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シナリオ詳細

君が好きだと叫びたい(叫べ)

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●見つかってしまった二人
 年末年始の休暇を取ることができたイレギュラーズの六名は、幻想西部のはずれにある温泉街へと来ていた。
 温泉に浸かり、身体を休ませ、仲の良い者達と美味しいものを食べる。
 実に有意義な休みだが、一つ物足りない。
 何か事件でも起きないものかと考えていた時、浴衣姿の『終焉語り』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)が襖を開け放ちながら駆け込んできてこう言った。
「私、見てしまいました! クロバさんとシフォリィさんが二人で――!」
 色めき立つのは部屋にいた五人だ。
「詳しく話を聞かせて頂きましょうか」
「こんな所で二人を見かけるなんて、興味はつきないね」
 眼鏡をクイッと持ち上げた『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)と、楽しげに近づいてくる『異美転の架け橋』宮峰 死聖(p3p005112)の目が輝く。
 『死神二振』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)と『また薄い本が出た』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)と言えば、イレギュラーズとしてローレットに出入りしていれば、自ずと聞く名だろう。
 そしてその名をしれば関係性も噂に聞くことになる。
 なんだかよく一緒にいるような感じであるとか、シフォリィの為にクロバがとんでもない奇跡を起こして魔種二体を倒したとか、そんなイベント起こした割りに二人の仲が進展してないだとか。
 そんな話を目にして耳にしていたから、こんな一目を忍ぶような温泉街に二人が、それも浴衣で揃って歩いているのを見れば、何かあったに違いないと思うのは道理だ。
 全てを察するように『Righteous Blade』アルテミア・フィルティス(p3p001981)が笑った。
「なるほどね……ついに、結ばれたのね……!」
 その言葉に一同は「おぉ――っ!」と声を上げた。
「みんなに内緒で温泉デートだなんてずるいの。これはもう二人に馴れ初めを聞くしかないの」
 『溶融する普遍的な愛』Melting・Emma・Love(p3p006309)が言うと、『ぱんつコレクター』悪鬼・鈴鹿(p3p004538)が悪のりしたように言った。
「そうなの。それで恥ずかしがってるところでパンツを剥ぎ取って気分をえちえちにしてやるの! そしたらきっとエロ同人みたいに――」
「おっと、鈴鹿さんいけません。PPPは全年齢ですからゆえ」
「でも、二人の想いを確かめて聞いてみたくはありますね」
 リースリットがキュンキュンしながらそんなことを言うと、アルテミアもしきりに頷く。
「いろいろ世話を焼いてあげたのだから、それくらい聞かせてもらいたいわね。……温泉宿は同じっぽいし、これから二人を探しに行こうかしら?」
「しばしお待ちを。私に考えがあります」
 こういうとき、寛治の悪巧みは加害者側に立つと面白いことを、ここに居る者達は知っている。
「……なるほど、あの部屋を使うんだね」
 訳知り顔の死聖に寛治は頷いた。
「みなさんで時間を稼いでください。そして合図で指定した部屋に二人を誘導しましょう。きっと楽しいものが見れるはずです。
 この温泉休暇に物足りなかった一つの刺激をもたらすような、とびきりの一幕がね」
 一同は皆揃ってほくそ笑む。
 他人の色恋沙汰は、どんなときでも面白いものなのだ。


 その瞬間、クロバは嫌な悪寒を感じて身震いした。
「どうしたんですか、クロバさん?」
 隣を歩くシフォリィが小首を傾げて尋ねる。
「いや……なにか、嫌な悪寒が……ああ、いや、きっと気のせいだな……」
「外は少し寒いですものね。せっかく二人で来たんですから、ゆっくり温泉に入って羽根を伸ばしましょう?」
 笑みを浮かべるシフォリィにクロバは頷き返す。

 二人は知らない。このすぐ後に、偶然を装って顔なじみのイレギュラーズ達が現れることを――

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 シナリオリクエストありがとうございました。
 ここに来たからには逃げられません。大胆な告白タイムの始まりです(録画中)

