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シナリオ詳細

続・ネクベト討伐戦

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●商団を狙う魔物
 砂の都ラサ。
 ザントマン事件の解決によって、平時を取り戻してきた状態にある。
 特に、砂漠を行き交う商団の交易は、ラサを支える基盤であるだけに正常化することは、望まれたことではあった。
 しかし、ザントマン事件解決から三ヶ月。交易商の間である噂が立ち始めていた。

 ――砂漠の魔物が蘇って、商団を襲うらしい。

 砂漠の魔物ネクベトは、ザントマンの影響で発生、操られていたことがあった。
 ザントマン亡き今、それらが組織的に動いて商団を襲うなどということは通常ありえないだろう。
 だが、実際に被害がでているのは事実のようだった。
 そこで、ラサのトップである赤犬ディルクは、商団の護衛の増強を命じる。
 傭兵団として、商団を守りつつ調査に乗り出した形だ。

 結果として、現れた魔物はネクベトに相違なかった。
 数度の襲撃を撃退し、この騒動も終わるかと思われたその時、襲撃は予想外の展開を迎えることになる。

「巨大ネクベトに強盗団の連携だと?」
「同時刻に交易ルート上の三箇所で行われました。どこもネクベトと強盗団の混成部隊で襲撃したようです」
「ラサの傭兵に喧嘩売るたぁずいぶん調子に乗ってるな。恐らく魔物を操れる奴がザントマン事件ではぐれたネクベトを集めて商団を襲うことを考えたんだろうが、旨味に味を占めて大胆になったってところか」
「どうしましょう? さらに護衛を増強しますか?」
「これ以上はコストが嵩むしな……ま、こういったときはピンポイントで頭を潰してくれる頼もしい連中に頼む方が割安ってもんだ。――そういえば以前にもネクベトの討伐を頼んだ奴等が居たっけか……」

 そんなこんなで、ディルクよりローレットへと依頼が行われるのはすぐのことだった。


「……ディルク様からの依頼――勝ち取ったわ!」
「よっ! 愛の力!」
「……尊敬よ」
 調子よく合いの手をいれた『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)に反論して顔を赤らめる『氷結』Erstine・Winstein(p3p007325)。
 Erstineが手にした依頼書を見ながら、『ディザスター』天之空・ミーナ(p3p005003)が言う。
「ネクベトがまだ残っていたのか」
「ふむ。砂漠を彷徨っていたネクベトを操り集めて商団を襲わせていたと。なかなか知恵の回る強盗団のようだな」
 『展開式増加装甲』レイリ―=シュタイン(p3p007270)がコクコクと頷きながら言うと、『希望の聖星』ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)が慧眼を見せる。
「ただのネクベトだけじゃないのが気になるところだな。巨大なネクベトなんて言うのが本当にいるとしたら厄介だな」
「強盗団とも連携してますし、結構な乱戦になりそうですね」
 『銀の腕』一条 佐里(p3p007118)も眼鏡を正しながら依頼書を覗き込む。同じように依頼書を見ていた『緋道を歩む者』緋道 佐那(p3p005064)が長い髪を掠いながら笑った。
「乱戦、大立ち周り。良いじゃない、技を振るうには格好の場よね」
「稼ぎ以上の戦闘はごめんだな……と、言いたいけれど、交易ルートは私も運び屋の仕事で使うしな。邪魔者は排除しておくに限る、か」
 『跳兎』リコシェット(p3p007871)が仕事ならば仕方ないと納得したところで、集まったメンバーの意思の統一は図れた。
「それじゃ皆、がんばりましょう!」
「――愛のために!」
「……尊敬よ」

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 シナリオリクエストありがとうございました。
 ネクベト討伐延長戦です。
 難易度はノーマル同程度となります。

●依頼達成条件
 ネクベト及び、巨大ネクベトの撃破

■オプション
 敵の全滅

●情報確度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は起きません。

●このシナリオについて
 今回は敵の襲撃ポイントが確定していますので、イレギュラーズは自動的にそこに配置されます(敵の探索や誘き出しは考慮しなくて構いません)
 敵は交易ルート上の複数箇所に同時攻撃を仕掛けますが、イレギュラーズが対応する場所以外はラサの傭兵達が倒してくれます。素早く倒せたら他の場所の救援にも行けるかもしれません。
 
