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シナリオ詳細

<青海のバッカニア>リットリアの酒神

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●明かされざる話
「私達は、この海原に広がる宝を求める夢を追って身を立ててきた。貴族などという肩書きは正直、息苦しいとさえ思っている」
「……はぁ、そうなんですか……」
 雄弁に言葉を重ねるスカイウェザーの男性を前にして、『蒼ノ鶫』ドロッセル=グリュンバウム(p3n000119)は生返事混じりで応じていた。
 ここは目の前の男性の私邸。彼女がローレットから依頼を受けるために派遣されたのは、情報屋よりは海洋出の人間として話を受け易いから、という理由でしかない。
 ……しかないのだが、彼女は一応スカイウェザー……謂わばソルベ派に属する人間で、貴族まで行かずともそれなりの品位を持っているから、などという裏の理由もあったりする。
「だが、海から宝をさらって回るよりこの国に貢献できるなら、私は遠慮なく行動に出たい、と思っているんだ。君にもそんな私の気持ちが分かるだろう!?」
 熱っぽく語るその貴族――デニーゼ・フォン・リットリアの情熱はまあ、分かる。ドロッセルは生返事になっているが、この国の為に両貴族派閥が一丸となろうとする姿勢は好ましいとさえ思っていた。
「それで、だ。ローレットにはちょっとした汚れ仕事をお願いしたい。言ってしまえば、『海のゴミ掃除』だ」
「……『ゴミ』はお幾つで?」
「1つだけだね。サイズはそこそこ大きく、波に乗るのが上手いゴミだ。君達にとってはちょっとした大仕事だが」
 本題に入ったデニーゼの目の光の変化、声のトーンの変化はドロッセルの『センサー』を大いに刺激した。そしてその言葉の裏にあるものも、彼女は敏感に嗅ぎ取っていた。
 ……普段はものの役にも立たないギフトは、ここぞというときは一応機能するらしい。
「了解しました。私達の海洋のために」

●調べなくても出てくる噂
「……と、言うわけで私達はちょっとした哨戒任務を仰せつかりました。予想される敵勢力は1隻、敵総数は予想上で最大15名。操舵手が混じっていることを踏まえれば実働戦闘員はもう少し少ないと思いますが、今回は彼らが『領海』を漁って集めている宝物が難となります」
 ドロッセルは居並ぶイレギュラーズにそう告げ、飾りのない率直な事実(いらいないよう)を投げかけた。つまりは、率直に言うと私掠だ。
「『どこかの国の不審船』は、海からちょっとした古代の遺物を探し出して集め、陸路で自分の国へ運んでいるといいます。ここがどうでもいい海域ならともかく、いえ、『海である以上は尽くが我らの領域』なので、出来れば見逃せないのです。それと、その道具が正しく利用された場合の被害も無視できません」
 つまり、古代の、力あるなにかを回収し、『正しく利用できる内陸の国』の手合いを相手取るわけだ。
「構成員の1人か2人は『使える』相手が現れるでしょうけど、そこはそれです。私も当然ご一緒しますので、頑張って参りましょう」
 ドロッセルが同行したほうが寧ろ厄介なのでは? と考えた面々がいたかもしれないが、それはそれである。

GMコメント

 そういえばこの子海洋の出だったな、って思いました。今季は海洋出しまくり! 祭と聞いて我慢できずに駆けつけたふみのです。

●達成条件
 海域哨戒、不審船の撃沈(船員の生死は問わない。捕縛は一部推奨)

●デニーゼ・フォン・リットリア
 依頼人。拙作『海往く宝は不触の誓い』の被害者ですが当該リプレイは気にしなくてもいいです。
 サルベージで中級貴族まで一代で築いたやべーお人ですが、他国の船が同じことするのは断じて許せないみたいです。当然だね。

●『どこかの国』の不審船
 どこの国だか分からないけど『海中の骨董品めいた古代の使い出のある遺物』を『内陸部に運び込んでいる』不審船。いやーどこの国だろうなあ全くわかんねえなあ!
 なおシナリオの成功度に応じてこの国の悪名が付与されます。