●達成条件
 クロバ、シフォリィ両名の『好き』の告白を聞いて尊みを感じること

●情報確度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は起きません。

●このシナリオについて
 前半はクロバさん、シフォリィさんのデートシーンです。
 しかし、ちょくちょく他のイレギュラーズがやってきます。
 そんな後半では、『相手のことをどれだけ好きか、具体的に言葉にしないと出られない部屋』にクロバさんとシフォリィさんが閉じ込められます。
 あらゆる手段を用いてもこの展開は回避出来ません。諦めましょう。
 二人が嬉し恥ずかしな告白をするなか、皆さんは全力で茶々を入れましょう。
 二人のシーンに尊みを感じたら、きっと外へ出られるはずです。

●舞台について
 幻想西部の温泉街にある宿での一幕。
 『カップル向けの特殊な部屋』があるのが有名のようです。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • 君が好きだと叫びたい(叫べ)完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年01月29日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クロバ・フユツキ(p3p000145)
背負う者
シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
悪鬼・鈴鹿(p3p004538)
ぱんつコレクター
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
宮峰 死聖(p3p005112)
同人勇者
Melting・Emma・Love(p3p006309)
溶融する普遍的な愛

リプレイ

●ドキドキデートと偶然のイレギュラーズ
 幻想西部の温泉街。
 そこはいつもと変わらぬ観光地の様子を見せていたが、実は違う。
「では、よろしく頼みますよ」
 メガネの位置をクイッと直して『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)が温泉街の上役相手に言う。
 そう、この男。やると決めたときの行動は半端ではなかった。
 ありとあらゆる手段とアイテムを投じ、温泉街の上役を買収し各種便宜を図らせようと言うのだ。
「クロバさんとシフォリィさんには、ほんの少し豪華な福利厚生を味わっていただきましょう」
「えげつないの、大人げないと言う奴なの!」
「いいえ、鈴鹿さん。大人だから、やれるんですよ」
 『ぱんつコレクター』悪鬼・鈴鹿(p3p004538)に胸を張る寛治。大人でも中々できないことを平然とやってのける、ファンドマネージャーの肩書きは伊達ではなかった。
「これで環境の準備は整いました。
 あとは、皆さんで時間を稼いでください。こちらも部屋の準備をしますので」
「フフ、成程。あの部屋を使うんだね。
 流石マネージャー、札の切り方が上手いね♪」
 『異美転の架け橋』宮峰 死聖(p3p005112)がニンマリと笑う。
 あの部屋と言うのは、今回この場に揃った”薄い本三銃士”の破廉恥シーンを撮るべくカメラやマイク等の悪巧みを仕込んだ部屋のことだ。
 そんな事実を知らない三銃士の一人『終焉語り』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)は「うーん」と首を傾げて、
「時間稼ぎですか……。
 ……変に接触するのもそれはそれでお邪魔ですし……難しい」
 と、どう温泉街を楽しんでいる『死神二振』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)と『朝を呼ぶ剱』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)の二人に接触するか悩んでいた。
「そう難しく考えなくても良いんじゃないかしら?
 偶然出会って、世間話をするって感じで良いと思うわよ」
 『甘いの大好き』アルテミア・フィルティス(p3p001981)が気楽そうに言う。というのもアルテミアは二人の後押しをした張本人であり、既に聖夜(シャイネンナハト)に二人が結ばれた事実を知っていたというのもあって、早いところ二人に馴れ初めを聞きたいということがある。
 時間を稼ぐつもりがなくても、必然的に時間は稼げると言うものなのだ。
「Loveはお部屋の準備を手伝うの。楽しみなの」
「では皆さん、二人の愛を確かめる為に、頑張りましょう」
「おー!」
 愛を確かめるという名の冷やかしだが、もちろん参加してる人間が楽しいのは言うまでもない。


