シナリオ詳細
ハッピーハッピーフラワーシード
オープニング
●不幸な少年のために
深緑はファルカウ南部の村トメトに住むコロネという少年は、今不幸の直中にいた。
「ぎゃー! カラチネ(魔物)のうんこ踏んだー!!」
カラチネという魔物は大人しい魔物だが、この魔物の糞を踏むと呪いに感染し、それはそれは不幸が重なるという。
例えば、何も無いところで転んだり、例えば、好物の木の実を食べたら腹を下したり……そう、例えば幼馴染みの好きなあの子へのプレゼントを無くしてしまったりだ。
「うぅ……ごめんよ、アリカちゃん。俺は駄目な奴なんだ……」
そして呪いに感染したものは、あまりにも積み重なる小さな不幸を前に自信をなくし、駄目な引きこもりへと変貌してしまう恐ろしい呪いなのだ!
「仕方ないよコロネくん。呪いだもの。
でも、このままじゃいけないわ。コロネくんが駄目になってしまう」
「アリカちゃん……でも呪いを解く方法なんて……」
「一つ、あるわ」
「えっ!? 本当かい、アリカちゃん!」
「聞いたことがあるの、カラチネの呪いを解くには、同じ魔物であるハッピーフラワーの種を食べれば良いって!」
「ハッピーフラワー……あのウネウネして逃げ足の速いハッピーフラワーかい!? でもダメだ……俺の力じゃ種を取るどころか、捕まえることもできないよ……」
項垂れるコロネにアカリちゃんはグッと親指を立てる。
「大丈夫よ、こんな時頼れるあの人達がいるもの」
そうして、一つの依頼が幻想はローレットへと持ち込まれるのだった!
●
「というわけで、新年早々ウンをフンで運をクサした少年のお手伝いをお願いするわね」
「色々汚い言葉な気もするが、話を聞こう」
クスクス笑う『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)はイレギュラーズの返事を聞いて、依頼書をテーブルの上に置いた。
「オーダーは深緑の南部に群生しているハッピーフラワーという魔物から種を奪うことになるわ。二メートルほどの大きさで、チューリップのような形をしているのだけど、そのてっぺんに大きな種を一つもってるの」
想像するになんとも奇妙そうな植物に思えるが、これが立派な魔物だというのだから混沌はよく分からない。
「ハッピーフラワーの特徴としては、とにかく逃げ足が早くて、捕まえるのが苦労することと、オプションを装備していることね」
「オプション?」
「そ。本体追従の自動トゲ発射装置みたいな感じかしら? 排除してもすぐに沸いてくるから無視するのが一番でしょうね。幸い一発一発はそう大きなダメージには繋がらないでしょう」
「ま、それならセオリー通り怒りを付与して――」
「それは難しいかも? ハッピーフラワーやオプションには感情がないそうよ。注意を引くのは難しいでしょう。幸い攻撃対象の選定は本体に近いものからってなってるから、位置を入れ替えたり、回復を厚くすれば上手くいくんじゃないかしら?」
なんとも面倒な相手だが、そういう生き物なので仕方がないのである。
「あとは逃げ足の速さか」
「ハッピーフラワーへと攻撃を当てる度に機動力が下がるようだから、超射程から攻撃を当てつつ近づいて種を奪うのがよいでしょうね。ブロックやマークは通用するみたいだしね」
「倒してから種を回収しても大丈夫なのか?」
イレギュラーズの確認にリリィは×マークを指で作る。
「倒しちゃうとハッピーフラワーのハッピー成分がなくなって呪いを解く効力がなくなってしまうみたいね。殺さない程度にダメージを与えて機動力を削いで、囲んで種を奪う……が正攻法になるかしら? まあでもやりようによってはもっと上手いやり方もあるかもしれないわね」
そこは貴方達次第よ、とリリィは妖艶に微笑む。
「それじゃ、不幸な少年に幸福を与えるために、種取り合戦をお願いね」
そう言ってリリィは依頼書を差し出し、席を立った。
後に残されたイレギュラーズは、依頼書を眺めながら準備へと進むのだった。
![](https://img.rev1.reversion.jp/illust/scenario/scenario_icon/11337/08316e289e75a729907d3dcd4f4d30b2.png)