●船員×15
 操舵手1、航海士1、ほか戦闘員。海に慣れているため後述の戦場ルールの影響を受けない。
 基本的にカトラスと簡素なつくりの6連銃を使用。攻撃射程は至~遠。薬瓶による回復とかも相互で任意に行う。怒り付与を行う手合いもいる。
 リーダー格は『フラッシュバン(物至範・ショック・混乱)』、『反射鏡装甲(パッシブ・棘、攻撃に必殺付与)』などを用います。
 なお、船員のなかには『名乗り口上』を使える相手も混じっています。

●イレギュラーズ側船舶
 デニーゼ提供。サルベージ船を改造した高速船舶のためラムアタックは不可。操舵手つき。
 乗り込みに対して不利になることはあまりありません。

●戦場
 『例外的プレイングがない限り』相手船舶甲板。
 そこそこ大きい上に乱戦になるので、一部スキルに頼りすぎると色々不利感あるかもしれません。
 なお基本的に船酔いに近い効果があり、常時『精神系BSに対して抵抗が減少する』状況にあります。

●ドロッセル=グリュンバウム
 戦闘に参加します。指示が特段ない場合は背景でそれとなく戦っています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●重要な備考
<青海のバッカニア>ではイレギュラーズ個人毎に特別な『海洋王国事業貢献値』をカウントします。
 この貢献値は参加関連シナリオの結果、キャラクターの活躍等により変動し、高い数字を持つキャラクターは外洋進出時に役割を受ける場合がある、優先シナリオが設定される可能性がある等、特別な結果を受ける可能性があります。『海洋王国事業貢献値』の状況は特設ページで公開されます。

  • <青海のバッカニア>リットリアの酒神完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年12月08日 20時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
ロジャーズ=L=ナイア(p3p000569)
同一奇譚
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
レスト・リゾート(p3p003959)
にゃんこツアーコンダクター
ロゼット=テイ(p3p004150)
砂漠に燈る智恵
プラック・クラケーン(p3p006804)
昔日の青年
シュラ・シルバー(p3p007302)
魔眼破り