 その頃、温泉街を歩くクロバとシフォリィ。
「沢山のお店がありますね。どこから回っていきましょうか?」
 シフォリィは目の前に広がる出店や店舗を見てクロバに尋ねる。
「そうだな……手近な店から見に行ってみようか。なにかあるかも知れないし」
「ええ、では行ってみましょう」
 二人は連れ添い歩きまずは手近な店へと向かう。
 そこは茶屋だ。温泉まんじゅうが名物のカフェ兼茶屋といった店だった。
「わぁ美味しそうですね」
「ん、お腹減ったか? 昼飯はさっき食べたと思うけど」
「むー、私はそんなに食いしん坊ではありませんよ」
 そんなやりとりをしていると、店主がやってきてこう言った。
「そこのカップルさん良いところに。貴方達が丁度本日百番目のお客様なんです! そして百番目のお客様にはどーんと温泉まんじゅうと抹茶のサービスですよ!」
「わ、それはすごいです! クロバさんやりましたね。ついてますよ私達」
「おー、意外なところに幸運というのはあるものだな。どれ、折角だし少し食べていこうか?」
「ええ、そうしましょう」
 実の所、このサービスというのはまさに寛治の仕組んだものだったわけだが、二人はそれに気づくことなく温泉まんじゅうと抹茶を受け取り店の前の床几台で仲良く食べ始めた。
「それじゃクロバさん半分こしましょう」
「え、こんなにいっぱいあるのにか?」
「む、ダメですよクロバさん。こういうのは半分こにするから良いんです」
「そう言うものか……じゃあそうしよう」
 二人で分けて食べる、というのは格別に美味しい。ぺろりとまんじゅうを平らげる二人。
 満足したところで茶屋を出ると、まさに偶然のように二人は共通の友人を見つけた。
「アルテミアさん?」
「偶然ね。こんなところで会うなんて」
「いや、偶然ってレベルじゃないだろう。何やってるんだこんなところで」
「もちろん、温泉に入りに来たに決まってるじゃない。
 二人こそなに? さっそくデートかしら?」
「いや……まぁ……」
「えへへ……」
 デートと言われて思わず気恥ずかしくなる二人がにへらと笑う。そんな二人の表情を見れて、アルテミアは嬉しくなった。
「ね、少し話しましょうよ。なに、デートの邪魔はしないわ。
 二人を後押しした友人として、どんな告白をしたのか聞く権利があるはずよねぇ? ふふ、さぁ詳しく教えてもらうわよ。デザートでも食べながら、ね」
 そう言ってアルテミアは近くの甘味処へと二人を強引に連れて行く。二人は無碍に断ることも出来ずに、ついて行ってしまうのだった。
「それで、どっちがどう告白したの?」
「う、それはだな……」
「え、ええっと……あはは」
 気恥ずかしさが先行するのかクロバとシフォリィの二人は顔を見合わせ言い淀む。
「わ、悪い。ちょっと手洗いに――」
 気恥ずかしさを我慢出来なくなったクロバは、脱兎の如くその場を逃げ出す。アルテミアはそれでどちらが告白をしたのかを察するのであった。
「一時は本当に死神みたいな顔だったのに、変わったものね。これも愛の力かしら?」
「ふふ……どうでしょうね? でもああいう所が可愛いと思います」
 そんな惚気にも似たシフォリィの返事を聞いてアルテミアは顔を綻ばせた。
 そして、今一番聞きたかったことを尋ねる。
「シフォリィさん……あなたは今、幸せかしら?」
 その質問に、シフォリィは――何よりも証拠となる幸せそうな笑顔の返事を返す。その笑顔を見たとき、幼馴染みとして、過去悲観に暮れていた時や、ローレットで再会したときの痛々しい笑顔を知っていたアルテミアは、心の底から安堵し満足して微笑み返すのだった。