- ハッピーハッピーフラワーシード完了
- GM名澤見夜行
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年01月31日 22時20分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●幸運の種を求めて
”運”と言うものは、人知では計り知ることができない。
幸運に恵まれれば、人はそれだけで幸せとなり、逆に不運に苛まれれば、それだけで心を閉ざし、或いは己の道行きに嘆いて生きる意欲をなくして仕舞うかも知れない。
人が生きていく上で、回避しようのないそうした運の作用を、人は運命と呼んだ。
然るに、今回の依頼人であるコロネくんがカラチネなる魔物のフンを踏んだのも運命であり、そして幸運を取り戻すためにイレギュラーズへと依頼するのも、また運命なのである。
特異運命座標たる八人が、運気を吸われ不運へと落ちたコロネくんの運命を変えることができるか否か、その行方を見ていこう。
八人が揃って深緑へとやってくると、早速、幸運の種を持つというハッピーフラワーの群生地と呼ばれるメシュカの森へと足を踏み入れる。
そう深くない森を散歩するように散策しながら、八人はまさに運について話を膨らませていた。
「運気を吸うなんて、とんでもないな。カラチネとかいう魔物のフンは絶対に踏まないようにしないとな……」
自らも不運だと嘆く『影刃赫灼』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)が足下に注視しながらそう話す。
最近彼女が出来た人間に不運だと嘆かれてもまるで説得力がないが、本人が言うのであればきっと不運には違いないのだろう。
そんなクロバに『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)が頷いて言う。
「カラチネを見かけたら注意しないと行けませんね。
それはともかく、ハッピーフラワーという魔物。こう運気を左右する魔物だなんて、それこそ幸運の御守りなんかに使用する為に乱獲されててもおかしくなさそうですが……」
ドラマの危惧するところは尤もな話で、運気を回復させる種ならば、挙って多くの人が入手を目論むし、それを商売にする人間も多いはずだ。
だが、そうはならない理由があるのだと、『へっぽこ砂サーファー』ロゼット=テイ(p3p004150)が言った。
「ハッピーフラワーの種はあくまでカラチネの呪いを解くためのものみたいだね。そしてカラチネの呪いにかかる人は一年に数人程度のようだよ。商売にするにはちょっと難しい数だね」
直接人を襲わない魔物が、結果的に呪いを撒いてしまうそんな状況に興味を持ちつつ、依頼者コロネくんの人生への影響を気にするロゼット。なんとかしてあげたいという気持ちから、ハッピーフラワーについてもよく調べたようだった。
ロゼットの話に『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)も頷いて、
「こっちの世界にも慣れてきたつもりだけど、まだまだおかしなものはたくさんあるね。
情報屋さんに動画を見せて貰ったけど、ハッピーフラワーなんか、こうウネウネしながら凄い速度で走って逃げてて、びっくりするというか不思議なお花だったよ」
と、ハッピーフラワーへの印象を話す。
焔の言うように、今回の目的であるハッピーフラワーは実に奇怪な魔物であり、その走る様は花を揺らす可愛らしさと、根足の動きの気持ち悪さと相まって、キモカワイイと言うべき魔物だ。焔が「不思議」と言う感想を漏らすのも当然だろう。
「なんにしても新年早々ウンの尽きた少年に種をプレゼントしなくちゃね……ふっ。何言ってんの私」
ウンにアクセントを置いてノリ突っ込みをしてしまう『かつての隠者』アルメリア・イーグルトン(p3p006810)に『まな板最強説』マナ・板野・ナイチチガール(p3p007516)が無い胸を張って言う。
「……えっ、不幸な少年の心配? ……ハッ!
