シナリオ詳細
<青海のバッカニア>あの白波へ向けて飛べ
オープニング
●みなさん、お元気ですか
海洋には、夢があった。
其れは時に人々の心に昏く影を落とし、時に人々を導く光明となり、人々は、海洋という国は常に“其れ”を忘れられずに生きていた。
そして今、期は満ちた。
――海洋の王国大号令。
かの絶望の青を捻じ伏せ、海洋の紋を其処に刻めと女王が、中枢が、国力増強に乗り出したのだ。人々は歓喜した。或いはこれから始まる海洋の進歩に震えた。夢を叶えよと女王は言ったのだ。あの絶望の青に何があるのか。其の先に何があるのか。明らかにせよと命じられて、心が震えぬものはいない。
今こそあの水平線の果てへ!
今こそあの水平線の向こうへ!
冒険だ! 冒険が、俺たちを待っている!
――。
「はー! 今日も良い航海日和だなぁ!」
「んだんだ! 船もなんだか張り切ってる気がするべ!」
「そりゃあなぁ! なんせ大号令が出たんだ、船も人も張り切るべさ!」
所変わって、海洋付近の海上。一隻の船がゆうらりゆらり、穏やかな波に揺られていた。褐色眩しいマッチョな男が、爽やかに汗を拭う。
「せんせぇたちは元気かなぁ……おら達はこんなに強くなったって、知らせてやりてぇなぁ!」
「あぁ! 絶望の青にも恐れない、強い男になっただよ! って、言いてえなぁ!」
何故かない眼鏡をクイッとするポーズをしながら別のマッチョが言う。
「なら、言ったらいいんでねか?」
「ん?」
「大号令も出てることだぁ。おら達の“模擬戦”に乗ってくれるローレットのせんせぇ方なんて、わんさかいるんでねか?」
「……」
「「「それだぁ!!」」」
「早速手紙を書くだよ!」
「まてまて、まずは港に向けて前進だぁ! 戦いの準備をするべ!」
「おう! おら達が強くなったんだ、ローレットの先輩方はきっともっとつえぇんだろうなあ!」
「昔は怖かったけんども、今はワクワクが止まらねぇ! 鉄帝で色々見てきた甲斐があっただよ!」
●僕らは元気です
「グレモリーに呼ばれたのに私? って、レモンイエロウのハテナが浮かんだ顔をしてるわね」
書いてあるわよ。と、『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)はイレギュラーズを見渡して面白そうに笑う。そうね、不思議に思うわよね。でも、これから話を聞けば納得するはずよ。何せこれは、「私の案件だったもの」だから。
「以前、海洋の若者たちから鍛錬のお願いが来たのは覚えてる? 彼らは其の後言葉通り鉄帝へ行ったのだけど――今回の大号令を受けて、海洋に戻ってきたらしいの」
しなやかな指先に一枚の紙。其れをひらり、と机に乗せたプルー。
“おれ達は強くなりました。もっと強くなってぜつぼうの青をせいふくしたい!
なので、ローレットのせんせい方! おれ達は、海の上で待ってるぞ!”
「――まあ、つまり、こういう事なの。ローレットに直々に実践訓練を頼んできたのよ。まだ自分たちは海洋の戦力になるか判らない、実戦で腕を試したい……そんな感じね」
可愛いわよね。ベイビーピンクだわ。
肩を竦めてプルーが笑う。待ち合わせは――なんと、海の上。船同士の戦いから始めたいという相手の要望らしい。
「でも、そうね。慣れない洋上戦闘には丁度いい相手なんじゃない? 以前のように海に魔種が現れる事も、これからあるでしょう。其の時に船の上で戦えるかどうかは重要な要素だわ。別に彼らを知らなくても、十分旨味はあると思うけど」
じゃ、行きたい人は海洋のこの船屋に行ってみてね。
プルーは出していた海洋地図にマルをつけると、いつものように艶然と微笑した。
- <青海のバッカニア>あの白波へ向けて飛べ完了
- GM名奇古譚
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年12月19日 22時05分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 10 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(10人)
リプレイ
●
「フッフッフ……久しぶりじゃのうセバスチャン、そして海洋の戦士どもよ」
『NOUKIN先生』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)は船上にて腕を組み、遠くに一隻の船を見据える。