「ふぅ……まさかこんなところでアルテミアと会うなんてな……」
 アルテミアと別れてからも二人は温泉街を巡っていた。
「ふふ、ちょっと恥ずかしかったですね。それよりもクロバさん、あそこに射的がありますよ。やっていきましょう」
「射的か。よしやってみようか」
 二人は射的屋で景品を狙い撃つ。こういった射的屋は基本大物は取れない物だが、なぜかこの時ばかりは違った。大きいクマのぬいぐるみを狙うと、なんとも見事な塩梅で景品が落ちるではないか。
 二人は喜び、景品を手にして射的屋を出る。そんな様子をリースリットは物陰から眺めていた。
「うーん、仲睦まじくて邪魔する余地がありません」
 リースリットは邪魔をするのも悪いと思い、そのままその場を離れようとしたが、少しじーっと見すぎただろうか。勘の良いクロバだ、そんな視線に気づいてリースリットの姿を見つけてしまう。
「リースリット、お前そんなところでなにして……?」
「見つかってしまいましたか。すみません。ちょっと前にお見掛けしてもしかしたらと思っていたのですけど、まさか本当にお二人だったなんて。なんて奇遇、でも良い温泉ですものね」
「リースリットさんも温泉ですか?」
「ええ。ローレットの活動に骨休めも必要ですから。
 ――お邪魔するのは申し訳ありませんから、それではこれで。どうか良い一日を」
 まるで台詞のように流れる言葉を掛けながらリースリットは笑顔で手を振って完璧な礼をしてみせると、そのまま人混みに紛れていった。
「お、おう……行ってしまった」
「しかし、この温泉街イレギュラーズが良く来るんですね?」
「まあ、近いと言えば近いしな。しかしこうも知り合いに会うと、なんだか他にもいそうな気がしてくるな……う、また悪寒が……」
 身体を震わすクロバ。それを見てシフォリィは少し大胆に動いた。ぎゅっとクロバの腕を取り身を寄せたのだ。
「シフォリィ?」
「大丈夫です。寒くても私が温めちゃいます」
「うっ……あ、ありがとう」
 シフォリィとしては、ただひっつきたかっただけではあるが、クロバにしてみれば大胆に身を寄せられて思わず照れくささが出てしまう。とはいえ役得ではあるのでそのままくっついて二人は歩き出した。
 そんな二人の前に、如何にも怪しげな露天商が現れる。
「ここでの思い出の一つに良ければお一つどうですかな?」
 顔の見えない怪しげなお姉さん的店主が、二人に装飾品を見せる。
 その品々は温泉街には似つかわしくないほど煌びやかな一品で、とても出店に出るような等級の低い物ではなく、見るものの心を奪う。
「な、なんだかすごいな……しかも意外に安い」
「どうしましょうか?」
「お揃いで買えばハッピーに違いありませんぞ? さぁさどれでもお選びくださいなの」
「……なの?」
「いえ……お選び下さいぞ」
 実を言えばこの露天商、鈴鹿が変装したものであるのだが、二人はそれに気づかない。
 そして二人は、どれにしようか迷いながらも、揃いのネックレスを購入することにした。
「思い出の一品になりそうですね」
「ああ、大切にしよう」
 そんな二人の微笑ましい様子を満足気にみた露天商(鈴鹿)は、
「君達の恋路に幸あれ」
 と、祝福の言葉を告げてクールに去って行く。
「……なんだか怪しげな露天商だったが、商品に問題あったりしないよな?」
「あ、あはは……大丈夫だとは思いますけれど」
 二人は訝しみながらも、購入したネックレスを大事そうに仕舞うのだった。


