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シナリオ詳細

<青海のバッカニア>大喝采のロープウェードラゴン

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●首から上がロープウェーのドラゴンだよ?
「いいかぁ!? ロープウェードラゴンだぞ! 気を引き締めてかかれよ! マジやっべーからな! あの、なんだ。超マジやっべーんだぞロープウェードラゴンは!」
 出亀炉 スイカ(p3n000098)は船から船に渡されたロープに捕まってぶらんぶらんしながら言った。
 両手と両足でしっかりロープにしがみついたまま海風にぶらんぶらんさせられながら言った。
「ロープウェードラゴンはな! みんなも知ってると思うけど首から上がロープウェーのドラゴンだ。どんなドラゴン? しるか! どらごんだよ!」
 片方の船がちょっと進みすぎてロープがギシギシいい始めるけどスイカちゃんは気合で耐えた。
「ぐおおおおおおおお!? ロープウェードラゴンはこの先のあの……あれだ! あそこ! あそこにロープはってずっと往復しるから! わかるだろ!? ジェスコの前!」
 もう一方の船がなんとかバランス取ろうと追いついたが近づきすぎてスイカちゃんは水没した。
「ごぼぼぼぼぼぼ! ごごぼ! ごぼぼぼぼぼはあ!? 大体ロープウェードラゴンはほぼ無敵だからな! 殴っても焼いても倒せねえやっべえアレなんだよ! けど安心しろよな、アタシが攻略法を見つけてきごぼぼぼぼぼぼぼぼぼ!!
 ロープウェーの中で急にお弁当食べたりカラオケしたり突然誰か転落したりするとロープウェー性を失ってロープウェードラゴンは死ぬんだぜ。やっべえカンタンじゃねーかこれならアタごぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ」

 スイカちゃんが水没してる間に背景を説明するね?
 いまネオフロンティア海洋王国は外洋遠征にむけた大号令が発令されていてこれって実に二十二年ぶりになるの。
 外洋に拠点を見つけられれば海洋王国は他国に対してめっちゃ有利になるだろうし資源も増えてハッピーだと思わない?
 だから軍や貴族だけじゃなくみんなこれに賭けてるところがあるんだ。
 なのでしばらくの間放置されてたロープウェードラゴンもそろそろ決着つけないとなってハナシになったみたい。
 けど聞いて。
 それだけじゃないの。

「ぼっはあ!? げっほごっほ!?
 あ、そうそう。こいつが近海の『ギルオスドラゴン』と『パパが格安キャンプキット買ってきて大はしゃぎしたけどキャンプに必要な道具何も持ってないのでこのままだと地獄の思い出になるドラゴン』と合体したら『アルティメットギルオスパパが格安キャンプキット買ってきて大はしゃぎしたけどキャンプに必要な道具何も持ってないのでこのままだと地獄の思い出になるロープウェードラゴン』になって醤油消えるから」
 いまなんかすごいこと言ったけどなに、なにが消えるって?
「だから醤ごぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ……ぼ!? おめえロープ切れてんじゃねえか! まって? アタシ泳げねえ! スイカ森の子だから泳げ――あっ、やってみたらできた! アタシ天才か!?」
 海をひたすら犬かきしていくスイカちゃん。
 イレギュラーズはそれを一旦スルーして、ロープウェードラゴンへの対策にあたるのであった。あったよ。

GMコメント

●重要な備考
<青海のバッカニア>ではイレギュラーズ個人毎に特別な『海洋王国事業貢献値』をカウントします。
 この貢献値は参加関連シナリオの結果、キャラクターの活躍等により変動し、高い数字を持つキャラクターは外洋進出時に役割を受ける場合がある、優先シナリオが設定される可能性がある等、特別な結果を受ける可能性があります。『海洋王国事業貢献値』の状況は特設ページで公開されます。

■ロープウェードラゴン
 海の上をずっとついーって往復しているドラゴンです。なにをもってしてドラゴンなのかは知らん。聞かれてもわからん。
 首から上がロープウェーになっていてひたすら海の上を往復しているようです。
 わざわざ『ようです』って言い方をしたのは、どこまでいくのか実際誰も知らないからです。
 途中で船からガッと乗ってしばらくロープウェーの中で過ごしてドラゴンを殺しましょう。

■ロープウェードラゴンの殺し方
 ロープウェードラゴンはロープウェードラゴンなのでロープウェードラゴンなりの弱点があります。
 ロープウェーの中に入ってお弁当食べ始めたり(ほんとは飲食禁止)、突如カラオケをはじめたり(騒音禁止)、酒を飲んで遊び始めたり(なんか色々だめ)、突如として誰かを転落させたり(運行禁止モン)するとロープウェードラゴンが謎の悲鳴をあげて死にます。
 ソレ以外の方法はなにを試しても死ななかったそうです。えっなに前にも出たのこいつ?