リプレイ

●海を往くのは不埒な酔いと
「船よりもお酒に酔いたい乙女心なのです。ねこなのです……」
 『こげねこ』クーア・ミューゼル(p3p003529)は海を突き進む船の上で丸まりつつ、波の揺れに身を任せていた。酔っていない。特性的に大丈夫。な、はず。
「海、お宝、未知の技術……わかるわ、私も好き」
「海に眠る古代の遺物…冒険小説では聞いた事があるけれど~、実際見る事が出来るなんて、わくわくしちゃうわよね~」
 『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)と『遠足ガイドさん』レスト・リゾート(p3p003959)は『深海に眠る古代技術の産物』の話にいたく興味津々といった様子だった。海洋ロマンの定番ではあるが、現実にそれを奪い合うことになる……とまでは考えていなかったのは確か。依頼人が『そっち』ならどうだったろう、と考えるのはイーリンらしいというか、なんというか。
「陽気な国かと思っていたら、海洋もなかなか大変だな……」
「まぁ、こう……やってる事が海賊つー感じで気乗りはしねぇんすけど」
 カラッとしている気風に見えて、どこか湿度の高い話も入り交じるのは海洋の風土ゆえか。しみじみと語る『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)に対し、複雑な表情と声で応じるのは『幸運と勇気』プラック・クラケーン(p3p006804)だ。彼にとって海賊というのは好ましい相手ではない。だが、内心のちょっとしたあこがれを刺激されるのも確か……私掠という名目ではあれ、その意志が表に出るのは致し方ないのかもしれない。
「海賊…とはまた違うんでしょうけど、海にとことん縁ありますねー……私」
 『魔眼破り』シュラ・シルバー(p3p007302)は己の半生を鑑み、よくよく海に縁があるものだ、と理解する。思い出される内容がどれも戦いに絡んでいるので、海というより海戦に、かもしれないが。ともあれ、仕事である。
「船上での戦闘は久方振りだ。海賊相手に立ち振る舞った依頼を想起させる」
 『果ての絶壁』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)は豊富な経験から思い出された一つの出来事を思考の裏で紐解く。如何様な顛末だったのかは、ここで語る話ではないが……彼女が気がかりなのは、むしろ船酔いの方かもしれない。
「よくわからないものは使わない方がいいのである、それが強力なものであるならば、尚のこと」
 『月光』ロゼット=テイ(p3p004150)は呆れたように首を振る。古代遺物、しかも使い方しだいで兵器として扱える物を不用意に集めて使おうとする輩とくると、あの国やあの国が候補に挙がるわけだが……彼女の言い分は尤もだ。扱うに窮するものを不用意に盗み出すなど、正気の沙汰であろうはずがない。
「プラック、ルート選びは順調か? それとドロッセル、無理のない範囲で哨戒に出てもらっても?」
「あ、ええ、問題ないっす! 順調っすよ!」
「分かりました、少しだけ遠くに出てきます……!」
 ポテトは流石の手際で仲間達に指示を飛ばしつつ、自身も精霊を介して情報収集に余念がない。偶発的な遭遇が考えられる環境下だ。どれだけ警戒を強めても足りることが無いのは間違いない。
「海って本当に広いわねぇ。見つけるのには一苦労するんじゃないかしらぁ……」
「相手は内陸に向かうのでしょう? だったら大陸の港までのルートを上手く攻めれば見つけることなんてワケないわ」
 レストの心配そうな声に、イーリンは気にしたふうでもなくそう応じた。最悪の場合は港での待ち伏せという線もあるが、そこまでしたら国境の侵害になりかねない。
「諸々回収し終わって、最後にアレを撃沈するときは、派手に燃してかまいませんよね?」
「サクッと解体してしれっと帰りましょう。略奪者ですし……」
 クーアとシュラはいい感じに血気盛ん。悪いことではない。というか、頼もしい限りである。……回収対象まで燃えやしないか心配だが。
「大体の海路は予想できてるから、先回りすれば……アレだ! 見つけましたぜ!」
 プラックは、敵がどのような針路を取るかおおよそではあるが把握していた。そして、彼は相手よりも航海術に長けていたので、先回りできるルートを確保していた。『追いかけっこ』ではなく『待ち伏せの回避』にルールが置き換わった時点で、相手方が逃げ切る可能性は潰えたのである。
「オラボナ、寒いから風除けになって」
「風を撃つのは貴様の務めだろうよ。司書」
 煙草を吸いながらイーリンが差し出したチョコレートを口にし、オラボナはにやりと――表情など見えはしないが――笑ってみせた。
 風(敵)を撃つのはイーリン、守りを固めるのはオラボナ。勝手知ったる仲の符丁は、かくも滑らかに口をついて出るものか。
 互いの顔が見える程度の接近。冷たい海風に混じって僅かに聞こえた会話は、動揺よりは戦意発揚を意図したそれであることは間違いなく。
 『その国』にとっては無名に近い彼らの初動は、インパクトだけなら相当なものであっただろう。

「ごきげんよう――レスト!愉快なリゾートの時間よ!」
 フックロープで道を作ったイーリンの声に合わせ、レストを始めとするイレギュラーズが相手船内へと突入を開始する。
 相手船員はといえば、既に臨戦態勢で待ち構えているのだから実に手慣れたものである。……事実、略奪を忌避しない国家として荒事には手慣れているのだ、彼らは。
 不幸が何処かにあるとするなら、それは此処に違いない。
 イーリンの声に伴って放たれた一条の光が、船の舳先から末尾にかけて貫かれ、数人ほどを大きく傷つけたのだから。