大体、不幸になって引き籠りになる呪い位なによ。ウチのフルネーム案件に比べたら些事よ。DQNネームって問題じゃないわよ、これ……」
嘲笑しつつも、どこか泣きそうになっているマナ。なんて名前と体型だ。本当の不運は彼女にあるんじゃないのだろうか。
アルメリアに「種食べとく?」と聞かれ心で泣きながら「結構です」と答えるマナは強い子である。
「まさか昔買った種を、今度は自分で取りに行くことになるなんてネ。カラチネのフンの呪いはそれは効き目が凄いんだよネ」
依頼者コロネくんと同じめにあったことのあると言う『風吹かす狩人』ジュルナット・ウィウスト(p3p007518)が、その時のことを思い出して笑う。
さすがは齢百八十の老翁である。様々な経験をしてきたのだと言う深みを感じるものだ。
そんなジュルナットの話に、「ふむ」と考えるのは、更なる老齢『妖刀の魂を従えし者』綺羅々 殺(p3p007786)である。
「呪いを打ち消す種か……儂の呪いまで打ち消されない様にしなくては」
小躯でもふもふな彼女はしかし、殺生石より生まれたレガシーゼロであり呪いの体現者だ。実際ハッピーフラワーの種を食べてどのような結果になるのかは興味深いところではあるが、アイデンティティー所か生死に関わるかも知れないので、言及はやめておこう。
殺は、深緑という国の風情情感に興味を示しながら、カラチネにも興味を向けるが、今回はカラチネとは出会えなかったようである。
そんな八人御一行が森を進み、木々の隙間を抜けていくと、開けた広場へとでた。
「見て! あれだよ、ハッピーフラワー!」
焔が指さした場所へと眼を向けると、そこにはまさに動画で見た通りのウネウネさを持ってデッカイチューリップの花が幾つも蠢いていた。
「見た目以上にでかく見えるな……あれが滅茶苦茶早く動くってキモすぎるだろ……」
「見かけにはよらないと言う奴ですね。
早速捕まえましょう。皆さん準備はいいですね?」
ドラマに促されて、全員が頷いた。
幸運の種を手に入れるための捕獲戦闘が始まる――
●ウネウネ動くアイツを捕まえろ
「見かけによらない……言い言葉ッスね。
そう、何事も見かけによらないのだわさ! 貧乳だっていいところが沢山ある! 巨乳より早い! 巨乳より貧乳の方が有能だって事をわからせてやるわ!」
マナが自らのコンプレックスをひけらかしているところで、武器を構えたアルメリアがぼそりと呟く。
「……いや、胸がない方が身体が軽いから早いのは当然よね?」
「ひどい! ウチより年下の癖に巨乳のアルメリアさん、ひどい!」
泣きそうになりながら、マナがブースターと追加スラスターに火を入れてハッピフラワーに指を突きつける。
「巨乳死すべし!」
ハッピフラワーに乳はないのだがと誰もが思うが、皆黙っていることにした。
宣言したマナは作戦通り木々と茂みを使って身を隠す。ハッピーフラワーには感情がなく警戒心も薄い。容易く良好な位置取りをすることができた。
「それじゃ始めるよ。――停滞と呪縛を狙いしもの」
ロゼットが合図と同時に熱砂の精を使役する。
現れた精霊がハッピーフラワー達の群がる辺り一面に重圧を伴う砂嵐を巻き起こし、その動きを鈍らせていく。
「――――!!!」
同時、何とも言葉にしづらい葉擦れの音を立ててハッピーフラワー達が一斉にその場から逃げだそうと走り出す。
これは攻撃されたことによる本能的行動であり、その動きに規則性や感情は一切ない。
「めっちゃバラバラに動くじゃん!! とにかく、出来るだけ多く纏められるように――!!」
ロゼットの攻撃が通ったと同時に茂みから飛び出したマナがその反応と機動力を見せ付ける。
尋常ではないハッピーフラワーの機動力だが、ロゼットの停滞がだいぶ効いている。このパーティ最大機動力を持つマナが辛うじてついて行ける状態だ。
「なんとか食らい付いていけるわ! これなら――!」
