦することなく倒せる敵です。
全長は10mほどあり、海上をある程度飛行する能力をもちます。
体当たりによって相手を切り裂いたり、口からは発射する破滅光線が主な攻撃手段です。
●後半パート:猛攻のSDF変異体
戦いの気配を察知したSDF変異体が複数いっぺんに集合し、皆さんを襲います。
PC的にはこのことを最初から知ってはいないので、その状況に驚いたり『やはりな』と冷静に対応してもかまいません。
1体だけなら楽だったSDF変異体ですが、複数ともなると大変です。
現れる個体数は3~5体。正確には不明であるとします。
ただし前半~後半の戦いで勇気や正義をグッドクルーザーに示していた場合、彼は古代船と希望合体(パンドラフュージョン)し戦闘艦ビッグクルーザーに変形合体可能となります。
この状態の船には操縦席がと複数の銃座や砲台が現れ、イレギュラーズは自らの力とグッドクルーザーの力を合わせた合体攻撃が可能となります。
合体攻撃の内容はアドリブにお任せしてもいいですし自分で空想してもOKです。
■■■アドリブ度■■■
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。
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