 温泉街から宿へと戻る二人。
 その前に死聖が現れる。
「やぁお二人さん、こんなところで出会うなんて奇遇だね。デートかい?」
「げ、お前までいるのか……まさかファンドマネージャーまでいるんじゃないだろうな?」
 死聖の顔を見てクロバがキョロキョロと辺りを探る。シフォリィもまさかそんなと思いつつも内心「居そう」と思っていたり。
「まぁまぁ、それよりも実はクロバ君を探してたんだ。彼には僕があるシリーズの新刊を出す度に届けていてね♪」
 笑顔でそんなことを言う死聖にシフォリィが首を傾げる。
「新刊?」
「待て、お前は何を言っている」
「はい、これが今回の新刊だよ♪」
 そうしてクロバに手渡されたのは『テミテミにシフォシフォリィ』と書かれた薄い本だ。
「今回はアルテミアさん攻めでシフォリィさんが終始受けの百合本となってるよ♪
 い・つ・も・の、シフォリィさんコレクションの本棚に大切に入れて、ね♪」
「ちょ――!!! お前――ッ!!」
「ハハハ! じゃぁね!」
「待て――ッ!!!!」
「クロバさん……?」
「ひぃ!? いや、違うこれはアイツが勝手に……いや、シフォリィコレクションは確かにあるかもしれないが……あっ違ッ!」
 ニコリとシフォリィが微笑む。殺されるとクロバは思うが、鮮血の雨は降らなかった。
「まあいいでしょう。その本の処分は後にするとして温泉に入りに行きましょう。歩き回って少し汗を掻いてしまいました」
「あ、ああ……そうだな(助かった……)」
 シフォリィとしては折角の温泉デートをこんなことで台無しにしてしまうのも勿体ないと言うところだろう。
 しかし、そんな二人にいよいよ寛治の仕掛けた罠が迫ろうとしていた。
 物陰に潜んでいた変装を止めた鈴鹿が突然現れギフトを発動! 憐れ、二人のぱんつは一瞬にして鈴鹿の手の中へ!!
「ひぇぁ!?」
「こんな所で会うとは奇遇なの、お二人さん。お二人のぱんつはもらったの!」
「ちょ、おまっ、何を言って!? っていうか返せ!!」
「返さないの!!」
 と言ってダッシュで宿の中へ。二人も当然鈴鹿を追っていく。
 鈴鹿の逃げる先、それはそう寛治の用意した部屋だ。
 鈴鹿に対し機動力で勝る二人だ。部屋の前まで来たところで鈴鹿を追い詰める。
「さて、説明してもらおうか……?」
「くっ! ここまでなの!
 仕方ないから二人のぱんつとこの薄い本(もっとシフォシフォにシフォリィ)をこの部屋にボッシュートなの!」
 そう言って部屋の中にぱんつと薄い本が投げ込まれる。そして鈴鹿が脱兎の如く逃げ出した。
「くそっ待て……!」
「そ、それよりも、早く回収しないと――」
 そう言って部屋に入った瞬間。
 バンッ! ガチャンッ!! とギャグみたいな音を立てて部屋の扉が閉まりロックされた。
「は?」
 ぱんつを手に二人が入口の扉を見る。
 そこには――『相手のことをどれだけ好きか、具体的に言葉にしないと出られない部屋』と書かれた紙が貼ってあるのだった。


 二人が部屋に入る前。
 部屋の準備に精を出す寛治とLove。
「マイクやカメラの準備は良さそうですね。布団も並べて敷いてありますし準備は万端というところでしょう。そちらはどうですか?」
『バッチリなの。このラブフラワーで、思わず愛を叫んでしまうに違いないの』
 Loveの用意したラブフラワーはまさに惚れ薬とも呼べるものだが、きっとその香りを嗅げば素直に愛を叫びやすくなるに違いないとLoveは考えていた。
 そうして準備ができた後、寛治はモニター部屋へと戻り、Loveは温泉に浸かって二人が近づいてくるのを待つのだった。