「あらあら~、司書ちゃん元気一杯ね~」
 レストはからかうでもなく、のんびりとした口調そのままにふわりと船べりに舞い降りる。ロープ伝いに乗り込んだロゼットが砂嵐を巻き起こすと、プラックは足を止めた相手の腹部に速度を乗せた一撃を叩き込む。
「こいつで眠っとけっ!」
「まだまだ……この程度、耐えるなど造作も無い! その程度か、貴様等は!」
 深い一撃を受け、しかし船員はものともせずに声を張る。明らかにイレギュラーズを挑発し、自らに狙いを絞らせようという魂胆が透けて見える。
 ポテト、レスト、クーアの3人にはもとより通用する目は薄かったが、プラックとシュラには覿面に効いたらしい。
「手加減できませんが、構わないですね!?」
「お望み通り、倒れるまでブン殴ってやらぁ!」
 シュラは大剣を振り上げて叩きつけ、男を斬りつける、というより押し潰そうとした。だが、それを受け止めるようにカバーに回った船員が1人。
 盾を構えた男に叩きつけられた剣の威力は、その一部を魔力の奔流となってシュラに叩きつけた。
「なるほど、なるほど。貴様等はあの呑気な小国に与するにしても随分と手練のようだ」
「そう言う貴様等が塵らしい。我等『物語』の脳髄に臭いを残し給え。己の役割を成した瞬間、塵は輝きに融ける筈」
 オラボナはイーリンを狙ってきた手合いの攻撃を堂々と受け止めつつ、盾を構えた船員へ視線を向ける。その暗澹たる外観の何処が目であるかは彼女しか知り得ぬだろうが、それはそれだ。
「あらあら~、シュラちゃんもプラックちゃんも元気なのね~。おばさんも頑張らなくちゃね~」
 レストはこんな状況でもいつもどおりだった。のんびりした口調でありながら、足は確実に自分が得意とする間合いに向き、シュラとプラックの意識を現実に引き戻す。
「相手の数が数だ、集中攻撃を受けたら治療しきれるかも怪しいぞ!」
「気にすることはないわ。そよ風なら『風除け』が仕事してくれるもの。……貴方達に先手を打ったのは私よ! 本気で倒しに来たらどうかしら?」
 イーリンはちらりとオラボナを見つつ、船員達へ高らかに宣言する。彼女にほど近い位置にいた者達は、その言葉を聞いて正常な反応を失った。
 次々と飛ぶ銃弾、振り上げられたカトラスはそのすべてをオラボナが受け止め、そして何もなかったかのように振る舞う。
「これだけ派手に戦っても倒れないのは厄介ですけど、そろそろ限界がきてるんじゃないですか? 無理に殺すつもりはありませんが」
 クーアは得意の炎による攻撃ではなく、酒瓶で相手の延髄をぶん殴って意識を刈り取る。手傷を重ねた者が多く、回復が追いつかない現状。それが戦意を失うのはさもありなん、というところだった。
「アンタ達に恨みはねえけど、やることは一つなんでね! 勘弁してくださいっすよ!」
「ハ、ハ、ハ! いいぞ、拳が実に重い! 感情のままに殴っているようで実に精緻な狙いだ! お前、私の国に来れば――おっと」
 盾を構えてプラックの乱打を受け止める男は、所在を明らかにしかけて思わず口をつぐむ。プラック自身に跳ね返る打撃も小さくはないが、仲間の治癒力があればこそ無理も利く。
「構いませんよ、何処の国の方だか教えていただいても! この海域に手を出さないのなら深追いはしませんから!」
「人間同士の小競り合いをやってる場合じゃないし、兵器を魔種に奪われたらえらいこっちゃなので、この者は本格的にやめてほしいと思うのだ」
 シュラは正気を取り戻し、本来の技倆そのままに大剣を振るう。動きの精度、技の範囲、ともに先の比ではない。何名かが意識を、さらには命すらも手放すが、ギリギリ持ちこたえた者はロゼットの放った光で倒れていく。
「こらこら~、暴れちゃダメよ~」
 レストは倒れていく面々を次々と縛り上げ、甲板の隅に並べていく。仲間の戦況を確認しつつだが、自らに放たれる火線を避けながらになるのはなんとも厳しい。ポテトの治療はあるが、彼女も少なからず傷を残す。
「司書、船酔いは問題ないか。 我等『物語』はどうも、酔い止めというのは相性が悪いらしい」
「言うじゃない、どうせ酔ってても有象無象には惑わされないくせに」
 オラボナはイーリンと軽口を交わしつつ、彼女の前から微動だにしない。雨あられと注ぐ攻撃は彼女が脅威に感じるほどの傷をもたらさず、心を微かにも動かすことはない。
 否、閃光弾やらなんやら飛んできたりはしているのだ。しているのだが、多少彼女が心を見出そうと、それに気付く間隙も与えずレストとポテトが治療に回っているというだけで。
「プラック、魔力の残量は十分か?」
「正直キツいっす! でもまだ回せますよ!」
「それは大丈夫とは言わないんだ、無理をしているならそう言え!」
 プラックは盾の隙間を縫って相手を殴り倒すと、ポテトの問いに息を切らしながら応じた。手傷は決して深くないが、むしろ魔力を体力で補填した無茶の方が重大になっている。運命に縋らぬだけまだマシな程度だが、ポテトが焦るのも無理はない消耗なのだ。
「焔以外で命を奪う趣味はそれほどないのです!」
「『それほど』!?」
 イレギュラーズの猛攻を、そしてクーアの一撃をなんとか耐えきった男の口から出たのはただただ驚愕であった。
 いや、まあ彼らも争いに明け暮れる方の国の人だが、こうもあっさり命のやり取りは普通にしますよみたいな態度を取られるとそりゃ、普通、ヒく。
「この者達も別に善人ではないので、なるべく殺さないようにするけど死んじゃったら仕方ないよね、と思うので。命だけは耐えてくれると尚更嬉しいけど」
 そして、出来れば「悪」に振れたくはないロゼットも、決して不殺不干渉を是としているわけでもない。そうしなければならないなら、命だって奪いはするのだ。
 イレギュラーズの奮戦は、そのまま船員達の被害拡大を意味する。
 彼らの戦い、その趨勢がどうであったかなど語るまでもないが……。
「おばさん、ちょっと疲れちゃったわぁ。休んでもいいかしら~……?」
 レストがちょっと『疲れた』のを見咎めた船員を、プラックが海に叩き落とした一幕があったことも書き添えておこう。