「再び妾達に教えを乞おうとは良い心掛けなのじゃ。本日もビシビシ! スパルタでいくのじゃー!」
ふははは、と笑い声がビッグドリーム号――小型の旅船に響く。なんか壊したら怒られそうな客船である。今回、イレギュラーズが出した船は3つ。貸し出された小型船、デイジーの“ビッグドリーム号”、そして『幸運と勇気』プラック・クラケーン(p3p006804)の“悪魔の呼び声号”である。
「前回の依頼は話にゃ聞きました! 役に立ちたいって気持ちはよぉぉく判ります! 胸が熱くなります……けど! 俺は容赦なく海戦を仕掛けるつもりなんで、そこンとこ夜露死苦!」
「奴さんらみたいな気のいい奴らには実戦に出ても生き残って欲しいからなァ。――嫌らしい奴、模擬戦で経験しといた方が良いだろ」
『蒼の楔』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)は荒波をゆく悪魔の呼び声号の甲板に立ち、巧くバランスを取りながらにやりと笑った。
「ん~~~、船の操縦は緊張するっきゅね! カイトさん、こんな感じでいいっきゅ?」
「おう、良い感じだぜ。この辺りに誘い込めたら尚更良い。其の辺はレーさん、巧くやってくれ」
「き、きゅー!」
『二心?二体っきゅ』レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)が『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)に問う。といっても、実際に操船しているのはグリュックなのだが、其処はまあ、なんというか、アレだ。
カイトは風を読み、航海術を駆使し、近くに岩礁がある事を確認する。相手の船が引っかかれば御の字、引っかからなくてもある程度ルート制限が出来るだろうと読んだ。
天気は晴れ。荒れる見込みはなさそうな、航海日和である。万が一落水者が出た時の避難場所にも使えるか。
「うーん、また海です。海に関わりの多い私。まぁ別に嫌とかじゃないですし、寧ろ好きなんですけど……か弱いメイドですよ、私? 戦闘なんて、そんな、あはははは……」
「とか言いながら、その大きな剣は……」
「護身用ですっ!」
2m近い剣をぶん回すメイドのどこがか弱いんじゃ! 物攻ダントツやぞ! おっと失礼。
『満月の緋狐』ヴォルペ(p3p007135)は敢えて『魔眼破り』シュラ・シルバー(p3p007302)には其れ以上ツッコまず、まあ、と話を繋いだ。
「向上心があるのは良い事だよね。実力を測り損ねて戦場で散るよりずっと好感が持てる」
「そうね……実戦形式の訓練を自ら望むその気概は良いんじゃないかしら。私も武芸者の端くれ、腕試しは望むところよ」
「私も、出来る限りお手伝いしたいと思います。――どんな世界でも、海の果てというのは冒険心をくすぐるようですね」
ゼファー(p3p007625)が頷き、『流転騎士』アリーシャ=エルミナール(p3p006281) がほんのり笑う。
と、向こうの船がいよいよ近付き、手を振る人影が視認できるようになってきた。
「おおーうい! 先生がたぁー!!」
「あっ! あれは……NOUKIN先生! 先生ー! お久しぶりですだよー!!」
「NOUKIN……?」
『海抜ゼロメートル地帯』エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)が思わずデイジーを見た。どうも彼女がNOUKIN先生らしいが……?
「うむ! あれこそがセバスチャン、妾がNOUKINの極意を教え込んだのじゃ! スーツの着方も教えたが、今日は着ておらんようじゃな」
「良く判らん、いや全く判らんが、七三分けは判りやすいな」
「よくきてくだすった! おら達、あの後鉄帝に行って武器や戦闘の勉強しただよ!」
「んだんだ! 鉄帝は海洋に比べたら住みやすいとは言えね……けんども! 勉強する事は沢山あっただ! 海洋にはないものがあっただ!」
「んだんだ!」
「そう、おら達は鉄帝の弱肉強食という荒波を超え……」
「んだ!」
「荒波を超え!」
「んだんだ!」
「荒波を! 超え! 先生たちに追いついたかを確かめてぇんだ!」
「おねげぇすます!」
一斉に頭を下げる簡易鎧の男たち。
ずっと黙していたイレギュラーズだが、其の総意は変わりない。受けて立とうと笑顔を見せる彼らだったが、ふとゼファーが口を開いた。
「……口調は、直らなかったのね……」
――戦闘開始!!
●Fight!
