PandoraPartyProject

シナリオ詳細

Mondschein

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 星が瞬く。
 月が昇る。
 天の動きには全て、意味があるのだという。


「……もう少しで時間か」
 天を仰ぐウィリアム・M・アステリズム (p3p001243)に頷くリコシェット (p3p007871)。彼女が馬車と並走させるMST101 ファブニールは砂上にあっても安定した走りを見せる。メイ=ルゥ (p3p007582)は馬車からひょこりと顔を出すと瞳を輝かせた。
「夜にしか入れない遺跡、楽しみなのですよ!」
 どんな場所なのだろうと都会──彼女に言わせれば山の下は全て都会だ──の風景に心躍らせるメイ。その傍らでErstine・Winstein (p3p007325)はローレットで受け取った羊皮紙を取り出した。


 ラサの依頼かい、と『黒猫の』ショウ(p3n000005)がErstineへ問う。彼女は1つ目を瞬かせると頷いた。
『よく分かったわね』
『あそこで情報収集していると君の名前を聞くからさ』
 ラサを拠点として依頼を受けているのだから、それはごく自然なことだろう。活動すれば、活躍すれば必然と誰かの口にのぼるのだ。
『ラサなら……これはどうだい? 夜にしか入ることのできない遺跡の調査依頼だ』
 差し出された羊皮紙を一瞥し、頷いたErstine。ラサに関する依頼であるのなら受けない理由もない。
 かくして、彼女はこの依頼を受けることになったのだ──。


 どんなものが収められているのでしょうか、と思案気なシュラ・シルバー (p3p007302)に「確か空にまつわる遺跡だったよな」とウィリアムが返す。Erstineは彼の言葉に頷くと羊皮紙へ視線を落とした。
「夜や星、月を祀っていたと考えられているみたいよ」
「遺跡に入ることのできる時間が限られているのもそのせいかね」
 やれやれと肩を竦める回言 世界 (p3p007315)。自由に出入りできれば良いのに──そう思えども遺跡を壊して進むわけにはいかない。なんて言ったって『調査依頼』なのだから。
 馬車が砂上を進む音、バイクが並走する音に加えてカタラァナ=コン=モスカ (p3p004390)の歌声が夜のラサに響く。
「もうすぐ、月が真上ね」
 ポシェティケト・フルートゥフル (p3p001802)が馬車の窓から月を見上げる。もうすっかり夜も更け、人々は明かりを無駄にしないようにととっくに就寝している時間だろう。
 不意に彼女の元から金色の光が飛び立つ。より正確に言うならば、それは月の欠片を思わせるような金色の砂。振りまくいたずら妖精クララシュシュルカはふわりふわりとイレギュラーズたちの間を跳ねるように移動して、最後に窓辺へ降り立った。
 つられるように視線をそちらへ向ければ──さあ、もう見えてくるだろう。淡く光る遺跡の入り口だ。

GMコメント

●成功条件
 遺跡の調査を進め、無事脱出する事

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 すでに調査が入っているため判明していることもありますが、まだ完全ではありません。

●遺跡
 夜にのみ入ることができる遺跡です。日中は扉が固く閉ざされます。朝になると出入り不可となるためお気を付けください。
 遺跡の構造上、どこにいても月明りが遺跡内へ差し込むようになっています。進む分には問題ありませんが、光源は部分的なため明かりがあると安心でしょう。ランタンはローレットより貸与可能とします。
 扉を入ると1本道。ずっと進むと再び扉があります。その扉を開くと2つの道に分岐しており、どちらも行き止まりであることまで判明しています。壁には空にまつわる伝承などが描かれているようです。
 練達製の調査機により、更に下へ空間が広がっていること、いくつかの影が動いていることも分かっています。
 現在判明している場所は安全圏ですが、それ以降は未知の空間。帰還のためのリソースにも気を付けつつ調査を行ってください。

●特殊アイテム
『日が昇るまで』
 見た目はバベルにかけて『腕時計』です。ただし腕時計ほど精巧ではありません。文字盤に当たる部分には石がはめ込まれており、月の光を吸収して淡く発光します。(光源になるほど強くはありません)
 この光は朝に近づくほど弱くなります。完全に光が消えたとき、朝日が昇ります。
 1人1つ貸与されますので、脱出の際の目安にしてください。

●ご挨拶
 リクエストありがとうございます! ご用命頂きました、愁です。
 宝探し寄りの遺跡調査依頼とさせて頂きました。大事なのは『未知なる場所へ向かうためのアイディア』『その先に待ち受ける危険への対処』『時間配分』です。上手くいけば何か見つかるかもしれません。皆様で色々な方法を模索してみて下さいね。
 それではプレイングをお待ちしております。どうぞよろしくお願い致します。