●敵のデータ
 敵は強盗団とネクベトの混成部隊です。
 傭兵崩れの強盗団五体。ネクベト六体。巨大ネクベト一体です。

 強盗団は元傭兵だけあって、戦闘力はなかなかあります。同時に複数を相手にするとイレギュラーズも押されてしまうでしょう。

 ネクベトは砂でできた人型の魔物です。
 目立った戦闘能力はなく、そう強いモンスターではありませんが、傭兵と連携して動いてくるので厄介です。油断は禁物ですので、しっかりと戦いましょう。

 巨大ネクベトは、ネクベトのような巨大な砂の化け物です。
 行動が遅く、動きも鈍いのですが、一撃が重く、また常に範囲攻撃してきます。強敵です。

 ディルクの読みでは戦闘に参加していないネクベトを操る魔物使いが潜んでいる可能性があります。
 これを見つけることができれば、禍根を残さず事件を終息させることができるでしょう。

●戦闘地域について
 砂漠での戦闘となります。
 やや走りにくい地形ではありますが、戦闘行動に支障はありません。
 暑さ対策や水分補給は忘れないようにしましょう。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • 続・ネクベト討伐戦完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年02月02日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
星に願いを
天之空・ミーナ(p3p005003)
傍らへ共に
緋道 佐那(p3p005064)
緋道を歩む者
一条 佐里(p3p007118)
銀の腕
レイリ―=シュタイン(p3p007270)
ヴァイスドラッヘ
Erstine・Winstein(p3p007325)
Ultima vampire
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
リコシェット(p3p007871)
跳兎

リプレイ

●現れるネクベト達
 商人達の護衛を請け負った一行は、早速商人達と行動を共にし、砂漠上の交易ルートを進んでいた。
 ネクベトを使った強盗団の噂はやはり広まっており、商人達も不安そうにしているのがわかった。
「予想以上に被害が大きいみたいね。みんな噂を聞いて不安そうにしているわ」
 『熱砂への憧憬』Erstine・Winstein(p3p007325)の言葉に『希望の聖星』ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)が頷く。
「同じ交易ルートを通る他の商人達も同様に不安がっているようだったな。必ず通らなければならないルート上で連日連夜襲われるんだ。そりゃ不安にもなるか」
 護衛前ラサで下調べをした一行は、同様の話を耳にしていた。思った以上に状況は深刻で、ラサの赤犬ディルクが依頼をしてきたのも頷ける話だった。
「まあ私らが出張ったからには今日で終わりにしてやるって話だ。なんて、久しぶりのリハビリで言う台詞じゃなかったか?」
 『ディザスター』天之空・ミーナ(p3p005003)がそう言って強気に笑う。『緋道を歩む者』緋道 佐那(p3p005064)も頷いて言った。
「折角の刀を振るう機会、楽しませてもらいましょう」
「ああ、強盗団もネクベトもすべて片付けて、ザントマン事件の後片付けを済まそう」
 『展開式増加装甲』レイリ―=シュタイン(p3p007270)が言うように、この事件はザントマン事件の後始末とも言える。
 先の事件で多く使われたネクベトが今回の事件でも使われている。強盗団が操っている可能性は大きいが、その中にはザントマン事件に関わった者が潜んでいる可能性がある。
 ディルクとしてもその可能性を考慮しているのだろう。悪い目は出来るだけ早く摘み取りたいという考えだ。
「それに、交易ルートを脅かされるのは即ち生命の危機でもあります。強盗自体許せるものではありませんが、さらに命を脅かすような真似は絶対に許せません」
 『銀の腕』一条 佐里(p3p007118)は強くそう言う。以前に関わった依頼で、似たような交易に影響をもたらすものがあった。その経験から、今回の様な事件を強く非難し、必ず解決しようと心に誓う。
「だな。私達運び屋や商人にとっては交易ルートの安全こそが命の担保なわけだし、しっかり安全確保としてやらないとだな」
 自身も運び屋として仕事をしている『跳兎』リコシェット(p3p007871)はそう言って力こぶを作って見せた。
「強盗団にネクベト使い。もし使役するだけじゃなくて生み出す者がいるとしたら……諸悪の根源かもしれないわけですか」
 『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)の呟きにErstineは頷く。
「もしそうなら、必ず解決して見せないといけないわね」
「うん。……ラサの為に、頑張ろうね、エルスちゃん」
 Erstineの想いを応援するウィズィの柔らかい言葉に、Erstineはもう一度しっかりと頷いた。