「舵回せーー!!! 横付けされるなーー!」
「おう! 帆ぉ張れーー!」
鉄帝に行っていたとはいえ、流石海の男。其の操船技術は見事なものであった。息の合った操舵手と戦闘員。船に偏る体重まで――計算しているのではなく、“感じて”いるのだろう――しっかりとしている。
「はっは、操舵手は誰だ? 引き抜きたいモンだな」
エイヴァンが激しく揺れる船の上、どっしりと重心を下に構えながら笑う。海洋の軍人として思うところが幾つもあるのだろう。
「接船さえできればいいわ! 出来るだけ近付けて!」
「任せるのじゃー! ゆくぞセバスチャン! これがNOUKINというやつよ!」
「せんせぇ! おら達も成長したところ、見て下さいましですだー! てぇー!」
砲弾の音と聴き紛う、神秘の砲が放たれる。
一発、二発、受けてデイジーの船が揺れるが、其処は流石に豪華客船、其の程度ではかすり傷だ。
デイジーの船と男たちの船が互いにすれ違う。其の瞬間、ゼファーは影のように動いて船にひたりと貼り付き――其れを隠すように、カイトが上空から炎の竜巻を船に落とす。
「うわーー!?」
「帆がやられただ! 燃えちまう!」
「エンジンだ、こんな時のエンジン!」
「海の男なんだろ! 覚悟はできてるんだよなッ! 海洋の厳しさってやつを、“風読禽”のカイトがビシバシ教え込んでやろうじゃないか! よし、レーさん! 先導してくれ!」
「“風読禽”……! お、おらでも聞いた事がある!」
「怯むな! おら達は覚悟して依頼を出しただ! もっと強くなりてぇんだ!」
「そうだ……! おら達は、おら達だってやれるんだ!」
「むきゅー! この意気なのに下がるのはちょびっと良心が痛むっきゅが、下がるっきゅー! みんな、ついてくるっきゅ!」
レーゲンがカイトの指示を受け、船頭を回す。目指すは岩礁地帯……レーゲンが失敗すれば、他の2隻も巻き込まれかけない。聴覚に集中して波の音を聞きながら、レーゲンは舵を取る。
「相手が下がった! 追え! 追えー!」
「魔砲だ! 喰らえ!」
後ろから神秘攻撃が迫る。それらを請け負うのはヴォルペとエイヴァンだ。
岩礁地帯が近づく。あと数十m、十数m、数m……
「ここっきゅ!」
レーゲンが、グリュックが舵を一気に回した。船が軋む音を立てて急速回頭、他の2隻も其れに追随し――男たちの船は、其れに反応できないまま岩礁に突っ込んだ。
「しまっ……うおおおお!!」
「落とされるな! 掴まれー!!」
がりがりがり、と船底が乗り上げる音。男たちの船は勢いよく岩礁に接触し、操舵不能に陥る。
「今のうちっす! レイチェルさん、この船カラになるんであとヨロシク!」
「足場になりゃァそれで良い!」
プラックが仕掛ける。其れは海に出る者が恐れるもの。海に出ない者も恐れるもの。水が隆起し、集い集って、小波大波大津波!
「うわあああー!!?」
「耐えろー!! 耐えるだー!」
「今だな」
「そうだね」
ヴォルペとエイヴァン。2人の間に其れ以上の会話は要らない。波に乗って波に紛れて、一気呵成と男たちの船に殴り込む。
「さぁて、おにーさんが相手になるよ!」
其の言葉は、攻撃手を縛る鎖となる。
「其の守りがどの程度のものか――測らせてもらうぞ!」
白熊の一撃が、咄嗟にイレギュラーズ側に立った男を貫く。怒りと寒さが彼を貫いていくが――倒れる様子はない。成程、守りに長けた者。咄嗟の判断は見事か。
「戦いは常に正々堂々じゃァない」
ぶちり。レイチェルが膚を噛み裂いて、鮮血を落として陣を描く。
「兵は詭道なりってな」
炎が燃え盛り意図をもって、前衛を乗り越え後衛に襲い掛かった。うわあ、と響く悲鳴に振り返る守り手。
「後衛が狙われてるだ! おら達じゃねぇ!」
「前衛が常に狙われるとは限らないという事です」
肉薄していた。アリーシャだ。咄嗟に庇いに入ったガタイの良い男の足を狙い、其の体制を崩しにかかる。
「駄目だぁ……! 此処から先には、行かせねぇ……!」
「其の意気です。さあ、まだまだ行きますよ!」
「今回はレッスン2なのじゃ。より実践的な立ち回りを教えてやるのじゃ!」
ふよふよと壺に乗って浮遊するデイジー。ふう、と吐息を一つすれば、ほら。見えるでしょう、其の神の威容が。異様が! 其の神が存在してもしなくても、呪いは後衛に向けて降りかかる。
「う、うわあああ!?」
「やられてばっかりじゃこっちの面子がもたねぇ! 出るぞぉ!」
「おう!」
炎や呪いを一手に受けた男はふらりと船上で倒れてしまった。相手にはパンドラがないからね、仕方ない。攻撃手が前に出る。連続の斬撃が、ヴォルペとエイヴァンに襲い掛かった。
「お、攻撃力はいいねえ……ッ」
「なかなかの剣捌きだ。海洋とはちとやり方が違うな、鉄帝式か。だが……」
「う、わあああ!?」
もうこの悲鳴を聞くのも幾度目になるだろう。
守り手が振り返ると、何てことだろう。ゼファーが後衛の其の後ろから、後衛に攻防一体の一撃を放っていた。がら開きの後衛の男は鎧をぱりんと砕かれて、あっけなく吹っ飛ばされる。
「いつも敵が正面から来てくれるとは限らない、ってえ事だわ?」
「な、な、な……」
――ヴァチチチッ!