  • Mondschein完了
  • GM名
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年01月28日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
星に願いを
ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)
謡うナーサリーライム
カタラァナ=コン=モスカ(p3p004390)
海淵の呼び声
シュラ・シルバー(p3p007302)
魔眼破り
回言 世界(p3p007315)
貧乏籤
Erstine・Winstein(p3p007325)
Ultima vampire
メイ=ルゥ(p3p007582)
都会怪獣メイゴン
リコシェット(p3p007871)
跳兎

リプレイ


「……これで全員分だな」
 『希望の聖星』ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)が手を開くと、仄かに光る小石が現れる。ほぼ同時に馬車が止まり、到着の声が御者台から上がった。
 バイクを並走させていた『跳兎』リコシェット(p3p007871)も馬車に続いてバイクを止める。目の前には夜にのみ開かれる扉が立ちはだかっていた。
(夜にだけ開くって、不思議な場所だ)
 リコシェット、と名を呼ばれて振り返ると、ウィリアムが手を出している。言わんとすることを察して掌を出すと小石がころり、と落とされた。
「……なんというか変わった仕掛けだよな」
 馬車を降りた『凡才の付与術師』回言 世界(p3p007315)が淡く光る扉を興味深げに見つめる。
 長らくこの遺跡は調査されていたのだという。見るからに古代の建物で、しかし何をどうしても開かない。遺跡の中へと進むのにはひどく時間を要したそうだ。
(まあ、まさか夜しか開かないなんて思わないよな)
 砂漠の夜は冷える。学者を含む調査団全員が暖を取るために別所へ避難していたのだそうだ。
「どうして夜にしか入れないなんてめんどくさい作りにしたんだろうね?」
 歌を紡ぐための美しい声が疑問を呈する。『海淵の呼び声』カタラァナ=コン=モスカ(p3p004390)は空を見上げ、それから扉を見つめた。
「それも含めて、この遺跡はどういう意図で建てられたのかとか解明できればいいんだが……」
「ええ、是非とも謎を解き明かしましょ」
 一筋縄ではいくまい、と言葉を濁す世界の傍らで『氷結』Erstine・Winstein(p3p007325)が気合の入った声を上げる。
 夜、星、月。それらは吸血鬼である彼女にとって、切っても切り離せないものだ。知ることのできるチャンスを逃すものかとErstineは1歩踏み出す。
「宝探しって、ワクワクするよな」
「ああ。星に関する何かも見つかると嬉しいんだけど」
 行こう行こう、と続くリコシェットにウィリアムが頷いて、さらに他のイレギュラーズも進む。
「遺跡調査ですか……謎解きとかは私バカだから苦手なんですけど……」
 でも来たからには行くしかない、と最後に皆を追いかけるは『魔眼破り』シュラ・シルバー(p3p007302)。