 商人達と共に砂漠の交易ルートを進む。
 熱砂が肌を焼き、喉を渇かせていく。このような道を辿りながら様々な商品を貿易する商人達は、凄いものだと実感する。
 同時に、これだけの労力を持って対価を得ている商人達を襲い、楽に稼ごうという下劣な強盗団は許せるものではないと思うだろう。
「そろそろかしらね……」
 飲み水で喉を潤したErstineが、地図を見ながら確認をしていると、周囲を見渡していたミーナが声を上げた。
「見ろ! でかいのがコッチに向かってくるぞ!」
 指さした先に映る巨大な影。
 砂埃をあげながら、その影はゆっくりと商人達の方へと迫っていた。
 そしてその周囲には――
『ヒャッハー!!』
 奇声をあげながら砂上バイクを走らせる強盗団の姿。
「あらあら、完全にそれっぽい連中ね」
「あれは練達製のバイクか? そんなものを手に入れるなんてよっぽど稼いだと見えるな」
 佐那とウィリアムの感想にリコシェットは肩を竦ませる。
「きっと今回も楽な仕事だと思ってるな。ディルクの言うように調子に乗りすぎてるって奴だ」
「なら、わからせてやらねばならないな。今回は我々がいることを。そして今回で最後だということをな」
「ですね。このポイントを守って、他の襲撃地点にも加勢に行きましょう」
 レイリーそして佐里の言葉にウィズィとErstineが頷く。
「それじゃみんな行きましょう!」
「ええ、やりましょ!」
 迫り来る強盗団とネクベト達を、イレギュラーズは迎え撃つため熱砂へと飛び出していった。