 そして、今。部屋に閉じ込められた二人をモニター部屋で六人が観察していた。
「炬燵でお酒を飲みながら、バラエティ番組を皆で鑑賞する。これぞ正月って感じですね」
「マネージャー、グラスが空いていますよ」
「おっと、すみませんね」
 炬燵に入りにながら、リースリットが寛治に酌をする。
「よいしょっと、扉のロックは完璧だよマネージャー。それで、今はどんな感じかな?」
「まだ動きがないの。じれったいの」
 死聖に返事する鈴鹿はにやにやしながらモニターを見る。
『どんな風に愛の告白をするのか楽しみなの。
 Loveの愛とは違う形だと思うの。
 しっかりと見させて聞かせてもらうの』
「互いにどう切り出そうか迷っている感じね。ふふ、微笑ましいわ」
 アルテミアも、モニターを眺めながら微笑む。それは見守ってきた者だからこそできる表情だろうか。
「しかし本当に驚きました。
 シャイネンナハトの前の辺りのお二人の様子をお見掛けしたときには、何が何やら……どうなってしまうのか気が気ではなくて心配だったのですけど。
 ……アルテミアさんが色々していらしたのが、功を奏したみたいですね。収まる所に収まったようでよかったと申しますか」
「私は少し後押ししただけだけどね。……あ、見て動き出すわよ」
 アルテミアの言葉に反応して六人はモニターを凝視する。
 閉じ込められた部屋で、動いたのはシフォリィだった。
 Loveの設置したラブフラワーの匂いに誘導されたのだろうか。熱っぽくクロバに肩を寄せ、身体を預けそして手を重ねる。そしてクロバの新月石のペンダントに指を寄せ呟くように語り出した。
「私が一度諦めたのは、貴方と同じ、月になれないからでした。私はこの空に浮かぶ無数の小さな星の中の一つだから、貴方と一緒になれないと」
「……月か。
 ”俺は見上げるだけで手を伸ばしても届かない、新月と同じく何もないような男だったんだ”」
 返すクロバも自分の思いを月に例える。
「でも、貴方という月が私を選んでくれた。それがとても、嬉しかった。今の私は月の傍で、輝く唯一つの星だから。貴方を愛するこの場所を、誰にももう譲るつもりはありませんから」
 微笑むシフォリィに、クロバも微笑み返す。
「今でもあの輝きに目指してはいるんだ。昔月に恋でもしてるのかと言われた程、あの夜空の綺麗な光が好きだったからな。
 でも、小恥ずかしい言い方をするなら今は君が傍にいる。
 君という光が照らしてくれるから、俺はもう迷う事はないんだろうって思う」
 迷い路の中を彷徨ったあの時をクロバは思い出す。
 そして彷徨い続けようやく辿り着いた答えは、重ねた手の中にある。
「紆余曲折はあったけど掴んだこの手は絶対に離さない。
 ”あの夜”に告げた通り、俺は俺の意志で君の全てを攫って行くと、”約束”したから」
「はい」
 そんな二人のやりとりを見ていた六人は、思わず甘酸っぱい気持ちになってドキドキしたりもしながらも、皆穏やかに微笑ましく二人を眺めうんうんと頷く。
「扉のロックは……もういいでしょう」
「そうだね。二人の気持ちはよくわかったから」
 スイッチを押せば扉のロックが外れる。しかし、扉が開いても二人は部屋を出ることはなく、そのまま顔を寄せ合って口づけをした。
「……さて、私は温泉でも入ってこようかな」
「鈴鹿もいくのだ」
「では、我々は邪魔にならないように、夜の温泉街に繰り出すとしますか! どうです、混浴の露天風呂でも、皆さんで」
「混浴はちょっと……」
 なんて会話をしながら五人はモニター部屋を後にする。
 最後に残ったLoveは同じように部屋を出ようとしつつ、最後にモニターを見て。
『素敵な愛の告白だったの。愛し合ってるのは微笑ましくてとっても羨ましいの』
 とにっこり笑顔を浮かべるのだった。

成否

成功

MVP

Melting・Emma・Love(p3p006309)
溶融する普遍的な愛

状態異常

なし

あとがき

 依頼お疲れ様でした。

 MVPはLoveさんに送ります。ラブフラワーすごいですね。

 リクエストありがとうございました。またのご依頼をお待ちしています。

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