 遺跡はイレギュラーズ8人を飲み込んで──夜の静寂を守るかのように、そっとその扉を閉じた。




 ほしの またたき かぞえてゆこう
 とぅいんくる とぅいんくる りとるすたー

 カタラァナの歌声が響き、反響する。くるりくるりと回ってステップを踏んで、彼女は響く音に耳を澄ませた。
 大丈夫、罠も仕掛けもないみたい。
 引き続き歌うカタラァナは視線を壁へ。そこには明かりに照らされた壁画が続いている。その脇を飛んで先に行った精霊は世界が呼び出し使役するモノ。
 偵察にと飛んで行った精霊は、しかしそこまでの時間もかけずに世界の元へ戻ってくる。扉が抜けられなかったようだ。
 少なくともこの廊下に危険はなさそうだが──。
「メイは知っているのですよ! 壁から槍や矢が飛んで来たり、下り坂だと後ろから岩が転がってくるのですよ!」
 警戒しなければと左右をきょろきょろとする『シティーガール!』メイ=ルゥ(p3p007582)。けれど仲間たちの反応に目を瞬かせる。
「違うのですか? ……はっ、都会は常に変わっていくのですね!」
 伝え聞いた情報は既に過去のものだったのかと納得したメイ。その後ろでは世界が簡易な地図を書き、Erstineは両側の壁画を観察する。月明かりが差し込み、またウィリアムより手渡された小石が手元をぼんやりと明るくしていた。
 何か自分も、とメイが取り出したのは菓子折り。 中には隠れた名店による甘味が丁寧に彩られている。
「あはは、なんか遠足みたいだね」
 歌いながらたのしい、と笑うカタラァナ。なのです! とメイもちょっぴり笑って、お菓子をかじる。お菓子のカケラは敢えて地面へ落として、帰りの道標に。
「どんなひと達がどんなお願いをもって作った場所、だったのかしら」
 『謡うナーサリーライム』ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)はさらりとした壁を撫でる。そこには星へ祈る人々の絵が描かれていた。
 古代の民がこの壁を作るのに、この遺跡を作るのにどれだけの時間を要したことだろう。けれどそれだけ時間をかけても作りたかったモノで、叶えたかった願いがあるに違いない。
(あの星……あの星座は、知っているわ)
 ふと月明かりに照らされた壁を見て、ポシェティケトは目を瞬かせた。この遺跡のことを聞いて、星座の本を読んでおいたのだ。
 確か、あの星座が示すのは豊穣の女神。それへ祈る人々は、豊作への願いを込めたのか──それとも、飢饉の危険を回避すべく願ったのか。
「うーん、何も起きないですね」
 その星座へ光を当てたシュラは首を傾げる。つけていたランタンの火を消し、月明かりのみを手鏡で反射させていたのだ。
 調べながらも進んでいると、目の前へ扉が現れる。石で作られた扉は、押すと重たい音を立てて先の道を示した。
「ここから分かれ道だな」
 ウィリアムが暗視で道の先を見ながら、ファミリアーをリコシェットへと預ける。リコシェットも同様にファミリアーを預ければ準備は万端だ。
 イレギュラーズたちは予め決められていた2つのグループに分かれ、世界が迷子防止にと壁へチョークで印を書く。そして時間を確認し、メモリア・クリスタルでこれまで来た道を記録すると、仲間たちへ合流した。
「お待たせ。進もうか」

 壁には前の廊下と変わらず、似たような壁画が続いていた。対して進む間も無く一同は行き止まりに辿り着く。不自然なほどに短い廊下──だが、目の前には壁画ばかりで進む場所など見つからない。世界が再び壁画を記録する。
「色の変わっている壁とか、床とか……」
 そういった場所を押したり踏んだりすれば、と考えていたメイはランタンをかざし、ぺたぺたと壁を触ってみる。
「ここは月の要素が強いんだな」
 ウィリアムが見上げた壁画には月が、そしてやはり祈る人々が描かれている。星は月の光に霞んでいるとでも言うのか、描かれている様子はなかった。
(この先には……星の墜ちる様もあるだろうか?)
 流星雨は美しい。けれども大地を貫く落星は厄災だ。過去にそういったことがあれば、後世へ伝えていくために残されているかもしれない。
 Erstineが鏡を取り出し、月明かりを反射させて月へと当てる。そこには不思議な塗料で何かが描かれているようだった。
「メモしておこう」
 世界がそれをメモする間にErstineは辺りを見渡す。薄暗くはあるが、差し込む光とランタンの明かりで言うほどではない。
(隠し扉の類はなさそう……なら、この壁画がカギかしら)
 物理的な衝撃を与えるか、逆に神秘の力をぶつけてみるか。敢えてどちらも、という手もある。
「もしかしたら、別の道の壁に書いてあるお話と組み合わせられるのかもしれません」
 たたっ、とメイは月明かりの差し込む方へ駆け寄る。明かりが差し込むと言うことは、外に繋がっていると言うことだ。向こうも同様なら外を介して声を届けられるかもしれない。こちらに変な曲がりくねった道などはなかったから、対になる構造ならこの隙間の先にいるはずである。
「聞こえますかー!」
 叫ぶメイ。ややあって返事が聞こえたメイはパッと表情を輝かせた。
「やっぱり聞こえてるのですよ! そちらはどうですかー!」