●強盗団討伐
「へっへっへ、なんだいなんだい、可愛い顔した女(すけ)が武器を持ってどうするってんだい?」
 下卑た笑みを浮かべた強盗達が、イレギュラーズを見回し言う。
 その周囲にはまるで使い魔のように控えるネクベトと、巨大ネクベトの姿。
(完全に使役しているように見えるわね……それらしい使役者の姿は見えないけれど――)
 状況を確認したErstineが、ウィズィとレイリーに目配せをすると二人は頷き確認した。
「おいおい、なんか言ったらどうなんだぁ? 嬢ちゃん達よぉ!」
「やれやれ、盗賊っていうのはどうしてこうも自信に満ちあふれているんだ?」
 ウィリアムのぼやきに強盗達が唾を吐いて答える。
「るせぇ! 野郎はだまってなぁ!
 ボディーガードのつもりか? 俺達は人身売買だってしちまう悪党なんだぜ? 嬢ちゃん達も商品にしちまおうってそういう考えだぜ、俺達ぁよぉ!」
 強盗の一人がそういうと周囲の強盗たちがイヤらしい笑みを浮かべた。
「……これはもう加減抜きで良いって事よね?」
「ええ、構わないと思います」
 佐那の確認に佐里が頷く。
 調子に乗りすぎていた強盗達は、女性陣達を怯えさせるつもりだったのだろうが、その言葉は逆に火を付ける結果となった。
「問答無用という奴ですね。サクサク片付けましょう」
「ハッハー!! 誰が誰を片付けるってぇ!? 野郎は簀巻きにして砂漠に放置だぁ! 女どもは全員手込めにしてやらぁ!」
 奇声をあげ武器を振り上げる強盗達。同時にネクベト達が動き出す。
「ウィズィさん、レイリーさん、手筈通りに!」
「了解だ!」「OK!」
 なし崩し的に戦闘は始まった。
 イレギュラーズの中で飛び出したのはレイリーとウィズィだ。
 二人は強盗達、そして周囲の普通のネクベトを無視して一直線に巨大ネクベトへと吶喊した。
「私はレイリー=シュタイン!
 ウィズィ殿と二人、盾と刃でお前のようなウスノロなど軽くひねってやろう」
「さあ! 私とレイリーさん、最強の盾と矛タッグがお相手ですよ!」
 巨大ネクベトが鈍足で反応が遅いことはわかっていた。
 最速での名乗り口上で巨大ネクベトの敵視を奪うと、そのまま巨大ネクベトの背後まで回る。
 当然ネクベトも身体を回転させるが、これは狙い通りだ。巨大な砂手による範囲攻撃を仲間に当てないために誘導したのだ。
「さぁ、行くぞ! 蹴散らしてやる!」
 二人が巨大ネクベトを引きつけたのを確認すると同時、リコシェットが制圧攻勢を掛ける。
 どこからともなく降り注ぐ砲弾が、強盗とネクベトに降り注ぎ、出鼻を挫いた。
 偶発的ではあるが、この制圧攻勢によって強盗達の砂上バイクを破壊する事が出来たのが大きいだろう。これによって強盗達は高速で逃げる手段を失った形となる。破壊されたときの強盗達の悲鳴と怒りは耳に心地の良いものとなった。
「全く……ネクベトを使って強盗を働くだなんて……どこで覚えたのかしら?」
 呟きつつErstineが終焉の氷結を構える。
 軽やかに砂漠の砂を蹴り上げながら、一気に間合いを詰めると氷刃を振るい旋風を巻き起こす。
 熱砂が一瞬にして凍結する錯覚を覚える。肉体の根芯を凍てつかせる美しき一撃が、強盗達のみならずネクベトすらも戦慄させた。
「――ウィリアムさん!」
「任せておけ――!」
 そこに、ウィリアムが光の翼を広げれば、生み出された光刃が恍惚に震える敵を切り刻む。
「まだ、終わりじゃないぞ」
 流れるようにウィリアムが手を掲げれば、そこに生み出されるは己の心より作り出せし蒼星の心剣。大きく手を振りかぶり狙いを付けて突き出せば、流星のごとく射出された蒼輝の剣がネクベトを撃ち貫いた。
「や、やろうッ!!」
 このイレギュラーズの攻勢に驚愕の色を隠し切れない強盗達。強盗達は腕に覚えがあり、ただの傭兵相手であればいつも通り楽な仕事だと考えていた。それどころか女だらけの 用心棒ともなればいつも以上に楽なものだと、油断したくらいだ。
 結果として、その油断は致命的なものとなる。連携して攻めてくるイレギュラーズに対して、体勢の整わない強盗達は、バラバラに攻撃することとなり、上手く捌かれてしまうのだった。
「さあ来いよバカ共。私の領域へようこそ、歓迎するぜ!」
 ミーナの展開する死神の領域が、強盗とネクベトを巻き込み闇へと包み込む。不運をもたらすその領域に足を踏み入れた者達は、ミーナという死神の為すがまま、恐怖に囚われ無駄に刃を振るうこととなる。
 先手を取られた強盗達の優位性は数にある。
 ネクベトを時に盾にし、時に連携の足がかりにする荒々しい立ち回りは、なるほど確かに戦い慣れしていると感じた。
「傭兵上がりとは聞いたけれど……強盗の割に存外と。ふふ、そうこなくっちゃ……!」
 これに嬉々として刃を振るうのは佐那だ。
 戦好きの一面を持つ彼女は、まさにこうした手強い相手を求めており、強盗の振るう刃が肌を掠る度に獰猛な笑顔を見せ、返す刀で反撃に打って出る。
 戦闘狂のようにも見えながら、しかし佐那は冷静に戦場を俯瞰していた。手練れが相手である上に数で勝る相手だ。孤立すれば致命的となることを理解していた。故に立ち位置に気を配り、時に苛烈に攻め入り、時に回避に専念すると、状況に応じた立ち回りを見せる。
 強盗達が舌を巻くと同時に、イレギュラーズ達が厄介な相手であると認識するには十分な動きと言えた。
「さすが傭兵崩れというだけあって、良い動きをしていますね……けれど――!」
 相手の動きを良く分析している佐里が、周辺状況を瞬時に把握し僅かな障害物を使った跳弾による速射を見せる。的確に相手の急所を外す弾丸が、強盗達を撃ち貫いて悲鳴を上げさせる。
 佐里は銃撃と近接攻撃を織り交ぜて、強盗達を翻弄していた。なによりも相手の動きの先を読む分析力と勘の鋭さが光る。強盗達はまるで未来を予測されているのではないかと錯覚するほど、佐里の対応力に戦々恐々となるのだった。
 強盗とネクベト。その連携力は高く、また強盗達のレベルの高さは予想していたよりも上で、イレギュラーズと言えど圧勝できるようなものではない。
 しかし、ネクベト自体そう強くない魔物であり、また近距離での連携から範囲攻撃に巻き込みやすい面が多く見られた。
 初めこそ一進一退の攻防に思えたが、ネクベトが数を減らしていくと強盗達の動きも次第に鈍くなっていく。
 強盗達としては巨大ネクベトによる圧殺を狙った所だろうが、初手で巨大ネクベトを抑えた作戦が上手くハマったと言えるだろう。
「レイリーさん! スイッチを!」
「心得た!」
 巨大ネクベトを抑えるウィズィとレイリーが、盾役の交代を行う。敵視を取り攻撃する者と、その仲間を庇うことで、最小限の被害で継戦していた。
 特にレイリーの立ち回りは見事なもので、庇いながら自らの身体で死角を生み出し、ウィズィの攻撃を容易いものとしていた。
 そして、盾役を交代すると今度はウィズィがレイリーを庇うように前にでた。
(傍にいるだけが恋じゃない。それぞれの役目を立派に果たす、それこそが共に生きるということ)
 想いは誰かを守る力となる。ふいに恋人の事を思い浮かべると、同時に誠実な"恋"をしているErstineのことを思い出した。
(――エルスちゃん、頑張れ!)
 大切な誰かを思えば思うほどに、ウィズィの全身に力が漲り、強烈な一撃を放つ巨大ネクベトの攻撃を受け止めることができた。
「どうやら、向こうも片付きそうだ。こちらも終わりにさせてもらうぞ!」
 強盗達と戦う仲間達も決着がつきそうだった。
 レイリーはそう宣言して巨大ネクベトの注意を引きつけると、飛び上がって巨大ネクベトの胸を強かに打ち付ける。
 ぐらりと巨大な砂の魔物が揺れる。倒れそうになりながら振るわれる巨大な手の一撃をウィズィがその身を盾にして受け止める。
「二人とも、待たせたわね!」
「待たせた! 加勢するぞ!」
 そこに、仲間達がやってきて、戦いは終局へと加速していった。