「今度はなんだぁ!?」
「発煙弾だ! 海ぃ投げ込め!」
「い、いつの間に!?」
次々と襲い来るイレギュラーズの搦め手。あちらこちらからの攻撃に、男たちは翻弄されるがままだ。
「――こちらを忘れられては困りますッ!」
シュラの大剣が唸りを上げた。狩人の乱撃は守り手も攻め手も関係なく前衛を食い荒らす。更にカイトが重ねて炎を武器に纏わせ、相手の隙をついて斬り付ける。
兎に角守らねば、と庇いに入った守り手も、これは堪えたようだ。膝をつき、荒く息を吐く。
「くそっ……すまねぇ……!」
「いま治療しますぞぉ!」
神秘担当の男――セバスチャンが治療のため術を施そうとした其の時。ずごん、と音がして、船が大きく傾いた。
「んおおおおお!?」
「……これ何?」
「プラックだ! 成程な、こりゃあ海戦じゃ怖い手だ」
セバスチャンは、浮いていた。
ふわり、と海に投げ出される感覚。幼い頃父に何度も船から海へ投げられて、慣れろと怒鳴られたのを思い出す。
海の男なら、海へ落ちるのを怖がっちゃならねえ。
海へ落ちても何とかなる。何とかするのが海の男だ。
――おっとう。おら、海の男になれたかなぁ。
――おっとうは鎧を嫌ってたけど、ああ、そういう事なんだな。
海面が遠い。簡易とはいえ鉄で作られた鎧は、セバスチャンから海を泳ぐ自由を奪っていた。不思議と怖くはなかった。だって自分は、海の男だから。
ああ、でも、おらのせいで負けるのは……負けるのは、嫌だな……
●Fight! Fight!
「……っす! しっかりするっす!」
「……んぇ……?」
波の音がする。セバスチャンは岩礁の中に突き出た岩の上で、プラックに頬を叩かれていた。
「お、おら、溺れたはずじゃ……」
「すんでのところで俺が助けたんっすよ! 落ちたのが俺の近くで良かったっすけど、予想以上に沈んでいくんで流石に焦ったっす」
「プラックさーん! 大丈夫ですかー!?」
「おう、シュラさん! こっちは大丈夫っすよ! そっちはどうなりましたか!?」
「片付きましたー! 船底が抜けて混乱してる隙にずばー! どーん! です! 皆さんが! 私じゃなくて皆さんがー!」
其の言葉に、セバスチャンは敗北を知る。
「おら達は、また負けてしまっただな……」
「馬鹿野郎!!」
「ひぃ!」
航行不能になった男たちの船を曳行して、一同は陸へ帰り付く。彼らを待っていたのは、鬼教官カイトとエイヴァンの怒声だった。
「仲間が海に落ちたくらいであわてて陣形を崩す奴がいるか! 仲間の分までフォローするのが筋ってもんだろう!」
「は、はいぃ……」
「だが、発煙手榴弾への対応は迅速で悪くなかった。――海上は目の前だけを見てればいいというものじゃない。天候、船の不調、増援に強襲――対応すべき事象は山ほどある」
実際、其の殆どをこの戦いでイレギュラーズはやってのけた。常人では対応に限界がある――とはいえ、其れ以上を彼らは男たちに望んでいるのだ。やってもらわなければ困る。
男たちはガタイの良い体を縮こませるばかり。
「自分に何が出来るかを常に考えろ。例えばさっき……セバスチャンだったか? が落ちたなら、何が出来た?」
「え、えっと、誰かが代わりに前衛のむっきーを癒すとか……」
「そうだな。誰かが空けた穴は、別の誰かが塞ぐ。基本だ」
「というか、むっきーって呼んでるのねぇ。そういえばみんなの名前を聞いてなかったわ」
ゼファーがのんびりという。後ろではシュラがまずは仲間に、と暖かいココアを振る舞っている。
「そうだな。ニックネームより本名が知りてぇ。……気のいいアンタらの事、もっと知りたいしな?」
レイチェルが僅かに首を傾げて笑う。男たちはそれを見て、視線で何事か話し合う。そして一番右の男がまず手を挙げた。