 いーにー みーにー まいにー もー♪

 カタラァナの歌声に、突如別の声が混じる。
 ──聞こえますかー!
 それがメイの声だと、月明かりの差す小窓からだと気づいたリコシェットが駆け寄る。更に聞こえた声は状況を問うもので。
「向こう側があるってことはわかったー!」
 もう一方へ返す間にも、カタラァナが壁へ近づくと軽く叩いて音を確かめた。
「やっぱり、ここだよ。向こうに繋がってるみたい」
「この壁? でも、」
 開かないわね、とポシェティケトが顔を上げる。そこには大きな月の壁画がある。
 そこへ不意に香る──だしの香り。
「あら?」
「なんだか、良い匂い」
「……えっ、おでん?」
 三者三様の反応を示す中、まさにおでんを出したシュラはキョトンと目を瞬かせた。
「え? あ、これですか? 来る途中でたまたま売っていたんですよ。身体温まるかなぁと思って」
 食べます? と問うシュラ。いやそんなことしている場合じゃ、なんて思いつつも腹の虫は正直である。
 だって夜だし。寒いし。良い匂いが、ね?
 有り難く頂き、腹ごしらえしつつ調査を続ける4名。リコシェットの持っていたフランスパンも食べて腹は十分満たされた。
「いかにも光を集めてそうな絵で、怪しいんだけどな」
 光を反射させて当てても何も起こらなかった。首を捻るリコシェットは、ふと思いついて目を閉じる。
(もしかしたら……)
 視るのは視界を共有させたファミリアーのそれ。ウィリアムへと預けたそれが向こう側の行き止まりを映す。
 そこには色々な場所を調べるイレギュラーズと、こちら側と同じような壁画があった。
 さっと月明かりの下へと駆け寄ったリコシェットはもう一方へ向かった仲間たちへと声を上げる。
「なあ、同時に光を当ててみないか!」
「こちらもその方法を思いついたところよ! タイミングはファミリアーで合わせましょう!」
 Erstineの声だ。リコシェットはわかったと返して振り返る。そこでは声を聞いていた仲間たちが彼女の方を見つめていた。
「同時に当てたら、開くといいな」
 カタラァナが興味津々に観察する中、リコシェットがファミリアーと視界を共有させながら合図をする。シュラがそれに合わせて鏡から光を当てると──。

 ──ゴゴ、ゴ……

「2つの光を当てないと、開かないしかけ。どうしてこんなしかけにしたのかしら」
 開いていく壁を不思議そうに見るポシェティケト。その先、暗闇に目を凝らしたリコシェットは何もないことを確認した。
「罠も仕掛けもないみたい。合流する?」
 カタラァナが問うて、皆が腕時計を確認する。折り返すことも考えれば──時間はそうなさそうだった。
 もう一方の仲間たちからもこのまま進もうと反応が返ってくる。一同は──二手に分かれてではあるが──注意深く、未知の場所へ足を踏み出した。



 二手に分かれ、4人パーティ。気が抜けないと思っていた矢先のことである。

「「あれ」」

 不意に出た声は2人分。曲がり角で鉢合わせたシュラとウィリアムは目を瞬かせ、互いの後方を見た。
「あら、繋がっていたの。こちらから向かっても、あちらから向かっても、結果は同じね」
 ふんわりとポシェティケトが呟く傍らで、カタラァナは「あっちは何があるのかな?」と互いの来なかった道──進路を覗く。
「階段なのです!」
「降りて行っても、月明かりは差し込むのね」
 メイの言葉に頷くErstine。所々薄暗いが、暗視持ちが何名かいるおかげでそこまで困りはしないだろう。
「遺跡ってワクワクするけど、冒険譚だと罠があるのも定番だしな。天井が落ちてくるとか、落とし穴とか!」
 そんな罠でさえも楽しみだと言わんばかりにリコシェットは目を輝かせる。けれど罠を踏んで一網打尽、なんて状況はごめんであったので。

 つないで みちびく せいしんは
 しゃいにんぐ しまりんぐ すぷれんでぃっど♪

 エコーロケーションで階段を調べたカタラァナは「あれ?」と首を傾げた。
「この階段の右側、空間があるみたい。落とし穴はなさそうだよ」
 あと、とカタラァナが視線を上に向ける。皆がそれにつられるが、輪郭が見えたのはウィリアムとリコシェット、Erstine。ゴーグルをつけるポシェティケトも何となく、だろうか。
「上に何か、あるみたい」
「あれ、なんだろ」
「やっぱり罠があるのですか?」
 リコシェットが首を捻り、メイが目を瞬かせる。思い出すのは以前読んだ冒険譚。あからさまに暗い場所や、坂道では背後に気をつけなければいけないのだ。
「坂道……」
「なんだか、降ってきそうよね、アレ」
 ウィリアムの呟きにタイミングよく、ポシェティケトの言葉が繋がる。
 坂道ならぬ下り階段を落ちてくるナニカ。
「慎重に進みましょう。ここは、よそのかたの聖域だもの」
 ポシェティケトの言葉に頷いた一同は、罠に気をつけながらゆっくり階段を降りていった。