●犯人はすぐそこに
 イレギュラーズが八人揃ってしまえば、愚鈍な砂の魔物の対処は容易いもので、大きな被害が出る前に討伐することに成功した。
 倒した瞬間の、巨大な砂が滝のように砂漠に落ちていく様は爽快であったが、同時に立ち上る砂埃にイレギュラーズは咳き込む始末で、なんとも傍迷惑な魔物だったのかと実感するのだった。
「まあざっとこんな程度かね」
 ミーナが生き残っている強盗達を捕縛し、集める。
「それじゃ、どうやってネクベトを操っていたのか、教えて貰おうかしら」
 Erstineが強盗に尋ねるが、強盗達は「教えるわきゃねぇだろ」とシラを切った。
「戦闘中もファミリアーで周囲を俯瞰していたが、それらしい者はいなかった」
 ウィリアムの言葉に、リコシェットが頷く。
「同じく監視してたけど……そもそも砂漠のど真ん中で隠れられそうな場所がないんだよな」
 確かに、周囲には人一人隠れられそうな大きな岩などはほぼないように見える。砂丘の影に隠れている可能性もありえるが上空からのファミリアーの眼をごまかせるようには思えなかった。
「それでも……あの方の読み……私は信じてるから探してみたいの。
 ……絶対、見つけてみせるわ!」
「そうですね、見落としがあるかもしれませんし、隈無く探してみましょうか」
 全員で頷くと、砂漠での捜索作業が始まった。
 とはいえ、やれることは限られている。
 ウィリアムとリコシェットがファミリアーを使って空から監視し、佐里のフェネックが地上を嗅ぎ回る。
「む……感情探知に引っかかるものがあるな……」
「レイリーさんもですか? 私のエネミーサーチでも引っかかるのですけど……」
 と、言ってレイリーと佐里は同時に同じ場所を見る。
 そこには砂漠が広がっているだけである。
「スキルに誤動作なんてないよな?」
「さすがにそれは、ないと思いたいですけどね」
 二人が頭を捻っていると、話を聞きつけた佐那とウィズィもやってきて、周囲を窺う。
「確かに砂漠ね……でも待って、ここって巨大ネクベトが倒れたところかしら?」
 佐那の言うとおり、そこは巨大ネクベトが倒れて砂の滝が降った場所だ。小さな砂丘のようになっているのがわかる。
「むー……まさかとは思いますが、巨大ネクベトの中にいたりはしませんよね?」
「さすがにそれは……」
「まさか、ねぇ……」
 言いながら、しかし一同の疑惑は尽きること無く。
「えいっ!」
 ウィズィがおもむろに砂の中に手を突っ込み何やら探ると――感じたくない感触がそこにあるのだった。
 ウィズィが力任せに引っ張り出すと、瞬間その男は悲鳴をあげるのだった。
「ぎゃー、助けて! 殺さないで!!」
「げっ、本当に中にいたし……誰ですかこのおっさんは……」
 悲鳴を聞きつけた他のイレギュラーズが集まってくると、男は観念したように蹲った。
 どうやらこのヒゲ面の男がネクベトを操っていた張本人に違いはないようだった。
 