 あとこいつはどうやら仲間のドラゴンのもとに向かっているらしく、合流すると『アルティメットギルオスパパが格安キャンプキット買ってきて大はしゃぎしたけどキャンプに必要な道具何も持ってないのでこのままだと地獄の思い出になるロープウェードラゴン』になって醤油が消えるらしいです。いやしらないよそう言ったんだよ港のじっちゃんが。

 というわけで、乗り込んで騒ごう!
 パーティーだぜ!

■アドリブ(アニマルドラゴン)
 パーティーだぜ!?

  • <青海のバッカニア>大喝采のロープウェードラゴン完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年12月03日 22時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
武器商人(p3p001107)
闇之雲
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
メイメイ・ルー(p3p004460)
約束の力
新道 風牙(p3p005012)
よをつむぐもの
ヴォルペ(p3p007135)
満月の緋狐
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
糸巻 パティリア(p3p007389)
跳躍する星

リプレイ

●ロープウェーでやることかよ!!!!!!!!!!!!!
 やあみんな。ロープウェーに乗ったことはあるかい?
 たとえばロープウェーでなくても、電車やバスやフェリー、沢山のひとが一緒にのる交通機関では、ルールとはいわないまでもやっちゃいけないことって沢山あるよね。
 ロープウェードラゴンに乗り込んだみんなもマナーを守って正し――。
「くっさ!? なにそれ臭!?」
「ディスイズ鮒寿司」
「拙者あぶり焼きが食べたいでござる。海の幸かこの通り焼きたてでござるよ」
「なら七輪がいるねえ。あるよ」
「練炭あったけえ」
「換気ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「マシュマロあぶっていいか?」
「貝を焼いてもいい、ですね……」
「お酒ーーーーーーー!」
「酒盛(サカモリィ!)ですね!?」
「これ以上なにがあるの。出産?」
「うちのロリババアがぁ! たらいにお湯をわかしてぇ!」
「きもちわるくなってきた……」
「あっ」
「エチケット袋いる? モザイク板もあるよ?」
「鮒寿司食べますか?」
「換気ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
 やあみんな。
 今日は地獄に付き合ってもらう。