ハッピーフラワー達は群生地から逃げないのはすでに情報として確認されている。その地形を上手く利用し先回りすれば、機動力に劣ろうとも、先回りすることは可能である。
マナがそうして反応と機動力を活かしたマーク・ブロックを行いハッピーフラワー達を追い立てて行く。
その動きの先は、マナがアルメリアに約束したとおり、彼女の元へとハッピーフラワーを追い詰めることになった。
「ウチより年下の癖に巨乳のアルメリアさん……やっちゃいなさい!」
「毎回その言葉は言わないといけないのかしら……ええ、でもやるわ――!」
アルメリアが魔力編むと周囲の空気が急速に冷えていく。放たれる絶対的冷気がハッピーフラワー目がけて走り、ハッピーフラワーの奇妙な動きに翳りを生んだ。
「まずは、機動力を削がせてもらう……恨みはないが依頼主の幸運とあわよくば俺の不運解消の為ェ――――――――ッ!!!!」
完全に不純な動機を孕んだ言動でクロバが攻撃をしかける。
幸運も悪運も四割前後な彼の攻撃は、まさにその日その時の死神の気分次第で相手の命運を左右させる。
今回に限っては不殺の必要が求められることから、あまりにもクリティカルな一撃は避けたいところではあったが、思っていた以上にハッピーフラワーはタフなようだ。クロバの致命打を受けながらも、元気に身体をくねらせていた。
「ふむ、まだまだ元気なようだネ。それならその”足”を狙っていこうカ」
ジュルナットは狙いをつけた一匹に的を絞り、ワイズシュートを放っていく。
勘の良い射撃は、狙い通りハッピーフラワーの根足を貫き、足と地面を矢で繋ぎ止めていった。
これに対して、ハッピーフラワーはまさに本能のままに動く。自分の根足が引きちぎれようと構わず逃げだそうと走り出す。
当然根足が千切れれば、それだけ動きは遅くなるが、その場にいることの方が危険と判断するようだった。
この動きを見ていた焔が、少し考えて思いつきを試そうとした。
「本能で動いているなら……こういうのは嫌だよね!」
炎の斬撃を飛ばして足根を焼き機動力を裂くと、一気に近づいて愛用の槍の先にギフトたる神炎を燃えさからせる。
例外はあれど、あらゆる生物、植物にとって火とは自らの生命を脅かす危険なものに他ならない。それは感情によるものではなく、本能によるものだ。
当然ハッピーフラワーにとってもそれは例外ではなく、焔の生み出した炎を察知するや否や、できるだけ遠ざかろうと逃げる方向を変えていく。
「炎が嫌われるってなんだかちょっと悲しいけれど、今回ばかりは良いように使わせてもらうよ!」
そうして焔は神炎纏う槍を操り、時に地面に炎壁を作り上げてハッピーフラワーを追い立てて行った。
逃げるハッピーフラワーを追いかけて、基本引きこもりがちだったドラマも走る。
泥で汚れた暗色の外套が、迷彩色となってドラマの姿を眩まさせる。
「こんな時の為に、毎朝走り込みをしているのです!」
その成果は確かに出たのだろう。
仲間の攻撃によって動きを鈍らせたハッピーフラワーに追いすがり、チャンスと見れば嵐の王を行使する。
暴威に晒されたハッピーフラワー達はさらに足を鈍らせ、新たなチャンスを作り出していく。
「逃げる姿が意外とそそるではないか……良い位置じゃ、もろうたぞ!」
生み出されたチャンスを殺がものにする。
殺の操る腐食結界『ラヴィアンローズ』が呪によって新たなダメージを生み出した。まさに呪いの申し子たる殺に相応しい死滅の結界である。
「儂のラヴィアンローズは効果がばつぐんじゃぞ! 皆の者、機動力を損なった奴を叩くのじゃ!」
殺の声に合わせて全員が一斉に一番弱っているハッピフラワーに取り付いた。
「ウネウネと動きやがって! ジッと出来ないのか――ッ!」
「暴れん坊を押さえつけるのは大変だネ。でもこれでどうかナ」
クロバとジュルナットがハッピーフラワーを押さえつけて頭(?)である花弁を垂れさせる。
「もらったわよ」
そこにアルメリアが手を入れて、花びらの中心分、奥にあった種を奪い取った。