 イレギュラーズが言葉巧みに尋問してみせると、男はペラペラと真相を話し始めた。
 男はフェレストという商人であり、ザントマン事件においてはオラクル派に名を連ねていた一人であるという。
 オラクル派の大敗が決まったことで、財貨もなくしたフェレストは、一計を案じた。
 この男、商人でありながら砂を扱う魔法に長け、それを使って財産を築き上げてきたと言う。その力を磨けば、砂で出来た魔物を操ることも可能に思えた。
 果たして、フェレストの思惑通り、ザントマン事件で大量に出現したネクベトを操ることに成功する。
 それで満足しておけば良いものを、ディルク派に対する恨みから交易ルートを襲う計画を立てたというのだから、この男の性根の悪さがよくわかる。
 傭兵崩れの盗賊達を集め強盗団とし、ネクベトを使って集団で交易ルート上の商人達を襲わせる。元商人なのだから交易ルートのどこが一番危険であり、略奪に適しているかはよく知っているわけだ。
 そして手に入れた品物を、自身の持つ闇ルートで売却し、財貨を得ていたという。
 巨大ネクベトにしても、自らの魔法をさらに研究した結果というのだから、商人ではなくその力で世のために働けば、少しはマシな話ではあるが……その性格からは大凡無理な話だと、尋問したイレギュラーズはつくづく感じるのだった。
「以上……っと。報告書はこれでおしまいね。
 ……これでまた一つ、あの方の力になれていたなら……」
 Erstineがそう呟くと、ウィズィが微笑んでこう言った。
「大丈夫、きっと見てくれているよ」
「……ええ」
 ザントマン事件から続いた砂漠の魔物ネクベトに関わる事件は、こうして終わりを告げるのだった。

成否

成功

MVP

ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌

状態異常

なし

あとがき

 依頼お疲れ様でした。

 MVPはウィズィさんに送ります。おめでとうございます。

 リクエスト有り難う御座いました。良ければまたよろしくお願い致します!

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