●これまでのあらすじ?
「ドラゴンなのにロープウェイ……ロープウェイなのにドラゴン……???
 よくわっかんねーけどこの人数でロープウェイってことは、つまり実質遠足じゃん!!!!
 おやつは300ゴールド以内でな!!!
 さあ、皆で乗りこめー!!!」
 ゴールド握りしめて走り出す永遠の小学生、『雲水不住』清水 洸汰(p3p000845)。
 海面をぴょんぴょんはねるぴょんぴょんたろー(トビンガルー)に引っ張られるみたくして海中をざぶざぶ進む彼は浮き足立っていた。
 リュックサックに詰めたおやつはマシュマロにブドウジュースにその他駄菓子である。
「いやはや、今年もアニマルドラゴンの季節がやってきたねぇ。
 早速アニマルの範疇から外していく姿勢は嫌いじゃないぜ」
 こっちも早速いつもの口調から外してきた『闇之雲』武器商人(p3p001107)。
 水棲馬にまたがってざぶざぶ海をゆく。
「え、キミも宴に出たいってマーマデューク?うンうン、乗れるならいいんじゃないかナ。
 折角だからみんなで楽しみたいよねぇカピブタもほら頷いてるし」
「ロープウェーイ!うぇーい!
 なんだか旅行みたいで楽しいわねぇ、ってことでお酒持ってきたわよぉー!
 これ、今年のヴォードリエワイン!」
 ボトルに貴族のどや顔がプリントされた奇怪なワインを混紡みたく振り回して飛ぶ『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)。
 いかにもわたし魔女ですって感じのレトロな竹箒にまたがってびゅんびゅん海面を飛んでいた。
 誰だってこんな人たちが近寄ってきたら引くと思うし、ロープウェードラゴンも引いていた。
 えっなにこの人こわいっていう反応を全身でとりながら、頭のロープウェーでついーってどっかに向けて加速し始める。
「わ、わ、ロープウェードラゴン……初めて、見ました……!
 でも、お醤油がなくなってしまうと、困ります、ので、退治しないと…です、ね」
 今時のJKだったら即写メってそうな(そして写メって言葉がもう私語であることにおじさんたちが絶望しそうな)きらきらおめめでロープウェードラゴンを見上げる『さまようこひつじ』メイメイ・ルー(p3p004460)。
「ええと、この船から、飛び乗るん、です、よね……?」
 おそるおそる振り返る。
 と、『帰ってきた牙』新道 風牙(p3p005012)がダブルサムズアップでこたえた。
「大丈夫大丈夫! ジャンプでいける! どうしても足りなかったら二段ジャンプで届くよ!」
「できません……!」
「いやーしかしついにオレも(アニマル)ドラゴンスレイヤーの仲間入りかー。
 師匠が成し遂げたっていうドラゴン千人斬りにはかなわないけど、近づいたって感じがする!」
 青春の輝き(あの十時にキラキラするやつが背景に散るエフェクト)を背負いながらぐっと片手でガッツポーズをとる風牙。
「さあ、覚悟しろ悪しき竜よ!
 オレがその首切り落とし、苦境に嘆く人々を救ってみせ――えっ、ちがうの? しょうゆ? きえるの? 何で?」
「なんでって言われてもおにーさん困るな」
 『満月の緋狐』ヴォルペ(p3p007135)は船をぎーこぎーここぎながら遠い目をした。
「おにーさんはね、今日はね、自分の仕事に徹するつもりだから。そこんところよろしくね」
「仕事って?」
 自撮り棒で船をこぐ(無駄な行為)『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)。
「トモダチの腰に抱きついたまま律儀にツッコミをいれつつ正気を保つために脱衣キメて踏んでくださいと乞う仕事だよ。ははっ、何言ってるんだろうね!」
「自主的なツッコミを入れたからってネタ枠を逃れられると思うなよ?」
「ちょっと確認いいでござるか?」
 背泳ぎ姿勢でついーっと海面を移動していた『ヒトデニンジャ』糸巻 パティリア(p3p007389)が高く手を上げた。
「今回はあの……」
 といって指さすロープウェードラゴン。
 首から上がロープウェーのドラゴンである。
 いや実際ドラゴンなのかどうかは知らん。見たことないし。
「あのドラゴン的なナマモノを倒す依頼ということでいいんでござるな?」
「いいんでござるよ?」
「その手段が、ロープウェーでやっちゃいけないことを片っ端からやる、でいいんでござるな?」
「さようでござるよ?」
 同じように首をかしげてみせるウィズィニャラァム。
 パティリアは掲げた手に人差し指をたて、すいっとアーリアのほうを指さした。
「あの格好もその一環でござるか」
「あらぁ?」
 情熱と興奮の水着姿で脇を見せつけてみるアーリア。
「うわあ何ですかそのかっこう!」
「エキサイティングよぉ」
「確かにエキサイティングだけど……寒くないですか」
 急にイケメン顔をしてそっとアーリアの肩にコートをかける。
 状況をあえて説明すると、いまアーリアは箒にまたがって酒瓶振り上げつつ飛んでいるので、船で近寄ってめっちゃ背伸びしているさまをご想像しただきたい。
「あっでもあらぬ格好してる方がきっとドラゴン倒せますもんね! エキサイティングしましょうエキサイティン!」
 バッと上着を剥ぎ取り海に投げるウィズィニャラァム(くそれず)。
「準備はできたようでござるな」
「本当にそう見える?」
 むくりと海面から身体を起こすパティリア。
 真顔のヴォルペ。
「では貴殿ら――拙者の身体につかまるでござる! いざ!」
 手からしゅぱーって触手(ヒトデ的には管足)を伸ばしてロープウェードラゴンのロープウェー部分に巻き付けるパティリア。
 彼女の足に、腰に、肩に、がしりと抱きつくウィズィニャラァムと風牙とメイメイ。
「あっこれ役得かも」
「今言うなよなんか変な気持ちになるだろ!」
「あ、あ、カピブタさんも一緒に、いいですか?」
 メイメイがカピブタさんを小脇に抱えた途端、パティリアはしゅぱーんってロープウェードラゴンへジャンプ。
 からの窓をかち割ってのダイナミック乗車である。
「グワーーーーーー!?」
「え、なんだ今の鳴き声!」
 船の高いところから飛び移ろうとしていた洸汰がびくりと動きを止めた。
「ああ、ロープウェードラゴンの悲鳴だねぇ」
 武器商人が三対六枚の翼を広げて舞い上がると、腰にヴォルペ(ジェットパック装着済み)を巻き付けたままロープウェードラゴンに窓からダイナミック乗車した。
「グワーーーーーーーーーーーー!?」
「なるほど……ひどいことされると悲鳴をあげるのか……」
 今回の趣旨っていうかシステムがちょっとだけわかった洸汰であった。
 あと、この後のオチが読めた。
「酒盛りよぉー!」
 エキサイティングな格好したアーリアが箒にまたがったままダイナミック乗車した。
「グワーーーーーーーーーー!?」