種を奪われたハッピーフラワーはまるで意気消沈したようにウネウネと動く動きを止めて、悲しげに逃げ出していく。
「なんともわかりやすい感じですね。判別がつかなそうなら少し叩こうかと思っていましたが……」
「これなら大丈夫そうだね。この調子でどんどんとっていこうか」
ドラマとロゼットが頷きあって、再度攻撃に戻ろうかとした時、ハッピーフラワー達の周囲に光の球が浮き上がり始めた。
「オプションだわさ!」
それは情報にあったハッピーフラワーの防衛機能。一体につき三つの球が浮かび上がって、ハッピーフラワーを追尾する。
そして、同時に光の球から弾丸のような棘がイレギュラーズ目がけて乱射された。
「わー! ものすごい撃ってきた!」
「っていうか乱射しすぎだろ! おまけに結構痛いんだがっ!」
逃げ回るハッピーフラワーを追尾して、後方に棘を乱射するオプション。
この組み合わせが実に絶妙で、追いかけようとすると棘の乱射の直撃をもらいかなりしんどい。
「正面には本体があるから撃てないだろうけど……正面に回るのが大変ね」
「たしか倒してもすぐ復活するのであったか……面倒なものじゃな」
アルメリアと殺の言葉に一同は悩むも、具体的な妙案は浮かばなかった。
「なら仕方ないね。オプションを処理しつつダメージを減らして追い詰めていくとしようか」
ロゼットの提案に全員が賛成し、行動を開始する。
「回復は厚めにしていきましょう。アルメリアさんも支援お願いします」
「ええ。私の分まで頑張ってほしいからね。ふふん」
「なんでウチを見るッスか! 胸を張らないでよ! 胸を!」
アルメリアは別に胸を張ったつもりはなかったが、マナの眼には巨乳しか映っていない。
そんな冗談を交わしつつ、マナが走る。
「……どいつもこいつも巨乳! 巨乳!!
……平坦なる者は眼中じゃねェてっか! 死ねよ! というか、まな板って言うんじゃねェぇぇ!!!」
叫びながら脅威の反応で棘の射出前にハッピーフラワーに飛び込んで、逃走経路をコントロールするマナ。
「わぁ、あんな方法があるなんて」
「ううむ、さすがの反応と言うべきか……」
「誰が胸の話題に反応最大値だってぇ――!?」
誰も胸の話はしていない。
「とりあえずあのままじゃ棘に指されすぎてトゲトゲになっちゃうからね。援護しようか」
「そ、そうですね」
苦笑を浮かべつつ、イレギュラーズは残りの種をゲットするため動き出した。
●ハッピーラッキースマイル
無事にハッピーフラワーの種を取り終えて、依頼者コロネくんの住むトメト村へと戻ると、コロネくんが本当に嬉しそうにお礼を言った。
「実はとても不安だったのです。だってカラチネの呪いでしたから、この依頼も不幸の内に終わるんじゃないかって……。そう例えばハッピーフラワーを捕まえられなかったり、もっとひどければお金だけもっていかれるんじゃないかって……」
後者が起こればローレットの沽券に関わるが、前者は可能性としてなくはないというだけあってコロネくんの心配は理解できよう。
「なんにしてもこれを食べて呪いを解きなさいな」
マナが(ない)胸を張って、ドヤ顔で種を渡す。
「調理法とかあるのでしょうか?」
ドラマが尋ねると、コロネくんの隣に立っていた幼馴染みのアカリちゃんがこくりと頷いた。
「ゆでた種を磨り潰して小麦粉と混ぜて団子にして食べるの。そのままだと苦い上に効果がないみたい」
「そうそう、おじいちゃんもそうして食べたネ……最初はそのまま食べちゃってとっても後悔したものだヨ」
昔を懐かしむように言うジュルナットに、コロネくんは「危うくそのまま食べるところだった……」と呟いた。
「また呪いで悩むようなら儂の所にくるがよい。儂の知る限りを教えることはできるし、知らぬ呪いならば興味深い」
「い、いやぁ……もう呪いはこりごりです」
苦笑するコロネくんは、そうしてもう一度お礼を言った。
「本当にありがとうございました。報酬はもうギルドの方に渡しているので受け取って下さい」