「お、おら、イッチっていうだよ」
そしてその次に別の男が手を上げる。
「おらはニーニ」
「おらはサンザ」
「おらは……」
見事にイチニイサンシな名前が並んでいくのを見て、レイチェルは笑いをこらえるのに必死であった。
叱りつけていたカイトとエイヴァンも顔を見合わせて、笑う。
「セバスチャン」
「せ、せんせぇ!」
ふよふよと壺にのって、デイジーがセバスチャンの前にやってくる。ほれ、と差し出されたココアを受け取り、恐々とセバスチャン…もとい、ゴローはデイジーを見上げた。
「NOUKINの精神で戦ったのは見事じゃった! じゃが、死んではならぬ! 死んだら誰がNOUKINを海洋に伝えるのじゃ? 妾からお主へ、お主からまた別のものへNOUKINとは受け継がれていくものなのじゃ!」
「せんせぇ……!」
「うむ! では罰として、頭で瓦割り100回じゃー!」
「えぇー!?」
体に見合わぬ小さな心。
心に見合わぬでっかい決意。
男たちはまた強くなる。――せんせぇもまた、強くなる。
今はまだ追いかける側だけれど、いつか、いつか、並んで戦えたら――
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
お疲れ様でした。
彼らの身体は戦闘に適応していても、心はまだまだ騙されやすく幼いようです。
いつか彼らと並んで戦う日が来るかも知れません。
其の時こそ今度こそ、彼らはイレギュラーズの力になるでしょう。
お疲れ様でした!
MVPは船の恐ろしさをよく知るプラックさんへ差し上げます!
また、うっかり扉を開けてしまったヴォルペさんに称号を付与しておりますのでご確認ください。
ご参加ありがとうございました!
GMコメント
こんにちは、海洋大好きGM奇古譚です。
拙作「おらたち鉄帝さいくだ」の彼らがパワーアップして戻ってきた!ぞ!
※前作に参加していなくても問題ありません。新たなせんせぇとして彼らをビシバシに鍛えてあげましょう!※
●目標
海の男とガチンコ勝負
●立地
どちらかといえば海洋寄りの海上です。
船は1隻貸し出されます(所持品があれば繋いで足場にしてもOKです)
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
●エネミー
守備力に自信があるヤツx3
剣での攻撃に自信があるヤツx4
神秘攻撃に自信があるヤツx3
かつて鉄帝での鍛錬を夢見て、ローレットに戦闘訓練を依頼してきた若者たちです。
訓練で己の長所を見つけ、鉄帝で修行していましたが、この度の大号令発動を受けて一も二もなく海洋へ戻り、船を出しました。
ニックネームはお好きに付けて頂いて構いません。
彼らは全員要部に鉄鎧を付けています。海の上なので軽装です。
船は平等を期すため、イレギュラーズと同じものを用います。
まずは船を操舵してのドッグファイトから始まります。神秘攻撃があれば攻撃しながら、相手の船に巧く横付けして乗り込んでみましょう。
●
アドリブが多くなる傾向にあります。
NGの方は明記して頂ければ、プレイング通りに描写致します。
では、いってらっしゃい。
●重要な備考
<青海のバッカニア>ではイレギュラーズ個人毎に特別な『海洋王国事業貢献値』をカウントします。
この貢献値は参加関連シナリオの結果、キャラクターの活躍等により変動し、高い数字を持つキャラクターは外洋進出時に役割を受ける場合がある、優先シナリオが設定される可能性がある等、特別な結果を受ける可能性があります。『海洋王国事業貢献値』の状況は特設ページで公開されます。
Tweet