●冒頭に尺の五割を使う暴挙
「はい、七輪に火ぃつけるわねぇ」
「グワーーー!?」
 武器商人の持ち込んだ七輪にアーリアが火ぃつけると、パティリアが突然開け放ったドアからダイブした。
「あいきゃんふらーーーい!」
「ちょっとぉぉお!? 誰だよ室内で劇物炙――飛び込んだ!? 自殺!? 誰びしょ濡れのカピブタ持ち込――トビンガルー!? 馬ぁ!? まっておにーさんのお口一個しかないからツッコミ追いつかない! ああああああもーーーーー!」
 がしっと武器商人の腰にまとわりつくヴォルペ。
「あー。すーはーすーはー、あーおちつく。折れそうなほど細い腰とかこの位置でも顔を埋める事のできる美しい銀の髪とか薄く香る体臭とか最高の精神安定剤だと思――」
「すまないね、決して悪いコじゃあないんだがちょっと人間として大事なものをアレコレ落としてて」
 剥ぎ取ってヴォルペ海へ投げ入れる武器商人。
「ああああああああああ!?」
「グワーーーーーーーー!?」
「そういう所も愛してるゥ!!」
 遠ざかる声。水没の音。
 これが海外ドラマだったら生存フラグだなって思いながら、武器商人はうんうんと頷いた。
「ついさっきダンディズムあふれるSSが公開されたばかりなのになにやってるんだろうねぇ」
「ねー」
 ウィズィニャラァム(サンタクロースエディション)が背負っていた袋を置いた。
「私(つよれず)が言うのなんですけど、たいがいどうかしてますね」
 とか言いながら袋から鮒寿司出してきた。
「グワーーーーー!?」
「私そこの土産物屋で買ってきたんですよ。酒のつまみになりますかね!
 ひゅーーなんか美味しそうな匂いするじゃないですか!」
「お酒のつまみと聞いてぇ」
「高い景色を見ながら食べるバーベキューって最高だよな!」
 酒瓶もってしゅばっと七輪のそばにいくアーリアと、串に刺した肉を両手に持って駆けつける洸汰。
「このお祭りになー、ロープウェイドラゴンも乗っかれないのは残念だよなー。むしろ乗っかられちゃってるもんなー、オレ達に」
「ローレットの祭りは海星通せや、でござる」
 パティリアが海星綱をなんかこうあのスリングショットめいたあれにして、『ナミハ』を激しく発射した。
 ナミハっていうのはね、水蜘蛛ガジェットで、銀色の蜘蛛型メカなんでござるよ。いつもはパティリアの背中にリュックサックみたく張り付いてるけど時にはこうしてマグロ背負ってダイナミック乗車するんだね。
「グワーーーーーー!?」
「ウワーーー!? 蜘蛛がマグロしょって突っ込んできた!?」
「ごめんね。おにーさん脱ぐね!」
 マグロに張り付いて戻ってきたヴォルペが意味も無く脱衣。
 そして武器商人キックで海へ投下。
「ウワーーーーーーー!?」
「グワーーーーーーー!?」
「ごめんねぇ。画面の前の婦女子を喜ばせるのに余念が無い子なんだねぇ」
「ではマグロ解体ショーを始めるでござる!」
「グワーーーーーーーー!?」
 悲鳴を上げ続けるロープウェードラゴンを無視して、触手で戻ってきたパティリアが忍者刀を抜いた。
 金属並みに硬化する液体を仕込んだ腕輪から忍者刀を生成するというハイテク装備であり抜けば玉散る氷の――。
「まずは目ぇ!」
「「グワーーーーーー!?」」
 ロープウェードラゴンとマグロが同時に悲鳴をあげた。
「ちょっとまってマグロって悲鳴あげるの!?」
 七輪で鮒寿司をあぶっていた(よい子は間違ってもマネするなよ?)ウィズィニャラァムがマグロを二度見した。
 大きく開いたマグロの口をさらに大きくこじ開けて……姿を現す全裸(下半身E:マグロ)のヴォルペ。
「やあ、マーメイドヴォルペと呼んでね。そしてできれば踏んでね我が君!」
 武器商人キャノン。
 説明しよう。武器商人キャノンとは武器商人がいつのまにか設置していた筒にヴォルペを詰め込んで遠いお空に発射する必殺技だぞ。
「そんなあなたが好きいいいいいい!」
「グワーーーーーーーーーー!?」
「なんなんだあいつ、無敵なのか?」