と、そこで、焔がコロネくんの前に立つ。
「もう一つあるんだ。はい、これ」
そうして手渡したのは、コロネくんが無くしたと思っていたアカリちゃんへのプレゼントだった。
「あっ! どうしてこれを!」
「なくしたって聞いてたから、種を集め終わった後みんなで探したんだ。大変だったよー、種集めよりも大変だったかも……」
「手がかりなかったからね……」
「よく見つかったわよね」
その探索行程を思い出しイレギュラーズ全員が苦笑いする。
コロネくんは感動したようにプレゼントを受け取った。
「ま、ツイてないって事は誰にもでもあるし人より多いってのもあるかもしれない。
――でも、不運でめげる必要はない。
譬え自分が悪くないのに突如として事故に巻き込まれいわれのない借金背負ったりたまたま手伝いで運んだ荷物がなんかヤバい荷物だったり……めげずに雑草の如く生きてる奴もいるって覚えておくといい」
クロバがなんだかすごい説得力でものを言う。
「なんだか実感こもってますね」
「一体誰のことなのやら」
クロバの言葉を胸に響かせながら、コロネくんはもう一度イレギュラーズにお礼を言って、そして最後は幼馴染みのアカリちゃんへと向き直った。
「アカリちゃんもありがとう。それとこれ、遅くなっちゃったけど誕生日プレゼント。受け取ってくれるかい」
照れながら渡すコロネくんと、そしてニコリと笑ってプレゼントを受け取ったアカリちゃんを見送りつつ、イレギュラーズはローレットへと帰るのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
依頼お疲れ様でした。
MVPは焔さんに送ります。おめでとうございます。
またのご参加をお待ちしております!
GMコメント
こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
新年早々ついてない少年を助けましょう。
ほのぼの追いかけっこバトルの開幕です。
●依頼達成条件
生きてるハッピーフラワーから種を六個取る。
●情報確度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は起こりません。
●ハッピーフラワーについて
二メートルほどのチューリップの外見に、花びらの中央に大きな一つの種をもつ魔物です。
ウネウネと動いて逃げ足が早く、攻撃されると瞬間ダッシュで逃げ回ります。
群生地は判明しており探索する必要はありません。
群生地には凡そ十五体ほどのハッピーフラワーがいます。
ハッピーフラワーは群生地から大きく離れることはできません。逃げるときも群生地内をぐるぐる走り回ります。
耐久力は高めで、全力攻撃をしてもすぐ死んだりはしません。
機動力は特大で、攻撃を当てずに追いかけるのは無駄でしょう。
怒り無効を持っていますが、他のバッドステータスは問題なく付与できます。
攻撃を当てる度に機動力が削がれていきます。ダメージ量、手数どちらも機動力を削ぐプラスになるでしょう。
ハッピーフラワー本体は攻撃してきませんが、本体の周囲に浮遊する光の球(オプション)が棘を発射してきます。
オプションは本体一つにつき三つ浮遊しています。
オプションは攻撃を吸わせることで排除できますが、ハッピーフラワー本体の手番時に即時三つ復活します。
オプションは本体に近いに相手を狙って攻撃します。
●戦闘地域について
深緑南部の群生地での戦闘になります。
開けた広場のような場所なので、戦闘行動に支障は出ないでしょう。
そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。
皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
宜しくお願いいたします。
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