「開かないな」
 ウィリアムが扉に手をかけ、けれど不思議そう首を傾げる。試しに月の光を反射させてみるが、特に変化はない。そこへねえ、と声をかけたのはポシェティケトだ。
「いい感じの石を拾っておいたの。ほら、そこにはめられそう」
 扉の下、小さなくぼみ。彼女が持ってきた石はおあつらえ向きだ。はめ込むと小さくカチリ、と音が鳴った。
「開いたみたいだ」
 リコシェットが扉を押すと、今度はいとも簡単に開く。同時に明かりが灯り──そこにはうぞうぞと動くスライム状の何かがいた。
 戦闘体勢を取る一同の中、ぴょこんと金色妖精クララシュシュルカがポシェティケトの懐から飛び出す。意思疎通を図ろうと飛び出した妖精だが、スライムの飲み込もうとするような動きにぴゅっと戻ってきた。
「危ないのですっ」
 追いかけようとしたスライムにメイが俊敏な動きでソニックエッジを叩き込む。次いで世界が挑発し、スライムの注意を引きつけた。
 その脇を走っていくのは自律自走式爆弾。リコシェットの合図に合わせ、スライムの真ん中でドカンと一発。
「軽く……でも油断せずに片付けましょ!」
 ここで全力を出しきるわけにはいかないが、負けられない。Erstineの氷刃がスライムを薙いだ。
 そこへ響くはカタラァナの歌声。それを理解してはいけない。理解しようとしてはならない。スライムのどこに聴覚があるのかわからないが、彼女の歌は確かに届いているようだった。
 苦しむように悶えるスライムの1体に射出された星の剣が刺さる。ぐにゃり、と力無くした敵へ近づいたウィリアムはその半液体を少しだけ、サンプルとして採取した。
「避けられないのね。……クララ、お願い」
 小さく目を伏せたポシェティケト。金色妖精は勇敢なる牙となり、スライムへ向かっていく。その直後、炎のような赤の軌跡がスライムへ突撃していった。
 巨大な剣をもつ少女、シュラ。彼女の乱撃で近くにいたスライムたちが切り刻まれる。
 倒して、倒して。けれどスライムは奥から湧いてくるらしい。世界が回復に重きを置きながら戦う中、ウィリアムも時に回復役としてサポートする。
「──皆、そろそろ時間だ」
 ハイ・ヒールを放ったウィリアムは腕時計を確認しら仲間の背中へ告げる。同時に世界も自分が持ってきた時計の針を確認して頷いた。
 1人、また1人。手厚く回復をかけながら最後に世界が階段へ向かう。
 途中までのぼって振り返った世界はおや、と小さくこぼした。
「追ってはこないのか」
 あの部屋に踏み入らなければ、スライムたちと戦闘にはならないらしい。再度時計を確認した世界は、少し早足で階段を上がりきった。



 イレギュラーズたちが出てくると、外で待っていたシュラのパカダクラが寄ってくる。その鼻先を撫でたシュラはパタンと聞こえた音に振り返った。
「扉が……」
「タイムリミット、ってところだろうな」
 光の消えた腕時計を見てウィリアムが肩を竦める。時計の針を確認した世界は横からの光に目を細めた。
 時間ちょうど──曙を越えて、朝がやってきた。
「開かないのですよ!」
「本当ね。祈りのかけらに触れるのは、また夜に、かしら」
 押したり引いたり、果てには横へ引いてみたりとメイが奮闘するものの扉はビクともしない。ポシェティケトはその様子にぱちりと目を瞬かせた。
「夜が明ける前に出られて良かったね。もし夜が明けてしまったら、次に出られるようになるまで入り口近くで夜営……日営? しないといけなかったもの」
 こんこん、と扉を軽く叩きながらカタラァナが呟く。半日余り、しかも先ほどのようなモンスターがいることも考えると、閉じ込められるのは心身ともに負担が大きかっただろう。
 微かに響いた音に気づいたのは誰からだったか。振り向くと、ここまで送り届けた馬車の戻ってくる姿が見えた。再調査をするにしても、1度仕切り直しだ。
 イレギュラーズたちは到着した馬車へ乗り込んでいく。最後に乗り込もうとしたErstineは、ふいに遺跡の方を振り返った。
「……夜の遺跡。調査にはまだまだ時間が要するわね……」

 そこでは中での騒動などなかったかのように──朝の光を浴びた遺跡の扉が、堅く入り口を閉ざしているのみだった。

成否

成功

MVP

Erstine・Winstein(p3p007325)
Ultima vampire

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした、イレギュラーズ!
 無事に先の道を発見し、途中まで調べることができました。お楽しみ頂けましたら幸いです。

 余談ですが『Mondschein』はドイツ語で月光。月を尊ぶ遺跡であることは何名か分かってらっしゃったかもしれませんね。

 この度はリクエスト、ありがとうございました。
 またのご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

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