「しかし、これは何のために使うものなのか……」
「この盾とか閃光弾も遺物なのかしら。あなた、船長よね?」
 ポテトが遺物の数々を検分するかたわら、イーリンはリーダー格の『盾の男』を徹底的に問い詰めていた。彼女の推測通り、彼が……立場は地味でこそあれ、船長であったらしい。
「貴様等には紡ぐべき物語が在る。最悪でも最高でも、上位存在の視点では悦ばしい一筆よ。命は奪らぬ。奪るのは誰かの脳髄次第だ。誰かが生かしたなら、その者の脳髄に感謝することだ」
「畜生、お前達イレギュラーズかよ……今更思い出したぜ、実力者の癖にウチの国では影が薄すぎんだよ、くそっ」
 オラボナの言葉に何かを感じたのか、船長は口惜しげに首を振る。結果としては、被害者こそ出ているが半数にも満たない。イレギュラーズが出来る限り不殺を心がけた結果、というわけだ。
「俺達だって理由なく殺したり奪ったりしたくねえんですよ。脱出用の船があるんだったらそっちに移ってくれないっすか? ホラ、依頼人の希望で沈めなきゃなんで、この船」
 プラックはその外見や言動で勘違いされやすいタチだが、基本的には話がわかる温厚な男である。であれば、生き残った船員を船とともに沈めるという選択肢を忌避するのも当然。今や遅しとうずうずしている一部の仲間を背にそんなことを言うもんだから、船員達はすっかり縮み上がっていた。
「そろそろ燃やしてもいいですか? 沈めなきゃいけないなら私がやりたいのです」
「私も解体しますよ! お任せ下さい!」
 クーアとシュラは今や遅しと互いの得物を素振りしている。片や放火大好きっ子、片やめっちゃヤバい戦士である。戦闘では晴らしきれない鬱憤とか、そういうものがあるのだろう。

「あらあら、よく燃えるわね~」
 レストが燃え上がる船を眺めながら呑気につぶやいたことに、一同は……なんというか、非常にいたたまれない顔をした、とかなんとか。

成否

成功

MVP

ロジャーズ=L=ナイア(p3p000569)
同一奇譚

状態異常

レスト・リゾート(p3p003959)[重傷]
にゃんこツアーコンダクター

あとがき

まず、大変な遅れとなったことをお詫び申し上げます。
皆さんのプレイングが、とか内容が、ということはまったくなく、むしろ素晴らしいといえる内容でした。
特に全体のダメージ減に寄与し、自身もほとんど削られなかったオラボナさん、航海術の「使い方」に特段の優位を持っていたプラックさんは貢献度がちょっと多めです。
探索能力という点では豊富でしたし、用法はうまかったと思います。

ひとつ付け加えておくと、「パンドラ使用」は保険になるのでおすすめします。

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