 焼いた串肉をむしゃむしゃしながら見送る洸汰。
 さっき落としたはずのヴォルペがマグロの中から出てきたことに対するツッコミは誰もしなかった。誰も気づかなかった。
 なぜならみんな酔っ払っていたからである。
「んっだーチクショー!! オレの純情とトキメキを返せよクソっだらー!!」
 コーラの空瓶を何本も連ねてあれる風牙。
 自棄コーラである。
「せっかくよー! 気合入れて装備整えてよー! ドラゴン倒すぞーっていたらよー! なんだよこのロープウェー! あれか、ゴンドラのアナグラムってか? ふざけんなバーカバーカ!!
 もう飲まずにやってらんねえよなー? みんなもそうだよなー? ドラゴン斬りたかったよなー? もー、今斬れるのは鮒ずしくらいだよとほほー。切り分けてやる、切り分けてやる! うわくっせ。剣に臭いつくわ! 加熱したせいで余計にくっさいわ!」
 一通り荒れてから風牙はコーラをがぶ飲みした。
「よー! お前ら飲んでるかー? ほら、お前カップが空いてるぞ! オレが注いでやる! あー? オレのコーラが飲めねえってのか? 飲むよなー! よし、それでこそだ! そーらぶははは! すげえすげえ大噴火だ! コーラのブレスだ! やべーやべー!」
 絡みコーラをされる洸汰。
 人当たりの良さと笑顔の途切れなさには自信ニキの彼だったが、今日ばかりはまさかの真顔であった。洸汰の真顔とかそうそうないぞ。
「え、あ、うん……オレぶどうじゅーすでも」
「あー!? オレのコーラが飲めねーのか!?」
「あ、うん、コーラでいいぞ……」
「えと、あの…だ、だいじょうぶ、ですよ、ね?」
 さっきからずっと状況において行かれていたメイメイwithカピブタ。
 お土産屋さんで買ってきたハマグリを一個一個七輪に乗せてはじゅうじゅう焼いていた。
「あの……ハマグリが、焼けたので……」
「ありがとぉ~」
 頭をワインカラーにしてべろんべろんになったアーリア(エキサイティング)がぺたんと座ってハマグリを手に取った。
 と、そのとき。
「のじゃああああああああああああああああああああ!?」
 おなかを膨らませていた子ロリババアのユーシャンが突如産気づいた。
「えっこんな所で? 我慢よぉ、産まないで!」
「今!?」
「この前行きずりのハンサムなロバとイイ感じになったみたいで、もうすぐ子供が生まれるかもしれないから……出産前の思い出作りに海を見せに来ていたのよぉ」
「え、あ、あの、ど、どうしましょう……お、お湯なら……」
 たらいにぬるま湯を注ぎ入れるメイメイ。
「この中にお医者さんは……産婆さんはいらっしゃいませんかぁー!?」
「忍者ではダメでござるか!? 素肌ちょっとぬめぬめしてるでざるが!」
「甲子園球児じゃだめか!? 肩の力なら自信あるぞー!」
「つよレズでよかったらここにいますよ! 産みましょうか卵!」
「おにーさんでよかったら脱――」
「ごめんねぇ、この子は片付けるからねえ」
 マグロにヴォルペを押し込んでいく武器商人。
「うっ……!」
 口元を押さえる風牙。
 まさかと振り返るメイメイ。
「激しく動いたら……き゛も゛ち゛わ゛る゛い゛」
「あっ」
 武器商人が真顔になった。
 ていうかみんな真顔になった。
 ロバは産まれた。
「グワーーーーーーーーーーーーー!?」
 そして、ロープウェードラゴンは水没した。
「「ウワーーーーーー!?」」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――昨日未明、海洋南方海域にてロープウェードラゴンの水没が確認されました。
 発見した漁師によると『ここは地獄だ。地獄の一丁目だ。あとロバの親子は無事だ』と話しており精神鑑定をうける模様です。
 ――次のニュースです。海洋動物園でマグロの赤ちゃんが産まれましたがおにーさんを踏んでくれと――

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